本発明は、メモリやマイクロプロセッサ(中央演算部、CPUやMPU)等として機能する非常に薄型の薄膜集積回路を搭載し、主に人間、動植物、商品等を識別するためのIDラベル、IDタグ、IDカードなどの商品等管理用物品に関する。
近年、食品業界、製造業界等のあらゆる産業界において、商品の安全性や管理体制の強化を求める声が高まっており、それに伴い商品に関する情報量が増加しつつある。しかし、現状の商品情報は、主にバーコードの十数桁の数字により提供される製造国、メーカー、商品番号等の情報程度であり、情報量が非常に少なかった。またバーコードを利用した場合、一つ一つを手作業で行うため読み取りに時間を要していた。そこで、バーコードシステムに代わり、RFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれる、電磁波を利用した非接触ICタグによる自動認識技術が注目されている。
また、動植物の安全性(例えば、原産地、伝染病の感染の有無等)を確保するために、動植物の体内に直接ICチップを埋め込み、体外の情報読み取り装置(リーダ)によって動植物に関する情報を取得、管理するという体制が普及しつつある。
また、近年、一人当たりが携帯するカード数が増加しており、中でも電磁波を利用して通信を行う非接触型のICカードが、電子乗車券や電子マネーといった形態で普及しつつある(以上、非特許文献1参照)。
日経エレクトロニクス 日経BP社 2002.11.18発行 p.67−76
ところで、非接触型や接触型のIDラベル、IDタグが付される商品やIDカードのうち、その種類によっては、温度差の激しい状況で使用するものも少なくない。その様な商品に非接触型IDラベルやIDタグを付した場合、通信用アンテナとその周囲に設けられる樹脂の熱膨張係数(熱膨張率)の差によって、熱膨張係数の大きい樹脂に応力が加わり、樹脂が割れてしまうおそれがあった。また、商品に接触型ICチップを付した場合、接触電極とその周囲に設けられる樹脂の熱膨張係数の差によって、やはり樹脂が割れてしまうおそれがあった。これは、当然ながら、IDラベル等の製造歩留まり、IDラベル等の寿命、信頼性を低下させる一因となっている。
本発明は、このような状況に鑑みて成されたものであり、IDラベル、IDタグ、IDカードに急激な温度差が加わった場合であっても、アンテナや接触電極を覆う樹脂が応力によって割れるのを防ぐことができるIDラベル、IDタグ、IDカードのような商品等管理用物品の構造、プロセスを提供することを目的としている。
(1)本発明に係るIDラベルは、アンテナと、前記アンテナに接続された薄膜トランジスタを含む薄膜集積回路装置と、前記アンテナの周囲に設けられたフィラーを含む充填層と、接着剤層と、セパレータを有することを特徴としている。
(2)本発明に係るIDタグは、アンテナと、前記アンテナに接続された薄膜トランジスタを含む薄膜集積回路装置と、前記アンテナの周囲に設けられたフィラーを含む充填層を有することを特徴としている。
なお、アンテナを実装したIDチップは無線通信が可能であるので、無線チップとも言う。
(3)本発明に係るIDカードは、アンテナと、前記アンテナに接続された薄膜トランジスタを含む薄膜集積回路装置と、前記アンテナの周囲に設けられたフィラーを含む充填層を有することを特徴としている。
本発明のIDラベル、IDタグ、IDカード及び無線チップは、半導体装置とも言う。
上記発明に係るIDラベル、IDタグ、IDカードが有する薄膜集積回路装置は、いずれも薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)のごとき薄膜能動素子(薄膜非線形素子)を含んでいることを特徴としている。例えば、TFTを用いて薄膜集積回路装置を作製する場合、TFTを被剥離基板に形成した後、被剥離基板を剥離し、素子分離を行うことにより、TFTからなる薄膜集積回路装置を安価で大量生産できるという特徴がある。なお、ここで言う剥離方法には、エッチング等によって剥離層を除去する化学的剥離と、外部から衝撃(ストレス)を与えることによって剥離層を分離する物理的剥離とに大別されるが、これらに限定されない。
また、薄膜集積回路装置とは、従来のシリコンウエハ上に形成された「IC(Integrated Circuit;集積回路)チップ」とは区別される概念であり、TFTに代表される薄膜能動素子と、該薄膜能動素子同士を接続する配線や、該薄膜能動素子と外部機構(例えば、非接触型IDラベルであればアンテナ、接触型IDラベルであれば接触電極)とを接続する配線等によって構成される集積回路装置を指す。勿論、薄膜集積回路装置の構成要素は、これに限定されるものではなく、少なくとも一のTFTに代表される薄膜能動素子を含んでいれば、薄膜集積回路装置というものとする。
なお、本発明に用いられる薄膜集積回路装置は、従来のICチップと異なり、薄膜であることから、IDTチップ(Identification Thin Chip)等と呼ばれる。また、本発明に用いられる薄膜集積回路装置は、後述するように、原則としてシリコンウエハを用いず、ガラス基板や石英基板等の絶縁基板を用い、また、薄膜集積回路装置をフレキシブル基板に転写することも可能であることから、IDGチップ(Identification Glass Chip)、IDFチップ(Identification Flexible Chip)、ソフトチップ(Soft Chip)等とも呼ばれる。以下、薄膜集積回路装置の後に替えて、IDFチップ等と呼ぶことがある。
ここで、IDラベル(Identification Label)とは、主に市場に流通する商品の識別や、それらに関する情報を記憶させる機能を有するものであり、IDシール、IDステッカー等とも呼ばれる。基本的に、IDラベルの一方の面は接着面となっており、商品等に任意に貼り付けることが可能であり、複数回再接着が可能な機能を有するものも含む。勿論、社会通念上、ラベル、シール、ステッカー、レッテル、標識等の部類に属するものであれば、これらに限定されるものではない。
また、アンテナは、外部のリーダ/ライタ等と通信を行う機能を果たす。IDラベル、IDタグ、IDカードを構成する基体に形成されていても良いし、薄膜集積回路装置と一体形成されていても良い。この基体自体は、外部に露出しているものであっても、露出していないもの(内部基体、インレット基体)であってもよい。なお、基体は、単層構造であっても積層構造であってもよく、その材質についても特に制限はない。また、基体は、カバーやコーティングの役割を果たすものであっても良い。
また、IDタグとは、IDラベルと同様、主に市場に流通する商品の識別や、それらに関する情報を記憶させる機能を有するものである。IDラベルやIDタグを商品に備え付けることにより、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、IDタグを備えることにより、所謂トレーサビリティ(Traceability;複雑化した製造、流通の各段階で問題が生じた場合に、経路を遡ることによって、その原因を迅速に把握できる態勢を整えること)に優れた商品を流通させることができる。また、凶悪犯罪や行方不明といった事件が増加する中、特に幼児、児童、老人や旅行者等の個々人の居場所を常時的確に把握し、事故に巻き込まれる可能性を減らすべく、個人を認識するために、IDタグを利用することも可能である。
また、IDカードとは、様々な情報を記憶することが可能な微小な薄膜集積回路装置を有するカードを指し、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、電子乗車券、電子マネー、テレフォンカード、会員カード等のあらゆるカード類を意味する。
また、フィラーとは、充填層の熱膨張率を低下又は増加させる働きをする充填材あるいは混合物である。フィラーの材質としては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)、マグネシア(酸化マグネシウム)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素、ガラス繊維(ガラスファイバー、ガラス長繊維(例えば、円柱状のガラスロッド))、酸化珪素(例えば、真絲球状のもの)、炭素繊維、炭酸カルシウム、タルク(ろう石、タルカン)、マイカ(雲母)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アンテナの導電材料や、TFT等の薄膜能動素子を構成する膜との熱膨張率の差を小さくする材料を用いるのがよい。これによって、アンテナやTFTの集積化により、異種材料における膨張率差によって生じる充填層の剥離や割れを防止することができる。例えば、充填層として樹脂を用いた場合、導電材料や半導体材料よりも熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)が大きいので、上記フィラーを含有させることにより、樹脂のCTEを導電材料や半導体材料に近づけ、低熱膨張性とすることができる。なお、充填層は、高い成形性(低粘性、低チクソトロピー性、高い粘性安定性、最適粒子径)や放熱特性、高熱導電性を有していることが望ましい。
本発明に係るIDラベル、IDタグ、IDカードは、それらを構成する基体に形成されたアンテナと、前記アンテナに接して設けられた、薄膜トランジスタを含む薄膜集積回路装置と、前記基体に接して設けられた、フィラーを含む充填層とを有していることにより、充填層と、アンテナの導電材料や、TFT等の薄膜能動素子を構成する膜との熱膨張率の差を小さくすることができる。したがって、異種材料における膨張率差によって生じる応力を緩和することができ、アンテナやTFTの周囲や間に設けられる充填層の剥離や割れを防止することができる。
また、本発明に係るIDラベル、IDタグ、IDカードが有する薄膜集積回路装置は、いずれもTFTのごとき薄膜能動素子を含んでいることを特徴としているため、TFTを被剥離基板に形成した後、被剥離基板を剥離し、素子分離を行う等の方法により、薄膜集積回路装置を安価で大量生産することができる。また、薄膜能動素子から構成されるため、従来に比べてより薄型のIDラベル、IDタグ、IDカードを得ることができる。
また、従来のシリコン基板上に形成されたICチップのように、裏面研磨を行う必要がなく、工程を大幅に簡略化でき、かつ製造コストを大幅に削減することができる。また、被剥離基板として、シリコン基板よりも安価なガラス基板、石英基板、太陽電池級シリコン基板(太陽電池グレードシリコン基板)等を用いることができ、さらに、被剥離基板を再利用することもできるため、大幅にコスト低減を図ることができる。
また、シリコンウエハで作製されたICのように、クラックや研磨痕の原因となるバックグラインド処理を行う必要がなく、また、素子の厚さのばらつきも、各膜の成膜時におけるばらつきに依存することになるので、大きくても数百nm程度であり、バックグラインド処理による数〜数十μmのばらつきと比べて飛躍的に小さく抑えることができる。
また、本発明に用いられる薄膜集積回路装置は、従来のICチップが約0.06mm(60μm)の厚さを有していたのに比べ非常に薄型(約0.1〜約3μm)であることから、特に紙やフィルム状の樹脂からなる薄型の物品中に、チップとして挿入するのに非常に適している。また、IDFチップは厚さが薄いため、周囲を有機樹脂材料で充填し、一体物とすることが可能である。これによって、曲げ応力によるIDFチップへの影響を阻止することができる。
また、充填層として、特に弾性の高い有機樹脂を用いることにより、変形時の応力は、有機材料を有する層間膜や保護膜に集中し、主にこれらの膜が変形するので、薄膜トランジスタへかかる応力が低減される。また変形が生じる場合に、最も応力が負荷される箇所(エッジ、角)が、半導体膜のエッジではなく下地膜のエッジとなるため、半導体膜のエッジや界面で生じる応力集中を抑えることができる。
以上のごとく、本発明により、低コストで大量生産が可能で、より薄型で、機能性に優れたIDラベル、IDタグ、IDカード等の各種物品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更することができる。例えば、本実施形態及び本実施例の各々を適宜組み合わせて本発明を実施することができる。したがって、本実施の形態及び本実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施形態1)
本発明に係るIDラベルの構造及び作製方法について、主に図1(A)、図4、図5を参照して説明する。図1(A)は、本発明に係るIDラベルの構造を示した斜視図である。ここでは、便宜上、商品等に貼り付けるIDラベルを構成する基体(一般に、「タック紙」などと呼ばれるが、紙素材に限定されない。)部分を下方に、ラベルの台紙となるセパレータを上方に示してある。
図1(A)は、IDラベルを構成する基体10(以後、単に「基体」又は「ラベル基体」ということがある。)に、予めアンテナ11と、該アンテナと薄膜集積回路装置との接続部である接続パッド12を形成しておき、別途形成した薄膜集積回路装置13をラベル基体に貼り付ける場合について示したものである。ラベル基体の表面(本図においては裏側)には、必要に応じて、文字、記号、絵図等のプリント14が施されている。また、非接触型と接触型の機能を併有した所謂ハイブリッド型のIDラベルとしたい場合には、接続端子を構成する配線パターンを印刷法等によって形成しても良い。
次に、アンテナ11及び薄膜集積回路装置13が形成された基体10に接して、フィラー28を含む充填層24を形成する。なお、本明細書に添付された図面において、フィラーについては、その大きさを誇張して描いてある。ここで、充填層24としては、エポキシ、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン等の感光性又は非感光性の有機材料や、シロキサン(シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、若しくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料)等の耐熱性有機樹脂、を用いることができる。形成方法としては、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を採用することができる。なお、充填層24は、上記材料からなる単層構造でも良いし、上記材料を組み合わせた積層構造としても良い。
フィラーの材質としては、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス繊維、酸化珪素、炭素繊維、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アンテナの導電材料や、TFT等の薄膜能動素子を構成する膜との熱膨張率の差を小さくする材料を用いるのがよい。なお、充填層24は、基体10を保護する機能も兼ねている。充填層24は、基体の全部を覆うように形成しても良いし、一部を覆うように形成しても良い。
ここで、充填層24としてエポキシ樹脂(熱膨張率:25〜90×106/℃程度)を、アンテナの導電材料として、Cu(熱膨張率:16.5×106/℃)を用いた場合において、充填層24に酸化珪素等のフィラー28を含有させた効果について簡単に説明する。エポキシ樹脂に50重量%のフィラーを含有させた場合、その熱膨張率は約半分(12.5〜45×106/℃程度)まで低下した。さらに、エポキシ樹脂に75重量%のフィラーを含有させた場合、その熱膨張率は約3分の1(8〜30×106/℃程度)まで低下した。ただし、フィラーの含有量を増加させるほど、エポキシ樹脂の粘性が向上し、形成性が悪化するため、フィラーの含有量は、75重量%以内に抑えるのが望ましい。その上で、フィラーを含有した後の樹脂の熱膨張率が、導電材料の熱膨張率の2倍以下に低下させることができれば、熱膨張率の差による応力の発生を十分に阻止することができる。
また、熱膨張率の高い導電材料と、熱膨張率の低い樹脂とを組み合わせることにより、フィラーの含有量を抑えることもできる。熱膨張率の高い導電材料としては、Cuの他、Ag(熱膨張率:19.6×106/℃)、Al(熱膨張率:24.6×106/℃)、Sn(熱膨張率:21×106/℃)、Zn(熱膨張率:30×106/℃)、Pb(熱膨張率:29×106/℃)、Au(熱膨張率:14.2×106/℃)等が、代表的なものとして挙げられる。また、熱膨張率の低い樹脂としては、エポキシ樹脂の他、シリコーン樹脂(熱膨張率:5〜55×106/℃程度)、アルキド樹脂(熱膨張率:15〜55×106/℃程度)、アミノ樹脂(熱膨張率:10〜60×106/℃程度)、フェノール樹脂(熱膨張率:15〜125×106/℃程度)、アリル樹脂(熱膨張率:25〜115×106/℃程度)等が、代表的なものとして挙げられる。
なお、充填層が、薄膜集積回路装置とアンテナとの接続部にのみ設けられる場合には、導電性フィラーを用いても構わない。導電性フィラーとしては、代表的には、銀粉、銅粉、ニッケル粉、銀コート銅粉等の金属系導電性フィラーや、非金属系導電性フィラー、カーボン系導電性フィラーを用いることができる。勿論、これらに限定されるものではない。
なお、薄膜集積回路装置13としては、TFT等の薄膜能動素子を用いる。TFTの具体的な構造及び作製方法については後述する。薄膜集積回路装置13は、TFTのごとき薄膜能動素子からなるため、約5μm以下の膜厚(TFTの上下に保護膜や形成される場合には、該保護膜の厚さを除く。)とすることができる。好ましくは、0.1μm〜3μmとするのがよい。また、IDFチップのサイズは、25mm2以下、好ましくは、0.09mm2〜16mm2の面積とするのがよい。また、上下の保護膜は、IDFチップサイズよりも大きくなるように形成するのがよい。
さらに、充填層24が設けられた基体10を、接着剤層15を介して、セパレータ16に貼り付けることにより、IDラベル20が完成する。
ここで、IDラベルを構成する基体としては、代表的には、紙、合成紙、プラスチック、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂材料、無機材料等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。IDラベルは、平坦形状を有する商品のみならず、様々な形状を有する商品にも貼付可能とするために、ラベル基体は、可撓性を有するフレキシブルな素材を用いることが望ましい。なお、樹脂材料としては、例えば、特開2001−30403に記載された高密度ポリエチレン(HDPE)等を用いることもできる。また、上記材料を2種類以上組み合わせて使用しても良い。
また、アンテナ及び接続パッドに用いられる導電材料としては、Ag、Au、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、Cr、Fe、Co若しくはTi、又はそれらを含む合金を用いることができる。勿論、これらに限定されるものではないが、加工容易性、コスト面から見て、Alを用いるのがよい。また、膜厚は、5〜60μmとするのがよい。
また、アンテナと接続パッドで材料が異なっていても良い。アンテナ及び接続パッドは、導電材料をスパッタ法によって全面形成した後に、パターニング工程を行って形成しても良いし、液滴吐出法によって、直接選択的に形成しても良い。また、上記導電材料を積層させて形成しても良い。また、これらの方法によって導電パターンを形成した後、メッキ法によって該導電パターンと同一又は異なる導電材料を形成しても良い。なお、本明細書を通じて、接続パッド部は、TFT側に設けた構成としても良い。
なお、アンテナと接続パッドは、展性、延性に富む金属材料を有するように形成し、更に好ましくは膜厚を厚くして変形による応力に耐えるようにするのが望ましい。また、接続パッドは、薄膜集積回路装置との接続を確実に行うため、できるだけ形成しておくのが望ましい。
また、接着剤層としては、空気中の微量な水分と反応して硬化するシアノアクリレート系材料(主に瞬間接着剤として用いられるもの)、酢ビ樹脂系エマルジョン(乳濁液)、ゴム系材料、透明で速乾性、耐水性がある塩ビ樹脂系材料、酢ビ溶液系材料、エポキシ系材料、ホットメルト(熱溶融型)材料等、公知のものを採用することができる。勿論、接着機能を有するものであれば、これらに限定されるものではない。また、IDラベルを商品等に貼付した後、再剥離・再貼付を行う場合には、3M社製のポストイット(Post−it)(登録商標)製品や、ムーア(Moore Business Forms Incorporated)社製ノートスティックス(Note Sticks)(登録商標)製品等に用いられる再剥離再接着可能な接着剤を用いても構わない。例えば、特開2001-30403、特許2992092、特開平6-299127に記載された、アクリル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤等を用いることができる。
また、セパレータとしては、紙、合成紙が用いられるが、プラスチック、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂材料、無機材料等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、プリントは、公知の印刷法等によってラベル基体に形成しておけばよい。また、薄膜集積回路装置13としては、代表的には、TFT等の薄膜能動素子を含むチップを用いることができる。具体的な構造、作製方法については、後述する。
ここで、図1(A)のラベル基体のX−Y方向の断面図を図4、5に示す。薄膜集積回路装置13には、複数のTFT23が形成されており、さらに、アンテナと接続するための接続配線21が形成されている。ここで、接続配線21としては、種々の材料を選択することができる。代表的なものとして、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、クロム(Cr)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、インジウム(In)、テルル(Te)、モリブデン(Mo)、カドミウム(Cd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、バリウム(Ba)、アンチモン鉛、酸化スズ・アンチモン、フッ素ドープ酸化亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等、ハロゲン化銀の微粒子等、又は分散性ナノ粒子、あるいは、透明導電膜として用いられる酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛(ZnO:Zinc Oxide)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛を混合した酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、有機インジウム、有機スズ、ITOに酸化珪素を含有させた導電材料(以下便宜的に「ITSO」と呼ぶ。)を用いることができる。また、これらの材料からなる層を積層させて接続配線21を形成してもよい。
また、接続配線21は、アンテナと接続しやすいように、櫛状の形状としても良いし、別途櫛状の導電体を形成しても良い。
図4は、薄膜集積回路装置の接続配線21と、ラベル基体の接続パッド12とを、異方性導電膜(以下、単に「ACF」(Anisotoropic Conductive Film)と呼ぶことがある。また、異方性導電ペースト(ACP)と呼ぶこともある。)22を介して接続した場合について示したものである。このように、薄膜集積回路装置を上下逆にして貼り付ける方法をフェースダウンと呼ぶ。
ここで、ACFは、バインダ層と呼ばれる接着剤を構成する主成分からなる層中に、導電粒子が分散した構造を有している。したがって、薄膜集積回路装置と接続パッドとを接着すると同時に、導通をも確保することができる。薄膜集積回路装置は、後述するように、複数の薄膜集積回路装置を作製した後、ダイシング等によって素子分離を行い、各々の薄膜集積回路装置を小型真空ピンセット等を用いて搬送することにより、ラベル基体の所望の位置に貼付することができる。
次に、アンテナの断面構造について説明する。本実施形態では、図1に示すように、コイル状のアンテナを利用した電磁誘導型の非接触型IDラベルの場合について説明する。アンテナを流れる電流は、コイル状のアンテナにより図示しないリーダ/ライタ(以後、単に「R/W」と呼ぶことがある。)から発生する磁界に近づくと、電磁誘導現象により、コイルの閉ループ内に電流が流れ、薄膜集積回路装置が起動する仕組みになっている。したがって、図1に示すように、薄膜集積回路装置は、アンテナの両端(例えば、外側と内側)と接続されている必要がある。
この際、アンテナ同士がショートしないように、図1(A)及び図4に示すような交差配線18を設けて、薄膜集積回路装置とアンテナの外側の端部とを、コンタクト部19を介して接続した。コンタクト部は、ラベル基体に予め設けておくのが望ましい。なお、交差配線18は、アンテナ11と同一又は異なる導電材料を用いて形成すればよい。形成方法についても特に制限はなく、アンテナ形成時と同様に行うことができる。
なお、図4(B)に示すように、薄膜集積回路装置の層間膜53中にも、フィラー28を含有させても良い。これにより、TFT23を構成する膜と層間膜53との熱膨張率の差が低下し、層間膜53の膜剥がれを防止することができる。詳細については、後述する。
図5は、薄膜集積回路装置13とラベル基体10とを、非導電性の接着剤層26を介して接着し、薄膜集積回路装置の接続配線21と、ラベル基体の接続パッド12とは、直接接続する場合について示したものである。接着剤層26としては、上述した接着剤層15と同様の材料を用いることができる。なお、素子分離した後の各々の薄膜集積回路装置は、小型真空ピンセット等を用いて搬送することにより、ラベル基体の所望の位置に貼付することができる。なお、図5においても、薄膜集積回路装置におけるTFT23の層間膜中にフィラーを含有させてもよい。
薄膜集積回路装置とラベル基体とを接着する方法としては、図4、図5以外の方法を採用することも可能である。例えば、図示しないが、両面テープを用いたり、薄膜集積回路装置を覆うように樹脂等を形成したりする方法がある。
なお、本実施形態においては、ラベル基体の外部に交差配線18が露出することになるため、ラベル基体の表面を平坦化するためのコーティング層17を形成しておいてもよい(図1(A)、図4、図5参照)。コーティング層17としては、プラスチック、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン等の透明樹脂材料、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等を用いることができる。
また、本実施形態においては、電磁誘導型を用いたアンテナ構造を採用したが、交流磁界によるコイルの相互誘導を利用した電磁結合型、マイクロ波(2.45GHz)によりデータの送受信を行うマイクロ波型、近赤外線のような光による空間電送を利用してIDラベルとの交信を行う光通信型のいずれかを適宜採用することもできる。また、薄膜集積回路装置とアンテナとの接点は、本実施形態では2点としたが、この数に限定されるものではない。
(実施形態2)
本発明に係るIDラベルの構造及び作製方法について、主に図1(B)、図6を参照して説明する。図1(B)は、本発明に係るIDラベルの構造を示した斜視図である。ここでは、便宜上、商品等に貼り付けるラベル基体部分を下方に、ラベルの台紙となるセパレータを上方に示してある。
図1(B)は、ラベル基体10に、予めアンテナ11と、該アンテナと薄膜集積回路装置との接続部である接続パッド12を形成しておき、別途形成した薄膜集積回路装置13をラベル基体に貼り付ける場合について示したものである点では、図1(A)と同様であるが、薄膜集積回路装置とアンテナとを接続する交差配線18が、ラベル基体の内側に形成されている点に特徴がある。
この際、アンテナ11と交差配線18とがショートしないように、絶縁層27を設けてある。さらに、絶縁層27には、コンタクト部19が形成されており、アンテナ11の外側の端子と交差配線18とが接続されている。図1(B)におけるX−Y方向の断面図を図6(A)に示す。
なお、絶縁層27としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト、シロキサン等の有機樹脂や、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、DLC或いは窒化炭素(CN)等の炭素を有する膜、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等の無機材料を用いることができる。但し、IDラベル全体の膜厚が不必要に厚くならないように、絶縁層27と交差配線18を含めた膜厚が、図6(A)に示すように、薄膜集積回路装置13の膜厚以下となるようにするのが望ましい。なお、本実施の形態では、図4と同様に薄膜集積回路装置とラベル基体とを異方性導電膜22によって接続したが、図5に示した方法を採用しても構わない。その他の構成については、実施形態1と同様とすることができる。
本実施形態においては、交差配線をラベル基体の内側に形成したため、ラベル基体表面にコーティング層を設ける必要がなく、IDラベル全体を薄型にすることができる。
本実施形態においては、電磁誘導型を用いたアンテナ構造を採用したが、電磁結合型、マイクロ波型、光通信型のいずれかを適宜採用することもできる。また、非接触型と接触型の機能を併有した所謂ハイブリッド型としても良い。また、薄膜集積回路装置とアンテナとの接点は、本実施形態では2点としたが、この数に限定されるものではない。
(実施形態3)
本発明に係るIDラベルの構造及び作製方法について、主に図2(A)、図6(B)を参照して説明する。図2(A)は、本発明に係るIDラベルの構造を示した斜視図である。ここでは、便宜上、商品等に貼り付けるラベル基体部分を下方に、ラベルの台紙となるセパレータを上方に示してある。
図2(A)は、IDラベルの基体10に、予めアンテナ11と、該アンテナと薄膜集積回路装置との接続部である接続パッド12を形成しておき、別途形成した薄膜集積回路装置13'を基体10に貼り付ける場合について示したものである点では、図1(A)と同様であるが、薄膜集積回路装置とアンテナとを接続する交差配線18が、薄膜集積回路装置内に形成されている点に特徴がある。
アンテナ及び薄膜集積回路装置が形成された基体の周囲は、フィラー28を含む充填層24で覆われている。フィラーの材質、形状は適宜選択することができる。また、充填層24の材質としては、上述したものを用いることができる。なお、充填層24は、薄膜集積回路装置13'やアンテナ11を保護する機能も果たしているが、その周囲に別途無機膜からなる保護膜を形成しても良い。保護膜としては、例えば、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素等のNa元素等の不純物をブロッキングする機能を有するものを用いるのがよく、さらに望ましくは、これらを積層させて形成するのがよい。
図2(A)におけるX−Y方向の断面図を図6(B)に示す。TFT23の形成領域からは、アンテナ11の内側の端部と、外側の端部に接続するための接続配線21a〜cが設けられている。そして、アンテナ11の外側の端部と接続する接続配線21aとTFT形成領域との間には、交差配線18が設けられている。交差配線18は、TFT形成領域を作製後、第1層間膜30aを形成し、コンタクトホールを開孔した後、導電材料をスパッタ法によって成膜、又は液滴吐出法によって吐出することによって形成することができる。さらに、交差配線18とアンテナ11とがショートしないように、第2層間膜30bを形成し、接続配線21cを形成する。なお、接続配線21、交差配線18としては、上記導電材料を適宜採用することができる。さらに、第2層間膜30b上には、保護膜31を形成しても良い。
上記層間膜の材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン等の感光性又は非感光性の有機材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂、を用いることができる。形成方法としては、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法等を採用することができる。あるいは、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を用いることもできる。また、無機材料を用いてもよく、その際には、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、DLC或いは窒化炭素等の炭素を有する膜、PSG、BPSG、アルミナ膜等を用いることができる。形成方法としては、プラズマCVD法、減圧CVD(LPCVD)法、大気圧プラズマ法等を用いることができる。なお、層間膜30a、30bの材料は同じでも異なっていても良い。
ここで、保護膜31としては、酸化珪素(SiOx)、酸化窒化珪素(SiOxNy)の他、窒化珪素(SiNx、Si3N4、SiNOx)、窒化酸化珪素(SiNxOy)等のNa元素等のアルカリ金属元素をブロッキングする機能を有するものを用いるのがよい。特に、IDラベル、IDカード、IDタグ等は、直接素手で取り扱うことが多く、汗に含まれるNaの侵入を防止することができる。さらに望ましくは、上記材料を積層させるのがよい。例えば、SiN、SiNO\SiO2、SION\TFT\SiN又はSiNOとすることができる。これらの積層構造は自由に組み合わせることができる。また、TFTの上下のみならず、外周辺部を上記材料で覆っても良い。なお、以後、酸化窒化珪素(SiOxNy)と窒化酸化珪素(SiNxOy)(x>y)を総称して、酸窒化珪素ということがある。なお、保護膜31は省略することもできるが、不純物の混入を阻止するためにできるだけ形成しておくのが望ましい。
また、上記材料を用いた保護膜とすることで、有機樹脂材料からなる接着剤層が保護膜に密着して設けられた場合、TFTを該接着剤層に含まれる不純物から保護することができる。また、保護膜に接して、又は保護膜の内部にアンテナを形成した場合、上記保護膜とすることで、導電材料(特に、Cu、Ag)の侵入を防止することができる。
なお、本実施の形態では、図4と同様に薄膜集積回路装置とラベル基体とを異方性導電膜22によって接続したが、図5に示した方法を採用しても構わない。なお、その他の構成については、実施形態1と同様とすることができる。
本実施形態においては、交差配線を薄膜集積回路装置内に形成したため、ラベル基体表面にコーティング層を設ける必要がなく、また、ラベル基体上にコンタクトホールを開孔する必要もなくなる。
本実施形態においては、電磁誘導型を用いたアンテナ構造を採用したが、電磁結合型、マイクロ波型、光通信型のいずれかを適宜採用することもできる。また、非接触型と接触型の機能を併有した所謂ハイブリッド型としても良い。また、薄膜集積回路装置とアンテナとの接点は、本実施形態では2点としたが、この数に限定されるものではない。
(実施形態4)
本発明に係るIDラベルの構造及び作製方法について、主に図2(B)、図7(A)を参照して説明する。図2(B)は、本発明に係るIDラベルの構造を示した斜視図である。ここでは、商品等に貼り付けるラベル基体部分を上方に、ラベルの台紙となるセパレータを下方に示してある。
本実施形態は、内部基体32(インレット基体)に予めアンテナ11と、該アンテナと薄膜集積回路装置との接続部である接続パッド12を形成しておき、別途形成した薄膜集積回路装置13を内部基体32に貼り付け、ラベル基体を貼り付ける点に特徴がある。
内部基体32にアンテナ11及び薄膜集積回路装置13を設ける方法としては、上記実施形態においてラベル基体に設けた場合と同様に行うことができる(図4〜図6参照)。但し、IDラベル全体が不必要に厚くならないように、内部基体は薄型のフィルム状のものを用いるとよい。素材としては、紙、合成紙、プラスチック、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂材料、無機材料等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、IDラベルは、平坦形状を有する商品のみならず、様々な形状を有する商品にも貼付可能とするために、内部基体も、可撓性を有するフレキシブルな素材を用いることが望ましい。これにより、IDラベルの取り扱いが容易になる。なお、樹脂材料としては、例えば、特開2001-30403に記載された高密度ポリエチレン(HDPE)等を用いることもできる。
図7(A)は、本実施形態によって作製されたIDラベルの完成品の断面拡大図である。アンテナ及び薄膜集積回路装置が形成された内部基体の周囲は、フィラー28を含む充填層24で覆われている。フィラーの材質、形状は適宜選択することができる。たとえば、円柱状のフィラーを用いても良い。また、充填層24の材質としては、上述したものを用いることができる。なお、充填層24は、薄膜集積回路装置13やアンテナ11を保護する機能も果たしているが、その周囲に別途無機膜からなる保護膜を形成しても良い。保護膜としては、例えば、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素等のNa元素等の不純物をブロッキングする機能を有するものを用いるのがよく、さらに望ましくは、これらを積層させて形成するのがよい。
この別途形成された内部基体32は、接着剤層15を介してラベル基体10に貼り付けられる。ラベル基体の表面(印刷面33)には、必要に応じて、プリントが施されている。また、本実施形態においては、内部基体32のサイズをラベル基体10のサイズよりも小型としたため、接着剤層15を内部基体の側面に形成することができ、それによって、セパレータ16と、内部基体32及びラベル基体10とを保持することができる。
実際にIDラベルを商品等に貼り付ける場合には、セパレータを剥がし、接着剤層15を介して貼り付ければよい。なお、内部基体32を、ラベル基体10とほぼ同じサイズとする場合には、内部基体32の上下面両方に接着剤層を設け、ラベル基体10及びセパレータ16と接着させればよい。なお、内部基体32及びアンテナ11の形状は、図7(A)に示した形状に限定されない。
本実施形態においては、電磁誘導型を用いたアンテナ構造を採用したが、電磁結合型、マイクロ波型、光通信型のいずれかを適宜採用することもできる。また、非接触型と接触型の機能を併有した所謂ハイブリッド型としても良い。また、薄膜集積回路装置とアンテナとの接点は、本実施形態では2点としたが、この数に限定されるものではない。
(実施形態5)
本発明に係るIDカードの構造及び作製方法について、主に図3、図7(B)を参照して説明する。図3は、本発明に係るIDカードの構造を示した斜視図である。
図3(A)は、IDカードのカード下部基体37b上に、予めアンテナ11と、該アンテナと薄膜集積回路装置との接続部である接続パッド12を形成しておき、別途形成した薄膜集積回路装置13をカード下部基体37bに貼り付ける場合について示したものである。そしてさらに、カード下部基体37b上には、充填層24を介してカード上部基体37aが設けられる。カード上部基体37a又はカード下部基体37bには、必要に応じてプリント14が施されている。また、接続パッド12とアンテナ11とを接続するための交差配線18が、カード下部基体表面に露出する場合には、コーティング層17を別途形成しても良い。
なお、カード基体としては、代表的には、プラスチック、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂材料が用いられるが、紙、合成紙、無機材料等を用いてもよい。IDカードは、一般的には、折り曲げて使用することはほとんどないが、折り曲げ可能なIDカードとしたい場合には、カード基体として可撓性を有するフレキシブルな素材を用いることが望ましい。なお、樹脂材料としては、例えば、特開2001−30403に記載されたHDPE等を用いることもできる。また、上記材料を2種類以上組み合わせて使用しても良い。
なお、交差配線を含めたアンテナの構造、及び薄膜集積回路装置とアンテナの接続方法等は、実施形態1〜4と同様に行うことができる。かくして、IDカード41が完成する。なお、内部基体32及びアンテナ11の形状は、図7(C)に示した形状に限定されない。
また、図3(B)は、アンテナ11が形成され、かつ薄膜集積回路装置13が貼り付けられた内部基体32を、上下もしくはまわりに設けられる充填層24を介して、カード上部基体37a、下部基体37bで封止したものである。なお、内部基体32をカード基体よりも小型サイズに作製しておくことで、内部基体32の周囲に接着剤層を設けることができ、IDカードの薄膜化を図ることができる。
図7(B)は、本実施形態によって作製されたIDカードの完成品の断面拡大図である。アンテナ及び薄膜集積回路装置が形成された内部基体32の周囲は、保護膜54で覆われている。ここで、保護膜54としては、上記材料を用いることができる。
またさらに、保護膜54で覆われた内部基体32の周囲は、フィラー28を含む充填層24で覆われている。充填層24及びフィラー28の材質としては、上述したものを用いることができる。なお、保護膜54と、充填層24の形成順序は逆でも良い。
この別途形成された内部基体32は、保護膜54、充填層24を介して、カードを構成する上部基体37a、下部基体37b挟持され、IDカードが完成する。カード基体の表面(印刷面33)には、必要に応じて、プリントが施されている。
なお、本実施形態においては、電磁誘導型を用いたアンテナ構造を採用したが、電磁結合型、マイクロ波型、光通信型のいずれかを適宜採用することもできる。また、非接触型と接触型の機能を併有した所謂ハイブリッド型としても良い。また、薄膜集積回路装置とアンテナとの接点は、本実施形態では2点としたが、この数に限定されるものではない。
(実施形態6)
本発明に係るIDタグの構造及び作製方法について、主に図7(C)を参照して説明する。図7(C)は、アンテナ11が形成され、かつ薄膜集積回路装置13が貼り付けられた内部基体32を、フィラー28を含む充填層24で封止したものである。内部基体32、フィラー28、充填層24の素材としては、上記材料を用いることができる。充填層24を形成した後には、必要に応じてプレス加工等を行い、平坦化する。IDタグを他の固体物の内部に埋め込むなど、外部から視認されない状態で配置する場合には、該平坦化処理は省略しても良い。また、充填層24の周囲をさらに、無機材料からなる保護膜や、紙、合成紙等のパルプ系材料や樹脂等の基体で覆っても良い。基体は、荷札、値札、名札、表札等の種々の用途に対して適宜選択することができる。また、内部基体32及びアンテナ11の形状は、図7(C)に示した形状に限定されない。
なお、本実施形態においては、電磁誘導型を用いたアンテナ構造を採用したが、電磁結合型、マイクロ波型、光通信型のいずれかを適宜採用することもできる。また、非接触型と接触型の機能を併有したハイブリッド型としても良い。また、薄膜集積回路装置とアンテナとの接点は、本実施形態では2点としたが、この数に限定されるものではない。
(実施形態7)
本発明に係るIDラベル、IDカードの構造及び作製方法について、主に図8、9を参照して説明する。まず、図8(A)は、本発明に係るIDラベルの構造を示した斜視図である。ここでは、商品等に貼り付けるラベル基体部分を上方に、ラベルの台紙となるセパレータを下方に示してある。
図8(A)は、IDラベルにおいて、アンテナ47と薄膜集積回路装置48とが一体形成されたアンテナ一体型薄膜集積回路装置46(以下、「アンテナ一体型IDFチップ」と呼ぶことがある。)を、フィラー28を含む充填層24で覆い、接着剤層15を介してセパレータ16に貼り付ける方法を示したものである。なお、ラベル基体、接着剤層、セパレータ、フィラー、充填層の材質は、上記実施形態に準ずる。また、IDFチップ及びアンテナの形状は、図8(A)の形状に限定されない。また、フィラー28を含む充填層24は、アンテナ一体型薄膜集積回路装置46の上下の一方のみに形成しても良い。
また、図8(B)は、IDカードにおいて、アンテナ47と薄膜集積回路装置48とが一体形成されたアンテナ一体型薄膜集積回路装置46を、フィラー28を含む充填層24で覆い、接着剤層15(図示せず)を介して上部カード基体37aと下部カード基体37bに貼り付ける方法を示したものである。なお、カード基体、接着剤層の材質は、上記実施形態に準ずる。また、IDFチップ及びアンテナの形状は、図8(B)の形状に限定されない。また、フィラー28を含む充填層24は、アンテナ一体型薄膜集積回路装置46の上下の一方のみに形成しても良い。
また、図9は、図8に示すIDラベル、IDカードにおけるアンテナ一体型IDFチップのX−Y方向の断面図(アンテナ一体型薄膜集積回路装置46のみ)を示したものである。図9(A)は、保護膜55上に、島状半導体膜57、ゲート絶縁膜58を形成した後に、ゲート電極56(ここでは、2層構造となっている。)と交差配線52とを同時に形成する場合を示している。さらに、パッシベーション膜59、層間膜53に形成されたコンタクトホールを介して、アンテナ47、TFTとアンテナを接続するための配線51a、TFT同士を接続するための配線51bを形成した。ゲート電極56と交差配線52、及びアンテナ47と配線51は同一工程で作製するのが望ましいが、段階的に形成しても良い。
図9(B)は、保護膜55上に、島状半導体膜57、ゲート絶縁膜58を形成した後に、ゲート電極56(ここでは、2層構造となっている。)とアンテナ47とを同時に形成する場合を示している。さらに、層間膜53を介して、TFTとアンテナを接続するための配線51a、交差配線52、TFT同士を接続するための配線51bを形成した。ゲート電極56とアンテナ47、交差配線52と配線51は同一工程で作製するのが望ましいが、段階的に形成しても良い。
なお、図9(A)(B)ともに、層間膜53中にもフィラー28を混入させたが、省略することもできる。また、TFTとして、トップゲート構造を採用しているが、勿論、ボトムゲート構造を採用しても良い。TFTの具体的な作製方法については、後述する。また、島状半導体層57への不純物拡散を防止するため、単層構造又は積層構造の保護膜55を形成しておくのが望ましい。また、アンテナを形成した後にも、保護膜54を形成しておくのが望ましい。なお、該保護膜は、窒化珪素、酸化珪素、酸窒化珪素等を採用することができるが、Na等の不純物ブロッキング性を有する窒化珪素を含んでいることが望ましい。
なお、本実施形態におけるアンテナ一体型薄膜集積回路装置46は、図7(C)に構造の一例を示したIDタグにも搭載することができる。
以上は、TFTとアンテナを一体形成した場合の構造の一例であり、必ずしもこれらに限定されるものではない。
(実施形態8)
本発明に係るIDラベルの作製方法について、主に図10を参照して説明する。
図10は、本発明に係るIDラベルの製造ラインを示した模式図である。まず、IDラベルの基体となるラベル紙をラベル紙供給手段300(ロール1)から供給し、ラベル紙の所望の位置にIDFチップ(薄膜集積回路装置)を貼り付ける。この際、適宜、接着剤、ACFや、超音波接着法、UV接着法を用いる。ここでは、ラベル紙にアンテナが形成されているものとし、ACF供給手段301、IDFチップ貼付手段302によって、ACFを介してラベル紙とIDFチップとを接着した。勿論、ラベル紙に形成されたアンテナと、IDFチップは接続されている。なお、ACF供給手段に代えて、非導電性の接着剤供給手段を設けても良い。これにより、図5に示すような構造のIDラベルを作製することができる。
次に、充填層供給手段308より充填層を、接着剤層供給手段303から接着剤層を供給し、セパレート紙供給手段304(ロール2)から供給されるセパレート紙(セパレータ)を貼り付け、IDラベルが完成する。最後にラベル巻き取り手段305(ロール3)で、IDラベルを巻き取る。なお、IDラベル基体は、予め個々のラベル毎に分離しておき、セパレート紙は帯状のものを供給すると良い。この場合には、図24(A)に示すような、一連のラベル台紙118(セパレータ)上に、個々に分離されたIDラベル20を得ることができる。
また、ラベル紙の供給と、セパレート紙の供給の順序は、図10(B)に示すように逆にしても良い。また、同図では、IDFチップにアンテナが一体形成されているものとし、ACF供給手段301又は非導電性接着剤供給手段は省略した。また、IDラベルが帯状に複数形成された後、型抜き機等のラベル分離手段306によってラベル分離を行い、個々のラベルの状態にしてから、製品として回収手段307によって回収しても良い。勿論、図10(A)と(B)は、交互に組み合わせることができる。
なお、本実施形態に係る方法は、本発明に係るIDカード、IDタグをはじめとして、薄膜集積回路装置を内蔵する紙幣、硬貨、証書類、無記名債券類、有価証券類等に、適宜採用することができる。例えば、IDカードの場合には、ロール1に下部基体材料を保持しておき、ロール2には、上部基体材料を保持しておけばよい。
(実施形態9)
本発明に係るIDカードやIDタグの作製方法について、主に図11を参照して説明する。図11は、本発明に係るIDカード、IDタグの製造ラインを示した模式図及び完成品の拡大図を示したものである。
まず、図11(A)に示すように、IDカード又はIDタグの基体となる材料を基体供給手段311(ロール1)から供給し、基体の所望の位置に、IDFチップ貼付手段302によって、IDFチップを貼り付ける。この際、適宜、接着剤、ACFや、超音波接着法、UV接着法を用いる。次に、基体が帯状に連なっているときは、基体分離手段309によって、基体を個々のIDカード又はIDタグ毎に分離する。そして、ラミネート装置310によって、個々の基体の周囲をラミネート加工する。この際、予めIDFチップの周囲をフィラー28を含む充填層24で覆っておくのがよい。また、ラミネート樹脂層45中に、予めフィラー28を充填させておいてもよい。
かくして、IDカード又はIDタグが完成する。なお、帯状の基体の所望の位置にIDFチップを形成し、ラミネート加工を行った後に、個々のIDカード又はIDタグ毎に分離しても良い。ラミネート加工されたIDカード又はIDタグは、回収手段307によって回収される。
図11(B)は、本実施形態に係る方法を用いて作製されたIDカード又はIDタグの完成品の断面拡大図である。ラベル基体には、アンテナ11と、該アンテナに接続された薄膜集積回路装置13が形成されており、フィラー28を含む充填層24を介して、ラミネート樹脂層45に覆われている。なお、ラミネート加工時の加熱処理等において、薄膜集積回路装置やアンテナを保護するために、充填層24は、シロキサンのような耐熱性有機樹脂を用いるのが望ましい。また、別途保護膜を形成しておいてもよい。保護膜としては、DLC或いは窒化炭素等の炭素を有する膜、又は窒化珪素膜或いは窒化酸化珪素膜等を用いることができるが、これに限定されるものではない。形成方法としては、プラズマCVD法や、大気圧プラズマ等を用いることができる。
なお、ラミネート加工に適した商品であれば、IDカード、IDタグに限らず、本製造プロセスを採用することができる。
本実施例では、図12〜16を参照して、薄膜集積回路装置の具体的な作製方法について説明する。ここでは、簡単のため、n型TFTとp型TFTを用いたCPUとメモリ部分の断面構造を示すことによって、その作製方法について説明する。
まず、基板60上に、剥離層61を形成する(図12(A))。ここでは、ガラス基板(例えば、コーニング社製1737基板)上に、50nm(500Å)の膜厚のa−Si膜(非晶質シリコン膜)をCVD法により形成した。なお、基板としては、ガラス基板の他にも、石英基板、アルミナなど絶縁物質で形成される基板、シリコンウエハ基板、後工程の処理温度に耐え得る耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。
また、剥離層としては、非晶質シリコンの他に、多結晶シリコン、単結晶シリコン、SAS(セミアモルファスシリコン(微結晶シリコン、マイクロクリスタルシリコンともいう。))等、シリコンを主成分とする層を用いることができる。これらの剥離層は、CVD法の他にも、スパッタ法等によって形成しても良い。また、剥離層の膜厚は、500〜540Åとするのが望ましい。SASに関しては、300〜500Åとしてもよい。
次に、剥離層61上に、保護膜55(下地膜、下地絶縁膜と呼ぶこともある。)を形成する(図12(A))。ここでは、膜厚100nmのSiON膜、膜厚50nmのSiNO膜、膜厚100nmのSiON膜の3層構造としたが、材質、膜厚、積層数は、これに限定されるものではない。例えば、下層のSiON膜に代えて、膜厚0.5〜3μmのシロキサン等の耐熱性樹脂をスピンコート法、スリットコーター法、液滴吐出法などによって形成しても良い。また、窒化珪素膜(SiN、Si3N4等)を用いてもよい。また、それぞれの膜厚は、0.05〜3μmとするのが望ましく、その範囲から自由に選択することができる。
ここで、酸化珪素膜は、SiH4/O2、TEOS(テトラエトキシシラン)/O2等の混合ガスを用い、熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD等の方法によって形成することができる。また、窒化珪素膜は、代表的には、SiH4/NH3の混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。また、SiON膜又はSiNO膜は、代表的には、SiH4/N2Oの混合ガスを用い、プラズマCVDによって形成することができる。
なお、剥離層61及び島状半導体膜57として、a−Si等の珪素を主成分とする材料を用いる場合には、それらに接する保護膜としては、密着性確保の点から、SiOxNyを用いてもよい。
次に、保護膜55上に、薄膜集積回路装置のCPUやメモリを構成するTFTを形成する。なお、TFT以外にも、有機TFT、薄膜ダイオード等の薄膜能動素子を形成することもできる。
TFTの作製方法として、まず、保護膜55上に、島状半導体膜57を形成する(図12(B))。島状半導体膜57は、アモルファス半導体、結晶性半導体、又はセミアモルファス半導体で形成する。いずれも、シリコン、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)等を主成分とする半導体膜を用いることができる。
ここでは、70nmの膜厚のアモルファスシリコンを形成し、さらにその表面をニッケルを含む溶液で処理した。さらに、500〜750℃の熱結晶化工程によって結晶質シリコン半導体膜を得、レーザ結晶化を行って結晶性の改善を施した。また、成膜方法としては、プラズマCVD法、スパッタ法、LPCVD法などを用いても良い。結晶化方法としては、レーザ結晶化法、熱結晶化法、他の触媒(Fe,Ru,Rh,Pd,Pd,Os,Ir,Pt,Cu,Au等)を用いた熱結晶化、あるいはそれらを交互に複数回行っても良い。
また、非晶質構造を有する半導体膜の結晶化処理としては、連続発振のレーザを用いても良く、結晶化に際し大粒径の結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい(この場合の結晶化をCWLCという。)。代表的には、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。連続発振のレーザを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO4結晶又はGdVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
また、パルス発振のレーザを用いる場合、通常、数十Hz〜数百Hzの周波数帯を用いるが、それよりも著しく高い10MHz以上の発振周波数を有するパルス発振レーザを用いてもよい(この場合の結晶化をMHzLCという。)。パルス発振でレーザ光を半導体膜に照射してから半導体膜が完全に固化するまでの時間は数十nsec〜数百nsecと言われているため、上記高周波数帯を用いることで、半導体膜がレーザ光によって溶融してから固化するまでに、次のパルスのレーザ光を照射できる。よって、従来のパルス発振のレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるので、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を有する半導体膜が形成される。具体的には、含まれる結晶粒の走査方向における幅が10〜30μm、走査方向に対して垂直な方向における幅が1〜5μm程度の結晶粒の集合を形成することができる。該走査方向に沿って長く延びた単結晶の結晶粒を形成することで、少なくともTFTのチャネル方向には結晶粒界のほとんど存在しない半導体膜の形成が可能となる。
なお、保護膜55の一部に耐熱性有機樹脂であるシロキサンを用いた場合には、上記結晶化の際に、半導体膜中から熱が漏れることを防止することができ、効率よく結晶化を行うことができる。
上記の方法によって結晶性シリコン半導体膜を得る。なお、結晶は、ソース、チャネル、ドレイン方向にそろっていることが望ましい。また、結晶層の厚さは、20〜200nm(代表的には40〜170nm、さらに好ましくは、50〜150nm)となるようにするのがよい。その後、半導体膜上に酸化膜を介して、金属触媒をゲッタリングするためのアモルファスシリコン膜を成膜し、500〜750℃の熱処理によってゲッタリング処理を行った。さらに、TFT素子としての閾値を制御するために、結晶性シリコン半導体膜に対し、1013/cm2オーダーのドーズ量のホウ素イオンを注入した。その後、レジストをマスクとしてエッチングを行うことにより、島状半導体膜57を形成した。
なお、結晶性半導体膜を形成するにあたっては、ジシラン(Si2H6)とフッ化ゲルマニウム(GeF4)の原料ガスとして、LPCVD法によって、多結晶半導体膜を直接形成することによっても、結晶性半導体膜を得ることができる。ガス流量比は、Si2H6/GeF4=20/0.9、成膜温度は400〜500℃、キャリアガスとしてHe又はArを用いたが、これに限定されるものではない。
なお、TFT内の特にチャネル領域には、1×1019〜1×1022cm-3、好ましくは1×1019〜5×1020cm-3の水素又はハロゲンが添加されているのがよい。SASに関しては、1×1019〜2×1021cm-3とするのが望ましい。いずれにしても、ICチップに用いられる単結晶に含まれる水素又はハロゲンの含有量よりも多く含有させておくことが望ましい。これにより、TFT部に局部クラックが生じても、水素又はハロゲンによってターミネート(終端)されうる。
次に、島状半導体膜57上にゲート絶縁膜58を形成する(図12(B))。ゲート絶縁膜はプラズマCVD法又はスパッタリング法などの薄膜形成法を用い、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素を含む膜を、単層で、又は積層させて形成することが好ましい。積層する場合には、例えば、基板側から酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化珪素膜の3層構造とするのがよい。
次に、ゲート電極56を形成する(図12(C))。ここでは、SiとW(タングステン)をスパッタ法により積層形成した後に、レジスト62をマスクとしてエッチングを行うことにより、ゲート電極56を形成した。勿論、ゲート電極56の材料、構造、作製方法は、これに限定されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、n型不純物がドーピングされた又はされていないSiとNiSi(ニッケルシリサイド)との積層構造や、TaN(窒化タンタル)とWの積層構造としてもよい。また、種々の導電材料を用いて単層で形成しても良い。
また、レジストマスクの代わりに、SiOx等のマスクを用いてもよい。この場合、SiOx、SiON等のマスク(ハードマスクと呼ばれる。)をパターニング形成工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレジストよりも少ないため、所望の幅のゲート電極層を形成することができる。また、レジスト62を用いずに、液滴吐出法を用いて選択的にゲート電極56を形成しても良い。
導電材料としては、導電膜の機能に応じて種々の材料を選択することができる。また、ゲート電極とアンテナとを同時に形成する場合には、それらの機能を考慮して材料を選択すればよい。
なお、ゲート電極をエッチング形成する際のエッチングガスとしては、CF4、Cl2、O2の混合ガスやCl2ガスを用いたが、これに限定されるものではない。
次に、p型TFT70、72となる部分をレジスト63で覆い、ゲート電極をマスクとして、n型TFT69、71となる部分の島状半導体膜中に、n型を付与する不純物元素64(代表的にはP(リン)又はAs(砒素))を低濃度にドープする(第1のドーピング工程、図12(D))。第1のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1013〜6×1013/cm2、加速電圧:50〜70keVとしたが、これに限定されるものではない。この第1のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜58を介してスルードープがなされ、一対の低濃度不純物領域65が形成される。なお、第1のドーピング工程は、p型TFT領域をレジストで覆わずに、全面に行っても良い。
次に、レジスト63をアッシング等により除去した後、n型TFT領域を覆うレジスト66を新たに形成し、ゲート電極をマスクとして、p型TFT70、72の島状半導体膜中に、p型を付与する不純物元素67(代表的にはB(ホウ素))を高濃度にドープする(第2のドーピング工程、図12(E))。第2のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1016〜3×1016/cm2、加速電圧:20〜40keVとして行う。この第2のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜58を介してスルードープがなされ、一対のp型の高濃度不純物領域68が形成される。
次に、レジスト66をアッシング等により除去した後、基板表面に、絶縁膜75を形成した(図13(A))。ここでは、膜厚100nmのSiO2膜をプラズマCVD法によって形成した。その後、基板全面をレジスト44で覆い、エッチバック法により、レジスト44、絶縁膜75、ゲート絶縁膜58をエッチング除去し、サイドウォール76(側壁)を自己整合的(セルフアライン)に形成した(図13(B))。エッチングガスとしては、CHF3とHeの混合ガスを用いた。なお、サイドウォールを形成する工程は、これらに限定されるものではない。
なお、絶縁膜75形成時に基板の裏面にも絶縁膜が形成された場合には、レジスト44をマスクとして、裏面の絶縁膜をエッチング除去する(裏面処理)。
なお、サイドウォール76の形成方法は上記に限定されるものではない。例えば、図16に示した方法を用いることができる。図16(A)は、絶縁膜75を二層又はそれ以上の積層構造とした例を示している。絶縁膜75としては、例えば、膜厚100nmのSiON(酸窒化珪素)膜と、膜厚200nmのLTO膜(Low Temperature Oxide Film;低温酸化膜)の2層構造とした。ここでは、SiON膜は、プラズマCVD法で形成し、LTO膜は、SiO2膜を減圧CVD法で形成した。その後、レジスト44をマスクとしてエッチバックを行うことにより、L字状と円弧状からなるサイドウォール76が形成される。
また、図16(B)は、エッチバック時に、ゲート絶縁膜58を残すようにエッチングを行った例を示している。この場合の絶縁膜75は、単層構造でも積層構造でも良い。
上記サイドウォールは、後に高濃度のn型不純物をドーピングし、サイドウォール76の下部に低濃度不純物領域又はノンドープのオフセット領域を形成する際のマスクとして機能するものであるが、上述したサイドウォールのいずれの形成方法においても、形成したい低濃度不純物領域又はオフセット領域の幅によって、エッチバックの条件を適宜変更すればよい。
次に、p型TFT領域を覆うレジスト77を新たに形成し、ゲート電極56及びサイドウォール76をマスクとして、n型を付与する不純物元素78(代表的にはP又はAs)を高濃度にドープする(第3のドーピング工程、図13(C))。第3のドーピング工程の条件は、ドーズ量:1×1013〜5×1015/cm2、加速電圧:60〜100keVとして行う。この第3のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜58を介してスルードープがなされ、一対のn型の高濃度不純物領域79が形成される。
なお、レジスト77をアッシング等により除去した後、不純物領域の熱活性化を行っても良い。例えば、50nmのSiON膜を成膜した後、550℃、4時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行えばよい。また、水素を含むSiNx膜を、100nmの膜厚に形成した後、410℃、1時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行うことにより、結晶性半導体膜の欠陥を改善することができる。これは、例えば、結晶性シリコン中に存在するダングリングボンドを終端させるものであり、水素化処理工程などと呼ばれる。さらに、この後、TFTを保護するキャップ絶縁膜として、膜厚600nmのSiON膜を形成する。なお、水素化処理工程は、該SiON膜形成後に行っても良い。この場合、SiNx、SiON膜は連続成膜することができる。このように、TFT上には、SiON、SiNx、SiONの3層の絶縁膜が形成されることになるが、その構造や材料はこれらに限定されるものではない。また、これらの絶縁膜は、TFTを保護する機能をも有しているため、できるだけ形成しておくのが望ましい。
次に、TFT上に、層間膜53を形成する(図13(D))。層間膜53としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミドや、シロキサン等の耐熱性有機樹脂を用いることができる。形成方法としては、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法等を採用することができる。また、無機材料を用いてもよく、その際には、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、PSG、BPSG、アルミナ膜等を用いることができる。なお、これらの絶縁膜を積層させて、層間膜53を形成しても良い。
さらに、層間膜53上に、保護膜54を形成しても良い。保護膜54としては、DLC或いは窒化炭素等の炭素を有する膜、又は、酸化珪素膜、窒化珪素膜或いは窒化酸化珪素膜等を用いることができる。形成方法としては、プラズマCVD法や、大気圧プラズマ等を用いることができる。あるいは、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン等の感光性又は非感光性の有機材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂を用いてもよい。
なお、層間膜53又は保護膜54と、後に形成される配線を構成する導電材料等との熱膨張率の差から生じる応力によって、これらの膜の膜剥がれや割れが生じるのを防ぐために、層間膜53又は保護膜54中にフィラーを混入させておいても良い。
次に、レジストを形成した後、エッチングによりコンタクトホールを開孔し、TFT同士を接続する配線51及び外部アンテナと接続するための接続配線21を形成する(図13(D))。コンタクトホール開孔時のエッチングに用いられるガスは、CHF3とHeの混合ガスを用いたが、これに限定されるものではない。また、配線51と接続配線21は同一材料を用いて同時に形成しても良いし、別々に形成しても良い。ここでは、TFTと接続される配線51は、Ti、TiN、Al−Si、Ti、TiNの5層構造とし、スパッタ法によって形成した後、パターニング形成した。なお、配線の積層構造はこれに限定されるものではない。
なお、Al層において、Siを混入させることにより、配線パターニング時のレジストベークにおけるヒロックの発生を防止することができる。また、Siの代わりに、0.5%程度のCuを混入させても良い。また、TiやTiNでAl−Si層をサンドイッチすることにより、耐ヒロック性がさらに向上する。なお、パターニング時には、SiON等からなる上記ハードマスクを用いるのが望ましい。なお、配線の材料や、形成方法はこれらに限定されるものではなく、前述したゲート電極に用いられる材料を採用しても良い。
なお、本実施例では、CPU73、メモリ74等を構成するTFT領域とアンテナと接続する端子部80のみを一体形成する場合について示したが、TFT領域とアンテナとを一体形成する場合にも、本実施例を適用できる。この場合には、層間膜53又は保護膜54上にアンテナを形成し、さらに、別の保護膜で覆うと良い。アンテナの導電材料としては、Ag、Au、Al、Cu、Zn、Sn、Ni、Cr、Fe、Co若しくはTi、又はそれらを含む合金を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、配線とアンテナで材料が異なっていても良い。なお、配線及びアンテナは、展性、延性に富む金属材料を有するように形成し、更に好ましくは膜厚を厚くして変形による応力に耐えるようにするのが望ましい。
また、形成方法としては、スパッタ法によって全面成膜した後、レジストマスクを用いてパターニングを行ってもよいし、液滴吐出法によってノズルから選択的に形成しても良い。配線とアンテナは、同時に形成しても良いし、一方を先に形成した後に、他方が乗り上げるように形成しても良い。
以上の工程を経て、TFTからなる薄膜集積回路装置が完成する。なお、本実施例では、トップゲート構造としたが、ボトムゲート構造(逆スタガ構造)としてもよい。なお、TFTのような薄膜能動素子部(アクティブエレメント)の存在しない領域には、下地絶縁膜材料、層間絶縁膜材料、配線材料が主として設けられているが、該領域は、薄膜集積回路装置全体の50%以上、好ましくは70〜95%を占めていることが望ましい。これにより、IDFチップを曲げやすくし、IDラベル等の完成品の取り扱いが容易となる。この場合、TFT部を含むアクティブエレメントの島状半導体領域(アイランド)は、薄膜集積回路装置全体の1〜30%、好ましくは、5〜15%を占めているのがよい。
また、図13(D)に示すように、薄膜集積回路装置におけるTFTの半導体層から下部の保護層までの距離(tunder)と、半導体層から上部の層間膜(保護層が形成されている場合には該保護層)までの距離(tover)が、等しく又は概略等しくなるように、上下の保護層又は層間膜の厚さを調整するのが望ましい。このようにして、半導体層を薄膜集積回路装置の中央に配置せしめることで、半導体層への応力を緩和することができ、クラックの発生を防止することができる。
また、本実施例で作製したTFTのS値(サブスレッシュホールド値)は、0.35V/dec以下(好ましくは、0.07〜0.25V/dec)、移動度は、10cm2V/sec以上を有している。また、リングオシレータレベルで、1MHz以上、好ましくは10MHz以上の特性(3〜5Vにおいて)を有している、又は、ゲートあたりの周波数特性を100kHz以上、好ましくは1MHz以上(3〜5Vにおいて)有している。
基板60上に、複数のTFT、保護膜、各種配線、アンテナ一体型の場合にはアンテナ(これらを総称して、「薄膜集積回路装置」という。)を形成したら(図14(A))、次に、薄膜集積回路装置13の境界領域に、ダイシングによって溝81を形成する(図14(B))。この際、ダイシング装置(ダイサー;dicer)を用いるブレードダイシング法を用いるのが一般的である。ブレード(blade)とは、ダイヤモンド砥粒を埋め込んだ砥石で、その幅は約30〜50μmであり、このブレードを高速回転させることにより、薄膜集積回路装置を分離する。また、ダイシングに必要なエリアをストリートと呼ぶが、この幅は、素子への損傷を考慮し、80〜150μmとしておくのが望ましい。
なお、ダイシングの他にも、スクライビング又はマスクを利用したエッチング等によって行うことができる。スクライビングの場合には、ダイヤモンドスクライビング法とレーザスクライビング法等がある。レーザスクライビング法を採用する場合には、レーザ共振器から、パルス発振のパワーが200〜300Wの線状レーザ、例えばNd:YAGレーザであって、発振波長1064nmの基本波又は発振波長532nmの第2高調波等を用いることができる。
また、エッチングの場合には、露光、現像工程によりマスクパターンを形成し、ドライエッチングにより素子分離を行うことができる。ドライエッチングにおいては、大気圧プラズマ法を用いてもよい。ドライエッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6、NF3、CHF3などを代表とするフッ素系ガス、あるいはO2を用いたが、これらに限定されるものではない。なお、該エッチングは、大気圧プラズマを利用して行うこともできる。この際、エッチングガスとしては、CF4とO2の混合ガスを用いるのがよい。また、ガス種の異なるエッチングを複数回行うことによって溝81を形成しても良い。勿論、ウエットエッチングによって、溝81を形成しても良い。
なお、溝を形成する場合、溝の深さは、少なくとも剥離層の表面が露出する程度とすればよく、基板60が繰り返し利用できるように、基板に傷が付かないように上記ダイシング等を適宜制御するのが望ましい。
次に、突起部82を有するジグ83(支持基板)を、接着剤84を介して、薄膜集積回路装置13毎に取り付ける(図14(C))。ここで、ジグ(治具)とは、剥離層を除去した後に薄膜集積回路装置がバラバラに分離しないように、一時的に薄膜集積回路装置を固定する役割を有する。ジグの形状としては、図14(C)のように、後にハロゲン化フッ素を含む気体又は液体の導入を容易にするために、突起部を設けた櫛状の構造とするのが望ましいが、平坦なジグを用いても構わない。また、さらに好ましくは、後にハロゲン化フッ素を含む気体又は液体の導入を容易にするための、開口部85を設けておいても良い。
ジグとしては、ハロゲン化フッ素によって冒されない酸化珪素を主成分とするガラス基板、石英基板、ステンレス(SUS)基板等を用いることができるが、ハロゲン化フッ素によって冒されない材料であれば、これらに限定されるものではない。
ここで、接着剤としては、UV光照射によって接着力(粘着力)が低下又は喪失する材料を用いることができる。ここでは、日東電工社製UV照射剥離テープを用いた。これ以外にも、3M社製のポストイット(登録商標)製品や、ムーア社製ノートスティックス(登録商標)製品等に用いられる再剥離再接着可能な接着剤を用いても構わない。例えば、特開2001−30403、特許2992092、特開平6−299127に記載された、アクリル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤等を用いることができる。勿論、ジグを簡単に取り外すことができる材料であれば、これらに限定されるものではない。
次に、溝81にハロゲン化フッ素ガスを導入することにより、剥離層であるa−Si膜をエッチング除去した(図15(A))。ここでは、図18に示すような減圧CVD装置を用い、ガス:ClF3(三フッ化塩素)、温度:350℃、流量:300sccm、気圧:6Torr、時間:3hの条件で行ったが、この条件に限定されるものではない。また、ClF3ガスに窒素を混ぜたガスを用いてもよい。両者の流量比は適宜設定することができる。なお、ClF3以外にも、BrF3、ClF2等のガスを用いてもよい。
ここで、図18に示す減圧CVD装置は、反応空間であるベルジャー100内に、ClF3ガス86等のハロゲン化フッ素ガスが導入され、ガスが基板101に行き渡る仕組みになっている。ベルジャーの外部にはヒーター102が設けられている。また、残余ガスは、排気管103から排出される。
ここで、ClF3等のハロゲン化フッ素は、珪素を選択的にエッチングするという特性がある反面、酸化珪素、窒化珪素、SiOxNy又はSiNxOyはほとんどエッチングされない。したがって、時間の経過ととも剥離層61はエッチングされ、最終的に基板60を剥離することができる(図15(B))。一方、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素等や、耐熱性樹脂からなる下地膜である保護膜や、層間膜、保護膜はほとんどエッチングされないため、薄膜集積回路への損傷を防止することができる。なお、剥離した基板60は勿論再利用することができ、コスト削減に繋がる。
なお、剥離層61としては、ClF3等のハロゲン化フッ素によって除去可能なものであれば、上記シリコン系材料に限定されるものではない。また、保護膜や層間膜も、ClF3等のハロゲン化フッ素によって冒されないものであれば、上記材料に限定されない。
次に、UV光照射を行うことにより、接着剤84の粘着力を低下又は喪失させ、ジグと、薄膜集積回路装置とを分離することにより、大量に薄膜集積回路装置13を得ることができる。なお、ジグは、コスト削減のため、再利用するのが望ましい(図15(C))。
上記方法によって作製された薄膜集積回路装置13は、小型真空ピンセット等により搬送し、IDラベル、IDカード等の物品の所望の位置に備え付けることができる。
また、基板を剥離する方法として、複数の薄膜集積回路が形成された基板にストレスを与え、基板を物理的に剥離する方法を採用しても良い。この場合には、剥離層として、W、SiO2、WO3等を用いることができる。ストレスを与えるには、ダイヤモンドペン等で衝撃を与えればよい。なお、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、ダイシング等によって溝81を形成する際に、基板60に傷が付いた場合、その基板を再利用する場合について説明する。
第1の方法として、図19(A)に示すように、使用済み基板88上に平坦化膜89を形成する。平坦化膜としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミドや、シロキサン等の耐熱性樹脂を、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、液滴吐出法等によって形成することができる。後工程の熱処理を考慮すれば、シロキサン等の耐熱性樹脂を用いることが望ましい。また、無機材料を用いてもよく、その際には、PSG、BPSG、アルミナ膜等を用いることができる。その後の工程は、他の実施形態又は実施例と同様である。
第2の方法として、図示しないが、CMP(機械的化学的研磨)法を用いて、基板表面を平坦化する方法がある。使用済み基板88の傷が微細である場合には特に有効である。CMP法は、研磨用パッド内にスラリーと呼ばれる研磨溶剤を供給し、ウエハキャリアの回転とプラテンと呼ばれる回転台の回転による加圧と、研磨用パッドの研磨によって平坦化を行うものである。基板は、ガラス基板のように絶縁体であるので、スラリーとしては、アルカリ性のコロイド状シリカを混ぜたものが主に用いられる。その後の工程は、他の実施形態又は実施例と同様である。なお、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、被剥離基板として、ガラス基板や、石英基板以外の基板を用いた場合について説明する。
第1に、シリコンウエハ90を用意し、熱処理を行うことにより、シリコンウエハ90の表面に酸化膜91(酸化珪素膜)を形成し、熱酸化シリコン基板92を得る(図19(B))。熱処理方法としては、例えば、大気中(酸素、窒素雰囲気中)において、800〜1200度(好ましくは900℃程度又は1150℃程度)の熱処理を行えばよいが、この温度に限定されない。
なお、酸化されるのは、半導体基板の周囲全面であってもよいし、少なくとも一つの面の表面であってもよいが、後にClF3等のハロゲン化フッ素を用いて基板から薄膜集積回路を分離する際に、該半導体基板がハロゲン化フッ素によって冒されないように、半導体基板の周囲全面が酸化され、酸化珪素が形成されていることが望ましい。なお、半導体基板を構成する半導体はシリコンに限定されない。
また、表面が酸化された半導体基板に代えて、表面が窒化又は酸窒化された半導体基板を用いてもよい。例えば、単結晶シリコン基板又は熱酸化シリコン基板の表面に、窒素イオンを注入した基板を用いることができる。また、ステンレス基板(SUS基板)等の金属からなる基板の表面に、酸化珪素や窒化珪素等の絶縁膜を形成した基板を用いることもできる。
その後、酸化膜91上に剥離層、下地保護膜、TFTを形成し、ハロゲン化フッ素ガス等によって剥離を行う。なお、剥離層、下地保護膜を設けずに、直接、酸化膜91上にTFTを形成し、シリコンウエハ90を除去することにより、剥離を行っても良い。
第2に、シリコンウエハを用意し、酸素イオンをドーピング注入する。そして、900〜1200℃の加熱処理を行うことにより、埋め込み酸化膜94を形成する(図19(C))。この加熱処理温度はこれに限定されるものではないが、該加熱処理は、埋め込み酸化膜を形成すると同時に、ドーピングによりダメージを受けた表面側の単結晶シリコン層(上部c−Si層95)の結晶性を改善する役割もあることから、それらの役割を考慮して加熱温度を調整する必要がある。かくして、下部c−Si層93、埋め込み酸化膜94、上部c−Si層95からなるSIMOX基板96を得る。
なお、酸素イオンの代わりに窒素イオンをドーピング注入して、SOI基板を得ても構わない。また、図示しないが、酸化膜が形成されたデバイスウエハ(Si基板、デバイスが形成される側の基板)と、ハンドルウエハ(Si基板)とを酸化膜が中央に配置されるように貼り合わせ、研磨した基板(所謂貼り合わせ基板)を用いてもよい。
その後、TFTを作製するに当たっては、上部c−Si層95をTFTの半導体層(活性層)として用いればよい。また、ハロゲン化フッ素ガスによって剥離する場合には、下部c−Si層93の全部又は一部を除去することによって行うことができる。なお、埋め込み酸化膜94は、保護膜(下地膜)として機能する。なお、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、図17を参照して、本発明に係る薄膜集積回路装置及びその作製方法について、ジグ等を用いた接着を行わない方法について説明する。まず、図14(B)の状態(溝81が形成された状態)までは、上記実施例と同様に作製する。
次に、図14(B)の状態において、薄膜集積回路装置が形成されたトレー兼基板99を下向きにした状態で(フェースダウン)、減圧CVD装置の炉(ベルジャー、図18参照)に、複数枚投入し、固定する(図17(A))。なお、ここでは、薄膜集積回路装置が形成される基板は、薄膜集積回路装置を受け止めるトレーの機能をも兼ね備えている。勿論、基板とトレーとを別個に設けても良い。そして、ClF3等のハロゲン化フッ素を用いて、剥離層をエッチングすると、素子分離した上部の薄膜集積回路装置は、下部の薄膜集積回路装置が形成されていたトレー兼基板99の裏面(トレー領域)に落下する仕組みとなっている。
トレーと薄膜集積回路装置の間隔は、素子分離した薄膜集積回路装置がバラバラに分離するのを防ぐため、また、ClF3等のハロゲン化フッ素が供給しやすいように、0.5〜1mmとするのがよい。また、素子分離した薄膜集積回路装置がバラバラに分離するのを防ぐため、トレー兼基板99のトレー領域には、図17(A)のように、薄膜集積回路装置のサイズに応じて、突起部を形成しておくのが望ましい。
素子分離後、トレー領域に積載した薄膜集積回路装置は、小型真空ピンセット97等によって吸着することにより搬送され(図17(B))、所望の製品上に転写される。
なお、トレー97及びトレー兼基板99は、熱酸化シリコン基板や、SIMOX基板等のSOI基板、ガラス基板、石英基板、SUS基板、アルミナ基板、耐熱性を有する可撓性基板(プラスチック製基板等)等、種々の基板を用いることができるが、耐ハロゲン化フッ素性、耐熱性があることが望ましい。
上記方法を用いることにより、ジグを用いることなく、薄膜集積回路装置を大量に生産することができる。なお、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施形態では、フレキシブル基板上に作製されたアンテナと、薄膜集積回路装置とを別々に作製し、その後両者を接続する方法について、図20、図21を参照して説明する。
図20は、折り曲げ可能なフレキシブル基板104上に、アンテナ105を形成し、別途形成したIDFチップ107をアンテナ105と接続した後に、フレキシブル基板104を半分に折り畳み、封止してIDラベルやIDカード等を作製するというものである。ここで、アンテナ105は、スパッタ法等によって形成した後にパターニング形成しても良いし、液滴吐出法を用い、導電材料を含む組成物を選択的に吐出した後に、該組成物を乾燥、焼成することにより形成しても良い。なお、アンテナを形成した後に、CMP法、プレス法等により、平坦化を向上させても良い。
アンテナには、アンテナと薄膜集積回路装置を接続する接続パッド106を形成しておいても良い。接続パッドは、薄膜集積回路装置側に形成しておいても良い。なお、薄膜集積回路装置とアンテナとの接続は、異方性導電膜や、公知のボンディング法等を用いて行うことができる。また、アンテナの形状は、電磁誘導型の場合であれば、折り畳んだときに対称なコイル状であれば、図20に示す形状に限定されない。勿論、他の通信方式である電磁結合型、マイクロ波型、光交信型も適宜採用することができる。
なお、図21(D)は、図20(C)のX−Y方向における、アンテナ基板折り畳みの状態を示した断面図である。ここで、図21を参照して、折り畳みアンテナ基板と、薄膜集積回路装置との接続方法について説明する。
まず、基板60にa−Si等からなる剥離層61を形成し、保護膜55を形成する。この際、アンテナ基板を折り畳んだ後に、下部アンテナ105bと接続される接続端子108を形成しておく(図21(A))。ここで、導電膜をパターニングして接続端子を形成した後に、保護膜を形成して、平坦化処理を行っても良いし、接続端子の部分を残して保護膜を選択的に形成しておき、導電材料を液滴吐出法等によって吐出し、埋め込むことにより、接続端子を形成しても良い。
次に、上記実施例によってCPU、メモリ等を構成するTFTを形成した後、第1層間膜30aを形成し、さらに、コンタクトホールを開孔し、上部アンテナ105aと接続するための上部接続配線109a、下部アンテナ105bと接続するための下部接続配線109b、配線51を形成する(図21(B))。次に、第2層間膜30bを形成した後、コンタクトホールを開孔し、上部アンテナ105aと接続するための上部接続配線109a’を形成する(図21(C))。なお、第1層間膜30a、第2層間膜30b中には、フィラーを混入させておいても良い。
次に、各種配線が形成されたIDFチップを、アンテナが形成されたフレキシブル基板104の、接続パッド106上に貼り付ける。この際、図4、図5に示した方法によって接続することができる。ここでは、ACF22を介して、接続端子108と下部アンテナ105bに設けられた接続パッド106とを接続した。なお、ACF以外にも、公知のボンディング法や、超音波接着、UV接着等を用いてもよい。
次に、フレキシブル基板104を折り畳み、上部アンテナ105aの接続パッドと上部接続配線109a’とを、同じくACF22を介して接続した。なお、アンテナと薄膜集積回路装置との間は、エポキシ樹脂等でモールドしておくのが望ましい。この際、樹脂中にフィラーを含有させておくことにより、アンテナとの熱膨張率の差による応力の発生を防ぐことができる。これにより、樹脂の膜剥がれや割れを防止することができる。
本実施例のごとく、アンテナを折り畳んだ状態で、薄膜集積回路装置の上下と接続した構成とすることにより、薄膜集積回路装置の上下にアンテナを形成することができ、受信面積が増加し、受信精度の向上を図ることができる。なお、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、図22を参照して、ハロゲン化フッ素ガスによって素子分離を行った後に、IDFチップに接着されたジグ83を取り外さずに、直接、IDカード等の商品に接着する方法について説明する。
まず、上記実施例の要領で、複数のIDFチップ110を形成し、接着剤84を介してジグ83を取り付ける。ジグ83としては、図22に示すように、突起部82を有するものを用いた。接着剤84としては、ここでは、UV光照射によって粘着力が低下又は喪失する材料を用いる。また、素子への損傷を防ぐために、有機材料又は無機材料からなる保護膜54を設けている。そして、ClF3等のハロゲン化フッ素によるエッチングにより、素子分離を行う。
次に、ジグ83に素子が接着された状態で搬送し、IDカード等の商品が設置されたステージとのアライメントを行う。この際、図22(A)に示すように、ジグや、ステージに設けられたアライメントマーカー111、112を利用することもできるし、図示しないが、商品に直接形成されたマーカーを利用することもできる。商品内の薄膜集積回路装置が形成される部分(ここでは、IDカードのカード下部基体37b)には、予め接着剤113が形成されており、ジグの位置を制御することにより、所望の素子を商品の所望の箇所に貼り付ける(図22(A))。
次に、カード下部基体37bに貼り付けたい素子に対して、マスクを介してUV光114を選択的に照射し、接着剤84の粘着力を低下又は喪失させることにより、ジグを素子とを分離する(図22(B))。これにより、所望のIDFチップ110を商品の所望の箇所に形成することができる。素子形成後、カード上部基体37a等により、素子部をカバーする(図22(C))。なお、ここでは、カード基体の内部にアンテナ11が形成された場合を示したが、素子部にアンテナを形成しておいても良い。
本実施形態に示した本発明を用いることにより、ClF3等のハロゲン化フッ素によるエッチングにより素子分離を行った際、素子がバラバラに分離することなく、所望の素子を所望の箇所に形成することができる。
なお、本実施例は、IDカードのみならず、あらゆる商品に適用できることは言うまでもない。また、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、一方向に折り曲げ可能なIDラベル等の商品に対して、IDFチップを設置する場合の、TFTの構成について説明する。
図23は、IDFラベルに形成されたIDFチップ110におけるTFT内の、島状半導体膜57の層の上面図を示したものである。島状半導体膜57には、n型又はp型不純物が付与されたソース領域115、ドレイン領域117、及び該不純物が付与されていないチャネル領域116が形成されている。また、IDFチップにおける少なくとも一のTFTの半導体領域は、アンテナ11と接続されている。
ここで、ソース(S)、チャネル(C)、ドレイン(D)領域が形成される方向、或いは、半導体膜の結晶成長方向と、略垂直な方向にIDラベル等の曲げ方向を設定することにより、IDラベル等を曲げた時に、島状半導体膜57に対するクラックの発生を防止することができ、IDラベルの取り扱いに拘わらず、安定したTFT動作を供給することができる。
本実施例では、実施例1のプロセスにおいて、高温ポリシリコン(HPS)を採用した場合について説明する。一般に、ガラス基板の耐熱温度(約600℃)以上の結晶化プロセスを含む半導体プロセスを、高温プロセスと呼ぶ。
半導体膜を形成した後に、Ni等の上記触媒を添加し、LPCVD炉において加熱処理を行う。約700℃以上で、半導体膜中に結晶核が発生し、結晶化が進行する。
その後、島状半導体膜を形成した後、LPCVDによって、ゲート絶縁膜を形成する。例えば、シラン系ガスにN2やO2を混合させたガスを用い、900℃以上の高温で、HTO膜(High Temperature Oxide Film)を形成する。
次に、リン等のn型不純物を含むポリシリコン(p−Si)を150nmの膜厚で成膜することにより、ゲート電極層を形成する。さらに、W−Si(タングステンシリサイド)を150nmの膜厚で成膜してもよい。形成方法は、スパッタ法、CVD法等を適宜採用することができる。その後のドーピング工程は、実施例1と同様に形成することができる。
ドーピング工程の後、950℃、30分の熱活性化を行い、不純物領域を活性化させる。さらに、BPSGを用いてリフローを行い、レジストを用いたエッチバック法により、平坦化を行う。さらに、350℃の水素化アニールを行い、プラズマダメージを回復させる。
その他の工程は、実施例1と同様に行うことができる。なお、本実施例では、TFTをトップゲート構造としたが、ボトムゲート構造(逆スタガ構造)としてもよい。なお、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、実施例1のプロセスにおいて、島状半導体膜57として、SASを採用した場合について説明する。SASは、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。勿論、グロー放電分解による被膜の反応生成は減圧下で行うが、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲で行えば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜200度の基板加熱温度が推奨される。
また、珪化物気体中に、CH4、C2H6などの炭化物気体、GeH4、GeF4などのゲルマニウム化物気体を混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。
また、SASは、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないときに弱いn型の電気伝導性を示す。これは、アモルファス半導体を成膜するときよりも高い電力のグロー放電を行うため酸素が半導体膜中に混入しやすいためである。そこで、TFTのチャネル形成領域を設ける第1の半導体膜に対しては、p型を付与する不純物元素を、この成膜と同時に、或いは成膜後に添加することで、閾値制御をすることが可能となる。p型を付与する不純物元素としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm〜1000ppmの割合で珪化物気体に混入させると良い。例えば、p型を付与する不純物元素としてボロンを用いる場合、該ボロンの濃度を1×1014〜6×1016atoms/cm3とすると良い。なお、上記SASでチャネル形成領域を構成することにより1〜10cm2/V・secの電界効果移動度を得ることができる。
なお、SASを用いた場合には、半導体膜の結晶化工程(高温加熱処理工程)を省略することも可能であり、この場合には、チップをフレキシブル基板上に直接形成することも可能である。また、本発明においては、原則としてシリコンウエハ上にTFTを形成することはないが、フレキシブル基板等へ転写する前の被剥離基板として、用いることは可能である。なお、本実施例は、他の実施形態、実施例と自由に組み合わせることができる。
本実施例では、図24、図25を参照して、本発明に係るIDラベル、IDタグ、IDカード、本発明の応用例、及びそれらを付した商品の一例について説明する。
図24(A)は、本発明に係るIDラベルの完成品の状態の一例である。ラベル台紙118(セパレート紙)上に、IDFチップ110を内蔵した複数のIDラベル20が形成されている。IDラベル20は、ボックス119内に収納されている。また、IDラベル20上には、その商品や役務に関する情報(商品名、ブランド、商標、商標権者、販売者、製造者等)が記されており、一方、内蔵されているIDFチップには、その商品(又は商品の種類)固有のIDナンバーが付されており、偽造や、商標権、特許権等の知的財産権侵害、不正競争等の不法行為を容易に把握することができる。また、IDFチップ内には、商品の容器やラベルに明記しきれない多大な情報、例えば、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産方法、使用方法、生産時期、使用時期、賞味期限、取扱説明、商品に関する知的財産情報等を入力しておくことができ、取引者や消費者は、簡易なリーダによって、それらの情報にアクセスすることができる。また、生産者側からは容易に書換え、消去等も可能であるが、取引者、消費者側からは書換え、消去等ができない仕組みになっている。
図24(B)は、IDFチップを内蔵したIDタグ120を示している。IDタグを商品に備え付けることにより、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、IDタグを備えることにより、所謂トレーサビリティに優れた商品を流通させることができる。
図24(C)は、本発明に係るIDカード41の完成品の状態の一例である。上記IDカードとしては、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、電子乗車券、電子マネー、テレフォンカード、会員カード等のあらゆるカード類が含まれる。
図24(D)は、本発明を応用した無記名債券122の完成品の状態を示している。無記名債券122には、IDFチップ110が埋め込まれており、その周囲は樹脂によってモールドされ、IDFチップを保護している。ここで、該樹脂中にはフィラーが充填された構成となっている。無記名債券122は、本発明に係るIDラベル、IDタグ、IDカードと同じ要領で作成することができる。なお、上記無記名債券類には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。
図24(E)は、本発明を応用した包装用フィルム127の完成品の状態を示している。包装用フィルム127には、IDFチップ110が埋め込まれており、その周囲は樹脂によってモールドされ、IDFチップを保護している。ここで、該樹脂中にはフィラーが充填された構成となっている。包装用フィルム類127は、例えば、下層フィルム上に、IDFチップを任意にばらまき、充填層を介して、上層フィルムで覆うことによって作製することができる。包装用フィルム類127は、ボックス129に収納されており、所望の量だけカッター128で切り離して利用することができる。なお、包装用フィルム類127としての素材は特に制限されない。例えば、薄膜樹脂、アルミ箔、紙等を用いることができる。
図25(A)、(B)は、本発明に係るIDラベル20を貼付した書籍123、及びペットボトル124を示している。本発明に用いられるIDラベルは非常に薄いため、上記書籍等の物品にIDラベルを搭載しても、機能、デザイン性を損ねることがない。更に、非接触型薄膜集積回路装置の場合、アンテナをチップとを一体形成でき、曲面を有する商品に直接転写することが容易になる。
図25(C)は、果物類131の生鮮食品に、直接IDラベル20を貼り付けた状態を示している。また、図25(D)は、包装用フィルム類によって、野菜類130の生鮮食品を包装した一例を示している。また、なお、IDFチップ110を商品に貼り付けた場合、剥がされる可能性があるが、包装用フィルム類によって商品をくるんだ場合、包装用フィルム127類を剥がすのは困難であるため、防犯対策上多少のメリットはある。なお、上述した商品以外にも、あらゆる商品に、本発明に係るIDFチップを利用することができる。
本実施例では、図26〜図28を参照して、本発明に係るIDラベル、IDタグを搭載した商品の管理方法及び情報や商品の流れについて説明する。
まず、図26(A)を参照して、顧客が店内で商品を購入する場合について説明する。店内に陳列された商品132には、商品固有の情報、生産履歴等の情報を内蔵したIDラベル20又はIDタグが付されている。顧客は、店内に用意された、又は顧客自らが所有する顧客用R/Wを、商品132にかざすことにより、R/Wのアンテナ部134を介して商品に付されたIDラベル等と通信を行うことで、IDラベル等に内蔵された情報を読み出すことができる。
情報の読み取りや、購入/非購入の選択は、操作キー136で顧客が自由に行えるようにしておくのが望ましい。また、読み出された情報は、R/Wに備え付けられた表示部135に表示されるようにしておく。情報としては、商品の価格、消費税、原産国、生産者、輸入元、生産時期、賞味期限、その商品の用途(食品であればレシピ等)等が挙げられる。また、買い物時の買い上げ総額も表示されるようにすると便利である。
また、顧客用R/W133を、POSシステム137(Point of Sales;販売時点情報管理システム(商品に付けられているIDラベル、IDタグ等を、その商品が売れた時点で自動読取装置に読み取らせ、コンピュータに直接入力して、販売管理・顧客管理・在庫管理・仕入管理などを行うシステム)に接続しておくことにより、従来のレジにおけるバーコード読み取り作業が不要となる。
また、R/W133又はPOSシステム137と、電子マネー等の個人口座138とを接続しておき、購入額、利用額が自動引き落としとなるようにしておけば、キャッシュレス、レジスターレスとなり、効率良く買い物等をすることができる。また、個人が有する電子マネーカードによって、その場で、R/Wとやりとりすることによって、精算を行うことも可能である。かかる電子マネーカードとしては、勿論、本発明に係るIDカードを採用することができる。また、店内の出入り口には、商品管理するためのゲートを設けておくことにより、R/W又はPOSシステムに入力されていない(すなわち、購入していない)商品をチェックし、盗難を防止することができる。
なお、R/Wの形状、機能としては、図26(A)に示したものに限定されない。例えば、図26(B)に示すように、個人が所有する携帯情報端末、例えば携帯電話機本体180に、R/W機能を搭載させたものを用い、IDラベルもしくはIDタグを搭載した商品172の情報をセンサー部181を介し表示部183に表示されるようにしておく。このようにして、従来の無線タグ等により提供される情報と比べて、消費者は商品に関する豊富な情報を自由に入手することができる。
なお、本発明に係る商品に非接触型薄膜集積回路装置が内蔵される場合、カード等の商品とリーダ/ライタとの距離及び周波数によって、密着型、近接型、近傍型、遠隔型に分類される。密着型は、0〜2mmの通信距離を有する電磁誘導方式で、通信周波数は4.92GHzを使用する。また、近接型は、10cm程度の通信距離を有する電磁誘導方式で、通信周波数は13.56MHzを使用する。また、近傍型は、70cm程度の通信距離を有する電磁誘導方式で、通信周波数は13.56MHzを使用する。また、遠隔型は、数m程度の通信距離を有するマイクロ波方式である。
なお、非接触型のICの特徴は、コイル状に巻かれたアンテナの電磁誘導作用(電磁誘導方式)、相互誘導作用(電磁結合方式)又は静電気による誘導作用(静電結合方式)により電力が供給される点である。このアンテナの巻き数を制御することにより、受信する周波数の高さを選ぶことができる。例えば、周波数を高め波長を短くすることによりアンテナの巻き数を小さくできる。
また、非接触型薄膜集積回路装置は、接触型薄膜集積回路装置と比較するとリーダ/ライタに接触せず、非接触で電源供給及び情報通信を行うため、破損せず、高い耐久性を有し、静電気等によるエラーの心配がない。更にはリーダ/ライタ自体の構成は複雑にならならず、薄膜集積回路装置をリーダ/ライタにかざせばよいので、取扱いが容易である。
ここで、本発明に係るIDラベル、IDタグ等を搭載した商品の流れについて簡単に説明する。図27において、生産(製造)者は販売者(小売業者、卸業者等)又は消費者に薄膜集積回路装置搭載の商品を提供する。そして販売者は、例えば消費者の精算時に料金情報、商品の売れ個数や購入時間等の販売情報を生産者に提供することができる。一方消費者は、個人情報等の購入情報を提供することができる。例えば、薄膜集積回路装置搭載のクレジットカード、又は個人のリーダ等により購入情報を販売者や生産者へインターネット等を介して提供できる。また、販売者は、薄膜集積回路装置により、消費者に商品情報の提供し、販売者は消費者から購入情報を得ることができる。このような販売情報や購入情報等は、貴重な情報であり、今後の販売戦略に役立つ。
各種情報を提供する手段としては、薄膜集積回路装置から販売者や消費者の有するリーダが読み取った情報をコンピュータやネットワークを介して、その情報を生産者、販売者又は消費者に開示する方法がある。以上のように、多種多様な情報が薄膜集積回路装置を介して必要な者へ提供することができるため、本発明に係るIDラベル、IDタグは商品取引又は商品管理上でも有用である。なお、上記システムは、消費者から更に中古品販売業者に商品が流通する場合においても当てはめることができる。
次に、図28を参照して、空港における手荷物検査の場合について説明する。手荷物139には、IDFチップ110を内蔵したIDタグ120が備え付けられており、コンベア145上を移動し、リーダ/ライタ140を通過することにより、アンテナ141から発振される電磁波142によって、IDFチップ110を起動させ、メモリに含まれる情報を信号化して、リーダ/ライタ140に返信することにより、コンピュータ143によって情報を認識することができる。
また、コンピュータ143は、IDラベル又はIDタグが付され、又はIDFチップが内蔵され、適正(適法)に市場に流通された商品(以下、「真正品」という。)のみについての情報が蓄積されたデータベース144と接続されており、手荷物139内に含まれている商品の情報と、データベース144と照合させることもできる。そして、手荷物139内に、真正品以外の物が含まれている場合には、検査を行い、必要に応じて、差押え、廃棄、処分等することができる。なお、真正品であっても、機内持ち込みが禁止されている危険物や銃刀類が含まれている場合には、コンピュータによって検出されるので、その場合には、手荷物がゲートを通過できないように、コンピュータ内のソフトをプログラミングしておけばよい。
勿論、真正品以外の偽造品、模倣品、密売品、密輸品等の不法行為を組成する物品が含まれている場合には、手荷物はゲートを通過することができない。これによって、偽造品が国内に流入又は国外に流出することを水際で防ぐことができる。さらには、危険物や銃刀類を探知することができるため、テロ対策にも繋がる。
本実施例では、図29〜31を参照して、本発明に係るIDラベル、IDタグ、IDカード等とリード/ライタとの間における通信原理の一例について説明する。
図29は、IDラベル、IDタグ、IDカード等の商品等管理用物品に内蔵される非接触型薄膜集積回路装置411とリーダ/ライタ414のブロック図である。400は入力用アンテナであり、401は出力用アンテナである。また402は入力用インターフェースであり、403は出力用インターフェースである。なお各種アンテナの数は、図29に示した数に限定されない。また、アンテナの形状も、コイル状に限定されない。入力用アンテナ400によって、リーダ/ライタ414の出力用アンテナ418から受信した電磁波412は、入力用インターフェース402において復調されたり直流化されたりした後、バス409を介して、CPU404、コプロセッサ405、ROM406、RAM407、不揮発性メモリ408等の各種回路に供給される。
ここで、コプロセッサとは、薄膜集積回路装置410の全ての処理を制御するにあたりメインとなるCPUの働きを助ける副プロセッサの役割を担っている。通常、暗号処理専用の演算装置として機能し、決済等のアプリケーションを行う際に必要となる暗号処理を行うことができる。また、不揮発性メモリ408としては、情報を複数回書き換えることができるEPROM、EEPROM、UV−EPROM、フラッシュメモリ、FRAM等を用いるのがよい。
なお、上記不揮発性メモリは、その機能、性質により、プログラムメモリ(プログラムが格納されている領域)、作業メモリ(プログラム実行の過程で一時的にデータを保存しておく領域)、データメモリ(商品固有の情報のほか、プログラムが扱う固定的なデータを格納する領域)に分別される。通常、プログラムメモリとしてはROMを、作業メモリとしてはRAMを用いる。また、RAMは、R/Wとの間の通信時のバッファとしても機能する。また、信号として入力されたデータを定められたアドレスに記憶するためには、通常EEPROMが用いられる。
次に、メモリ内に記憶された商品固有の情報が、上記各種回路において信号に置換され、さらに、出力用インターフェース403において変調され、出力用アンテナ401によってR/W414に送られる。ここで、入力用インターフェース402は、整流回路420と、復調回路421とが設けられている。入力用アンテナ400から入力された交流の電源電圧は、整流回路420において整流化され、直流の電源電圧として上記各種回路に供給される。また、入力用アンテナ400から入力された交流の各種信号は、復調回路421において復調される。そして復調されることで波形整形された各種信号は、各種回路に供給される。
また、出力用インターフェース403は、変調回路423と、アンプ424とが設けられている。各種回路から出力用インターフェース403に入力された各種信号は、変調回路423において変調され、アンプ424において増幅または緩衝増幅された後、出力用アンテナ401からR/Wのような端末装置に送られる。R/Wの入力用アンテナ425は、非接触型薄膜集積回路装置から発信された信号を受信し、入力用インターフェース426で、復調された後、コントローラ427を介してコンピュータ419に送られ、データベース415を介して、あるいは介さずにデータ処理が行われることにより、商品固有の情報を認識することができる。
なお、上記コンピュータ419は、商品に関する情報を処理する機能を有するソフトを備えているが、勿論ハードで情報処理を行ってもよい。その結果、従来のようにバーコードを一つずつ読み取る作業と比較して、情報処理に費やす時間、労力やミスが低減され、商品管理への負担が軽減される。
なお、図29に示す各種回路は一形態を示したに過ぎず、非接触型集積回路装置411や、R/W414に搭載される各種回路は上記回路に限定されない。なお、図29では、非接触型としてアンテナを用いた例を示したが、非接触型の場合にはこれに限定されず、発光素子や光センサ等を用いて光でデータの送受信を行うようにしても良い。
また、図29では、整流回路420、復調回路421、変調回路423などのアナログ回路を含む入力用インターフェース402及び出力用インターフェース403、CPU404、各種メモリ等を、一の集積回路410で形成した。また、R/W414においても、出力用インターフェース417、入力用インターフェース426は、集積回路416によって形成すればよい。ただし本構成は一例であり、本発明はこの構成に限定されない。例えば、整流回路420、復調回路421、変調回路423などのアナログ回路を含む入力用インターフェース402及び出力用インターフェース403を、ICチップに形成し、CPU404、各種メモリ等を、TFTによって形成される薄膜集積回路で形成することができる。
なお図29では、端末装置であるリーダ/ライタから電源電圧が供給されている例について示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図示しないが、非接触型薄膜集積回路装置に太陽電池が設けられていても良い。また、リチウム電池等の超薄型の電池を内蔵していても良い。
図30は、入力用アンテナ400と、出力用アンテナ401とが、別々に形成された場合のIDラベル20を示す斜視図である。具体的な作製方法は、実施形態1と同様であるが、薄膜集積回路装置13と、アンテナとの端子部が4箇所となる。なお、入力用アンテナ400と、出力用アンテナ401とが、別々に形成された場合の構成は、これらに限定されるものではない。
ここで、薄膜集積回路装置内のCPUの構成について簡単に説明する。図31は、CPU、メモリ、入出力インターフェースからなる集積回路のブロック図を示したものである。まず、CPU919は、メインメモリ905内のプログラムメモリ906から命令を読み出す作業が不可欠であるため、その命令が存在するアドレスを、アドレスバス917を介して指定する必要がある。この際、アドレス管理部911は、このようなメインメモリ905に対してのアドレスの指定を行う。メインメモリ内の情報は、コントロールバス918を介して行われる。
プログラムメモリ906に対して、アドレスを指定すると、そのアドレスに格納されている命令が出力され、この出力された命令は、データバス916及び内部バス915を介して、一旦命令レジスタ912に取り込まれる。ここで、各種レジスタ又はレジスタ群910は、CPU内部でのデータや実行状態の保持に用いる作業用の記憶素子からなり、CPU内部での各種処理は、これらを用いて行われる。
命令レジスタに一旦取り込まれた命令は、命令デコーダ913に送られる。命令デコーダは、まず受け取った命令を翻訳し、制御部900が理解できる制御情報に置き換え、制御部に何をすべきかを指示する。また、命令デコーダは、命令によって処理される情報の所在(レジスタ又はメモリ)を指示する。なお、ここでいう翻訳とは、複数の入力信号(ビット)からなるデータを、特定の一つの信号に置換することを指す。
命令デコーダ913から制御部900への指示は、信号によって行われる。制御部には、情報の種類に対応した各種の処理を行う回路を制御する信号線(制御信号)が出ており、この制御信号にはそれぞれスイッチ回路が付いている。このスイッチがオンの時に、回路に対して制御信号を出力することができる。
また、命令の内容が演算に関するものの場合には、制御部は演算器901に対して演算処理の制御信号(データ読み込みのためのパルス信号)を出力する。演算の対象となる演算レジスタ902は、演算対象と被演算対象という2つのレジスタ903、904に分かれる。なお、各種メモリの役割は、上述したとおりである。また、入出力インターフェース914は、CPUが外部装置(例えばR/W)とやりとりする際に、規格の異なる信号をCPUで処理可能な信号に変換する役割を果たしている。
また、作業メモリ907は、プログラム実行の過程で一時的にデータを保存しておく領域である。また、データメモリ908は、プログラムが扱う固定的なデータを格納する領域である。作業メモリとしては、通常RAM(Random Access Memory)が用いられ、データ処理時の作業エリアとして機能する。また、RAMは、R/Wとの間の通信時のバッファとしても機能する。また、信号として入力されたデータを定められたアドレスに記憶するためには、通常EEPROMが用いられる。
本実施例では、図32を参照して、本発明に係るIDFチップの構成の一例について、さらに具体的に説明する。図32(A)は、IDFチップ217の概略図であり、電源回路214、入出力回路215、アンテナ回路216、論理回路210、増幅器211、クロック生成回路・デコーダ212、メモリ213等から構成される。アンテナ回路216は、アンテナ配線201と、アンテナ容量202とを有している。
IDFチップは独自の電源を持たない代わりに、リーダ/ライタ200から発せられる電磁波218を受け取ることで電力が供給され動作する。リーダ/ライタ200からの電磁波218をアンテナ回路216が受け取ると、第1の容量手段203、第1のダイオード204及び第3のダイオード207、第3の容量手段208等によって構成される入出力回路215により、検波出力信号として検出される。この信号は増幅器211によって十分大きな振幅に増幅された後、クロック生成回路・デコーダ212によってクロックとデータ・命令に分離され、送られた命令を論理回路210で解読し、メモリ213内のデータの返答、必要事項のメモリへの書き込み等を行う。
返答は論理回路210の出力によってスイッチング素子209をオン/オフすることによって行う。これによってアンテナ回路216のインピーダンスが変化して結果としてアンテナ回路216の反射率を変化させる。リーダ/ライタ200はアンテナ回路216の反射率の変化をモニターすることで、IDFチップからの情報を読み取る。
IDFチップ内の各回路で消費する電力は電源回路214により受信した電磁波218を検波、平滑することで生じる直流電源VDDによって供給される。電源回路214は、第1の容量手段203と第1のダイオード204と第2のダイオード205と第2の容量手段206によって構成されるが、第2の容量手段206は各回路に電力を供給するために十分大きな値を設定している。
図32(B)は、IDFチップ1309に使われる回路のうち、アンテナ回路1308と電源回路1307を抜き出したものである。アンテナ回路1308は、アンテナ配線1301と、アンテナ容量1302とを有している。また電源回路1307は、第1の容量手段1303と、第1のダイオード1304と、第2のダイオード1305と、第2の容量手段1306とを有している。
IDFチップは無電池で動作することを特徴のひとつとして挙げられるが、前述したようにリーダ/ライタから発せられる電磁波をアンテナ回路1308で取りこみ、電源回路1307で整流することにより発生する直流電圧によって、IDFチップ内に組み込まれた回路が作動する仕組みになっている。
上記実施形態又は実施例では、主に非接触型薄膜集積回路装置について説明したが、本発明に係る薄膜集積回路装置は、勿論、接触型薄膜集積回路装置にも採用することができる。例えば、磁気ストライプ型や、ICモジュール接点型のチップとすることができる。接触型ICの場合はアンテナを設けない構成とすればよい。また、これらの磁気ストライプ型又はICモジュール接点型の薄膜集積回路装置と、非接触型薄膜集積回路装置とを組み合わせた構造としても良い。
本発明に用いられるIDFチップに代表される薄膜集積回路装置は、IDラベル、IDカード、IDタグはもとより、様々な商品に搭載することができる。他にも、紙幣、硬貨、無記名債券類、証書類、有価証券類等に用いることができる。特に、紙状、板状、ラップ状の商品に適用する際に有効であり、上記実施形態、実施例を参照して、それらの商品を作製することができる。このように、本発明の利用範囲は極めて多岐に渡る。
本発明に係るIDラベルの構造を示す斜視図
本発明に係るIDラベルの構造を示す斜視図
本発明に係るIDカードの構造を示す斜視図
本発明に係るIDラベルの構造を示す断面図(異方性導電膜を使用)
本発明に係るIDラベルの構造を示す断面図(非導電性接着剤層を使用)
本発明に係るIDラベルの構造を示す断面図(内部交差配線)
本発明に係るIDラベル、IDカード、IDタグの構造を示す断面図(内部基体を使用)
本発明に係るIDラベル、IDカードの構造を示す斜視図(アンテナ一体型)
IDラベル等に用いられるアンテナ一体型薄膜集積回路装置の断面図
本発明に係るIDラベル等の製造ラインを示す模式図
本発明に係るIDカード、IDタグ等の製造ライン及び完成品の拡大図を示す模式図
本発明に用いられる薄膜集積回路装置内のCPU、メモリの作製工程図
本発明に用いられる薄膜集積回路装置内のCPU、メモリの作製工程図
本発明に用いられる薄膜集積回路装置内のCPU、メモリの作製工程図
本発明に用いられる薄膜集積回路装置内のCPU、メモリの作製工程図
サイドウォールの形成方法を説明する図
薄膜集積回路装置の剥離方法を示す図(トレー兼基板利用)
減圧CVD装置の概略図
種々の被剥離基板について説明する図
アンテナ基板を折り畳む場合について説明する図
アンテナ基板を折り畳む場合における薄膜集積回路装置の作製工程図
IDFチップを商品基体に貼り付ける方法を説明する図(選択的UV光照射)
TFTのソース/チャネル/ドレイン領域形成方向と商品基体の曲げ方向との関係を示す図
本発明に係る物品の一例を説明する図
本発明に係るIDラベル等を付した商品の一例を説明する図
店内における商品購入の一例を説明する図
生産者(製造者)、販売者、消費者との関係を示す図
手荷物検査時においてIDタグを付した物品の検査方法を説明する図
本発明に係るIDラベルIDカードの構成を示すブロック図
本発明に係るIDラベルの構造を示す斜視図(入力用、出力用アンテナ)
薄膜集積回路装置内のCPUの構成を説明するブロック図
本発明に用いられる薄膜集積回路装置の回路図