JP4951904B2 - 精シクロペンタジエン化合物の製造方法 - Google Patents

精シクロペンタジエン化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリオレフィン重合触媒に用いられるメタロセン化合物の製造方法、及び該化合物の配位子に好適な有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物の製造方法に関する。
メタロセン化合物は、オレフィン重合触媒として汎用され、メタロセン化合物の配位子となるシクロペンタジエン骨格を有する有機化合物の製造法についても多くの報告がなされている。
該製造法としては、該有機化合物を含む粗シクロペンタジエン化合物を再結晶化して、該有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物の固体を得る方法(以下、再結晶法という場合がある)が一般的であるが(例えば非特許文献1)、該有機化合物が液体の場合は再結晶法を実施することができないという問題があった。
この問題を解決するために、例えば特許文献1においては、粗シクロペンタジエニル化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精シクロペンタジエン化合物を得る方法(以下、クロマト法という場合がある)が提案されているが、クロマト法は、設備が煩雑となり、工業化することは必ずしも容易ではない。
Synlett 1996,147. 特開平9−87313公報[0178]
本発明の目的は、シクロペンタジエン骨格を有する有機化合物が固体、液体のいずれの状態であっても、簡便に該有機化合物を含む粗シクロペンタジエン化合物から該有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物を製造する方法を提供することである。
本発明は、シクロペンタジエン骨格を有する有機化合物を含む粗シクロペンタジエン化合物を融解させた溶液又は該粗シクロペンタジエン化合物を有機溶媒に溶解させた溶液に、水を含有させ、水及び不純物を共沸、留去させて、該有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物を調製することを特徴とする精シクロペンタジエン化合物の製造方法であり、該有機化合物としては、式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004951904
(式中、R、R、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のC1-20のアルキル基、置換もしくは無置換のC6-20のアリール基、置換もしくは無置換のC7-20のアラルキル基を表し、R、R、R、R、R及びR10は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のC1-20のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-20のアルコキシ基、置換もしくは無置換のC6-20のアリール基、置換もしくは無置換のC6-20のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のC7-20のアラルキル基、置換もしくは無置換のC7-20のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたシリル基、置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、又は置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、R11は置換もしくは無置換の炭化水素基又は三置換シリル基を表し、R、R、R及びRの隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、RとRは結合して環を形成していてもよく、R、R、R及びR10の隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、シクロペンタジエンの二重結合は任意の位置をとりうる。)
本発明によれば、シクロペンタジエン骨格を有する有機化合物が固体、液体のいずれの状態であっても、簡便に該有機化合物を含む粗シクロペンタジエン化合物から該有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物を製造することができる。しかも、得られた精シクロペンタジエン化合物は、該有機化合物の含有量が高いことから固体のメタロセン化合物を与えることができる。さらに、得られたメタロセン化合物は、再結晶法やクロマト法によって得られた精シクロペンタジエン化合物が与えるメタロセン化合物と同等程度の性能を有するオレフィン重合触媒として使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における粗シクロペンタジエン化合物とは炭素−金属結合を含まないシクロペンタジエン骨格を有する有機化合物を含むものであり、該有機化合物は、通常、メタロセン化合物の配位子となる有機化合物である。
粗シクロペンタジエン化合物における該有機化合物の含有量としては、通常、粗シクロペンタジエン化合物の固形分100重量部に対し、5重量部以上、好ましくは20重量部以上である。含有量が5重量部以上であると、精シクロペンタジエン化合物の製造時間が短縮される傾向にあることから好ましい。また、粗シクロペンタジエン化合物における当該有機化合物の含有量が60重量部未満であっても、本製造方法によって、精シクロペンタジエン化合物を製造することができる。
ここで、固形分とは、粗シクロペンタジエン化合物から、無機化合物、水及び有機溶媒を除いた部分である。
該有機化合物としては、中でも、式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004951904
(式中、R、R、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のC1-20のアルキル基、置換もしくは無置換のC6-20のアリール基、置換もしくは無置換のC7-20のアラルキル基を表し、R、R、R、R、R及びR10は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のC1-20のアルキル基、置換もしくは無置換のC1-20のアルコキシ基、置換もしくは無置換のC6-20のアリール基、置換もしくは無置換のC6-20のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のC7-20のアラルキル基、置換もしくは無置換のC7-20のアラルキルオキシ基、置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたシリル基、置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基、又は置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、R11は置換もしくは無置換の炭化水素基又は三置換シリル基を表し、R、R、R及びRの隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、RとRは結合して環を形成していてもよく、R、R、R及びR10の隣接する基は、それぞれ任意に結合して環を形成していてもよく、シクロペンタジエンの二重結合は任意の位置をとりうる。)
ここで、置換基R〜R10で表される置換されたC1-20の置換アルキル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。かかる置換もしくは無置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、n−エイコシル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などが例示され、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基が例示される。
置換基R〜R10で表される無置換C7-20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが例示される。好ましくはベンジル基が挙げられる。置換されたC7-20のアラルキル基としては、これら無置換のC7-20のアラルキル基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R〜R10で表される無置換C6-20アリール基の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが例示され、好ましくはフェニル基が例示される。置換されたC6-20のアリール基としては、これら無置換C6-20のアリール基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R〜R10で表される置換もしくは無置換のC1−20の炭化水素で置換されたシリル基における無置換C1−20の炭化水素としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などのC1-10のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これら置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
かかるC1-20の無置換炭化水素の置換したシリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などのC1-20の一置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などのC1-20の炭化水素基で置換された二置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などのC1-20の炭化水素基で置換された三置換シリル基、シクロトリメチレンメチルシリル基、シクロテトラメチレンメチルシリル基、シクロペンタメチレンメチルシリル基、シクロトリメチレンフェニルシリル基、シクロテトラメチレンフェニルシリル基、シクロペンタメチレンフェニルシリル基などシリル基の置換基が環を形成した環状シリル基などが例示され、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基が例示される。
これらの置換シリル基を構成する炭化水素基としては、上記のような無置換炭化水素基のほかにフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたC1-20の置換炭化水素基が例示される。
置換基R〜R10で表される無置換C1-20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが例示され、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基が例示される。置換されたC1-20のアルコキシ基としては、これら無置換のC1-20のアルコキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R〜R10で表される無置換C7-20のアラルキルオキシ基の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが例示され、好ましくはベンジルオキシ基が例示される。置換されたC7-20のアラルキルオキシ基としては、これら無置換C7-20のアラルキルオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R〜R10で表される無置換C6-20のアリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などが例示され、好ましくはフェノキシ基が挙げられる。置換されたC6-20のアリールオキシ基としては、これら無置換C6-20のアリールオキシ基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたものが例示される。
置換基R〜R10で表される置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたアミノ基とは、2つの置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで無置換のC1-20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などのC1-20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。かかる無置換C1-20の炭化水素基で置換されたアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基などが例示され、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基が例示される。置換されたC1-20炭化水素基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されたC1-20炭化水素基が例示される。
置換基R〜R10で表される置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基とは、3つの炭化水素基で置換されたシリルオキシ基であって、ここで無置換のC1-20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの前記と同様のC1-20のアルキル基、フェニル基などのアリール基などが例示され、これら置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
かかるC1-20の置換シリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリ−n−ブチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基、メチルジフェニルシリルオキシ基などが例示され、好ましくはトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基等が例示される。置換されたC1-20の炭化水素基で置換されたシリルオキシ基としては、上記のような無置換C1-20の炭化水素基がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換された炭化水素基が例示される。
〜Rのうち隣接する2つの置換基ならびにR〜R10のうち隣接する2つの置換基は任意に結合して環を形成していてもよく、RとRは結合して環を形成していてもよい。
〜Rのうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環、R〜R10のうち隣接する2つの置換基が結合して形成される環、RとRが結合して形成される環とし
ては、置換もしくは無置換のC1-20の炭化水素基で置換された、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などが例示される。その具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環などのC3−8の脂肪族環式炭化水素、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などのC6−14の芳香族炭化水素などが例示される。
置換基R11で表される三置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などが例示される。
式(1)で示されるシクロペンタジエン化合物としては
2−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)メチル]−1−メトキシベンゼン、2−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)メチル]−1−メトキシ−4,6−ジメチルベンゼン、2−tert−ブチル−6−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)メチル]−1−メトキシ−4−メチルベンゼン、6−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)メチル]−1−メトキシ−2−フェニルベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−3−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)メチル]−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、3−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)メチル]−2−メトキシ−5−メチル−1−トリメチルシリルベンゼン、
2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシベンゼン、2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシ−4,6−ジメチルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシ−4−メチルベンゼン、6−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシ−2−フェニルベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−3−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、3−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−2−メトキシ−5−メチル−1−トリメチルシリルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシベンゼン、
1−メトキシ−2−[1−(4−メチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−メトキシ−4,6−ジメチル−2−[1−(4−メチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、6−tert−ブチル−1−メトキシ−4−メチル−2−[1−(4−メチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−メトキシ−6−[1−(4−メチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−2−フェニルベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−2−メトキシ−5−メチル−3−[1−(4−メチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、2−メトキシ−5−メチル−3−[1−(4−メチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−トリメチルシリルベンゼン、6−tert−ブチル−1−メトキシ−2−[1−(4−メチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、
2−[1−(4−tert−ブチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシベンゼン、2−[1−(4−tert−ブチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシ−4、6−ジメチルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[1−(4−tert−ブチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシ−4−メチルベンゼン、6−[1−(4−tert−ブチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシ−2−フェニルベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−3−[1−(4−tert−ブチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、3−[1−(4−tert−ブチルシクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−2−メトキシ−5−メチル−1−トリメチルシリルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[1−(4−tert−ブチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−メトキシベンゼン、
1−メトキシ−2−[1−(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−メトキシ−4,6−ジメチル−2−[1−(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、6−tert−ブチル−1−メトキシ−4−メチル−2−[1−(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−メトキシ−2−フェニル−6−[1−(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−2−メトキシ−5−メチル−3−[1−(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、2−メトキシ−5−メチル−3−[1−(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]−1−トリメチルシリルベンゼン、6−tert−ブチル−1−メトキシ−2−[1−(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、
1−メトキシ−2−[1−(3−トリメチルシリル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−メトキシ−4,6−ジメチル−2−[1−(3−トリメチルシリル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、6−tert−ブチル−1−メトキシ−4−メチル−2−[1−(3−トリメチルシリル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−メトキシ−2−フェニル−6−[1−(3−トリメチルシリル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−2−メトキシ−5−メチル−3−[1−(3−トリメチルシリル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、2−メトキシ−5−メチル−1−トリメチルシリル−3−[1−(3−トリメチルシリル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、6−tert−ブチル−1−メトキシ−2−[1−(3−トリメチルシリル−シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−メチル−エチル]ベンゼン、
2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−エチル−プロピル]−1−メトキシベンゼン、2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−エチル−プロピル]−1−メトキシ−4、6−ジメチルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−エチル−プロピル]−1−メトキシ−4−メチルベンゼン、6−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−エチル−プロピル]−1−メトキシ−2−フェニルベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−3−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−エチル−プロピル]−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、3−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−エチル−プロピル]−2−メトキシ−5−メチル−1−トリメチルシリルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1−エチル−プロピル]−1−メトキシベンゼン、
2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1,1−ジフェニルメチル]−1−メトキシベンゼン、2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1,1−ジフェニルメチル]−1−メトキシ−4、6−ジメチルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1,1−ジフェニルメチル]−1−メトキシ−4−メチルベンゼン、2−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1,1−ジフェニルメチル]−1−メトキシ−6−フェニルベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−3−[1−(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1,1−ジフェニルメチル]−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、3−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1,1−ジフェニルメチル]−2−メトキシ−5−メチル−1−トリメチルシリルベンゼン、6−tert−ブチル−2−[(シクロペンタ−1,4−ジエニル)−1,1−ジフェニルメチル]−1−メトキシベンゼンなどが挙げられる。
前記例示された化合物のメトキシを、アリロキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ベンジルオキシ、トリメチルシリルオキシ、tert−ブチルジメチルシリルオキシに置換した化合物も式(1)の例示化合物として挙げることができる。
また、前記例示された化合物のシクロペンタ−1,4−ジエニルをジメチルシクロペンタ−1,4−ジエニル、トリメチルシクロペンタ−1,4−ジエニル、n−ブチルシクロペンタ−1,4−ジエニル、tert−ブチルジメチルシリルシクロペンタ−1,4−ジエニル、インデニル、フルオレニルに置換した化合物も式(1)の例示化合物として挙げることができる。
さらに、前記例示された化合物の1−メトキシベンゼンを1−メトキシ−6−メチルベンゼン、1−メトキシ−4,6−ジ−tert−ブチルベンゼン、1−メトキシ−4−メチル−6−フェニルベンゼン、1−tert−ブチルジメチルシリル−2−メトキシベンゼン、2−メトキシ−1−トリメチルシリルベンゼンに置換した化合物も式(1)の例示化合物として挙げることができる。
式(1)で表される有機化合物を含む粗シクロペンタジエン化合物の製造方法としては、特許文献1の[0178]、非特許文献1などに記載された製造方法であって、再結晶またはクロマトグラフィを実施する前の粗生成物を製造する方法に準じて実施すればよい。具体的には、式(2)
Figure 0004951904
(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を表し、好ましくは臭素原子である。)
で示されるハロゲン化アリール化合物(2)を有機溶媒に溶解したのち、−50〜30℃程度好ましくは、−20〜10℃程度に冷却し、該溶解液に同温度程度に冷却しながら塩基を加えて、式(2−1)で表されるアリールアニオンを調製し、
Figure 0004951904
続いて、該アリールアニオンに式(3)
Figure 0004951904
(式中、R〜R11は前記と同じ意味を表す。)
で示されるフルベン化合物(3)を反応させて、式(1)で表される化合物を含む反応生成物をそのまま用いる場合などが例示される。
ここで、ハロゲン化アリール化合物(2)としては、例えば、1−ブロモ−2−メトキシベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−4−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−6−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3,4−ジメチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3,5−ジメチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3,6−ジメチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−エチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−イソプロピルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−フェニルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−(1−ナフチル)ベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−(2−ナフチル)ベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−ベンジルベンゼン、5−ブロモ−6−メトキシ−1−トリメチルシリルベンゼン、5−ブロモ−6−メトキシ−1−tert−ブチルジメチルシリルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3−フェニル−5−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3,5−ジフェニルベンゼンなどが挙げられる。
また、前記例示された化合物のメトキシをイソプロピルオキシ、アリロキシ、ベンジルオキシ、フェノキシに置換した化合物もハロゲン化アリール化合物(2)として例示される。
さらに前記例示された化合物のブロモをクロロ、ヨードに置換した化合物もハロゲン化アリール化合物(2)として例示される。
ハロゲン化アリール化合物(2)としては、好ましくは、1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼン、1−ブロモ−2−メトキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゼンなどである。
フルベン化合物(3)としては、例えば、フルベン、3−メチルフルベン、3−tert−ブチルフルベン、3−フェニルフルベン、3−トリメチルシリルフルベン、3−tert−ブチルジメチルシリルフルベン、6−メチルフルベン、3,4−ジメチルフルベン、2,3,4−トリメチルフルベン、2,3,4,5−テトラメチルフルベン、3,6−ジメチルフルベン、3−tert−ブチル−6−メチルフルベン、3−フェニル−6−メチルフルベン、6−tert−ブチルフルベン、3−メチル−6−tert−ブチルフルベン、3,6−ジ−tert−ブチルフルベン、3−フェニル−6−tert−ブチルフルベン、6−フェニルフルベン、3−メチル−6−フェニルフルベン、3−tert−ブチル−6−フェニルフルベン、3,6−ジフェニルフルベン、6,6−ジメチルフルベン、3,6,6−トリメチルフルベン、3−tert−ブチル−6,6−ジメチルフルベン、3−フェニル−6,6−ジメチルフルベン、3−メチル−6,6−ジエチルフルベン、3−tert−ブチル−6,6−ジエチルフルベン、3−フェニル−6,6−ジエチルフルベン、6,6−ジフェニルフルベン、3−メチル−6,6−ジフェニルフルベン、3−tert−ブチル−6,6−ジフェニルフルベン、3,6,6−トリフェニルフルベン、6,6−テトラメチレンフルベン、3−メチル−6,6−テトラメチレンフルベン、2−tert−ブチル−6,6−テトラメチレンフルベン、3−フェニル−6,6−テトラメチレンフルベン、6,6−ペンタメチレンフルベン、3−メチル−6,6−ペンタメチレンフルベン、3−tert−ブチル−6,6−ペンタメチレンフルベン、3−フェニル−6,6−ペンタメチレンフルベン、1−イソプロピリデンインデン、イソプロピリデンフルオレンなどが挙げられ、好ましくは6,6―ジメチルフルベン、6,6−ジエチルフルベン、3,6,6−トリメチルフルベン、3−メチル−6,6−ジエチルフルベン、1−イソプロピリデンインデンなどである。
フルベン化合物(3)の使用量としては、通常、ハロゲン化アリール化合物(2)1モルに対し、0.5〜1.5モル程度である。0.5モル以上であると未反応のアリールアニオンが減少する傾向にあることから好ましく、1.5モル以下であると未反応のフルベン化合物が減少する傾向があることから好ましい。
粗シクロペンタジエン化合物の製造に用いられる塩基としては、有機アルカリ金属化合物などが挙げられ、好ましくは、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウムなどのアルキルリチウム化合物等である。
塩基の使用量としてはハロゲン化アリール化合物(2)1モルに対し、通常0.5〜5モルの範囲で好ましくは1〜2モルの範囲である。
0.5〜5モルの範囲内であると、粗シクロペンタジエン化合物に含まれるシクロペンタジエン骨格を有する有機化合物の含有量が向上する傾向にあることから好ましい。
粗シクロペンタジエン化合物に含まれる不純物は、シクロペンタジエン骨格を有する有機化合物以外の化合物である。本発明に用いられる粗シクロペンタジエン化合物が上記に例示された製造方法であれば、粗シクロペンタジエン化合物に含まれる不純物は、未反応のハロゲン化アリール化合物(2)、アリールアニオンと水との反応物や、ハロゲン化アリール化合物(2)のアルコキシ基(-OR)が加水分解された生成物などのようにハロゲン化アリール化合物(2)に由来したフェノール性水酸基含有物、フルベン化合物(3)の2量体などが挙げられる。
ハロゲン化アリール化合物(2)に由来したフェノール性水酸基含有物は、ハロゲン化アリール化合物(2)に対して塩基を過剰に使用すると、生成量が多くなる傾向があり、塩基の使用量を低減させると未反応のハロゲン化アリール化合物(2)及びフルベン化合物(3)の2量体などの生成量が多くなる傾向がある。
本発明の製造方法により、アリールアニオンと水との反応物及びフルベン化合物(3)の2量体を容易に除去することができる。
本発明は、シクロペンタジエン骨格を有する有機化合物を含む粗シクロペンタジエン化合物を融解させた溶液又は該粗シクロペンタジエン化合物を有機溶媒に溶解させた溶液に、水を含有させ、水及び不純物を共沸、留去させて、該有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物を調製することを特徴とする精シクロペンタジエン化合物の製造方法である。
有機溶媒を用いると、シクロペンタジエン骨格を有する有機化合物が固体でも液体であっても水及び不純物を共沸、留去させることができる。また、操作温度がシクロペンタジエン骨格を有する有機化合物の融点程度以上であると、粗シクロペンタジエン化合物が融解しているので、水のみを加えて水及び不純物を共沸、留去させることができる。
該有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物とは、後述するメタロセン化合物を結晶化して取り出すために十分な量の該有機化合物を含有する精シクロペンタジエン化合物であるとの意味であり、具体的には、精シクロペンタジエン化合物において該有機化合物を60重量%以上にすればよい。
ここで、60重量%以上とは、精シクロペンタジエン化合物の固形分(すなわち、精シクロペンタジエン化合物から無機化合物、水及び有機溶媒を除いた全ての部分)の中で、該有機化合物が60重量%以上であることを意味する。
混合させる水は、液体の水または水蒸気の状態で用いられる。
使用する水の量としては、通常、粗シクロペンタジエン化合物(固形分)の1〜1000重量倍程度、好ましくは10〜100重量倍程度である。1重量倍以上であれば、不純物が多く留去される傾向があることから好ましく、1000重量部以下であれば、製造時間が短縮される傾向があることから好ましい。
水の混合方法としては、予め、粗シクロペンタジエン化合物と一括で混合させる方法、共沸・留去されている溶液の中に水を徐々に混合させる方法などが例示される。
共沸の圧力としては、減圧〜常圧下の雰囲気で実施され、具体的には133 Pa(1mmHg)〜常圧下、好ましくは、1.3 kPa(10mmHg)〜常圧下にて実施される。
また、共沸温度としては、通常1〜120℃の範囲である。共沸温度が100℃以上の場合、水は水蒸気の状態で粗シクロペンタジエン化合物に導入してやればよい。主成分である有機化合物の安定性の観点から、共沸温度としては、好ましくは20〜60℃程度の範囲である。
本製造方法において、不純物が十分に留去されていない場合には、水を適宜、混合させて、共沸を継続すればよい。精シクロペンタジエン化合物をメタロセン化合物の配位子として利用するためには水を含まない状態が好ましく、このために、共沸によってさらに水を留去してもよいし、水と混合しない有機溶媒で精シクロペンタジエン化合物を抽出して分液操作により精シクロペンタジエン化合物から水を除去してもよい。
精シクロペンタジエン化合物の製造の際、用いられる有機溶媒は、通常、非プロトン性溶媒であり、粗シクロペンタジエン化合物の製造に用いられる有機溶媒をそのまま用いればよい。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒などが例示される。かかる溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒の使用量としてはハロゲン化アリール化合物(2)に対して、通常、1〜200重量倍、好ましくは3〜50重量倍の範囲である。
有機溶媒は、粗シクロペンタジエン化合物の調製の際に、上記有機溶媒を用い、該有機溶媒をそのまま、精シクロペンタジエン化合物の製造方法に用いる方法が簡便であることから好ましい。もちろん、精シクロペンタジエン化合物の製造中に有機溶媒を追加して混合させてもよい。
精シクロペンタジエン化合物の製造に用いる製造装置としては、エバポレーターを用いる場合が例示されるが、工業的には、粗シクロペンタジエン化合物を収納する容器に、水導入装置が具備され、該容器には、凝縮器及び留出受器が順次接続した装置などが例示される。好ましくは、該装置は減圧することができ、減圧するための減圧ポンプが接続されている装置である。留出受器は、ディーンスターク装置のように、有機溶媒が容器に還流するラインが接続されていてもよい。
本発明で得られるメタロセン化合物とは、かくして得られた精シクロペンタジエン化合物の主成分である有機化合物を配位子とする4族遷移金属錯体であり、精シクロペンタジエン化合物が式(1−1)
Figure 0004951904
(式中、R〜R11は前記と同じ意味を表す。)
で表される有機化合物である場合、メタロセン化合物は、式(4)で表すことができる。
Figure 0004951904
(式中、Mはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどの4族遷移金属元素を表し、好ましくはチタニウムである。nは1または2を表す。Yは塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表し、好ましくは、塩素原子である。R〜R11は前記と同じ意味を表す。)
メタロセン化合物の具体的な製造方法としては、特許文献1の[0180]、非特許文献1などの製造方法に準じて実施すればよい。具体的には、精シクロペンタジエン化合物は、必要に応じて有機溶媒を加えたのち、−50〜30℃程度好ましくは、−20〜10℃程度に冷却し、該溶解液に同温度程度に冷却しながら塩基を加え、続いて、4族遷移金属ハロゲン化物を同温度程度に混合させて攪拌し、結晶のメタロセン化合物をろ過などによって取り出し、必要に応じて有機溶媒で洗浄して得る方法などが例示される。
4族遷移金属ハロゲン化物としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四塩化ハフニウム、四臭化ハフニウムなどが挙げられ、好ましくは四塩化チタンである。
メタロセン化合物の製造に用いられる有機溶媒としては、粗シクロペンタジエン化合物に用いられた有機溶媒と同様のものが用いられる。有機溶媒としては、異なる有機溶媒を組み合わせて使用してもよい。好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。
有機溶媒の使用量としては精シクロペンタジエン化合物の固形分に対して、通常、1〜200重量倍、好ましくは3〜50重量倍の範囲である。
メタロセン化合物の製造に用いられる塩基としては、粗シクロペンタジエン化合物の製造に用いられた塩基と同様のものが用いられる。中でも、アルキルリチウム化合物が好適である。
塩基の使用量としては精シクロペンタジエン化合物に含まれる主成分の有機化合物1モルに対し、通常0.5〜5モルの範囲で好ましくは1〜2モルの範囲である。
0.5〜5モルの範囲内であると、メタロセン化合物の収率が向上する傾向にあることから好ましい。
メタロセン化合物の具体例としては、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(メチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、
イソプロピリデン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドなどが挙げられる。
前記に例示されたメタロセン化合物のチタニウムをジルコニウム、ハフニウムに置換した化合物、前記に例示されたメタロセン化合物のクロライドをブロミド、アイオダイドに置換した化合物、前記に例示されたメタロセン化合物の(シクロペンタジエニル)を(メチルシクロペンタジエニル)、(ジメチルシクロペンタジエニル)、(トリメチルシクロペンタジエニル)、(インデニル)に置換した化合物、前記に例示されたメタロセン化合物の3,5−ジメチル−2−フェノキシを2−フェノキシ、3−メチル−2−フェノキシ、3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ、3−フェニル−5−メチル−2−フェノキシに置換した化合物、前記に例示されたメタロセン化合物のイソプロピリデンをジエチルイソプロピリデンに置換した化合物などもメタロセン化合物として例示される。
中でもイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルイソプロピリデン(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドなどのメタロセン化合物が好適である。
かくして得られたメタロセン化合物は、例えば、特許文献1の実施例65〜102に記載の方法の如く用いることにより、オレフィン重合触媒として使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
<精シクロペンタジエン化合物の製造例>
窒素雰囲気下、撹拌機を備えた2000mLの容器中で、1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼン169.32g(658.4mmol)をメチル−tert−ブチルエーテル約1000mLに溶かし、0℃に冷却した。そこへ、 n−BuLiのヘキサン溶液500mL(1.58M,790.1mmol)をゆっくり加え、室温で1時間撹拌を続けた。さらに、この反応液に、6,6−ジメチルフルベン64.66g(609.0mmol)を加え1時間攪拌した。反応溶液を水に加え油層を分液後、エバポレーターで濃縮して黄色のオイル状の粗シクロペンタジエン化合物(2−シクロペンタジエニル−2−(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)プロパンの含有量28.6重量%)を得た。
得られた粗シクロペンタジエン化合物に水1.5Lを加え、30torrで共沸させた。逐次水を添加し留出水量が7.5Lとなったところで常温常圧とした。トルエンを加え油層を抽出、濃縮して淡黄色の精シクロペンタジエン化合物102.99g((2−シクロペンタジエニル−2−(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)プロパンの含有量72.1重量%)を得た。
(2−シクロペンタジエニル−2−(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)プロパン 1H−NMR(CD2Cl2)のデータ
δ 1.32(s,9H)、2.19(s,6H)、6.98(s,1H)、7.11(s,1H)
<メタロセン化合物の製造例>
窒素雰囲気下、撹拌機を備えた500mLの容器中に上記反応で得られた精シクロペンタジエン化合物 14.13gをトルエン143mLで希釈し、0℃に冷却した。そこへn−BuLiのヘキサン溶液31.6mL(1.58M,50.0mmol)をゆっくり加え、その後室温にて1時間攪拌した。続いて、得られた溶液を−50℃に冷却したのち、TiCl11.37g(6.0mmol)を含むトルエン溶液(11.4mL)を加えたのち、60℃で2時間攪拌した。不溶物をろ別し、ろ液を濃縮、ヘキサンを加え析出した固体をろ取することにより、メタロセン化合物であるイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを95重量%含む黄色固体を得た。1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼン基準での収率は44%であった。
メタロセン化合物の1H−NMR(CD2Cl2)のデータ
δ 1.48(s,9H)、1.71(s,6H)、2.26(s,3H)、3.26(s,3H)、6.07〜6.62(m,5H)、7.22〜7.28(m、2H)
(参考例1:ポリオレフィンの製造例)
50℃、エチレン圧0.60MPaにおいてトリイソブチルアルミニウム(1.5mmol)、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(0.02mmol)および実施例1で得たイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド(10μmol)存在下、エチレン、スチレン、およびジメタノオクタヒドロナフタレンを共重合させた。重合の結果、η=1.08dl/g、Tg=124.2のポリオレフィンをチタン1mol当たり、1時間当たり、7.08×10g製造した。
(比較例1)
<2−シクロペンタジエニル−2−(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)プロパンの製造例>
実施例1に準じて製造した粗シクロペンタジエン化合物をシリカゲルカラム(ワコーゲルC−100)を通し、ヘキサンで展開し、留分の溶媒を除去することによって、ほぼ純粋な2−シクロペンタジエニル−2−(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)プロパンを淡黄色のオイル状の状態で 3.0g(収率15.0%)を得た。
<メタロセン化合物の製造例>
比較例1で得られたほぼ純粋な2−シクロペンタジエニル−2−(3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−メチルフェニル)プロパンを用いる以外には、実施例1に準じて、メタロセン化合物であるイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを95重量%含む黄色固体を得た。1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼン基準での収率は34%であった。
(参考例2:ポリオレフィンの製造例)
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドとして比較例1で得られたものを用いる以外は、参考例1と同様にして、η=1.04dl/g、Tg=129.3のポリオレフィンをチタン1mol当たり、1時間当たり、6.15×10g製造した。
本発明の製造方法によれば、メタロセン化合物を与える精シクロペンタジエン化合物を簡便かつ収率良く得ることができる。
本発明のメタロセン化合物の製造方法によれば、再結晶法やクロマト法によって得られたシクロペンタジエン化合物と同様にメタロセン化合物を製造することができる。
さらに、かくして得られたメタロセン化合物をオレフィン重合触媒として用いると、再結晶法やクロマト法によって得られたシクロペンタジエン化合物に由来するメタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリオレフィンとほぼ同等程度の性能を有するポリオレフィンを得ることができる。

Claims (8)

  1. 1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼンまたは
    1−ブロモ−2−メトキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゼンであるハロゲン化アリール化合物にアルキルリチウム化合物を加えて調製されるアリールアニオンと、
    6,6−ジメチルフルベン、6,6−ジエチルフルベン、3,6,6−トリメチルフルベン、3−メチル−6,6−ジエチルフルベンまたは1−イソプロピリデンインデンであるフルベン化合物とを反応させて得られる、シクロペンタジエン骨格を有する有機化合物を含む粗シクロペンタジエン化合物を融解させた溶液又は該粗シクロペンタジエン化合物を有機溶媒に溶解させた溶液に、水を含有させ、水及び不純物を共沸、留去させて、該有機化合物を主成分とする精シクロペンタジエン化合物を調製することを特徴とする精シクロペンタジエン化合物の製造方法。
  2. ハロゲン化アリール化合物が、1−ブロモ−2−メトキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンゼンであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. フルベン化合物が、6,6−ジメチルフルベンまたは6,6−ジエチルフルベンであることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
  4. 精シクロペンタジエン化合物におけるシクロペンタジエン骨格を有する有機化合物の含有量が60重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
  5. 有機溶媒が非プロトン性溶媒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
  6. 共沸を減圧下〜常圧下、1〜120℃にて実施することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の方法により精シクロペンタジエン化合物を製造して、該シクロペンタジエン化合物に塩基及び4族遷移金属ハロゲン化物を反応させることを特徴とするメタロセン化合物の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法によりメタロセン化合物を製造して、該メタロセン化合物をオレフィン重合触媒として用いることを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
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