JP4954383B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料電池の低温起動技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池の中には、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟持して、膜・電極構造体を形成し、この膜・電極構造体を一対のセパレータで挟持したものがある。この燃料電池は、アノード電極の発電面に燃料ガス(例えば、水素ガス)を、カソード電極の発電面に酸化剤ガス(例えば、酸素を含む空気)供給して化学反応を行い、この間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギーとして利用される。カソード電極においては酸化剤ガス(例えば、酸素を含む空気)が供給されているため、水素イオン、電子、及び酸素が反応して水が生成される。したがって、環境に与える影響が少ないため車両の駆動源として注目されている。
【0003】
一般に、この種の燃料電池の作動温度は70℃〜80℃程度とされているが、低温時においては発電効率が低下するため低温時における始動性が大きな課題となっている。したがって、燃料電池を車両用として用いた場合に、外気温が低い状態、例えば、氷点下で起動しようとすると始動までに時間がかかるという問題がある。
これに対して、例えば、特表2000−512068号公報に記載されているように、燃料電池の外部負荷に電力を供給することで反応を促進し、自己発熱により温度を上昇させて始動性を向上させるものがある。
また、米国特許第6103410号公報に示されているように、反応ガスである水素の一部を空気に混ぜることで、カソード側の触媒により反応を起こし燃焼熱を発生させ始動性を向上させるものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の自己発熱を用いた技術では、例えば、起動時に燃料電池が氷点下となっているような場合に、熱容量の大きい燃料電池全体を自己発熱により加熱するためにはある程度長い時間が必要となってしまうという問題がある。また、後者の水素の一部を燃焼させる技術では、発電用として搭載している水素の他に始動用としての水素が必要となるため、その分だけ水素タンクが大型化し、周辺機能部品の配置スペースに制約を与えてしまうという問題がある。
そこで、この発明は、短時間で自己発熱による加熱ができ、かつ、反応ガスを燃焼用として使用する必要なく低温始動性を向上させることができる燃料電池を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、アノード電極(例えば、実施形態におけるアノード電極2)とカソード電極(例えば、実施形態におけるカソード電極3)が固体高分子電解質膜(例えば、実施形態における固体高分子電解質膜4)の両側に配置された膜・電極構造体(例えば、実施形態における膜・電極構造体5)をセパレータ(例えば、実施形態におけるセパレータ6,7)で挟持した燃料電池において、前記膜・電極構造体と各セパレータとの間に入口側ガス連通孔(例えば、実施形態における入口側酸化剤ガス連通孔10、入口側燃料ガス連通孔20)に端を発し出口側ガス連通孔(例えば、実施形態における出口側酸化剤ガス連通孔11、出口側燃料ガス連通孔21)で終端する反応ガス流路(例えば、実施形態における反応ガス流路C,A)を設け、前記各反応ガス流路の出口側ガス連通孔の近傍に補助ガス供給口(例えば、実施形態における補助ガス供給口14,15)を設け、各補助ガス供給口とこれらに対応する出口側ガス連通孔とを結ぶ反応ガス流路が一部で互いに重なり合うように構成し、前記入口側ガス連通孔からの反応ガス供給に替えて反応ガス流路の一部に各補助ガス供給口から反応ガスを供給し局所的に発電を行うことで自己発熱するための起動時用反応ガス流路系と、前記各入口側ガス連通路から全反応ガス流路に反応ガスを供給して発電を行うための通常時用反応ガス流路系とを備え、前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系とを切換可能にし、前記起動時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量は前記通常時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量と同等に設定されることを特徴とする。
【0006】
このように構成することで、例えば、低温起動時に起動時用反応ガス流路系に切り換えて運転を行えば、通常時用反応ガス流路系に供給されるのと同量の反応ガスが、流路長が実質的に短くなった反応ガス流路の一部に集中的に供給される。このとき、反応ガス流路は、実質的に流路長が短くなった分だけ通過抵抗が小さくなりそのため流速が高まる。したがって、これに対応して膜・電極構造体の発電面の一部で局所的な発電を行なうことができる。その結果、当該部位で自己発熱を集中的に行って温度を速やかに高め、この高温度部位を発電面全体に拡大して燃料電池の温度を高めること可能となる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系との切換は、前記膜・電極構造体の発電面の温度が所定値以下の場合は前記起動時用反応ガス流路系に切り換え、前記膜・電極構造体の発電面の温度が所定値を越える場合は前記通常時用反応ガス流路系に切り換えることを特徴とする。
このように構成することで、例えば、発電面の温度が所定値(例えば、0℃)以下の場合は、起動時用反応ガス流路系に切り換え、例えば、温度が所定値(例えば、0℃)を越える場合は通常時用反応ガス流路系に切り換えて運転を行うことができる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、アノード電極とカソード電極が固体高分子電解質膜の両側に配置された膜・電極構造体をセパレータで挟持した燃料電池において、前記膜・電極構造体と各セパレータとの間に反応ガス流路を設け、該反応ガス流路のガス供給口(例えば、実施形態における入口側酸化剤ガス連通孔10)にガス供給路(例えば、実施形態におけるガス供給路16)を接続すると共に、前記反応ガス流路のガス排出口(例えば、実施形態における出口側酸化剤ガス連通孔11)にガス排出路(例えば、実施形態におけるガス排出路17)を接続し、これらガス供給路とガス排出路のいずれか一方にガス供給路あるいはガス排出路に替えて反応ガスを供給・排出可能な分岐通路(例えば、実施形態における分岐通路12)を接続し、この分岐通路の分岐端(例えば、実施形態における分岐端13)を前記反応ガス流路の途中に接続し、前記ガス供給路から前記ガス供給口を経て前記反応ガス流路に供給される反応ガスが前記ガス排出口から前記ガス排出路に至る通常時用反応ガス流路系と前記分岐通路を介して反応ガス流路の一部に反応ガスを供給し発電面の一部で局所的な発電をして自己発熱するための起動時用反応ガス流路系とを備え、前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系とを切換可能にし、前記起動時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量は前記通常時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量と同等に設定されることを特徴とする。
【0009】
このように構成することで、例えば、ガス供給路(ガス排出路)に替えて反応ガスを供給(排出)する分岐通路を設けた場合に、該分岐通路から反応ガスを供給(排出)するようにすると、反応ガスは分岐管の分岐端から供給(排出)される。そのため、反応ガスは、流路長が実質的に短くなった反応ガス流路の一部に集中的に供給される。このとき、反応ガス流路は、実質的に流路長が短くなった分だけ通過抵抗が小さくなりそのため流速が高まる。したがって、これに対応して膜・電極構造体の発電面の一部で局所的な発電を行なうことができる。その結果、当該部位で自己発熱を集中的に行って温度を速やかに高め、この高温度部位を発電面全体に拡大して燃料電池の温度を高めること可能となる。
【0010】
請求項4に記載した発明は、アノード電極とカソード電極が固体高分子電解質膜の両側に配置された膜・電極構造体をセパレータで挟持した燃料電池において、前記膜・電極構造体と各セパレータとの間に複数の通路(例えば、実施形態における通路CC)から成る反応ガス流路を設け、該反応ガス流路のガス供給口にガス供給路を接続すると共に、前記反応ガス流路の排出口にガス排出路を接続し、前記反応ガス流路の隣接する通路を一部で連通させるバイパス部(例えば、実施形態におけるバイパス部23)を設け、前記ガス供給路に該ガス供給路に替えて反応ガスを供給可能なガス供給側分岐通路を接続し、前記ガス排出路に該ガス排出路に替えて反応済みガスを排出可能なガス排出側分岐通路を接続し、これら各分岐通路の分岐端を前記バイパス部を跨いで隣接する前記各通路に接続し、前記ガス供給路から前記ガス供給口を経て前記反応ガス流路に供給される反応ガスが前記ガス排出口から前記ガス排出路に至る通常時用反応ガス流路系と前記ガス供給側分岐通路から前記バイパス部を経て前記ガス排出側分岐通路に至り反応ガス流路の一部に反応ガスを供給し発電面の一部で局所的な発電をして自己発熱するための起動時用反応ガス流路系とを備え、前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系とを切換可能にし、前記起動時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量は前記通常時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量と同等に設定されることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、ガス供給路をガス供給側分岐通路に切り換え、ガス排出路をガス排出側分岐通路に切り換えた状態で、反応ガスを供給すると、供給された反応ガスは、ガス供給側分岐通路の分岐端から反応ガス流路の通路に供給される。ここで該通路は反応ガス流路よりも小さい断面積であるので、供給された反応ガスの流速は高まり、この反応ガスはバイパス部を通過して、もう一方の通路に流過する。そして、この通路に流れ込んだ反応ガスはガス排出側分岐通路の分岐端からガス排出側分岐通路を経て排出される。
そのため、供給された反応ガスは反応ガス流路を構成する隣接する通路を増速された状態で、かつ、短縮された経路を流れて反応に供され、したがって、短縮された反応ガス流路に対応した膜・電極構造体の発電面の一部で局所的な発電を行なうことができる。その結果、当該部位で自己発熱を集中的に行って温度を速やかに高め、この高温度部位を発電面全体に拡大して燃料電池の温度を高めること可能となる。
尚、上記請求項4に記載した発明の中には以下のような構成を含めることができる。即ち、アノード電極とカソード電極が固体高分子電解質膜の両側に配置された膜・電極構造体をセパレータで挟持した燃料電池において、前記膜・電極構造体と各セパレータとの間に複数の通路から成る反応ガス流路を設け、該反応ガス流路のガス供給口にガス供給路を接続すると共に、前記反応ガス流路のガス排出口(例えば、実施形態における出口側酸化剤ガス連通孔112,113)を2つに分割して各々にガス排出路を接続し、該ガス排出口のいずれか一方に該ガス排出路を閉鎖するバルブ(例えば、実施形態におけるバルブVC)を設け、前記ガス供給路に該ガス供給路に替えてガスを供給可能な分岐通路を接続し、該分岐通路の分岐端を前記バルブを設けたガス排出路であって該バルブとガス排出口との間に接続し、前記ガス流路のガス排出口の近傍に、前記反応ガス流路の隣接する通路を一部で連通させるバイパス部を設けたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1はこの発明の実施形態の車両用の燃料電池システムのブロック図である。
燃料電池1は酸化剤ガスである空気と燃料ガスである水素ガスが供給されることで発電を行う。燃料電池1は蓄電装置として機能するキャパシタ(バッテリでもよい)100と共に電流制限器200に並列に接続され、電流制限器200には、空気を供給するスーパーチャージャーS/C(負荷)や走行モータ負荷(その他の負荷を含む)が負荷Fとして接続されている。
電流制限器200は、燃料電池1の状態(発電電圧、ガス供給状態)が異常になった時に、燃料電池1の発電電力(取出し電力)を制限して燃料電池1を保護するためのもので、通常は燃料電池1と電気負荷の間を電気的に直結状態にしている。
300はECUを示し、このECU300は、アクセルペダル400のアクセル開度(走行意志)によって走行モータを駆動すると共に、該走行モータの電力、スーパーチャージャーS/C、及びその他の電力負荷の電力の加算値である燃料電池1の要求発電電力に従って、該要求発電電力を満たすようにスーパーチャージャーS/Cの回転数を制御する。
【0013】
つまり、ECU300からの要求出力信号に基づいて電流制限器200に制限された範囲内で、要求された電力が燃料電池1から各電気負荷に供給される。したがって、例えば始動時にECU300から一定の要求値が入力されると、アイドル出力に応じてスーパーチャージャーS/Cが駆動し一定量の空気を燃料電池1に供給し、これに対応する量の水素ガスが燃料電池1に供給される。ここで、このようにアイドル出力が要求されている際に、後述する燃料電池1の反応ガス流路の経路の一部分に、反応ガス流路の全経路を使用した場合と同様な反応ガス量を供給することで、自己発熱をこの部位に集中させるようにしている。つまり、全発電面で発電する場合と同量の反応ガス量が供給され、消費される反応ガス量、即ち同一の電力が取り出されるため、発熱が小さな発電面積に集中する分だけ自己発熱が集中するのである。
【0014】
図2、図3はこの発明の第1実施形態の要部を示している。
図3に示すように、燃料電池1は、アノード電極2とカソード電極3が固体高分子電解質膜4の両側に配置された膜・電極構造体5を備えている。膜・電極構造体5はアノード側のセパレータ6とカソード側のセパレータ7により挟持され、これらが複数組積層されて、例えば、車両用の燃料電池スタックが構成される。尚、この実施形態では説明の都合上、膜・電極構造体5と一対のセパレータ6,7とで構成される単位燃料電池を例にして説明する。
【0015】
前記固体高分子電解質膜4は、例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマーを用いている。また、アノード電極2、カソード電極3は白金Ptを主体としたものであって、多孔質カーボンクロス又は多孔質カーボンペーパーからなる拡散層に配設されている。セパレータ6,7は緻密質カーボン製や金属製のもので、これらセパレータ6,7から電力を取り出す。
【0016】
図2はカソード側のセパレータ7を膜・電極構造体5に対向する側から見た平面図である。このカソード側のセパレータ7は蛇行した反応ガス流路Cを備えている。ここで、緻密質カーボン製のセパレータの場合は反応ガス流路は複数の溝で構成され、金属製のセパレータの場合はプレス成形により形成された複数の溝部やシール材で仕切られて形成された通路で構成されている。また、反応ガス流路Cとしては、蛇行した流路の他にU字の流路など様々な形状の流路を採用することができる。
カソード側のセパレータ7の反応ガス流路Cは、該カソード側のセパレータ7の右側辺部の下部に形成された入口側酸化剤ガス連通孔10に端を発し、対角方向である左側辺部の上部に配置された出口側酸化剤ガス連通孔11で終端している。
【0017】
一方、アノード側のセパレータ6も、カソード側のセパレータ7に対応して蛇行した反応ガス流路A(鎖線で示す)を備えている。つまり、この反応ガス流路Aは、カソード側の反応ガス流路Cに交叉するように、アノード側のセパレータ6の左側辺部の下部に形成された入口側燃料ガス連通孔20に端を発し、対角方向である右側辺部の上部に配置された出口側燃料ガス連通孔21で終端している。アノード側のセパレータ6、及びカソード側のセパレータ7の下側辺部には一対の入口側冷却水連通孔30,30が、アノード側のセパレータ6、カソード側のセパレータ7の上側辺部には一対の出口側冷却水連通孔31,31が形成されている。アノード側のセパレータ6に、対向する前記各冷却水連通孔30,31同志を結ぶ冷却水流路Rが形成されている。この冷却水流路Rは図示しない冷却系配管に接続されている。
【0018】
図3は図2のX−X線に沿う断面図である。図3に示すように、上述のように構成された燃料電池1のカソード側のセパレータ7とアノード側のセパレータ6の端子部材(図示せず)によって、燃料電池1から出力を取り出す閉回路40が形成され、燃料電池1の出力電力により走行用モータMや負荷Fを駆動させるようになっている。
前記カソード側のセパレータ7の反応ガス流路Cの出口側酸化剤ガス連通孔11の近傍には、後述する分岐通路12の分岐端13を接続する補助ガス供給口14が形成されている。アノード側のセパレータ6の反応ガス流路Aにも、同様の構成の分岐通路の分岐端を接続する補助ガス供給口15が対象となる位置に形成されている。各補助ガス供給口14(15)と、出口側燃料ガス連通孔21、出口側酸化剤ガス連通孔11との間が局所発電用反応ガス流路(反応ガス流路の一部)C1(A1)を構成している。また、局所発電用反応ガス流路C1(A1)に対応する膜・電極構造体5の発電面(図4に円部で示す部分)が後述する局所発電領域Kとして構成される。ここで、各局所発電用反応ガス流路C1,A1は互いに重なり合う部分が生ずるように、前記各補助ガス供給口14(15)が設定されている。
【0019】
図4は、この発明の第1実施形態を示している。尚、この図においては前記燃料電池1は模式化された状態で示す。同図においてカソード側のセパレータ7の入口側酸化剤ガス連通孔10にガス供給路16が接続されると共に前記出口側酸化剤ガス連通孔11にガス排出路17が接続されている。また、ガス供給路16に分岐通路12が接続され、この分岐通路12の分岐端13が前記反応ガス流路Cの途中に形成された前記補助ガス供給口14に接続されている。
前記ガス供給路16にはバルブVBが介装され、分岐通路12にはバルブVAが介装されている。バルブVA,VBを開閉することで、ガス供給路16に替えて分岐通路12から、酸化剤ガスである空気を反応ガス流路Cの途中に設けられた補助ガス供給口14に供給できるようになっている。
【0020】
上記入口側酸化剤ガス連通孔10に取り付られたガス供給路16には主としてスーパーチャージャーS/Cなどのガス供給系80が設けられ、出口側酸化剤ガス連通孔11に取り付けられたガス排出路17には排ガス処理系90が接続されている。上記ガス供給系80と排ガス処理系90とバルブVA,VBとが前記ECU300に接続されている。尚、燃料電池内温度を検出する温度センサTもECU300に接続されている。
このようにして、局所発電用反応ガス流路C1に反応ガスを供給して発電を行うための起動時用反応ガス流路系と、全反応ガス流路に反応ガスを供給して発電を行うための通常時用反応ガス流路系とが、バルブVA,VBにより切換可能に構成されている。
【0021】
ここで、この実施形態ではバルブVBと入口側酸化剤ガス連通孔10との間のガス供給路16と、ガス排出路17との間にバルブVCを備えた連通管18が介装されている。尚、このバルブVCも前記ECU300に接続されている。
尚、前記アノード側ではガス供給系が水素タンク等であり、ガス供給路は入口側燃料ガス連通孔20(図2参照)に接続され、ガス排出路は出口側燃料ガス連通孔21(図2参照)に接続され、補助ガス供給口15に分岐通路の分岐端が取り付けられているが、前記カソード側と同様の構成であるので説明は省略する。
【0022】
次に、第1実施形態の作用について図5のフローチャートと共に説明する。
図5のステップS01において、イグニッションがONされると所定のバルブ制御ルーチンが行われる。具体的には、図示しないパージバルブによる生成水のパージ等の運転準備動作のためのバルブ操作がなされる。
ステップS03で温度センサTにより検出した燃料電池内部温度tが0℃を越えているか否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS04に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS06に進み、後述する低温起動モードに移行してステップS08に進む。
ステップS08においては、温度センサTにより検出した燃料電池内部温度tが0℃を越えているか否かを判定する。判定結果が「YES」である場合はステップS04に進み、判定結果が「NO」である場合はステップS06に進み、低温起動モードを維持する。
ここで、ステップS08において、燃料電池に対する負荷が高負荷であるか低負荷であるかによりこのステップにおける判定閾値を持ち替えることもできる。例えば、高負荷である場合には燃料電池内部の温度が0℃を越えたら、ステップS04に進むが、低負荷の場合には燃料電池内部の温度が5℃を越えるのを待ってステップS04に進むようにしてもよい。高負荷に比較して低負荷の場合には発熱量が少ないので、ある程度温度が上がってから通常発電モードに移行することが望ましいからである。
【0023】
ステップS04において、外部トリガがOFFか否かを判定する。この外部トリガは、停止シーケンスモードへ移行するための操作ボタンである。
判定結果が「YES」、つまり操作ボタンが押されていない場合はステップS05の通常発電モードに進み、さらにステップS04の判定を繰り返す。また、ステップS04における判定結果が「NO」、つまり操作ボタンが押された場合にはステップS07に進み、後述する停止シーケンスモードに移行して制御を終了する。
【0024】
次に、各モードを図4に基づいて説明する。
前記ステップS05の通常発電モードでは、バルブVA、バルブVCは閉じ、バルブVBは開く。したがって、ガス供給系80から供給された空気は、ガス供給路16、入口側酸化剤ガス連通孔10を経て全反応ガス流路Cに供給され、同様に図示しないアノード側の反応ガス流路Aに供給された水素ガスと反応して、膜・電極構造体5の発電面の全面で発電を行い電気エネルギーを発生する。そして、この電気エネルギーは、図3に示す閉回路40から負荷Fや走行モータMに供給される。そして、反応済みガスは出口側酸化剤ガス連通孔11を経てガス排出路17から排出され排ガス処理系90に送られる。
【0025】
前記ステップS06の低温起動モードでは、バルブVAを開き、バルブVB、バルブVCを閉じる。したがって、ガス供給系80から供給された空気は、分岐通路12、補助ガス供給口14を経て局所発電用反応ガス流路C1に供給され、同様に図示しないアノード側の局所発電用反応ガス流路A1に供給された水素ガスと反応して、膜・電極構造体5の発電面の一部で局所発電を行い電気エネルギーを発生する。そして、この電気エネルギーは、図3に示す閉回路40からアイドル時に必要なスーパーチャージャーS/Cのモータなどの各種負荷Fに供給される。そして、反応済みガスは出口側酸化剤ガス連通孔11からガス排出路17を経て排出され排ガス処理系90に送られる。
【0026】
このとき、通常時に反応ガス流路系に供給されるのと同量の反応ガスが、流路長が実質的に短くなった局所発電用反応ガス流路C1に集中的に供給される。つまり、全発電面で発電する場合と同量の反応ガス量が供給され、消費される反応ガス量、即ち同一の電力が取り出されるため、発熱が小さな発電面積に集中する分だけ自己発熱が集中するのである。このとき、反応ガス流路は、実質的に流路長が短くなった分だけ通過抵抗が小さくなりそのため流速が高まる。したがって、これに対応して膜・電極構造体5の発電面の一部で局所的な発電を行なうことができるのである。その結果、当該部位で自己発熱を集中的に行って温度を速やかに高め、この高温度部位を発電面全体に拡大して燃料電池1の温度を高めること可能となる。
【0027】
そして、温度センサTにより検出される燃料電池1の温度が上昇して所定値(例えば、0℃)を越えると(ステップS03,S08において「YES」)、前記通常発電モードに移行する。ここで、前記通常発電モードに移行する場合に、バルブVBを少し開き、前記補助ガス供給路14の上流側に位置する反応ガス流路内に反応ガスを供給して、この部分で解凍した生成水を排出することができる。
【0028】
前記ステップS07の停止シーケンスモードでは、停止後の始動性を良くするため、燃料電池1の運転を停止するのに先だって、反応ガス流路C内に溜まった生成水を排出する。このモードでは、バルブVAを開き、バルブVBは閉じるか絞り気味にする。バルブVCは閉じる。これにより、前記局所発電用反応ガス流路C1における流速が増加し、生成水の排水性が高まる。したがって、局所発電用反応ガス流路C1における生成水の凍結を確実に防止できる。また、バルブVBの開度調整により局所発電用反応ガス流路C1における反応ガスの流速を調整できると共に、バルブVBを絞り気味にして開くことで膜・電極構造体5の発電面の下部側の生成水を排出できる。
【0029】
上記第1実施形態によれば、低温起動時において、通常時用反応ガス流路系に反応ガスを供給して発電面全体で発電を行った場合のように、発熱部分が分散することがないため、始動時間を短縮して始動性能を高めることができる。
とりわけ、起動時用反応ガス流路系で運転をする場合には、反応ガスは流路長の短い局所発電用反応ガス流路C1(A1)に供給される。よって、通常発電モードと同量の反応ガス量が供給され、消費される反応ガス量、即ち同一の電力が面積の小さな発電面から取り出されるためその分だけ自己発熱が集中するのである。このとき、流路長の短い局所発電用反応ガス流路C1(A1)に反応ガスが供給されるので、通過抵抗が減少する分だけ流速が高くなり、生成水の排出性が高まると共に、反応ガス流路長が短くなるため生成水が停滞する時間が短くなり再氷結する余地をなくすことができる。
【0030】
よって、燃焼用ガス自体を燃焼させて燃料電池を加熱する場合のように、燃焼用ガスのタンクを大型化する必要がなくなり周辺機能部品の配置スペースに制約を与えることがなくなる。
また、例えば、燃料電池1の温度が所定値(例えば、0℃)以下の場合は、起動時用反応ガス流路系に切り換え、例えば、温度が所定値(例えば、0℃)を越える場合は通常時用反応ガス流路系に切り換えて運転を行うことができるため、温度に応じて常に最適な出力を得ることができ、エネルギーマネージメント上有利となる。
そして、この実施形態では、分岐管12を用いると共にこの分岐管12の分岐端13を補助ガス供給口14に接続するという簡単な構成で局所発電を行うことができるため、製造が容易である。
尚、この実施形態では局所発電用反応ガス流路C1(A1)が、膜・電極構造体5の上側に設けられているため、生成水が溜まりやすい下側に設けた場合に比較して生成水の凍結箇所が少ない点で有利である。
【0031】
次に、この発明の第2実施形態を説明する。
図6は、この発明の第2実施形態を模式的に示している。尚、この実施形態でもカソード側のセパレータ7を用いて説明するため、アノード側のセパレータについては説明を省略する。また、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この実施形態のカソード側のセパレータ7は、互いに隣接した複数(例えば、2つ)の通路CCからなる反応ガス流路Cを有している。前述実施形態と同様にカソード側のセパレータ7の入口側酸化剤ガス連通孔10にガス供給路16が接続されている。前記ガス供給路16にはバルブVAを備えた分岐通路12が接続されている。尚、ガス供給路16には主としてスーパーチャージャーS/Cなどのガス供給系80が設けられている。
【0032】
前記出口側酸化剤ガス連通孔112、113は前記通路CCに対応して2つ形成され、ここに各々ガス排出路17、17が接続されている。各ガス排出路17は合流管19を介して排ガス処理系90に接続され、合流部分にはバルブVCが介装されている。また、前記分岐通路12の分岐端13が、前記バルブVCと上側の出口側酸化剤ガス連通孔112との間のガス排出路17に接続されている。
そして、前記反応ガス流路Cの出口側酸化剤ガス連通孔112、113の近傍に、前記反応ガス流路Cの隣接する通路CCを一部で連通させるバイパス部23が設けられている。
したがって、2つの出口側酸化剤ガス連通孔112,113とバイパス部23との間にU字状の局所発電用反応ガス流路CC1が形成され、この局所発電用反応ガス流路CC1に反応ガスを供給して発電を行うための起動時用反応ガス流路系と、全反応ガス流路Cに反応ガスを供給して発電を行うための通常時用反応ガス流路系とが、バルブVA,VB,VCにより切換可能に構成されている。よって、局所発電用反応ガス流路CC1に対応する膜・電極構造体5の発電面(円部で示す部分)が局所発電領域Kとして構成される。尚、前記アノード側も同様の構成であるので前述実施形態と同様に説明は省略する。
【0033】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
この実施形態では、前記実施形態の図5に示すフローチャートと同様の手順により通常発電モード、低温起動モード、停止シーケンスモードの選択がなされるためフローチャートの説明は省略する。
【0034】
次に、各モードを図6に基づき説明する。尚、図3を援用して説明する。
前記通常発電モードでは、バルブVAを閉じ、バルブVB、バルブVCを開く。したがって、ガス供給系80から供給された空気は、ガス供給路16、入口側酸化剤ガス連通孔10を経て全反応ガス流路Cに供給され、同様に図示しないアノード側の反応ガス流路に供給された水素ガスと反応して、膜・電極構造体5の発電面の全面で発電を行い電気エネルギーを発生する。そして、この電気エネルギーは、図3に示す閉回路40から負荷Fや走行モータMに供給される。そして、反応済みガスは各出口側酸化剤ガス連通孔112,113を経て2つのガス排出路17,17から排出され排ガス処理系90に送られる。
【0035】
前記低温起動モードでは、バルブVAを開き、バルブVB、バルブVCを閉じる。したがって、ガス供給系80から供給された空気は、分岐通路12、上側のガス排出路17、上側の出口側酸化剤ガス連通孔112を経てU字状の局所発電用反応ガス流路CC1に供給され、同様に図示しないアノード側の局所発電用反応ガス流路に供給された水素ガスと反応して、膜・電極構造体5の発電面の一部で局所発電を行い電気エネルギーを発生する。そして、この電気エネルギーは、図3に示す閉回路40からアイドル時に必要なスーパーチャージャーS/Cのモータなどの各種負荷Fに供給される。そして、反応済みガスは下側の出口側酸化剤ガス連通孔113を経て下側のガス排出路17から排出され排ガス処理系90に送られる。
【0036】
このとき、通常時に反応ガス流路系に供給されるのと同量の反応ガスが流路長が実質的に短くなった局所発電用反応ガス流路CC1に集中的に供給される。つまり、全発電面で発電する場合と同量の反応ガス量が供給され、消費される反応ガス量、即ち同一の電力が取り出されるため、発熱が小さな発電面積に集中する分だけ自己発熱が集中するのである。このとき、反応ガス流路は、実質的に流路長が短くなった分だけ通過抵抗が小さくなりそのためその流速が高まる。
したがって、これに対応して膜・電極構造体5の発電面の一部で局所的な発電を行なうことができるのである。その結果、当該部位で自己発熱を集中的に行って温度を速やかに高め、この高温度部位を発電面全体に拡大して燃料電池1の温度を高めること可能となる。とりわけ、この実施形態では、断面積が小さくなったU字状の通路CCを局所発電用反応ガス流路CC1としているため、反応ガスの流速を更に高められる。
【0037】
そして、温度センサTにより検出される燃料電池1の温度が上昇して所定値(例えば、0℃)を越えると、前記通常発電モードに移行する。ここで、前記通常発電モードに移行する場合に、バルブVBを少し開き、前記バイパス部23よりも上流側に位置する反応ガス流路C内に反応ガスを供給して、この部分の解凍した生成水を排出することができる。
【0038】
前記停止シーケンスモードは、この実施形態では、バルブVAを開き、バルブVBは閉じるか絞り気味にする。バルブVCは閉じる。これにより、前記局所発電用反応ガス流路CC1における流速が増加し、生成水の排水性が高まる。したがって、局所発電用反応ガス流路CC1における生成水の凍結を確実に防止できる。また、バルブVBの開度調整により局所発電用反応ガス流路CC1における反応ガスの流速を調整できると共に、バルブVBを絞り気味にして開くことで膜・電極構造体5の発電面の下部側の生成水を排出できる。
【0039】
上記第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、局所発電用反応ガス流路CC1は、バイパス部23により隣接した通路CCに形成されたU字状の断面積の通路であり、この通路は当然のことながら反応ガス流路Cよりも断面積が小さい。そして、この小さな発電面に、全発電面で発電する場合と同量の反応ガス量が供給され、消費される反応ガス量、即ち同一の電力が取り出されるため、発熱が小さな発電面積に集中する分だけ自己発熱が集中するのである。このとき、低温起動モード時においては、反応ガスは増速されてこの局部発電用反応ガス流路CC1を増速された状態で、かつ、短縮された経路を流れて反応に供される。したがって、より一層効果的に前記局所発電用反応ガス流路CC1に対応する膜・電極構造体5の発電面の一部で局所的な発電を行なうことができる。その結果、当該部位で自己発熱を集中的に行って温度を速やかに高め、この高温度部位を発電面全体に拡大して燃料電池1の温度を高めること可能となる。
【0040】
尚、この実施形態では、2つの出口側酸化剤ガス連通孔112、113を、局所発電用反応ガス流路CC1に対して反応ガスを供給・排出する開口部として有効利用しているため、それだけ部品点数が少なくなる点で有利であるが、他の実施形態として、前記バイパス部23を跨いで隣接する通路CCに図6に破線で示すように開口部24を設け、一方の開口部24に、ガス供給路16に接続された分岐管を接続し、他の開口部24に、ガス排出路の合流管19に接続された分岐管の各分岐端を接続すれば、局所発電用反応ガス流路を形成することができる。つまり、第2実施形態は、上述した他の実施形態の開口部24と出口側酸化剤ガス連通孔112,113を一致させたものである。
【0041】
図7はこの発明の第3実施形態の要部であるカソード側のセパレータ67の模式図を示している。この実施形態においても前記実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
このカソード側のセパレータ67はクランク状に形成された反応ガス流路Cを備えている。そして、反応ガス流路Cは複数の通路CCにより形成されている。
カソード側のセパレータ67の反応ガス流路Cは、該カソード側のセパレータ67の右側辺部の上部に形成された入口側酸化剤ガス連通孔10に端を発し、対角方向である左側辺部の下部に配置された出口側酸化剤ガス連通孔11で終端している。
【0042】
一方、アノード側のセパレータも図示はしないがカソード側のセパレータ67に対応してクランク状の複数の通路から成る反応ガス流路を備えている。つまり、この反応ガス流路は、カソード側の反応ガス流路Cに交叉するように、アノード側のセパレータの左側辺部の上部に形成された入口側燃料ガス連通孔20に端を発し、対角方向である右側辺部の下部に配置された出口側燃料ガス連通孔21で終端している。尚、冷却水系、ガス供給系、排ガス処理系等については図示を省略する。
【0043】
ここで、反応ガス流路Cには、通路CCの中途部に各通路CCを連通させる連結路88が設けられ、この連結路88は出口側酸化剤ガス連通孔11と入口側燃料ガス連通孔10の間の開口部89(アノード側では開口部91)に連通している。この連通孔89と入口側酸化剤ガス連通孔10との間が局所発電用反応ガス流路CC1となっている。
そして、前記入口側酸化剤ガス連通孔10と入口側燃料ガス連通孔20にガス供給路16が各々接続されると共に前記出口側酸化剤ガス連通孔11と出口側燃料ガス連通孔21にガス排出路17が各々接続されている。また、各ガス排出路17に分岐通路12が接続され、この分岐通路12の分岐端13が前記各開口部89,91に接続されている。
ここで、各ガス排出路17の分岐部分には、各通路を選択的に切り換える切換バルブCVが設けられている。尚、Pは圧力計を示す。
【0044】
次に、第3実施形態の作用について説明する。
低温起動時に燃料電池の温度が所定値(例えば、0℃)以下である場合は切換バルブCVを開口部89,91が連通するように切り換える。この状態で、カソード側でガス供給路16から反応ガスを供給すると、反応ガスは入口側酸化剤ガス連通孔10から反応ガス流路Cに流れるが、出口側酸化剤ガス連通孔11には至らず、連通路88から開口部89を経てガス排出路17から排出される。そのため、反応ガスは、流路長が実質的に短くなった反応ガス流路の一部、つまり局所発電用反応ガス流路CC1に集中的に供給され、下側の部分には流れない。このとき、反応ガス流路は、実質的に流路長が短くなった分だけ通過抵抗が小さくなり、これにより流速が高くなる。したがって、これに対応して膜・電極構造体の発電面の一部で局所的な発電を行なうことができる。その結果、当該部位で自己発熱を集中的に行って温度を速やかに高め、この高温度部位を発電面全体に拡大して燃料電池1の温度を高めることが可能となる。
【0045】
このようにして、運転を行いながら図示しない温度センサにより燃料電池1内の温度が、所定値(例えば、0℃)を越えると、前記切換バルブCVを今度は開口部89を閉塞するように切り換える。すると、反応ガスは、全反応ガス流路Cを流れる通常運転モードとなる。尚、この実施形態では圧力計Pを使用してガス供給路16とガス排出路17との圧力損失を検出することで前記下側の部位の生成水の凍結状態を把握することができる。
【0046】
したがって、この実施形態では、上述した各実施形態の効果に加え、下側に位置する出口側酸化剤ガス連通孔11と出口側燃料ガス連通孔21を用いないで、局所発電用反応ガス流路CC1を確保でき、かつ、生成水が発生し難い上流側で局所発電用反応ガス流路CC1を確保できるため、図において鎖線で示すような生成水凍結の可能性が高い部位と局所発電用反応ガス流路CC1とが一致しなくなる。その結果、低温起動時において局所発電用反応ガス流路CC1において生成水が凍結している可能性が低くくなり信頼性が高い点で極めて有利となる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、低温起動時において、通常時用反応ガス流路系に反応ガスを供給して発電面全体で発電を行った場合のように、発熱部分が分散することがないため、始動時間を短縮して始動性能を高めることができる効果がある。とりわけ、起動時用反応ガス流路系で運転をする場合には、反応ガスが流過する反応ガス流路長が短くなるため、通過抵抗が減少する分だけ流速が高くなり、したがって、生成水の排出性が高まると共に、反応ガス流路長が短くなるため生成水が停滞する時間が短くなり再氷結する余地をなくすことができる。また、燃焼用ガス自体を燃焼させて燃料電池を加熱する場合のように、燃焼用ガスのタンクを大型化する必要がなくなり周辺機能部品の配置スペースに制約を与えることはない。
【0048】
請求項2に記載した発明によれば、温度が所定値(例えば、0℃)以下の場合は、起動時用反応ガス流路系に切り換え、温度が所定値(例えば、0℃)を越える場合は通常時用反応ガス流路系に切り換えて運転を行うことができるため、温度に応じて常に最適な出力を得ることができ、エネルギーマネージメント上有利となるという効果がある。
【0049】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、分岐通路を用いるという簡単な構成で局所発電を行うことができるため、製造が容易である。
とりわけ、分岐通路の分岐端を反応ガス流路の途中に接続したことにより、反応ガスが流過する反応ガス流路長が短くなるため、通過抵抗が減少する分だけ流速が高くなり、したがって、生成水の排出性が高まると共に、反応ガス流路長が短くなるため生成水が停滞する時間が短くなり再氷結する余地をなくすことができる。また、燃焼用ガス自体を燃焼させて燃料電池を加熱する場合のように、燃焼用ガスのタンクを大型化する必要がなくなり周辺機能部品の配置スペースに制約を与えることはない。
【0050】
請求項4に記載した発明によれば、反応ガス流路が複数の通路で構成されていることを有効利用し、反応ガスの流速を高めた状態で反応ガスを集中的に反応に供することができるので、生成水の排出性、再氷結防止性能を高めつつ自己発熱により速やかに燃料電池の温度を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態の燃料電池システムのブロック図である。
【図2】 この発明の第1実施形態の要部平面図である。
【図3】 図2のX−Xに沿う断面図である。
【図4】 この発明の第1実施形態の全体構成図である。
【図5】 この発明の第1実施形態のフローチャート図である。
【図6】 この発明の第2実施形態の全体構成図である。
【図7】 この発明の第3実施形態の全体構成図である。
【符号の説明】
2 アノード電極
3 カソード電極
4 固体高分子電解質膜
5 膜・電極構造体
6 アノード側のセパレータ
7 カソード側のセパレータ
10 入口側酸化剤ガス連通孔(ガス供給口)
11、112、113 出口側酸化剤ガス連通孔(ガス排出口)
12 分岐通路
13 分岐端
16 ガス供給路
17 ガス排出路
23 バイパス部
C,A 反応ガス流路
CC 通路
VC バルブ
Claims (4)
- アノード電極とカソード電極が固体高分子電解質膜の両側に配置された膜・電極構造体をセパレータで挟持した燃料電池において、前記膜・電極構造体と各セパレータとの間に入口側ガス連通孔に端を発し出口側ガス連通孔で終端する反応ガス流路を設け、前記各反応ガス流路の出口側ガス連通孔の近傍に補助ガス供給口を設け、各補助ガス供給口とこれらに対応する出口側ガス連通孔とを結ぶ反応ガス流路が一部で互いに重なり合うように構成し、前記入口側ガス連通孔からの反応ガス供給に替えて反応ガス流路の一部に各補助ガス供給口から反応ガスを供給し局所的に発電を行うことで自己発熱するための起動時用反応ガス流路系と、前記各入口側ガス連通路から全反応ガス流路に反応ガスを供給して発電を行うための通常時用反応ガス流路系とを備え、前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系とを切換可能にし、前記起動時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量は前記通常時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量と同等に設定されることを特徴とする燃料電池。
- 前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系との切換は、前記膜・電極構造体の発電面の温度が所定値以下の場合は前記起動時用反応ガス流路系に切り換え、前記膜・電極構造体の発電面の温度が所定値を越える場合は前記通常時用反応ガス流路系に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- アノード電極とカソード電極が固体高分子電解質膜の両側に配置された膜・電極構造体をセパレータで挟持した燃料電池において、前記膜・電極構造体と各セパレータとの間に反応ガス流路を設け、該反応ガス流路のガス供給口にガス供給路を接続すると共に、前記反応ガス流路のガス排出口にガス排出路を接続し、これらガス供給路とガス排出路のいずれか一方にガス供給路あるいはガス排出路に替えて反応ガスを供給・排出可能な分岐通路を接続し、この分岐通路の分岐端を前記反応ガス流路の途中に接続し、前記ガス供給路から前記ガス供給口を経て前記反応ガス流路に供給される反応ガスが前記ガス排出口から前記ガス排出路に至る通常時用反応ガス流路系と前記分岐通路を介して反応ガス流路の一部に反応ガスを供給し発電面の一部で局所的な発電をして自己発熱するための起動時用反応ガス流路系とを備え、前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系とを切換可能にし、前記起動時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量は前記通常時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量と同等に設定されることを特徴とする燃料電池。
- アノード電極とカソード電極が固体高分子電解質膜の両側に配置された膜・電極構造体をセパレータで挟持した燃料電池において、前記膜・電極構造体と各セパレータとの間に複数の通路から成る反応ガス流路を設け、該反応ガス流路のガス供給口にガス供給路を接続すると共に、前記反応ガス流路の排出口にガス排出路を接続し、前記反応ガス流路の隣接する通路を一部で連通させるバイパス部を設け、前記ガス供給路に該ガス供給路に替えて反応ガスを供給可能なガス供給側分岐通路を接続し、前記ガス排出路に該ガス排出路に替えて反応済みガスを排出可能なガス排出側分岐通路を接続し、これら各分岐通路の分岐端を前記バイパス部を跨いで隣接する前記各通路に接続し、前記ガス供給路から前記ガス供給口を経て前記反応ガス流路に供給される反応ガスが前記ガス排出口から前記ガス排出路に至る通常時用反応ガス流路系と前記ガス供給側分岐通路から前記バイパス部を経て前記ガス排出側分岐通路に至り反応ガス流路の一部に反応ガスを供給し発電面の一部で局所的な発電をして自己発熱するための起動時用反応ガス流路系とを備え、前記起動時用反応ガス流路系と通常時用反応ガス流路系とを切換可能にし、前記起動時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量は前記通常時用反応ガス流路系に供給される反応ガス量と同等に設定されることを特徴とする燃料電池。
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