JP3051481B2 - 塗料組成物の水分散体の製造方法 - Google Patents

塗料組成物の水分散体の製造方法

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JP3051481B2
JP3051481B2 JP3059211A JP5921191A JP3051481B2 JP 3051481 B2 JP3051481 B2 JP 3051481B2 JP 3059211 A JP3059211 A JP 3059211A JP 5921191 A JP5921191 A JP 5921191A JP 3051481 B2 JP3051481 B2 JP 3051481B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオール樹脂系の塗
料組成物の水分散体の製造方法に関し、更に詳しくは金
属用の塗料組成物として、特に缶内面塗装用塗料として
優れた塗膜を形成する塗料組成物の水分散体の製造方法
に関する。
【0002】
【背景技術とその問題点】溶剤型塗料での有機溶剤の使
用は、省資源、省エネルギー、環境保全の点から、従来
より使用を規制する方向にあり、さらには、水系の溶剤
を用いる塗料への移行が望まれている。
【0003】特に、金属表面を塗装する缶用塗料や防食
塗料の場合、水系の溶剤を用いる塗料への移行は、エポ
キシ樹脂系塗料を中心に検討され、エポキシ樹脂の水溶
性化に関して種々の方法が提案されている。
【0004】例えば、特開昭53−1228号公報及び
特開昭53−1285号公報には、エポキシ樹脂の存在
下で、ベンゾイルパーオキサイド等のラジカル開始剤を
用い、カルボキシル基含有モノマーを含むアクリル系モ
ノマーを重合し、エポキシ樹脂の脂肪族部位よりグラフ
ト化を行い、得られたポリマーを、アンモニア、アミン
等の塩基性化合物を用いて水中に分散させる方法が開示
されている。
【0005】しかしながら上記方法によれば、安定性の
高いエマルジョンを得るためにグラフト率を高める必要
があり、製造時に、高価で爆発の危険性の高いベンソイ
ルパーオキサイド等のラジカル開始剤を、大量に使用し
なければならないとう欠点があった。
【0006】この解決方法として特開昭55−3481
号公報、および特開昭55−3482号公報には、カル
ボキシル基含有ビニルポリマーを、アミン系エステル化
触媒の存在下で、エポキシ樹脂のエポキシ基とエステル
化を行い、実質上、エポキシ基を有しないカルボキシル
基含有ビニルポリマー変性エポキシ樹脂を得て、これを
塩基で中和して水中に分散させる方法が開示されてい
る。
【0007】しかしながら、上記方法によれば、エポキ
シ樹脂のエポキシ基を実質的に完全に消費するまで反応
させたものであるので、樹脂の高分子量化ないしは、高
架橋化が避けられない。特に、缶用塗料は塗膜の硬度と
ともに加工に耐え得る可とう性が必要とされるが、高分
子量化ないしは高架橋化した樹脂塗料は、可とう性が劣
り、塗膜の加工性に問題がある。
【0008】また、これらの組成物を缶内面用塗料に使
用する場合、主成分のエポキシ樹脂やアクリル系樹脂に
起因する低分子量化合物が缶内容物に溶出し、食品衛生
面における問題点を有していた。さらには、このような
低分子量化合物の溶出を防止するためには、塗膜の完全
硬化が必要であり、そのため、高温で焼付を行う必要が
あり、焼付に多量のエネルギーを要し、焼付スピードも
遅くなることが問題であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金属
塗料用の塗料組成物の水分散体であって、経時安定性に
優れ、塗膜を低温で硬化させることができ、得られる硬
化塗膜が金属素地との密着性に優れ、しかも加工性に優
れる塗料組成物の水分散体の製造方法を提供しようとす
る。
【0010】すなわち本発明は、350〜40000の
数平均分子量および1分子中に、エポキシ基を平均0〜
0.4個、1級水酸基を平均0.01〜1.0個有する
芳香族系ポリオール樹脂(ただし、2、2−ビス{p−
(3−ブトキシ−2−グリシジルオキシプロピルオキ
シ)フェニル}プロパン、必要に応じて該成分以外のポ
リグリシジル化合物、及び多価フェノールを反応させる
ことにより得られる分子量1500〜29000の範囲
内にありかつエポキシ価が0.0006以上であるアド
バンスエポキシ樹脂を除く)(A)の1級水酸基と、カ
ルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)のカルボキシル
基をエステル化反応させて、反応生成物(C)を得、該
反応生成物(C)の中のカルボキシル基の少くとも一部
を塩基性化合物で中和して、水中に微分散させる塗料組
成物の水分散体の製造方法を提供する。
【0011】ここで、前記カルボキシル基含有アクリル
系樹脂(B)が、300〜60000の数平均分子量、
少なくとも25重量%のカルボン酸単位および25〜4
50の酸価を有するものである塗料組成物の水分散体の
製造方法が好ましい。
【0012】また、エステル化反応が、溶剤中で、触媒
の存在下あるいは不存在下で、前記芳香族系ポリオール
樹脂(A)とカルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)
とを100℃〜200℃で反応させる塗料組成物の水分
散体の製造方法が好ましい。
【0013】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
法に用いる成分(A)は、芳香族系エポキシ樹脂を末端
封止剤で変性して得られる。
【0014】原料となる芳香族系エポキシ樹脂は、樹脂
骨格に芳香環を有するものであれば特に限定されない
が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
AD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
およびノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。
【0015】これらの原料となる芳香族系エポキシ樹脂
は、通常、1分子中に平均1.1〜2.0個のエポキシ
基を有し、数平均分子量が、700以上、好ましくは、
1400以上である。
【0016】用いる末端封止剤は、芳香族系エポキシ樹
脂の末端のエポキシ基を封止するもので、フェノール
類、カルボン酸類、第1級アミン類、第2級アミン類、
メルカプタン類、アルコール類および水等がある。
【0017】これらの末端封止剤は、反応性の水素原子
を有するものであるが、これらに限定されるものではな
く、アルキルハライド、グリニャール試薬、アルキルリ
チウム等の求核試剤などの反応性の水素原子のない封止
剤も容易に利用できる。
【0018】例えば、フェノール類は、ビスフェノール
A、アルキルモノフェノール、レゾルシノール等が挙げ
られる。
【0019】カルボン酸類は、モノカルボン酸化合物と
して、安息香酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、ステアリン酸等が上げられ、多価カルボン酸化合
物として、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピ
ン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が上げられ
る。
【0020】また、第1級アミン及び第2級アミンとし
ては、エタノールアミン、ジエタノールアミンなどのヒ
ドロキシルアミン等、また、プロピルアミン、エチルア
ミン、ジプロピルアミン、ジエチルアミンなどのアルキ
ルアミン等が挙げられる。
【0021】芳香族系エポキシ樹脂の分子量を増大する
ことが必要な場合には、フェノール類、特にビスフェノ
ールAが有用である。原料のエポキシ樹脂のエポキシ基
の濃度に対して、過剰量のビスフェノールAを用いるこ
とで、分子量の増大とエポキシ樹脂末端の封止が可能と
なる。
【0022】また、分子量を増大することが必要でない
場合は、モノカルボン酸化合物、等1級及び第2級アミ
ンが、エポキシ基との反応性が高いので有用である。
【0023】用いる末端封止剤は、1種のみではなく、
2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0024】末端封止剤は、ジ−n−プロピルアミン
を、エポキシ樹脂100重量部に対して、2.0〜60
重量部の量で用いるのが好ましい。また、変性された成
分(A)中の数平均分子量が350〜40000、エポ
キシ基が1分子中に平均0個ないし0.4個、1級水酸
基が1分子中に平均0.01個ないし1.0個となる量
で用いられる。変性された成分(A)中のエポキシ基が
この範囲であると、エポキシ基の開環反応による水分散
体の不安定化や塗膜劣化を防止できるのでより好まし
い。成分(A)中の1級水酸基がこの範囲であると、過
剰なエステル化反応による網目構造を有したミクロゲル
体の発生を抑制できるので好ましい。
【0025】反応条件は、常圧〜3気圧、温度120〜
160℃、時間2〜7時間が好ましい。溶剤を用いると
きは、キシレン、ジオキサン、シクロヘキサノン等が好
ましい。
【0026】本発明に用いられるカルボキシル基含有ア
クリル系樹脂(B)は、(i) カルボキシル基含有ビニル
モノマー (ii)芳香族系ビニルモノマー (iii) α,β
−エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル、ヒ
ドロキシアルキルエステル及びN−ヒドロキシアルキル
アミドから成る群より選ばれる少なくとも1種類のモノ
マーから成り、これらのモノマー又はその混合物を得ら
れる重合体がカルボキシル基を有するように組合せ、メ
タノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリ
コールモノエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の有
機溶媒中で、アソビスイソブチロニトリルあるいはベン
ゾイルパーオキサイドなどの通常のラジカル重合開始剤
を用いて、50〜200℃、好ましくは、 60℃〜1
50℃の温度で重合または共重合せしめることにより得
ることができる。
【0027】(i) カルボキシル基含有ビニルモノマーと
しては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられ
る。
【0028】(ii)芳香族系ビニルモノマーとしては、例
えば、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレ
ン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン
系モノマーが挙げられる。
【0029】(iii) α,β−エチレン性不飽和カルボン
酸のアルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アク
リル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸
n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘ
キシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n
−オクチル、アクルリ酸デシル、アクリル酸ドデシル等
のアクリル酸エステル類が挙げられる。
【0030】また、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソ
ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソア
ミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル
酸デシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸エス
テル類が挙げられる。
【0031】さらに、α,β−エチレン性不飽和カルボ
ン酸のヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、
アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプ
ロピル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸
ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルエステルモ
ノマーが挙げられる。
【0032】その他、α,β−エチレン性不飽和カルボ
ン酸のN−ヒドロキシアルキルアミドとしては、例え
ば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブト
キシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メ
タ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
【0033】上記カルボキシル基含有アクリル系樹脂に
おいて、カルボキシル基含有ビニルモノマーの使用量と
しては、全モノマー量に対して25〜75重量%が好ま
しい。この範囲であると、水性媒体中における分散安定
性、塗装した塗膜の耐溶剤性に優れ、缶内面に使用した
場合のフレーバー性も良い。また、共重合体の製造時の
粘度も適切で製造が容易であり、耐水性に優れ、特に缶
内面に使用した場合にボイル等のレトルト処理後に塗膜
に白化が表われることもない。
【0034】上記カルボキシル基含有アクリル系樹脂
は、数平均分子量で300ないし60000好ましくは
400ないし20000の範囲のものがよい。数平均分
子量がこの範囲であると、塗膜の架橋密度が適切で加工
性が良く、一方芳香族系ポリオール樹脂(A)との反応
時にゲル化を起すこともない。また、酸価は固形分換算
で25ないし450、好ましくは200ないし350の
ものが適当である。
【0035】本発明において、芳香族系ポリオール樹脂
(A)とカルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)との
反応生成物(C)は、好ましくは、キシレン、エチルベ
ンゼン、ジブチルセロソルブ、ジエチルカルビトール、
ジブチルカルビトールなどの水酸基を有していない高沸
点の溶剤中で、アンモニアまたはアミン類の触媒の存在
下あるいは不存在下で成分(A)と成分(B)とを10
0℃〜200℃、好ましくは120℃〜170℃の温度
範囲で反応することにより得ることができる。
【0036】本発明の製造方法は、1級水酸基とカルボ
キシル基とのエステル化反応が主反応になるようにする
必要があり、反応は比較的高温で行われる。反応温度が
上記の範囲であると、反応時間が実用的な範囲内とな
り、また、芳香族系ポリオール樹脂(A)中の2級水酸
基と成分(B)中のカルボキシル基との反応が進行して
ゲル化することも少い。
【0037】成分(A)と成分(B)との反応は、酸価
の減少の測定及びゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィによる分子量分布の測定により所望の範囲に制御する
ことができる。成分(C)は、好ましくは、酸価30〜
80、平均分子量2500〜5000とする。
【0038】反応生成物(C)中の成分(A)と成分
(B)の固形分比は95/5〜5/95の範囲とする。
好ましくは90/10ないし50/50の範囲から選ば
れる。本発明の水系塗料組成物は、主に缶内面用に用い
られるため、耐水性の良い塗膜が得られ、ボイル等のレ
トルト処理後に塗膜が白化せず、また、反応生成物
(C)が水性媒体中で十分に自己乳化し、保存中に分離
が起こらないように上記範囲の成分(A)と成分(B)
の量を選ぶことが大切である。
【0039】反応生成物(C)中の過剰のカルボキシル
基は、アンモニア、アミン類等の塩基性化合物で中和す
る。好ましくは、アンモニウム塩またはアミン塩とす
る。用いる塩基性化合物の量は、過剰のカルボキシル基
に対し、好ましくは、0.5〜2.0当量とする。ま
た、好ましくは、最終組成物のpHが5〜11となる量
のアンモニアもしくはアミン類を加える。
【0040】用いるアミン類は、例えばトリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミ
ン類、2−ジメチルアミノエタノール、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノー
ル、ジメチルアミノメチルプロパノール等のアルコール
アミン類、モルホリン等が使用される。またエチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン等の多価アミンも使用で
きる。
【0041】本発明法は、中和反応と同時に、または別
々に、水性媒体を加えて分散せしめて水性塗料として用
いる。ここで、水性媒体とは少なくとも10重量%以上
が水である水単独、もしくは水と親水性有機溶剤との混
合物を意味し、親水性有機溶剤としては、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノ
ール、イソブタノール等のアルキルアルコール類、メチ
ルセロソルブ、エチルソロソルブ、プロピルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール等のエーテルアルコール類、メチルセロソル
ブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエーテ
ルエステル類、その他ジオキサン、ジメチルホルムアミ
ド、ダイアセトンアルコール等が使用される。反応生成
物(C)と水性媒体の割合は、5/95〜50/50、
好ましくは10/90〜40/60とする。これは、水
性分散体の安定性を良くするためである。
【0042】得られた水性塗料組成物は、顔料を加えて
水性塗料として用いるが、顔料としては公知の一般的顔
料が使用される。必要に応じて、例えば、ヘキサメトキ
シメチルメラミン、メチロール化ベンゾグアナミン樹
脂、メチロール化尿素樹脂などの水性のアミノプラスト
樹脂、及びフェノール樹脂あるいは塗装性を改良するた
めの界面活性剤、消泡剤などを添加して塗料として用い
ることができる。
【0043】塗装される基材としては、未処理鋼板、処
理鋼板、亜鉛鉄板、ブリキ板などの金属板が適してお
り、塗装方法としては、エアスプレー、エアレススプレ
ー、静電スプレーなどのスプレー塗装が好ましいが、浸
漬塗装、ロールコーター塗装、電着塗装なども可能であ
る。また焼付条件は、好ましくは、温度150℃ないし
240℃、時間、2ないし30分の範囲から選ぶことが
できる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により説
明する。なお、文中「部」「%」は、それぞれ「重量
部」「重量%」を示す。また、各実施例及び比較例を通
じて、塗料あるいは塗装板の評価は、特記する場合を除
き、以下の要領で行なった。
【0045】(1)塗装板の作製 水性塗料をNo.30のバーコーターを用いて、厚さ
0.3mmのブリキ板(JIS.G.3303)上に塗
布し、200℃で5分間焼付けて硬化させた。塗膜の厚
さは、約6〜10μmとした。
【0046】(2)耐レトルト性 この塗装板の一部を125℃×30分間のボイル処理し
て、レトルト処理による塗膜の白化の有無を調査した。
同様にボイル処理後の塗膜の密着性も評価した。
【0047】(3)密着性 塗膜面に、ナイフで約1mmの巾で、縦、横それぞれ1
1本の切り目を碁盤目に入れる。24mm幅のセロハン
粘着テープを、この塗装面に密着させ、強く剥離した時
の碁盤目部の未剥離数を分子に表わす。別に碁盤目を入
れない塗膜も同様に評価した。
【0048】(4)加工性 マンドレル試験器により、塗装板を2つ折りにし、さら
に、必要に応じて板を1枚または2枚はさみ(それぞれ
0T、1T、2Tと表示する)、手動式プレス成形機に
より、15Kg/cm2の圧力でさらに折り曲げ、折り曲げた
部分を広げてセロハン粘着テープを密着させ、強く剥離
した時の塗膜の残存状態により以下の点数で評価した。 0点…… 0%残存 1点……20%残存 2点…
… 40%残存 3点……60%残存 4点……80%残存 5点…
…100%残存
【0049】(5)耐食性 塗膜面にナイフを使用して×印の切り目を入れた試験片
を、1%食塩水中で125℃×1時間浸漬処理を行い、
×印近傍の腐食の程度を判定する。 異常のないもの……◎、わずかに腐食のみられるもの…
…○ かなり腐食のみられるもの……△、全体に腐食のみられ
るもの……×
【0050】(実施例1) −芳香族ポリオール樹脂の溶液の調製− 窒素ガス置換した四ツ口フラスコにビスフェノールA型
エポキシ樹脂(数平均分子量約3700、エポキシ当量
約27000)1000部、キシレン200部を仕込み
徐々に加熱して内温を120℃まで上げ、1時間攪拌し
完全に溶解した後、さらに150℃まで徐々に加熱す
る。150℃到達後、ジ−n−プロピルアミン34.4
部、を1時間かけて滴下し、さらに6時間反応させた
後、室温まで冷却したところ、エポキシ当量30,00
0以上の固形分81%の変性された芳香族エポキシ樹脂
溶液を得た。数平均分子量3000、1分子中のエポキ
シ基は、平均0.1個以下、1級水酸基は、平均0.5
個であった。
【0051】−カルボキシル基含有アクリル樹脂の調製
− 窒素ガス置換した四ツ口フラスコにn−ブチルアルコ−
ル、500部を仕込み、80〜90℃に加熱し、その温
度を保ちつつ、スチレン70部、メタクリル酸メチル4
0部、メタクリル酸140部、n−ブチルアルコール5
00部を混合した均一溶液を2時間かけて、四ツ口フラ
スコに徐々に滴下し、滴下終了後さらにその温度で2時
間かきまぜた後、そのまま、溶媒のn−ブチルアルコー
ルを減圧下で留去し、さらに残存する樹脂を減圧下15
0℃で6時間乾燥させ、数平均分子量1000、カルボ
ン酸単位56%、酸価300のカルボキシル基含有アク
リル樹脂を得た。
【0052】−水性塗料組成物の調製− 窒素ガス置換した四ツ口フラスコに、先に製造した芳香
族ポリオール樹脂溶液、123.5部を仕込み、加熱し
て内温を120℃まで上げ、先に製造したカルボキシル
基含有アクリル樹脂、25部を加えた。さらに、徐々に
加熱して150℃まで内温を上げ、その後、その温度で
1時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエ
ーテル36.9部及びn−ブチルアルコール35部を加
えて、100℃まで冷却した。次に、2−ジメチルアミ
ノエタノール5部を添加した後その温度で30分間攪拌
した。更に分散機を用いて、イオン交換水、275部を
徐々に添加したところ、固形分25%、粘度4000c
psの乳白色の分散体を得た。得られた分散体は常温で
3ケ月間保存したが異常は、認められなかった。固形分
中の成分(A)と成分(B)の比は、4:1であった。
【0053】(比較例1)実施例1で得られた芳香族ポ
リオール樹脂溶液と、カルボキシル基含有アクリル樹脂
溶液とを用い、これらを混合したのみで反応させなかっ
た以外は実施例1と同様にしてエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、n−ブチルアルコール、2−ジメチル
アミノエタノールおよびイオン交換水を加えたが水分散
体は得られなかった。
【0054】(実施例2)実施例1で得られた芳香族ポ
リオール樹脂溶液と、カルボキシル基含有アクリル樹脂
溶液とを用い、反応温度を135℃とし、反応時間を7
時間とした以外は、実施例1と同様にしてエチレングリ
コ−ルモノブチルエーテル、n−ブチルアルコール、2
−ジメチルアミノエタノールおよびイオン交換水を加
え、実施例1と同様にして水性分散体を調製した。得ら
れた水性分散体は、固形分25%、粘度1000cps
であった。固形分中の成分(A)と成分(B)の比は
4:1であった。
【0055】(比較例2)芳香族ポリオール樹脂溶液、
カルボキシル基含有アクリル系樹脂は、実施例1と同様
に調製した。また水性分散体の調製は、反応温度135
℃とし、反応時間を2時間とした以外は、実施例1と同
様に行なった。水性分散体は、得られなかった。
【0056】(実施例3) −カルボキシル基含有アクリル樹脂の調製− 窒素ガス置換した四ツ口フラスコにn−ブチルアルコ−
ル500部を仕込み、80〜90℃に加熱し、その温度
を保ちつつ、スチレン60部、メタクリル酸メチル30
部、メタクリル酸39.2部、アクリル酸85.2部、
過酸化ベンゾイル5部を混合した均一溶液を2時間かけ
て、四ツ口フラスコに徐々に滴下し、滴下終了後さらに
その温度で2時間かきまぜた後、そのまま、溶媒のn−
ブチルアルコールを減圧下で留去し、さらに残存する樹
脂を減圧下150℃で6時間乾燥させ、数平均分子量1
000、カルボン酸単位56%、酸価390のカルボキ
シル基含有アクリル樹脂を得た。
【0057】−水性分散体の調製− 実施例3で得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂を
用い、反応温度135℃、反応時間1時間とした以外
は、実施例1と同様に行った。得られた水性分散体は、
固形分25%、粘度1000cpsであった。固形分中
の成分(A)と成分(B)の比は4:1であった。
【0058】(実施例4) −芳香族ポリオール樹脂の調製− 窒素ガス置換した四ッ口フラスコに数平均分子量約37
00、エポキシ当量約2700のビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂1000部、安息香酸36.9部、キシレン
200部を仕込み、徐々に加熱して内温を120℃まで
上げ、1時間攪拌し完全に溶解させた後、さらに130
℃まで徐々に加熱した。130℃に到達後、ピリジン
3.0gを添加した。さらに、130℃〜140℃で5
時間反応させた後、キシレンを留去したところ、エポキ
シ当量30,000以上の芳香族ポリオール樹脂を得
た。数平均分子量は、約3800、1分子中のエポキシ
基は平均0.1個、1級水素基は平均0.6個であっ
た。
【0059】−カルボキシル基含有アクリル樹脂の調製
− 窒素ガスで置換した四ッ口フラスコに、ジオキサン29
2部を仕込み70〜80℃に加熱し、その温度を保ちつ
つ、スチレン35部、メタクリル酸メチル20部、メタ
クリル酸70部を混合した均一溶液を、2時間かけて、
四ッ口フラスコに徐々に滴下し、滴下終了後さらにその
温度で3時間かきまぜた後、室温まで冷却したところ、
固形分30%のカルボキシル基含有アクリル樹脂を得
た。数平均分子量200、カルボン酸単位56重量%酸
価360であった。
【0060】−水性分散体の調製− 窒素ガスで置換した四ッ口フラスコに、先に製造した芳
香族ポリオール樹脂100部、また、先に製造したカル
ボキシル基含有アクリル樹脂溶液83.3部を仕込み、
加熱して、内温120℃まで上げ、その後その温度で、
1時間反応させた後、シクロヘキサノン30gを加え
て、さらに3時間反応させた。次に減圧下で溶媒を留去
し、エチレングリコールモノブチルエーテル34.1部
およびn−ブチルアルコール56.8部を加えて、10
0℃まで冷却した。次に、2−ジメチルアミノエタノー
ル、10部を添加した後、その温度で30分間攪拌し
た。更に分散機を用いて、イオン交換水、288部を徐
々に添加したところ、固形分24%、粘度350cps
の乳白色の分散体を得た。得られた分散体は常温で3ケ
月間保存したが異常は認められなかった。固形分中の成
分(A)と成分(B)の重量比は、4:1であった。
【0061】(比較例3)芳香族ポリオール樹脂よびカ
ルボキシル基含有アクリル系樹脂溶液を実施例4と同様
に調製した。また、これらを混合したのみで反応させな
かった以外は、実施例3と同様にして、エチレングリコ
ール、モノブチルエーテル、n−ブチルアルコール、1
−ジメチルアミノエタノールおよびイオン交換水を加え
たが水分散体は、得られなかった。
【0062】実施例1、2、3および4で得られた、水
性分散体と郡栄化学株式会社製レジトップPL4523
を5:1の重量比で配合し、水性塗料を調製し、塗膜性
能試験を行った。結果を表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明の水性分散体の製造方法は、得ら
れる組成物が、水溶性で有機溶媒を用いずに塗装するこ
とができ、また経時安定性に優れ、塗膜の硬化を低温で
行うことができ、得られる硬化塗膜が耐レトルト性、金
属素地との密着性および加工性に優れる水性分散体が得
られる。本発明の製造方法は、乳化安定性が高く、簡易
で安価である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−179018(JP,A) 特開 昭56−112969(JP,A) 特開 平1−230678(JP,A) 特開 昭56−109243(JP,A) 特開 昭54−3900(JP,A) 特開 昭56−26961(JP,A) 特開 昭59−136357(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 81/00 - 81/02 C09D 5/02 C09D 167/00 - 167/08 C09D 133/00 - 133/26 C09D 163/00 - 163/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 350〜40000の数平均分子量およ
    び1分子中に、エポキシ基を平均0〜0.4個、1級水
    酸基を平均0.01〜1.0個有する芳香族系ポリオー
    ル樹脂(ただし、2、2−ビス{p−(3−ブトキシ−
    2−グリシジルオキシプロピルオキシ)フェニル}プロ
    パン、必要に応じて該成分以外のポリグリシジル化合
    物、及び多価フェノールを反応させることにより得られ
    る分子量1500〜29000の範囲内にありかつエポ
    キシ価が0.0006以上であるアドバンスエポキシ樹
    脂を除く)(A)の1級水酸基と、カルボキシル基含有
    アクリル系樹脂(B)のカルボキシル基をエステル化反
    応させて、反応生成物(C)を得、該反応生成物(C)
    の中のカルボキシル基の少くとも一部を塩基性化合物で
    中和して、水中に微分散させることを特徴とする塗料組
    成物の水分散体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記カルボキシル基含有アクリル系樹脂
    が、300〜60000の数平均分子量、少なくとも2
    5重量%のカルボン酸単位および25〜450の酸価を
    有する請求項1に記載の塗料組成物の水分散体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記エステル化反応が、溶剤中で、触媒
    の存在下あるいは不存在下で、芳香族系ポリオール樹脂
    (A)とカルボキシル基含有アクリル系樹脂(B)とを
    100℃〜200℃で反応させる請求項1または請求項
    に記載の塗料組成物の水分散体の製造方法。
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