JP4936364B2 - ハイブリッド型有機超微粒子、該微粒子の製造方法および該微粒子の分散組成物 - Google Patents

ハイブリッド型有機超微粒子、該微粒子の製造方法および該微粒子の分散組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ナノレベルの狭い粒子径分布を有するエレクトロニクス、フォトニクス、医薬品、農薬等広範な分野に適用可能な分子性有機固体の超微粒子およびその製造方法を提供する。
分子性有機固体は、分子状に溶解したときに観測される個々の分子が持つ固有の特性を反映した物理的、化学的、生化学的性質に基づく機能を発現する有機固体であり、溶液や固体媒体中に分子状に分散して用いられるのみならず、微粒子や薄膜などのバルク固体としても利用される(非特許文献1)。微粒子としての分子性有機固体では、粒子径が数100nm以下であるナノレベルになると、比表面積の増大に伴って活性度が向上し、しかも、化学反応性、触媒活性、生理活性、生物活性、溶解性、光学特性、電気特性、機械特性などが大きなサイズのバルク材料の場合と異なることが多い。そのうえ、分子性有機固体の粒子径が可視波長より十分に小さな粒子径になると、光散乱強度が顕著に減少して透明性が高まるなどの特徴を持つことになる。こうした特徴から、難溶性もしくは不溶性媒体中に分子性有機固体をナノレベルで分散することによって、あたかも媒体中に均一分散したような振る舞いを示すので、ナノ微粒子として広く注目されている(非特許文献2)。
たとえば、有機結晶の粒子径が数100nm以下といったナノレベルに達すると、その分散液における吸収スペクトルや発光スペクトルといった光学特性は溶液中と異なる場合があることが見出されている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5など)。結晶の最表面層における分子の環境がバルクにおける分子と異なるためと考えられる。また、ピレンなどの疎水性の有機結晶は、その粒子径が100nmレベルに微細化されると、比較的大きな負のゼータ電位が発生して純水に分散し、しかも、水に分散させたアントラセン超微粒子の蛍光がpH依存性を示すことも報告されている(非特許文献6)。
前述したように、溶媒に難溶あるいは不溶の分子性有機固体をナノ粒子化することにより、あたかも溶液のような振る舞いが期待される。たとえば、天然系色素であるカロチンは有機溶媒には良好な溶解性を持つものの、水にはまったく溶解しない。そこで、カロチンを溶解した溶液を水中にナノ粒子として分散させることによって光散乱を極度に抑えると、あたかも、水溶性の色素のような振る舞いをする(非特許文献2)。これは、水に難溶性の分子性有機固体を水中に微分散することによって、有機溶媒を一切用いることなく、あたかも水溶性材料と同じような機能を発現させるものである。また、水に不溶あるいは難溶の光酸発生剤を水中に微分散させて光照射すると強酸が発生するので、その強酸を触媒あるいは重合開始剤とする光架橋性ポリマーへ応用することが提案されている(特許文献1)。このように、分子性有機固体の粒子径が数100nm以下に微細化されると、その分散液は溶液と類似した特性を示す一方で、バルクとは異なる特徴が発現し、これらの特徴を活用してエレクトロニクス、フォトニクス、機能性インクあるいは塗料、医薬品、農薬などの機能材料を製造することができるだけではなく、有機溶媒を用いることのないゼロエミッションプロセスが可能となる。
分子性有機固体の微粒子が有するこのような特徴を発揮させるためには、分子性有機固体の平均粒子径を確実にナノレベル、つまり、数100nm以下に調製する方法が求められる。このため、これまでに以下に示すいくつかの方法が提案されているが、それらは大きく分けてブレイクダウン法およびビルドアップ法という2つの方法に大別される。
ブレイクダウン法では、機械的に有機固体を粉砕あるいは磨砕するが、これらには粉砕時に分散媒としての液体を用いる湿式処理と分散媒を用いない乾式処理とがある。いずれも安価に、かつ、大量に生産可能なプロセスを与えることから広く用いられており、たとえば、溶媒に不溶の有機顔料の微粒子が調製される。さらに粒子径を小さくするために、微小な分散ビーズを用いる方法も提案されている(特許文献2および3など)。しかし、粉砕によって得られる粒子径の大きさに限界があること、粒子径分布が広いこと、といったナノレベルでの微粒子化には本質的な課題が残されたままであり、有機顔料の1次粒子をナノ粒子化することが必要とされる。さらには、過度の摩砕を行うと再結晶や再凝集が起こるために、粒子径が最小値を経てから増大することが多い。一方、水難溶性の薬物を粉砕助剤として糖あるいは糖アルコールの共存下で粉砕処理を施し、サブミクロンレベルに微粒子化する方法も提案されている(特許文献4)。この場合、過剰の分散助剤を用いるために、微粒子のみを得るには分散助剤を除去することが必要となるという課題がある。
ビルドアップ法では、分子性有機固体を溶媒中に溶解してから貧溶媒中で沈殿、濃縮などの方法で微粒子化する(非特許文献2)。沈殿法では、界面活性剤や高分子が添加され、これらが基質の微粒子に対する分散安定剤として機能する。濃縮法では、界面活性剤あるいは高分子自体が微粒子を形成してラテックス状となり、その内部に分子性有機固体を包含する。これらの方法では、分子性有機固体を固体状態で微粒子化することが困難な場合が多い。分子性有機固体を水と混合する有機溶媒の溶液とし、これを大量の水中に注入して再沈させ、それらの固体超微粒子とする方法が提案されている(特許文献5および6)。しかしながら、分散液中での微粒子濃度は低くならざるを得ない。水中に超微粒子した有機結晶の濃度を高めるために、有機溶媒との共沸によって水を除去する(特許文献7)、あるいは、超微粒子含有の希薄分散液にイオン性液体を添加して微粒子をイオン性液体中に濃縮する(特許文献8)方法が提案されているが、時間とエネルギーを消費するために実用に供することは困難である。いずれにしても、こうした液相でのビルドアップ法では、分子性有機固体は溶媒に高い溶解性を持つことが必要であるが、分子性有機固体の溶解性はまちまちであって、一般性に欠けている。しかも、揮発性有機物質である有機溶媒の使用は環境面からも好ましいとはいえない。
それに対して、有機溶媒を用いることなく、気相法によってナノ微粒子を得る乾式のビルドアップ方法が提案されている(特許文献9)。ピレン、アントラセンなどの有機結晶を不活性ガスの存在下真空内で加熱蒸発させ、これを凝結させることにより微粒子化する。有機溶媒を用いず、しかも、比較的粒子径分布が狭い微粒子が得られるという特徴を持つが、分子性有機固体では加熱時に融解あるいは分解による変質が起こりやすいという本質的な問題があり、とくに、イオン性の有機固体は揮発性に欠けるうえ、過度の加熱によって分解が速やかに起こるという本質的な問題があるし、大量に生産することは困難と予測される。
このように、従来の方法はそれぞれ本質的な問題を内在しており、用途に応じた望ましい範囲の狭い粒子径分布を有するナノ微粒子化した分子性有機固体およびその製法が待望されていた。
特開2004−37955号公報 米国特許第5,500,331号明細書 米国特許第5,679,138号明細書 特開平3−66613号公報 特開平6−79168号公報 特開2004−91560号公報 特開2004−181312号公報 特開2004−292632号公報 特開昭62−106833号公報 清水剛夫、吉野勝美、「分子機能材料と素子開発」、NTS(1994年) D.Horn and J.Rieger,Angew.Chem.,Int.Ed.,2001年、40巻、p.4330−4361 杉田、化学と工業、2001年、第54巻、p.1391 笠井、化学と工業、2002年、第55巻、p.138 池田、化学と工業、2003年、第56巻、p.813 豊玉、機能材料、1987年、第7巻、6号、p.44−49
本発明は、溶媒を用いることなく、1次粒子の平均粒子径が約600nm以下であり、かつ、粒子径分布が狭い分子性有機固体の微粒子、その製造方法ならびにその分散組成物を提供することを技術的課題とする。
本発明者は、狭い粒子径分布を持つ無機系微粒子を分子性有機固体とともに混合磨砕すると、固体である分子性有機固体が無機系微粒子表面に物質移動して堆積し、ついには、粒子径および粒子径分布を反映した粒子径分布が狭い分子性有機超微粒子が得られることを見いだした。分子間での結合力が相対的に低い分子性有機固体が磨砕処理過程で融着することなく、狭い粒子径分布を持つ微粒子を生成することは意外なことであった。この事実に基づいて前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明をなすに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す分子性有機固体超微粒子およびその製法ならびに該超微粒子を分散した組成物が提供される。
すなわち、本発明は、無機微粒子表面に、光酸発生剤、増感剤、蛍光色素、結晶フォトクロミック色素、近赤外線色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、感熱色素または酸増殖剤から選ばれる1種あるいは2種以上の分子性有機固体を付着させてなることを特徴とする一次粒子の平均粒子径が6〜600nmであるハイブリッド型有機超微粒子である(本発明1)。
また、本発明は、無機微粒子表面に表面改質剤を介して、光酸発生剤、増感剤、蛍光色素、結晶フォトクロミック色素、近赤外線色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、感熱色素または酸増殖剤から選ばれる1種あるいは2種以上の分子性有機固体を付着させてなることを特徴とする一次粒子の平均粒子径が6〜600nmであるハイブリッド型有機超微粒子である(本発明2)。
また、本発明は、無機微粒子、および1種あるいは2種以上の分子性有機固体を混合摩砕することを特徴とする本発明1記載のハイブリッド型有機超微粒子の製造方法である(本発明3)。
また、本発明は、無機微粒子と表面改質剤とを混合攪拌して無機微粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆させた後、1種あるいは2種以上の分子性有機固体を添加して混合摩砕することを特徴とする本発明2記載のハイブリッド型有機超微粒子の製造方法である(本発明4)。
また、本発明は、無機微粒子、1種あるいは2種以上の分子性有機固体および表面改質剤を混合摩砕することを特徴とする本発明2記載のハイブリッド型有機超微粒子の製造方法である(本発明5)。
また、本発明は、本発明1または2記載のハイブリッド型有機超微粒子を有機固体成分が難溶性もしくは不溶性の溶媒に分散してなることを特徴とするハイブリッド型有機超微粒子の分散組成物である(本発明6)。
本発明によれば、分子性有機固体の粒子の大きさや形状を問わず、コア粒子としての無機超微粒子の粒子サイズと形状を反映した超微粒子を製造することができる。本発明に係るハイブリッド型有機超微粒子は表面積が著しく大きく、かつ、粒子径分布が狭いうえ、難溶性あるいは不溶性溶剤中に分散させることができるので、有機固体本来の分子機能特性を保持しつつ、薄膜、造粒、繊維など多様な賦型化が可能となるので、エレクトロニクス、フォトニクス、医薬品、農薬等広範な分野に用いることができる。
本発明の有機超微粒子は、固体状を保ちながら分子性有機固体を無機微粒子の表面に物理的に堆積させることによって製造される。つまり本発明は、コアシェル型からなるハイブリッド型有機微粒子に関するものであり、さらに、該有機固体を難溶性あるいは不溶性の溶媒中に分散してなる超微粒子組成物に関する。以下に、本発明のハイブリッド型有機超微粒子および分散組成物について詳細に説明する。
<無機微粒子>
本発明における無機微粒子としては、シリカ、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、タルク等のいずれも用いることができる。無機微粒子は、必要により、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物で被覆しておいてもよい。これらの一次粒子の平均粒子径は5〜500nmが好ましく、より好ましくは5〜200nmである。粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、燐片状及び板状等のいずれの形状であっても良い。
本発明における無機粒子粉末の粒子径の幾何標準偏差値は1.6以下であることが好ましく、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.4以下である。1.6を超える場合には、得られるハイブリッド型有機超微粒子の粒子径分布もまた広いものとなりる。
本発明における分子性有機固体の微粒子化は、コアとしての無機微粒子表面に付着することによって達成される。無機微粒子表面は一般的に親水性が高いので、極性の高い分子性有機固体は無機微粒子表面に付着しやすい。この場合には、無機微粒子をそのまま用いることができる。一方、極性の低い分子性有機固体を付着しやすくするためには、その表面エネルギーが小さい、つまり、疎水的であることが好ましい。そのためには、シリカ超微粒子であれば、疎水的なシロキサン結合で表面が被覆されたヒュームドシリカが用いられる(加賀美、林監修、「高純度シリカの製造と応用」、シーエムシー出版(1999年)、p.246)。あるいは、無機微粒子表面が表面改質剤によって有機化処理が施された超微粒子を用いることができる。この目的に用いられる表面処理剤としては、公知のアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、脂肪族カルボン酸類、脂肪族アミン類、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数が12以上の長鎖カルボン酸、それらの塩およびカルボン酸アミド、炭素数が12以上のドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、ヘキサデカノール、ノナデカノールなどの長鎖アルコール、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ノナデシルアミンなどの長鎖アミン、炭素数が8以上の長鎖アルキル基で置換されたカリックスレゾルシンアレンおよびそのO−ヒドロキシエチルあるいはカルボキシメチル誘導体(特開平7−252188号公報)、さらには、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
表面改質剤の被覆量は、コア無機微粒子に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜12.5重量%、更に好ましくは0.03重量%〜10.0重量%である。0.01重量%未満の場合には、コア無機微粒子100重量部に対して0.1重量部以上の分子性有機固体を付着させることが困難である。15.0重量%を超える場合には、無機微粒子100重量部に対して分子性有機固体を0.1〜1000重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。
<分子性有機固体>
本発明における分子性有機固体としては、その融点が混合摩砕する際の温度より高く、固体状態を保つものであればよい。混合摩砕を行う際に発生する温度によっても異なるが、結晶質の分子性有機固体の場合であれば、混合摩砕時の温度より融点が3℃以上、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上高ければ、いずれの化合物でもよい。あるいは、分子性有機固体が非晶性固体であれば、混合摩砕時の温度よりガラス転移温度が5℃以上、より好ましくは10℃以上高ければ、いずれの化合物でもよい。塩構造からなる分子性有機固体は一般に融点が高く、摩砕時の温度は分解温度に比べて十分に低いので、本発明に係るハイブリッド型有機超微粒子を容易に製造することができる。
また、結晶質、非晶質を問わず、分子性有機固体を2種以上混合してもよい。結晶質の有機固体では混合により融点が降下するが、降下したときの融解開始温度が摩砕時の温度よりも3℃以上、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上高ければ、いずれの混合物でもよい。この温度よりも融解開始温度が低い場合には、コア粒子表面に物理的に付着する過程で溶融して凝集し、微粒子化が困難となる。分子性有機固体が非晶性固体であれば、それら2種以上の混合物のガラス転移温度が混合摩砕時の温度より5℃以上、より好ましくは10℃以上高ければ、いずれの混合物でもよい。この温度よりもガラス転移温度が低い場合には、コア粒子表面に物理的に付着する過程で分子性有機固体が融着し、微粒子化が困難となる。さらには、結晶質および非晶質からなる分子性有機固体の2種以上の混合物も用いることができる。2種以上のこの種の混合物の融点および/またはガラス転移温度が混合摩砕時の温度より5℃以上、より好ましくは10℃以上高ければ、いずれの混合物でもよい。このような融点およびガラス転移温度は熱分析によって知ることができる。
コア無機微粒子に対する分子性有機固体の添加量としては、無機微粒子100重量部に対して0.1〜1000重量部であり、好ましくは1〜800重量部、より好ましくは5〜500重量部である。無機微粒子の表面積にもよるが、0.1重量部未満の場合には、無機微粒子表面は分子性有機固体により部分的にしか被覆されない。また、この範囲を越えて分子性有機固体を用いると、分子性有機固体をコア粒子上に均質に付着させることが困難となる。
<混合摩砕>
無機微粒子に表面処理を施す必要がある場合には、あらかじめ無機微粒子を表面改質剤によって表面処理することが好ましく、ついで、分子性有機固体を添加して混合摩砕すればよい。あるいは、無機微粒子、分子性有機固体、および必要に応じて表面処理剤を混合して摩砕処理をほどこしてもよい。無機微粒子の表面処理を行うには、無機微粒子と液状の表面改質剤又は表面改質剤の溶液を機械的に混合攪拌したり、無機微粒子に表面改質剤又は表面改質剤の溶液を噴霧しながら機械的に混合攪拌することができる。さらには、粉砕助剤として、無機塩類、糖類、糖アルコール、グリシン、固体界面活性剤などを添加することもできる。
無機微粒子と混合摩砕する分子性有機固体が1種類の場合には、両者を同時に、あるいは、分子性有機固体の添加量を逐次的に増やして摩砕する。2種以上の分子性有機固体を混合摩砕するときには、無機微粒子とともに同時に摩砕することができる。あるいは、2種以上の分子性有機固体を段階的に添加して摩砕してもよい。たとえば、分子性有機固体がAおよびBであれば、無機微粒子とAを摩砕してから、つぎにBを添加して摩砕を継続することもできる。
混合攪拌するための機器としては、粉体層にせん断力を加えることができる装置が好ましく、特に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機より効果的に使用できる。
前記ホイール型混練機としては、エッジランナーミル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、このましくはエッジランナーミル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラー、であり、より好ましくはエッジランナーミルである。前記ボール型混練機としては、遊星ボールミル、転動ボールミル、遠心ボールミル、振動ボールミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
分子性有機固体と無機微粒子の混合摩砕は、上記の方法ならびに装置によって行うことができる。また、ロール式粉砕機、高速回転衝撃式粉砕機、媒体式粉砕機、気流式粉砕機、せん断・摩擦式粉砕機などの粉砕機を用いることができる。また、これらを組み合わせて、分子性有機固体をあらかじめ粉砕してから無機微粒子を混合摩砕することもできる。さらに、得られたコアシェル型有機微粒子を粉砕するために、微粉砕機もしくは超微粉砕機を用いることが好ましく、例えば、ローラミル、衝撃式粉砕機、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機等を用いることが好ましい。ジェット粉砕機及び衝撃式粉砕機がより効果的に使用できる。
前記ジェット粉砕機としては、旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等があり、好ましくは流動層型ジェットミルである。衝撃式粉砕機としては、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等があり、好ましくはピンミルである。ローラミルとしては、リングローラミル、遠心ローラミル等がある。ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。攪拌ミルとしては、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等がある。粉砕・分級における条件は、目的とする体積平均粒子径と体積最大粒子径が得られるように処理条件を適宜選択すればよい。
本発明に係るハイブリッド型有機微粒子の一次粒子としての平均粒子径は、6〜600nm、好ましくは6〜300nmであり、コア粒子の粒子径および分子性有機固体の添加量を反映し、その添加量に応じて有機系微粒子の粒子径が増大する。これらのコアシェル型有機超微粒子の1次粒子径および粒子径分布は電子顕微鏡観察により求めることができる。たとえば、倍率2万倍程度で透過型電子顕微鏡観察を行うことによって、その顕微鏡視野に有機固体に起因する粗大粒子が消失していることが確認されるとともに、ハイブリッド型有機微粒子の一次粒子としての微粒子の形態および平均粒子径を求めることができる。その結果、ブレイクダウン法として多用される粉砕機を用いるにもかかわらず、本発明によって製造されるハイブリッド型有機微粒子の粒子径分布は狭いものであり、幾何標準偏差値は1.6以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下である。強固な分子間相互作用によって溶剤に不溶不融の固体である有機顔料を無機系体質顔料粉体と混合して粉砕処理を施すことにより、有機無機複合顔料微粒子とすることが知られているが、分子間相互作用が比較的小さいために溶剤に可溶な分子性有機固体が融着することなく、超微粒子化できることは意外なことであった。
また、粒子径が異なる2種類の微粒子をメカノケミカル的に混合粉砕する場合、一般的に、大きな粒子表面に小さな粒子が付着すると指摘されている(釣谷泰一、小石真純、工業分散技術、日刊工業新聞社(1986)、65〜69ページ、色材協会編集、色材工学ハンドブック、朝倉書店(1989)、420〜423ページ)。しかしながら、本発明によれば、分子性有機固体の粒子径が無機微粒子の粒子径よりはるかに大きいにもかかわらず、得られるハイブリッド型有機超微粒子の一次粒子径および粒子径分布は、用いる分子性有機固体の種類を問わず、コア無機微粒子の粒子径ならびにその分布を反映したものであった。これは、大きなサイズを持つ分子性有機固体が摩砕処理によって無機微粒子表面へ順次堆積し、ついには、無機微粒子をコアとするハイブリッド型微粒子へと変換されるためと推察される。通常の摩砕・粉砕によって大きなサイズの粒子を破砕して微粒子化する場合には、統計学的な粒子径分布が不可避である事実に対して対照的であり、本発明での微粒子化はブレイクダウン法ではなく、実質的に乾式ビルドアップ法ということができる。
こうして得られるハイブリッド型有機超微粒子は、その1次粒子の平均粒子径が600nm以下であるにもかかわらず粉塵として飛散しにくく、粉体としての取り扱いが容易という特徴を持つ。さらには、疎水性の分子性有機固体粒子を単独で粉砕しても水に分散させることができないのに対して、こうして製造される微粒子の多くは、分散剤を添加することなく水中に容易に分散してスラリー化するという特徴を示す。
<分散>
本発明に係るハイブリッド型有機超微粒子は乾式処理によって調製されるが、これらを分子性有機固体が不溶もしくは難溶の溶媒中に分散させた組成物とすることができる。極性が低く、油溶性の分子性有機固体であれば、分散媒としては、当該固体材料が不溶もしくは難溶の水、ホルムアミド、低級アルコール、低級多価アルコールなどの極性溶媒が用いられるが、とくに水が好ましい。極性が高い有機固体であれば、芳香族系、石油系、ケトン系、エステル系、ハロゲン系などの極性が低い溶媒を分散媒として用いることができる。
上述したように、本発明係るハイブリッド型有機超微粒子はそれ自体が水中への自己分散を示すが、分散状態をさらに向上させるには、超音波処理のほかに、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、エッジランナー、2本又は3本ロールミル、エクストルーダー及び高速衝撃ミル等を用いることができる。とくに、粒子径を小さく分散させるには磨砕型ミルを用いることが好ましいが、このために用いる磨砕媒体としては、ミルの材質に応じて、ガラスビーズ、スチールビーズ、セラミックビーズ、テフロン(登録商標)ビーズ、ナイロンビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ、ポリウレタンビーズ、ポリアクリレートビーズ等が使用できる。それらの大きさは0.01〜10mmの範囲が好ましく、0.01〜3mmの範囲がより好ましい。
摩砕によって溶剤中に分散させる際には、溶剤が分散安定剤を含有することが好ましい。本発明における分散剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のアニオン性界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレート等の非イオン性界面活性剤、さらには高分子系分散安定剤を用いることができるが、これらを1種又は2種以上混合して用いても良い。水を溶剤として用いる場合には、分散剤としてアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、アセチレングリコール系分散剤、水溶性高分子等を好適に用いることができる。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
<粒子特性の評価>
各粒子粉末の形状観察は、JEM−1200EX−II型透過型(TEM)電子顕微鏡(日本電子製)を用いて1万倍の倍率で行った。一次粒子の平均粒子径は、5万倍の倍率で得たTEM写真における粒子約150個の粒子径を測定し、その平均値より求めた。
粒子の粒子径分布は、下記の方法により求めた幾何標準偏差値で示した。
即ち、上記TEM写真に示される粒子の粒子径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の粒子径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子径を、縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する粒子径の値を読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.13%における粒子径/積算フルイ下50%における粒子径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、粒子の粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
ハイブリッド型有機超微粒子の水中分散性の評価は、粉体約50mgを10mLの脱イオン水に加えたときの分散性で評価した。粉体を水中に投下しただけで自発的に懸濁した場合を○印、超音波処理で懸濁液が得られた場合を△印、懸濁しない場合を×印とした。
溶媒中に分散した粒子の粒子径および分散度は、動的光散乱装置Nano−Z(シスメックス社製)によって測定した。
分散液の吸収スペクトルは、ダイオードアレー分光光度計Multistep−1500(島津製作所製)を用いて測定した。また、粒子粉末の蛍光スペクトルおよび分散液の蛍光スペクトルは、蛍光分光光度計RF5300−PC(島津製作所製)によって測定した。粒子粉末の蛍光スペクトルは、分光光度計付属の試料ホールダーを用いて励起スペクトル測定を行い、吸収極大波長に対応する励起波長を選択して測定した。分散液の蛍光スペクトルは、希釈した分散液の吸収スペクトルから励起波長を選択して測定した。濃厚分散液を3mmの石英セルに充填し、これに励起光を45度から入射したときの表面層からの蛍光を135度方向で検出した。このとき、試料からの蛍光の一部は分散された分子性有機固体によって再吸収されて内部フィルター効果を受け、その度合いは励起波長に近いほど顕著となる。このため蛍光強度は、できるだけ長波長側での蛍光波長を選択して求めた。また、光エネルギー移動あるいは光電子移動に基づく蛍光強度の減少は、蛍光性有機固体単独のハイブリッド型有機超微粒子の蛍光強度を1とし、蛍光性有機固体を光エネルギー移動あるいは光電子移動の受容体である有機固体とともに混合して調製したハイブリッド型有機超微粒子の相対的な蛍光強度により評価した。
<分子性有機固体>
本実施例で用いた分子性有機固体は以下のとおりであり、カッコ内には表1〜3での略号を示す。
光酸発生剤:ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート(DPIP;みどり化学)、ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム・トリフレート(DPI3F;みどり化学)、p−(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(CPI;サンアプロ)、トリス(1,3,5−トリクロロメチル)トリアジン(TAz;みどり化学)、N−トリフルオロメタンスルホニルオキシナフタレン−1,8−カルボキシイミド(NAImide;みどり化学)、トリブロモメチルフェニルスルホン(BMPS;住友精化)。
増感剤:未精製アントラセン(ImAn;東京化成)、ゾーンメルト精製アントラセン(An;アルドリッチ)、精製ナフタレン(NA;アルドリッチ)、精製フェナントレン(PH;アルドリッチ)、テトラセン(Tet;アルドリッチ)、9,10−ジエトキシアントラセン(DEA;川崎化成)、9,10−ジプロポキシアントラセン(DPA;川崎化成)、ケトクマリン(KC;みどり化学製)、フラーレン60(C60;東京化成)、イソプロピルチオキサントン(ITX;日本化薬)。
蛍光色素:トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(ALQ;東京化成)、ペリレン(Per;東京化成)、ルブレン(Rub;東京化成)、ジメチルキナクリドン(QCD)、2,5−ジフェニル−1、3,4−オキサジアゾール(DPOx;東京化成)。
結晶フォトクロミック色素:サリチリデンアニル(SAA;東京化成)、ジフェニルマレオニトリル(DPM;合成品)。
着色色素:Kayaset Red B(Red−B;日本化薬)、Kayaset Blue FR(Blue−FR;日本化薬)。
近赤外線色素:日本カーリット製色素(CIR)、林原生物化学研究所製色素(NQ−20)、林原生物化学研究所製色素(NK−5706)。
紫外線吸収剤:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHB;東京化成)。
酸化防止剤:2,6−ビス(t−ブチル)―4−メチルフェノール(DBP;東京化成)。
感熱色素;クリスタルバイオレットラクトン(CVL;東京化成)、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド(Red−40;山本化成株式会社製)、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB−2;山本化成株式会社製)。
酸増殖剤:2,2−ビス(4−トシロキシシクロヘキシル)プロパン(BTP;日本ケミックス製)。
界面活性剤:トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(TMSA;東京化成)、ポリエチレングリコールモノステアレート:(PEGSt;n=55、東京化成)、デモールN(Dem:花王)。
<無機微粒子の調製>
シリカ超微粒子として、粒子形状が球状、一次粒子の平均粒子径が14nmのものを用いた。これをシリカ−1とする。シリカ−1の表面処理を以下のようにして行った。2.00gのシリカ−1を200mgのPEGStおよび直径1cmのナイロンビーズ12粒とともにフリッチュ製P7遊星型分散機によって500rpmで2時間ボールミル処理を行った。こうして得た粉末をシリカ−2とする。今ひとつの表面処理法として、シリカ−1の7.0kgを加えたエッジランナーを稼動させながら、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)280gを添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌した。こうして得た粉末をシリカ−3とする。
<実施例1−29:ハイブリッド型有機超微粒子の調製>
1対の容量45mLのジルコニア容器内に直径1cmのナイロン製ビーズを12粒、あるいは直径3mmのジルコニア製ビーズを約10mL、および総量が1.5gから3gである分子性有機固体および無機微粒子を投入し、これら容器をフリッチュ製P7遊星型分散機に設置し、回転数400rpmで2時間分散処理を施した。ついで、ビーズを取り除き、ハイブリッド型有機超微粒子を得た。
このときの製造条件及び得られたハイブリッド型有機超微粒子の諸特性を表1に示す。
Figure 0004936364
<比較例1−3:分子性有機固体の粉砕>
1対の容量45mLのジルコニア容器内に直径1cmのナイロン製ビーズを12粒および1gの分子性有機固体を投入し、これら容器をフリッチュ製P7遊星型分散機に設置し、回転数400rpmで1時間分散処理を施した。ついで、ビーズを取り除き、器壁に付着した有機固体をスパーテルでかき出して粉体を得た。得られた有機粉体の諸特性を表1に示す。
<実施例30−61:ハイブリッド型有機超微粒子の調製>
1対の容量45mLのジルコニア容器内にナイロン製あるいはジルコニア製ビーズ、2種類以上の分子性有機固体および無機微粒子を投入し、これら容器をフリッチュ製P7遊星型分散機に設置し、回転数400rpmで2時間分散処理を施した。ついで、ビーズを取り除き、ハイブリッド型有機超微粒子を得た。
このときの製造条件及び得られたハイブリッド型有機超微粒子の諸特性を表2に示す。
Figure 0004936364
<粉体の蛍光スペクトル>
実施例1〜5で得た粉体はいずれも強い蛍光を発し、結晶本来とほぼ同じ蛍光スペクトルを示した。実施例32および33で得た混合粉体は緑色の強い蛍光を発した。それらの蛍光スペクトルを測定した結果、アントラセン(An)由来の蛍光が顕著に減じ、テトラセン(Tet)及びペリレン(Per)に由来する強い蛍光が増加していることが確認された。本発明の混合摩砕により、微量のTetあるいはPerがAn結晶中にドーピングし、AnからTetあるいはPerへの光エネルギー移動が起こったためである。実施例34から36で得た混合粉体では、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルムニウム錯体(ALQ)単独の場合に比較してALQ由来の黄色蛍光が減少し、テトラセン(Tet)、ルブレン(Rub)およびキナクリドン(QCD)由来の蛍光スペクトルがそれぞれ観察された。これらでも、混合摩砕によってALQ結晶中にTet、RubあるいはQCDがドーピングし、その結果光エネルギー移動が起こっていることを意味する。
実施例37および38で得た粉体は、アントラセン(An)由来の蛍光強度が減少し、実施例38での粉体は蛍光をまったく発しない。これは、本発明の混合摩砕により効率よくAnからビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート(DPIP)へ結晶間で光電子移動が起こっていることを示す。実施例39から46は、9,10−ジプロポキシアントラセン(DPA)と種々の光酸発生剤との混合粉体を示す。これらの蛍光スペクトルを測定した結果、DPAの蛍光強度が減少しており、この場合にもDPAから光酸発生剤へ結晶状態で効率よく光電子移動が起こっていることを示す。
実施例62−68:
実施例40、42乃至46及び52(DPAの種類、光酸発生剤の種類およびDPAに対する光酸発生剤の重量比を種々変化させたもの)について、それぞれの相対的な蛍光強度の評価結果を表3に示す。
Figure 0004936364
<粉体の光酸発生反応>
実施例8〜12で得られた光酸発生剤の粉体に水銀・キセノンランプ(サンエイUVF−203S)からの光を直接照射した。この粉体をリトマス試験紙上に乗せてから水滴を滴下したところ、ただちに赤色に変色して酸性を示した。実施例37〜50で得た混合粉体に、水銀・キセノンランプ(サンエイUVF−203S)にUVD−35フィルターを組み合わせて取り出した365nmの紫外線を照射した。ついで、その粉体をリトマス試験紙上に乗せてから水滴を滴下したところ、ただちに赤色に変色して酸性を示した。増感剤からの電子移動が起こって光酸発生剤が結晶で分解し、強酸を発生していることが確認された。また、実施例40あるいは41で得たDPAとDPIPとの混合粉体を実施例28で得た無色のCVL粉体とを混合して光照射したところ、ただちに青色に変色した。これは光照射によって発生した酸がCVLを発色させたことを意味する。
<粉体のフォトクロミック反応>
実施例14あるいは15で得た淡黄色のSAA粉体に、水銀・キセノンランプ(サンエイUVF−203S)にUVD−35フィルターを組み合わせて取り出した365nmの紫外線を照射したところ赤橙色に変色し、これを暗所に放置すると元の色に戻った。この光発色・暗所消色は繰り返し可能であった。実施例16あるいは17で得た無色粉末に同様な条件で光照射したところ赤紫色に変色し、光照射を止めたところ、約1分後に無色に戻った。この光発色、消色は数回繰り返しが可能であった。
<実施例69−81:粉体の分散組成物の調製>
容量45mLのジルコニア容器内に直径3mmのジルコニア製ビーズ20gおよび粉体100mgを入れ、これに5重量%のポリビニルアルコール(日本合成化学製GL−05;重合度500)水溶液10gおよび消泡剤(共栄社、アクアレン)を加えた。1対の容器をフリッチュ製P7遊星型分散機に設置し、回転数500rpmで30分間分散処理を施した。ついで、0.3mmのジルコニアビーズに置き換え、650rpmで2時間分散処理を施した。ビーズを濾布によって取り除いて水分散組成物を得た。
このときの試料調製条件及び得られた水分散組成物の諸特性を表4に示す。
Figure 0004936364
<水分散組成物の蛍光スペクトル>
実施例32で得た粉体の水分散液を希釈して吸収スペクトルを測定し吸収極大波長を求め、その波長での励起光により蛍光スペクトルを測定した。その結果、アントラセン(An)由来の蛍光がほとんど消失し、テトラセン(Tet)からの蛍光であった。これは、水分散組成物とすることによって、光エネルギー移動効率がさらに向上していることを意味する。実施例33〜36で得た粉体に関しても、まったく同様に、光エネルギー移動の効率が飛躍的に向上していることが認められた。
<水分散組成物における増感光酸発生>
実施例40あるいは52で得た9,10−ジプロポキシアントラセン(DPA)、ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート(DPIP)およびシリカ微粒子からなる粉体より調製した水分散液5.00gに純水5.00gを加え、これを撹拌しながら光酸発生剤DPIPが吸収することのない500W超高圧水銀灯からの350nm以上の光を照射した。光照射した分散液について、8.50×10−3M水酸化ナトリウム水溶液でフェノールフタレインを指示薬に用いて滴定し、発生する酸を定量した。その結果、ほぼ定量的に酸が発生していることが認められた。同様にして、実施例42〜48から得られた粉体の水分散液に350nm以上の光を照射することにより、酸が発生していることをアルカリ滴定によって確認した。

Claims (6)

  1. 無機微粒子表面に、光酸発生剤、増感剤、蛍光色素、結晶フォトクロミック色素、近赤外線色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、感熱色素または酸増殖剤から選ばれる1種あるいは2種以上の分子性有機固体を付着させてなることを特徴とする一次粒子の平均粒子径が6〜600nmであるハイブリッド型有機超微粒子。
  2. 無機微粒子表面に表面改質剤を介して、光酸発生剤、増感剤、蛍光色素、結晶フォトクロミック色素、近赤外線色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、感熱色素または酸増殖剤から選ばれる1種あるいは2種以上の分子性有機固体を付着させてなることを特徴とする一次粒子の平均粒子径が6〜600nmであるハイブリッド型有機超微粒子。
  3. 無機微粒子、および1種あるいは2種以上の分子性有機固体を混合摩砕することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド型有機超微粒子の製造方法。
  4. 無機微粒子と表面改質剤とを混合攪拌して無機微粒子の粒子表面に表面改質剤を被覆させた後、1種あるいは2種以上の分子性有機固体を添加して混合摩砕することを特徴とする請求項2記載のハイブリッド型有機超微粒子の製造方法。
  5. 無機微粒子、1種あるいは2種以上の分子性有機固体および表面改質剤を混合摩砕することを特徴とする請求項2記載のハイブリッド型有機超微粒子の製造方法。
  6. 請求項1または2に記載のハイブリッド型有機超微粒子を有機固体成分が難溶性もしくは不溶性の溶媒に分散してなることを特徴とするハイブリッド型有機超微粒子の分散組成物。
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