JP4936092B2 - 水性樹脂組成物及び該組成物の硬化塗膜を有する塗装金属材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密着性、耐食性に優れる水性樹脂組成物および該組成物で塗装され金属材料表面に対する密着性に優れ、耐食性、加工性、開口性にも優れる硬化塗膜を有する塗装金属材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属缶素材としては、アルミニウム、ブリキ、ティンフリースチール等の金属が用いられている。これらの金属は、その腐食を防止するために、通常、缶の内外面には塗膜が形成されている。缶内面用塗料としては、密着性および防食性の面で優れている処から、通常、エポキシ/フェノール樹脂系、エポキシ/アミノ樹脂系または塩ビオルガノゾル系等の塗料が用いられている。
【0003】
しかしながら、上述したような塗料は、有機溶剤を含有するため、特に大気汚染、作業環境の悪化ならびに火災や爆発の危険性を有している。中でも塩ビオルガノゾル系塗料はダイオキシン類の発生源としての可能性を指摘されて以来、脱塩ビ樹脂の動きが急速に加速化している状況にある。こうした背景から、これらの問題点を回避する手段として、エポキシ樹脂をアクリル系樹脂で変性することによって、乳化力のあるセグメントを分子中に導入した、いわゆる自己乳化性エポキシ樹脂を水中に分散させる方法が種々提案されている。
【0004】
例えば、特開昭53−1228号公報には、エポキシ樹脂の存在下に、ベンゾイルパーオキサイド等のフリーラジカル発生剤を用いて、カルボキシル基含有ビニルモノマーを含むモノマー混合物を重合することによって得られるグラフト化されたエポキシ樹脂を、塩基を含む水性媒体中に安定に分散せしめるという方法が開示されている。
【0005】
特開昭55−75460号公報及び特開昭56−109243号公報には、それぞれ、アクリル系樹脂と比較的高分子量の芳香族エポキシ樹脂とを反応させたカルボキシル基過剰の部分反応物をアンモニアもしくはアミンの存在下で水性媒体中に分散せしめるという方法が開示されている。
【0006】
特開昭55−3481号公報及び特開昭55−3482号公報には、それぞれ、カルボキシル基含有ビニルポリマーを、アミン系エステル化触媒の存在下で、エポキシ樹脂とエステル化させた、実質上、エポキシ樹脂のオキシラン基を有しないカルボキシル基含有ビニルポリマー変性エポキシ樹脂を、塩基で中和して水中に分散せしめるという方法が開示されている。
【0007】
更に、特開昭57−105418号公報及び特開昭58−198513号公報には、それぞれ、芳香族エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を部分反応させて得られる一分子中にエポキシ基とアクリロイル基とを併有する低分子化合物と、アクリル酸もしくはメタクリル酸を含むモノマー混合物を共重合させ、この共重合体を塩基で中和して水中に分散せしめるという方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの水性樹脂組成物には、一般的な食品衛生面では優れている反面で、特に缶蓋の用途に使用した場合開口性と加工耐食性の両立が困難である。尚、缶蓋の開口は、缶蓋のプルトップタブやステイオンタブのタブ部を引き上げる事によるが、塗膜がスコア部に沿って切れずに、塗膜の一部が開口部に残ったり、最悪の場合には開口出来ない現象があり得る。こうした缶蓋の特性を開口性と称する。
【0009】
最近、特開平4−351682号公報には特に缶蓋の開口性の改良として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いた、カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂を水性媒体中に分散せしめた水性樹脂組成物が開示されている。また、特開平9−169948号公報及び特開平11−181349号公報には蓋用途を目的としてビスフェノールA型とビスフェノールF型のエポキシ樹脂を共重合させたエポキシ樹脂をカルボキシル基含有アクリル樹脂で変性し、塩基で中和して水中に分散せしめるという方法が開示されている。また特開平11−199827号公報にはビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型のエポキシ樹脂を混合して使用する方法が開示されている。これらの発明に見られるように、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂を使用することで開口性はある程度改良可能となる。しかしながら、高炭酸飲料充填後の殺菌工程に起因する蓋の変形(ドーミング)が原因となり、塗膜の細かい亀裂であるマイクロクラックが発生し、そこから腐食が進行する問題が生じている。このような蓋の変形に対してもマイクロクラック及びそれに伴う腐食を生じさせない塗膜の性能を2次的加工耐食性と称している。
【0010】
特開平8−302275号公報にはアクリル変性エポキシ樹脂とホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下のアクリル系モノマー成分を40%以上含むアクリル系樹脂からなる水性樹脂分散体を開示している。しかしながら、実質的にホモポリマーのガラス転移温度が0℃以下のアクリル系モノマー成分を40%以上含むアクリル系樹脂に一塩基性カルボン酸モノマーを使用しない場合、アクリル変性エポキシ樹脂に添加してアミン等で中和し水性媒体中に分散させてもアクリル系樹脂は分離してブツ状となり、水性樹脂分散体中に安定に存在できない。またアクリル系樹脂に一塩基性カルボン酸モノマーを使用した場合でも、焼付時にアクリル変性エポキシ樹脂と反応して相溶するため、外部衝撃箇所に生じる2次的加工耐食性に対する改善効果は多少見られるものの、もう一つの重要な課題である缶蓋の開口性が改良できないという大きな問題点を有している。
【0011】
特開平9−227824号公報にはカルボキシル基含有変性エポキシ樹脂の水分散体にカルボキシル基含有アクリル樹脂の水分散液の存在下にエチレン性不飽和単量体を乳化重合してなるエマルジョン樹脂を混合することによる水性塗料組成物を開示している。こうした方法はホモポリマーのガラス転移温度に着目してエチレン性不飽和単量体を選び、かつ又エチレン性不飽和単量体からなるエマルジョン樹脂の粒子径の最適化と均一化を図らないと、優れた缶蓋の開口性と2次的加工耐食性を満足出来ない問題点を有している。
【0012】
また、これらの水性樹脂組成物は何れも缶被覆用水性樹脂組成物として、塗膜物性に関する記載に止まり塗装適性に関する記載はない。しかしながら、缶被覆用樹脂組成物を金属材料に塗装するための塗装適性は特に水性分散体の場合、ある意味で塗膜物性と同等あるいは、それ以上の重要性を有しているにも拘わらず適切な流動性のコントロール手法がないのが現状である。
【0013】
このように、缶被覆用水性樹脂組成物として、特に缶蓋内面用塗料としては食品衛生性、フレーバー保持性に優れ、加工性、耐食性、さらには高炭酸飲料充填後の蓋の変形(ドーミング)に対する2次的加工耐食性及び開口性にも優れることは勿論、塗装適性にも優れる缶被覆用水性樹脂組成物は見い出されていないのが実情である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、金属材料表面への密着性、耐食性、加工性及び開口性に優れ、塗装適性にも優れた硬化塗膜を形成できる水性樹脂組成物を提供することにある。また本発明の課題は、該硬化塗膜を有する、缶内面被覆用として有用な塗装金属材料を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のエポキシ樹脂と特定のアクリル樹脂を使用した水性樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し本発明に到った。
【0016】
すなわち、本発明は第一に、数平均分子量9,000以上、エポキシ当量9,000以下である芳香族系エポキシ樹脂(A)と、数平均分子量9,000未満、エポキシ当量5,000以下である芳香族系エポキシ樹脂(B)からなるエポキシ樹脂と、ガラス転移温度(以下、Tg)が100℃以上であるカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)とを部分エステル反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂を塩基で中和して水性媒体中に分散させてなる水性樹脂組成物を提供する。
【0017】
本発明は第二に、金属材料表面に、前記した水性樹脂組成物の塗膜を硬化させてなる硬化塗膜を有する塗装金属材料を提供する。
【0018】
上記手段によって、耐食性、金属材料表面に対する密着性に優れた水性樹脂組成物および該組成物を用いた、耐食性、加工性、開口性に優れた硬化塗膜を有する塗装金属材料を提供することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の水性樹脂組成物は、前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)と前記した芳香族系エポキシ樹脂(B)からなるエポキシ樹脂を、前記したカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)とを部分エステル化反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂をアミンで中和して水性媒体中に分散されてなる水性樹脂組成物であり、用途として、アルミニウム、錫メッキ鋼板、あるいは、前処理した金属、更には、スチールの如き、各種の金属素材又は製品への被覆用としてのみならず、木材の如き、他の素材や加工品への被覆剤としても用いることの出来る、特に、金属缶内面被覆用途に用いる時に優れた効果を期待することの出来る水性樹脂組成物である。更に、Tgが0℃以下であって、前記したアクリル変性エポキシ樹脂と相溶性を有しない前記したアクリル樹脂(D)の粒子を含有する場合、特に腐食性の強い飲料にも使用可能な缶蓋内面被覆用として格別優れた効果を奏する水性樹脂組成物である。
【0020】
(芳香族系エポキシ樹脂(A))
本発明の水性樹脂組成物に用いる芳香族系エポキシ樹脂(A)は、数平均分子量が9,000以上で、エポキシ当量が9,000以下のエポキシ樹脂である。この数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算で求めたものである。エポキシ当量とは、エポキシ樹脂100g中に存在するエポキシ基の量を示す価であるエポキシ価の逆数に100を乗じた価である。
【0021】
芳香族系エポキシ樹脂(A)の数平均分子量の範囲は、加工性および密着性の点で、9,000〜18,000が好ましく、10,000〜15,000がより好ましい。芳香族系エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量の範囲は、硬化性および熱水処理後の塗膜白化現象防止の観点から、6,000〜9,000が好ましい。
【0022】
これらの芳香族系エポキシ樹脂(A)として、ビスフェノールA型、ビスフェノールB型、ビスフェノールF型の何れも用いることが出来るが、特に、缶蓋内面被覆の用途に於いては、2次的加工耐食性の向上の点で、ビスフェノールA型またはB型エポキシ樹脂が好ましい。
【0023】
市販品としては、例えば、油化シェルエポキシ株式会社製のエピコート1256、東都化成株式会社製のZX1449−8等が挙げられる。
【0024】
(芳香族系エポキシ樹脂(B))
本発明の水性樹脂組成物に用いる芳香族系エポキシ樹脂(B)は、数平均分子量が9,000未満で、エポキシ当量が5,000以下のエポキシ樹脂である。芳香族系エポキシ樹脂(B)の数平均分子量の範囲は、加工性および密着性の点で、4,000〜8,000が好ましい。
【0025】
芳香族系エポキシ樹脂(B)は、カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)とのエステル化反応で、水に不溶のエポキシ樹脂を水に分散させる乳化剤の働きを有するアクリル−エポキシグラフト体を充分に形成し、適切な流動特性を有する安定な水分散体を得るために、そのエポキシ当量が5,000以下であることが必要である。一方、適切な硬化性及び分子量に起因する加工性の観点から、エポキシ当量は2,000より大きいことが好ましい。
【0026】
芳香族系エポキシ樹脂(B)として、ビスフェノールA型、ビスフェノールB型、ビスフェノールF型の何れも用いることが出来るが、使用される用途によって使い分けることが望まれる。塗膜厚が薄い用途にはビスフェノールA型、ビスフェノールB型エポキシ樹脂も使用する事が出来るが、塗膜厚が厚く腐食性の弱い飲料用途には、内部応力を低下させ基材への接着力を高める結果、開口性に効果のあるビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
【0027】
塗膜厚が厚く腐食性の強い飲料用途には、特にビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用した場合は、高炭酸飲料充填後の殺菌工程に起因する蓋の変形(以下、ドーミング)が原因となり、塗膜にマイクロクラックが入り2次的加工耐食性が劣る傾向がある。2次的加工耐食性はビスフェノールF型エポキシ樹脂量が増えれば増える程劣る傾向があるため、高炭酸飲料充填用には、芳香族系エポキシ樹脂(B)としては、出来るだけビスフェノールF型のエポキシ樹脂の使用量を押さえ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールB型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0028】
市販品としては、例えば、油化シェルエポキシ株式会社製のエピコート1009、1010、4009P、4010P、東都化成株式会社製のZX1462、YD909、YD7909等が挙げられるが挙げられる。
【0029】
本発明の水性樹脂組成物に用いる芳香族系エポキシ樹脂(A)と芳香族系エポキシ樹脂(B)の含有比率は、質量比で、95/5〜75/25であることが好ましい。良好な加工性が得られる点で、芳香族系エポキシ樹脂(B)の含有量が25質量%以下が好ましく、一方、エステル化反応に必要な官能基数を得、水性樹脂組成物の流動性をコントロールし、接着力を維持し、良好な開口性を得るために5質量%以上が好ましい。
【0030】
本発明の水性樹脂組成物に用いられるカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)は、エチレン性不飽和カルボン酸を必須の成分として含有する共重合性単量体混合物を、有機溶媒中で共重合させることによって得られるTgが100℃以上のカルボキシル基含有アクリル樹脂である。前記したエチレン性不飽和カルボン酸として特に代表的なものとして、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
【0031】
前記した、エチレン性不飽和カルボン酸には、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチルの如き、各種のエチレン性不飽和ジカルボン酸のモノアルキルエステル類も含まれる。
【0032】
その他の共重合性単量体として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシルの如き、各種の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロムスチレンの如き、各種のエチレン性不飽和芳香族単量体(芳香族ビニル単量体);(メタ)アクリロニトリルの如き、各種のエチレン性不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如き、各種のビニルエステル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデンの如き、各種のビニリデンハライド;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルの如き、各種のエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジルの如き、各種のエチレン性不飽和カルボン酸グリシジルエステル;または(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドの如き、各種の(メタ)アクリルアミド誘導体等の、いわゆるラジカル重合可能な化合物が挙げられる。
【0033】
カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)を得るために、上記各種共重合性単量体を用いることが可能であり、カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)の計算によって得られる理論Tgが100℃以上であれば良いが、特にホモポリマーのTgが27℃以下のエステル結合を有する単量体(以下、特定エステル型単量体)がアクリル樹脂(C)中に2質量%以内になることが好ましい。これは本発明の水性樹脂組成物を缶内面被覆用に用いた場合、Tgが低い樹脂成分は内容物のフレーバー成分を多く収着し、水蒸気透過性を大きくし、さらにエステル結合が缶内容物の加熱殺菌工程において加水分解を受け、加工性を著しく劣化する傾向があるためである。前記した特定エステル型単量体としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル等のアクリル酸エステルを例示することができる。
【0034】
カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)は、上記エチレン性不飽和カルボン酸とその他の重合性単量体との混合物を、例えば有機溶剤中にて、ラジカル重合開始剤又は連鎖移動剤の存在下で80〜150℃で1〜10時間程度加熱し共重合させることによって得ることが出来る。これらの重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、共重合性単量体の合計質量の0.01〜20質量%の範囲が好ましい。上記重合開始剤としては有機過酸化物系、アゾ系等が用いられ、有機過酸化物系では、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等が挙げられ、アゾ系では例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等が挙げられる。上記連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン類等が挙げられる。
【0035】
カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)の分子量は、アクリル変性エポキシ樹脂の安定な水分散体を得、塗膜の良好な加工性を得るために、数平均分子量で2000〜10000が好ましく、より好ましくは3000〜8000の範囲である。
【0036】
上記した製造方法における、エチレン性不飽和カルボン酸の使用量は、水性媒体中における樹脂の分散安定性、塗装した塗膜の金属に対する密着性、耐溶剤性、缶内面用に使用した場合の衛生性等の向上のため、共重合性単量体の合計質量を100質量部とした時、25〜65質量部とすることが好ましい。
【0037】
本発明の水性樹脂組成物に用いるアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体は、上記、芳香族系エポキシ樹脂(A)、芳香族系エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)とを、エポキシ基に対して、カルボキシル基が過剰である反応基濃度において、アミン触媒下で有機溶媒中で部分的にエステル化反応せしめ、アミンで中和して水性媒体中に分散させるという方法で容易に得ることが出来る。アミン触媒としては特に限定しないがジメチルエタノールアミンが好適に使用できる。
【0038】
エステル化反応は樹脂酸価、エポキシ当量、樹脂粘度等を追跡し、予め決めておいた規定の酸価、エポキシ当量、粘度等に達した時点でアミン及び水を添加しエステル化の反応を停止させた上で、水性媒体中に分散させることで、容易に任意の流動性を有するアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得ることが出来る。つまり、エステル化反応を進め、アクリル−エポキシグラフト体量を増やせば擬塑性の度合いが大きくなり、エステル化を抑えれば擬塑性の度合いが小さいアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得ることが出来る。
【0039】
流動性はレオメーターを使用して、ズリ速度に対する粘度の関係を測定し、ハーシャルバークレーの近似式に代入して、擬塑性流動の指標となる係数Cを測定することで容易に表現出来る。C値が1の場合、一般的には溶剤型塗料が示すニュートン流動を示し、数値が小さくなるにつれて擬塑性度の大きな擬塑性流動体となる。アクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体は一般にエポキシ基の少ない高分子量エポキシ樹脂を使用した場合C値が1に近づき、エポキシ基の多い場合には擬塑性の程度の大きい水性分散体ができるが、これを任意に調整することは今まで困難であった。
【0040】
本発明の水性樹脂組成物に用いるアクリル変性エポキシ樹脂を合成するときには、エポキシ基を残すように、部分エステル化反応をせしめるが、本発明で用いるアクリル変性エポキシ樹脂中のカルボキシル基の少なくとも一部を、塩基性化合物で中和し、水性媒体中に分散させたのち、このアクリル変性エポキシ樹脂分散体を加熱することにより、微小な分散体粒子の中で残存するエポキシ基とカルボキシル基との反応を行なわせ、三次元網目構造を有するミクロゲル粒子を得ることができる。つまり、アクリル変性エポキシ樹脂自体がミクロゲルを含有する程度まで超高分子量化されているため、焼付条件を低温で短時間とすることができるので、省エネルギー、生産性の向上などが図れる。
【0041】
上記の製造方法における、芳香族系エポキシ樹脂(A)、芳香族系エポキシ樹脂(B)と、カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)の使用割合は、それらの合計質量を100質量部としたとき、不揮発分質量比で、(A)+(B)/(C)=80/20〜90/10なる範囲内が好ましく、エポキシ基に対して、カルボキシル基が過剰となるような反応基濃度範囲が好ましい。カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)の使用割合は、水に対する良好な分散安定性が得られ、焼付時のエポキシ樹脂の硬化反応が充分に進行する点で、10以上が好ましく、塗膜の金属に対する密着性に優れ、良好な加工性を得られる点で20以下が好ましい。
【0042】
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブアセテート又はエチルセロソルブアセテート等をはじめ、ジオキサン、ジメチルホルムアミド又はダイアセトンアルコールの如き、各種の親水性有機溶媒;酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン又はキシレンの如き、各種の親油性有機溶媒等を用いることが出来る。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよく、必要に応じて、水とこれらの有機溶媒とを併用してもよい。
【0043】
上記した方法で得られるアクリル変性エポキシ樹脂のカルボキシル基の中和に使用できる塩基性化合物としては、通常のアンモニア又は有機塩基が挙げられる。
【0044】
有機塩基としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミンの如きアルキルアミン類:ジメチルエタノールアミン、ジエチルイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチプロパノールの如きアルコールアミン類;又はモルホリン等を用いることが出来る。又、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンの如き多価アミンも使用できる。
【0045】
上記した塩基性化合物としては、塗膜中に残留せずに、耐水性を良くする傾向があるので、ジメチルエタノールアミンが好ましい。塩基性化合物の使用量としては、分散体のpHが5以上となるような量が好ましい。
【0046】
本発明の水性樹脂組成物に用いられる水性媒体とは、少なくとも10質量%以上が水である、水単独あるいは、親水性有機溶剤との混合物を意味する。本発明で用いることが出来る親水性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノールの如きアルキルアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールの如きグリコールエーテル類;又はメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートの如きグリコールエーテルエステル類等であり、その他の有機溶剤としてジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。
【0047】
必要に応じて、親油性有機溶剤を用いることは、何ら差し支えがない。かくして得られる水性樹脂組成物から、そこに含有される有機溶剤を減らす必要がある場合には、アクリル変性エポキシ樹脂を製造する際に、沸点が低く、水と共沸するような有機溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、n−ブタノール又はブチルセロソルブ等を、水と併用して水性媒体中に分散せしめたのち、常圧もしくは減圧にて蒸留すれば、安定的に、有機溶剤の含有率の低い水性樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0048】
本発明の水性樹脂組成物は、前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)と前記した芳香族系エポキシ樹脂(B)からなるエポキシ樹脂を、前記したカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)と有機溶剤中で部分エステル化反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂をアミンで中和して水性媒体中に分散されてなる水性樹脂組成物であり、更に、Tgが0℃以下であって、前記したアクリル変性エポキシ樹脂と相溶性を有しない前記したアクリル樹脂(D)の粒子を含有する場合、特に缶蓋内面被覆用に格別優れた効果を奏する水性樹脂組成物である。
【0049】
アクリル樹脂(D)は、充分な接着力が得られる点で、硬化塗膜中に分散して存在する粒子径が0.1μm以上であることが好ましく、より良好な2次的加工耐食性が得られる点で2μm以下であることが好ましい。さらに0.5〜1μmで有ることがより好ましい。缶蓋内面被覆用に用いた場合、硬化塗膜中での粒径が前記の範囲に有れば特に高い接着力による優れた開口性を有する塗装金属材料を提供することができる。
【0050】
アクリル変性エポキシ樹脂に対するアクリル樹脂(D)の含有比率は、99/1〜80/20であることが好ましい。すなわち、アクリル樹脂(D)の比率は、良好な接着力及び2次的加工耐食性を得るために、1以上が好ましく、良好な加工性を得るために、20以下であることが好ましい。この範囲の添加が開口性の改良及び2次的加工耐食性の改良に特に有効である。
【0051】
ここでアクリル樹脂(D)の粒子径とは、硬化塗膜を薄く切り出して、硬化塗膜中のアクリル樹脂(D)の粒子を直接電子顕微鏡で観察し、画像解析ソフトにより粒子径分布を測定し求めたものであり、メディアン径である。本発明の水性樹脂組成物の硬化塗膜を薄く切り出し、電子顕微鏡で観察すると、アクリル変性エポキシ樹脂から成る樹脂成分の中にアクリル樹脂(D)からなる樹脂成分が島状に分散してなる構造を有しているのが判る。海成分となるアクリル変性エポキシ樹脂を製造する際に使用するカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)は、フレーバー成分の収着量を抑制するためにTgが100℃以上であることが必要であったが、島成分を形成するアクリル樹脂(D)は、Tgが低くても海島構造を取ることで、フレーバー成分の収着量が少なく、水蒸気透過性も小さいため、非常に良好な塗膜が得られる。
【0052】
アクリル樹脂(D)は、カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)を合成するために用いられる場合と同じ共重合性単量体の中から、アクリル変性エポキシ樹脂と非相溶となり、かつ、共重合体のTgが0℃以下となるような共重合単量体を選び、乳化重合により、あるいは溶液重合後に乳化剤を使用して水中に分散させる方法で、水分散体として得ることが出来る。アクリル樹脂(D)のTgは、計算値から求めた値が、0℃以下で有ることが必要であり、0℃を越えると蓋の変形に対する2次的加工耐食性の改良効果が劣る傾向がある。
【0053】
上記アクリル樹脂(D)は、具体的な一例を挙げれば、上記エチレン性不飽和カルボン酸とその他の重合性単量体との混合物を、特に限定されるものではないが、例えばイオン交換水中にて、乳化剤及びラジカル重合開始剤又は連鎖移動剤の存在下で70〜90℃で、1〜10時間程度加熱し乳化重合により共重合させることによって、あるいは、上記エチレン性不飽和カルボン酸とその他の重合性単量体との混合物を、例えば有機溶剤中にて、ラジカル重合開始剤又は連鎖移動剤の存在下で80〜150℃で1〜10時間程度加熱し共重合させることによって得られたアクリル樹脂溶液を乳化剤を用いてイオン交換水中に分散させることにより得ることが出来る。
【0054】
乳化剤としては、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ラウリルスルフォン酸ナトリウム等の界面活性剤や酸性の官能基を塩基で中和した樹脂、例えばカルボキシル基を含有したアクリル樹脂をアミンで中和した水溶性樹脂等を使用することができる。
【0055】
重合開始剤としては有機過酸化物系、アゾ系等が用いられ、有機過酸化物系では、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等が挙げられ、アゾ系では例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等が挙げられる。その他、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。これらの重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、共重合性単量体の合計質量の0.01〜20質量%の範囲が好ましい。連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン類などが挙げられる。
【0056】
アクリル樹脂(D)の粒子を含有する本発明の水性樹脂組成物は、アクリル樹脂(D)の水分散体を、カルボキシル基含有アクリル樹脂(C)と芳香族系エポキシ樹脂(A)及び芳香族系エポキシ樹脂(B)とをアミン触媒下で有機溶媒中でエステル化反応中に、より好ましくは反応の初期から中期に溶液に添加し、反応終了時にアミンで中和して、アクリル変性エポキシ樹脂と一緒に転相乳化することによって得ることが出来る。このアクリル変性エポキシ樹脂はエポキシ樹脂をアクリル系樹脂で変性することによって、乳化力のあるセグメントを分子中に導入した、いわゆる自己乳化性エポキシ樹脂であり、この方法では、アクリル樹脂(D)の水分散体は、アクリル変性エポキシ樹脂の溶液に添加した時に有機溶媒中で一度溶融し、その後自己乳化性のアクリル変性エポキシ樹脂と一緒に転相乳化することになり、アクリル樹脂(D)の粒子が微分散することが可能となり、アクリル樹脂(D)を含んだ粒径0.1〜2.0μmの均質な粒子径を有する水性樹脂組成物が容易に得られる。このため、アクリル樹脂(D)の水分散体中での粒子径は特に規定されるものではない。但し、そのメカニズムは不明であるがアクリル樹脂(D)は水中に安定して存在する水分散体をアクリル変性エポキシ樹脂に加えることが好ましく、水分散体の構造を取らないアクリル樹脂を添加した場合にはアクリル樹脂(D)が持つ本来の性能を得ることが困難になる。
【0057】
こうして得られた、アクリル樹脂(D)を含有する本発明の水性樹脂組成物を用いた塗料は泡立ち性に優れ、しかも、アクリル樹脂(D)の粒子径の最適化と均一化が起こるため、硬化塗膜とした場合、硬化塗膜中に粒子径が0.1〜2μmのアクリル樹脂(D)の粒子が分散してなる構造を容易に取ることが出来る。この様に上記粒子径を有するアクリル樹脂(D)が硬化塗膜中に分散している構造を取ることで、接着力の向上と缶蓋開口時の塗膜の破断性が向上し、缶蓋の開口性と耐食性の両立が可能となる。
【0058】
アクリル樹脂(D)の粒子の粒子径は、硬化塗膜中のアクリル樹脂(D)の粒子径であり、最終的に硬化塗膜を形成した時にアクリル樹脂(D)がアクリル変性エポキシ樹脂の硬化塗膜中に粒子径で0.1〜2μmとなるように分散していれば良い。アクリル樹脂(D)の水分散体中での平均粒子径は、特に制約されるものではない。
【0059】
アクリル樹脂(D)の粒子を含有する本発明の水性樹脂組成物は、アクリル変性エポキシ樹脂の水分散体中に、アクリル樹脂(D)の水分散体を直接添加混合することによっても調製することが出来る。しかしながら、この場合には、該水性樹脂組成物を用いた塗料の泡立ちが多くなる傾向にある。また、アクリル樹脂(D)の水分散体中での平均粒子径を0.1〜2μmの範囲にコントロールした場合でも、2μm以上の比較的大きな粒子が存在し、この時得られる硬化塗膜中に分散するアクリル樹脂(D)の粒子径は2μm以上の粒子を多く含む傾向がある。更に、アクリル樹脂(D)の水分散体中での平均粒子径を0.1μm以下にコントロールすることは容易であるが、硬化塗膜中に分散するアクリル樹脂(D)の粒子径は、0.1μm以下となる傾向がある。尚ここで、水分散体中での平均粒子径は、光散乱型粒度分布計によって測定し求めたものであり、メディアン径である。つまり硬化塗膜中でのアクリル樹脂(D)の粒子径を上記範囲に厳密にコントロールするのは直接添加混合する方法では実質的に困難である。
【0060】
本発明の水性樹脂組成物、特に、缶内面被覆用として用いる水性樹脂組成物には、更に、必要に応じて、塗膜の密着性や硬化性などを高めるために、硬化剤として、フェノール樹脂を0.1〜5%の範囲で添加してもよい。5%を越えて添加した場合には、硬化が進みすぎて加工性が劣る傾向にあるため好ましくない。係るフェノール樹脂の代表的なものとしては、ビスフェノールA又はビスフェノールFの如き、各種の4官能性のフェノール化合物、石炭酸、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノールの如き3官能のフェノール化合物もしくはp−クレゾール、o−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、m−メトキシフェノールの如き、各種の2官能性のフェノールと、ホルムアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で合成したフェノール樹脂が挙げられる。
【0061】
又、フェノール樹脂に含有されるメチロール基の一部ないしは全部を、炭素数が1〜12なるアルコール類によってエーテル化した形のものを使用することもできる。
【0062】
本発明の水性樹脂組成物には、塗料を調製する際に、必要に応じて、塗装性を改良するための溶剤、界面活性剤、または消泡剤など各種助剤を加えることも可能である。
【0063】
本発明の水性樹脂組成物は、アルミニウム、錫メッキ鋼板、あるいは、前処理した金属、更には、スチールの如き、各種の金属素材又は製品への被覆用として有用であるが、木材の如き、他の素材や加工品への被覆剤として用いてもよいことは勿論である。
【0064】
本発明の水性樹脂組成物を用いた塗料の塗装方法としては、エアースプレー、エアレススプレーまたは静電スプレーの如き、各種のスプレー塗装、浸漬塗装、ロールコーター塗装ならびに電着塗装等も可能である。
【0065】
水分散型の塗料をロールで塗装する場合、特にコイル塗装の場合、ピックアップ性、作業性等を考慮して、FC#4粘度が30秒前後で一般的に塗装するが、この粘度での適切なC値は0.70から0.90 の範囲にある。C値が0.70未満の場合、塗布量確保が困難となり、0.90を超えるとコーターパン中の泡を巻き込み、塗装面に泡を原因とするブリスターが発生する。
【0066】
又、焼付け条件としては、120〜280℃で、10秒〜30分間なる範囲内が好ましい。
【0067】
本発明の水性樹脂組成物は、用途に応じて、それぞれ、適当な防錆剤、顔料、充填剤等を配合して、防錆プライマー、印刷インキ、あるいは、防食防錆塗料などに使用することもできる。
【0068】
最も好ましい用途としては、飲食物等に用られる、各種の金属容器への内面塗装に使用することであって、塗膜には耐水性があり、塗膜から缶内容物への低分子化合物の溶出がなく、加えて、非常に塗膜の不浸透性が高いので、缶内部に貯蔵する飲食物の、天然の味または香りを変質させないと共に、加工性にも優れている被覆品が得られる。
【0069】
又、本発明の水性樹脂組成物の好ましい用途である、缶内面被覆用水性樹脂組成物に、加工時の塗膜の傷付きを防ぐ目的で、滑剤である、公知慣用の各種のワックス類を添加することも可能である。ここで用いるワックスは単独で用いることはもちろんであるが、耐摩擦摩耗性を考慮して25℃での針入度が10以下の硬いワックスと針入度が10より大きい軟らかいワックスを併用する事ことがさらに有効である。
【0070】
更に、本発明の水性樹脂組成物は、高温短時間の焼付け条件においても発泡することがなく、且つ、厚膜塗装が可能であると共に、加工性ならびに耐食性が良好である処から、溶接缶の溶接部補正塗料としても有用である。
【0071】
(塗装金属材料)
金属材料表面に、前記した本発明の水性樹脂組成物の塗膜を硬化させてなる、耐食性、加工性、開口性に優れた硬化塗膜を有する塗装金属材料について説明する。
【0072】
金属材料としては、アルミニウム、錫メッキ鋼板、あるいは、前処理した金属、更には、スチールの如き、各種の金属素材が用いられる。特に食品飲料充填用の金属缶用素材が好ましく用いられる。
【0073】
本発明の塗装金属材料を得るための塗装方法としては、エアースプレー、エアレススプレーまたは静電スプレーの如き、各種のスプレー塗装、浸漬塗装、ロールコーター塗装ならびに電着塗装等が可能である。
【0074】
焼付け条件としては、120〜280℃で、10秒〜30分間なる範囲内が好ましい。
【0075】
塗膜厚としては、10〜160mg/dm2が好ましい。
【0076】
本発明の塗装金属材料は、最も好ましい用途としては、飲食物等に用られる、各種の缶等の金属容器として使用することが出来る。塗膜には耐水性があり、塗膜から缶内容物への低分子化合物の溶出がなく、加えて、非常に塗膜の不浸透性が高いので、缶内部に貯蔵する飲食物の、天然の味または香りを変質させないと共に、加工性にも優れた塗装金属材料である。
【0077】
特に、本発明の水性樹脂組成物を用いた塗料で硬化塗膜中に粒径が0.1〜2μmのアクリル樹脂(D)の粒子が分散した塗膜を形成した塗装金属材料は、缶内面用に用いるとき、開口性及び2次的加工耐食性に優れ、腐食性の強い飲料、例えば高炭酸飲料充填の際には格別優れた性能を奏する。
【0078】
【実施例】
本発明を実施例により、一層、具体的に説明する。以下において、特に断りのない限り、部および%は、すべて質量基準であるものとする。
【0079】
(実施例1)
[カルボキシル基含有アクリル樹脂(C−1)の合成]
(a) n−ブタノール 670部
(b) スチレン 250部
(c) エチルアクリレート 10部
(d) メタクリル酸 190部
(e) 過酸化ベンゾイル 10部
まず、(a)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、撹拌溶解しながら110℃に保って、この中に、(b)〜(e)を混合溶解したものを、2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後も、さらに同温度で3時間撹拌し、固形分が40%なる、カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液を得た。
【0080】
[アクリル変性エポキシ樹脂の合成と水分散化]
(f) ZX−1449−8 135部
(g) エピコート4010P 15部
(h) 上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(C−1) 66部
(i) n−ブタノール 225部
(j) ジメチルエタノールアミン 3部
(k) ジメチルエタノールアミン 5部
(l) イオン交換水 530部
まず、(f)〜(i)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、110℃で2時間撹拌することによって完全に溶解したのちに、85℃に冷却した。この溶液に、(j)を仕込んで120分撹拌し、固形分が40%なる、カルボキシル基含有で自己乳化性を有するアクリル変性エポキシ樹脂の溶液を得ると同時に、(k)と(l)の一部を仕込んで、温度を下げエステル化反応を実質的に停止させ、さらに撹拌しながら、(l)の残りを30分かけて滴下し、転相乳化させ固形分が18%なるアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得た。酸価、エポキシ当量の測定から、120分間のエステル化反応ではエポキシ基の約56%が反応していた。
【0081】
ここで使用したZX−1449−8は東都化成株式会社製の数平均分子量13000、エポキシ当量8500のビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、またエピコート4010Pは油化シェルエポキシ株式会社製の数平均分子量6000、エポキシ当量4100のビスフェノールF型エポキシ樹脂である。更に、減圧下にて、n−ブタノールと水とを、共沸蒸留によって留去し、不揮発分が37%なる、溶剤を含まないアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得た。更に、以下の要領で塗料化し、25℃でのFC#4粘度が30秒になるようジメチルエタノールアミンで粘度を調整し、不揮発分が32%の塗料を得た。
[塗料化]
(m)上記水性分散体 90部
(n)ブチルカルビトール 8部
(o)イオン交換水 6部。
【0082】
(実施例2)
実施例1の芳香族系エポキシ樹脂(A)、(B)の比率を変えたこと以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応をさせ、水分散体を得た後、同様にして塗料を得た。
【0083】
(実施例3)
実施例2の芳香族系エポキシ樹脂(B)を油化シェルエポキシ株式会社製の数平均分子量6800、エポキシ当量3900のビスフェノールA型エポキシ樹脂であるエピコート1010に変えたこと以外は実施例1と同様にして部分エステル化反応させ、水分散体を得た後、実施例1と同様にして塗料を得た。
【0084】
(実施例4)
[アクリル樹脂(D−1)の合成]
(a) 上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液 50部
(b) ジメチルエタノールアミン 4部
(c) イオン交換水 258部
(d) スチレン 10部
(e) エチルアクリレート 170部
(f) t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 6部
(g) n−ブタノール 2部
まず、(a)〜(c)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、撹拌溶解しながら80℃に保って、この中に、(d)〜(g)を混合溶解したものを、2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後も、さらに同温度で3時間撹拌し、固形分が40%なる、アクリル樹脂の水分散体を得た。
【0085】
[アクリル変性エポキシ樹脂の合成と水分散化]
(f) ZX−1449−8 135部
(g) エピコート4010P 15部
(h) 上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液 66部
(i) n−ブタノール 225部
(j) ジメチルエタノールアミン 3部
(k) ジメチルエタノールアミン 5部
(l) イオン交換水 530部
(m) 上記アクリル樹脂(D−1) 44部
まず、(f)〜(i)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、110℃で2時間撹拌することによって完全に溶解したのちに、85℃に冷却した。この溶液に、(j)と(m)を仕込んで160分撹拌し、固形分が40%なる、アクリル変性エポキシ樹脂の溶液を得ると同時に、(k)と(l)の一部を仕込んで、温度を下げエステル化反応を実質的に停止させたところで(l)の残りを30分かけて滴下し、転相乳化させ固形分が18%なるアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得た。酸価、エポキシ当量の測定から、120分間のエステル化反応ではエポキシ基の約52%が反応していた。
【0086】
更に、減圧下にて、n−ブタノールと水とを、共沸蒸留によって留去し、不揮発分が37%なる、溶剤を含まないアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得た。更に、以下の要領で塗料化し、25℃でのFC#4粘度が30秒になるようジメチルエタノールアミンで粘度を調整し、不揮発分が32%の塗料を得た。
[塗料化]
(n)上記水性分散体 90部
(o)7700LB 1部
(p)ブチルカルビトール 8部
(q)イオン交換水 5部
ここで使用した7700LBはベークライトAG社製の不揮発分70%のフェノール樹脂である。
【0087】
(実施例5)
実施例4の芳香族系エポキシ樹脂(A)及び(B)の比率を変えたこと以外は、実施例4と同様にして部分エステル化反応をさせ、水分散体を得た後、同様にして塗料を得た。
【0088】
(実施例6)
実施例5の芳香族系エポキシ樹脂、エピコート4010Pをエピコート1010に変えたこと以外は実施例5と同様にして部分エステル化反応させ、水分散体を得た後、実施例4と同様にして塗料を得た。
【0089】
(実施例7)
[アクリル樹脂(d−3)の合成]
(a) 上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液 50部
(b) ジメチルエタノールアミン 4部
(c) イオン交換水 258部
(d) スチレン 80部
(e) エチルアクリレート 100部
(f) t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 6部
(g) n−ブタノール 2部
まず、(a)〜(c)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、撹拌溶解しながら80℃に保って、この中に、(d)〜(g)を混合溶解したものを、2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後も、さらに同温度で3時間撹拌し、固形分が40%なる、アクリル樹脂の水分散体を得た。
【0090】
実施例4のアクリル樹脂(D−1)をアクリル樹脂(d−3)に変えたこと以外は、実施例4と同様にして部分エステル化反応させ、対照用の水性分散体を得たのち、実施例4と同様にして塗料を得た。
【0091】
(実施例8)
[アクリル樹脂(D−2)の合成]
(a) ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 1部
(b) イオン交換水 420部
(c) ジメチルエタノールアミン 3部
(d) スチレン 4部
(e) エチルアクリレート 96部
(f) 過硫酸アンモニウム 1部
(g) t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 2部
まず、(a)〜(b)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、撹拌溶解しながら80℃に保って、この中に、(c)〜(e)を混合溶解したものの一部と(f)を添加し、30分間攪拌した。さらに(c)〜(e)の残りと(g)を、2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後も、さらに同温度で3時間撹拌し、固形分が40%なる、アクリル樹脂の水分散体を得た。実施例4のアクリル樹脂(D−1)をアクリル樹脂(D−2)変えたこと以外は、実施例4と同様にして部分エステル化反応させ、水分散体を得た後、実施例4と同様にして塗料を得た。
【0092】
(実施例9)
[アクリル変性エポキシ樹脂の合成と水分散化]
(a) ZX−1449−8 135部
(b) エピコート4010P 15部
(c) 上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液 66部
(d) n−ブタノール 225部
(e) ジメチルエタノールアミン 3部
(f) ジメチルエタノールアミン 5部
(g) イオン交換水 530部
まず、(a)〜(d)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、110℃で2時間撹拌することによって完全に溶解したのちに、85℃に冷却した。この溶液に、(e)を仕込んで120分撹拌し、固形分が40%なる、アクリル変性エポキシ樹脂の溶液を得ると同時に、(f)と(g)の一部を仕込んで、温度を下げエステル化反応を実質的に停止させた。さらに撹拌しながら、(g)の残りを30分かけて滴下し、転相乳化させ固形分が18%なるアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得た。酸価、エポキシ当量の測定から、120分間のエステル化反応ではエポキシ基の約54%が反応していた。
【0093】
更に、減圧下にて、n−ブタノールと水とを、共沸蒸留によって留去し、不揮発分が37%なる、溶剤を含まないアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得た。更に、以下の要領で(h)〜(k)を混合し、充分攪拌し、(l)を添加して塗料化を行い、25℃でのFC#4粘度が30秒になるようジメチルエタノールアミンで粘度を調整し、不揮発分が32%の塗料を得た。
[塗料化]
(h) 上記水性分散体 90部
(i) 7700LB 1部
(j) ブチルカルビトール 8部
(k) イオン交換水 5部
(l) 上記アクリル樹脂(D−2) 8部。
【0094】
(実施例10)
実施例4で用いたアクリル樹脂(D−1)の添加量を変えた以外は、実施例4と同様にして部分エステル化反応させ、対照用の水性分散体を得たのち、実施例4と同様にして塗料を得た。
【0095】
(比較例1)
実施例1で用いた芳香族系エポキシ樹脂(B−1)を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応させ、対照用の水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして塗料を得た。
【0096】
(比較例2)
実施例2で用いた芳香族系エポキシ樹脂(B)の代わりにエポキシ当量の大きい芳香族系エポキシ樹脂を使用した以外は、実施例2と同様にして部分エステル化反応させ、対照用の水性分散体を得たのち、実施例2と同様にして塗料を得た。ここで使用したエポキシ当量の大きい芳香族系エポキシ樹脂は油化シェルエポキシ株式会社製の数平均分子量7500,エポキシ当量7800のビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
【0097】
(比較例3)
実施例1で用いた芳香族系エポキシ樹脂(B−2)のみを使用した以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応させ、対照用の水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして塗料を得た。
【0098】
(比較例4)
実施例1で用いたカルボキシル基含有アクリル樹脂を以下に示す比率で同様に合成したものを使用した以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応させ、対照用の水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして塗料を得た。
[カルボキシル基含有アクリル樹脂(c−2)の合成]
(a) n−ブタノール 670部
(b) スチレン 110部
(c) エチルアクリレート 150部
(d) メタクリル酸 190部
(e) 過酸化ベンゾイル 10部
次に、実施例1〜11ならびに比較例1〜4で得られた、それぞれの塗料についての評価を下記の評価方法にて行なった。それらの結果をまとめて表3及び表4に示す。
【0099】
〔試験用塗装板の作成〕
厚さが0.26mmである5182材のアルミニウム板上に、乾燥塗膜の重量が120mg/dm2となるように、バーコーターを用いて、各実施例で得られた、それぞれの塗料を塗布し、オーブン通過時間が23秒でPMTが250℃となるオーブン条件にて焼き付けたのち、室温まで冷却して、試験用塗装板とした。
【0100】
〔密着性〕
試験用塗装板に形成された塗膜に、カッターで1×1mmの碁盤目を100個作成し、この試料片を125℃で30分間熱水処理した。その後碁盤目部分に、粘着テープを貼ったのち、粘着テープを急速に剥離し、塗膜の剥離状態を観察し、次に示すような4段階によって評価した。
◎………剥離が全くない
○………全体の1〜2%が剥離した
△………全体の3〜10%が剥離した
×………全体の11〜100%が剥離した。
【0101】
〔加工性〕
試験用塗装板を用い、プレス温度20℃で製蓋加工せしめた。加工後の塗膜の損傷の程度を調べるために、蓋の塗装面を対象として、エナメルレーター(通電試験機)を用い、1%食塩水の電解液を介して、電流値を測定し、次に示すような4段階によって評価した。
◎………電流値が0.1mA未満である
○………電流値が0.1mA以上〜0.5mA未満である
△………電流値が0.5mA以上〜5mA未満である
×………電流値が5mA以上である。
【0102】
〔KMnO4消費量〕
100ミリリットルの精製水中に、160cm2なる、上記試験用塗装版を浸漬し、125℃で0.5時間の熱水処理を行ったのちの、過マンガン酸カリウム消費量を測定し、次に示すような4段階によって評価した。
◎………消費量が3ppm未満である
○………消費量が3ppm以上〜5ppm未満である
△………消費量が5ppm以上〜10ppm未満である
×………消費量が10ppm以上である。
【0103】
〔開口性〕
加工性試験と同様にして製蓋加工せしめた蓋を100℃で10分間熱水処理した後、蓋のタブを引き上げ、開口した際の開口部内面塗膜の膜残り幅を、次に示すような4段階によって評価した。
◎………膜残り幅が0.2mm未満である
○………膜残り幅が0.2mm以上〜0.4mm未満である
△………膜残り幅が0.4mm以上〜0.6mm未満である
×………膜残り幅が0.6mm以上である
【0104】
〔2次的加工耐食性〕
試験液を低温で350mlの缶に充填後、上記製蓋加工した蓋を巻き締め、60℃に一度加温した後一ヶ月間37℃で保存する。その後20缶を開缶して蓋の内面側を観察して腐食の有無を、次に示すような4段階によって評価した。試験液は▲1▼腐食性が比較的弱い0.1%食塩水溶液。▲2▼腐食性が中程度である0.5%クエン酸+0.5%食塩水溶液。▲3▼腐食性が非常に強い5%クエン酸+5%リンゴ酸+5%食塩水溶液を用いた。
◎………全ての蓋に腐食が全く見られない
○………一部の蓋に小さな腐食が見られる場合がある
△………全ての蓋に小さな腐食が必ず見られる
×………全ての蓋に多くの腐食が見られる
【0105】
〔フレーバー試験〕
上記アルミ板に、乾燥塗膜の重量が120mg/dm2となるように、内外面共バーコーターを用いて塗料を塗布し、同条件で焼き付けし、試験用塗装板とした。500mlのガラスビンに表面積が500cm2の試験用塗装板とスポーツドリンクを低温で充填後、75℃に一度加温し、遮光して一ヶ月間37℃で保存した。比較対照用に塗装板を入れないブランクも用意した。スポーツドリンクのフレーバー保持性を次に示すような4段階によって評価した。
◎………比較対照と比べて差が見られない
○………比較対照と比べて僅かにフレーバーの劣化が見られる
△………比較対照と比べてフレーバーの劣化が見られる
×………比較対照と比べて著しくフレーバーの劣化が見られる。
【0106】
〔流動特性〕
塗料化した後キャリメッド社製のCSL−100レオメーターにてズリ速度が10〜1000の間の粘度を測定し、ハーシャルバークレーの流動特性に関する近似式に代入して擬塑性流動の指標となる係数Cを求め、次に示すような4段階によって評価した。このC値はFC#4で測定した粘度により影響を受けるため、コイル塗装時の最適FC粘度が一般的には30秒前後であることから、FC粘度が30秒(25℃)の時のC値を測定する必要がある。勿論ニュートン流動体ではこうした影響はないが、擬塑性流体の場合、FC粘度が高いとC値は低くなり、FC粘度が低いとC値が高くなる傾向があるため、FC粘度を固定して評価する必要がある。
◎………C値が0.75以上〜0.85未満である
○………C値が0.70以上〜0.75未満、または0.85以上〜0.90未満である
△………C値が0.65以上〜0.70未満、または0.90以上〜0.95未満である
×………C値が0.65未満、または0.95以上である
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
【発明の効果】
本発明の水性樹脂組成物は、特に、缶内面、又は缶蓋内面被覆用に用いた場合に、火災や公害の心配が小さく、一般的な安全衛生性、塗膜の密着性、熱水処理後の加工性が良好であり、加えて、2次的加工耐食性、開口性に優れ、かつ適切な塗料流動性を得ることが出来ることから、食品容器に用いる塗装剤として、著しく優れている。
Claims (10)
- 数平均分子量9,000以上、エポキシ当量9,000以下である芳香族系エポキシ樹脂(A)と、数平均分子量9,000未満、エポキシ当量5,000以下である芳香族系エポキシ樹脂(B)からなるエポキシ樹脂と、ガラス転移温度が100℃以上であるカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)とを部分エステル化反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂を塩基で中和して水性媒体中に分散させてなることを特徴とする缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- 前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)がビスフェノールA型またはビスフェノールB型エポキシ樹脂であって、前記した芳香族系エポキシ樹脂(B)がビスフェノールF型エポキシ樹脂である請求項1に記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- 前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)がビスフェノールA型またはビスフェノールB型エポキシ樹脂であって、前記した芳香族系エポキシ樹脂(B)がビスフェノールA型またはビスフェノールB型エポキシ樹脂である請求項1に記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- 前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)と前記した芳香族系エポキシ樹脂(B)の含有比率が95/5〜75/25である請求項1に記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- 前記したカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)の数平均分子量が2,000〜10,000である請求項1に記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- 前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)及び前記した芳香族系エポキシ樹脂(B)と前記したカルボキシル基含有アクリル樹脂(C)の不揮発分の質量比、(A)+(B)/(C)が80/20〜90/10の範囲である請求項1に記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- ガラス転移温度が0℃以下であって、前記したアクリル変性エポキシ樹脂と相溶性を有しないアクリル樹脂(D)の粒子を含有する請求項1〜6の何れかに記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- 前記したアクリル変性エポキシ樹脂と前記したアクリル樹脂(D)の粒子の含有比率が99/1〜80/20である請求項7に記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物。
- 金属材料表面に、請求項1〜8の何れかに記載の缶内面被覆用水性樹脂組成物の塗膜を硬化させてなる硬化塗膜を有することを特徴とする缶内面被覆用塗装金属材料。
- 前記した硬化塗膜が、平均粒径が0.1〜2.0μmであるアクリル樹脂(D)の粒子を分散した硬化塗膜である請求項9に記載の缶内面被覆用塗装金属材料。
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