JP3445826B2 - 水性樹脂組成物 - Google Patents

水性樹脂組成物

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JP3445826B2 JP10532694A JP10532694A JP3445826B2 JP 3445826 B2 JP3445826 B2 JP 3445826B2 JP 10532694 A JP10532694 A JP 10532694A JP 10532694 A JP10532694 A JP 10532694A JP 3445826 B2 JP3445826 B2 JP 3445826B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、金属素材のコ−ティン
グに有用である水性樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車産業機械、鋼製家具、電気
製品等の被覆用塗料、接着剤等に対して省力、省エルル
ギーの要求が強い。さらに、塗料から発散する有機溶剤
による大気汚染を防止、作業環境の改善などの理由から
有機溶剤の使用が制限されつつあり、粉体塗料、放射線
硬化塗料といった無溶剤型塗料や水性塗料の開発が促進
されている。公知の水性塗料は、アクリル系、ポリエス
テル系等の水性被膜形成樹脂とアミノ樹脂を主成分とす
るものであるが水酸基、カルボキシル基が系内に残存す
るため塗膜の耐沸水性に欠けるといった欠点がある。こ
の欠点を是正するために特開昭63−113086号公
報にはヒドロキシアルキルアクリレ−ト等からなる共重
合体を中和した水性樹脂とアミノプラスト樹脂とを含有
してなる水性樹脂組成物が提案されている。しかし、こ
のような手段によって耐沸水性に向上はみられるものの
十分でない。また、特開平5−320564号公報に
は、N−アルコキシメチル基含有アクリル樹脂及びイミ
ノ基含有アミノ樹脂とからなる水性塗料組成物が提案さ
れているが、耐沸水性は、十分であるが、加工性が十分
でない。これは、アクリル主鎖中の水酸基とアミノ樹脂
のアルキルエ−テル基あるいはメチロ−ル基の架橋反応
及アミノ樹脂の自己縮合が主であり、このため架橋密度
は、アミノ樹脂の官能基濃度に依存する傾向にあり、反
応性と加工性のバランスが取りづらいと考えられる。す
なわち、アクリル樹脂に比べてアミノ樹脂は、反応性が
高いにもかかわらず、自己縮合反応が優先し加工性が低
下してしまう。そこで、特開昭61−145259号公
報には、エポキシ樹脂に無水マレイン酸を付加し、その
存在下、N−アルコキシメチルアクリルアミド及び他の
ビニルモノマ−を共重合させ、自己架橋をもたせた塗料
用樹脂組成物が提案されているが、加工性、耐沸水性の
バランスが十分でない。以上のように短時間焼付けがで
き、硬化塗膜の耐沸水性、密着性、加工性のバランスが
とれたものは、未だ見い出されていない状況である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決するものであり、短時間焼付けが可能とな
り、その硬化塗膜が耐沸水性、密着性、加工性等に優れ
た水性熱硬化型樹脂組成物を提供するものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、(A)1分子
中に平均1〜2個の末端エポキシ基を有し、数平均分子
量が900〜2,000である芳香族系エポキシ樹脂
と、(B)数平均分子量が5,000〜15,000で
あり、酸価が100〜350であり、Tgが0〜70℃
であるカルボキシル官能性重合体をアンモニア又はアミ
ンで部分中和したアクリル樹脂とを、エポキシ樹脂
(A)/アクリル樹脂(B)(重量比)を10/90〜
50/50として反応させた水性樹脂組成物に関する。 【0005】本発明では、1分子中に平均1〜2個の末
端エポキシ基を有し、数平均分子量が900〜2,00
0である芳香族エポキシ樹脂(A)が使用される。1分
子中の末端エポキシ基の個数が1個未満であると、水溶
解性が低下し、2個を超えるとゲル化しやすくなる。分
子中の末端エポキシ基の個数は、1.25〜2個である
ことが好ましい。数平均分子量が900未満では、最終
樹脂での硬化塗膜の加工性及び密着性が著しく低下し、
一方、2,000を超えると水溶解性が低下すると共に
硬化反応性が低下する。 【0006】本発明における芳香族系エポキシ樹脂
(A)としては、市販品でエピコ−ト1001、100
4、1007(シェル化学製)、エポミックR301、
304(三井石油化学工業製)等がある。また、例え
ば、ダウケミカル社より販売されているDER343
(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、商品名)
とビスフェノールAを用いても、容易に製造することが
できる。この場合、ビスフェノールA/DER343の
重量比は22〜34/78〜66とすることが、分子量
調節の点から好ましい。ビスフェノールAとDER34
3との反応は、反応温度を180〜190℃として行う
ことが好ましい。反応温度が180℃未満では、最終目
標の分子量を得るに長時間有すると共に、低分子物含有
量が多くなり、最終製品の硬化性が低下する。一方19
0℃を越えると、反応制御が難かしくなる。また反応溶
媒は使用しない方が良い。反応溶媒を使用した場合は、
反応時間が長くなると共に、低分子物含有量が多くな
る。 【0007】本発明におけるカルボキシル官能性重合体
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸等のα、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とアク
リル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキ
シプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタ
クリル酸2−ヒドロキシプロピル等のヒドロキシル基を
有するα、β−エチレン性不飽和単量体及びその他の不
飽和単量体を共重合させて得られるアクリル樹脂であ
る。その他の不飽和単量体としては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
2−エチルヘキシル等のα、β−モノエチレン性不飽和
カルボン酸のアルキルエステル、アクリル酸2−ヒドロ
キシルエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メ
タクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシプロピル等のヒドロキシル基を有する、α、β
−エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアク
リルアミド等のアクリルアミド誘導体、アクリル酸グリ
シジル、メタクリル酸グリシジル等のα、β−モノエチ
レン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル等の飽和カルボン酸のビニル
エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトル
エン等の芳香族不飽和単量体などがある。上記共重合
は、アゾビスイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、カヤエステルO−50XL(化薬ヌー
リー株式会社製、商品名、t−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエート)、ベンゾイルパーオキサイド、
ジブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド
等のラジカル触媒の存在下に、110〜150℃に加熱
して行うことができる。 【0008】カルボキシル官能性重合体(中和前のアク
リル樹脂)は、酸価が100〜350に調整され、20
0〜320に調整されることが好ましい。酸価が100
未満であるとエポキシ樹脂(A)との反応後に得られる
水性樹脂組成物(アクリル変性エポキシ樹脂)の水溶性
又は水溶解性が劣り、塗料の安定性が劣る。また酸価が
350を超えると塗膜特性(特に耐沸水性)が低下す
る。また、エポキシ樹脂(A)との反応時、ゲル化しや
すい。 【0009】上記カルボキシル官能性重合体の数平均分
子量は5,000〜15,000とされ、6,000〜
13,000がより好ましい。数平均分子量が5,00
0未満では耐沸水性、加工性に劣り、15,000を超
えると最終製品の粘度が高くなり好ましくない。 【0010】上記カルボキシル官能性重合体のTgは0
〜70℃とされる。0℃未満であると軟らか過ぎ硬度が
でず、70を超えると硬くなり加工性が悪くなる。 【0011】このようなカルボキシル官能性重合体を水
溶性とするには樹脂の酸基をアンモニア又はアミンで部
分中和すればよく、ここで、好適なアミンとしては、例
えば、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリブ
チルアミン、モノエタノールアミン、エチルモノエタノ
ールアミン、モノシクロヘキシルアミン、ジメチルアミ
ノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ
ール、モルホリン、ピペリジン等の第1級、第2級及び
第3級の脂肪族又は脂環族アミンが使用できる。アンモ
ニア又はアミンは、酸基1モルに対して0.6〜1.0
モル使用するのが好ましく、0.6モル未満の場合は、
水溶性に劣る傾向があり、1.0モルを超えると最終製
品の粘度が高くなる傾向がある。このようにして、カル
ボキシル官能性重合体を部分中和して得られるアクリル
樹脂(B)の数平均分子量は5,000〜15,000
とされ、酸価は100〜350とされる。数平均分子量
は5,000〜15,000とされ、6,000〜1
3,000がより好ましい。数平均分子量が5,000
未満では耐沸水性、加工性に劣り、15,000を超え
ると最終製品の粘度が高くなり好ましくない。酸価が1
00未満であると水溶性又は水溶解性が劣り、塗料の安
定性が劣る。また酸価が350を超えると塗膜特性(特
に耐沸水性)が低下する。 【0012】本発明における水性樹脂組成物は、上記の
芳香族エポキシ樹脂(A)成分を10〜50重量部及び
部分中和したアクリル樹脂(B)成分を90〜50重量
部となる量で配合し反応させたものである。(A)成分
と(B)成分との反応は、60〜130℃、好ましく
は、90〜100℃で10分間〜1時間の反応条件で行
うことができる。反応の終点制御は、酸価(固型分換
算)が100〜180、好ましくは、110〜130と
なるように反応条件を選ぶことにより行うことが望まし
い。(A)成分が50重量部を超えると、溶解性、硬化
性等が劣り、10重量部未満であると、加工性、耐沸水
性、密着性等が劣り、また、ゲル化しやすくなる。 【0013】また、本発明の水性樹脂組成物には、塩
酸、リン酸等の無機酸、パラトルエンスルホン酸等の有
機酸などの触媒を添加してもよい。使用量は(A)成分
と(B)成分の総量100重量部に対し、1重量部以下
とすることが好ましい。 【0014】本発明の水性樹脂組成物は、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、
イソブタノール等のアルキルアルコール類、メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、2−エチルヘキシルセロソルブ、ヘキシ
ルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトー
ル、ブチルカルビトール等のエーテルアルコール類、メ
チルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテー
ト等のエーテルエステル類、その他ジオキサン、ジアセ
トンアルコール、3−メトキシ−3−メチルブタン−1
−オール等の水溶性の有機溶剤と水の混合溶剤を希釈剤
として希釈し適当な固形分にして使用することが好まし
い。水/有機溶剤(重量比)を100/0〜80/20
とすることが好ましい。 【0015】本発明の水性樹脂組成物は、目的に応じて
顔料、硬化剤、その他の添加剤を配合して塗料化でき
る。塗料化の際に、硬化剤としてメチル化メラミン等の
アミノ樹脂を水性樹脂組成物100重量部に対して、1
0〜50重量部配合することが硬化性、密着性等の点か
ら好ましい。また塗装方法としては、スプレー塗装、ロ
ールコーターによる塗装、ディッピング等が採用でき
る。 【0016】 【実施例】以下実施例によって本発明を説明する。 【0017】製造例1(部分中和アクリル樹脂の製造) 撹拌機、還流冷却器、温度計及び不活性導入口を備えた
フラスコに、ブタノール50重量部を仕込み、加熱して
120℃まで昇温し、これにスチレン37重量部、アク
リル酸エチル25重量部、メタクリル酸38重量部、t
−ブチルパーオキシベンゾエート2.5重量部及びカヤ
エステルO−50XL(化薬ヌーリー株式会社製、商品
名、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト)4.0重量部から成る混合溶液を2時間かけてフラ
スコに滴下させた。その後、ブタノール3重量部を20
分間で滴下し、その後2時間保温し、カルボキシル官能
性重合体を得た。(酸価250)(固型分換算)。その
後100℃に冷却し、ブタノ−ル75.3重量部を添加
し、更に80℃でジメチルアミノエタノール25.9重
量部を添加し、部分中和アクリル樹脂を得た(中和率6
5%)。得られたアクリル樹脂の加熱残分は、51.4
重量%で、酸価は、32.1、粘度は、Yであった。 【0018】製造例2〜11 製造例1と同様の方法で下記の表1に示した配合により
樹脂を製造し、部分中和アクリル樹脂を得た。 【0019】 【表1】【0020】実施例1 (芳香族系エポキシ樹脂の溶液の調製) 【表2】 撹拌機、還流冷却器、温度計及び不活性導入口を備えた
フラスコに、表2の材料を全量仕込み、徐々に加熱して
118℃まで上げ、完全に溶解させ芳香族系エポキシ樹
脂の溶液を得た(加熱残分50重量%)。 (水性樹脂の調製) 【表3】 撹拌機、還流冷却器、温度計及び不活性導入口を備えた
フラスコに、表3のを仕込み、95℃まで昇温し、9
5℃に成った時点でを20分かけて添加し、そのまま
の温度で1時間撹拌して反応させエポキシアクリル樹脂
を得た。この時の酸価は、固型分換算で129であっ
た。その後、を1時間かけて添加した。(固型分3
3.3重量%)。さらに、ブタノ−ルを除去するために
脱溶を行い、加熱残分49.9重量%の黄色透明の水溶
性樹脂を得た。このものの酸価は64.5、粘度はZ2 +
(ガ−ドナ/25℃)であり(ブタノ−ル/水(重量
比)=24.1/26)、pHは7.5であった。 【0021】実施例2〜12及び比較例1〜6 実施例1と同様の方法で下記の表4及び表5に示した配
合により水性樹脂組成物を得た。 【0022】 【表4】【0023】 【表5】 【0024】(塗膜試験)実施例1〜12及び比較例1
〜6で得られた水性樹脂組成物を表6及び表7のように
配合し、塗料化し、下記の物性試験を行った。 基材:ボンデライト#144処理鋼板。 塗装:バーコータ#60で塗布した(膜厚は焼付け後3
0〜40μmであった)。 焼付け:150℃で各々20分間焼付けを行った。つい
で24時間室温に放置し、塗膜試験を行った。 (塗膜試験方法) ・塗膜外観:外観を判定した。 ○:良好 △:若干の異常あり ・鉛筆硬度:三菱ユニを用いてJIS K5400によ
り評価した。 ・折り曲げ:テスト板を3φ(直径3mmの棒に沿わせ
て)で2つ折りにし、折り曲げ部分の塗膜のワレの程度
を判定。 ○:ワレなし △:若干のワレあり ×:かなりのワレあり ・耐沸水性:沸水に1時間浸漬後取り出し、その外観を
判定した。 ○:白化なし △:若干の白化あり ×:かなりの白化あり ・耐沸水性後の密着性:沸水に1時間浸漬後、塗膜に1
mm×1mmのゴバン目100個を切り、セロテープはくり
でそのはくりの割合を判定した。評価結果を表6、7に
示した。 【0025】 【表6】 【0026】 【表7】 【0027】 【発明の効果】本発明の製造法によって得られる水性樹
脂組成物は、安定性に優れ、高温短時間焼付けができる
硬化性の良好なもので、耐沸水性、密着性、加工性等に
優れた硬化塗膜を与える。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−342717(JP,A) 特開 平4−342780(JP,A) 特開 平5−117581(JP,A) 特開 平4−370171(JP,A) 特開 昭56−109243(JP,A) 特開 昭56−43362(JP,A) 特表 平5−507962(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/14 - 59/16 C09D 163/00 - 163/10 C09J 163/00 - 163/10

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)1分子中に平均1〜2個の末端エ
    ポキシ基を有し、数平均分子量が900〜2,000で
    ある芳香族系エポキシ樹脂と、(B)数平均分子量が
    5,000〜15,000であり、酸価が100〜35
    0であり、Tgが0〜70℃であるカルボキシル官能性
    重合体をアンモニア又はアミンで部分中和したアクリル
    樹脂とを、エポキシ樹脂(A)/アクリル樹脂(B)
    (重量比)を10/90〜50/50として反応させた
    水性樹脂組成物。
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