JP2004227680A - 光ピックアップ - Google Patents
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Abstract
【課題】2つのレーザダイオードからそれぞれ出射されるレーザ光の一部を、ダイクロイックビームスプリッタや立上げミラーを介することなく、単一のフロントモニタで検出することができるようにした二波長対応光ピックアップを提供する。
【解決手段】レーザダイオードLD1,LD2からそれぞれ出射されるレーザ光を3つの光束に分割するためのグレーティングGRT1,GRT2に、フレネル部42を形成する。フレネル部は、各レーザダイオードからのレーザ光のうち有効範囲外の光の一部を所定方向に屈折させる。各グレーティングのフレネル部で屈折させられた光は、単一のフロントモニタFMにて検出される。
【選択図】 図3
【解決手段】レーザダイオードLD1,LD2からそれぞれ出射されるレーザ光を3つの光束に分割するためのグレーティングGRT1,GRT2に、フレネル部42を形成する。フレネル部は、各レーザダイオードからのレーザ光のうち有効範囲外の光の一部を所定方向に屈折させる。各グレーティングのフレネル部で屈折させられた光は、単一のフロントモニタFMにて検出される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップに関し、特に、2種類の情報記録媒体に対して異なる波長の光を用いて情報の記録・再生を行う二波長対応光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ディスク記録媒体に対して情報の記録・再生を行う光ピックアップ装置においては、レーザダイオードから出射される記録・再生光(有効範囲内の光)の強さを適切に制御するために、フォトダイオード(フロントモニタ)及びAPC(Auto Power Control)回路を用いたフィードバック制御が行われている。
【0003】
互いに異なる波長の記録・再生光を発する2個のレーザダイオードを備え、2種類の光ディスク記録媒体(例えば、DVDとCD)に対して情報を記録・再生することができる光ピックアップ(以下、二波長対応光ピックアップ。)の場合は、各レーザダイオードについてそれぞれ上記のようなフィードバック制御を行う必要がある。
【0004】
従来の二波長対応光ピックアップは、2個のレーザダイオードからそれぞれ出射される記録・再生光をそれぞれ検出するために、2個のフォトダイオード(フロントモニタ)を備えている。そして、各レーザダイオードから出射される記録・再生光の一部をビームスプリッタ等を用いて分岐させ、対応するフォトダイオードに入射させるようにしている。
【0005】
また、装置全体の構成を簡素化するため、2個のレーザダイオードからそれぞれ出射される記録・再生光の一部を1個のフォトダイオードで検出するように構成した二波長対応光ピックアップも既に提案されている。この提案に係る二波長対応光ピックアップは、2つのレーザダイオードからそれぞれ出射される記録・再生光を光路合流ミラーを用いて単一の立ち上げミラーに入射させるよう構成されている。そして、この光路合流ミラーに入射する記録・再生光の一部を、立ち上げミラーの存在する方向とは異なる方向へ透過又は反射させ、単一のフォトダイオードに入射させるようにしている(例えば、特許文献1又は2参照。)。
【0006】
図1に、単一のフォトダイオードをフロントモニタとして備えた従来の二波長対応光ピックアップの一例を示す。
【0007】
図示の光ピックアップは、第1の波長の第1のレーザ光を出射させる第1のレーザダイオードLD1と、第1の波長とは異なる第2の波長の第2のレーザ光を出射させる第2のレーザダイオードLD2と、光学レンズLと、第1及び第2のグレーティングGRT1,GRT2と、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2と、1/4波長板QWPと、立上げミラーMIRと、コリメータレンズCLと、アパーチャAPと、対物レンズOLと、センサレンズSLと、受光素子PDと、フロントモニタFMとを有している。
【0008】
この光ピックアップでは、第1のレーザダイオードLD1から出射した第1のレーザ光は、第1のグレーティングGRT1を介して第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1に入射する。また、第2のレーザダイオードLD2から出射したレーザ光は、レンズL及び第2のグレーティングGRT2を介して第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2に入射する。ダイクロイックビームスプリッタDBS1及びDBS2にそれぞれ入射したレーザ光は、図の右方向へ向かって反射され、1/4波長板QWP、立上げミラーMIR、コリメータレンズCL、アパーチャAP及び対物レンズOLを介して光ディスク記録媒体DISC上に照射される。これにより、光ディスクDISCに対する記録が実行される。
【0009】
光ディスクDISCからの情報を読み出す場合は、上記と同様にして光ディスクDISCにレーザ光を照射すると、その光ディスクDISCからの反射光が、対物レンズOL、アパーチャAP、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1及びDBS2、及びセンサレンズSLを介して、受光素子PDに入射する。
【0010】
この光ピックアップ装置では、立上げミラーMIRが、ダイクロイックビームスプリッタDBS1側から入射するレーザ光の一部を透過するよう構成されている。そして、立上げミラーMIRの裏面側には、透過したレーザ光を受光するフロントモニタFMが配置されている。このような構成によれば、単一のフロントモニタFMを用いて、2つのレーザダイオードLD1及びLD2からそれぞれ出射されたレーザ光の一部を共に検出することができ、両方のレーザダイオードLD1及びLD2の出力制御を行うことができる。
【0011】
なお、フロントモニタFMは、図2に示すように、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1の後方(第1のレーザダイオードとは反対側の位置)に配置するようにしてもよい。この場合、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1の反射・透過特性は、図1のものとは異なり、第1のレーザダイオードLD1からのレーザ光の一部を透過し、第2のレーザダイオードLD2からのレーザ光の一部を反射するようにする必要がある。また、立上げミラーMIRについては、全反射ミラーとすることができる。
【0012】
ところで、レーザダイオードからの記録・再生光の一部をビームスプリッタや光路合流ミラー、あるいは立上げミラー等を用いてフロントモニタに入射させるようにすると、本来記録・再生に使用されるべきレーザ光の利用効率が低下するという問題点を生じる。
【0013】
レーザダイオードを1個しか持たない単一波長型光ピックアップ装置の場合は、レーザダイオードから出射される光のうち、記録・再生に関与しない光(有効範囲外の光)を凸レンズやホログラムパターン等を用いて光路変更して、フロントモニタに入射させることにより、この問題を解決するすることができる(例えば、特許文献3参照。)。
【0014】
また、ビームスプリッタの反射膜には、その反射率が製造バラツキを有し、かつ湿度変化に伴って変動するという問題点もある。
【0015】
単一波長型光ピックアップ装置の場合、前述のように、有効範囲外の光を利用することによりこの問題も解決できる。また、ビームスプリッタの反射膜の反射率に関係なく記録・再生光の強さを検出できるように、レーザダイオードからの記録・再生光を、プリズムの無反射コーディングが施されていない面に所定の入射角で入射させてその一部を反射させ、フォトダイオードに入射させるようにすることで、この問題を解決することもできる(例えば、特許文献4参照。)。
【0016】
従来の二波長対応光ピックアップにおいても、2個のレーザダイオードにそれぞれ対応するフォトダイオードを備えていれば、上記技術を適用することによって、ビームスプリッタ等を用いて記録・再生光の一部をフロントモニタに入射させたことによって生じる上記の問題を解決することが可能である。
【0017】
【特許文献1】
特開2002−100059号公報
【0018】
【特許文献2】
特開2002−100068号公報
【0019】
【特許文献3】
特開平11−273119号公報
【0020】
【特許文献4】
特開2000−21001号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、レーザダイオードから出射される記録・再生光の一部を、ビームスプリッタ等を用いてフロントモニタに導くようにすると、記録・再生光の利用効率が低下するという問題点がある。また、ダイクロイックビームスプリッタや立上げミラーの反射膜(透過率及び/又は反射率)には波長依存性があるため、周囲の環境変化等によりレーザ光の波長が変化すると、フロントモニタに入射するレーザ光の光量が変化(検出精度が変化)するという問題点もある。
【0022】
これらの問題点は、上述の特許文献1に記載された技術により解決可能であるが、それをそのまま二波長対応光ピックアップに適用したのでは、各レーザダイオードに対応するフォトダイオードが必要となるり、小型化の要求に応えられなくなる。つまり、単一のフロントモニタを備える二波長対応光ピックアップに関しては、小型化が優先され、未だ、上記のような問題点を解決するための提案は成されていない。
【0023】
そこで、本発明は、2つのレーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を、ダイクロイックビームスプリッタや立上げミラーを介することなく、単一のフロントモニタで検出することができるようにした二波長対応光ピックアップを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、互いに異なる波長のレーザ光を互いに異なる方向に出射させる第1及び第2のレーザダイオード(LD1,LD2)と、これら第1及び第2のレーザダイオード(LD1,LD2)から出射されるレーザ光をそれぞれ透過し回折させる第1及び第2のグレーティング(GRT1,GRT2)とを備えた二波長対応型の光ピックアップにおいて、前記第1及び第2のグレーティング(GRT1,GRT2)を透過したレーザ光の有効範囲外の光の一部をそれぞれ予め定められた方向ヘ向かって出射させる第1及び第2のフレネル素子(42)を前記第1及び第2のグレーティング(GRT1,GRT2)にそれぞれ設けるとともに、前記第1及び第2のフレネル素子(42)から出射された光が互いに交差する位置にフロントモニタ(FM)を設け、該フロントモニタの出力に基づいて前記第1及び第2のレーザダイオードの出力を制御できるようにしたことを特徴とする光ピックアップが得られる。
【0025】
なお、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
図3に本発明の一実施の形態に係る光ピックアップの光学系の構成を示す。図3の光ピックアップは、第1の波長の第1のレーザ光を出射させる第1のレーザダイオードLD1と、第1の波長とは異なる第2の波長の第2のレーザ光を出射させる第2のレーザダイオードLD2と、光学レンズLと、第1及び第2のグレーティングGRT1,GRT2と、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2と、1/4波長板QWPと、立上げミラーMIRと、コリメータレンズCLと、アパーチャAPと、対物レンズOLと、センサレンズSLと、受光素子PDと、フロントモニタFMとを有している。
【0028】
次に、この光ピックアップの各光学要素の配置について説明する。
【0029】
第1のレーザダイオードLD1と第2のレーザダイオードLD2は、それぞれが出射するレーザ光の光軸OA1,OA2が、所定の距離を置いて互いに平行となるよう、互いに逆向きに、かつ図の上下方向に離れて配置されている。
【0030】
第1のグレーティングGRT1及び第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1は、光軸OA1上に、この順序で配置されている。また、光学レンズL、第2のグレーティングGRT2及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2は、光軸OA2上にこの順序で配置されている。
【0031】
第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1と第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2とは、各々の反射膜が光軸OA1,OA2に対してそれぞれ45度の角度を成し、そこで反射された第1及び第2のレーザ光の光軸が互いに一致して主光軸OA3を形成するように、隣接配置されている。
【0032】
主光軸OA3上には、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDSB1,DSB2の右側に、1/4波長板QWP及び立上げミラーMIRが、この順序で配置されている。また、主光軸OA3上には、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDSB1,DSB2の左側に、センサレンズSL及び受光素子PDが、この順序で配置されている。
【0033】
立上げミラーMIRは、その反射面が、主光軸OA3に対して45度の角度を成すように配置されている。立上げミラーMIRで反射された第1及び第2のレーザ光の光軸OA4上には、コリメータレンズCL、アパーチャAP及び対物レンズOLが、この順序で配置されている。
【0034】
フロントモニタFMは、第1のグレーティングで屈折させられた第1のレーザ光の一部と、第2のグレーティングで屈折させられた第2のレーザ光の一部を共に受光できる位置(2つのレーザ光が交差する位置)に配置されている。
【0035】
次に、各光学要素の作用(働き)について説明する。
【0036】
第1のレーザダイオードLD1は、第1の波長としてDVD用の波長約650nmを持つ第1のレーザ光を出射する。他方、第2のレーザダイオードLD2は、第2の波長としてCD用の波長約780nmを持つ第2のレーザ光を出射する。
【0037】
第1のグレーティングGRT1は、第1のレーザダイオードLD1から出射された第1のレーザ光のうち中央部の光(記録・再生及びその際のトラッキング制御に用いられるレーザ光、以下有効範囲内の光)を3本のレーザ光(中央の光束とその両側の2本の光束)に分割する。分割された3本のレーザ光のうち中央の光束は、光ディスクDISCに対するフォーカス制御に用いられ、残りの2本(両側)の光束は、その際のトラッキング制御に用いられる。
【0038】
第1のグレーティングGRT1は、また、第1のレーザ光のうちの周辺部の光(記録・再生及びその際のトラッキング制御のいずれにも用いられないレーザ光、以下有効範囲外の光)の一部の進行方向を変え、フロントモニタFMに入射させる。
【0039】
第1のグレーティングGRT1は、例えば、略直方体の透明ガラス又は透明樹脂(即ち、透明ガラス板又は透明樹脂板)からなり、図4(a)及び(b)に示すように、その一面(出射面)上に、回折格子41及びフレネル部(フレネル素子)42が形成されている。回折格子41は、上述したように、有効範囲内の光を3本の光束に分割し、フレネル部42は、有効範囲外の光の一部を屈折させる。これらの回折格子41及びフレネル部42は、第1のグレーティングがガラス性の場合は、別々のエッチング工程により形成され、樹脂製の場合は、成形金型に対応する形状を形成しておくことにより、成形時に同時形成される。
【0040】
第2のグレーティングGRT2は、第1のグレーティングGRT1と同様である。光学レンズLは、この第2のグレーティングGRT2に入射する第2のレーザダイオードから出射されたレーザ光の広がり角を調節する。
【0041】
第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1は、第1のグレーティングGRT1側から光軸OA1に沿って入射する第1のレーザ光(3本の光束)を全反射し、その進路方向を主光軸OA3に沿ったものに変え、1/4波長板QWPに入射させる。また、1/4波長板QWP側から主光軸OA3に沿って入射する戻り光(光ディスクDISCからの反射光)を透過させ、第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2側へ出射する。さらに、この第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1は、第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2側から主光軸OA3に沿って入射する第2のレーザ光を透過させ、1/4波長板QWPに入射させる。
【0042】
第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2は、第2のグレーティングGRT2側から光軸OA2に沿って入射する第2のレーザ光(3本の光束)を全反射し、その進路方向を主光軸OA3に沿ったものに変え、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1に入射させる。また、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1側から主光軸OA3に沿って入射する戻り光を透過させ、センサレンズSLに入射させる。
【0043】
1/4波長板QWPは、入射するレーザ光の偏光状態を変える(直線偏光の偏光方向を回転させる)。この1/4波長板QWPの働きにより、例えば、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1からこの1/4波長板QWPに入射するレーザ光がP偏光である場合に、光ディスクDISCで反射された戻り光がS偏光となってダイクロイックビームスプリッタDBS1に入射し、そこ透過することができるようになる。
【0044】
立上げミラーMIRは、1/4波長板QWP側から入射するレーザ光をコリメータレンズCL側へ反射し、コリメータレンズCL側から入射する戻り光を1/4波長板QWP側へ反射する全反射ミラーである。
【0045】
コリメータレンズCLは、立上げミラーMIRで反射されたレーザ光を平行光に変換する。また、光ディスクDISCで反射された戻り光を収束光に変換する。
【0046】
アパーチャAPは、コリメータレンズCLからの平行光の一部を阻止し、残りを通過させることにより、対物レンズに入射するレーザ光の光量を調節する。
【0047】
対物レンズOLは、アパーチャAPを通過したコリメータレンズCLからの平行光を光ディスクDISC上に集光照射する。
【0048】
センサレンズSLは、光ディスクDISCで反射され、対物レンズOL、アパーチャAP、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、及び第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2を介して入射する戻り光を拡大又は収束させて、受光素子PDに入射させる。
【0049】
受光素子PDは、センサレンズSLで拡大又は収束された戻り光を受光する。
【0050】
フロントモニタFMは、第1のグレーティングのフレネル部で屈折させられた第1のレーザ光のうちの有効範囲外の光の一部と、第2のグレーティングのフレネル部で屈折させられた第2のレーザ光のうちの有効範囲外の光の一部とを共に受光する。フロントモニタFMの検出出力は、図示しないAPC回路に供給され、第1及び第2のレーザダイオードLD1,LD2の出力制御に利用される。
【0051】
次に、図3の光ピックアップの動作について説明する。
【0052】
光ディスクDISCがDVDの場合、第1のレーザダイオードLD1が、第1のレーザ光を出射する。
【0053】
第1のレーザダイオードLD1から出射された第1のレーザ光は、第1のグレーティングGRT1に入射し、その中央部は、回折格子41で3本の光束に分割され、周辺部の一部は、フレネル部42によりフロントモニタFMに向かって出射される。
【0054】
回折格子41で分割された3本の光束は、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1で全反射され、1/4波長板QWP、立上げミラーMIR、コリメータレンズCL、アパーチャAP、及び対物レンズOLを介して光ディスクDISCに照射される。
【0055】
記録モードの場合は、以上のように動作し、再生モードの場合は、更に以下のように動作する。
【0056】
即ち、光ディスクDISCで反射された戻り光は、対物レンズOL、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2、及びセンサレンズSLを介して受光素子PDによって受光される。
【0057】
以上の動作の間、フロントモニタFMは、第1のグレーティングからのレーザ光の光量に応じた検出信号を図示しないAPC回路に出力し続ける。APC回路は、フロントモニタFMからの検出信号に応じて、第1のレーザダイオードLD1の駆動電圧を制御し、記録モード又再生モードに適した出力パワーとなるようにする。
【0058】
光ディスクDISCがCDである場合、第2のレーザダイオードLD2が第2のレーザ光を出射する。
【0059】
第2のレーザダイオードLD2から出射された第2のレーザ光は、光学レンズLにて広がり角の調整を受けた後、第2のグレーティングGRT2に入射する。第2のグレーティングは、第1のグレーティングと同様に、入射するレーザ光の中央部を、回折格子41により3本の光束に分割し、周辺部の一部を、フレネル部42によりフロントモニタFMに向かって出射する。
【0060】
回折格子41で分割された3本の光束は、第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2で全反射され、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1、1/4波長板QWP、立上げミラーMIR、コリメータレンズCL、アパーチャAP、及び対物レンズOLを介して光ディスクDISCに照射される。
【0061】
光ディスクDISCで反射された戻り光は、対物レンズOL、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2、及びセンサレンズSLを介して受光素子PDによって受光される。
【0062】
以上の動作の間、フロントモニタFMは、第2のグレーティングからのレーザ光の光量に応じた検出信号をAPC回路に出力し続ける。APC回路は、フロントモニタFMからの検出信号に応じて、第2のレーザダイオードLD2の駆動電流を制御し、記録モード又再生モードに適した出力パワーとなるようにする。
【0063】
以上のように、本実施の形態による光ピックアップでは、第1及び第2のレーザダイオードLD1,LD2にそれぞれ対応して設けられている第1及び第2のグレーティングGRT1,GRT2に、フレネル部42を設けることにより、各レーザダイオードLD1,LD2から出射されるレーザ光のうち、記録・再生に関与しない有効範囲外の光の一部を単一のフロントモニタFMで検出することができる。しかも、フロントモニタFMに入射する光は、ダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2や立上げミラーMIRの反射膜を透過、又は反射膜で反射されたものではない。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、2つのレーザダイオードにそれぞれ対応するグレーティングに各々フレネル素子を設け、各レーザダイオードからのレーザ光のうち有効範囲外の光を所定方向へ向かわせるようにしたことで、部品点数を増加させることなく、また、各レーザダイオードからのレーザ光のうち有効範囲内の光の利用効率を低下させることなく、単一のフロントモニタを用いて、各レーザダイオードの出力制御を行うことができる。
【0065】
また、本発明によれば、各レーザダイオードから出射したレーザ光を、ダイクロイックビームスプリッタや立上げミラーを介することなくフロントモニタに入射させるようにしたことで、周囲環境の変化による影響を受け難く、精度よくレーザ光の光量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の単一のフロントモニタを備えた二波長対応光ピックアップの光学系を示す図である。
【図2】従来の他の単一のフロントモニタを備えた二波長対応光ピックアップの光学系を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る二波長対応光ピックアップの光学系の構成を示す図である。
【図4】図3の光ピックアップに用いられるグレーティングの(a)正面図及び(b)側面図である。
【符号の説明】
LD1 第1のレーザダイオード
LD2 第2のレーザダイオード
L 光学レンズ
GRT1 第1のグレーティング
GRT2 第2のグレーティング
DBS1 第1のダイクロイックビームスプリッタ
DBS2 第2のダイクロイックビームスプリッタ
QWP 1/4波長板
MIR 立上げミラー
CL コリメータレンズ
AP アパーチャ
OL 対物レンズ
DISC 光ディスク
SL センサレンズ
PD 受光素子
FM フロントモニタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップに関し、特に、2種類の情報記録媒体に対して異なる波長の光を用いて情報の記録・再生を行う二波長対応光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光ディスク記録媒体に対して情報の記録・再生を行う光ピックアップ装置においては、レーザダイオードから出射される記録・再生光(有効範囲内の光)の強さを適切に制御するために、フォトダイオード(フロントモニタ)及びAPC(Auto Power Control)回路を用いたフィードバック制御が行われている。
【0003】
互いに異なる波長の記録・再生光を発する2個のレーザダイオードを備え、2種類の光ディスク記録媒体(例えば、DVDとCD)に対して情報を記録・再生することができる光ピックアップ(以下、二波長対応光ピックアップ。)の場合は、各レーザダイオードについてそれぞれ上記のようなフィードバック制御を行う必要がある。
【0004】
従来の二波長対応光ピックアップは、2個のレーザダイオードからそれぞれ出射される記録・再生光をそれぞれ検出するために、2個のフォトダイオード(フロントモニタ)を備えている。そして、各レーザダイオードから出射される記録・再生光の一部をビームスプリッタ等を用いて分岐させ、対応するフォトダイオードに入射させるようにしている。
【0005】
また、装置全体の構成を簡素化するため、2個のレーザダイオードからそれぞれ出射される記録・再生光の一部を1個のフォトダイオードで検出するように構成した二波長対応光ピックアップも既に提案されている。この提案に係る二波長対応光ピックアップは、2つのレーザダイオードからそれぞれ出射される記録・再生光を光路合流ミラーを用いて単一の立ち上げミラーに入射させるよう構成されている。そして、この光路合流ミラーに入射する記録・再生光の一部を、立ち上げミラーの存在する方向とは異なる方向へ透過又は反射させ、単一のフォトダイオードに入射させるようにしている(例えば、特許文献1又は2参照。)。
【0006】
図1に、単一のフォトダイオードをフロントモニタとして備えた従来の二波長対応光ピックアップの一例を示す。
【0007】
図示の光ピックアップは、第1の波長の第1のレーザ光を出射させる第1のレーザダイオードLD1と、第1の波長とは異なる第2の波長の第2のレーザ光を出射させる第2のレーザダイオードLD2と、光学レンズLと、第1及び第2のグレーティングGRT1,GRT2と、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2と、1/4波長板QWPと、立上げミラーMIRと、コリメータレンズCLと、アパーチャAPと、対物レンズOLと、センサレンズSLと、受光素子PDと、フロントモニタFMとを有している。
【0008】
この光ピックアップでは、第1のレーザダイオードLD1から出射した第1のレーザ光は、第1のグレーティングGRT1を介して第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1に入射する。また、第2のレーザダイオードLD2から出射したレーザ光は、レンズL及び第2のグレーティングGRT2を介して第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2に入射する。ダイクロイックビームスプリッタDBS1及びDBS2にそれぞれ入射したレーザ光は、図の右方向へ向かって反射され、1/4波長板QWP、立上げミラーMIR、コリメータレンズCL、アパーチャAP及び対物レンズOLを介して光ディスク記録媒体DISC上に照射される。これにより、光ディスクDISCに対する記録が実行される。
【0009】
光ディスクDISCからの情報を読み出す場合は、上記と同様にして光ディスクDISCにレーザ光を照射すると、その光ディスクDISCからの反射光が、対物レンズOL、アパーチャAP、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1及びDBS2、及びセンサレンズSLを介して、受光素子PDに入射する。
【0010】
この光ピックアップ装置では、立上げミラーMIRが、ダイクロイックビームスプリッタDBS1側から入射するレーザ光の一部を透過するよう構成されている。そして、立上げミラーMIRの裏面側には、透過したレーザ光を受光するフロントモニタFMが配置されている。このような構成によれば、単一のフロントモニタFMを用いて、2つのレーザダイオードLD1及びLD2からそれぞれ出射されたレーザ光の一部を共に検出することができ、両方のレーザダイオードLD1及びLD2の出力制御を行うことができる。
【0011】
なお、フロントモニタFMは、図2に示すように、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1の後方(第1のレーザダイオードとは反対側の位置)に配置するようにしてもよい。この場合、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1の反射・透過特性は、図1のものとは異なり、第1のレーザダイオードLD1からのレーザ光の一部を透過し、第2のレーザダイオードLD2からのレーザ光の一部を反射するようにする必要がある。また、立上げミラーMIRについては、全反射ミラーとすることができる。
【0012】
ところで、レーザダイオードからの記録・再生光の一部をビームスプリッタや光路合流ミラー、あるいは立上げミラー等を用いてフロントモニタに入射させるようにすると、本来記録・再生に使用されるべきレーザ光の利用効率が低下するという問題点を生じる。
【0013】
レーザダイオードを1個しか持たない単一波長型光ピックアップ装置の場合は、レーザダイオードから出射される光のうち、記録・再生に関与しない光(有効範囲外の光)を凸レンズやホログラムパターン等を用いて光路変更して、フロントモニタに入射させることにより、この問題を解決するすることができる(例えば、特許文献3参照。)。
【0014】
また、ビームスプリッタの反射膜には、その反射率が製造バラツキを有し、かつ湿度変化に伴って変動するという問題点もある。
【0015】
単一波長型光ピックアップ装置の場合、前述のように、有効範囲外の光を利用することによりこの問題も解決できる。また、ビームスプリッタの反射膜の反射率に関係なく記録・再生光の強さを検出できるように、レーザダイオードからの記録・再生光を、プリズムの無反射コーディングが施されていない面に所定の入射角で入射させてその一部を反射させ、フォトダイオードに入射させるようにすることで、この問題を解決することもできる(例えば、特許文献4参照。)。
【0016】
従来の二波長対応光ピックアップにおいても、2個のレーザダイオードにそれぞれ対応するフォトダイオードを備えていれば、上記技術を適用することによって、ビームスプリッタ等を用いて記録・再生光の一部をフロントモニタに入射させたことによって生じる上記の問題を解決することが可能である。
【0017】
【特許文献1】
特開2002−100059号公報
【0018】
【特許文献2】
特開2002−100068号公報
【0019】
【特許文献3】
特開平11−273119号公報
【0020】
【特許文献4】
特開2000−21001号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、レーザダイオードから出射される記録・再生光の一部を、ビームスプリッタ等を用いてフロントモニタに導くようにすると、記録・再生光の利用効率が低下するという問題点がある。また、ダイクロイックビームスプリッタや立上げミラーの反射膜(透過率及び/又は反射率)には波長依存性があるため、周囲の環境変化等によりレーザ光の波長が変化すると、フロントモニタに入射するレーザ光の光量が変化(検出精度が変化)するという問題点もある。
【0022】
これらの問題点は、上述の特許文献1に記載された技術により解決可能であるが、それをそのまま二波長対応光ピックアップに適用したのでは、各レーザダイオードに対応するフォトダイオードが必要となるり、小型化の要求に応えられなくなる。つまり、単一のフロントモニタを備える二波長対応光ピックアップに関しては、小型化が優先され、未だ、上記のような問題点を解決するための提案は成されていない。
【0023】
そこで、本発明は、2つのレーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を、ダイクロイックビームスプリッタや立上げミラーを介することなく、単一のフロントモニタで検出することができるようにした二波長対応光ピックアップを提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、互いに異なる波長のレーザ光を互いに異なる方向に出射させる第1及び第2のレーザダイオード(LD1,LD2)と、これら第1及び第2のレーザダイオード(LD1,LD2)から出射されるレーザ光をそれぞれ透過し回折させる第1及び第2のグレーティング(GRT1,GRT2)とを備えた二波長対応型の光ピックアップにおいて、前記第1及び第2のグレーティング(GRT1,GRT2)を透過したレーザ光の有効範囲外の光の一部をそれぞれ予め定められた方向ヘ向かって出射させる第1及び第2のフレネル素子(42)を前記第1及び第2のグレーティング(GRT1,GRT2)にそれぞれ設けるとともに、前記第1及び第2のフレネル素子(42)から出射された光が互いに交差する位置にフロントモニタ(FM)を設け、該フロントモニタの出力に基づいて前記第1及び第2のレーザダイオードの出力を制御できるようにしたことを特徴とする光ピックアップが得られる。
【0025】
なお、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
図3に本発明の一実施の形態に係る光ピックアップの光学系の構成を示す。図3の光ピックアップは、第1の波長の第1のレーザ光を出射させる第1のレーザダイオードLD1と、第1の波長とは異なる第2の波長の第2のレーザ光を出射させる第2のレーザダイオードLD2と、光学レンズLと、第1及び第2のグレーティングGRT1,GRT2と、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2と、1/4波長板QWPと、立上げミラーMIRと、コリメータレンズCLと、アパーチャAPと、対物レンズOLと、センサレンズSLと、受光素子PDと、フロントモニタFMとを有している。
【0028】
次に、この光ピックアップの各光学要素の配置について説明する。
【0029】
第1のレーザダイオードLD1と第2のレーザダイオードLD2は、それぞれが出射するレーザ光の光軸OA1,OA2が、所定の距離を置いて互いに平行となるよう、互いに逆向きに、かつ図の上下方向に離れて配置されている。
【0030】
第1のグレーティングGRT1及び第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1は、光軸OA1上に、この順序で配置されている。また、光学レンズL、第2のグレーティングGRT2及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2は、光軸OA2上にこの順序で配置されている。
【0031】
第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1と第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2とは、各々の反射膜が光軸OA1,OA2に対してそれぞれ45度の角度を成し、そこで反射された第1及び第2のレーザ光の光軸が互いに一致して主光軸OA3を形成するように、隣接配置されている。
【0032】
主光軸OA3上には、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDSB1,DSB2の右側に、1/4波長板QWP及び立上げミラーMIRが、この順序で配置されている。また、主光軸OA3上には、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDSB1,DSB2の左側に、センサレンズSL及び受光素子PDが、この順序で配置されている。
【0033】
立上げミラーMIRは、その反射面が、主光軸OA3に対して45度の角度を成すように配置されている。立上げミラーMIRで反射された第1及び第2のレーザ光の光軸OA4上には、コリメータレンズCL、アパーチャAP及び対物レンズOLが、この順序で配置されている。
【0034】
フロントモニタFMは、第1のグレーティングで屈折させられた第1のレーザ光の一部と、第2のグレーティングで屈折させられた第2のレーザ光の一部を共に受光できる位置(2つのレーザ光が交差する位置)に配置されている。
【0035】
次に、各光学要素の作用(働き)について説明する。
【0036】
第1のレーザダイオードLD1は、第1の波長としてDVD用の波長約650nmを持つ第1のレーザ光を出射する。他方、第2のレーザダイオードLD2は、第2の波長としてCD用の波長約780nmを持つ第2のレーザ光を出射する。
【0037】
第1のグレーティングGRT1は、第1のレーザダイオードLD1から出射された第1のレーザ光のうち中央部の光(記録・再生及びその際のトラッキング制御に用いられるレーザ光、以下有効範囲内の光)を3本のレーザ光(中央の光束とその両側の2本の光束)に分割する。分割された3本のレーザ光のうち中央の光束は、光ディスクDISCに対するフォーカス制御に用いられ、残りの2本(両側)の光束は、その際のトラッキング制御に用いられる。
【0038】
第1のグレーティングGRT1は、また、第1のレーザ光のうちの周辺部の光(記録・再生及びその際のトラッキング制御のいずれにも用いられないレーザ光、以下有効範囲外の光)の一部の進行方向を変え、フロントモニタFMに入射させる。
【0039】
第1のグレーティングGRT1は、例えば、略直方体の透明ガラス又は透明樹脂(即ち、透明ガラス板又は透明樹脂板)からなり、図4(a)及び(b)に示すように、その一面(出射面)上に、回折格子41及びフレネル部(フレネル素子)42が形成されている。回折格子41は、上述したように、有効範囲内の光を3本の光束に分割し、フレネル部42は、有効範囲外の光の一部を屈折させる。これらの回折格子41及びフレネル部42は、第1のグレーティングがガラス性の場合は、別々のエッチング工程により形成され、樹脂製の場合は、成形金型に対応する形状を形成しておくことにより、成形時に同時形成される。
【0040】
第2のグレーティングGRT2は、第1のグレーティングGRT1と同様である。光学レンズLは、この第2のグレーティングGRT2に入射する第2のレーザダイオードから出射されたレーザ光の広がり角を調節する。
【0041】
第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1は、第1のグレーティングGRT1側から光軸OA1に沿って入射する第1のレーザ光(3本の光束)を全反射し、その進路方向を主光軸OA3に沿ったものに変え、1/4波長板QWPに入射させる。また、1/4波長板QWP側から主光軸OA3に沿って入射する戻り光(光ディスクDISCからの反射光)を透過させ、第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2側へ出射する。さらに、この第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1は、第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2側から主光軸OA3に沿って入射する第2のレーザ光を透過させ、1/4波長板QWPに入射させる。
【0042】
第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2は、第2のグレーティングGRT2側から光軸OA2に沿って入射する第2のレーザ光(3本の光束)を全反射し、その進路方向を主光軸OA3に沿ったものに変え、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1に入射させる。また、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1側から主光軸OA3に沿って入射する戻り光を透過させ、センサレンズSLに入射させる。
【0043】
1/4波長板QWPは、入射するレーザ光の偏光状態を変える(直線偏光の偏光方向を回転させる)。この1/4波長板QWPの働きにより、例えば、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1からこの1/4波長板QWPに入射するレーザ光がP偏光である場合に、光ディスクDISCで反射された戻り光がS偏光となってダイクロイックビームスプリッタDBS1に入射し、そこ透過することができるようになる。
【0044】
立上げミラーMIRは、1/4波長板QWP側から入射するレーザ光をコリメータレンズCL側へ反射し、コリメータレンズCL側から入射する戻り光を1/4波長板QWP側へ反射する全反射ミラーである。
【0045】
コリメータレンズCLは、立上げミラーMIRで反射されたレーザ光を平行光に変換する。また、光ディスクDISCで反射された戻り光を収束光に変換する。
【0046】
アパーチャAPは、コリメータレンズCLからの平行光の一部を阻止し、残りを通過させることにより、対物レンズに入射するレーザ光の光量を調節する。
【0047】
対物レンズOLは、アパーチャAPを通過したコリメータレンズCLからの平行光を光ディスクDISC上に集光照射する。
【0048】
センサレンズSLは、光ディスクDISCで反射され、対物レンズOL、アパーチャAP、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、及び第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2を介して入射する戻り光を拡大又は収束させて、受光素子PDに入射させる。
【0049】
受光素子PDは、センサレンズSLで拡大又は収束された戻り光を受光する。
【0050】
フロントモニタFMは、第1のグレーティングのフレネル部で屈折させられた第1のレーザ光のうちの有効範囲外の光の一部と、第2のグレーティングのフレネル部で屈折させられた第2のレーザ光のうちの有効範囲外の光の一部とを共に受光する。フロントモニタFMの検出出力は、図示しないAPC回路に供給され、第1及び第2のレーザダイオードLD1,LD2の出力制御に利用される。
【0051】
次に、図3の光ピックアップの動作について説明する。
【0052】
光ディスクDISCがDVDの場合、第1のレーザダイオードLD1が、第1のレーザ光を出射する。
【0053】
第1のレーザダイオードLD1から出射された第1のレーザ光は、第1のグレーティングGRT1に入射し、その中央部は、回折格子41で3本の光束に分割され、周辺部の一部は、フレネル部42によりフロントモニタFMに向かって出射される。
【0054】
回折格子41で分割された3本の光束は、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1で全反射され、1/4波長板QWP、立上げミラーMIR、コリメータレンズCL、アパーチャAP、及び対物レンズOLを介して光ディスクDISCに照射される。
【0055】
記録モードの場合は、以上のように動作し、再生モードの場合は、更に以下のように動作する。
【0056】
即ち、光ディスクDISCで反射された戻り光は、対物レンズOL、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2、及びセンサレンズSLを介して受光素子PDによって受光される。
【0057】
以上の動作の間、フロントモニタFMは、第1のグレーティングからのレーザ光の光量に応じた検出信号を図示しないAPC回路に出力し続ける。APC回路は、フロントモニタFMからの検出信号に応じて、第1のレーザダイオードLD1の駆動電圧を制御し、記録モード又再生モードに適した出力パワーとなるようにする。
【0058】
光ディスクDISCがCDである場合、第2のレーザダイオードLD2が第2のレーザ光を出射する。
【0059】
第2のレーザダイオードLD2から出射された第2のレーザ光は、光学レンズLにて広がり角の調整を受けた後、第2のグレーティングGRT2に入射する。第2のグレーティングは、第1のグレーティングと同様に、入射するレーザ光の中央部を、回折格子41により3本の光束に分割し、周辺部の一部を、フレネル部42によりフロントモニタFMに向かって出射する。
【0060】
回折格子41で分割された3本の光束は、第2のダイクロイックビームスプリッタDBS2で全反射され、第1のダイクロイックビームスプリッタDBS1、1/4波長板QWP、立上げミラーMIR、コリメータレンズCL、アパーチャAP、及び対物レンズOLを介して光ディスクDISCに照射される。
【0061】
光ディスクDISCで反射された戻り光は、対物レンズOL、コリメータレンズCL、立上げミラーMIR、1/4波長板QWP、第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2、及びセンサレンズSLを介して受光素子PDによって受光される。
【0062】
以上の動作の間、フロントモニタFMは、第2のグレーティングからのレーザ光の光量に応じた検出信号をAPC回路に出力し続ける。APC回路は、フロントモニタFMからの検出信号に応じて、第2のレーザダイオードLD2の駆動電流を制御し、記録モード又再生モードに適した出力パワーとなるようにする。
【0063】
以上のように、本実施の形態による光ピックアップでは、第1及び第2のレーザダイオードLD1,LD2にそれぞれ対応して設けられている第1及び第2のグレーティングGRT1,GRT2に、フレネル部42を設けることにより、各レーザダイオードLD1,LD2から出射されるレーザ光のうち、記録・再生に関与しない有効範囲外の光の一部を単一のフロントモニタFMで検出することができる。しかも、フロントモニタFMに入射する光は、ダイクロイックビームスプリッタDBS1,DBS2や立上げミラーMIRの反射膜を透過、又は反射膜で反射されたものではない。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、2つのレーザダイオードにそれぞれ対応するグレーティングに各々フレネル素子を設け、各レーザダイオードからのレーザ光のうち有効範囲外の光を所定方向へ向かわせるようにしたことで、部品点数を増加させることなく、また、各レーザダイオードからのレーザ光のうち有効範囲内の光の利用効率を低下させることなく、単一のフロントモニタを用いて、各レーザダイオードの出力制御を行うことができる。
【0065】
また、本発明によれば、各レーザダイオードから出射したレーザ光を、ダイクロイックビームスプリッタや立上げミラーを介することなくフロントモニタに入射させるようにしたことで、周囲環境の変化による影響を受け難く、精度よくレーザ光の光量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の単一のフロントモニタを備えた二波長対応光ピックアップの光学系を示す図である。
【図2】従来の他の単一のフロントモニタを備えた二波長対応光ピックアップの光学系を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る二波長対応光ピックアップの光学系の構成を示す図である。
【図4】図3の光ピックアップに用いられるグレーティングの(a)正面図及び(b)側面図である。
【符号の説明】
LD1 第1のレーザダイオード
LD2 第2のレーザダイオード
L 光学レンズ
GRT1 第1のグレーティング
GRT2 第2のグレーティング
DBS1 第1のダイクロイックビームスプリッタ
DBS2 第2のダイクロイックビームスプリッタ
QWP 1/4波長板
MIR 立上げミラー
CL コリメータレンズ
AP アパーチャ
OL 対物レンズ
DISC 光ディスク
SL センサレンズ
PD 受光素子
FM フロントモニタ
Claims (4)
- 互いに異なる波長のレーザ光を互いに異なる方向に出射させる第1及び第2のレーザダイオードと、これら第1及び第2のレーザダイオードから出射されるレーザ光をそれぞれ透過し回折させる第1及び第2のグレーティングとを備えた二波長対応型の光ピックアップにおいて、
前記第1及び第2のグレーティングを透過したレーザ光の有効範囲外の光の一部をそれぞれ予め定められた方向ヘ向かって出射させる第1及び第2のフレネル素子を前記第1及び第2のグレーティングにそれぞれ設けるとともに、前記第1及び第2のフレネル素子から出射された光が互いに交差する位置にフロントモニタを設け、該フロントモニタの出力に基づいて前記第1及び第2のレーザダイオードの出力を制御できるようにしたことを特徴とする光ピックアップ。 - 前記第1及び第2のレーザダイオードからの前記レーザ光の出射方向が平行かつ逆向きであることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記第1及び第2のグレーティングを透過したレーザ光の少なくとも有効範囲内の光を互いに隣接配置された第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタにそれぞれ入射させ、これら第1及び第2のダイクロイックビームスプリッタで反射されたレーザ光の光路を互いに一致させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ピックアップ。
- 前記第1及び第2のグレーティングが、同一面上に回折格子部とフレネル部とが形成された透明ガラス板又は透明樹脂板であることを特徴とする請求項1,2、または3に記載の光ピックアップ。
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