以下、発明を実施するための最良の形態を実施例1から実施例6に述べていく。
実施例1ではDVDの記録および再生が可能な光ディスクドライブに対応した光ピックアップについて説明する。
図1は光ピックアップ100の光学系構成を示す図である。レーザ光源1から光ビームが発散光として出射される。情報の記録または情報の再生をDVD系の光ディスクに行うには、波長約660nmの半導体レーザを用いるのが一般的であり、レーザ光源2も波長約660nmの光ビームを出射する半導体レーザを想定している。また、レーザ光源1内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面と平行であることを想定している。また図中のチェックのハッチングで形成された光路は光ビーム2、一点鎖線で形成された光路は光ビーム3を示す。
まず、光ビーム2について説明する。レーザ光源1から出射した光ビーム2は透明基板であるフロントモニタ導光板4に入射する。フロントモニタ導光板4は入射面と出射面が所定の角度に設定された領域5が形成されており、フロントモニタ導光板4の領域5に入射した光ビーム2は屈折により所定の角度で出射する。フロントモニタ導光板4を出射した光ビーム2は一旦ビームスプリッタ6で反射し、フロントモニタ7に入射する。
光ディスクドライブでは、先述したように光ディスクに信号を記録する際、光ディスク上に所定の光量を照射させるため、レーザ光源の光量を正確に制御する必要があり、フロントモニタ7はレーザ光源1の光量変化を検出し、レーザ光源1の出射光量を制御するため設置されている。フロントモニタ7の出力信号はレーザ光源1の駆動回路(図示なし)にフィードバックされ、レーザ光源1の出射光量を制御し光ディスク上に所望の光量を照射することができる。
次に光ビーム3について説明する。レーザ光源1から出射した光ビーム3はフロントモニタ導光板4に入射する。フロントモニタ導光板4は、領域5と異なる領域には格子溝が形成されており、光ビーム3はその格子溝により3本に分岐されディファレンシャルプッシュプル法(以下DPP法と記す)による光ディスクのトラッキングサーボ信号(以下TES)に用いられる。尚、DPP法はごく一般的なTESの検出法なので説明は省略する。フロントモニタ導光板4を透過した光ビーム3はビームスプリッタ6を反射し、コリメートレンズ8に導かれ略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ8を出射した光ビーム3は、立ち上げミラー9を図中z方向に反射しアクチュエータ10に搭載された対物レンズ11により光ディスク(図示せず)上に集光される。
光ディスクにより光ビーム3は反射し、対物レンズ11、立ち上げミラー9、コリメートレンズ8、ビームスプリッタ6、検出レンズ12を経て、光検出器13に到達する。光ビーム3はビームスプリッタ6を透過するとき所定の非点収差が与えられ、非点収差法による光ディスクのフォーカシングサーボ信号(以下FESと記す)の検出に使用される。尚、非点収差法はごく一般的なFESの検出法なので説明は省略する。検出レンズ12は非点収差の方向を所定の方向に回転させると同時に光検出器13上での光スポットの大きさを決める働きがある。光検出器13に導かれた光ビーム2は、光ディスク上に記録されている情報信号の検出と、TESおよびFESなど光ディスク上に集光された光スポットの位置制御信号の検出に使用される。
さて、図2はフロントモニタ導光板4の構成を示す概略図である。本図を用いてフロントモニタ導光板4について詳細に説明する。左図は図1のa点、右図は図1のb点から見たフロントモニタ導光板4を図視したものである。
フロントモニタ導光板4は、入射面と出射面が所定の角度に設定された領域5が形成させている。入射面はy軸およびz軸に各々所定の角度に設定されている。また出射面も同様にy軸およびz軸に各々所定の角度に設定されている。このように領域5の入射面と出射面の面形状を所定の角度とすることで、フロントモニタ導光板4の領域5を透過した光ビーム2は、屈折によりフロントモニタ4へ導かれることになる。
右図の円14は対物レンズ11の有効径内に進行する光ビーム3がフロントモニタ導光板4に照射する領域である。また、光ディスク中の所定の位置情報を記録または再生するとき、対物レンズ11を光ディスクの半径方向に移動させて用いる。このため、破線で描かれた円15、16のようにフロントモニタ導光板4に照射される領域は±y方向に広いものである。さて、近年光ディスクシステムでは、記録速度を増すため、レーザ光源のパワーUPだけでなく、光学的に光ディスクまでの効率をUPさせなければならない。このため、フロントモニタ導光板4の領域5は対物レンズ有効径に進行する光ビーム3の外に配置している。このように対物レンズ有効径外の光ビーム2を使用するため、光ディスクへ導かれる光効率を下げることが無いという効果がある。
また、レーザ光源は通常レーザチップの活性層に直交した方向に長手の楕円な強度分布を持つため、右図点線のような楕円の強度分布18になる。このため、フロントモニタ導光板4の領域5は光ビーム3の光線中心からレーザ光源1内にあるレーザチップの活性層に垂直な方向の直線(図中線17)と交わる領域があるように配置する。このように配置することで、フロントモニタ7へ到達する光量をUPさせ、SN(シグナルとノイズの比)の良い信号が得られる効果がある。
また、フロントモニタ導光板4は、レーザ光源1と対物レンズ11の間の光路に配置させ、フロントモニタ導光板4の対物レンズ有効径内に進行する光ビーム3が照射する領域には格子溝が形成させる。これにより、フロントモニタ導光板4は通常の回折格子と同等の機能も合わせ持つことになる。特許文献1のようにフロントモニタ導光板と回折格子を別々に配置させることなく、1個の部品で2種類の機能をもたせることができ、小型化が図れ、部品点数が減ると同時に組み立て時間短縮による低コスト化も図れるという効果が得られる。
また、屈折によりフロントモニタへ光ビームを導く構成であるため、特許文献2のように光の回折によりフロントモニタへ光ビームを導く構成と比べ迷光対策が必要ないという効果もある。
また、フロントモニタ導光板4の領域5の入射面と出射面を所定の角度に設定することによりフロントモニタ7の配置位置は実装自由度が増すものでもある。
光ディスクシステムでは、ビームスプリッタ6は、光ディスクへ照射するパワーUPのため反射率を高く、光検出器のSNを向上させるため透過率を高くと、反射率と透過率互いに高いものが要求される。このような特殊な反射透過特性をもたせるため、表面に特殊な膜を形成させている。しかしこのような特殊な膜の作製は非常に困難で反射透過特性が大きく変動してしまう。このため、例えば、従来ではビームスプリッタ6の反射率が落ちると、フロントモニタの光量は変わらないのに光ディスク上の光量が減るという矛盾があった。そこで本発明では、フロントモニタ7は、ビームスプリッタ6よりもレーザ光源1から出射した光ビーム2の進行方向に進んだ位置に配置している。これによりビームスプリッタ6の反射透過特性が変化した場合に、フロントモニタの光量は変わらないのに光ディスク上の光量が変化するという矛盾が生じるのを防ぐことができる。
図10は、フロントモニタ導光板4の領域5にて光ビームが屈折により進行方向を変える様子を図視したものである。図10のA点より光ビームが領域5に入射する。入射面は光ビームに対して所定の角度θAだけ傾けて配置させる。スネルの屈折の法則に従いθAと異なる角度θaで領域5中を進行する。また出射面は出射面に入射する光ビームに対してθbだけ傾けて配置させる。スネルの屈折の法則に従いθbと異なる角度θBで領域5を出射する。A点より領域5へ入射した光ビームは、領域5を出射するとき、元の角度とは異なる角度となる。入射面と出射面の面を任意に設定することにより任意の角度の光ビームを得ることができる。このような屈折現象を利用し、本発明は対物レンズ有効径外の光ビームをフロントモニタ導光板4にてフロントモニタへ光ビームを導いたものである。
尚、実施例1ではDVDの記録および再生が可能な光ディスクドライブに対応した光ピックアップについて説明したが、CD、BD、HD−DVDなどの記録および再生が可能な光ディスクドライブに対応した光ピックアップに用いてもなんら構わない。もちろんCDとDVDの2波長互換光ピックアップ、BDとDVDとCDの3波長互換光ピックアップなどの複数波長の互換光ピックアップに用いても良い。
実施例2ではDVDの記録および再生が可能な光ディスクドライブに対応した光ピックアップについて説明する。実施例2は実施例1の光ピックアップ100とフロントモニタ導光板4の構成が異なるものであり、フロントモニタ導光板4以外は光ピックアップ100と変わらないため光ピックアップの詳細な説明は省略する。
図3は、実施例2のフロントモニタ導光板4の概略を図示したものである。実施例2のフロントモニタ導光板4とは、入射面と出射面が所定の角度に設定された領域20が形成されているところが異なっている。領域20の入射面はy軸およびz軸に各々所定の角度に設定されている。また出射面も同様にy軸およびz軸に各々所定の角度に設定されている。なお、領域20の入射面と出射面の角度は各々領域5のものとは異なるものである。領域20の入射面と出射面の面形状を所定の角度とすることで、フロントモニタ導光板4の領域20を透過した光ビームも、屈折によりフロントモニタ4へ導かれることになる。
実施例2では、レーザ光源1より出射した光ビームはフロントモニタ導光板4の領域5と領域20の2箇所からフロントモニタ7へ導かれるため、実施例1に比べてフロントモニタ7へ到達する光量を2倍近く増やす効果がある。
また、フロントモニタ導光板4の領域20も領域5と同様に対物レンズ有効径に進行する光ビーム3の外に配置している。このように領域20も対物レンズ有効径外の光ビームを使用するため、光ディスクへ導かれる光効率を下げることが無い。
また、レーザ光源は通常レーザチップの活性層に直交した方向に長手の楕円な強度分布18を有するため、フロントモニタ4の領域20も光ビーム3の光線中心からレーザ光源1内にあるレーザチップの活性層に垂直な方向の直線(図中線17)と交わる領域があるように配置する。このように配置することで、フロントモニタ7へ到達する光量をUPさせ、SN(シグナルとノイズの比)の良い信号が得られる。
先述したように近年CDやDVDでは高速記録に対応するための大パワーのレーザ光源を光ピックアップに搭載する必要がある。大パワーのレーザ光源は光出力を大きくしていくと、光軸中心が傾くことがある。特許文献1のように対物レンズ有効径外の光ビームを一部フロントモニタで検出する構成の光ピックアップでは、光軸中心が傾くと、光ディスクへ照射される光量がほとんど変わらないのにも関わらず、フロントモニタの光量は大きく変化することになり、正確に光量をモニタできなくなるという課題があった。これは対物レンズにより光ディスクへ照射される光ビームは光ビームの光軸中心に強度ピークがあるため、対物レンズ有効径内で多少光軸が傾いても光ディスクへ照射されるパワーの変化は大きくはない。しかしフロントモニタへ導かれる光ビームは対物レンズ有効径外の光ビームを一部使用しているため、光軸中心が傾くと光ビームの強度分布位置の変化がそのまま光量に反映してしまうため光量が大きく変動してしまうものである。
このため実施例2では、フロントモニタ導光板4の領域20は、レーザ光源1内にあるレーザチップ活性層に平行な方向の直線(図中線21)に対し領域5とは反対側に配置している。このように領域5と領域20を配置すると、例えば光軸中心が傾き領域5よりフロントモニタ7へ到達する光量が大きく減少した場合、領域20よりフロントモニタ7へ到達する光量は大きく増加するため、フロントモニタ7での検出光量はほとんど変化させないようにできる。すなわち光軸傾きによる変化が小さく抑えられるという効果がある。
実施例3ではDVDの記録および再生が可能な光ディスクドライブに対応した光ピックアップについて説明する。
図4は光ピックアップ101の光学系構成を示す図である。実施例3の光ピックアップ101は実施例1の光ピックアップ100と比べて、光学部品全体を対物レンズの中心に対してz軸周りに45°回転させたところが異なる。
まず、光ピックアップ101の光学系について説明する。レーザ光源1から出射した光ビームは発散光として出射される。光ピックアップ100と同様レーザ光源1も波長約660nmの光ビームを出射する半導体レーザを想定している。また、レーザ光源1内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面をx軸中心として半時計周りに45度回転させた平面と平行であることを想定している。図中のチェックのハッチングで形成された光路は光ビーム2、一点鎖線で形成された光路は光ビーム3を示す。
まず、光ビーム2について説明する。レーザ光源1から出射した光ビーム2は透明基板であるフロントモニタ導光板4に入射する。フロントモニタ導光板4は入射面と出射面が所定の角度に設定された領域5が形成されており、フロントモニタ導光板4の領域5に入射した光ビーム2は屈折により所定の角度で出射する。フロントモニタ導光板4を出射した光ビーム2は一旦ビームスプリッタ6で反射し、フロントモニタ7に入射する。
光学部品全体が対物レンズの中心に対してz軸周りに回転しているため、光ピックアップ101のフロントモニタ導光板4の構成が光ピックアップ100のものとは異なった構成になっている。フロントモニタ導光板4は後で図を用い詳細に説明する。
次に光ビーム3について説明する。レーザ光源1から出射した光ビーム3はフロントモニタ導光板4に入射する。フロントモニタ導光板4は、領域5と異なる領域には格子溝が形成されており、光ビーム3はその格子溝により3本に分岐されDPP法による光ディスクのTESに用いられる。フロントモニタ導光板4を透過した光ビーム3はビームスプリッタ6を反射し、コリメートレンズ8に導かれ略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ8を出射した光ビーム3は、立ち上げミラー9を図中z方向に反射しアクチュエータ10に搭載された対物レンズ11により光ディスク(図示せず)上に集光される。
光ディスクにより光ビーム3は反射し、対物レンズ11、立ち上げミラー9、コリメートレンズ8、ビームスプリッタ6を経て、光検出器13に到達する。光ビーム3はビームスプリッタ6を透過するとき所定の非点収差が与えられ、非点収差法による光ディスクのFESの検出に使用される。光ピックアップ101では、光学系全体をz軸周りに45°傾け、レーザ光源1内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面をx軸中心として半時計周りに45度回転させた平面と平行としたことにより、検出レンズ12を削除することができる。光検出器13に導かれた光ビーム2は、光ディスク上に記録されている情報信号の検出と、TESおよびFESなど光ディスク上に集光された光スポットの位置制御信号の検出に使用される。
図5はフロントモニタ導光板4の構成を示す概略図である。本図を用いてフロントモニタ導光板4について詳細に説明する。図5は図4のb点から見たフロントモニタ導光板4を図視したものである。実施例1のフロントモニタ導光板4(図2)と比べて実施例3のフロントモニタ導光板4は光線中心を軸(x軸)に反時計回りに45°傾けたことが異なる。レーザ光源1内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面をx軸中心として半時計周りに45度回転させた平面と平行としたため、レーザチップの活性層に直交した方向に長手の楕円な強度分布は点線のような楕円の強度分布18になる。このため、フロントモニタ導光板4の領域5は光ビーム3の光線中心からレーザ光源1内にあるレーザチップの活性層に垂直な方向の直線(図中線17)と交わる領域があるように配置するため、実施例1のフロントモニタ導光板4(図2)と比べて実施例3のフロントモニタ導光板4は光線中心を軸(x軸)に反時計回りに45°傾けたものである。このように配置することで、フロントモニタ7へ到達する光量をUPさせ、SN(シグナルとノイズの比)の良い信号が得られる効果がある。
尚、もちろん領域5の入射面と出射面の角度は図2のものとは異なっており、フロントモニタ7へ光ビームが到達するように入射面と出射面は各々所望の角度に設定されている。
もちろん光ピックアップ101のフロントモニタ導光板4に図3の構成のフロントモニタ導光板を光線中心を軸(x軸)に反時計回りに45°傾けることで使用することもできる。この時、実施例2で説明したのと同じ効果が得られる。
また、近年人気のモバイル用のノートパソコンに光ディスクシステムを搭載する場合、持ち運びの利便性よりより厚みの薄い光ディスクシステムが好ましい。モバイル用のノートパソコンに搭載する場合、図5のようにフロントモニタ導光板4を光軸方向に傾けることにより、光学部品は光ピックアップの厚み方向に小さくすることができるという効果も得られる。
実施例4ではDVDおよびCDの記録および再生が可能なコンビタイプの光ディスクドライブに対応した光ピックアップについて説明する。
図6は光ピックアップ102の光学系構成を示す図である。実施例4の光ピックアップ101は実施例1の光ピックアップ100と比べて、2波長マルチレーザ光源30を搭載した点とフロントモニタ導光板4の構成が異なる点である。2波長マルチレーザとは、2つの異なるレーザチップが1つのレーザ光源の中に形成されたものである。
情報の記録または情報の再生をDVD系の光ディスクに行うには、波長約660nmの半導体レーザを用いるのが一般的であり、CD系の光ディスクに行うには、780nmの半導体レーザを用いるが一般的である。このため2波長マルチレーザ光源からは、DVD系の光ディスクの記録または再生を行う場合は波長660nmの光ビームが出射され、CD系の光ディスクの記録または再生を行う場合は波長780nmの光ビームが出射されることを想定している。また、レーザ光源30内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面と平行であることを想定している。尚、2波長マルチレーザ光源から出射したDVDとCDの各光ビームは各々実施例1と同じ光路を進行するため、詳細の説明は省略する
レーザ光源30より出射したDVDとCDの光ビームは各々波長が異なるため、フロントモニタ導光板4の領域5に入射した光ビームの屈折角度が若干異なり、フロントモニタ7上でもっとも光量が多くなる領域5の入射面と出射面の角度が異なってしまう。
図7は実施例4のフロントモニタ導光板4の構成を図示したものである。図3のフロントモニタ導光板4の構成とは、領域5と領域20の構成が異なっている。領域31aと領域32aはDVDの光ビームがフロントモニタ上で最も光量が大きくなるように入射面と出射面の角度を設定し、領域31bと領域32bはCDの光ビームがフロントモニタ上で最も光量が大きくなるように入射面と出射面の角度を設定したものである。図7の構成のフロントモニタ導光板4では、DVDとCD各々最適な光量をフロントモニタ7へ導くことができ、DVDとCDの各々光ディスク上の光量を高精度に検出することが可能となる。
また、図3のフロントモニタ導光板の構成において、領域5の入射面と反射面をDVDに最適な角度に設定し、領域20をCDに最適な角度としても、DVDとCDの各々光ディスク上の光量を高精度に検出することが可能となる。
また、DVDとCDのように波長の異なる光ビームにおいても図2の構成のフロントモニタ導光板4で各光ビームは各々フロントモニタ7へ導く場合、領域5の入射面と出射面をDVDとCDの最良な角度の中間に持ってくるようにしても良い。
実施例5ではDVDおよびCDの記録および再生が可能なコンビタイプの光ディスクドライブに対応した光ピックアップについて説明する。
図8は光ピックアップ103の光学系の概略を示す図である。
まずDVD光学系について説明する。DVDレーザ光源40からDVD光ビームが発散光として出射される。DVDの情報の記録または情報の再生を行うため、DVDレーザ光源40も波長約660nmの光ビームを出射する半導体レーザを想定している。また、DVDレーザ光源40内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面を光軸中心に半時計周りに45度傾けた面と平行であることを想定している。
DVDレーザ光源40から出射したDVD光ビームはDVDフロントモニタ導光板42に入射する。DVDフロントモニタ導光板42は、レーザチップ活性層を光軸中心に傾けているため、ここでは図5のような形状を想定している。領域5と異なる領域には格子溝が形成されており、DVD光ビームはその格子溝により3本に分岐されDPP法による光ディスクのTESに用いられる。DVDフロントモニタ導光板42の領域5を透過したDVD光ビームはビームスプリッタ43、ビームスプリッタ44を各々反射し、立ち上げミラーの下(図中−z方向)に配置されたフロントモニタ45に進行する。フロントモニタ45で検出された出力信号はレーザ光源40の駆動回路(図示なし)にフィードバックされ、レーザ光源40の出射光量を制御し光ディスク上に所望の光量を照射するために用いられる。
さて、DVDフロントモニタ導光板42の格子溝形成領域を通過したDVD光ビームは、ビームスプリッタ43、ビームスプリッタ44、立ち上げミラー46を各々反射し、コリメートレンズ47に導かれ略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ47を出射したDVD光ビームは、アクチュエータ(図示なし)に搭載された対物レンズ48により光ディスク(図示せず)上に集光される。
光ディスクによりDVD光ビームは反射し、対物レンズ48、コリメートレンズ47、立ち上げミラー46、ビームスプリッタ44、ビームスプリッタ43を経て、光検出器49に到達する。DVD光ビームはビームスプリッタ43を透過するとき所定の非点収差が与えられ、非点収差法による光ディスクのFESの検出に使用される。光ピックアップ103では、光学系全体をz軸周りに45°傾け、レーザ光源40内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面を光軸中心として半時計周りに45度回転させた平面と平行としたことにより、検出レンズを削除することができる。光検出器49に導かれたDVD光ビームは、光ディスク上に記録されている情報信号の検出と、TESおよびFESなど光ディスク上に集光された光スポットの位置制御信号の検出に使用される。
次にCD光学系について説明する。CDレーザ光源50からCD光ビームが発散光として出射される。CDの情報の記録または情報の再生を行うため、CDレーザ光源50も波長約780nmの光ビームを出射する半導体レーザを想定している。また、CDレーザ光源50内にあるレーザチップ活性層は図中xとyの成す平面を光軸中心に半時計周りに45度傾けた面と平行であることを想定している。
CDレーザ光源50から出射したCD光ビームは補正レンズ51に入射する。DVDとCDは一般的に最適な光学倍率(=コリメートレンズの焦点距離/対物レンズの焦点距離)が異なるため、CD光学系には補正レンズ51を配備しコリメートレンズ47との組み合わせにより実質的なコリメートレンズの焦点距離を変換している。補正レンズ51を通過したCD光ビームはCDフロントモニタ導光板52に入射する。CDフロントモニタ導光板52は、レーザチップ活性層を光軸中心に傾けているため、ここでは図5のような形状を想定している。領域5と異なる領域には格子溝が形成されており、CD光ビームはその格子溝により3本に分岐されDPP法による光ディスクのTESに用いられる。CDフロントモニタ導光板52の領域5を透過したCD光ビームはビームスプリッタ44を透過し、立ち上げミラーの下(図中−z方向)に配置されたフロントモニタ45に進行する。フロントモニタ45で検出された出力信号はレーザ光源50の駆動回路(図示なし)にフィードバックされ、レーザ光源50の出射光量を制御し光ディスク上に所望の光量を照射するために用いられる。
さて、CDフロントモニタ導光板42の格子溝形成領域を通過したCD光ビームは、ビームスプリッタ44を透過する。ビームスプリッタ44のような傾いた平行平板を発散光が透過すると、非点収差とコマ収差が発生する。ビームスプリッタ44を透過する際に発生する非点収差とコマ収差を除去するように、補正レンズ52の出射面をシリンドリカル面に設定している。ビームスプリッタ44を透過した後、立ち上げミラー46を反射し、コリメートレンズ47に導かれ略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ47を出射したCD光ビームは、アクチュエータ(図示なし)に搭載された対物レンズ48により光ディスク(図示せず)上に集光される。
光ディスクによりCD光ビームは反射し、対物レンズ48、コリメートレンズ47、立ち上げミラー46、ビームスプリッタ44、ビームスプリッタ43を経て、光検出器49に到達する。CD光ビームはDVD光ビームと同様にビームスプリッタ43を透過するとき所定の非点収差が与えられ、非点収差法による光ディスクのFESの検出に使用される。光検出器49に導かれたCD光ビームは、光ディスク上に記録されている情報信号の検出と、TESおよびFESなど光ディスク上に集光された光スポットの位置制御信号の検出に使用される。
上述したようにフロントモニタ導光板は図8のようにDVDとCDの光学系で別々に配置してもなんら構わない。別々に配置することで、フロントモニタ導光板の領域5を各々最適な角度に設定することができるので、DVDとCDの光ディスク上のパワーをより高精度に制御することが可能となる。
実施例6では、これまでに説明した光ピックアップを搭載した、光ディスクシステムについて説明する。
図9に光ピックアップ100を搭載した記録および再生用光ディスクシステムの概略ブロック図を示す。光ピックアップ1から検出された信号は信号処理回路内のサーボ信号生成回路71、フロントモニタ用回路72、情報信号再生回路75に送られる。サーボ信号生成回路71では、これら検出信号から各光ディスクに適したFESやTESが生成され、これをもとにアクチュエータ駆動回路70を経て光ピックアップ1内の対物レンズアクチュエータを駆動し、対物レンズの位置制御を行う。フロントモニタ用回路72では、フロントモニタからの検出信号からレーザ光源の光量モニタ信号を検出し、これをもとにレーザ光源制御回路73を駆動し光ディスク150上の光量を正確に制御する。また情報信号再生回路75では前記検出信号から光ディスク150に記録された情報信号が再生され、その情報信号は情報信号出力端子79へ出力される。
また記録情報が記録情報入力端子80から入力されると、記録情報信号変換回路76で所定のレーザ駆動用記録信号に変換される。このレーザ駆動用記録信号はコントロール回路78に送られ、レーザ光源制御回路73を駆動させレーザ光源の光量制御を行い、光ディスク150に記録信号を記録する。なお、このコントロール回路78にはアクセス制御回路74とスピンドルモータ駆動回路77が接続されており、それぞれ光ピックアップ1のアクセス方向の位置制御や光ディスク150のスピンドルモータ81の回転制御が行われる
この実施例6では光ピックアップ100などの、DVD単独機に関して説明したが、実施例6の光ディスクシステムは、CD、BD、HD−DVDなどの光ディスクに対するどのような光ピックアップでも使用可能である。
また、実施例6では、光ピックアップ100などのDVD単独機に関して説明したが、実施例6の光ディスクシステムは、DVD/CD両方記録光ピックアップや、BD/DVD/CD記録光ピックアップなど複数の光ディスクに対応した光ピックアップでも使用可能である。
また、実施例1ないし6において、フロントモニタ導光板のフロントモニタへ光ビームを導く屈折の領域以外の領域に格子溝を形成させたが、もちろんレンズ面であってもなんら構わない。
また、実施例1ないし6において、フロントモニタ導光板のフロントモニタへ光ビームを導く屈折の領域は平面を想定したが、もちろん曲率をもっていてもなんら構わない。
また、本実施例において、フロントモニタ導光板をお椀状のレンズにすることで自由に屈折率を取るようにしても良い。
実施例1ないし6によれば、本発明光ピックアップでは、小型かつ低コストな光ピックアップにおいて、フロントモニタへ十分な光量を導くことができ、迷光の影響がなく、光ディスクへ照射される光量を正確にモニタすることができる