JP4947857B2 - 対物レンズ切り換え装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、対物レンズ切り換え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に顕微鏡は、標本に対して対物レンズのフォーカスを合わせる焦準装置及び複数の対物レンズ5の1つを選択的に観察光軸上に切り換える為の対物レンズ切り替え装置を備えている。
【0003】
焦準機構としては、対物レンズをその光軸に沿って上方向或いは下方向に移動(以下、上下動と省略する)させて、或いは、標本が載置されているステージを上下動させて、標本間の距離を調整する2つのタイプがある。また、一般に焦準装置には、粗動ハンドルと微動ハンドルとが設けられている。この焦準装置においては、粗動ハンドルが回転操作されると、この粗動ハンドルの回転が粗動軸に伝達され、さらにこの回転がピニオン・ラックに伝達されて上下方向への移動に変換され、対物レンズがガイドに沿って上下方向の一方に粗動される。
【0004】
又、微動ハンドルが回転操作されると、この微動ハンドルの回転が減速ギヤ等により減速されて上記粗動軸に伝達され、さらにこの回転がピニオン・ラックに伝達されて上下方向への移動に変換され、対物レンズがガイドに沿って上下方向の一方に微動される。
【0005】
従って、粗動ハンドルと微動ハンドルとが同一回転量、即ち、同一の回転数だけ回転操作されても、粗動ハンドルを回転操作したときの対物レンズの移動量の方が、微動ハンドルを回転操作したときの対物レンズ移動量よりも大きく、いわゆる粗動ハンドルの操作時が対物レンズの粗動となり、微動ハンドルの操作時が対物レンズの微動となる。
【0006】
ところが、このような焦準装置の粗微動焦準ハンドルは、顕微鏡本体のフロント側から、即ち、観察者から見てステージよりも奥の下方側に設けられている。このように粗微動焦準ハンドルが配置される理由は、対物レンズ又はステージを上下動させるためのガイドがステージよりも奥側に設けられ、このガイドに粗微動焦準ハンドルが機械的に連結されるからである。尚、通常このガイドには、対物レンズ又はステージを保持するアームが片持ちの状態で固定されている。
【0007】
このように粗微動焦準ハンドルが顕微鏡本体のフロント側から見てステージよりも奥の下方側に設けられていると、例えばパッチクランプ法などのステージ回りに様々な機材を設置して標本が観察される場合、或いは、顕微鏡のシステムによって検鏡する観察者の目の位置が高くなる場合などでは、粗微動焦準ハンドルの操作性が非常に悪化する問題がある。
【0008】
このような粗微動焦準ハンドルの操作性を改善した技術には、一例として特開平6−222276号公報に記載された顕微鏡焦準装置がある。この顕微鏡焦準装置を備えた顕微鏡が図1に示されている。この図1に示される顕微鏡は、水平アーム部1A、ベース部1B及び垂直部1Cとから成る顕微鏡フレーム1を備えている。この顕微鏡フレーム1のベース部1Bには光源2が設けられると共に、水平アーム部1Aには、対物レンズ3と鏡筒4と接眼レンズ5とが設けられている。
【0009】
顕微鏡フレーム1の垂直部1Cには、固定台6が設けられ、この固定台6にガイド7を介して移動ベース8が上下動するように設けられている。そして、この移動ベース8には、ステージホルダ9が片持ちの状態で支持されている。このステージホルダ9には、標本10を載置するステージ11が設けられると共に、その下方にコンデンサレンズ12が設けられている。
【0010】
又、顕微鏡フレーム1の例えばベース部1Bには、ステージ11を上下動するための操作ハンドル13が回転可能に支持されている。この操作ハンドル13には、次の構造の伝達機構が設けられている。操作ハンドル13には、ピニオン14、水平ラック15を介して前後台16が連結されている。この前後台16は、ガイド17を介して固定板18上に設けられている。又、前後台16には、水平ラック19が設けられ、これにアイドラー20が歯合している。このアイドラー20は、移動ベース8に設けられた垂直ラック21に歯合している。
【0011】
従って、操作ハンドル13が回転操作されると、この操作ハンドル13の回転がピニオン14及び水平ラック15を介して前後台16の前後方向への移動に変換され、この前後台16の移動が水平ラック19及びアイドラー20を介して垂直ラック21の上下動に変換される。これにより移動ベース8が上下動するので、ステージ11が上下動する。
【0012】
しかしながら、上記顕微鏡焦準装置では、操作ハンドル13にピニオン14、水平ラック15を介して前後台16を連結し、この前後台16に水平ラック19、アイドラー20を歯合し、さらに垂直ラック21を介して移動ベース8を連結しているので、その伝達機構の構造が複雑となり、機械的な連結箇所が多くなるためにガタ等が生じて伝達精度が十分でない虞がある。又、このような伝達機構は、組み立て、調整が大変であり、コストも高くなる問題がある。
【0013】
また、図2から図7に示すような複数の対物レンズ5の1つを選択的に観察光軸上に切り換える為の対物レンズ切り替え装置が既に知られている。
【0014】
図2に示される透過照明型の光学顕微鏡では、顕微鏡本体1のステージ2に対して平行に設けられた対物アーム3の先端部に接眼鏡筒4とともに、複数の対物レンズ5を保持したレボルバ6が設けられ、このレボルバ6が回転操作されることで、複数の対物レンズ5から1つの対物レンズが選択的に観察光軸上に切り換えられる。
【0015】
図2に示されるレボルバ6は、図3に示すようにレボルバ本体6Aと回し環6Bを有し、この回し環6Bの円周方向に沿って複数の対物レンズ5が回し環6Bに保持されている。また、レボルバ本体6Aの外周部と回し環6Bとの間には、回し環6B側に押え環7が挿入されている。この押え環7は、ボール8を介してレボルバ本体6Aの外周縁部に係合されている。また、レボルバ本体6Aと回し環6Bの互いの回転中心には、ボール9が保持され、このボール9がレボルバ本体6Aの裏面側からねじ込まれる押えネジ10により所定の力で押圧されている。従って、レボルバ本体6Aに対しボール8、9を介して回し環6Bが揺動なくスムーズに回転される。
【0016】
また、図4に示すように、レボルバ本体6A側に先端にクリックボール12を設けたクリックバネ11の基端部が固定され、一方、回し環6Bの周縁部には、対物レンズ5の取付け位置に対応させてクリック溝13が形成されている。回し環6Bが回転されて対物レンズ5が光軸近傍までくると、クリック溝13にクリックバネ11先端のクリックボール12が落とし込まれ、クリックバネ11の押圧力により回し環6Bが揺動なく固定され、対物レンズ5が光軸上に位置決めされる。
【0017】
ところで、最近、光学顕微鏡にマイクロマニピュレータを組み合わせ、細胞の観察だけでなく、掴む、刺す、注入、切断などの各種の細胞操作が盛んに行われるようになっている。
【0018】
図5は、このようなマニピュレータを用いる顕微鏡システムを概略的にを示している。図5に示すように顕微鏡本体14のステージ15上に載置された標本16に対して、レボルバ17に保持された対物レンズ18とマニピュレータ19が近接して配置されている。このような顕微鏡システムでは、標本16に対してマニピュレータ19を操作することができると共に対物レンズ18を介して標本像を観察することができる。このシステムでは、マニピュレータ19には、コントローラ20が接続され、このコントローラ20に設けられたダイヤル21A、21Bの回転がマニピュレータ19の微小な運動に変換される。従って、マニピュレータ19を微細に操作することができる。
【0019】
このような標本観察では、標本像の観察倍率を変更する場合、レボルバ17が回転されて対物レンズ18が切り換えられる。この切り換えの際に、レボルバ17をそのまま回転させようとすると、マニピュレータ19が邪魔になりレボルバ17を回転できなかったり、あるいはレボルバ17の回転により対物レンズ18がマニピュレータ19の一部と接触して先端部の位置がずれるという問題がある。
【0020】
特に図4に示す位置決め機構では、位置決めの復元力を得るために、クリック溝13にクリックホール12が落とし込まれる係止時に、クリックバネ11から回し環6Bのクリック溝13に押圧力が与えられる。従って、クリックホール12がクリック溝13に落ち込む際に比較的大きな衝撃が発生され、この衝撃によりマニピュレータ19の先端部が振動されて、操作中の細胞からマニピュレータ19が外れてしまう問題がある。
【0021】
このような背景から、実開平6−40910号公報に開示されるような対物レンズ交換装置が従来提案されている。
【0022】
この装置は、図6及び図7に示すように、2つの対物レンズOB1、OB2が配列方向に円弧状に移動されるようにレンズ交換部材31に取り付けられている。このレンズ交換部材31は、ボール33とボール受け34、35により固定部材32に回転可能に支持されている。また、レンズ交換部材31の一方側面に形成されたねじ溝に、多条ネジ等が形成された位置決め軸36がねじ込まれている。この位置決め軸36がレバー37の操作によりねじ込まれ、その先端の円錐状の凹部に固定部材32側面に設けられた位置決めボール38bが嵌め込まれて対物レンズOB1が位置決めされる。また、対物レンズを交換する際は、レバー37の操作により位置決め軸36のねじ込みが緩められ、位置決めボール38bによるレンズ交換部材31の固定部材32への保持が解除される。その後、ツマミ39によりレンズ交換部材31が回動されて対物レンズOB1から対物レンズOB2に切り換えられ、再びレバー37の操作により位置決め軸36がねじ込まれて位置決めボール38Aが保持され、その結果、対物レンズOB2が位置決めされる。
【0023】
図7に示すような機構によれば、対物レンズOB1、OB2が配列方向に円弧状に移動されるので、対物レンズの切り換えの際における動作及びその動作に必要とされる空間を小さくでき、対物レンズOB1、OB2が標本周辺のマニピュレータなどと干渉するのを防止できる。また、レンズ交換部材31の位置決めは、バネの弾性力を利用することなく、位置決め軸36のねじ込みにより行うことができ、位置決めの解除は、レンズ交換部材31の回動操作に連動させることなく、位置決め軸36のねじ込みを緩めるだけで行うことができるので、対物レンズ交換のためレンズ交換部材31を移動させる際の振動の発生をできる限り小さくすることができる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
従来の顕微鏡焦準装置では、操作ハンドル13にピニオン14、水平ラック15を介して前後台16を連結し、この前後台16に水平ラック19、アイドラー20を歯合し、さらに垂直ラック21を介して移動ベース8を連結しているので、その伝達機構の構造が複雑となり、機械的な連結箇所が多くなるためにガタ等が生じて伝達精度が十分でない虞がある。又、このような伝達機構は、組み立て、調整が大変であり、コストも高くなる問題がある。
【0025】
また、実開平6−40910号に開示された従来のレンズ切り換え機構では、ミクロンオーダの位置設定が求められる対物レンズの切り換え機構としては、位置決め軸36をねじ込むために設けられる僅かな隙間が原因で正確な位置設定ができない問題がある。そこで、このような隙間を無くすような精密なねじ込み機構を用いることが考えられるが、このような精度の高いねじ込み機構を設けると、位置決め機構全体が大型化し、装置全体が高価になるという問題がある。
【0026】
また、対物レンズ交換は、レバー37により位置決め軸36のねじ込みを緩め、ツマミ56によりレンズ交換部材31を回動させ対物レンズを切り換え、再びレバー37により位置決め軸36をねじ込むようになって、これらレバー37とツマミ56の2個所の操作を交互に行う必要があり、対物レンズ交換のための作業が煩雑になるという問題がある。
【0027】
このようにマニピュレータ19等を操作しながら標本を観察するに好適な配置構造を有する機構を有する顕微鏡の開発が望まれている。
【0028】
この発明は、上述したような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、精度の高い位置再現性を得られるとともに、対物レンズの切り換えを簡単に行うことができる対物レンズ切り換え装置を提供することにある。
【0029】
また、この発明の目的は、簡単な構成で、操作性を向上できる焦準装置及び精度の高い位置再現性を得られるとともに、対物レンズの切り換えを簡単に行うことができる対物レンズ切り換え装置を備えた顕微鏡を提供することにある。
【0030】
【課題を解決する為の手段】
この発明によれば、
標本を載置するステージに対向して第1及び第2の対物レンズを保持するとともに、これら第1及び第2の対物レンズを選択的に観察光軸上に切り換える対物レンズ切り換え装置において、
固定部材と、
前記固定部材に前記観察光軸と直交する方向に延出して配置された回転軸を介して回動可能に設けられ、前記第1及び第2の対物レンズが装着されて前記第1及び第2の対物レンズを円弧上に配列するとともに、これら対物レンズを配列方向に回動させる回動部材と、
前記固定部材に設けられ、前記第1及び第2の対物レンズが前記観察光軸上に切り換えられた状態で前記回動部材の回動を規制する規制部材と、
前記回動部材に設けられ、前記規制部材により規制される前記回動部材の回動範囲において前記回動範囲の中央を挟んだ両側で前記回動部材及び前記第1及び第2の対物レンズからなる回転体の質量によって前記回転軸の回りで前記回動部材に生じる回転力の方向とは逆方向の回転力を前記回動部材の回転角に応じて前記回動部材に作用させる付勢手段と、
を具備したことを特徴とする対物レンズ切り換え装置が提供される。
【0031】
この発明によれば、
前記回動部材には前記付勢手段としての重りが設けられていて、
前記重りの重心位置は前記回転体の重心位置に対して前記回動部材の回動中心を挟んだ反対側に配置され、
前記回動部材の前記回動範囲の前記両側で前記重りが前記回動部材に対し前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントが前記回転体が前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントよりも大きくなるよう、前記重りの質量,前記回動部材の前記回動中心から前記重りの重心位置までの水平距離,前記回転体の質量,そして前記回動部材の前記回動中心から前記回転体の重心位置までの水平距離が設定されている、
ことを特徴とすることが出来る。
【0032】
更に、
前記固定部材が前記回動部材の側面に対向した側面を有していて、前記回動部材の側面に設けられた回動側支柱と、前記固定部材の前記側面において前記回動部材の回動範囲の中央部で前記回動側支柱に対し前記回動部材の前記回動中心を挟んだ位置に設けられた固定側支柱と、の間に前記付勢手段としての引張りバネが設けられていて、
前記回動部材の前記回動範囲の前記両側で前記引張りバネが前記回動部材に対し前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントが前記回転体が前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントよりも大きくなるよう、前記回転体の質量,前記引張りバネの力が設定されている、
ことを特徴とすることが出来る。
【0033】
更にまた、この発明によれば、
前記回動部材の前記回動範囲における前記回動部材の回動を可能にするとともに前記回動範囲において前記回動範囲の両端を除く中間領域において前記前記回動部材の回動が停止されたときに前記回動部材の回動停止を保持する保持手段を具備したことを特徴とすることが出来る。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の対物レンズ切り換え装置の実施形態の対物レンズ切り換え機構が取り付けられた顕微鏡を説明する。
【0035】
図8及び図9は、この発明の一実施の形態に係る焦準装置を備えた顕微鏡を概略的に示す側面図及び正面図であり、図10は、図8及び図9に示す顕微鏡の上方から見たベース部の構造を概略的に示す断面図である。
【0036】
顕微鏡フレーム30は、Y字形状に形成され、ベース部31と垂直部32とからなり、このうちの垂直部32には、投光観察用の水平アーム部33が取り付けられている。この投光観察用の水平アーム部33には、落射照明用光源34Aや接眼レンズ35、各種フィルタ、ビームスプリッタなどの光学素子などが設けられている。垂直部32の背面側には、透過照明用光源34Bが設けられている。
【0037】
図8に示されるように顕微鏡フレーム30のベース部31の前方側(フロント側)には、固定台36Aがビス止め固定され、この固定台36Aに2本の足36、36が立設され、これら足36、36によりステージ37が固定されている。なお、ステージ37の垂直部32側は、支持台38によりベース部31に固定されている。なお、ステージ37の下方には、コンデンサレンズ39が支持台38により支持されている。このステージ37には、細胞などを入れたディシュを載置することができ、また、細胞操作のための図示しないマニピュレータが載置可能になっている。
【0038】
顕微鏡フレーム30の垂直部32には、移動ベース40が上方向又は下方向に移動自在に設けられている。この移動ベース40は、図10に示すようにガイド体41により移動自在に支持されている。この移動ベース40には、可動アーム42が片持ち状態で支持されている。この可動アーム42には、所望の倍率の対物レンズ43A、43Bの一方を使用できるように、2つの対物レンズ43、43A、43Bが装着された対物レンズ切り換え機構44が取り外し可能に取り付けられている。
【0039】
顕微鏡フレーム30のベース部31の後方側、即ち、観察者から見てステージ37よりも奥側には、移動ベース40を上方向又は下方向に粗動及び微動させる粗微動焦準機構が設けられている。この粗微動焦準機構は、顕微鏡の観察光学系の光軸を基準に観察者とは反対側、即ち、顕微鏡のリア側に設けられている。この粗微動焦準機構には、図10に示すように粗動軸45と微動軸46とが同軸に設けられている。尚、粗動軸45は、中空に形成され、この中空の粗動軸45に微動軸46が挿入されている。これら粗動軸45と微動軸46との一端側には、例えば、図10中の右側の一端側には、粗動ハンドル47と微動ハンドル48とが取り付けられている。粗動ハンドル47は、粗動軸45に連結され、粗動ハンドル47の回転力が粗動軸45に伝達されて当該粗動軸45を回転させている。微動ハンドル48は、微動軸46に連結されると共に図示しない減速ギヤ等を介して粗動軸45に連結されている。粗動軸45の他端側には、歯付きプーリ49が取り付けられると共に、微動軸46の他端側には、V溝が形成された微動プーリ50が取り付けられている。
【0040】
図11は、粗動軸45の中央部の断面を示している。この粗動軸45の中央部には、ピニオン部51が形成されている。このピニオン部51は、粗動軸45の外周径よりも小さい径を有し、かつ、外周に歯部が形成されている。このピニオン部51は、移動ベース40に固定されたラック52に歯合されている。なお、粗動軸45は、ベース部31に固定された軸受け53により支持されている。
【0041】
従って、粗動ハンドル47が回転操作されると、この回転が粗動軸45に伝達され、ピニオン部51からラック52を介して上下動に変換される。このラック52が上下動することにより、移動ベース40に支持された対物レンズ43が取り付けられた可動アーム42が粗動で上下動される。
【0042】
又、微動ハンドル48が回転操作されると、この回転が減速ギヤを介して減速されて粗動軸45に伝達され、ピニオン部51からラック52を介して上下動に変換される。このラック52が上下動することにより、移動ベース40に支持された対物レンズ43の取り付けられた可動アーム42が微動で上下動される。
【0043】
一方、ステージ37の先端部を含む前方側には、対物レンズ43を粗動又は微動させるための粗微動焦準操作部が設けられている。即ち、この粗微動焦準操作部は、顕微鏡の観察光学系の光軸を基準として観察者の側であるフロント側に設けられている。この粗微動焦準操作部においては、図9に示すように顕微鏡フレームのベース部31の先端に固定された固定台36Aに、略円筒状の操作部本体54Aがビス止め固定されている。この操作部本体54Aは、図10に示すように中空に形成され、スリーブ状の軸受け60と中空形状の粗動軸54と微動軸55が同軸状に順に挿入されている。これら粗動軸54と微動軸55との一端側、例えば、図10中の右側の一端側には、粗動ハンドル56と微動ハンドル57とが取り付けられている。なお、粗動ハンドル56と微動ハンドル57とは、それぞれ粗動軸54と微動軸55とに対してねじ止めされている。
【0044】
粗動ハンドル56は、粗動軸54に連結され、粗動ハンドル56の回転力が粗動軸54に伝達されて粗動軸54を回転させている。微動ハンドル57は、微動軸55に連結され、微動ハンドル57の回転力が微動軸55に伝達されてこの微動軸55が回転される。
【0045】
粗動軸55の他端側には、歯付きプーリ58が取り付けられると共に、微動軸55の他端側には、周面に丸ベルト62を掛けるV溝が形成されたプーリを兼ねた微動つまみ59が取り付けられている。なお、粗動軸54は、軸受け60により支持されている。
【0046】
この粗微動焦準操作部と上記粗微動焦準機構との間には、連動機構が設けられている。歯付きプーリ58と歯付きプーリ49との間には、図12に示すような歯付きのタイミングベルト61が掛けられて連結されている。微動プーリ50プーリ部分、即ち、V字溝と、微動つまみ59とのプーリ部分、即ち、V字溝との間には、丸ベルト62が掛けられて連結されている。従って、粗微動焦準機構と粗微動焦準操作部とは、歯付きのタイミングベルト61、丸ベルト62、微動プーリ50、プーリを兼ねた微動つまみ59、歯付きプーリ49、58により連動される。
【0047】
粗動ハンドル56の内側には、ストッパハンドル63が回動自在に設けられている。このストッパハンドル63は、一方に回動させることにより対物レンズ43とステージ37との間の間隔がそれ以上に小さくなるような対物レンズ43の下方への移動を阻止すると共に、上方への移動を許可する機能を有している。即ち、対物レンズ43がステージ37に所定間隔まで近づいた際に、粗動ハンドル56及び微動ハンドル57がロックされた対物レンズ43の下方への移動させる方向の回転がロックされる。
【0048】
従って、粗動ハンドル56と微動ハンドル57とが回転されてジャストフォーカス等の所望の位置に対物レンズ43が位置決めされた際にストッパハンドル63が一方に回動されると、その位置で対物レンズ43の下方への移動がロックされ、対物レンズ43は、その位置から上方までの範囲内での移動のみが許可される。尚、ストッパハンドル63が他方に回動されれば、対物レンズ43の下方への移動のロックは解除される。
【0049】
このようにロックした位置、例えば、フォーカス位置よりも下方に対物レンズ43が下降されることが防止され、対物レンズ43が上方へ移動された後、再び対物レンズ43が再びフォーカス位置に戻すように、即ち、再焦準されるように対物レンズ43が下降される。
【0050】
図8から図12に示される構造を有する焦準装置の動作について次に説明する。
【0051】
観察者、即ち、検鏡者が標本をステージ37上に載置し、これを観察する場合には、観察者は、顕微鏡のフロント側に設けられている粗動ハンドル56又は微動ハンドル57を回転する。
【0052】
フロント側の粗動ハンドル56が回転されると、この回転が粗動軸54から歯付きプーリ58を介してタイミングベルト61に伝達され、さらにステージ37よりも奥方にある歯付きプーリ49から粗動軸45に伝達される。そして、この粗動軸45が回転されると、この回転がピニオン部51からラック52を介して移動ベース40の上下動に変換される。このラック52が上下動することにより、移動ベース40に支持された対物レンズ43の取り付けられた可動アーム42が粗動で上下動される。
【0053】
又、フロント側の微動ハンドル57が回転されると、この回転が微動軸55から微動つまみ59を介して丸ベルト62に伝達され、さらにステージ37よりも奥方にある微動プーリ50から微動軸46に伝達される。そして、この微動軸46が回転されると、この回転が減速ギヤにより減速されて粗動軸45に伝達され、この粗動軸45の回転がピニオン部51からラック52を介して上下動に変換される。このラック52が上下動することにより、移動ベース40に支持された対物レンズ43の取り付けられた可動アーム42が微動で上下動される。
【0054】
このように観察者がフロント側の粗動ハンドル56又は微動ハンドル57を回転操作する場合には、例えば、標本に対してマニュピュレータをセットして標本を観察し取り調べる場合、或いは、標本の大きさが大きいことから垂直部32と水平アーム部33との間にスペーサを介在させて接眼レンズ35のアイポイントを高くする場合がある。このような場合には、フロント側の粗動ハンドル56及び微動ハンドル57は、十分に観察者の手が容易に届く場所にあり、標本を観察しながら粗動ハンドル56及び微動ハンドル57を回転操作することができることとなる。
【0055】
又、標本の観察中に対物レンズ43を交換したり、標本を交換、又は標本に対して処理するなどの作業をする際には、フロント側のストッパハンドル63が一方に回動されてこのストッパハンドル63の一方への回動により、対物レンズ43の下方への移動がロックされる。
【0056】
対物レンズ43の交換、標本の交換、又は標本に対して処理するなどの作業では、通常、粗動ハンドル56及び微動ハンドル57が回転操作されて対物レンズ43が上方へ移動される。もし、このような作業中に、対物レンズがロック状態にあれば、粗動ハンドル56及び微動ハンドル57を誤って操作しても、対物レンズ43はロックされた位置から下に下降されず、標本に対する安全を図ることができる。
【0057】
又、対物レンズ43を交換したり、標本を交換、又は標本に対して処理するなどの作業の終了後に、再び標本に対して焦準する場合、対物レンズ43をロックされる位置まで下降し、ストッパハンドル63によりロックを解除すれば、再焦準が容易となる。
【0058】
観察者が標本を観察する手順について説明を追加すれれば次の通りである。予め、対物レンズ43として、低倍率(例えば、4倍)及び高倍率(例えば、40倍)の2本の対物レンズが対物レンズ切り換え機構44に装着されているものとする。
【0059】
(1) 観察者は始めにストッパハンドル63を操作してロックを解除する。
【0060】
(2) 次に、観察者は、操作ハンドル56を操作して、対物レンズ43を上方に移動させてステージ37と対物レンズ43との間の空間を確保する。
【0061】
(3) その後、ステージ37上に、観察される生体標本が入れられているディッシュ70が置かれる。
【0062】
(4) 対物レンズを切り替える操作レバー117が操作されて高倍率レンズから低倍率レンズに切り替えられる。
【0063】
(5) 粗動ハンドル56及び微動ハンドル57(又は微動つまみ59)が操作されて標本に焦点が合わせられる。
【0064】
(6) 標本の観察したい部位が視野の中心に合わされる。
【0065】
(7) 粗動ハンドル56が操作されて対物レンズ43が上方に移動される。
【0066】
(8) 対物レンズ43を切り替える操作レバー117が操作されて高倍率の対物レンズ43に切り替えられる。
【0067】
(9) 粗動ハンドル56及び微動ハンドル57(又は微動つまみ59)が操作されて標本に焦点が合わせられる。
【0068】
(10) ストッパハンドル63が操作されてロックが掛けられる。
【0069】
この一連の操作以降における標本交換或いは対物レンズ43の切り替えの際には、ストッパハンドル63によってロックが掛けられたまま、対物レンズ43が上方に退避される。この作業においては、顕微鏡43は、対物レンズ43を上下させる粗動ハンドル56、微動ハンドル57及びストッパハンドル63、対物レンズを切り替えるための操作レバー117が操作される。これらは、顕微鏡43の前方(観察光軸よりも手前側)に配置されていることから、操作を容易にしている。
【0070】
以上のように上記一実施の形態においては、ステージ37の先端部を含むフロント側に、粗動軸54と微動軸55とが同軸に設けられ、これら粗動軸54と微動軸55との一端側に粗動ハンドル56と微動ハンドル57とが取り付けられている。しかも、これら粗動軸54及び微動軸55とステージ37よりも奥方にある粗動軸45及び微動軸46とは、タイミングベルト61、丸ベルト62を介して連動され、対物レンズ43を微動、粗動させている。従って、例えば、標本に対してマニュピュレータをセットして標本を観察し取り調べる場合や、標本の大きさが大きくなって垂直部32と水平アーム部33との間にスペーサを介在させて接眼レンズ35の位置(アイポイント)が高くなった場合でも、容易にフロント側の粗動ハンドル56及び微動ハンドル57を操作でき、標本観察中の操作性を向上できる。
【0071】
又、フロント側の粗動軸54や微動軸55、粗動ハンドル56、微動ハンドル57から成る粗微動焦準操作部の構造は、ステージ37の奥方にある粗動軸45や微動軸46、粗動ハンドル47、微動ハンドル48から成る粗微動焦準機構と略同一構造であり、かつタイミングベルト61、丸ベルト62を介して連動させていることから、簡単な構成で、かつガタが殆どなく、伝達精度を高くすることができる。
【0072】
従って、これら粗微動焦準操作部、粗微動焦準機構及び連動機構の組み立てが簡単であり、かつその調整も容易となり、そのうえ安価にこれら機構を追加することができる。
【0073】
フロント側にストッパハンドル63が設けられていることから、対物レンズ43の下方への移動をロックして再焦準するとき、例えば、標本に対してマニュピュレータをセットして標本を観察し取り調べる場合や、標本の大きさが大きくなってアイポイントが高くなった場合でも、容易に再焦準の操作をすることができる。
【0074】
本実施形態による粗微動操作機構は、既存の焦準機構を有する顕微鏡に対して、簡単に後付けが可能である。即ち、操作部本体が固定された固定台を顕微鏡フレームのベース部先端に取り付けるとともに、既存の焦準機構の粗動、微動ハンドルをそれぞれプーリに交換し、操作部本体の粗動、微動のプーリとの間を2本のベルトで連結すればよいから、観察光軸より後側に配置されている既存の焦準機構をそのまま利用して大きな改造を施すことなく焦準操作部を観察光軸より手前側に持ってくることができる。
【0075】
本実施形態では、操作部本体を顕微鏡フレームのベース部に固定するための取付台を、ステージを支持する足の固定用としても兼用している。このようにすることで、大型のステージを安定して保持できるとともに、粗微動焦準操作部が手前に配置されているので、ステージが大型化されて手前側に張り出した場合でも焦準機構の操作性を良好に保つことができる。
【0076】
上記した一実施の形態に係る焦準機構は、次のように変形されてもよい。
【0077】
上記一実施の形態では、対物レンズ43を取り付ける可動アーム42がフロント側の粗動ハンドル56及び微動ハンドル57により上下動されているが、ステージ37が上下動される構造が焦準機構に採用されてもよい。ステージ37が上下動される構造では、既に説明したと同様に粗微動焦準機構が顕微鏡の光軸を基準にフロントとは反対側に設けられている。従って、図8から図12を参照して説明した粗微動焦準操作部を連動機構を介してこの粗微動焦準機構を駆動するようにすればステージが上下動される構造を実現することができる。
【0078】
又、各粗動ハンドル47、56及び各微動ハンドル48、57は、図10に示す顕微鏡の右側に取り付けているが、左側に取り付けたり、両側に取り付けてもよい。
【0079】
次に、図8に示される顕微鏡の対物レンズ切り換え機構44について説明する。
【0080】
可動アーム42には、図13から図16に示す対物レンズ切り換え機構44が保持されている。ここで、図13は、対物レンズ切り換え機構44の構造を概略的に示す一部破断正面図で、その一部は回転軸周りの断面図を示し、図14及び図15は、対物レンズ切り換え機構44の動作を説明するための図11に示す対物レンズ切り換え機構44の側面図である。
【0081】
図8及び図9に示すように、可動アーム42には、対物レンズ切り換え機構44を固定するためのメスアリ(図示せず)が設けられている。対物レンズ切り換え機構44は、図13に示すように固定部材111を有し、この固定部材111には、可動アーム42側のメスアリと結合されるオス形状の取付けアリ110が形成されている。また、固定部材111には、顕微鏡の光軸Z0と直交する方向に配置された回転軸115を介して回動部材113が回動可能に支持されている。この回転軸115は、固定部材111にベアリング114を介して設けられ、回動部材113を揺動させることなく回動可能に保持している。
【0082】
回動部材113は、円弧上に対物レンズ43A、43Bが配列され、この回動部113の回転により、これら対物レンズ43A、43Bがその配列方向に回動される。この回動部材113には、対物レンズ43A、43Bをネジ結合により装着する取付け部116、例えば、ねじ穴が形成されている。取付け部116は、円錐状の凸部124Aとコイルバネ124Bを有する押圧部材124で1点を押圧され、図16に示すようにこの押圧点に対向する2方向からネジ部材125をねじ込むことで、位置調整できる。つまり、ネジ部材125のねじ込み量を調整することで、対物レンズ43A、43Bの芯ずれを含めた回動部材113の芯ずれが調整され、対物レンズ43A、43Bを切り換えた際の観察位置の変動をなくしている。
【0083】
固定部材111の前後方向の端部には、回動部材113の回動を規制するための規制部材121A、121Bが設けられている。また、回動部材113には、その回動により規制部材121A、121Bに当て付く位置に当付部122A、122Bが設けられている。この場合、規制部材121A、121Bは、対物レンズ43A、43Bを切り換えた際に、これら対物レンズ43Aまたは43Bが光軸Z0上に正確に位置するように突出量が調整され、この状態でネジまたは接着剤で固定されている。
【0084】
回動部材113には、付勢手段として2個の重り123、123が設けられている。これら重り123は、対物レンズ43A、43Bの切り換えにより回動部材113の当付部122A、122Bが規制部材121A、121Bに当て付けられた際に回動部材113の姿勢を保持するために設けられている。この重り123は、図14に示すように回動部材113と同じ回動中心Oの回りに回動され、且つ対物レンズ43A、43Bの間の回動方向の角度の中間を通る軸Zbに沿って対物レンズ43A、43Bと反対方向に配置されている。また、重り123は、マニピュレータなどの細胞操作のための装置の邪魔にならず、しかも、回動部材113の回動の際に固定部材111と干渉しないように、光軸Z0に対して45°傾斜させた軸Zbを有している。即ち、重り123は、回動部材113への取付け部123A及び軸Zbを有する重り本体123Bから構成され、回動部材113の回動中心Oから離れた軸Zb上の位置Xに重心を有している。この重り本体123Bは、ブロック状の部品からなっている。
【0085】
固定部材111には、図13に示すように三角形の固定側指標118、119が設けられ、回動部材113には、菱形の回動側指標120が設けられている。これら固定側指標118、119及び回動側指標120は、回動部材113の回動方向に沿って配置され、回動部材113の回動範囲の両端で、その回動方向に応じて回動側指標120が固定側指標118または119に近接し回動部材113が規制部材121A、121Bに接近したことを作業者に知らせている。
【0086】
図13に示す回動部材113を手前に回動させて対物レンズ43Aを光軸Z0上に切り換えた状態では、図14に示すように回動部材113の当付部122Aが規制部材121Aに近づくと、回動側指標120の先端部が三角形の固定側指標118の頂点に接近することで作業者に知らせることができ、また、回動部材113を後方に回動させて対物レンズ43Bを光軸Z0上に切り換える場合は、図15に示すように回動部材113の当付部122Bが規制部材121Bに近づくと、回動側指標120の先端部が三角形状の固定側指標119の頂点に接近することで作業者に知らせることができる。回動側指標120と固定側指標118、119が顕微鏡本体の正面で、作業者の視線の高さに位置させるようにすれば、さらに対物レンズ43A、43Bの切り換え状態を観察者に正確に認識させることができる。
【0087】
なお、回動部材113には、その回動を操作するための操作レバー117が設けられ、この操作レバー117により対物レンズ43A、43Bの切り換えの際の回動部材113の回動操作がなされる。
【0088】
次に、このような構造を有する対物レンズ切り換え機構44の動作を説明する。
【0089】
いま、図14に示すように対物レンズ43Aが光軸Z0に切り換えられている状態では、対物レンズ43A、43B及び回動部材113が回転体に相当する。この回転体の重心位置をYとすると、回転モーメントMyは、回転体の質量W1と回動部材113の回動中心OからYまでの水平距離Daとの積でMy=W1・Daとなる。これに対し重り123の重心位置をX(重心位置Yに対して回動部材113の回動中心Oを挟んだ反対側)とすると、回転モーメントMxは、重り123の質量W2と回動部材113の回動中心OからXまでの水平距離Dbとの積でMx=W2・Dbとなる。重り123として質量W2の十分大きなものを用いて、回転モーメントMy、MxがMx>Myの関係になるようにすれば、つまり、回動部材113と対物レンズ43A、43Bからなる回転体による回転力より大きく逆方向の回転力を回動部材113の回転角に応じて作用させれば、この回転モーメントMxにより、回動部材113に対し規制部材121Aに当て付く方向の力が作用し、対物レンズ43Aを光軸Z0上に保持することができる。
【0090】
この状態から、図15に示すように操作レバー117により回動部材113を回動操作し対物レンズ43Bを光軸Z0上に切り換えると、この時の回転体の重心位置はQに移る。従って、回転モーメントMqは、Mq=W1・Daとなり、また、重り123の重心位置もPとなって、回転モーメントMpは、Mp=W2Bとなる。この場合も、Mp>Mqの関係が得られるので、回動部材113には、規制部材121Bに当て付く方向の力が作用し、対物レンズ43Bを光軸Z0上に保持することができる。
【0091】
回動部材113に取り付けられる対物レンズ43A、43Bは、質量の小さい低倍のものと、質量の大きな高倍のものが混在して取り付けられる場合がある。このため回転体の重心は、質量の大きな高倍側に片寄ることがある。しかしながら、重り123として、予め最大重量を有する対物レンズを装着したときでも、回動部材113を規制部材121A、121B側に移動できるような大きさな質量W2のものを用意しておけば、回動部材113側で質量のバランスが崩れた場合でも、回動部材113を確実に規制部材121A、121B側に移動させるような力を与えることができる。なお、対物レンズ切り換えの際の操作力量は、SIN関数で増加するが、回動角は約30°のため、力の変化はほぼ比例的に変化される。
【0092】
従って、このように重り123の回転モーメントにより決まる操作力量で操作レバー117を操作するのみで、対物レンズ43A、43Bを光軸Z0上に切り換えるることができる。また、回動部材113は、規制部材121A、121Bに当て付けて位置決めされる。従って、従来の位置決め機構としてクリック機構を用いたもののようにクリック呼び込みのための急激な力量変化を伴う機構と比べ、対物レンズの位置決めのために急激な力の変化がなく、マニピュレータ操作で要求される振動レスな切り換え操作を容易に得ることができる。
【0093】
また、このような切り換え操作の状態は、固定側指標118、119に対する回動側指標120の動きにより作業者に知らせることができる。従って、回動部材113が規制部材121A、121Bに突き当たる直前から慎重な操作を行うことで、さらに精度の高い振動レス状態を実現できる。
【0094】
さらに、回動部材113を規制部材121A、121Bに当て付けて位置決めするようにしているので、対物レンズ切り換えで求められているミクロンオーダの位置再現性を達成することができる。
【0095】
さらにまた、対物レンズ43A、43Bの切り換えは、操作レバー117による操作のみで行えるので、切り換え操作を簡単にできる。
【0096】
次に、本発明のレンズ切り換え機構44の第2の実施の形態について図17から図19を参照して説明する。
【0097】
図17は、対物レンズ切り換え機構44の正面図で、その一部は回動軸周りの断面図を示し、また、図18は、同対物レンズ切り換え機構44の側面図を示している。なお、これら図17及び図18は、図13から図15と同一部分には、同符号を付し、その説明を省略する。
【0098】
固定部材111の側面には、カバー130が設けられ、このカバー130の内面には、バネ支点として固定部支柱131を設けられている。また、カバー130内部の回動部材113の側面には、バネ支点として回動側支柱132が設けられている。そして、これら固定部支柱131と回動側支柱132との間に、引張りバネ133が設けられている。
【0099】
これら固定部支柱131及び回動側支柱132は、回動部材113を回動範囲の中央部で、回動部材113を回動可能に支持する回転軸115を挟んで、つまり、回動部材113の回動中心Oを挟んだ位置にそれぞれが配置されている。そして、図19に示すように回動部材113の回動中心Oに対して、回動部材113が回動したときの回動側支柱132の描く軌跡の半径をR1、対物レンズ43A(43B)が光軸Z0に位置決めされた際の固定部支柱131に対して回動側支柱132の描く軌跡の半径をR2としたとき、R2>R1とし、また、これらR2、R1は、対物レンズ43A、43Bが光軸Z0に位置決めされた位置、つまり回動部材113の回動範囲の両端の位置A、Bで交わるように定められている。
【0100】
このような条件の下で、引張りバネ133による回転モーメントは、回動部材113の回動方向への分力と半径R1の積で与えられ、この回転モーメントは、回動部材113の回動範囲の中央部を境に作用方向が反転する。これにより、このときの回転モーメントを回動部材113による回転モーメントより十分に大きくなるように設定しておけば、つまり、この場合も回動部材113と対物レンズ43A、43Bからなる回転体による回転力より大きく逆方向の回転力を回動部材113の回転角に応じて作用させるようにしておけば、この時の引張りバネ133による回転モーメントにより、回動部材113に対し規制部材121A、121Bに当て付ける方向の力が作用し、対物レンズ43A、43Bを光軸Z0上に保持することができる。
【0101】
従って、このようにすれば、引張りバネ133による回転モーメントにより決まる操作力量で操作レバー117が操作されれば、上述したと同様に対物レンズ切り換え及び位置決めが可能となる。従って、マニピュレータ操作で要求される振動レスな切り換え操作を容易に得ることができる。
【0102】
また、このときの操作力量は、操作範囲の両端に向かうほど、回動角に対する力の変化が少なくなり、おおよその操作位置を作業者が認識できるので、操作位置に応じて慎重な操作を行うことで、さらに精度の高い振動レス状態を実現できる。
【0103】
さらに、引張りバネ133は、カバー130に収められ、装置周辺への張り出し量を少なくできるので、マニピュレータの設置空間を大きく取ることができ、マニピュレータ操作をスムーズにできる。
【0104】
さらにまた、装置を小型軽量化できるので、対物レンズ切り換えの際の取り扱いを便利にでき、また、引張りバネ133により回動力量を得ているため、上述した重りを用いた場合のような顕微鏡本体への装着方向の制限がなくなり、これにより、例えば倒立型の顕微鏡にも適用することができる。
【0105】
次に、本発明のレンズ切り換え機構44の第3の実施の形態について図20及び図21を参照して説明する。
【0106】
図20は、対物レンズ切り換え機構44の正面図で、その一部は回動軸周りの断面図を示し、また、図21は、対物レンズ切り換え機構44の側面図を示している。なお、これら図19及び図20は、図13から図15と同一部分には、同符号を付し、その説明を省略する。
【0107】
回動部材113には、固定部材111の側面に向けて垂直に雌ねじ126が設けられ、この雌ねじ126の先端には、半球状の先丸ねじ127がねじ込まれている。固定部材111の側面には、扇型の樹脂製の摩擦部材128が貼り付け固定されている。回動部材113が回動されるに伴い半球状の先丸ねじ127がこの摩擦部材128上を接触しながら移動するようにこの摩擦部材128が固定部材111の側面上を延出されている。この摩擦部材128が延出される両端位置では、先丸ねじ127は、摩擦部材128から外れて直接固定部材111の側面に当接される。即ち、回動部材113の回動範囲の両端位置では、即ち、当付部122A、122Bが規制部材121A、121Bに当て付けられる直前には、先丸ねじ127は、摩擦部材128から外れて直接固定部材111の側面に当接される。また、当付部122A、122Bが規制部材121A、121Bに当て付けられる直前間の中間の領域では、先丸ねじ127が摩擦部材128上にあり、両者間に保持力が与えられる。
【0108】
図20及び図21に示されるレンズ切り換え機構44においては、図20に示すように対物レンズ43Aが光軸Z0に位置決めされている状態においては、この光軸Zbを有する前側の対物レンズ43Bと回動部材113の自重によって生ずる回転モーメントよりも、重り123によって生ずる規制部材121Aと当付部112Aとを密着させようとする方向の回転モーメントの方が大きい。従って、規制部材121Aと当付部112Aとは、密着した状態が保たれ、後側の対物レンズ43Aの光軸が光軸Z0に一致されるように後側の対物レンズ43Aが位置決めされる。
【0109】
ここで、検鏡者、即ち、操作者が対物レンズ43Aから他の対物レンズ43Bに切り替える際には、操作レバー117が操作されて回動部材113が回動される。回動が開始されると、規制部材121Aが当付部112Aから離れた後に先丸ねじ127の先端が摩擦部材128に接触される。更に、回動部材113が回転されると、先丸ねじ127の先端が摩擦部材128上に乗り上げ大きな摩擦力が与えられながら摩擦部材128上を摺動される。この摩擦力は、回動部材113の回転を妨げるように作用し、対物レンズ43Bと回動部材113の自重によって生ずる回転モーメント或いは重り123の自重によって生ずる回転モーメントを打ち消し、この摩擦力は、これら回転モーメントよりも大きな力で回動部材113を固定部材111上に保持するように作用する。従って、操作者が操作レバー117から手を離したとしても回動部材113及び対物レンズ43Aが回転されることなく、その位置に保持され続けられる。摩擦によって生じる保持力以上に操作者が操作レバー117に力を与えることによって回動部材113は、更に回転される。摩擦によって生じる保持力は、操作者が操作レバー117に与えることができる力に比較的近似し、両者に適度なバランスが保たれていることから、操作者には、操作上大きな負担になることはない。また、先丸ねじ127が前進或いは後退されて先丸ねじ127の先端の摩擦部材128への押圧力が調整されることによってその摩擦によって生じる保持力を調整することができる。
【0110】
操作者が操作レバー117を操作して回動部材113が回転され、前側の対物レンズ43Bが光軸Z0に近づくと、規制部材123Bが当付部材122Bに近づき、規制部材123Bが当付部材122Bに当接される直前で先丸ねじ127の先端が摩擦部材128上から外れ、両者間の摩擦力がなくなる。この状態では、対物レンズ43A及び回動部材113の回転モーメントよりも重り123の自重の回転モーメントが大きく、規制部材123Bが当付部材122Bに密着させる作用力が発生し、規制部材123Bが当付部材122Bに密着される。従って、前側の対物レンズ43Bは、精度良く光軸Z0上に位置され、そのままに保持される。
【0111】
上述したように万が一検鏡者が誤って操作レバー117を途中で離してしまっても、対物レンズ43Aと回動部材113は、固定部材111に摩擦力によって保持されているので、規制部材121A、121B及び当付部材122A、122Bの組み合わせの一方に向かって対物レンズ43Aと回動部材113とが加速して激突する虞がない。また、規制部材121と当付部材122が突き当たる直前までは、対物レンズ43Aと回動部材113は保持されているので、操作者が作動に気を使わなくていいことから規制部材121と当付部材122が接近することを知らせる指標も必要がなくなる。作動時の力の変化も、摩擦部材128が薄いシート状の樹脂であることから小さく、しかも、摩擦力が重り123による回転モーメントよりわずかに大きくするように摩擦力が調整可能なので、従来のクリックのように大きな衝撃が生ずることがなく、検鏡やマニュピレーションに影響する振動が生ずることを防止することができる。
【0112】
以上のような構造をレンズ切り換え機構が有していることから、従来例で位置決め機構として用いられたクリックで生ずる呼び込みのための急激な力の変化がなく、また切り換え操作は、操作レバーのみの操作で良く、しかも操作時、指標を見ながらの微妙な力量配分に気を使うことなく、マニュピレーション操作で要求される振動がない切り換え操作が容易に可能となる。また、回動部材を規制部材に当付けて位置決めするため、対物レンズ切り換え装置で求められるミクロンオーダーの位置再現性が達成できる。
【0113】
更に、この発明のレンズ切り換え機構44の第4の実施の形態について図22を参照して説明する。
【0114】
図22は、この発明のレンズ切り換え機構44の第4の実施の形態を概略的に示す側断面図であってその一部を破断して回転軸115周りを示している。ここで、図22は、後側の対物レンズ43Aが顕微鏡の光軸Z0に位置した状態を示している。なお、図22では、図13から図20と同一部分には、同符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
第4実施例に係るレンズ切り換え機構44の説明においては、既に述べたように顕微鏡の構造は、ほぼ同一であるのでその説明は省略する。
【0116】
図22に示す機構では、第3実施例で説明した重り123と同様の効果を得る例として、第2の実施例で説明した引張バネ133が重りに代えられている。引張バネ133の作用は、第2実施例と同様であるので図19を参照したその説明を参照されたい。
【0117】
引張りバネ113による回転モーメントは、既に説明したように回転範囲の中央を境に作用方向が反転される。また、引張りバネ113による回転モーメントは、回動部材113の回転方向への分力と半径R1の積となるが、回転体によって生ずる回転モーメントより大きくなるように引張りバネ113による回転モーメントが定められている。即ち、回動部材113が規制部材121Bに当付き、対物レンズ43Aが顕微鏡の光軸Z0に位置する状態を維持する。
【0118】
このような機構において、更に、回動部材113の内側には、図22に示すように円錐の上面を平らにしたような形状の押圧部材154が設けられている。この回動部材113の内側の面は、回動部材113が回転する同心円上の円弧と同じ軌跡の面に形成され、この面との間にわずかなギャップを空けて、同心円上の円弧面の外面を有する固定部材111が設けられている。この外形面に沿って押圧部材154が動く軌跡上に帯状の板バネ153が設けられている。板バネ153は、図22のように固定部材111の外形円弧面から若干浮くような円弧を有し、その両端が固定部材111の外形円弧面に密着するように固定されている。図22に示す状態では、押圧部材154は、板バネ153がなだらかに固定部材111外形に密着する部分に位置され、押圧部材154に接触されていない。この状態では、引張バネ133の力が対物レンズ43Aと回動部材113の自重による回転モーメントに勝るので、規制部材121と当付部材122が密着している。この状態から検鏡者が操作レバー117で回動部材113が回転されて対物レンズ43Aが前側に切り換えられる場合には、規制部材121が当付部材122から離され、押圧部材154は、徐々に板バネ153と接触される。ここで、押圧部材154が板バネ153を押す力と、板バネ153がそれに反発する力で摩擦力が生じ、その力が引張バネ133の力に勝るため、引張バネ133によって対物レンズ43Aと回動部材113が回転することはなくなる、従って、例え、操作レバー117から検鏡者が手を離したとしても、対物レンズ43Aと回動部材113はその場所で位置を保ち、どちらかに回転することはない。
【0119】
検鏡者がこの摩擦力(対物レンズ43Aと回動部材113を保持する力)に逆らって更に対物レンズ43Aと回動部材113を回転させると、前側の対物レンズ43Aが光軸に位置決めされる直前に近づくと、押圧部材154が板バネ153に押し当てられる力が徐々に減少される。その結果、先ほどと逆側の規制部材121Aと当付部材122Aが当て付く時には、完全に押圧部材154と板バネ153は離れている。レバー117上での力は、摩擦力で保持されて重さがある程度あったところから、徐々に摩擦力による重さが減っていき、それに伴って今度は引張バネ133によって規制部材121Aと当付部材122Aを当て付ける方向に働く力が発生してくる。但し、この力は当て付く直前から徐々に大きくなってくるので、特に気を付けてレバー117を動かさなくても振動や当付部材122Aの激突を心配しなくて良い。回動部材113の回転ストローク途中では、もちろん手を離してもいいので、何ら操作に気を使うことはない。
【0120】
以上の構成により、第3の実施例に比べ、装置自体をコンパクトにでき、回転ストローク途中の摩擦力を当付部材122A直前から減少させるときに、板バネ153の形状によって、より滑らかに力量変化できる。また摩擦機構部を内部に構成できるので、外部からのゴミや挨の影響をなくすこともできる。
【0121】
更に、この発明のレンズ切り換え機構44の第5の実施の形態について図23を参照して説明する。
【0122】
図23は、この発明のレンズ切り換え機構44の第5の実施の形態を概略的に示す側断面図であってその一部を破断して回転軸115周りを示している。ここで、図22は、後側の対物レンズ43Aが顕微鏡の光軸Z0に位置した状態を示している。なお、図23では、図13から図22と同一部分には、同符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
レンズ切り換え機構44の第5の実施の形態においては、回動部材113には対物レンズ取り付け用ネジ穴116以外に、回動部材113の回転中心に向かって雌ネジ161が設けられ、外側から固定部材111の外形部に向かってネジ162がねじ込まれている。ネジ162の内部には、空洞が設けられ、その空洞に挿入、摺動ずるように樹脂または金属製の先丸部材163が収納され、ネジ162の空洞の底と先丸部材163底面の間には圧縮バネ164が設けられている。先丸部材163にはフランジ部が設けられ、圧縮バネ164によってネジ162から先丸部材163がはずれて飛び出すことが防止されている。
【0124】
図23に示す状態では、後側の対物レンズ43Bが位置決めされた状態にあり、引張バネ133によって規制部材121は当付部材122に押し付けられる力が働いている。検鏡者が操作レバー117を操作して回動部材113を回転させると、固定部材111に設けられた外形円弧面165が図23に示すような形状有しているために、先丸部材163は、徐々に外形円弧面165に接触し、先丸部材163が圧縮バネ164に押される。従って、圧縮バネ164と外形円弧面165つまりは固定部材111との間に摩擦力(保持力)が生じ、この摩擦力は、引張バネ133が対物レンズ43Aと回動部材113を回転させようとする力よりも強いので、この摩擦力が十分働いている回転ストローク内では、固定部材111と回動部材113は保持される。従って、操作レバー117から手を離しても、その位置で対物レンズ42Aと回動部材113は止められる。操作レバー117を操作して更に回動部材113を回転させていくと、反対側の規制部材121Aと当付部材122Aが突き当たる直前から、先丸部材163は、外形円弧面165から徐々に離れ始め、規制部材121Aと当付部材122Aが密着するときには、完全に離れて保持力はなくなる。この状態では、引張バネ133の力によって、規制部材121が当付部材122に押し付けられて対物レンズ43Aが光軸位置に位置決めされる。
【0125】
外形円弧面165は、回動部材113の回転ストロークの両端を除き、回動部材113内面の円弧と同心円状の円弧面を有し、先丸部材163が外形円弧面165の両端に近づくにつれて徐々にその面は先丸部材163から離れて回動部材113の回転中心に近づくような面形状を有している。従って、この面をトレースしながら進む先丸部材163との間には、摩擦力の変化が生じる。この面が滑らかに変化していることで、クリック機構に見られるような急激な力量変化は無く、振動が発生することもない。
【0126】
以上のように、対物レンズの位置決めのために急激な力の変化がなく、マニュピレーション操作で要求される振動レスな切り換え操作が容易に可能となる。また、回転部材を規制部材に当付けて位置決めするため、対物レンズ切り換え装置で求められるミクロンオーダーの位置再現性が達成できる。また、切り換え操作は操作レバーの操作だけのため切り換え操作が単純化される。また対物切り換え装置周辺への張り出しを少なくでき、よりマイクロマニピュレータの設置空間が大きくとれる。また切り換え時のレバー操作に特別な配慮が不要で、操作途中で手を離しても対物レンズが自然に動いてしまうことがない。
【0127】
また、回転部材の形状が単純になり、廉価な装置の提供が可能となる。また板バネの弾性を摩擦力にしているため、耐久性が高い。さらに内部での構成ができるため、ゴミや挨に強い。
【0128】
更に、摩擦力の微調整が可能で、機構も単純なため、さらに廉価な装置の提供が可能となる。わずかなスペースに機構を配置できるので、装置をコンパクトにできる。
【0129】
なお、以上、要約すれば、上述した実施の形態には、以下の発明が含まれる。
【0130】
(1) 標本を載置するステージに対向して第1及び第2の対物レンズを保持するとともに、これら第1及び第2の対物レンズを選択的に観察光軸上に切り換える対物レンズ切り換え装置において、
固定部材と、
前記固定部材に回動可能に設けられ、且つ前記第1及び第2の対物レンズを円弧上に配列するとともに、これら対物レンズを配列方向に回動させる回動部材と、
前記対物レンズが前記観察光軸上に切り換えられた状態で前記回動部材の回動を規制する規制部材と、
前記回動部材及び前記対物レンズからなる回転体によって生ずる回転力より大きく逆方向の回転力を前記回動部材の回転角に応じて作用させる付勢手段と
を具備したことを特徴とする対物レンズ切り換え装置。
【0131】
(2) 前記付勢手段は、前記回動部材に設けられた重りからなり、
前記重りは、その重心位置が前記回転体の重心位置に対し前記回動部材の回動中心を挟んで反対側に位置されることを特徴とする(1)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0132】
(3) 前記付勢手段は、前記固定部材および回動部材のそれぞれに設けられたバネ支点と、これらバネ支点の間に設けられた引張りバネとを有し、
前記バネ支点は、前記回動部材の回動中心を挟んだ位置にそれぞれ配置されることを特徴とする(1)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0133】
(4) 前記対物レンズ切り換え装置は、前記回動部材を回動させる為の操作レバーを含み、この操作レバーは、この対物レンズ切り換え装置を操作する側に延出された棒状のレバーであり、この操作レバーを上下方向に操作することによって前記対物レンズが切り換えられる(1)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0134】
(5) 標本を載置するステージに対向して第1及び第2の対物レンズを保持するとともに、これら第1及び第2の対物レンズを選択的に観察光軸上に切り換える対物レンズ切り換え装置において、
固定部材と、
前記固定部材に回動可能に設けられ、且つ前記第1及び第2の対物レンズを円弧上に配列するとともに、これら対物レンズを配列方向に回動させる回動部材と、
前記対物レンズが前記観察光軸上に切り換えられた状態で前記回動部材の回動を規制する規制部材と、
前記回動部材及び前記対物レンズからなる回転体によって生ずる回転力より大きく逆方向の回転力を前記回動部材の回転角に応じて作用させる付勢手段と、
前記規制部材によって定められる回動範囲内において回動可能にするとともにこの回動範囲の中間領域において前記回動部材が停止された際にそのままに保持する保持手段と、
を具備したことを特徴とする対物レンズ切り換え装置。
【0135】
(6) 前記付勢手段は、前記回動部材に設けられた重りからなり、
前記重りは、その重心位置が前記回転体の重心位置に対し前記回動部材の回動中心を挟んで反対側に位置されることを特徴とする(5)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0136】
(7) 前記付勢手段は、前記固定部材および回動部材のそれぞれに設けられたバネ支点と、これらバネ支点の間に設けられた引張りバネとを有し、
前記バネ支点は、前記回動部材の回動中心を挟んだ位置にそれぞれ配置されることを特徴とする(5)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0137】
(8) 前記対物レンズ切り換え装置は、前記回動部材を回動させる為の操作レバーを含み、この操作レバーは、この対物レンズ切り換え装置を操作する側に延出された棒状のレバーであり、この操作レバーを上下方向に操作することによって前記対物レンズが切り換えられることを特徴とする(5)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0138】
(9) 前記保持手段は、前記回動部材に設けられた摺動部と、この摺動部が摺動され、この摺動部を介して前記回動部材に保持力を与える前記中間領域に亘って設けられた板バネ部材であることを特徴とする(5)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0139】
(10) 前記保持手段は、前記回動部材に設けられた摺動部と、この摺動部に摩擦力を与えて前記回動部材を保持する前記中間領域に亘って設けられた摩擦部材であることを特徴とする(5)に記載の対物レンズ切り換え装置。
【0140】
(11) 観察光軸を有する観察光学系が固定されているフレーム本体と、
フレーム本体から顕微鏡の観察側に向けて延出され、標本が載置されるべきステージと、
このステージ上の標本を観察する為の第1及び第2の対物レンズと、
この第1及び第2の対物レンズを保持するとともに、これらの対物レンズを選択的に観察光軸上に切り換える対物レンズ切り換え機構と、
この対物レンズ切り換え機構及びステージの一方を移動させて前記対物レンズの一方を前記ステージ上の標本に焦準させる為の焦準機構と、
から構成される顕微鏡において、
前記対物レンズ切り換え機構は、
固定部材と、
この固定部材に回動可能に設けられ、且つ第1及び第2の対物レンズを円弧上に配列するとともに、前記固定部材上に設けられた回転中心を有し、この回転中心の回りであって、これら対物レンズを配列方向に回動させて選択的に前記観察光軸上に位置させる回動部材と、
前記第1の対物レンズを前記観察光軸上に位置させた状態に維持するように前記回動部材の回動を規制する第1の規制部材と、
前記第2の対物レンズを前記観察光軸上に位置させた状態に維持するように前記回動部材の回動を規制する第2の規制部材と、
前記第1及び第2の対物レンズが取り付けられた前記回動部材が回転体として回転される際に、この回転体に生じる回転力より大きい逆方向の回転力を前記回動部材の回転角に応じて前記回動部材に与える付与手段と、
から構成され、
前記焦準機構は、
前記光軸を基準に観察側とは反対側で前記フレーム本体に設けられ、前記対物レンズ切り換え機構及びステージの一方を選択的に粗動及び微動させる機構を有し、粗動動作させるための第1の粗動ハンドル及び微動動作させるための第1の微動ハンドルを有する粗微動焦準機構と、
前記光軸を基準に観察側で前記フレーム本体に設けられ、前記粗微動焦準機構を連動させて前記対物レンズ切り換え機構及びステージの前記一方を選択的に粗動及び微動させる為の粗微動焦準操作部であって、前記粗微動焦準機構に対して粗動動作させるための第2の粗動ハンドル及び微動動作させるための第2の微動ハンドルを有する粗微動焦準操作部と、
を具備することを特徴とする顕微鏡。
【0141】
(12) 前記フレーム本体は、観察側に延出されるベースを含み、
前記粗微動焦準操作部は、前記顕微鏡のベースよりも観察側に設けられていることを特徴とする(11)に記載の顕微鏡。
【0142】
(13) 前記粗微動焦準機構は、第1の粗動軸を含み、
前記粗微動焦準操作部は、第2の粗動軸を含み、
前記粗微動焦準操作部を前記粗微動焦準機構に連動させる連動機構を更に具備し、
この連動機構は、前記粗微動焦準機構の粗動軸と前記粗微動焦準操作部の粗動軸との間に掛けられて回転力を伝達する第1のベルトと、
前記粗微動焦準機構の微動軸と前記粗微動焦準操作部の微動軸との間に掛けられて回転力を伝達する第2のベルトと、
を具備することを特徴とする請求項10記載の顕微鏡。
【0143】
(14) 前記粗微動焦準操作部は、前記対物レンズの一方と前記ステージとの間隔を規定し、この定められた間隔以内に前記対物レンズの一方が位置されないように前記対物レンズ切り換え機構及びステージの一方の移動を阻止するストッパ機構を含むことを特徴とする(11)に記載の顕微鏡。
【0144】
(15) 前記回転体は、重心を有し、
前記付与手段は、前記回動部材に設けられた重りを含み、
前記重りは、その重心位置が前記回転体の重心位置に対し前記回動部材の回動中心を挟んで反対側に位置されることを特徴とする(11)に記載の顕微鏡。
【0145】
(16) 前記付与手段は、
前記固定部材及び回動部材のそれぞれに設けられたバネ支点と、これらバネ支点の間に設けられた引張りバネとを有し、前記バネ支点は、前記回動部材の回動中心を挟んだ位置にそれぞれ配置されることを特徴とする(11)に記載の顕微鏡。
【0146】
(17) 前記回動部材は、前記第1及び第2の規制部材によって定められる第1及び第2位置の間に定められる回転範囲において回転され、この回転範囲は、第1及び第2位置に前記回動部材をガイドする為の第1及び第2のガイド領域及び第1及び第2のガイド領域間の中間領域から成り、
前記付与手段は、この第1及び第2ガイド領域でのみ前記逆方向の回転力を発生させ、前記中間領域において前記回転力に抗する前記逆方向の回転力で回転体が回転されることを阻止して前記回動部材をそのままに保つ回転阻止機構を含むことを特徴とする(11)に記載の顕微鏡。
【0147】
(18) 前記回転阻止機構は、前記回動部材の回転を阻止するバネ機構を含むことを特徴とする(17)に記載の顕微鏡。
【0148】
(19) 前記回転阻止機構は、前記回動部材の回転を阻止する摩擦機構を含むことを特徴とする(17)に記載の顕微鏡。
【0149】
(20) ベース部を有するフレーム本体と、
前記観察光軸上に対して2個の対物レンズを前後方向に回動して切り換える対物レンズ切り換え機構と、
標本を載置するステージと、
前記対物レンズで取得された標本像を観察する接眼レンズと、
前記ステージよりも後方側に配置され、前記対物レンズ切り換え機構を前記観察光軸の方向に粗動又は微動させる粗微動焦準機構と、
前記粗微動焦準機構の近傍に設けられ当該粗微動焦準機構を操作する第1の粗動ハンドル及び第1の微動ハンドルと、
前記ベース部の先端部近傍に設けられ、前記粗微動焦準機構を操作するための第2の粗動ハンドル及び第2の微動ハンドルを含む粗微動焦準操作部と、
前記粗微動焦準機構と前記粗微動焦準操作部とを連動させる連動機構と、
前記対物レンズ切り換え機構を切り替え操作する操作レバーと、を具備し、
前記粗微動焦準操作部と前記操作レバーを前記観察光軸よりも前記接眼レンズ側に配置することを特徴とする顕微鏡。
(21) 前記対物レンズ切り換え機構は、
固定部材と、
前記固定部材に回動可能に設けられ、且つ前記対物レンズを円弧上に配列するとともに、これら対物レンズを配列方向に回動させる回動部材と、
前記対物レンズが前記観察光軸上に位置した状態で前記回動部材の回動を止めるように当該回動部材の回動を規制する規制部材と、
前記回動部材と前記対物レンズからなる回転体に重力により作用する回転力より大きく逆方向の回転力を前記回動部材の回転角に応じて作用させる付与手段と、
を更に具備することを特徴とする(20)に記載の顕微鏡。
(22) 前記回転部材は、前記規制部材によって定められる回動範囲において回動され、この回動範囲の中間領域において当該回動部材の回転に対して所定の保持力を作用させる回転阻止機構をさらに具備することを特徴とする(21)に記載の顕微鏡。
(23) 前記操作レバーは手前側に延出された棒状のレバーであり、
この操作レバーを上下方向に操作することによって前記対物レンズを切り替える(20)に記載の顕微鏡。
(24) 前記ステージの前方を下側から支持する支持脚をさらに具備し、
前記粗微動焦準操作部は、前記第2の粗動ハンドル及び第2の微動ハンドルを回転自在に支持する操作部支持部材を有し、
前記操作部支持部材は前記ベース部先端に固定されており、
前記支持脚は前記操作部支持部材に固定されていることを特徴とする(20)に記載の顕微鏡。
(25) 前記第1の粗動ハンドル及び第1の微動ハンドルの回転軸と、前記第2の粗動ハンドル及び第2の微動ハンドルの回転軸は、互いに平行である(20)に記載の顕微鏡。
更に、この発明の対物レンズ切り換え装置によれば、前記固定部材に設けられた2個の固定側指標と、前記回動部材に設けられた回動側指標を有し、これら指標は、前記回動部材の回動方向に沿って配置され、前記回動部材の回動範囲の両端において前記回動側指標が前記固定側指標に近接するようにしている。
【0150】
このようにすれば、回転部材が規制部材に接近したことを作業者に知らせることができるので、回動部材が規制部材に突き当たる直前から慎重な操作を行うことで、さらに精度の高い振動レス状態を実現できる。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、精度の高い位置再現性を得られるとともに、対物レンズの切り換えを簡単に行うことができる対物レンズ切り換え装置を提供することができる。また、簡単な構成で、操作性を向上できる焦準装置及び精度の高い位置再現性を得られるとともに、対物レンズの切り換えを簡単に行うことができる対物レンズ切り換え装置を備えた顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の焦準装置を備えた顕微鏡の構造を概略的に示す一部破断側面図である。
【図2】従来の対物レンズ切り替え装置を具備する顕微鏡の構造を概略的に示す側面図である。
【図3】図2に示された対物レンズ切り替え装置に採用されたレボルバ機構を概略的に示す側断面図。
【図4】図3に示されるレボルバ機構に設けられる位置決め機構を概略的に示す破断斜視図である。
【図5】従来のマニピュレータを組み合わせた光学顕微鏡の概略のシステムを示す正面図である。
【図6】従来の対物レンズ切り替え装置の他の機構を概略的に示す側面図である。
【図7】図6に示された対物レンズ切り替え装置の機構を説明する為の対物レンズ切り替え機構を概略的に示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態に係る焦準装置及び対物レンズ切り替え装置を備えた顕微鏡を概略的に示す側面図である。
【図9】図8に示された顕微鏡を概略的に示す正面図である。
【図10】図8に示された顕微鏡の焦準装置の構造を概略的に示す一部破断平面図である。
【図11】図8から図10に示された顕微鏡の焦準装置における粗動軸の構造を概略的に一部断面図である。
【図12】図8から図10に示された顕微鏡の焦準装置における歯付きプーリ及びタイミングベルトの構造を概略的に示す断面図である。
【図13】図8に示された顕微鏡における対物レンズ切り換え装置の概略構造を一部破断して示す正面図である。
【図14】図13に示された顕微鏡における対物レンズ切り換え装置の概略構造を示す側面図である。
【図15】図13に示された対物レンズ切り換え装置において対物レンズを切り替えた場合における対物レンズ切り換え装置の概略構造を示す側面図である。
【図16】図13に示した対物レンズ切り換え装置の構造を概略的に示す一部破断平面図である。
【図17】図13に示した対物レンズ切り換え装置の他の構造を概略的に示す一部破断側面図である。
【図18】図17に示した対物レンズ切り換え装置の構造を概略的に示す一部破断側面図である。
【図19】図17及び図18に示した対物レンズ切り換え装置の構造の機構を説明する為の概略的側面図である。
【図20】図8に示された顕微鏡における対物レンズ切り換え装置の構造の更に他の例を一部破断して概略的に示す正面図である。
【図21】図20に示された顕微鏡における対物レンズ切り換え装置の概略構造を示す側面図である。
【図22】図8に示された顕微鏡における対物レンズ切り換え装置の構造の更にまた他の例を一部破断して概略的に示す側面図である。
【図23】図8に示された顕微鏡における対物レンズ切り換え装置の構造のまた更に他の例を一部破断して概略的に示す側面図である。
【符号の説明】
30:顕微鏡フレーム
31:ベース部
32:垂直部
33:水平アーム部
34A,34B:光源
35:接眼レンズ
36:足
36A:固定台
37:ステージ
38:支持台
39:コンデンサレンズ
40:移動ベース
41:ガイド体
42:可動アーム
43A、43B:対物レンズ
44:対物レンズ切り換え機構
45:粗動軸
46:微動軸
47:粗動ハンドル
48:微動ハンドル
49:歯付きプーリ
50:微動プーリ
51:ピニオン部
52:ラック
53:軸受け
54:粗動軸
54A:操作部本体
55:微動軸
56:粗動ハンドル
57:微動ハンドル
58:歯付きプーリ
59:微動つまみ
60:軸受け
61:タイミングベルト
62:丸ベルト
63:ストッパハンドル
111:固定部材
113:回動部材
114:ベアリング
115:回転軸
118、119:固定側指標
120:回動側指標
124:押圧部材
125:ネジ部材
121A、121B:規制部材
122A、122B:当付部
123:重り
127:先丸ねじ
128:摩擦部材
131:固定部支柱
132:回動側支柱
133:引張りバネ
153:板バネ
154:押圧部材
161:雌ネジ
162:ネジ
164:圧縮バネ
163:先丸部材
Claims (7)
- 標本を載置するステージに対向して第1及び第2の対物レンズを保持するとともに、これら第1及び第2の対物レンズを選択的に観察光軸上に切り換える対物レンズ切り換え装置において、
固定部材と、
前記固定部材に前記観察光軸と直交する方向に延出して配置された回転軸を介して回動可能に設けられ、前記第1及び第2の対物レンズが装着されて前記第1及び第2の対物レンズを円弧上に配列するとともに、これら対物レンズを配列方向に回動させる回動部材と、
前記固定部材に設けられ、前記第1及び第2の対物レンズが前記観察光軸上に切り換えられた状態で前記回動部材の回動を規制する規制部材と、
前記回動部材に設けられ、前記規制部材により規制される前記回動部材の回動範囲において前記回動範囲の中央を挟んだ両側で前記回動部材及び前記第1及び第2の対物レンズからなる回転体の質量によって前記回転軸の回りで前記回動部材に生じる回転力の方向とは逆方向の回転力を前記回動部材の回転角に応じて前記回動部材に作用させる付勢手段と、
を具備したことを特徴とする対物レンズ切り換え装置。 - 前記回動部材には前記付勢手段としての重りが設けられていて、
前記重りの重心位置は前記回転体の重心位置に対して前記回動部材の回動中心を挟んだ反対側に配置され、
前記回動部材の前記回動範囲の前記両側で前記重りが前記回動部材に対し前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントが前記回転体が前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントよりも大きくなるよう、前記重りの質量,前記回動部材の前記回動中心から前記重りの重心位置までの水平距離,前記回転体の質量,そして前記回動部材の前記回動中心から前記回転体の重心位置までの水平距離が設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ切り換え装置。 - 前記固定部材が前記回動部材の側面に対向した側面を有していて、前記回動部材の側面に設けられた回動側支柱と、前記固定部材の前記側面において前記回動部材の回動範囲の中央部で前記回動側支柱に対し前記回動部材の前記回動中心を挟んだ位置に設けられた固定側支柱と、の間に前記付勢手段としての引張りバネが設けられていて、
前記回動部材の前記回動範囲の前記両側で前記引張りバネが前記回動部材に対し前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントが前記回転体が前記回動部材の前記回転中心の回りに生じさせる回転モーメントよりも大きくなるよう、前記回転体の質量,前記引張りバネの力が設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ切り換え装置。 - 前記回動部材の前記回動範囲における前記回動部材の回動を可能にするとともに前記回動範囲において前記回動範囲の両端を除く中間領域において前記前記回動部材の回動が停止されたときに前記回動部材の回動停止を保持する保持手段を具備したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の対物レンズ切り換え装置。
- 前記固定部材が前記回動部材の側面に対向した側面を有し、
前記回動部材の前記側面において前記固定部材の前記側面に向かい先丸ねじがねじ込まれていて、
前記固定部材の前記側面には、前記回動部材の前記回動範囲における前記先丸ねじの移動範囲の両端位置を除き前記先丸ねじが接触しながら移動する摩擦部材が固定されており、
前記回動部材の前記側面の前記先丸ねじが前記固定部材の前記側面の前記摩擦部材に接触されている間に前記回動部材の回動が停止されたときには前記回動部材の回動停止が保持される、
ことを特徴とする請求項2に記載の対物レンズ切り換え装置。 - 前記回動部材は前記回動部材の前記回動中心に対する同心円上の円弧面により形成された内側面を有し、
前記固定部材は前記回動部材の前記内側面との間にギャップを空けて前記同心円上の円弧面により形成された外形面を有し、
前記回動部材の前記内側面には押圧部材が設けられていて、
前記固定部材の前記外形面には、前記回動部材の前記回動の方向の両端において前記外形面に密着して固定され前記両端の間で前記外形面から浮き上がり前記外形面の前記円弧面に沿う帯状の板バネが設けられていて、
前記回動部材の前記内側面の前記押圧部材は、前記回動部材の前記回動範囲の両端において前記固定部材の前記外形面の前記帯状の板バネの両端から離れ前記回動部材の前記回動範囲の前記両端の間で前記帯状の板バネに接触して摩擦力を生じさせ、
前記回動部材の前記内側面の前記押圧部材が前記固定部材の前記外形面の前記帯状の板バネに接触されている間に前記回動部材の回動が停止されたときには前記回動部材の回動停止が保持される、
ことを特徴とする請求項3に記載の対物レンズ切り換え装置。 - 前記回動部材にはその回動を操作し前記第1及び第2の対物レンズの切り換え操作を行う操作レバーが設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の対物レンズ切り換え装置。
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