JPH059431A - 金属被覆用水性樹脂組成物 - Google Patents

金属被覆用水性樹脂組成物

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JPH059431A
JPH059431A JP16293091A JP16293091A JPH059431A JP H059431 A JPH059431 A JP H059431A JP 16293091 A JP16293091 A JP 16293091A JP 16293091 A JP16293091 A JP 16293091A JP H059431 A JPH059431 A JP H059431A
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resin
epoxy resin
aqueous
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resin composition
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JP16293091A
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Hiroaki Shimada
博彰 島田
Naoto Saito
直人 斉藤
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】エポキシ当量が2,000〜8,000で、か
つ、数平均分子量が3,000〜20,000なるビス
フェノ−ルF型エポキシ樹脂から誘導される、カルボキ
シル基含有の自己乳化性エポキシ樹脂によって形成され
た外側部と、共役ジエン系樹脂によって形成された芯部
とを有する水分散型微粒子状樹脂を、必須の皮膜形成性
成分として含んで成る、金属被覆用水性樹脂組成物。 【効果】缶蓋用の塗装剤として用いた場合に、加工性に
優れるものである処から、補修の必要の無い、いわゆる
ノンリペア塗料となるばかりでなく、密着性ならびに開
口性にも優れた塗膜を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規にして有用なる金属
被覆用水性樹脂組成物に関する。さらに詳細には、カル
ボキシル基含有自己乳化性のビスフェノ−ルF型エポキ
シ樹脂という特定の樹脂によって形成された外側部と、
他方、共役ジエン系樹脂によって形成された芯部とを有
する水分散型微粒子状樹脂を、必須の皮膜形成性成分と
して、水性媒体中に分散せしめることから成る、とりわ
け、缶蓋内面用塗料として、加工性ならびに密着性など
に優れるし、しかも、加工後に補修を必要としない塗膜
を形成することが出来る水性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでにも、金属缶素材としては、ア
ルミニュウム、ブリキまたはティンフリースチールなど
の金属が用いられている。これらの金属は、その腐食を
防止するために、通常、缶の内外面には塗膜が形成され
ている。
【0003】缶内面用塗料としては、密着性および防食
性の面で優れている処から、通常、エポキシ/フェノー
ル樹脂系、エポキシ/アクリル樹脂系またはエポキシ/
アミノ樹脂系などの塗料が用いられている。
【0004】しかしながら、上掲の如き塗料は、いずれ
も、加工性が不充分であって、製缶加工工程において、
素地金属の露出が、屡々、起こる。そのために、製缶加
工後に金属露出部分の補修が行なわれるが、このような
補修は、製缶加工工程その自体を複雑にする処から、何
ら、補修を必要としないような、加工性の優れた塗料が
要望されている。
【0005】これらの要求を満たす塗料としては、塩化
ビニル樹脂系オルガノゾル塗料が開発されている。かか
るオルガノゾル塗料は、金属素材への密着性や、加工性
などに優れており、補修を必要としない塗料として有用
であるものの、有機溶剤を分散媒とするために、安全衛
生面での問題が多かった。
【0006】さらに、金属内面用塗料として用いた場合
には、特に加熱殺菌工程によって、こうしたオルガノゾ
ル塗料中に含まれる、可塑剤または安定化剤であるエポ
キシ化油成分が、内容物中に溶出する処から、食品衛生
上、好ましくなく、また、内容物の風味を変化させると
いう問題点を有しているばかりでなく、塗膜が白化した
り、イージーオープン蓋の開口性(缶蓋本体にある開口
用舌片を引張り、開口したさいに、開口部内面の塗膜の
残存の程度を示し、残存する塗膜が少ないほど、開口性
に優れている。)が、不良となるという問題点を有して
いた。
【0007】またさらに、最近、塩化ビニル樹脂に残留
する塩化ビニルモノマ−の発ガン性が指摘されたり、塩
化ビニル樹脂を塗装した缶を廃棄処理するさいに、塩化
ビニル樹脂から毒性や腐食性などの強い、塩素ガスと
か、塩化水素ガスなどが発生して、環境汚染や焼却装置
の腐食などを起こしたりするために、こうした塩化ビニ
ル樹脂の使用は、重大なる社会問題となって来ている。
【0008】そこで、塩化ビニル樹脂を用いたオルガノ
ゾル塗料に代わる、これらの問題点、就中、大気汚染、
作業環境の悪化、あるいは、火災や爆発などの危険性を
回避した塗料として、エポキシ樹脂をアクリル系樹脂で
変性せしめて、乳化力のあるセグメントを分子中に導入
した形の、いわゆる自己乳化性エポキシ樹脂を、水中に
分散させるという方法が、種々、提案されている。
【0009】たとえば、特開昭53−1228号公報に
は、エポキシ樹脂の存在下に、ベンゾイルパ−オキサイ
ドなどのフリ−ラジカル発生剤を用いて、カルボキシル
基含有ビニルモノマ−を含むモノマ−混合物を、重合せ
しめることによって得られる、グラフト化されたエポキ
シ樹脂を、塩基を含む水性媒体中に、安定に分散させる
という方法が開示されている。
【0010】特開昭55−75460号公報および特開
昭56−109243号公報には、アクリル系樹脂と、
比較的高分子量の芳香族エポキシ樹脂とを反応させた形
の、カルボキシル基過剰の部分反応物を、アンモニアも
しくはアミンの存在下で、水性媒体中に分散させるとい
う方法が開示されている。
【0011】特開昭55−3481号公報および特開昭
55−3482号公報には、カルボキシル基含有ビニル
ポリマ−を、アミン系エステル化触媒の存在下で、エポ
キシ樹脂とエステル化させて、エポキシ樹脂のオキシラ
ン基を、実質上、有しないカルボキシル基含有ビニルポ
リマ−変性エポキシ樹脂を、塩基で中和して水中に分散
させるという方法が開示されている。
【0012】特開昭57−105418号公報および特
開昭58−198513号公報には、芳香族エポキシ樹
脂と(メタ)アクリル酸を部分反応させて得られる、一
分子中にエポキシ基とアクリロイル基とを併せ有する低
分子化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸を含むモ
ノマ−混合物とを共重合させ、次いで、この共重合体を
塩基で中和して水中に分散させるという方法が開示され
ている。
【0013】しかしながら、これらのいずれの水性樹脂
組成物も、食品衛生面でこそ優れているものの、その反
面において、塗膜の密着性ならびに開口性などに劣る
し、しかも、加工性のも劣るというものであった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来型水
性樹脂組成物に従う限りは、安全衛生上の問題が小さ
く、かつ、塗膜の密着性、開口性ならにび加工性などに
優れたものを、見い出すことは出来ないのというが、実
状である。
【0015】そのために、本発明者らは、こうした安全
衛生上の問題が小さく、しかも、塗膜の密着性、開口性
ならにび加工性などに優れた、極めて有用なる金属被覆
用水性樹脂組成物を見い出すべく、鋭意、研究を開始し
た。
【0016】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、従来の塩化ビニル樹脂系オルガノゾル塗料と同等
の密着性ならびに加工性を有し、しかも、安全衛生性を
も有する金属被覆用水性樹脂組成物を得ること、さらに
は、食品、化粧品および医療品類などの容器として、就
中、加熱殺菌処理後においても、塗膜中に存在する水可
溶性樹脂成分の溶出量が極めて少なく、したがって、食
品衛生性、風味保持性ならびに開口性などに優れた、極
めて実用性の高い金属被覆用水性樹脂組成物を得ること
である。
【0017】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述した如き発明が解決しようとする課題に照準を合わ
せて、鋭意、検討を行った結果、ここに、分子中にカル
ボキシル基を有し、かつ、自己乳化性を有するビスフェ
ノ−ルF型エポキシ樹脂という特定の樹脂によって形成
された外側部と、他方、共役ジエン系樹脂によって形成
された芯部とを有する水分散型微粒子状樹脂を、必須の
皮膜形成性成分として、水性媒体中に分散せしめること
から成る、とりわけ、缶蓋内面用塗料として、加工性な
らびに密着性などに優れるし、しかも、加工後に補修を
必要としない塗膜を形成することが出来る水性樹脂組成
物を見い出すに及んで、本発明を完成させるに到った。
【0018】すなわち、本発明は必須の成分として、そ
れぞれ、分子中にカルボキシル基を有し、かつ、自己乳
化性を有する、ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂によっ
て形成された外側部と、共役ジエン系樹脂によって形成
された芯部とを有する水分散型微粒子状樹脂を、水性媒
体中に分散せしめることから成る、金属被覆用水性樹脂
組成物を提供しようとするものであり、就中、該微粒子
状樹脂が、3,000〜20,000なる数平均分子量
を有し、かつ、2,000〜8,000なるエポキシ当
量を有するビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂を用いて得
られる、特定のカルボキシル基含有自己乳化性エポキシ
樹脂によって形成された外側部と、共役ジエン系樹脂に
よって形成された芯部とを有する、水分散型樹脂である
ような金属被覆用水性樹脂組成物を提供しようとするも
のである。
【0019】ここにおいて、本発明で用いられる、上記
ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂は、特に、数平均分子
量が2,000以上8,000未満、より好ましくは、
3,000以上6,000未満であり、しかも、エポキ
シ当量が3,000以上20,000未満、より好まし
くは、4,000以上7,000未満のものである。
【0020】この数平均分子量はゲルパ−ミエ−ション
クロマトグラフィ−により測定し、ポリスチレン換算に
より求めたものである。エポキシ当量が20,000よ
りも大きいと、どうしても、硬化性が劣り、ひいては、
熱水処理後の塗膜が白化する現象が見られるようになる
し、一方、3,000よりも小さいと、どうしても、硬
化し過ぎて加工性が悪くなりやすいので、いずれの場合
も好ましくない。
【0021】他方、数平均分子量が20,000を超え
る場合には、加工性こそ良くなるものの、密着性が劣る
結果、開口性が不良となる。また、数平均分子量が3,
000未満である場合には、加工性が劣るようになる処
から、ノンリペアの缶蓋用の樹脂に使うことは、およ
そ、適当ではない。
【0022】このように、缶蓋用の樹脂としては、最適
なるエポキシ当量と分子量との範囲を有するビスフェノ
−ルF型エポキシ樹脂を用いる必要がある。本発明で用
いられる、こうしたビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂
は、ガラス転移温度(Tg)が低いために、硬化塗膜の
内部応力が小さく、密着性に優れるが、塗膜の軟化温度
を調節する目的で、ビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂を
併用してもよいことは、勿論である。
【0023】本発明において用いられる、当該カルボキ
シル基の含有自己乳化性エポキシ樹脂〔以下、(A)と
略記する。〕とは、分子中にカルボキシル基を有し、何
ら、乳化剤を用いなくとも、水性媒体中に乳化すること
が出来るものを指称する。
【0024】当該樹脂(A)は、上述した通り、カルボ
キシル基を含有し、自己乳化性を有していれば、どのよ
うなものでも用いることができるが、たとえば、次のよ
うな製造方法で調製されるような樹脂を、必要に応じ
て、塩基性化合物で中和したような形のものが挙げられ
る。
【0025】(1)ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂
〔以下、(a−1)と略記する。〕の存在下に、モノエ
チレン性不飽和カルボン酸を必須の単量体として含有す
る共重合性単量体の混合物を、重合開始剤の存在下に、
有機溶媒中で、共重合せしめるという方法; (2)ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂(a−1)と、
モノエチレン性不飽和カルボン酸を必須の単量体として
含有する共重合性単量体の混合物を、有機溶媒中で共重
合させることによって得られるカルボキシル基含有アク
リル系樹脂〔以下、(a−2)と略記する。〕とを、エ
ポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となるような反
応基濃度において、有機溶媒中で、エステル化反応せし
めるという方法;あるいは、 (3)(メタ)アクリロイル基を導入したビスフェノ−
ルF型エポキシ樹脂と、エチレン性不飽和カルボン酸化
合物とを必須の原料成分として含有する共重合性単量体
の混合物を、重合開始剤の存在下に、有機溶媒中で、共
重合せしめるという方法、などが挙げられる。
【0026】勿論、その他の方法によって得られるカル
ボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)もまた、
使用することができる。モノエチレン性不飽和カルボン
酸として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マ
レイン酸、フマル酸などである。
【0027】また、マレイン酸モノメチル、フマル酸モ
ノエチルまたはイタコン酸モノn−ブチルなどのよう
な、各種のモノエチレン性不飽和ジカルボン酸モノアル
キルエステル類を、このモノエチレン性不飽和カルボン
酸の代わりに用いてもよいことは、勿論である。
【0028】その他の共重合性単量体として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチ
ル、(メタ)アクリル酸オクタデシルの如き、各種の
(メタ)アクリル酸エステル類をはじめ;
【0029】スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロムスチレンの
如き、各種のモノエチレン性不飽和芳香族単量体類(芳
香族ビニル系単量体類);(メタ)アクリロニトリルの
如き、各種のモノエチレン性不飽和ニトリル類(シアノ
基含有ビニル系単量体類);酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニルの如き、各種のビニルエステル類;塩化ビニリデ
ン、臭化ビニリデンの如き、各種のビニリデンハライド
類;
【0030】アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アク
リル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−
ヒドロキシエチルの如き、各種のモノエチレン性不飽和
カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル類(水酸基含有
ビニル系単量体類);(メタ)アクリル酸グリシジルの
如き、各種のモノエチレン性不飽和カルボン酸グリシジ
ルエステル類;または(メタ)アクリルアミド、N−メ
チロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル
アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの如
き、各種の(メタ)アクリルアミド誘導体のような、各
種のラジカル重合可能なる化合物などである。
【0031】上記した(1)、(2)および(3)なる
種々の製造方法におけるモノエチレン性不飽和カルボン
酸の使用量としては、共重合性単量体の合計重量を10
0重量部としたとき、20〜80重量部とすることが好
ましい。
【0032】モノエチレン性不飽和カルボン酸の使用量
が20〜80重量部である場合には、水性媒体中におけ
る樹脂の分散安定性などが良くなる傾向にあるし、塗装
した塗膜の金属に対する密着性ならびに耐溶剤性および
缶内面用に使用した場合には、フレーバー適性などが、
いずれも良くなる傾向にあるので好ましい。
【0033】上記(1)、(2)および(3)なる製造
方法におけるビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂(a−
1)と、上記共重合性単量体の混合物またはカルボキシ
ル基含有アクリル系樹脂(a−2)との使用割合は、そ
れらの合計重量を100重量部としたとき、固形分重量
比で、50/50〜90/10なる範囲が好ましく、エ
ポキシ基に対してカルボキシル基が過剰となるような反
応基濃度の範囲が好ましい。
【0034】ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂(a−
1)の使用割合が50〜90重量部である場合には、塗
膜の金属に対する密着性に優れるし、しかも、得られる
当該樹脂(A)の分散安定性が向上する傾向にあるので
好ましい。
【0035】上記(3)なる方法における、ビスフェノ
−ルF型エポキシ樹脂(a−1)と無水(メタ)アクリ
ル酸との使用割合は、それらの合計重量を100重量部
としたとき、固形分重量比で、90/10〜99.95
/0.05なる範囲内が好ましい。
【0036】上記したような種々の反応で用いられる重
合開始剤は、特に限定されないが、それらのうちでも特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アゾビス
イソブチロニトリルやベンゾイルパーオキサイドなど
の、通常の重合開始剤が挙げられる。
【0037】これらの重合開始剤の使用量は、特に限定
されないが、共重合性単量体の合計重量に対して0.0
1〜20重量%となるような範囲内が好ましい。有機溶
媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、
tert−ブタノール、イソブタノール、メチルセロソ
ルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチル
セロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトー
ル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブア
セテートなどをはじめ、ジオキサン、ジメチルホルムア
ミド、ダイアセトンアルコールの如き、各種の親水性有
機溶媒類;酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレ
ンの如き、各種の親油性有機溶媒などである。
【0038】これらは単独使用でも2種以上の併用でも
よく、必要に応じて、さらに、水と前掲の有機溶媒とを
併用してもよいことは、勿論である。前記した(1)〜
(3)なる方法で得られる、当該樹脂(A)中のカルボ
キシル基の中和に使用できる塩基性化合物としては、通
常の、無機塩基および有機塩基が、いずれも使用でき
る。
【0039】まず、無機塩基として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが、次い
で、有機塩基として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、アンモニアをはじめ、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン
類:ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、
アミノメチプロパノールなどのアルコールアミン類;ま
たはモルホリンなどである。
【0040】また、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミンなどの多価アミンも使用できる。上記の如き塩基
性化合物としては、アンモニアや揮発性のアミン類が、
塗膜中に残留せず、しかも、耐水性を良くする傾向にあ
るので好ましい。
【0041】かかる塩基性化合物の使用量としては、当
該樹脂(A)の分散体のpHが5以上となるような量が
望ましい。特に、本発明で用いられる、当該カルボキシ
ル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)中のカルボキシ
ル基の少なくとも一部を、塩基性化合物で中和し、水性
媒体中に分散させたのち、この樹脂分散体を加熱するこ
とによって、微小なる粒子の中で、残存するエポキシ基
とカルボキシル基との反応を行なわせ、三次元網目構造
を有するミクロゲル粒子を得ることができる。
【0042】ただし、当該樹脂(A)の合成方法(2)
のときには、エポキシ基を残すように、部分エステル化
反応をさせることが必要である。このミクロゲル粒子を
得る反応は、当該樹脂(A)の合成に用いた溶媒を含有
する樹脂分散体の状態で行うこともできるし、あるい
は、溶媒を蒸留により留去したのちに行うこともでき
る。
【0043】さらに、この反応は、場合により、共役ジ
エン化合物を、重合中において、あるいは、重合したの
ちに、加熱処理せしめることによっても行うことがで
き、かかるミクロゲル粒子は、上記した種々の方法によ
って得られるものである。
【0044】このミクロゲル粒子を得る反応は、通常、
50〜95℃で、0.5〜100時間のあいだ行なわれ
る。このようにして、ミクロゲル粒子化された当該自己
乳化性エポキシ樹脂(A)は、特に、高温で短時間の、
あるいは、低温での焼付けが行なわれる場合の硬化不足
に対して、良好なる改良効果を発揮する。
【0045】つまり、加工性、密着性はもちろんのこと
衛生性の面でも水抽出分を少なくし、水フレーバー性を
良くする利点を持つ。当該カルボキシル基含有自己乳化
性エポキシ樹脂(A)は、テトラヒドロフランの如き、
各種のエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシドの如き、各種の非プロトン性極性溶媒などに
可溶性の、いわゆる非ゲル状のものであるが、水分散化
したのち、加熱処理することによって、溶媒に不溶性
の、三次元網目構造のミクロゲル体となる。
【0046】この反応の反応率の測定は、反応生成物が
ミクロゲル体となり、溶媒に対して不溶性となる処か
ら、エポキシ基の残存量を追跡する方法では、およそ、
不可能であるが、便宜的には、水性媒体が濁った状態で
の酸価を追跡することによって反応率を推定することが
できる。
【0047】こうした方法によれば、ほぼ、反応系に残
存するエポキシ基に相当するカルボキシル基の消費が認
められし、その後の酸価は一定になる。アミン類を含む
水中での反応であるにもかかわらず、エポキシ基はカル
ボキシル基と反応することによって、実質的に、完全に
消費される。
【0048】当該カルボキシル基含有自己乳化性エポキ
シ樹脂(A)によって形成された外側部と、共役ジエン
系樹脂によって形成された芯部とを有する水分散型微粒
子状樹脂を水性媒体中に形成させるには、当該カルボキ
シル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)中に含まれる
カルボキシル基の少なくとも一部を、塩基性化合物で中
和して分散せしめた水性分散体中で、共役ジエン化合物
〔以下、これを(b−1)と略記する。〕を必須単量体
として用い、必要に応じて、その他のエチレン性不飽和
単量体〔以下、(b−2)と略記する。〕をも用いて、
重合開始剤の存在下に、40〜95℃、好ましくは、5
0〜70℃なる温度で、1〜24時間のあいだ乳化重合
を行なえばよい。
【0049】なお、本発明においては、元々、カルボキ
シル基含有の自己乳化性エポキシ樹脂(A)を用ている
処から、別段、乳化剤の使用は必要でないけれども、必
要に応じて、用いてことを、一向に、妨げるものではな
い。
【0050】また、乳化重合に用いられる、他の種々の
添加剤として、たとえば、連鎖移動剤を、重合安定化を
目的としてエチレンジアミン四酢酸を、あるいは、pH
調整のための各種の塩基性化合物を、必要に応じて、使
用することは、何ら、差し支えがない。
【0051】さらに、乳化重合を終了したのちに、水分
散液を濃縮せしめたり、未反応の単量体類とか、有機溶
剤類を除去することは、何ら、差し支えがない。カルボ
キシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)と、共役ジ
エン化合物(b−1)との、または、該化合物(b−
1)および必要に応じて用いられる他の共重合可能なる
エチレン性不飽和単量体(b−2)との反応割合は、
(A)と、(b−1)と(b−2)との合計重量を10
0重量部とするとき、固形分重量比で、〔(A)/(b
−1)+(b−2)〕=98/2〜71/29なる範囲
内が望ましい。
【0052】カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹
脂(A)の使用割合が、(A)と(b−1)との合計重
量を100重量部としたとき、または(A)と(b−
1)と(b−2)との合計重量を100重量部としたと
き、98〜71重量部である場合には、得られる水性樹
脂組成物の塗膜は、密着性ならびに耐食性などに優れた
ものとなるので好ましい。
【0053】共役ジエン化合物(b−1)の使用量は、
該化合物(b−1)の重量を、または該(b−1)とエ
チレン性不飽和単量体(b−2)との合計重量を100
重量部としたとき、10重量部以上となるような量が好
ましく、特に、20〜80重量部なる範囲内が好まし
い。
【0054】この共役ジエン化合物(b−1)は、本発
明の水性樹脂組成物を内部可塑化し、ひいては、塗膜の
加工性を著しく向上させるものである。当該共役ジエン
化合物(b−1)の使用量が上記範囲内である場合に
は、非常に密着性ならびに加工性などに優れた塗膜が得
られるというほかに、缶用塗料に必要なる耐レトルト性
などにも優れた塗膜を得ることができる。
【0055】本発明において用いられる、当該共役ジエ
ン化合物(b−1)として特に代表的なもののみを例示
するにとどめれば、ブタジエン−1,3、2−メチルブ
タジエン−1,3、2−クロルブタジエン−1,3また
はペンタジエン−1,3などである。
【0056】また、当該共役ジエン化合物(b−1)と
共重合可能なる他のエチレン性不飽和単量体(b−2)
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)
アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル
の如き、各種の(メタ)アクリル酸エステル類;
【0057】スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロムスチレンの
如き、各種のモノエチレン性不飽和芳香族単量体類(芳
香族ビニル系単量体類);(メタ)アクリロニトリルの
如き、各種のモノエチレン性不飽和ニトリル類(シアノ
基含有ビニル系単量体類);
【0058】(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸の如き、各種のモノエチレ
ン性不飽和カルボン酸類;無水マレイン酸の如き、各種
のモノエチレン性不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸
モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノn−
ブチルの如き、各種のモノエチレン性不飽和ジカルボン
酸モノアルキルエステル類;
【0059】酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如き、
各種のビニルエステル類;塩化ビニリデン、臭化ビニリ
デンの如き、各種のビニリデンハライド類;アクリル酸
−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシ
プロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルの如
き、各種のモノエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシ
アルキルエステル類(水酸基含有ビニル系単量体類);
【0060】(メタ)アクリル酸グリシジルの如き、各
種のモノエチレン性不飽和カルボン酸グリシジルエステ
ル類(グリシジル基含有ビニル単量体類);(メタ)ア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンア
クリルアミドの如き、各種の(メタ)アクリルアミド誘
導体などの、種々のラジカル重合可能な化合物である。
【0061】これらの単量体は、共役ジエン化合物(b
−1)と共に、水性樹脂組成物を内部可塑化したり、あ
るいは、皮膜に適度なる硬さを与えたり、密着性を向上
せしめるために、さらには、水性樹脂組成物の機械的安
定性や凍結安定性などの向上を目的として使用される。
【0062】フリーラジカル発生触媒として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム、過酸化水素水の如き、各種の水性
触媒類、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ク
メンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイ
ドの如き、各種の油性触媒のいずれも使用できるが、硫
酸根を含まない触媒を用いると、得られる樹脂の塗膜
は、耐水性ならびに白化性などに優れたものとなるの
で、特に好ましい。
【0063】かかるフリーラジカル発生触媒の使用量と
しては、共役ジエン化合物(b−1)の重量を、または
該(b−1)と他のエチレン性不飽和単量体(b−2)
との合計重量を基準として0.01〜20重量%となる
ような範囲内が好ましい。
【0064】かくして得られる水分散型微粒子状樹脂の
含有率は、水性媒体中に10〜40重量%とすることが
好ましく、当該微粒子状樹脂の粒径は、0.01〜0.
5ミクロン(μm)とすることが好ましい。
【0065】また、当該微粒子状樹脂の外側部と芯部と
の重量比は、71:29〜98:2とすることが好まし
い。本発明において前記した水性媒体とは、少なくとも
10重量%以上が水であるような媒体、つまり、水単独
もしくは親水性有機溶剤との混合物を意味する。
【0066】本発明で用いることができる親水性有機溶
剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、
tert−ブタノール、イソブタノールの如き、各種の
アルキルアルコール類;
【0067】メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プ
ロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソ
ルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチ
ルカルビトールの如き、各種のグリコールエーテル類;
またはメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ
アセテートの如き、各種のグリコールエーテルエステル
類などをはじめ、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、
テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンまたはダイア
セトンアルコールなどである。
【0068】親油性有機溶剤を、必要に応じて、併用す
ることは、何ら、差し支えがない。本発明の金属被覆用
水性樹脂組成物から、該組成物中に含有される有機溶剤
を減らす必要のある場合には、カルボキシル基含有自己
乳化性エポキシ樹脂(A)を調製するさいに、沸点が低
く、しかも、水と共沸するような有機溶剤、たとえば、
アセトン、メチルエチルケトン、n−ブタノール、ブチ
ルセロソルブなどを、水と併用して水性媒体中に分散さ
せたのち、常圧ないしは減圧にて蒸留すればよく、それ
によって、安定的に、有機溶剤の含有率の低い目的水性
樹脂組成物を、容易に、得ることができる。
【0069】本発明の金属被覆用水性樹脂組成物には、
必要に応じて、塗膜の密着性や開口性などを高めるため
に、硬化剤として、フェノ−ル樹脂を添加してもよい。
かかるフェノール樹脂として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、ビスフェノールAまたはビスフェ
ノールFの如き、各種の4官能のフェノール化合物;石
炭酸、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、
m−メトキシフェノールの如き、各種の3官能のフェノ
ール化合物;
【0070】あるいはp−クレゾール、o−クレゾー
ル、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェ
ノール、 2,3−キシレノール、m−メトキシフェノ
ールの如き、各種の2官能のフェノール化合物と、ホル
ムアルデヒドとを、アルカリ触媒の存在下で、合成せし
めたものなどである。
【0071】また、かかるフェノール樹脂中に含有され
るメチロール基の一部もしくは全部を、炭素数が1〜1
2なるアルコール類によってエーテル化したものを使用
することもできる。
【0072】当該フェノ−ル樹脂は、塗膜の密着性や開
口性などを高めるために、樹脂固型分中に、0〜20重
量%、好ましくは、1〜5重量%となるように添加して
用いられる。
【0073】本発明組成物には、必要に応じて、塗装性
を改良するための各種の溶剤類、界面活性剤類または消
泡剤類を加えることも可能である。また、本発明の水性
樹脂組成物に、加工時における塗膜の傷付きを防ぐ目的
で、ワックスの如き、各種の滑剤類を添加することも可
能である。
【0074】かくして得られる、本発明の金属被覆用水
性樹脂組成物は、アルミニューム、錫メッキ鋼板、前処
理した金属またはスチールなどの被覆用として有用であ
るが、木材などの被覆剤として用いてもよいことは、勿
論である。
【0075】最も好ましい用途は、飲食物などに用いる
金属容器の内面塗装に使用することであり、こうした用
途に用いられることによって、得られる塗膜には耐水性
があるし、塗膜から缶内容物への低分子化合物の溶出も
なく、加えて、非常に塗膜の不浸透性が高い処から、缶
内部に貯蔵する飲食物の天然の味または香りを変質させ
ることがないし、しかも、加工性ならびに開口性などに
優れている。
【0076】さらに、本発明の水性樹脂組成物は、高温
短時間の焼付け条件においても発泡することがなく、厚
膜塗装が可能であると共に、加工性ならびに耐食性など
が良好である処から、溶接缶の溶接部補正塗料としても
有用である。
【0077】本発明の金属被覆用水性樹脂組成物の塗装
方法としては、エアースプレー、エアレススプレーまた
は静電スプレーなどの、いわゆるスプレー塗装が好まし
いが、浸漬塗装、ロールコーター塗装または電着塗装な
ども可能である。
【0078】また、焼付け条件としては、120〜28
0℃で、10秒間より30分間なる範囲内が好ましい。
本発明の水性樹脂組成物は、用途に応じて、さらに、適
当なる防錆剤、顔料または充填剤などを配合して、それ
ぞれ、防錆プライマー、印刷インキまたは防食防錆塗料
などとして、使用することもできる。
【0079】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例により、
一層、具体的に説明する。特に断りのない限り、「部」
および「%」は、いずれも、重量基準であるものとす
る。
【0080】実施例 1 [カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)の調製例] (1−1) n−ブタノール 120部 (1−2) ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂 150部 (1−3) メタクリル酸 25部 (1−4) スチレン 10部 (1−5) エチルアクリレート 2部 (1−6) 過酸化ベンゾイル(BPO) 3部 (1−7) n−ブタノール 10部 窒素ガス置換した4つ口フラスコに、(1)と(2)と
を仕込み、加熱溶解した。この溶液に、(3)〜(7)
なる各原料を均一に混合したものを、フラスコ内を11
0℃に保ちながら、攪拌しつつ、2時間かけて徐々に滴
下した。
【0081】滴下終了後も、さらに、同温度で4時間の
あいだ攪拌し、固形分が58%なるカルボキシル基含有
自己乳化性エポキシ樹脂の溶液を得た。ここで用いたビ
スフェノ−ルF型エポキシ樹脂は、数平均分子量が6,
850で、エポキシ当量が5,700で、かつ、分子量
の分布を示す、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比(Mw/Mn)が4.5であった。
【0082】 [カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)の水分散化] (1−8) 上記カルボキシル基含有自己乳化性 エポキシ樹脂(A)の溶液 100部 (1−9) ジメチルエタノールアミン 4部 (1−10)イオン交換水 260部 窒素ガスを封入した4つ口フラスコに、(8)を仕込
み、これを100℃まで加熱し、(9)と(10)との
混合液を、攪拌しながら、10分かけて滴下し、カルボ
キシル基を有し、かつ、自己乳化性を有するエポキシ樹
脂の水性分散体を得た。さらに、減圧下にて、n−ブタ
ノールと水を、共沸蒸留により、130部留去せしめ
て、不揮発分が25%なる、溶剤を含まないカルボキシ
ル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)の水性分散体を
得た。
【0083】 [カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)の水性媒体中での、共役 ジエン化合物とモノエチレン性不飽和単量体との乳化重合] (1−11)上記水性分散体 100部 (1−12)ブタジエン 4部 (1−13)スチレン 3部 (1−14)BPO 0.35部 (11)〜(14)を、窒素ガス置換した攪拌装置付き
のオ−トクレ−ブに仕込み、攪拌しながら、この混合物
を50℃に加熱し、内圧が0Kg/cm2 になるまで攪
拌を続けた処、固型分が29.8%なる目的とする水性
樹脂組成物が得られた。
【0084】この水性樹脂組成物は、20日後において
も、同じ状態を保持していて、粘度の変化が認められな
かった。 [塗料化] (1−15)上記水性樹脂組成物 100部 (1−16)フェノール樹脂 0.6部 (1−17)ヘキシルセロソルブ 6部 (15)〜(17)を混合し、充分、攪拌することによ
って塗料を得た。
【0085】ここで用いたフェノール樹脂は、「EP−
560」(米国モンサント社製のレゾール型フェノール
樹脂;不揮発分=72%)で、部分的にブチルエーテル
化されているものである。
【0086】実施例 2 実施例1で用いたビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂の代
わりに、数平均分子量が5,600で、エポキシ当量が
4,900で、かつ、Mw/Mnが4.8なるビスフェ
ノ−ルF型エポキシ樹脂を用いるように変更した以外
は、全く同様にして、水性分散体(B)を得た。
【0087】以後も、実施例1と同様にして、第1表に
示すような割合にて、共役ジエン化合物とモノエチレン
性不飽和単量体とを乳化重合させて、目的とする水性樹
脂組成物を得、次いで、同様にして塗料化した。
【0088】実施例 3 [カルボキシル基含有アクリル樹脂(a−2)の調製例] (3−1) n−ブタノール 670部 (3−2) スチレン 180部 (3−3) エチルアクリレート 45部 (3−4) メタクリル酸 225部 (3−5) BPO 3部 窒素ガス置換した4つ口フラスコに、(1)を仕込み、
攪拌溶解しながら100℃に保って、この中に、(2)
〜(5)を混合し溶解させたものを、2時間かけて、徐
々に滴下した。滴下終了後も、さらに、同温度で3時間
攪拌し、固形分が40%なる、目的カルボキシル基含有
アクリル樹脂(a−2)の溶液を得た。
【0089】 [カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂(A)の調製例] (3−6)ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂 150部 (3−7)上記カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液 238部 (3−8)n−ブタノール 250部 (3−9)ジメチルエタノールアミン 20部 (6)〜(8)を、窒素ガス置換した4つ口フラスコに
仕込み、100℃で2時間のあいだ攪拌することによっ
て、完全に溶解させたのち、80℃に冷却した。
【0090】次いで、この溶液に(9)を仕込んで、1
時間、攪拌することによって、固形分が48%なる、分
子中にカルボキシル基を有し、かつ、自己乳化性を有す
るエポキシ樹脂(A)の溶液を得た。
【0091】この時点で、エポキシ基は56%反応し、
非ゲル状の樹脂反応物の酸価は固型分換算で121であ
った。ここで用いたビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂は
実施例1で用いたものと同一のものである。
【0092】 [カルボキシル基含有自己乳化性エポキシ樹脂の水分散化] (3−10)上記カルボキシル基含有自己乳化性 エポキシ樹脂溶液 100部 (3−11)イオン交換水 194部 窒素ガスを封入した4つ口フラスコに、(10)を仕込
み、これを50℃まで加熱し、攪拌しながら、(11)
を30分かけて滴下し、固形分が16.3%なる、カル
ボキシル基を有し、かつ、自己乳化性を有するエポキシ
樹脂(A)の水性分散体を得た。
【0093】さらに、減圧下にて、n−ブタノールと水
を共沸蒸留により留去し、不揮発分が25%なる、溶剤
を含まない形の、カルボキシル基含有自己乳化性エポキ
シ樹脂(A)の水性分散体を得た。
【0094】以後も、実施例1と同様にして、第1表に
示すような割合にて、共役ジエン化合物とモノエチレン
性不飽和単量体とを乳化重合させて、水性樹脂組成物を
得、次いで、同様にして塗料化した。
【0095】実施例 4 実施例1で得られた、カルボキシル基含有自己乳化性エ
ポキシ樹脂の水性分散体を、80℃に保って攪拌を続け
た処、5時間後には、テトラヒドロフランに不溶性のミ
クロゲル体が生成し、水性媒体が濁った状態での酸価を
測定した処では、87.5であることが確認された。そ
の後も、ミクロゲル体は増加し、その逆に、酸価は低下
して、10時間以降の酸価は、85.5で一定となっ
た。15時間保持後冷却しミクロゲル体を含有する水性
樹脂分散体(D)を得た。
【0096】その後は、実施例1と同様にして、第1表
に示すような割合にて、共役ジエン化合物とモノエチレ
ン性不飽和単量体との乳化重合を行って、水性樹脂組成
物を得、次いで、同様にして塗料化した。
【0097】実施例 5 実施例3で得られた、自己乳化性エポキシ樹脂の水性分
散体を、80℃に保って攪拌を続けることより、ミクロ
ゲル体を含有する水性樹脂分散体を得た。
【0098】その後は、実施例1と同様にして、第1表
に示すような割合にて、共役ジエン化合物とモノエチレ
ン性不飽和単量体との乳化重合を行って、水性樹脂組成
物を得、次いで、同様にして塗料化した。
【0099】比較例 1 ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂の代わりに、数平均分
子量が6,500で、エポキシ当量が5,250で、か
つ、Mw/Mnが3.1なる、ビスフェノ−ルA型エポ
キシ樹脂を用いるように変更した以外は、実施例1と全
く同様にして、対照用の水性分散体を得た。
【0100】その後も、実施例1と同様にして、第1表
に示すような割合にて、共役ジエン化合物とモノエチレ
ン性不飽和単量体との乳化重合を行って、対照用の水性
樹脂組成物を得た、次いで、同様にして塗料化した。
【0101】比較例 2 実施例3で用いたビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂の代
わりに、数平均分子量が5,200で、エポキシ当量が
4,000で、かつ、Mw/Mnが2.8なる、ビスフ
ェノ−ルA型エポキシ樹脂を用いように変更した以外
は、実施例1と全く同様にして、対照用の水性分散体を
得た。
【0102】その後も、実施例1と同様にして、第1表
に示すような割合にて、共役ジエン化合物とモノエチレ
ン性不飽和単量体との乳化重合を行って、対照用の水性
樹脂組成物を得、次いで、同様にして塗料化した。
【0103】次に、実施例1〜5ならびに比較例1およ
び2で得られた、それぞれの塗料について、諸性能の評
価を行った。なお、性能の評価は、下記の要領により行
ったものである。それらの結果は、まとめて、第1表に
示す。
【0104】〔試験用塗装板の作成〕厚さが0.32m
mなるアルミニウム板上に、乾燥塗膜の重量が120m
g/dm2 となるように、バーコーターを用いて、各実
施例ならびに比較例で得られた、それぞれの塗料を塗布
し、260℃のオーブン中で、20秒間の焼き付けを行
ったのち、室温まで冷却し、試験用塗装板とした。
【0105】〔密着性〕試験用塗装板を、熱水中で、1
00℃で30分間の処理を行い、次いで、かくして形成
された塗膜に、カッターで、1×1mmの碁盤目を10
0個作り、その部分に粘着テープを貼ったのち、この粘
着テープを急速に剥離し、塗膜の剥離状態を目視により
観察して、次に示すような3段階にて、評価を行った。
【0106】○−−−剥離が全く認められない △−−−全体の1〜30%が剥離した ×−−−全体の31〜100%が剥離した
【0107】〔加工性〕試験用塗装板を、プレス温度が
20℃で、塗装板温度が20℃となるような条件で製蓋
加工した。加工後における塗膜の損傷の程度を調べるた
めに、蓋の塗装面を対象として、エナメルレーター(通
電試験機)を用い、蓋の上部に1%食塩水を満たし、蓋
体を陽極として、食塩水中に陰極を挿入して電流値を測
定し、次に示すような3段階にて、評価を行った。
【0108】○−−−電流値が0.2mA未満である △−−−電流値が0.2〜2mAである ×−−−電流値が2mA以上である
【0109】〔開口性〕加工性試験の場合と同様にして
製蓋加工し、熱水中で、100℃で30分間の処理を行
い、次いで、蓋の開口用舌片を引っ張り、開口したさい
の、この開口部内面における塗膜の残存度を、次に示す
ような3段階にて、評価を行った。
【0110】○−−−全く、塗膜が残存していない △−−−僅かに、塗膜が残っている ×−−−かなり、塗膜が残っている
【0111】〔溶出試験〕100mlの精製水中に、1
60cm2 の上記試験用塗装版を浸漬し、100℃で1
時間に及ぶ煮沸処理後の、精製水の過マンガン酸カリウ
ム消費量を測定して、次に示すような3段階にて、評価
を行った。
【0112】○−−−消費量が5ppm以下である △−−−消費量が5ppmを超えるが、10ppm以下
である ×−−−消費量が10ppmを超える
【0113】〔フレーバー性(味覚試験)〕直径が5m
mなる硬質ガラス棒を、各実施例ならびに比較例で得ら
れた、それぞれの塗料中に浸し、引き上げて自然滴下が
無くなってから、260℃のオーブン中で、20秒間の
焼き付けを行った。次いで、これを取り出して冷却した
のち、その塗膜表面の100cm2 当たり、100ml
となるような割合の精製水に浸し、密栓状態に保って、
30分間のあいだ煮沸させてから、20℃まで冷却し
た。
【0114】対照用として、同様のガラス棒を用い、塗
料に浸すことなく、260℃のオーブン中で、20秒間
の焼き付けを行うように変更した以外は、全く同様に処
理して、対照用水を調製し、これに対する上記試験水の
臭いと味とを比較して、次に示すような3段階にて、評
価を行った。
【0115】○−−−臭いと味に、実質的に、差異が認
められない △−−−臭いと味に、疑わしい差異が認められる ×−−−臭いと味に、明らかに、差異が認められる
【0116】
【表1】
【0117】
【発明の効果】本発明の金属被覆用水性樹脂組成物は、
とりわけ、(1) 火災や公害などの心配が小さく、安
全衛生性に優れるし、(2) 塗膜の密着性にも優れる
し、(3) 加工性が、著しく良好であるし、しかも、
缶内面用塗料として用いたさいには、(4) 塗膜から
の水抽出物が非常に少ない処から、食品衛生性にも優れ
ているし、(5) 開口性もまた、著しく優れている。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】ここにおいて、本発明で用いられる、上記
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、特に、数平
均分子量が3,000以上20,000未満、より好ま
しくは、4,000以上7,000未満なる範囲内のも
のが適切であり、エポキシ当量が2,000以上8,0
00未満、より好ましくは、3,000以上6,000
未満なる範囲内のものが適切である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】なお、本発明においては、元々、カルボキ
シル基含有の自己乳化性エポキシ樹脂(A)を用いてい
る処から、別段、乳化剤の使用は必要でこそ無いけれど
も、必要に応じて、用いることは、一向に、妨げるもの
ではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08G 59/14 NHB 8416−4J

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子中にカルボキシル基を有し、かつ、自
    己乳化性を有する、ビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂に
    よって形成された外側部と、共役ジエン系樹脂によって
    形成された芯部とを有する水分散型微粒子状樹脂を、必
    須の皮膜形成性成分として、水性媒体中に分散せしめる
    ことを特徴とする、金属被覆用水性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記したビスフェノ−ルF型エポキシ樹脂
    が、3,000〜20,000なる数平均分子量を有
    し、かつ、2,000〜8,000なるエポキシ当量を
    有するものである、請求項1に記載の金属被覆用水性樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】前記した分子中にカルボキシル基を有し、
    かつ、自己乳化性を有する、ビスフェノ−ルF型エポキ
    シ樹脂が、アクリル変性のエポキシ樹脂である、請求項
    1または2に記載の金属被覆用水性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記した分子中にカルボキシル基を有し、
    かつ、自己乳化性を有する、ビスフェノ−ルF型エポキ
    シ樹脂によって形成された外側部と、共役ジエン系樹脂
    によって形成された芯部とを有する水分散型微粒子状樹
    脂のほかに、さらに、フェノ−ル樹脂をも含有するもの
    である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の金属被覆
    用水性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】缶の蓋内面用である、請求項1〜4に記載
    の金属被覆用水性樹脂組成物。
JP16293091A 1991-07-03 1991-07-03 金属被覆用水性樹脂組成物 Pending JPH059431A (ja)

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