[第1実施形態]
図1において、RFIDシステム10は、センサタグ(センサ付き電子タグ)12と、このセンサタグ12から情報を非接触で読み取りまた設定等を書き込むリーダライタ(インテロゲータ)14とを有する。センサタグ12は、センサ15(図2参照)を有している。このセンサタグ12は、対象物16に取り付けられて使用される。対象物16は、物理量や化学量をセンサ15が測定する対象であるのと同時に、センサタグ12に設定される固有IDによって識別される対象にもなる。対象物16は、特に限定されず、例えば商品や貨物等の物、動物や人等の生体等である。
RFIDシステム10では、センサタグ12は、設定されたパラメータにしたがってセンサ15による測定データを収集して、内部のメモリに保存するロギングを行うデータロガーとして機能し、リーダライタ14によってセンサタグ12に保存されている測定データが読み出される。センサタグ12及びリーダライタ14は、例えばISO18000-6C及びEPC Global Class1 Generation2(EPC C-1 G-2)等の国際規格に準拠している。
図2に示すように、センサタグ12は、例えばアクテイブタイプのものであり、タグ用基板としてのフレキシブル基板21にアンテナ22、RFIDチップ23、センサ15を含むセンサ部24、ユニットチップ25及び電源としてのバッテリ26が実装されている。フレキシブル基板21には、複数の配線が形成されており、その配線により、RFIDチップ23に、アンテナ22、センサ部24、ユニットチップ25がそれぞれ接続され、またバッテリ26からRFIDチップ23、センサ部24及びユニットチップ25に給電がなされる。なお、センサタグ12は、セミパッシブタイプのものでもよい。また、図2に示されるフレキシブル基板21上の配線パターンは実際のものとは異なる。
アンテナ22は、リーダライタ14からの電波(信号)の受信と、リーダライタ14への電波の送信とに用いられる。アンテナ22は、フレキシブル基板21上に導電性の配線パターンとして形成されている。アンテナ22の形状は、使用する電波の周波数等に応じて適宜に設定できる。RFIDチップ23は、センサタグ12のデータロガーとしての機能及びリーダライタ14との通信機能を担うものであり、その制御を行う制御部31(図3参照)や送受信部32(図3参照)等の回路を1つの半導体チップにまとめたものである。
センサ部24は、センサ15と、このセンサ15が実装されたフレキシブル基板24aとから構成される。フレキシブル基板24aの一端がフレキシブル基板21に取り付けられることによって、センサ15はフレキシブル基板21に実装され、フレキシブル基板21上のRFIDチップ23にセンサ15が電気的に接続される。この例では、センサ15として、温度センサが用いられており、センサ部24が対象物16に貼り付けられることによって対象物16の温度を測定する。
センサ15は、温度センサに限定されず、例えば対象物16の歪みを計測する歪みセンサ、対象物16に加えられた衝撃を計測するための加速度センサ、対象物16の位置情報を取得するGPSセンサ等であってもよい。また、センサ15としては、圧力センサや照度センサを用い、対象物16の置かれた環境における圧力(気圧)や照度(明るさ)を測定してもよい。さらに、センサ15をフレキシブル基板21上に設けてもよく、RFIDチップ23に内蔵させてもよい。
ユニットチップ25は、詳細を後述する指示部35と、コマンド格納部としてのコマンド格納メモリ36との回路を1つの集積回路とまとめたものである。この例では、ユニットチップ25は、指示部35及びコマンド格納メモリ36のトランジスタを薄膜トランジスタで構成し、さらに薄膜トランジスタの活性領域を有機半導体で形成したものである。このようにユニットチップ25を構成する薄膜トランジスタとして、その活性領域を有機半導体としたものを用いることにより、既存のシリコン半導体と異なり大気中での塗布・印刷プロセスで製造ができる。このように、薄膜トランジスタの活性領域を有機半導体とした構成は、非常に簡素なプロセスで製造が可能なため、少量多品種への対応も可能であり、更には、非常に低コストでデバイス導入を進めることができる。
ユニットチップ25は、コマンド格納メモリ36に内部入力コマンドを格納していない状態で作製され、フレキシブル基板21への例えば実装の前にコマンド格納メモリ36に内部入力コマンドが格納される。なお、フレキシブル基板21への実装の後にコマンド格納メモリ36に内部入力コマンドを格納してもよい。
バッテリ26は、フレキシブル基板21上に設けられており、上述のようにセンサ15、RFIDチップ23、ユニットチップ25に給電する。これにより、センサ15、RFIDチップ23、ユニットチップ25は、このバッテリ26を電源として動作する。
図3において、RFIDチップ23には、制御部31、送受信部32及びメモリ38が設けられている。送受信部32は、復調回路、変調回路を有している。この送受信部32は、アンテナ22を介して受信したリーダライタ14からの電波の変調された搬送波を復調する。送受信部32は、復調で得られる受信データを制御部31に送る。また、送受信部32は、制御部31から入力される送信データ(入力データ)に基づいて搬送波を変調する。変調された搬送波は、アンテナ22を介して送信される。これにより、リーダライタ14とセンサタグ12との通信が行われる。また、送受信部32は、リーダライタ14からの搬送波を受信したときに、搬送波検知信号を出力する搬送波検知回路が内蔵されている。搬送波検知回路は、例えば搬送波を整流する整流回路等で構成される。
制御部31は、動作を制御するロジック回路の他、図示を省略するが、指示部35との間で通信を行う通信インタフェース回路、センサ15からの信号を測定データに変換するA/Dコンバータ回路、時計回路等を有している。この制御部31は、メモリ38に記憶されている設定パラメータおよび入力されるコマンドにしたがって動作し、ロギング及びリーダライタ14との通信制御を行う。また、制御部31の動作には、制御部31がコマンドにしたがって設定パラメータを設定、変更する動作が含まれる。
コマンドは、リーダライタ14からの受信データとして入力される外部入力コマンドと、ユニットチップ25の指示部35から入力される内部入力コマンドとがある。外部入力コマンドは、内部入力コマンドと同じコマンドとすることができるが、例えば内部入力コマンドに独自のコマンドを追加することも好ましい。なお、以下の説明では、外部入力コマンドと内部入力コマンドを特に区別しない場合にコマンドと総称する。
コマンドには、例えば、ロギングの開始(ログ開始)やメモリ38の指定するアドレスに記録されているデータをリーダライタ14に送信を実行させるための実行コマンド、メモリ38の指定するアドレスのデータ、設定パラメータを特定の値に設定、変更する設定コマンド等がある。設定パラメータには、例えば時刻、ロギングの間隔であるログ間隔、ロギングを開始する時刻等のロギング自体に関するもの、センサ15の測定限界値(上限値、下限値)等のセンサ15に関するもの等がある。
コマンドとしては、動作を指定するコードだけで構成されるもの、動作を指定するコードに1あるいは複数のデータが付加されたものが含まれる。動作を指定するコードに付加されるデータとしては、例えばログ間隔や、メモリ38のアドレスやそのアドレスに書き込むべきデータ等がある。
制御部31は、例えば、ロギングを開始させるコマンド(ログ開始)が入力された場合には、測定データを取得して、この測定データと取得時の時刻である測定時刻とをメモリ38の所定の領域に書き込む。また、測定値の送信を指示するコマンドが入力された場合には、メモリ38の所定の領域内に書き込まれているロギングされた各測定データ及び測定時刻を読み出して、これを送信データとして送受信部32に送る。これにより、読み出された各測定データと測定時刻とが送受信部32、アンテナ22を介してリーダライタ14に送信される。
メモリ38は、不揮発性でありデータ書き換えが可能なメモリ、例えばEEPROMで構成されている。このメモリ38には、ロギングされた測定データや上述の各種設定パラメータ等が書き込まれている。メモリ38の各種設定パラメータは、外部入力コマンドあるいは内部入力コマンドにしたがって制御部31が設定、変更する。
ユニットチップ25には、前述のように指示部35とコマンド格納メモリ36とが設けられており、これら指示部35とコマンド格納メモリ36とによりプロセスユニット41が構成される。指示部35は、タイミング生成カウンタ42、コントローラ43、通信インタフェース44を有している。
タイミング生成カウンタ42は、発振回路(図示省略)から入力されるクロック信号のパルス数をカウントする複数ビットのカウンタ等で構成されている。タイミング生成カウンタ42は、カウントしているパルス数が予め決められた値になるごとに、タイミング信号をコントローラ43に送る。これによって、予め決められた間隔でタイミング信号がコントローラ43に送られる。発振回路は、例えばフレキシブル基板21に直接に実装してされており、その発振回路からのクロック信号がプロセスユニット41に入力される。なお、発振回路を内蔵したRFIDチップ23を用いてもよく、発振回路をユニットチップ25に内蔵してもよい。さらには、発振回路は独立した回路としてフレキシブル基板21に独立して実装されていてもよい。
コントローラ43は、タイミング生成カウンタ42から入力されたタイミング信号を受けて回路の動作タイミングを生成する機能を有し、主に回路の動作タイミングを生成するタイミング生成部、アドレス生成部、通信インタフェース44の通信状態を認識する通信制御部の回路で構成される。また、コントローラ43は、所定の期間のみ発振回路から入力されたクロック信号を通信インタフェース44に送る。通信インタフェース44に送られるクロック信号は、通信の同期信号などに用いられる。
コントローラ43は、制御部31に送るべき順番でコマンド格納メモリ36から内部入力コマンドを読み出すために、タイミング生成カウンタ42からのタイミング信号が入力されるごとに、コントローラ43内のアドレス生成部でアドレスをインクリメントして出力する。通信インタフェース44は、制御部31に接続されている。この通信インタフェース44は、コマンド格納メモリ36から読み出された複数ビットの内部入力コマンドをシリアルに変換し、制御部31に送出する。
コマンド格納メモリ36には、センサタグ12を所望とする動作するための1組の内部入力コマンドが格納されている。1組の内部入力コマンドは、1または複数の内部入力コマンドで構成される。例えば、所望とするロギングの態様とするための内部入力コマンド、センサ15の種類や仕様(測定の上限値下限値等)等からなる1組の内部入力コマンドが格納されている。コマンド格納メモリ36に、個々のセンサタグ12に割り当てられる固有IDを設定するための内部入力コマンドを格納することもできる。
コマンド格納メモリ36は、偽装など第三者による悪意のある改造を防ぐIoT向けエッジデバイスのセキュリティ上の観点やオペレーション上での意図せぬ書き換えなどを防止するため、内部入力コマンドの書き込み(格納)が1回だけ許容されるものが好ましい。
図4にコマンド格納メモリ36に格納された1組の内部入力コマンドの一例を示す。コマンド格納メモリ36には、1アドレスに対して1個の内部入力コマンドが格納される。また、コマンド格納メモリ36には、M(Mは1以上の整数)個の内部入力コマンドの格納が可能であり、その全部または一部に内部入力コマンドが格納される。図4に示す例では、コマンド格納メモリ36のアドレス1からアドレス18までに内部入力コマンドが格納されており、アドレス19からアドレスMまでは、制御部31は動作、設定を変化させないデータが格納されている。
コマンド格納メモリ36では、内部入力コマンドは、小さなアドレスから制御部31に送出すべき順番で格納されている。前述のように、コントローラ43は、タイミング信号の入力ごとにアドレスをインクリメントするので、小さなアドレスから順番に内部入力コマンドが読み出される。これにより、コマンドを制御部31に送出すべき順番でコマンド格納メモリ36から内部入力コマンドが読み出されて制御部31に送出される。なお、この例では、コントローラ43は、アドレスMの後にアドレス1を生成するようにサイクリックにアドレスを生成するので、これに応じて格納されている内部入力コマンドはサイクリックに読み出される。
センサタグ12を製造する場合、アンテナ22及び配線が形成されたフレキシブル基板21に、RFIDチップ23、センサ部24、ユニットチップ25、バッテリ26を実装する。このときに、前述のようにコマンド格納メモリ36に内部入力コマンドを格納してからユニットチップ25(コマンド格納メモリ36)をフレキシブル基板21に実装しても、またフレキシブル基板21にユニットチップ25を実装してからコマンド格納メモリ36に内部入力コマンドを格納してもよい。ユニットチップ25と他の部材との実装の順番も特に限定されないが、バッテリ26を実装する前に、実装されているコマンド格納メモリ36に内部入力コマンドが格納された状態にすることが好ましい。
上記ユニットチップ25を、フレキシブル基板21に実装してセンサタグ12を完成品とした場合、バッテリ26の給電が開始されると、プロセスユニット41による内部入力コマンドの送出が開始される。例えば、コマンド格納メモリ36に、図4に示されるように内部入力コマンドが格納されている場合では、1番目のタイミング信号の発生に応答して、コントローラ43からアドレス1がコマンド格納メモリ36に出力される。これにより、図5に示すように、最初にアドレス1の「End Log」コマンドがコマンド格納メモリ36から読み出され、これが通信インタフェース44を介して制御部31に送出される。この「End Log」コマンドを受信すると、制御部31は、ロギングのための動作を停止(ログ停止)させる。
1番目のタイミング信号から所定時間が経過した時点で発生する2番目のタイミング信号の発生に応答して、コントローラ43からアドレス2がコマンド格納メモリ36に出力される。これにより、アドレス2の「Reset」コマンドがコマンド格納メモリ36から読み出され、これが通信インタフェース44を介して制御部31に送出される。「Reset」コマンドを受信すると、制御部31は、電源投入後と同じ状態に初期化される。
同様に所定時間が経過するごとに、3番目以降のタイミング信号の発生に応答して、アドレス3以降の内部入力コマンドが順次に読み出されて、制御部31に送出される。アドレス3からアドレス17までの内部入力コマンドは、それぞれ設定コマンドであるので、それら設定コマンドにしたがって、制御部31により、メモリ38内の設定パラメータが変更される。これにより、制御部31を含むRFIDチップ23の動作が確定する。以後、アドレス1に戻り「End Log」とアドレス2の「Reset」コマンドが実行されるまでは、設定値に従いRFIDチップ23が動作する。
アドレス18の「Start Log」コマンドがコマンド格納メモリ36から読み出され制御部31に入力される。制御部31は、「Start Log」コマンドを受信すると、その時点から、「Delay time」コマンドで設定された遅延時間(例えば1秒)だけ遅れて、ロギングのための処理を開始する。
コントローラ43は、アドレス18の内部入力コマンドの送出後、内部タイマがオーバーフローするのを待って、アドレスの出力を開始する。これにより、タイミング信号がコントローラ43に入力されるごとに再びアドレス1から順番にコマンド格納メモリ36にアドレスが出力される。なお、内部タイマは、例えば、M番目の内部入力コマンドを制御部31に送ってその内部入力コマンドが制御部31で反映される長さ程度に設定されており、1番目のタイミング信号の入力時点から計時を開始する。さらに好ましくは、内部タイマは、M番目の内部入力コマンドを制御部31に送ってその内部入力コマンドが制御部31で反映される長さの2倍以上に設定されており、RFIDチップ23の設定が確定してから一定時間以上のロギングとリーダライタ14との通信が行える専用の期間を設けておき、1番目のタイミング信号の入力時点から計時を開始する。
上記のようにプロセスユニット41が動作することで、所定の周期Taでコマンド格納メモリ36に格納されている1組の内部入力コマンドの送出が繰り返される。この結果、設定されたログ間隔でセンサ15が測定した温度(測定データ)をメモリ38に記録するという動作が、周期Taで繰り返し行われる。
このような動作を行うセンサタグ12に対して、ロギングされた測定データを取得する場合には、リーダライタ14は、図6に示すように、タグ状態を確認するための外部入力コマンドと、測定データを読み出すための外部入力コマンドとを順番に送信する。タグ状態を確認するための外部入力コマンドに応答して、制御部31は、メモリ38に測定データが記録されているか否かの情報を含む送信データを送受信部32、アンテナ22を介してリーダライタ14に送信する。また、読み出しのための外部入力コマンドに応答して、制御部31は、メモリ38に記録されている測定データを含む送信データを送受信部32、アンテナ22を介してリーダライタ14に送信する。なお、タグ状態を確認した結果、測定データが記録されていない場合には、リーダライタ14は、読み出しのための外部入力コマンドの送信は行わない。
ところで、センサ15として、異なる仕様、例えば測定限界値が異なるものを用いたセンサタグ12を作製する場合や、異なるログ間隔で測定を繰り返すセンサタグ12を作製する場合、他の設定を加えて測定動作を変えたセンサタグ12を作製する場合等もある。このような場合では、それらに応じた組み合わせや設定パラメータの値を変えた内部入力コマンドをコマンド格納メモリ36に格納した状態にし、そのコマンド格納メモリ36を含むユニットチップ25をフレキシブル基板21に実装する。これにより、所望とする動作、設定のセンサタグ12を作製できる。
コマンド格納メモリ36の内容を変えただけのユニットチップ25を実装するだけで、所望とする動作、設定のセンサタグ12を作製でき、制御部31を制御するためマイクロコンピュータやソフトウェアを開発する必要もなく、容易に所望とする動作、設定のセンサタグ12にカスタマイズできる。
図7は、ユニットチップ25のn型の薄膜トランジスタ51及びp型の薄膜トランジスタ52の断面構造の一例を示している。なお、図7では、基板54、第1ゲート絶縁膜56、第2ゲート絶縁膜62、第1保護膜71、第2保護膜72の断面のハッチングを省略している。図8~図11及び図15についても同様である。
ユニットチップ25は、最下層に絶縁性の基板54が配され、基板54の上面に薄膜トランジスタ51のゲート電極55が所定形状に形成されている。基板54としては、例えば可撓性を有する樹脂製のものが用いられる。ゲート電極55を覆うように、基板54上に第1ゲート絶縁膜56が形成されている。この第1ゲート絶縁膜56の上面に、薄膜トランジスタ51の活性領域となるn型の半導体膜57が所定形状に形成されている。また、第1ゲート絶縁膜56上には、半導体膜57の端部をそれぞれ覆うように、薄膜トランジスタ51のソース電極58及びドレイン電極59が所定形状に形成されている。第1ゲート絶縁膜56の上面には、さらに薄膜トランジスタ52のゲート電極61が所定形状に形成されている。なお、基板54の上面には、ゲート電極55とともに下部配線(図示省略)を形成してもよい。
上記の半導体膜57、ソース電極58、ドレイン電極59及びゲート電極61を覆うように、第1ゲート絶縁膜56上に、第2ゲート絶縁膜62が形成されている。この第2ゲート絶縁膜62の上面に薄膜トランジスタ52の活性領域となるp型の半導体膜63が所定形状に形成されている。また、第2ゲート絶縁膜62上には、半導体膜63の端部をそれぞれ覆うように、薄膜トランジスタ52のソース電極65及びドレイン電極66が所定形状に形成されている。半導体膜63、ソース電極65及びドレイン電極66を覆うように、第2ゲート絶縁膜62上に、絶縁性の第1保護膜71が形成されている。この第1保護膜71の上面に、上部配線73a、73bが形成されている。第1保護膜71上には、絶縁性の第2保護膜72が形成されており、上部配線73a、73bを覆っている。
また、図示される例では、薄膜トランジスタ51のドレイン電極59と上部配線73aとがプラグ74aで電気的に接続され、薄膜トランジスタ51のゲート電極55と薄膜トランジスタ52のドレイン電極66と上部配線73bとがプラグ74bで接続されている。
プラグ74a、74bの形成方法は、特に限定されないが、例えば第1保護膜71よりも下層の各構成及び第1保護膜71の形成後に、プラグ74a、74bを形成する位置に、レーザにより貫通孔を形成し、その貫通孔内に導電性材料を充填することにより形成することができる。例えばインクジェット方式のプリンタにより貫通孔内に導電性材料を含有する導電性インクを吹き付けることで、貫通孔内に導電性材料を充填することができる。この例では、この手法によりプラグ74a、74bとともに上部配線73a、73bを形成している。
上述のように薄膜トランジスタ51、52の活性領域となる半導体膜57、63は、有機半導体で形成することが好ましい。有機半導体で半導体膜57、63を形成する手法としては、真空蒸着法に代表されるPVD法、有機半導体材料を含むインクを用いた有版印刷法及び無版印刷法、有機半導体材料を溶解した溶液を用いたエッジキャスト法や連続エッジキャスト法等が挙げられる。エッジキャスト法については、例えば特開2015-185620号公報に、連続エッジキャスト法については、例えば特開2017-147456号公報に詳しく記載されている。PVD法や連続エッジキャスト法を用いた場合、絶縁膜の上面の全面に有機半導体膜を形成した後に、フォトリソグラフィー法等により半導体膜57、63の形状にパターニングしてもよく、マスクを用いて半導体膜57、63の形状にパターニングされた状態で半導体膜57、63を形成してもよい。半導体膜57、63は、有機半導体の単結晶の膜であることが好ましい。
n型の半導体膜57の有機半導体材料としては、PDI1MPCN2(N,N‘-di((S)-1-methylpentyl)-1,7(6)-dicyano-perylene-3,4:9,10-bis-(dicarboximide))、PDI-FCN2(N-fluoroalkylated dicyanoperylene-3,4:9,10-bis(dicarboximides))、PDI-C8(N,N‘-dioctyl perylene diimide)、PDI-C13(N,N’-ditridecyl perylene diimide)、PDI-8CN2(N,N‘-bis(n-octyl),1,6-dicyanoperylene-3,4:9,10-bis(dicarboximide))、PBI-F2、PBI-F4(fluoro-sub-stituted PBI(Perylene tetracarboxylic acid bisimide) derivatives)、F16CuPc(Copper hexadecafluoro phthalocyanine)、TC-PTCDI(tetra-chloroperylene tetracarboxyldiimide)、BPE-PTCDI(N,N‘-bis(2-phenylethyl)perylene-3,4:9:10-bis-(dicarboximide))、2,9-diphenethylanthra[9,1,2-cde:10,5,6-c'd'e']bis([2,7]naphthyridine)-1,3,8,10(2H,9H)-tetraone等が挙げられる。
また、蒸着により成膜可能なp型の半導体膜63の有機半導体材料としては、ペンタセン(Pentacene)、銅フタロシアニン等が挙げられる。また、有版印刷法または無版印刷法、エッジキャスト法により成膜可能なp型の半導体膜63の有機半導体材料としては、例えば、Tips-Pentacene(6,13-ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(6,13-bis(triisopropylsilylethynyl)pentacene))、NSFAAP(13,6-N-スルフィニルアセトアミドペンタセン(13,6-N-sulfinylacetamidopentacene))、DMP(6,13-ジヒドロ-6,13-メタノペンタセン-15-オン(6,13-Dihydro-6,13-methanopentacene-15-one))、ペンタセン-N-スルフィニル-n-ブチルカルバマート付加物(Pentacene-N-sulfinyl-n-butylcarbamate adduct)、ペンタセン-N-スルフィニル-tert-ブチルカルバマート(Pentacene-N-sulfinyl-tert-butylcarbamate)等に代表されるペンタセン前駆体、BTBT([1]ベンゾチエノ[3,2-b]ベンゾチオフェン([1]Benzothieno[3,2-b]benzothiophene))、C10-DNBDT(3,11-ジデシルジナフト[2,3-d:2’,3’-d’]ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン(3,11-didecyldinaphto[2,3-d:2’,3’-d’]benzo[1,2-b:4,5-b’]dithiophene))やその側鎖長違いのC9-DNBDT、ベンゾビスチアジアゾール骨格を有するもの、ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、可溶性基としてアルキル基等を有するオリゴチオフェン等に代表される低分子化合物またはオリゴマー、ポリチオフェン、フルオレンコポリマーやD-A構造を有するIDT-BT(indacenodithiophene benzothiadiazole)、CDT-BT(Cyclopentadithiophene benzothiadiazole)等に代表される高分子化合物が挙げられる。
活性領域である半導体膜57、63をカーボンナノチューブ、グラフェン、酸化物半導体、黒りん等の金属化合物からなる半導体で形成することも好ましい。活性領域をカーボンナノチューブとした薄膜トランジスタについては、例えば特許第6005205号公報、「Dong-ming Sun et al., “Flexible high-performance carbon nanotube integrated circuits”, Nature Nanotechnology volume 6, pages 156-161 (2011)」、「Donglai Zhong et al., "Gigahertz integrated circuits based on carbon nanotube films”, Nature Electronics volume 1, pages40-45 (2018)」、「Jianshi Tang et al., “Flexible CMOS integrated circuits based on carbon nanotubes with sub-10 ns stage delays”, Nature Electronics volume 1, pages191-196 (2018)」に詳しく記載されている。
活性領域をグラフェンとした薄膜トランジスタについては、例えば特開2013-253010号公報、「Seunghyun Lee1 et al., “Flexible and Transparent All-Graphene Circuits for Quaternary Digital Modulations” Nature Communications volume 3, Article number: 1018 (2012)」、「Shu-Jen Han1 et al. , “Graphene radio frequency receiver integrated circuit” Nature Communications volume 5, Article number: 3086 (2014)」、「Yu-Ming Lin et al., “Wafer-Scale Graphene Integrated Circuit” Science 10 Jun 2011,Vol. 332, Issue 6035, pp. 1294-1297」に詳しく記載されている。
活性領域を酸化物半導体とした薄膜トランジスタについては、例えば特開2017-76789号公報、特開018-50043号公報、「Hiroaki Ozakia et al., “Wireless operations for 13.56-MHz band RFID tag using amorphous oxide TFTs”, IEICE Electronics Express Volume 8 (2011) Issue 4 Pages 225-231」、「Ming-Hao Hung et al., “Ultra Low Voltage I-V RFID Tag Implement in aIGZO TFT Technology on Plastic”, 2017 IEEE International Conference on RFID (RFID)」、「Byung-Do Yang et al., “A Transparent Logic Circuit for RFID Tag in a-IGZO TFT Technology”, ETRI Journal Volume35, Issue4 August 2013 Pages 610-616」に詳しく記載されている。
活性領域を黒りんの金属化合物からなる半導体とした薄膜トランジスタについては、例えば、特開2018-14359号公報、特開2018-98338号公報、「Xuewei Feng et al., “Complementary Black Phosphorus Nanoribbons Field-Effect Transistors and Circuits” IEEE Transactions on Electron Devices Volume 65 , Issue 10 , Oct. 2018 Page(s): 4122 - 4128」、「Peng Wu et al., ”High Performance Complementary Black Phosphorus FETs and Inverter Circuits Operating at Record-Low VDD down to 0.2V”, 2018 76th Device Research Conference (DRC)」に詳しく記載されている。
図8において、コマンド格納メモリ36は、複数のセル81がマトリクス状に配置されたセルアレイ82を有する。各セル81は、それぞれ1個のp型の薄膜トランジスタ52Aから構成されている。また、コマンド格納メモリ36には、ワード線(行選択線)WL、ビット線(読出し線)BL、グランド線GL、電源線PLが設けられている。
ワード線WLは、セルアレイ82の行ごとに設けられており、各々のワード線WLには、対応する行内の各セル81の薄膜トランジスタ52Aのゲート電極が接続されている。各ワード線WLは、それぞれ行デコーダ84に接続されている。1行が1アドレスに対応している。これにより、1行に1個の内部入力コマンドが格納される。1行の各セル81が内部入力コマンドのビットデータにそれぞれ対応する。
ビット線BLは、セルアレイ82の列ごとに設けられており、各々のビット線BLには対応する列内の各セル81の薄膜トランジスタ52Aのソース電極が接続されている。各ビット線BLは、それぞれアンプ85を介して通信インタフェース44に接続されている。
グランド線GLと電源線PLとから信号線対が構成され、信号線対は、ビット線BLと同様にセルアレイ82の列ごとに設けられている。グランド線GL、電源線PLは、それぞれ列方向に延在している。グランド線GLは、基準電位(0V)にされ、電源線PLは、電源電圧が供給されて基準電位よりも高い電位VDD(例えば10V)にされている。この例では、グランド線GLが低電位線であり、電源線PLが高電位線である。
各セル81の薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極は、セル81が記憶すべきビットデータ(1または0)に応じてグランド線GLまたは電源線PLのいずれか一方に接続されている。例えば、「1」のビットデータに対応する薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極に電源線PLが接続され、「0」のビットデータに対応する薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極にグランド線GLが接続される。なお、この例では、便宜的にドレイン電極をグランド線GLまたは電源線PLに接続したものとして説明しているが、ドレイン電極、ソース電極は特に区別されるものではない。
行デコーダ84は、コントローラ43からの入力されるアドレスに対応した1行のワード線WLをアクテイブにする。アクテイブになったワード線WLの行の各薄膜トランジスタ52Aがオンになり、各ビット線BLには、オンになった薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極が接続されているグランド線GLまたは電源線PLの電位に応じた電位がそれぞれ出力される。この例では、相対的に、「1」のビットデータを格納したセル81に接続されているビット線BLは高電位になり、「0」のビットデータを格納したセル81に接続されているビット線BLは低電位になる。通信インタフェース44は、ビット線BLの電位が高電位である場合にそのビットデータを「1」とし、低電位である場合にそのビットデータを「0」として内部入力コマンドの各ビットデータを取得する。行デコーダ84に入力されるアドレスが順次にインクリメントされることで、各行に対応した内部入力コマンドが順番に読み出されて通信インタフェース44に取得される。
前述のようにコマンド格納メモリ36は、内部入力コマンドを格納していない状態で作製され、フレキシブル基板21への実装の前または後に内部入力コマンドを格納する。このため、この例では、各薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極を、グランド線GL及び電源線PLのいずれにも接続していない状態で作製し、フレキシブル基板21への実装の前または後に各薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極をグランド線GLまたは電源線PLのいずれか一方に接続した状態にしている。
図9に示すように、ユニットチップ25のコマンド格納メモリ36の部分では、基板54上にグランド線GLと電源線PLが下部配線として形成されている。なお、図9の左右方向がセルアレイ82の行方向であり、紙面手前方向がセルアレイ82の列方向であり、グランド線GLと電源線PLは、紙面手前方向に延在している。薄膜トランジスタ52Aは、そのゲート電極61A及び半導体膜63Aがグランド線GLと電源線PLに対して行方向にずらして配置されており、膜面(基板54の上面、各絶縁膜の面)に垂直な方向から見て、グランド線GLと電源線PLに重ならない位置に設けられている。薄膜トランジスタ52Aのソース電極65Aは、半導体膜63Aのグランド線GL及び電源線PLと反対側の端部に設けられ、ドレイン電極66Aは、半導体膜63Aのグランド線GL及び電源線PLに近い側の端部に設けられている。ドレイン電極66Aは、膜面に垂直な方向から見て、グランド線GL及び電源線PLに重なる位置まで長く設けられている。コマンド格納メモリ36の部分では、第2保護膜72(図7参照)が形成されていない状態でユニットチップ25が作製される。
セル81に「0」のビットデータを格納する場合、すなわち薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極66Aをグランド線GLに接続する場合では、図10(A)に示すように、ドレイン電極66Aとグランド線GLとをそれぞれ貫通するビアホール87aを例えばレーザで形成する。この後に、図10(B)に示すように、ビアホール87aの内部に導電性材料を充填することにより、プラグ88aを形成する。これにより、ドレイン電極66Aとグランド線GLとがプラグ88aによって電気的に接続される。
セル81に「1」のビットデータを格納する場合、すなわち薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極66Aを電源線PLに接続する場合では、図11(A)に示すように、ドレイン電極66Aと電源線PLとをそれぞれ貫通するビアホール87bをレーザで形成する。この後に、図11(B)に示すように、ビアホール87bの内部に導電性材料を充填することにより、プラグ88bを形成する。これにより、ドレイン電極66Aと電源線PLとがプラグ88bによって電気的に接続される。
各薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極66Aをプラグ88a、88bでグランド線GLまたは電源線PLに接続した後に、コマンド格納メモリ36の部分に第2保護膜72を形成する。なお、プラグ88a、88bは、プラグ74a、74bを形成する場合と同様な手法で形成することができる。このように内部入力コマンドを格納するコマンド格納メモリ36は、物理的に接続を設定して内部入力コマンドの書き込み(格納)を行っており、内部入力コマンドの書き込みが1回だけ許容されるものである。
上記のように、コマンド格納メモリ36には簡単な工程で内部入力コマンドを格納することができ、センサタグ12のカスタマイズがより容易になる。また、まとまった個数のコマンド格納メモリ36を含むユニットチップ25を容易に作製できる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、プロセスユニットが搬送波検知信号の入力に応答して内部入力コマンドの送出を開始するように構成したものある。なお、以下に説明する他は、第1実施形態と同様であり、同じ構成部材には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図12に示すように、コントローラ43Aには、送受信部32から出力される搬送波検知信号が入力される。コントローラ43Aは、搬送波検知信号が入力されることに応答して、アドレスの出力を開始する。これにより、搬送波検知信号の入力に応答して内部入力コマンドの送出が開始される。また、この例のコントローラ43Aは、内部タイマがオーバーフローするとそれ以降のアドレスを出力しないようにロジック回路が構成されている。したがって、プロセスユニット41(コントローラ43A)は、リーダライタ14からの搬送波をセンサタグ12が受信すると1組の内部入力コマンドを1回送出して実質的に停止する。
このような構成のプロセスユニット41を用いたセンサタグ12は、例えば任意のタイミングでリーダライタ14からロギングの時間を指定して、ロギングを実行させる使用用途に好適である。この場合、例えば、プロセスユニット41は、図13に示すように、搬送波検知信号が入力されることに応答して、「Reset」コマンドの送出後に、センサタグ12に固有の1組の設定コマンドを順次に制御部31に送出させる。これにより、センサタグ12を自動的に初期設定された状態にする。プロセスユニット41は、制御部31を初期設定した状態にして実質的に停止する。一方、リーダライタ14側では、初期設定された後の任意のタイミングで、図14に示すように、センサタグ12に対して、ロギングの時間等を指定して、ロギングを実行させ、そのロギングされた情報を読み出すことができる。
なお、例えば、プロセスユニット41のコントローラ43Aを、第1実施形態のように動作させるモードと、第2実施形態のように動作させるモードとのどちらかに設定できるようにしてもよい。この場合、例えば、コマンド格納メモリ36のセルにビットデータを格納する場合と同様に、プラグを用いてコントローラ43Aの所定の端子をグランド線GLまたは電源線PLのいずれか一方に接続することで、いずれかの動作のモードに設定することができる。また。このような動作のモードを設定するための接続をフレキシブル基板21上で行ってもよい。
上記各実施形態のコマンド格納メモリは、内部入力コマンドを格納するために、ビアホール及びプラグを形成してグランド線または電源線に薄膜トランジスタのドレイン電極を接続しているが、これらの接続手法やビットデータの格納手法は一例であり、これらに限定されない。
図15は、内部入力コマンドのビットデータに対応して接続される上部電極91a~93aを第1保護膜71上に予め形成しておく例を示している。この例では、薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極66Aに接続されたプラグ91b及びプラグ91bを介して接続された上部電極91a、グランド線GLに接続されたプラグ92b及びプラグ92bを介して接続された上部電極92a及び電源線PLに接続されたプラグ93b及びプラグ93bを介して接続された上部電極93aがそれぞれ形成された状態で、ユニットチップ25が作製される。
内部入力コマンドを格納する際には、上部電極91aと、上部電極92aまたは上部電極93aとを、第1保護膜71の上面に例えば導電性インク等を用いて導電パターン94を形成して接続する。図15の例では、上部電極91aと上部電極92aとを導電パターン94で接続している。この後に第2保護膜(図示省略)を形成する。このような構成では、内部入力コマンドを格納する際にビアホール及びプラグを形成する必要がなく、内部入力コマンドの格納がより容易になる。
図16は、薄膜トランジスタ52Aに直列に接続された抵抗体97の抵抗の高低でビットデータを格納するものである。セルアレイ82を構成する各セル81は、薄膜トランジスタ52Aと抵抗体97とが直列に接続された直列回路を有し、この直列回路がビット線BLとグランド線GLとの間に接続されている。すなわち、薄膜トランジスタ52Aのソース電極がビット線BLに接続され、ドレイン電極が抵抗体97の一端に、抵抗体97の他端が入力線としてのグランド線GLにそれぞれ接続されている。抵抗体97の抵抗は、例えば「1」のビットデータの場合に相対的に高くされ、「0」のビットデータの場合に相対的に低くされる。セル81が格納しているビットデータは、ワード線WLによって薄膜トランジスタ52Aがオンとされたときのビット線BLの電位あるいはそれに流れる電流の大小で判別する。
抵抗体97としては、その抵抗を変化させることができるものであればよい。例えば薄膜トランジスタ52Aのドレイン電極と電気的に接続された上部電極とグランド線GLに接続された上部電極との間に抵抗体97としての有機半導体膜を形成しておき、その有機半導体膜に対するドープ量で有機半導体膜の抵抗を設定することができる。また、抵抗体97としての大容量のコンデンサを設け、このコンデンサの誘電体を破壊するか否か(コンデンサの電極間をショートさせるか否か)により、抵抗体97として抵抗に高低を設定してもよい。
上記コマンド格納メモリは、一例であり、コマンド格納メモリは、不揮発性であって、内部入力コマンドを書き込む(格納する)ことができるものであればよく、例えば各種のPROM(Programmable ROM)、例えばOTP-ROM(One Time Programmable ROM)、FLASH ROMを含むEEPROM(Electrically Erasable PROM)等を用いることもできる。また、後述する図17のようにプロセスユニット側にセンサを接続し、さらに再書き込み可能な例えばEEPROMを用いてコマンド格納メモリを構成する場合では、そのEEPROMの一部記憶領域をロギングした測定データの一次格納メモリとして使用してもよい。
コマンドのコードとそれに付加するデータを送る場合に、コマンドのコードと付加するデータを別々にコマンド格納メモリに保存しておき、コマンドのコードのみを送った後または送る前に、当該コマンドのコードに付加するデータをコマンドの一部として制御部に送る構成としてもよい。また、コマンド格納メモリに格納されるコマンドは、実質的にコマンドとして機能するものであれば、ログ間隔の値やアドレス、センサのID等のデータとすることができる。例えば、入力されるデータに対する制御部における取り扱いが入力される順番で決まっている場合には、そのデータは実質的にコマンドとして機能するものとなる。さらには、コマンド格納メモリの格納されるコマンドが変更されるようにしてもよい。例えば、センサから得られる測定データを、コマンドのコードとともにそれに付加するデータとして格納メモリの1つのアドレスに格納するようにしておき、プロセスユニット側でセンサからの測定データを取得するごとに、新たに取得した測定データで当該付加するデータを更新するようにしてもよい。もちろん、コマンドとして格納されているデータを更新するようにしてもよい。さらには、複数のセンサを切り替える場合に、コマンドとしての、あるいはコマンドの一部としてのデータであるセンサのIDを変更するようにして、使用するセンサを切り替えることもできる。
コマンド格納メモリは、必ずしも複数のアドレス分の容量にする必要はなく、簡単なIDのみを格納する場合等では、1アドレス分のみの容量であってもよい。コマンド格納メモリは、セルをマトリクス状、アレイ状に必ずしも配置する必要はなく、容量や読み出しの方式に応じたセルの配置等の構成にすることができる。
上記各実施形態では、制御部にセンサを接続しているが、図17に示すように、センサ15を含むセンサ部24をプロセスユニット41の通信インタフェース44に接続し、シリアル通信により通信インタフェース44に測定データをいったん取り込み、通信インタフェース44から制御部31に送信するように構成してもよい。また、メモリ38をRFIDチップ23やユニットチップ25の外部メモリとして実装する構成としてもよい。
上記各実施形態では、指示部とコマンド格納メモリとを1つのユニットチップに設けたが、指示部とコマンド格納メモリとを別々のチップとして作製し、これらをフレキシブル基板に実装してもよい。また、1つのユニットチップに、指示部及びコマンド格納メモリとともに、制御部及び送受信部の一方または両方を設けてもよい。
上記では、センサタグの例について説明したが、本発明は、センサを設けていない電子タグにも適用することができる。センサを設けていない電子タグでは、アクテイブタイプ、セミパッシブタイプ、パッシブタイプのいずれであってもよい。