JP4937090B2 - 樹脂シート、樹脂基板及び樹脂シートの製造方法 - Google Patents

樹脂シート、樹脂基板及び樹脂シートの製造方法 Download PDF

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本発明は、光重合性組成物を光硬化してなる、光学特性、熱特性、機械特性に優れ、フレキシブルディスプレイや太陽電池用の樹脂基板として有用な樹脂シート及びその連続的な製造方法に関するものである。
従来、ディスプレイ用の基板としてはガラスを基板とするものが多く使われてきた。例えば、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイでは厚さ0.3〜1.1mm程度のガラス基板が汎用されている。
一方、近年では、軽量薄型化の観点から、プラスチック製の基板も使用され始めている。実際、液晶ディスプレイにポリカーボネートやポリエーテルスルホンが基板として使用された経緯もある。この様なプラスチック基板には、光線透過率や複屈折などの光学性能はもとより、耐熱性や曲げ強度などの熱機械特性、吸水率や比重、及び耐薬品、耐溶剤性などの高度な加工適性が要求される。
これらの諸特性を満足するために、熱可塑性あるいは熱硬化性を問わず数多くの樹脂が提案されている。近年の提案の中には、特定の光重合性組成物を光硬化して得られる成形体も見受けられる。例えば、2官能の(メタ)アクリレートと分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物とを含有する重合性組成物が、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。更に、2官能の(メタ)アクリレート、分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物、及び単官能の(メタ)アクリレートとを含有する重合性組成物が、耐衝撃性に優れた樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。3官能以上の脂肪族(メタ)アクリレート化合物を75wt%以上含有する重合性組成物は、耐熱性が高く、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。2官能の脂肪族(メタ)アクリレート化合物と3官能以上の(メタ)アクリレート化合物とを含有する重合性組成物が、耐熱性が高く、線膨張係数が小さい成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、プラスチック基板を連続方式で光硬化して成形する手法も提案されている(例えば、特許文献5〜9参照。)。
特開平9−152510号公報 特開平11−222508号公報 特開2002−302517号公報 特開2003−292545号公報 特開2002−011739号公報 特開2002−011740号公報 特開2002−011741号公報 特開2002−011742号公報 特開2002−012682号公報
例えば、特許文献5を参照すると、樹脂成形体は、移送される下部支持シート上に重合性組成物を供給し、その上に下部支持シートと同速度で同一方向に移送される上部支持シートを積層し、次いで、重合性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させた後に両支持シートを剥離する方法により、連続的に製造されることとなる。通常、上記の支持シートには合成樹脂シートが使用される。
しかしながら、上記連続方式にて樹脂成形体を製造する際、光重合性組成物を光硬化させた後の樹脂成形体は端部からの物理的な衝撃に弱く、巻き取りロールへの巻き取り時にかかる曲げ応力などによってクラックが入ったり、支持シート剥離時の応力によって割れたりするといった問題があった。特に、樹脂成形体の耐熱性を高めるために、高度な架橋構造を形成する光重合性組成物を用いた場合には、ロールtoロールの搬送すら難しいものであった。
そこで、本発明においてはこのような背景下において、樹脂シートを連続的に製造する場合において、ロールに巻き取る時やロール間を搬送する時にも、更には支持シートを剥離する時にも、クラックや割れが生じない樹脂シートを提供することを目的とするものであり、そして、かかる樹脂シートを用いることにより歩留まりが非常に向上するといった効果も有するものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、樹脂シートの幅方向に対して、両端部の所定領域の曲げ弾性率を中央部の所定領域の曲げ弾性率よりも低くすることにより、樹脂シートを連続的に製造する場合において、ロールへの巻き取り時やロール間を搬送する時にも樹脂シートにクラックが入ることがなく、更に、支持シートを剥離する時にも割れたりすることがない樹脂シートが得られ、そして、かかる樹脂シートを用いることにより歩留まりが非常に向上するといった効果も見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、光重合性組成物(A)を光硬化して得られる樹脂シートであって、樹脂シートの幅方向に対して、一方の端部からの距離(L1)及び他方の端部から距離(L3)がそれぞれ全幅の20%以下である領域(X1)及び領域(X3)でのそれぞれの曲げ弾性率(G1)及び(G3)が、他の領域(X2)での曲げ弾性率(G2)よりも低いことを特徴とする樹脂シートに関するものである。
更に、本発明の樹脂シートにおいて、長手方向に沿って、樹脂シートの領域(X2)を、領域(X1)及び領域(X3)から切り離して取り出すことにより製造される樹脂基板をも提供するものである。
また、本発明においては、移送される下部支持シート上に光重合性組成物(A)を供給し、その上に下部支持シートと同速度で同一方向に移送される上部支持シートを積層した後、光重合性組成物(A)に活性エネルギー線を照射して硬化させる樹脂シートの連続的製造方法であって、領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)において照射される活性エネルギー線の光量を、それぞれE1、E2、E3とした場合に、E1<E2、かつ、E3<E2とする樹脂シートの製造方法を提供するものである。
また更に、本発明においては、光重合性組成物(A)を光硬化して得られる樹脂シートであって、樹脂シートを幅方向に対して〔2n+1〕分割してそれぞれの領域を、一方の端部より、領域Y1|領域Y2|領域Y3|・・・|領域Y2n|領域Y2n+1の順に配列され、かつ、それぞれの領域の硬化度(y)が下記条件を満足することを特徴とする樹脂シートも提供するものであり、かかる樹脂シートにおいては、上記の如き、ロールへの巻き取り時やロール間を搬送する時にも樹脂シートにクラックが入ることがなく、更に、支持シートを剥離する時にも割れたりすることがないといった効果に加え、樹脂シートを長手方向にスリットする時においてもクラックが生じないといった効果も有するものである。
(4)ys<yt
(ここで、nは2以上の整数であり、ys、ytは各領域における硬化度であり、sは1、3、・・・、2α−1の数値、tは2、4、・・・、2βの数値である。なお、α、βはそれぞれ1以上の整数である。)
本発明の樹脂シートは、連続方式により製造される場合において、ロールに巻き取る時やロール間を搬送する時にも、更には支持シートを剥離する時にも、樹脂シートにクラックや割れが生じることがないといった効果を有するものであり、そして、かかる樹脂シートを用いることにより、歩留まりが非常に向上するといった効果も有するものである。得られた樹脂シートは、光学特性、熱特性、機械特性に優れ、フレキシブルディスプレイや太陽電池用の樹脂基板として非常に有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、光重合性組成物(A)を光硬化して得られる樹脂シートである。
本発明では、(メタ)アクリレート系化合物を用いたラジカル重合系、ビニルエーテル系化合物とメルカプタン化合物を用いたチオール・エン付加系、エポキシ系化合物を用いたカチオン重合系等の重合形態が用いられるが、本発明においては特に、速硬化の点から下記成分(A1)及び(A2)を含有してなることが好ましい。
(A1)多官能(メタ)アクリレート系化合物
(A2)光重合開始剤
かかる多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)としては、例えば、2官能(メタ)アクリレート系化合物や3官能以上(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートを含む総称である。
2官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等の脂肪族系ジ(メタ)アクリレート系化合物、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環族系ジ(メタ)アクリレート系化合物、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族系ジ(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性ポリ(メタ)アクリレート等の脂肪族系多官能性(メタ)アクリレート、1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス((メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン等の脂環族系多官能性(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。
更に、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系化合物なども挙げることができる。
これらの中では、吸水率の観点から、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート等の脂環族系ジ(メタ)アクリレート、耐熱性の観点から、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート、あるいは強度の観点から、ウレタン(メタ)アクリレート等が好ましく、特に、これらを併用することが好ましい。本発明においては、樹脂シートの機械物性を整えるために、更に、単官能(メタ)アクリレート系化合物やメルカプタン化合物を、共重合成分として併用してもよい。
単官能(メタ)アクリレート系化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
メルカプタン化合物としては、樹脂シートの耐熱性の観点から、多官能メルカプタン化合物が好ましい。具体的には、ペンタエリスルトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスルトールテトラキスチオプロピオネートなどが挙げられる。
光重合開始剤(A2)としては、特に制限されないが、具体的には、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−ジフェノキシジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロハシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤などが挙げられ、これらを併用することもできる。
これらの光重合開始剤(A2)は、(メタ)アクリレート系化合物の合計(単官能(メタ)アクリレート系化合物を併用する場合は多官能(メタ)アクリレート系化合物と単官能(メタ)アクリレート系化合物の合計)100重量部に対して、通常0.1〜10重量部の割合で使用されることが好ましく、特に好ましくは1〜5重量部である。かかる光重合開始剤が少なすぎると硬化が充分に進まない傾向があり、多すぎると得られる樹脂シートの機械強度が低下する傾向がある。
光重合性組成物(A2)には、上記の他に更に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、消泡剤、着色剤、ガラスファイバー、及び各種フィラーなどの補助成分を含有しても良い。
酸化防止剤としては、光重合性組成物(A)に溶解するものであれば特に限定されず、各種酸化防止剤を使用することができる。具体的には、フェノール系、アミン系、リン系、イオウ系などが挙げられる。これらの酸化防止剤は複数を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多官能(メタ)アクリレート系化合物との相溶性の点で、フェノール系の酸化防止剤が好ましい。具体的には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−s−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4'−ジ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−トリ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロキシヒドロシンナミド、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)モノエチルフォスフォネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス−2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイト−ジエチルエステル等のフェノール系化合物が挙げられる。これらの化合物は、単独または二種以上併用してもよい。これらの中では、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましく、とりわけテトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが、色相を抑制する効果が大きく好ましい。酸化防止剤の含有割合は、光重合性組成物(A)100重量部に対し、通常0.01〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明においては、上記光重合性組成物(A)を用いて、光硬化して樹脂シートが得られるわけであるが、得られる樹脂シートは、光重合性組成物(A)を光硬化して得られる樹脂シートであって、樹脂シートの幅方向に対して、一方の端部からの距離(L1)及び他方の端部からの距離(L3)がそれぞれ全幅の20%以下、好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下である領域(X1)及び領域(X3)でのそれぞれの曲げ弾性率(G1)及び(G3)が、他の領域(X2)での曲げ弾性率(G2)よりも低いことが必要である。一方の端部からの距離(L1)及び他方の端部からの距離(L3)が長すぎると、デバイス化されるに当たって曲げ弾性率の高い領域が少なくなる傾向がある。一方の端部からの距離(L1)及び他方の端部からの距離(L3)の下限値としては、通常0.1%であり、それより短くなると割れやクラックの回避効果が低減する傾向がある。なお、一方の端部からの距離(L1)及び他方の端部からの距離(L3)は同じでも異なっていてもよい。
また、ある領域(X1)及び領域(X3)と他の領域(X2)との境界において、その曲げ弾性率は、通常、連続的に変化するものであり、本発明においては、この境界領域は、領域(X1)や領域(X3)に含まれるものとする。具体的には、領域(X2)に対して曲げ弾性率が1%低下し始める位置から領域(X1)や領域(X3)の領域として判断する。
更に、本発明では、樹脂シートの領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)におけるそれぞれの曲げ弾性率(G1)、(G2)及び(G3)が、下記条件を満足することがより好ましい。
(1−1) 0.01×G2≦G1≦0.8×G2
(1−2) 0.01×G2≦G3≦0.8×G2
更に好ましくは、下記条件を満足することである。
(1−3) 0.05×G2≦G1≦0.7×G2
(1−4) 0.05×G2≦G3≦0.7×G2
特に好ましくは、下記条件を満足することである。
(1−5) 0.1×G2≦G1≦0.6×G2
(1−6) 0.1×G2≦G3≦0.6×G2
1またはG3が大きすぎると樹脂シートに割れやクラックが発生する傾向にあり、逆に小さすぎると樹脂シートの形状保持が困難となる傾向にある。G2の絶対値は、基板としての剛性とフレキシブル性の観点から、2〜6GPaが好ましく、より好ましくは3〜5GPa、更に好ましくは3.5〜4.5GPaである。なお、G1とG3は同じでも異なっていてもよい。
また、本発明では、樹脂シートの領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)におけるそれぞれのガラス転移温度(T1)、(T2)及び(T3)が、下記条件を満足することが好ましい。
(2−1) T1≦0.8×T2
(2−2) T3≦0.8×T2
更に好ましくは、下記条件を満足することである。
(2−3) T1≦0.6×T2
(2−4) T3≦0.6×T2
特に好ましくは、下記条件を満足することである。
(2−5) T1≦0.5×T2
(2−6) T3≦0.5×T2
1またはT3が高すぎると樹脂シートに割れやクラックが発生する傾向にあり、逆に小さすぎると樹脂シートの形状保持が困難となる傾向にある。T2の絶対値(℃)は、基板としての耐熱性の観点から、100℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは150〜400℃、更に好ましくは200〜350℃である。なお、T1とT3は同じでも異なっていてもよい。
また、本発明では、樹脂シートの領域(X1)及び領域(X3)におけるそれぞれの表面硬度(H1)及び(H3)が、領域(X2)における表面硬度(H2)より低いことが好ましい。
例えば、デバイス化される際には領域(X2)の鉛筆硬度は3H以上であることが好ましいが、この場合、領域(X1)と領域(X2)の鉛筆硬度は好ましくは2H以下、より好ましくはH以下、更に好ましくはHB以下、特に好ましくはB以下である。領域(X1)及び領域(X3)における表面硬度が、領域(X2)における表面硬度より高いと樹脂シートに割れやクラックが発生する傾向がある。なお、領域(X1)の鉛筆硬度(H1)と領域(X3)の鉛筆硬度(H3)は、同じでも異なっていてもよい。
また、本発明においては、光重合性組成物(A)として、上記の如き多官能(メタ)アクリレート系化合物(A1)及び光重合開始剤(A2)を含有してなる組成物を用いる場合には、得られる樹脂シートの領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)におけるそれぞれの(メタ)アクリロイル基の反応率(R1)、(R2)及び(R3)が、下記条件を満足することが好ましい。
(3−1) 0.1×R2≦R1≦0.9×R2
(3−2) 0.1×R2≦R3≦0.9×R2
更に好ましくは、下記条件を満足することである。
(3−3) 0.2×R2≦R1≦0.8×R2
(3−4) 0.2×R2≦R3≦0.8×R2
特に好ましくは、下記条件を満足することである。
(3−5) 0.3×R2≦R1≦0.7×R2
(3−6) 0.3≦×R23≦0.7×R2
1またはR3が高すぎると樹脂シートに割れやクラックが発生する傾向にあり、逆に小さすぎると樹脂シートの形状保持が困難となる傾向にある。R2の絶対値は、基板としての耐熱性の観点から、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、更に好ましくは 85%以上である。なお、R1とR3は同じでも異なっていてもよい。
本発明における樹脂シートは、幅300mm以上であることが好ましく、より好ましくは幅300〜5000mm、更に好ましくは幅500〜4000mm、特に好ましくは幅600〜3000mmである。幅が狭すぎると基板の生産性に劣る傾向があり、広すぎると設備的に負荷が大きくなる傾向がある。なお、樹脂シートの幅が比較的広い場合には、基板の大きさに応じた幅にスリットすればよい。
本発明における樹脂シートは、厚さが0.01〜0.5mmであることが好ましく、より好ましくは厚さ0.05〜0.4mm、更に好ましくは厚さ0.1〜0.3mm、特に好ましくは厚さ0.1〜0.2mmである。厚さが薄すぎる基板としての剛性が不足する傾向があり、厚さが厚すぎると樹脂シートを巻き取りロール化することが困難となる傾向があり、かつ基板のフレキシブル性も失われる傾向がある。
本発明においては、長手方向に沿って、樹脂シートの領域(X2)を、領域(X1)及び領域(X3)から切り離して取り出すことにより、樹脂基板を製造されることができる。
得られた樹脂基板は、ディスプレイ用もしくは太陽電池用の基板として好適に使用される。
取り出された領域(X2)の光線透過率は、通常90%以上であることが好ましく、特に好ましくは91%以上である。かかる光線透過率が低すぎるとディスプレイの輝度が低下する傾向にあり、あるいは太陽電池の光電変換効率が低下する傾向にある。
本発明においては、上記の領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)を構成する樹脂シートに加え、領域(X1)及び領域(X3)について、更に、幅方向に対して曲げ弾性率に分布を設けた樹脂シートも含むものであり、曲げ弾性率の分布としては、樹脂シートの幅方向に対して端部に向かって段階的に、曲げ弾性率の更に低い領域を存在させてもよい。
また、本発明では、光重合性組成物(A)を光硬化して得られる樹脂シートであって、樹脂シートを幅方向に対して〔2n+1〕分割してそれぞれの領域を、一方の端部より、領域Y1|領域Y2|領域Y3|・・・|領域Y2n|領域Y2n+1の順に配列され、かつ、それぞれの領域の曲げ弾性率(y)が下記条件を満足する樹脂シートであることも好ましい。
(4)ys<yt
(ここで、nは2以上の整数であり、ys、ytは各領域における曲げ弾性率であり、sは1、3、・・・、2α−1の数値、tは2、4、・・・、2βの数値である。なお、α、βはそれぞれ1以上の整数である。)
上記のように曲げ弾性率の分布が繰り返された樹脂シートである場合には、曲げ弾性率の低い領域において長手方向にスリットを行っても割れやクラックが生じることがなく、製造歩留まりを向上することができるという効果も併せて持つこととなる。そして、所定の幅にスリットされた後、曲げ弾性率の低い領域は、カット及び廃棄すればよい。
以下、本発明の樹脂シートの製造方法を説明する。
先ず、本発明の樹脂シートは、光重合性組成物(A)を光硬化して得られる。具体的には、移送される下部支持シート上に光重合性組成物(A)を供給し、その上に下部支持シートと同速度で同一方向に移送される上部支持シートを積層した後、光重合性組成物(A)に活性エネルギー線を照射して硬化させる。かかる方法は、図1に示す様な製造設備で行うことができる。
図1において、下部支持シート(10)は、下部支持シート送給装置(11)から送り出され、駆動ローラ(12)、案内ローラ(13)、(14)、(15)、(16)、及び(17)を経由し、下部支持シート巻取装置(18)に巻き取られる。一方、上部支持シート(20)は、上部支持シート送給装置(21)から送り出され、案内ローラ(22)、(23)、(14)、(15)、(16)、及び(27)を経由し、上部支持シート巻取装置(28)に巻き取られる。下部支持シート側に配置される案内ローラ(13)と上部支持シート側に配置される案内ローラ(23)、及び下部支持シート側に配置される案内ローラ(17)と上部支持シート側に配置される案内ローラ(27)は、対向して配置されている。
下部支持シート(10)及び上部支持シート(20)は、共に可撓性シートで構成され、また、後述する活性エネルギー線の照射側のシートは透明シートで構成される。また、重合時の熱によって軟化しない様に通常100℃以上の軟化点を有するシートで構成される。かかる特性のシートとしては、厚さ50〜300μmの合成樹脂シート、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の合成樹脂シートが挙げられる。また、支持シートの光重合性組成物(A)と接する側の表面粗さ(Ra)は、通常100nm以下、好ましくは50nm以下とされる。かかる支持シートとの使用により、その表面がより一層平滑な透明樹脂基板が得られる。
下部支持シート(10)と上部支持シート(20)は、同速度で同一方向に移送され、案内ローラ(13)から(14)の間は水平に保たれる。シートの移送速度は、通常0.1〜20m/min、好ましくは0.1〜10m/min、更に好ましくは0.5〜5m/minとされる。
そして、駆動ローラ(12)の近傍に配置されたダイコーター(1)から、下部支持シート(10)上に光重合性組成物(A)を供給し、その上に上部支持シート(20)を積層した後、光重合性組成物(A)に活性エネルギー線を照射して硬化させる。活性エネルギー線の照射は、複数の段階に分けて行うこともできる。なお、図1に示す製造設備における活性エネルギー線照射設備(2)の場合、活性エネルギー線の照射は、両支持シート面から活性エネルギー線照射ランプ(6)を用いて行っているが、一方のシート面から行ってもよい。
ダイコーター(1)から下部支持シート(10)上に供給される光重合性組成物(A)の厚さは、その供給速度、シートの移送速度、及び光重合性組成物(A)の粘度などにより適宜調節されるが、通常0.01〜1mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。上部支持シート(20)は、特に加圧される必要はなく、下部支持シート(10)上に供給された光重合性組成物(A)の上部から均一に積層される程度に押圧されればよい。
照射される活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。紫外線照射における光源としては、ケミカルランプ、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が通常使用される。
本発明の樹脂シートは、幅方向に対して曲げ弾性率の分布を有することを最大の特徴とするものである。曲げ弾性率の分布は、活性エネルギー線を幅方向に選択的に照射することにより形成される。
ここで言う選択的照射とは、照射される活性エネルギー線の光量、照度、時間、波長、あるいは照射面の温度などが、幅方向に対して異なることを意味する。選択的照射の手法として、例えば、樹脂シートの幅方向に対して設置されたランプの長さを短くして、曲げ弾性率を低くする領域への照射光量を低減する手法、幅方向の向きに複数のランプを設置して曲げ弾性率を低くする領域のランプの出力を抑える手法、曲げ弾性率を低くする領域の照射光量を遮光マスクを用いて低減する手法、活性エネルギー線の照度や照射時間を制御して曲げ弾性率を高くする領域に照射される光量を曲げ弾性率を低くする領域より多くする手法、光学フィルターを用いて曲げ弾性率を高くする領域と低くする領域に照射される活性エネルギー線の波長を制御する手法、赤外線で曲げ弾性率を高くする領域を加熱しながら他の活性エネルギー線を照射する手法などが挙げられる。
これらの中でも、曲げ弾性率の制御のしやすさから、活性エネルギー線の照射光量を制御する手法が好ましい。例えば、上記の樹脂シートの領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)において照射される活性エネルギー線の光量を、それぞれE1、E2、E3とした場合に、E1<E2、かつ、E3<E2とする条件で照射することが好ましい。
また、より好ましくは、設備の簡便さから、遮光マスクを用いて照射光量を制御する手法である。遮光マスクとしては、活性エネルギー線により劣化するものでなければ特に限定されないが、例えば、SUSなどの不透明材料を光源と支持シートの間に設置するといった単純なものから(図2〜5参照)、ガラスなどの透明材料に活性エネルギー線を反射もしくは吸収する層を成膜したもの、また、活性エネルギー線が照射される支持シートとして、遮光インキが印刷された遮光マスクを用いるもの等が挙げられる。これらの中でも不透明材料を光源と支持シートの間に設置する手法が好ましい。
照射光量としては、E2が、1〜100J/cm2であることが好ましく、より好ましくは2〜50J/cm2、更に好ましくは3〜20J/cm2、特に好ましくは4〜10J/cm2である。E2が少なすぎると樹脂基板の曲げ弾性率や耐熱性が低下する傾向にある。
かくして活性エネルギー線の照射を行い、硬化が終了した後、樹脂シートを搬送部(4)の案内ローラ(14)、(15)、及び(16)により搬送する。案内ローラとしては、通常、直径50〜300mmのローラが使用される。しかる後、両支持シート(10)及び(20)をそれぞれの巻き取り装置(18)及び(28)で剥離し、樹脂シートを巻き取りロール(5)に巻き取ることにより、本発明の樹脂シートが得られる。巻き取りロールとしては、通常、直径50〜300mmのロールが使用される。
なお、幅広の樹脂シートは、両支持シートの剥離前にスリットされて保管されることも多い。この場合は、前述したとおり、曲げ弾性率の低い領域をスリットすることにより割れやクラックを回避することができる。保管後、両支持シートは剥離され、本発明の樹脂シートが得られる。また、両支持シートの剥離を行った後に曲げ弾性率の低い領域をスリットすることにより割れやクラックを回避することもできる。
また、本発明の樹脂シートは、曲げ弾性率の低い領域の切断前もしくは切断後において、応力歪みの除去のために熱処理することができる。熱処理温度は、通常、100〜300℃、好ましくは150〜200℃とされ、熱処理時間は、通常1分以上、好ましくは1〜30分とされる。雰囲気は、不活性雰囲気または大気雰囲気の何れであってもよい。
得られた樹脂シートの曲げ弾性率の低い領域は切断・廃棄され、曲げ弾性率の高い領域のみが、液晶や有機ELなどのディスプレイ基板、太陽電池基板、等の各種用途に好適に利用される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
各物性の測定方法は以下の通りである。
(1)曲げ弾性率(GPa)
長さ30mm×幅3mmに調整した試験片を用いて、レオロジー社製「FT−レオスペクトラ DVE−V4」で、25℃における曲げ弾性率(GPa)を測定した。測定条件は、支点間距離20mm、試験速度1.1mm/秒である。
(2)ガラス転移温度(℃)
長さ20mm×幅5mmの試験片を用いて、レオロジー社製動的粘弾性装置「DVE−V4型 FTレオスペクトラー」の引っ張りモードを用いて、周波数10Hz、昇温速度3℃/分、歪0.025%で測定を行った。得られた複素弾性率の実数部(貯蔵弾性率)に対する虚数部(損失弾性率)の比(tanδ)を求め、このtanδの最大ピーク温度をガラス転移温度(℃)とした。
(3)表面硬度
JIS K 5600−5−4に準じて、鉛筆硬度を測定した。
(4)反応率(%)
長さ50mm×幅50mmの試験片を凍結粉砕した後、BRUKER・BIOSPIN社製 「AVANCE DPX−400」で、固体NMRプローブを用いて測定した。観測核は13C、回転数は5000Hz、室温で測定した。重合していない(メタ)アクリロイル基中のカルボニル炭素は高磁場側(166ppm)に、重合したカルボニル炭素は低磁場側(176ppm)に検出される。これらのピーク面積比より反応率(%)を算出した。
(5)光線透過率(%)
長さ50mm×幅50mmの試験片を3枚用意し、日本電色社ヘイズメーター「NDH−2000」で、全光線透過率(%)を測定し、3枚の平均値を算出した。
(6)粘度(mPa・s)
芝浦システム社製B型粘度計「ビスメトロンVS−A1」を用いて、23℃、回転数60rpm(No.3回転子)で測定した。
実施例1
<光重合性組成物(A)の調製>
ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート(新中村化学工業(株)社製、「A−DCP」)40%、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)社製、「A−TMMT」)30%、ウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)社製、「UV−7600B」)30%との混合物100部に対し、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカルズ社製、「Irgacure184」)1部、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャリティケミカルズ社製、「Irganox1010」)1部を添加し、粘度1700mPa・sの光重合性組成物(A−1)を調製した。
<透明樹脂基板の製造設備>
図1に示すのと同様の製造設備を使用した。下部支持シート(10)及び上部支持シート(20)には幅820mmで厚さ300μmのポリエステルシート(三菱化学ポリエステル社製、「O300」)、活性エネルギー線照射設備(2)にはメタルハライドランプ(6)(日本電池社製)をそれぞれ使用した。
<透明樹脂基板の製造>
先ず、下部支持シート(10)及び上部支持シート(20)の移送速度を1m/minとし、ダイコーター(1)から下部支持シート(10)上に、光重合性組成物(A−1)を供給し、幅800mmで厚さ200μmとなるように塗布した。
次いで、活性エネルギー線照射設備(2)により紫外線照射を行い、樹脂シートを得た。この際、図2及び図3に示される遮光マスク(3)を用いて、光重合性組成物(A−1)の両端部から各3cm幅に、活性エネルギー線の照射光量が、E1=0.7×E2、かつ、E3=0.7×E2となるように照射し、領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)(G1<G2、G3<G2)を形成した。なお、照射光量E2は、5J/cm2である。
次いで、得られた樹脂シートは、ロールtoロール搬送部(4)の案内ローラ(14)、(15)、(16)を通った後、巻き取り装置(18)及び(28)で両支持シート(10)及び(20)をそれぞれ剥離し、巻き取りロール(5)に巻き取られた。案内ローラ(14)、(15)、(16)の直径はいずれも200mmであり、巻き取りロール(5)の直径は150mmである。
樹脂シートは、搬送部(4)においてクラックや割れの発生は無く、両支持シートの剥離時にも割れは生じず、巻き取りロール(5)に100m巻き取る際にもクラックは生じなかった。
実施例2
<光重合性組成物(A)の調製>
実施例1と同様に行い、光重合性組成物(A−1)を調製した。
<透明樹脂基板の製造設備>
実施例1と同様の製造設備を使用した。
<透明樹脂基板の製造>
先ず、下部支持シート(10)及び上部支持シート(20)の移送速度を1m/minとし、ダイコーター(1)から下部支持シート(10)上に光重合性組成物(A−1)を供給し、幅800mmで厚さ200μmとなるように塗布した。
次いで、活性エネルギー線照射設備(2)により紫外線照射を行い、樹脂シートを得た。この際、図4及び図5に示される遮光マスク(3)を用いて、光重合性組成物(A−1)の両端部から各3cm幅、および樹脂シートの幅方向に対して片方の端部より38.5から41.5cmの領域(中央部3cm幅)に活性エネルギー線の照射光量が、E1=0.7×E2であり、E1、E3、E5は同一で、E2、E4は同一となるように照射し、領域(Y1)、領域(Y2)、領域(Y3)、領域(Y4)、領域(Y5)を形成した。各領域の曲げ弾性率は表に示す通りである。なお、照射光量E2及びE4は、5J/cm2である。
次いで、得られた樹脂シートは、ロールtoロール搬送部(4)のローラ(14)、(15)、(16)を通った後、巻き取り装置(18)及び(28)で両支持シート(10)及び(20)をそれぞれ剥離し、巻き取りロール(5)に巻き取られた。案内ローラ(14)、(15)、(16)の直径はいずれも200mmであり、巻き取りロール(5)の直径は150mmである。
樹脂シートは、搬送部(4)においてクラックや割れの発生は無く、両支持シートの剥離時にも割れは生じず、巻き取りロール(5)に100m巻き取る際にもクラックは生じなかった。
その後、巻き取りロール(5)より樹脂シートを巻き出しながら、樹脂シートの長手方向に領域(Y3)をカッターによってスリットして、2つの巻き取りロールに巻き取ることにより、幅400mmの樹脂シートを2つ得た(図示せず)。この際、スリット面が全て領域(Y3)であったためにクラックは生じなかった。
実施例3
実施例1において、照射光量をE1=0.9×E2、かつ、E3=0.9×E2となるように照射した以外は同様に行い樹脂シートを得た。
次いで、得られた樹脂シートは、ロールtoロール搬送工程(4)のロール(14)、(15)、(16)を通った後、巻き取り装置(18)及び(28)で両支持シート(10)及び(20)をそれぞれ剥離し、巻き取りロール(5)に巻き取られた。案内ローラ(14)、(15)、(16)の直径はいずれも200mmであり、巻き取りロールの直径は150mmである。
樹脂シートは、搬送部(4)においてクラックや割れの発生は無く、両支持シートの剥離時にも割れは生じなかったが、巻き取りロール(5)に100m巻き取る際に、クラックが2個発生した。
比較例1
遮光マスクを用いなかった以外は実施例1と同様に行った。この場合、照射光量E1、E2、E3は共に同一である。
得られた樹脂シートをロールtoロール搬送部(4)の案内ローラ(14)、(15)、(16)を通したところ、樹脂シートに5個のクラックが発生した。次いで、巻き取り装置(18)及び(28)で両支持シート(10)及び(20)をそれぞれ剥離したところ、樹脂シートに割れが生じたため製造ラインがストップし、巻き取りロール(5)に巻き取ることはできなかった。
上記実施例及び比較例の結果を表1に示す。


Figure 0004937090
上記表1からも明らかなように、実施例1〜3により得られた樹脂シートは、案内ローラを用いて搬送する際や巻き取りロールに巻き取る際においてもクラックが低減され、支持シートの剥離時においても割れも低減され、歩留まりの良好なものであった。更に、スリット時にも生産性の良好なものであった。これに対して、比較例1により得られた樹脂シートは、案内ローラを用いた搬送時や支持シート剥離時において生産性に劣るものであった。
本発明の樹脂シートを用いて樹脂基板を得ることができ、得られた樹脂基板は、光学特性、熱特性、機械特性に優れるため、フレキシブルディスプレイや太陽電池用の樹脂基板として有用である。
本発明を実施するための製造設備の一例の説明図である。 実施例1及び実施例3において、活性エネルギー線照射時に遮光マスクを用いて選択的照射を行う方法の説明図である(上から見た図)。 実施例1及び実施例3において、活性エネルギー線照射時に遮光マスクを用いて選択的照射を行う方法の説明図である(横から見た図)。 実施例2において、活性エネルギー線照射時に遮光マスクを用いて選択的照射を行う方法の説明図である(上から見た図)。 実施例2において、活性エネルギー線照射時に遮光マスクを用いて選択的照射を行う方法の説明図である(横から見た図)。
符号の説明
1:ダイコーター
2:活性エネルギー線照射設備
3:遮光マスク
4:搬送部
5:巻き取りロール
6:活線エネルギー線照射ランプ
10:下部支持シート
11:下部支持シート送給装置
12:駆動ローラ
13〜17:案内ローラ
18:下部支持シート巻き取り装置
20:上部支持シート
21:上部支持シート送給装置
22〜27:案内ローラ
28:上部支持シート巻き取り装置

Claims (12)

  1. 光重合性組成物(A)を光硬化して得られる樹脂シートであって、樹脂シートの幅方向に対して、一方の端部からの距離(L1)及び他方の端部からの距離(L3)がそれぞれ全幅の20%以下である領域(X1)及び領域(X3)でのそれぞれの曲げ弾性率(G1)及び(G3)が、他の領域(X2)での曲げ弾性率(G2)よりも低いことを特徴とする樹脂シート。
  2. 樹脂シートの領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)におけるそれぞれの曲げ弾性率(G1)、(G2)及び(G3)が、下記条件を満足することを特徴とする請求項1記載の樹脂シート。
    (1−1) 0.01×G2≦G1≦0.8×G2
    (1−2) 0.01×G2≦G3≦0.8×G2
  3. 樹脂シートの領域(X1)及び領域(X3)におけるそれぞれの表面硬度(H1)及び(H3)が、領域(X2)における表面硬度(H2)より低いことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂シート。
  4. 樹脂シートの領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)におけるそれぞれのガラス転移温度(T1)、(T2)及び(T3)が、下記条件を満足することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂シート。
    (2−1) T1≦0.8×T2
    (2−2) T3≦0.8×T2
  5. 光重合性組成物(A)が、下記成分(A1)、及び(A2)を含有してなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の樹脂シート。
    (A1) 多官能(メタ)アクリレート系化合物
    (A2) 光重合開始剤
  6. 樹脂シートの領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)におけるそれぞれの(メタ)アクリロイル基の反応率(R1)、(R2)及び(R3)が、下記条件を満足することを特徴とする請求項5記載の樹脂シート。
    (3−1) 0.1×R2≦R1≦0.9×R2
    (3−2) 0.1×R2≦R3≦0.9×R2
  7. 樹脂シートの領域(X2)の光線透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の樹脂シート。
  8. 樹脂シートの幅が300mm以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の樹脂シート。
  9. 樹脂シートの厚さが0.01〜0.5mmであることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の樹脂シート。
  10. 請求項1〜9いずれか記載の樹脂シートにおいて、長手方向に沿って、樹脂シートの領域(X2)を、領域(X1)及び領域(X3)から切り離して取り出すことにより製造されることを特徴とする樹脂基板。
  11. 請求項1〜9いずれか記載の樹脂シートの製造方法において、移送される下部支持シート上に光重合性組成物(A)を供給し、その上に下部支持シートと同速度で同一方向に移送される上部支持シートを積層した後、光重合性組成物(A)に活性エネルギー線を照射して硬化させる樹脂シートの連続的製造方法であって、領域(X1)、領域(X2)、領域(X3)において照射される活性エネルギー線の光量を、それぞれE1、E2、E3とした場合に、E1<E2、かつ、E3<E2とすることを特徴とする樹脂シートの製造方法。
  12. 光重合性組成物(A)を光硬化して得られる樹脂シートであって、樹脂シートを幅方向に対して〔2n+1〕分割してそれぞれの領域を、一方の端部より、領域Y1|領域Y2|領域Y3|・・・|領域Y2n|領域Y2n+1の順に配列され、かつ、それぞれの領域の曲げ弾性率(y)が下記条件を満足することを特徴とする樹脂シート。
    (4)ys<yt
    (ここで、nは2以上の整数であり、ys、ytは各領域における曲げ弾性率であり、sは1、3、・・・、2α−1の数値、tは2、4、・・・、2βの数値である。なお、α、βはそれぞれ1以上の整数である。)
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