JP4935976B2 - 口腔用組成物及び炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子を含有する口腔用組成物の製造方法 - Google Patents
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(i)イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン及びチモールから選ばれる1種以上の水難溶性薬効成分が乳化剤により乳化分散した水難溶性薬効成分の水分散液(A)と体積平均粒径1nm〜1μmの炭酸カルシウム微粒子の水分散液(B)とを、(水分散液(B)中の炭酸カルシウム(b))/(水分散液(A)中の水難溶性薬効成分(a−1)及び乳化剤(a−2))が質量比として1/1〜5/1となるように混合することにより得られる、水難溶性薬効成分の分散粒子が炭酸カルシウムで被覆された平均粒径が30nm〜5μmである薬効成分微粒子の水分散液の水相が、糖アルコール水溶液に置換されてなる、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の糖アルコール水溶液分散液を配合したことを特徴とする口腔用組成物。
(ii)(I)イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン及びチモールから選ばれる1種以上の水難溶性薬効成分を乳化剤により乳化分散させて水難溶性薬効成分の水分散液(A)を調製する工程、
(II)炭酸カルシウムを水に分散させ、微粉化処理して、体積平均粒径1nm〜1μmの炭酸カルシウム微粒子の水分散液(B)を調製する工程、
(III)前記水分散液(A)及び水分散液(B)を、(水分散液(B)中の炭酸カルシウム(b))/(水分散液(A)中の水難溶性薬効成分(a−1)及び乳化剤(a−2))が質量比として1/1〜5/1となるように混合し、水難溶性薬効成分の分散粒子が炭酸カルシウムで被覆された平均粒径が30nm〜5μmである薬効成分微粒子の水分散液を調製する工程、
(IV)前記(III)工程で得られた炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液に糖アルコール又は糖アルコール水溶液を混合し、遠心分離・上澄除去を行って、水分散液の水相を糖アルコール水溶液に置換し、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子を糖アルコール水溶液分散液として配合する工程
を含むことを特徴とする、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子を含有する口腔用組成物の製造方法。
(I)水難溶性薬効成分と乳化剤及び水を混合して、水難溶性薬効成分の水分散液(A)を調製する工程、
(II)炭酸カルシウムと水を混合し、微粉化処理して、体積平均粒径1nm〜1μmの炭酸カルシウム微粒子の水分散液(B)を調製する工程、
(III)前記(A)の分散液及び(B)の分散液を、(B)中の炭酸カルシウム/((A)中の水難溶性薬効成分及び乳化剤)が質量比で1/1〜5/1となるように混合し、平均粒径が30nm〜5μmの炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液を調製する工程、
(IV)前記(III)工程で得られた炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液に糖アルコール又は糖アルコール水溶液を混合し、遠心分離・上澄除去を行って、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液の水相を糖アルコール水溶液に置換する工程
を行うことにより、調製することができる。
(A)水難溶性薬効成分の水分散液は、水難溶性薬効成分、乳化剤及び水を混合することにより調製でき、具体的には、純水に乳化剤を溶解させ、水難溶性薬効成分を添加混合してホモジナイザーなどの撹拌装置を用いて攪拌混合することにより調製することができる。
水難溶性薬効成分としては、例えばトリクロサン(溶解度0.001g(20℃)、環境庁ホームページ記載値)、イソプロピルメチルフェノール(IPMP、溶解度0.015g(25℃)、大阪化成(株)カタログ記載値)、チモール(溶解度0.098g(25℃)、大阪化成(株)カタログ記載値)、その他、ビサボロール、カロチン、ビタミンA、ビタミンE、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などが例示され、これらの水難溶性薬効成分は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、特にトリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、チモールが好適に使用される。
このような方法により、(A)水難溶性薬効成分の水分散液を得ることができる。
なお、水難溶性薬効成分水分散粒子の粒径制御は、水難溶性薬効成分を水に分散させる際の乳化機の機械力や乳化剤による界面張力低下能によって行なうことができる。
次に、上記(A)水難溶性薬効成分水分散液と(B)炭酸カルシウム微粒子水分散液を混合することによって、水難溶性薬効成分の分散粒子の周りを炭酸カルシウム微粒子で被覆した被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液を得ることができる。
例えば、上記ウルトラアペックスミル(UAM−015)を用いた場合には、粉砕により得られた炭酸カルシウム微粒子水分散液が存在するミルの原料タンク内に、上記水難溶性薬効成分水分散液を添加・混合して、更にビーズミルで5〜60分間程度粉砕(ミル回転数約4,350rpm、室温〜60℃)を行うことで、炭酸カルシウム微粒子で被覆した被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液を得ることができる。
なお、被覆水難溶性薬効成分微粒子の平均粒径は、被覆水難溶性薬効成分微粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)観察し、10個の被覆水難溶性薬効成分微粒子それぞれの粒径を測定し、算術平均により算出できる。
この被覆厚は、被覆水難溶性薬効成分微粒子を凍結割断した部分を上記と同様、透過型電子顕微鏡で観察して計測することで測定できる。
次に、被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液は、分散性を向上させるために水相を糖アルコール水溶液に置換する。水分散液水相の糖アルコール水溶液への置換は、水難溶性薬効成分の水分散液調製時、あるいは炭酸カルシウム微粒子水分散液調製時は、水難溶性薬効成分の分散あるいは炭酸カルシウムの微粉砕・分散に影響が出る可能性があるため、これらの工程では行なわず、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液を生成後に行なう。
糖アルコール水溶液を用いる場合、その糖アルコール濃度は40〜80質量%、特に60〜80質量%が好ましい。
さらに、被覆水難溶性薬効成分微粒子の糖アルコール水溶液分散液中の最終糖アルコール濃度は、計算によりおおよその濃度が算出できるが、正確には高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて定量することができる。
これらの研磨剤の配合量は、歯磨剤組成物全体の2〜20質量%、特に5〜15質量%とすることが好ましい。
これら粘結剤の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができるが、練歯磨組成物全体の0.1〜2質量%、特に0.3〜1質量%が好適である。
これらの界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.1〜5質量%、特に0.3〜2質量%とすることが好ましく、練歯磨の場合は組成物全体の0.1〜5質量%、特に0.1〜2質量%とすることが好ましい。
1−a)殺菌成分トリクロサン内包炭酸カルシウム被覆微粒子のソルビトール水溶液分散液の調製
〔(A)トリクロサン水分散液の調製〕
200mLトールビーカーに純水128.0gと乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(純正化学(株)製)3.35gとを添加して溶解し、ウォーターバスを用いて65℃に加温した。ここに水難溶性薬効成分としてトリクロサン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)10.7gを添加して65℃に保ったまま35mmのスターラーピースを用いて20分間攪拌し、トリクロサン水分散液142.05gを調製し、その139.24gを回収した。回収できなかった残りはビーカー付着分である。
炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製ポアカル−N)35gを純水465gに分散させた。これをビーズミル(ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製))の原液タンクに仕込み、分散させながらミル内に供給して(流量10kg/hr)、ZrO2のφ0.1mmビーズを用いて50分間粉砕を行なった(ミル回転数4,350rpm)。なお、粉砕途中の30分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)7.0gを添加し、炭酸カルシウム水分散液のpHを7.0に調整した。更に、粉砕50分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)2.07gを添加することにより、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液509.07gを得た。分散液の温度は、最初23℃であったが、冷却水の導入を絞って、機械力による温度上昇を受けて、粉砕終了時に60℃となるように制御した。
炭酸カルシウム微粒子平均粒径の測定
体積平均粒径測定用に、上記と同一条件下で、炭酸カルシウム微粒子水分散液を調製し、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液510.01gを得た。この炭酸カルシウム微粒子水分散液に、配合した炭酸カルシウムの質量(35g)の3倍量(105g)のクエン酸三ナトリウム(純正化学(株)製)を凝集防止剤として添加し、その分散液2mlについて、動的光散乱型粒度分析計(日機装(株)製マイクロトラックUPA−150)で10分間計測した結果、分散液中の炭酸カルシウム微粒子の体積平均粒径は30nmであった。
得られた(B)炭酸カルシウム微粒子水分散液509.07gが存在するミル原料タンク(容量800mL)内に、上記(A)トリクロサン水分散液の139.2gを添加、混合して、更にビーズミルで15分間粉砕(ミル回転数4,350rpm、55〜60℃)し、炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子水分散液520gを回収した。調製(仕込み)時の炭酸カルシウム/(トリクロサン+ラウリル硫酸ナトリウム)(質量比)は2.5であった。回収できなかった残りは装置内滞留分である。分散液のpHは、7.1であった。
炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子粉末約20mg(秤量する)と内部標準1,1,2,2−テトラクロロエタン約4mg(秤量する)とをNMRチューブに入れ、重メタノール約0.4mLを溶媒として添加した。更に、35質量%塩化重水素酸を3滴添加し、炭酸カルシウム膜を完全に溶解させて油分を抽出した。6.5ppmのピークが1,1,2,2−テトラクロロエタンであり、この積分値を2とし、トリクロサンの7.5ppmのピーク面積を求めた。この値から粉末中のトリクロサンの含有量を算出した。
炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子粉末約4mg(秤量する)に1N塩酸(和光純薬工業(株)製)を加えて完全に溶解させ、更に水を加えて100mLにした。このうち1mLを採取し、原子吸光用塩化ランタン溶液(和光純薬工業(株)製)を0.5mL加え、水で全量を10mLとした。この溶液に関して、原子吸光光度計(日立Z−5310、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて溶液中のカルシウム濃度を測定し、炭酸カルシウム分子量40.07及び炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子秤量値から、炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子に含まれる炭酸カルシウムの量を算出した。
炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子水分散液と、糖アルコールとしてのソルビトールとの混合は、次の手順で行った。
500mLビーカー中で7.1質量%炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子水分散液100gと70質量%ソルビトール液100g(質量比で1/1)を混合し、スターラーチップで5分間撹拌し、遠心分離(2,220G、5分間)により炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子を沈降させ、上清を除去(炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子水分散液と70質量%ソルビトール液混合液200gのうち100gの上清を除去、つまりソルビトール水溶液相192.9gのうち上清の100gを除去、92.9g残留)し、炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子を7.1質量%含む33.7質量%ソルビトール水溶液を得た。更に同じ操作を2回繰り返すことで、炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子を7.1質量%含有したpH7.1の57.7質量%ソルビトール水溶液100gを得た。ソルビトール濃度は、遠心分離(2220G、5分間)により炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子を沈降させ、上清液を得ることで、高速液体クロマトグラフィ(以下、HPLC)を用いて定量した。HPLC測定条件は以下の通りであった。
検出器: 示差屈折計(RI) SHODEX RI−71、昭和電工(株)製
カラム: TSKgel Amide−80 (4.6mmφ×250mm)、東ソー(株)製)
カラム温度: 25℃
移動相: アセトニトリル/水(80/20(体積比))混合液
流量: 1.0mL/min
〔(A)IPMP水分散液の調製〕
100mLトールビーカーに、純水91.0gを添加し、ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、リョートーシュガーエステルS−1670)2.6gを70℃で溶解させて水相とした。別に20mLバイヤル瓶に水難溶性薬効成分であるイソプロピルメチルフェノール(以下、IPMPと記載)(大阪化成(株)製)5.2gと乳化剤モノステアリン酸ポリオキシエチレン(平均付加EO20モル)ソルビタン(Tween80)(純正化学(株)製)5.2gを添加して密栓し、70℃で溶解させて油相とした。次に、水相をホモジナイザー(IKA−WERKE製 ULTRA−TURRAX T25BASIC)を用いて撹拌(10,000rpm)しているところに油相を全量添加して、3分間攪拌し、IPMP水分散液104gを調製し、その98gを回収した。回収できなかった残りは装置内滞留分である。
炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製ポアカル−N)24.5gを純水325.5gに分散させた。これをビーズミル(ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製))の原液タンクに仕込み、分散させながらミル内に供給して(流量10kg/hr)、ZrO2のφ0.1mmビーズを用いて45分間粉砕を行なった(ミル回転数4,350rpm)。なお、粉砕途中の30分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)5.0gを添加し、炭酸カルシウム水分散液のpHを7.0に調整した。更に、粉砕45分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)1.3gを添加することにより、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液356.3gを得た。分散液の温度は、最初27℃であったが、冷却水の導入を絞って、機械力による温度上昇を受けて、粉砕終了時に60℃となるように制御した。
炭酸カルシウム微粒子平均粒径の測定
体積平均粒径測定用に、上記と同一条件下で、炭酸カルシウム微粒子水分散液を調製し、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液355.4gを得た。この炭酸カルシウム微粒子水分散液に、配合した炭酸カルシウムの質量(24.5g)の3倍量(73.5g)のクエン酸三ナトリウム(純正化学(株)製)を凝集防止剤として添加し、その分散液2mlについて、動的光散乱型粒度分析計(日機装(株)製マイクロトラックUPA−150)で10分間計測した結果、分散液中の炭酸カルシウム微粒子の体積平均粒径は25nmであった。
得られた(B)炭酸カルシウム微粒子水分散液356.3gが存在するミル原料タンク(容量800mL)内に、(A)IPMP水分散液の98.0gを添加、混合して、更にビーズミルで15分間粉砕(ミル回転数4,350rpm、55〜60℃)し、炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子水分散液350gを回収した。調製(仕込み)時の炭酸カルシウム/(IPMP+乳化剤Tween80とS−1670の合計量)(質量比)は2.0であった。回収できなかった残りは装置内滞留分である。分散液のpHは、7.0であった。
炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子粉末約20mg(秤量する)と内部標準1,1,2,2−テトラクロロエタン約4mg(秤量する)とをNMRチューブに入れ、重クロロホルム約0.4mLを溶媒として添加した。更に35質量%塩化重水素酸を3滴添加し、炭酸カルシウム膜を完全に溶解させて油分を抽出した。6.0ppmのピークが1,1,2,2−テトラクロロエタンであり、この積分値を2とし、IPMPの2.3ppmのピーク面積を求めた。この値から粉末中のIPMPの含有量を算出した。
炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子水分散液と糖アルコールとしてのソルビトールとの混合は、次の手順で行った。
500mLビーカー中で、上記で調製した7.8質量%炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子水分散液のうち炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子水分散液100gと70質量%ソルビトール液100g(質量比で1/1)を混合し、スターラーチップで5分間撹拌し、遠心分離(2,220G、5分間)により炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子を沈降させ、上清を除去(炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子水分散液と70質量%ソルビトール液混合液200gのうち100gの上清を除去、つまりソルビトール水溶液相192.2gのうち上清の100gを除去、92.2g残留)し、炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子を7.8質量%含むpH7.0の33.6質量%ソルビトール水溶液100gを得た。なお、ソルビトール濃度は前記1−a)と同条件にてHPLCによる定量分析を行ない、算出した。
〔(A)チモール水分散液の調製〕
20mLバイヤル瓶に水難溶性薬効成分チモール(東京化成工業(株)製)5.2gと乳化剤デカグリセリンラウリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、リョートーポリグリエステルL−7D)5.2gを添加して密栓し、60℃で溶解させて油相とした。次に、純水93.6gを100mLのトールビーカーに仕込み60℃に加温して水相とし、水相をホモジナイザー(IKA−WERKE製 ULTRA−TURRAX T25BASIC)を用いて撹拌(10,000rpm)しているところに、上記で調製した油相を全量添加して、3分間攪拌し、チモール水分散液104gを調製し、その98gを回収した。回収できなかった残りは装置内滞留分である。
炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製ポアカル−N)24.5gを純水325.5gに分散させた。これをビーズミル(ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製))の原液タンクに仕込み、分散させながらミル内に供給して(流量10kg/hr)、ZrO2のφ0.1mmビーズを用いて45分間粉砕を行なった(ミル回転数4,350rpm)。粉砕途中の30分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)5.0gを添加し、炭酸カルシウム微粒子水分散液のpHを7.0に調整した。更に、粉砕45分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)1.3gを添加することにより、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液356.3gを得た。分散液の温度は、最初27℃であったが、冷却水の導入を絞って、機械力による温度上昇を受けて、粉砕終了時に60℃となるように制御した
炭酸カルシウム微粒子平均粒径の測定
体積平均粒径測定用に、上記と同一条件下で、炭酸カルシウム微粒子水分散液を調製し、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液356.0gを得た。この炭酸カルシウム微粒子水分散液に、配合した炭酸カルシウムの質量(24.5g)の3倍量(73.5g)のクエン酸三ナトリウム(純正化学(株)製)を凝集防止剤として添加し、その分散液2mlについて、動的光散乱型粒度分析計(日機装(株)製マイクロトラックUPA−150)で10分間計測した結果、分散液中の炭酸カルシウム微粒子の体積平均粒径は30nmであった。
得られた(B)炭酸カルシウム微粒子水分散液356.3gが存在するミル原料タンク(容量800mL)内に、上記(A)チモール水分散液の98.0gを添加、混合して、更にビーズミルで15分間粉砕(ミル回転数4,350rpm、55〜60℃)し、炭酸カルシウム被覆チモール微粒子水分散液350gを回収した。調製(仕込み)時炭酸カルシウム/(チモール+乳化剤L−7D)(質量比)は2.5であった。回収できなかった残りは装置内滞留分である。分散液のpHは、7.1であった。
得られた炭酸カルシウム被覆チモール微粒子水分散液のうち100gを用い、上記1−a)と同様の操作で、炭酸カルシウム被覆チモール微粒子水分散液中の炭酸カルシウム被覆チモール微粒子濃度を計算したところ、7.2質量%であった。また、炭酸カルシウム被覆チモール微粒子中の成分を分析したところ、チモールが15.3質量%、L−7Dが15.3質量%、炭酸カルシウムが69.4質量%であり、炭酸カルシウム/(チモール+乳化剤L−7D)(質量比)は2.3であった。なお、チモール以外の分析条件は、上記1−a)と同様の条件であり、炭酸カルシウム被覆チモール微粒子の質量から測定されたチモール、炭酸カルシウムの質量を差し引いた量を、L−7Dの質量とした。チモールの分析は以下の条件で行なった。
炭酸カルシウム被覆チモール微粒子粉末約20mg(秤量する)と内部標準1,1,2,2−テトラクロロエタン約4mg(秤量する)とをNMRチューブに入れ、重クロロホルム約0.4mLを溶媒として添加した。更に35質量%塩化重水素酸を3滴添加し、炭酸カルシウム膜を完全に溶解させて油分を抽出した。6.0ppmのピークが1,1,2,2−テトラクロロエタンであり、この積分値を2とし、チモールの2.3ppmのピーク面積を求めた。この値から粉末中のチモールの含有量を算出した。
炭酸カルシウム被覆チモール微粒子水分散液と糖アルコールとしてのソルビトールとの混合は、次の手順で行った。500mLビーカー中で炭酸カルシウム被覆チモール微粒子水分散液100gと70質量%ソルビトール液100g(質量比で1/1)を混合し、スターラーチップで20分間撹拌し、遠心分離(2,220G、5分間)により炭酸カルシウム被覆チモール微粒子を沈降させ、上清を除去(炭酸カルシウム被覆チモール微粒子水分散液と70質量%ソルビトール液混合液200gのうち133gの上清を除去、つまりソルビトール水溶液相192.8gのうち133g除去、59.8g残留)し、炭酸カルシウム被覆チモール微粒子を10.7質量%含むpH7.1の32.4質量%ソルビトール水溶液67gを得た。なお、ソルビトール濃度は前記1−a)と同条件にてHPLCによる定量分析を行ない、算出した。
〔(A)トリクロサン・IPMP水分散液の調製〕
100mLトールビーカーに、純水85.0gを添加し、ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、リョートーシュガーエステルS−1670)3.0gを70℃で溶解させて水相とした。別に20mLバイヤル瓶に水難溶性薬効成分であるトリクロサン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)4.0gとIPMP(大阪化成(株)製)2.0gと乳化剤モノステアリン酸ポリオキシエチレン(平均付加EO20モル)ソルビタン(Tween80)(純正化学(株)製)6.0gを添加して密栓し、70℃で溶解させて油相とした。次に、水相をホモジナイザー(IKA−WERKE製 ULTRA−TURRAX T25BASIC)を用いて撹拌(10,000rpm)しているところに油相を全量添加して、3分間攪拌し、トリクロサン・IPMP水分散液100gを調製し、その81.7gを回収した。回収できなかった残りは、装置内滞留分である。
炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製ポアカル−N)24.5gを純水325.5gに分散させた。これをビーズミル(ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製))の原液タンクに仕込み、分散させながらミル内に供給して(流量10kg/hr)、ZrO2のφ0.1mmビーズを用いて45分間粉砕を行なった(ミル回転数4,350rpm)。粉砕途中の30分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)5.0gを添加し、炭酸カルシウム微粒子水分散液のpHを7.0に調整した。更に、粉砕45分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)1.3gを添加することにより、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液356.3gを得た。分散液の温度は、最初25℃であったが、冷却水の導入を絞って、機械力による温度上昇を受けて、粉砕終了時に60℃となるように制御した。
炭酸カルシウム微粒子平均粒径の測定
体積平均粒径測定用に、上記と同一条件下で、炭酸カルシウム微粒子水分散液を調製し、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液355.9gを得た。この炭酸カルシウム微粒子水分散液に、配合した炭酸カルシウムの質量(24.5g)の3倍量(73.5g)のクエン酸三ナトリウム(純正化学(株)製)を凝集防止剤として添加し、その分散液2mlについて、動的光散乱型粒度分析計(日機装(株)製マイクロトラックUPA−150)で10分間計測した結果、分散液中の炭酸カルシウム微粒子の体積平均粒径は20μmであった。
得られた(B)炭酸カルシウム微粒子水分散液356.3gが存在するミル原料タンク(容量800mL)内に、上記(A)トリクロサン・IPMP水分散液の81.7gを添加、混合して、更にビーズミルで15分間粉砕(ミル回転数4,350rpm、55〜60℃)し、炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子水分散液350gを回収した。調製(仕込み)時の炭酸カルシウム/(トリクロサン+IPMP+乳化剤Tween80とS−1670の合計)(質量比)は2.0であった。回収できなかった残りは装置内滞留分である。分散液のpHは、7.1であった。
また、炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子の平均粒径は以下の方法で測定した。得られた炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子分散液の適量に、2%四酸化オスミウム水溶液を添加し、水分をエタノール、プロピレンオキサイド・エポキシ樹脂で順に置換し、ウルトラミクロトームを用いてスライス後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察して10個の炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子の粒径を計測し、算術平均した結果、320nmであった。同様に平均被覆厚を10個の炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子それぞれの割断面より、被覆層を1つの粒子につき8ヶ所測定し、算術平均により算出した結果、70nmであった。透過型電子顕微鏡観察の視野中に、トリクロサン・IPMP分散粒子を被覆していない炭酸カルシウム凝集物は観察されなかった。
炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子水分散液と糖アルコールとしてのソルビトールとの混合は、次の手順で行った。
500mLビーカー中で炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子水分散液100gと70質量%ソルビトール液100g(質量比で1/1)を混合し、スターラーチップで5分間撹拌し、遠心分離(2,220G、5分間)により炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子を沈降させ、上清を除去(炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子水分散液と70質量%ソルビトール液混合液200gのうち133gの上清を除去、つまりソルビトール水溶液相192.1gのうち133g除去、59.1g残留)し、炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子を11.8質量%含むpH7.0の32.1質量%ソルビトール水溶液67gを得た。なお、ソルビトール濃度は前記1−a)と同条件にてHPLCによる定量分析を行ない、算出した。
〔(A)トリクロサン水分散液の調製〕
200mLトールビーカーに純水128.0gと乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム(純正化学(株)製)3.35gを添加して溶解し、ウォーターバスを用いて65℃に加温し、ここに水難溶性薬効成分としてトリクロサン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)10.7gを添加して65℃に保ったまま35mmのスターラーピースを用いて20分攪拌し、トリクロサン水分散液142.05gを調製し、その139.24gを回収した。回収できなかった残りは装置内滞留分である。
炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製ポアカル−N)35gを純水465gに分散させた。これをビーズミル(ウルトラアペックスミルUAM−015(寿工業(株)製))の原液タンクに仕込み、分散させながらミル内に供給して(流量10kg/hr)、ZrO2のφ0.1mmビーズを用いて50分間粉砕を行なった(ミル回転数4,350rpm)。なお、粉砕途中の30分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)7.0gを添加し、炭酸カルシウム微粒子水分散液のpHを7.0に調整した。更に、粉砕50分の時点で、2N塩酸(関東化学(株)製)2.07gを添加することにより、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液509.07gを得た。分散液の温度は、最初23℃であったが、冷却水の導入を絞って、機械力による温度上昇を受けて、粉砕終了時に60℃となるように制御した。
炭酸カルシウム微粒子平均粒径の測定
体積平均粒径測定用に、上記と同一条件下で、炭酸カルシウム微粒子水分散液を調製し、pH7.0の炭酸カルシウム微粒子水分散液509.0gを得た。この炭酸カルシウム微粒子水分散液に、配合した炭酸カルシウムの質量(35g)の3倍量(105g)のクエン酸三ナトリウム(純正化学(株)製)を凝集防止剤として添加し、その分散液2mlについて、動的光散乱型粒度分析計(日機装(株)製マイクロトラックUPA−150)で10分間計測した結果、分散液中の炭酸カルシウム微粒子の体積平均粒径は30nmであった。
得られた(B)炭酸カルシウム微粒子水分散液509.07gが存在するミル原料タンク(容量800mL)内に、上記(A)トリクロサン水分散液の139.2gを添加、混合して、更にビーズミルで15分間粉砕(ミル回転数4,350rpm、55〜60℃)し、炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子水分散液520gを回収した。回収できなかった残りは装置内滞留分である。分散液のpHは、7.1であった。
平均粒径20μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、純度約99%)100gを純水1kgに懸濁し、撹拌しながら加温し80℃に保った。次に、pHをアルカリ性に保ちながら、モル比でCa:P=約6:1になるようにリン酸水溶液(リン酸(和光純薬工業(株)製)を純水で2倍に希釈したもの)を滴下し反応させた後、更に第二リン酸カルシウム・2水和物(和光純薬工業(株)製)をモル比でCa:P=約1.5:1になるように加え、撹拌しながら加温し、80℃に保った。反応時のpHを中性からアルカリ性に保ちながら、生成物を乾燥・必要に応じて粉砕した。なお、得られた中空微粒子分散液の適量に、2%四酸化オスミウム水溶液を添加し、水分をエタノール、プロピレンオキサイド・エポキシ樹脂で順に置換し、ウルトラミクロトームを用いてスライス後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察して10個の中空微粒子の粒径を計測し、算術平均した結果、20μmであった。同様に平均被覆厚を10個の中空微粒子それぞれの割断面より、被覆層を1つの粒子につき8ヶ所測定し、算術平均により算出した結果、5μmであった。
上記調製例1−a)〜1−e)で調製した炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の分散液、調製例1−f)で調製したマイクロカプセルを用い、下記組成の歯磨剤(実施例1〜5、比較例1〜5)、洗口剤(実施例6,7)を下記方法により調製し、水難溶性薬効成分(殺菌剤)内包被覆微粒子、水難溶性薬効成分(殺菌剤)内包カプセルのモデル歯垢短時間殺菌効果、口腔粘膜モデルへの滞留性、製剤中保存安定性を下記方法で確認した。
精製水中に水溶成分(pH調整剤、モノフルオロリン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム等)を常温で混合溶解させたA相を調製した。更に、モノフルオロリン酸ナトリウムは、日本国内で認可される含有量がフッ素イオンとして1,000ppm以下であるため、実施例ではモノフルオロリン酸ナトリウムは0.73%を中心に配合した。一方、プロピレングリコール中に、ポリアクリル酸ナトリウム(レオジック250H、日本純薬(株)製)、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を常温で溶解・分散させたB相を調製した。次に、撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相を調製した。更に、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用いC相と香料、無水ケイ酸、その他の成分(デキストラナーゼ、ラウリル硫酸ナトリウム等)とを常温で混合し、4kPaまで減圧し脱泡を行い、歯磨剤1.0kgを得た(比較例1,2)。
一方、C相中に、水難溶性薬効成分(殺菌剤)内包被覆微粒子の分散液(実施例1〜5、比較例3)又は各カプセル剤(比較例4,5)、香料、無水ケイ酸、その他の成分(デキストラナーゼ、ラウリル硫酸ナトリウム等)を、1.5Lニーダー(石山工作所製)を用い常温で混合し、4kPaまで減圧し脱泡を行い、歯磨剤1.0kgを得た(実施例1〜5、比較例3〜5)。
洗口剤の調製(実施例6〜7)は以下のように行った。スリーワンモーターと回転羽根を有する撹拌機を装着したステンレス製容器に、規定量の精製水を投入し、配合成分のうち各水難溶性薬効成分内包被覆微粒子の分散液、水溶性成分を撹拌しながら投入、溶解させた。一方、スリーワンモーターと回転羽根を有する撹拌機を装着した別のステンレス製容器に、規定量のエタノール等の有機溶剤を投入し、配合成分のうち油溶性成分を撹拌しながら投入、溶解させた。更に、水難溶性薬効成分(殺菌剤)内包被覆微粒子の分散液及び水溶性成分を溶解させた容器に、油溶性成分を加え、1分〜30分撹拌し、均一溶液とし洗口剤を得た。
直径7mm×厚さ3.5mmのハイドロキシアパタイト(HA)板(ペンタックス(株)製)を0.45μmのフィルターで濾過したヒト無刺激唾液で4時間処理したものをモデル歯垢作成の担体に用いた。次に、HA担体をう蝕原因菌であるミュータンス菌(Streptococcus mutans ATCC25175)を含むTHB(Todd Hewitt Broth、Difco社製)培地1mLに投入し、37℃、嫌気状態で1日培養し、HA担体表面に人工プラークを形成させた。人工プラークを生理食塩水で2回洗浄後、各実施例の歯磨剤:純水=1:3希釈液1mL、洗口剤:純水=10:1希釈液1mLに投入し、3分間振とうした。なお、歯磨剤:純水の1:3希釈液及び洗口剤:純水の10:1希釈液とは、歯磨き時及び洗口剤使用時に歯磨剤及び洗口剤が唾液によって希釈されることを想定した。その後、2mLの生理食塩水で2回洗浄し(洗口剤の場合、洗浄せずに処置液を吸い取り)、1質量%のショ糖を含むTHB培地0.5mLに投入し、37℃、嫌気状態で10分間インキュベートした。その後、滅菌生理食塩水1mLで超音波処理(200μA、10秒間)によりモデル歯垢を分散しTHB寒天平板に50μL塗沫、嫌気的条件下で培養した。生育したコロニーを計測し、残存するミュータンス菌の菌数(cfu)を求め、下記の基準に則り判定した。
◎:生菌数が106未満
○:生菌数が106以上107未満
△:生菌数が107以上108未満
×:生菌数が108以上
底面にI型コラーゲンコートを施した、6穴シャーレ(スミロンセルタイトC−1プレート6F、住友ベークライト(株)製)に、短時間殺菌効果確認実験と同様に各実施例の歯磨剤:純水=1:3希釈液10mL、洗口剤:純水=10:1希釈液10mLを投入し、3分間振とうした。その後、10mLの生理食塩水で10回洗浄し、1N−塩酸(和光純薬工業(株)製)2mLを滴下、5分間放置しコラーゲン膜に吸着した水難溶性薬効成分(殺菌剤)内包被覆微粒子又はカプセルを酸溶解させた。その後、溶解したカルシウムを原子吸光光度計(日立Z−5310、(株)日立ハイテクノロジーズ製)により分析し、下記基準で評価した。
◎:Caとして80μg/ウェル以上
○:Caとして60μg/ウェル以上80μg/ウェル未満
△:Caとして40μg/ウェル以上60μg/ウェル未満
×:Caとして40μg/ウェル未満
50℃、一ヶ月保存した各実施例及び比較例の歯磨剤:純水=1:3希釈液を室温、3,000rpmで10分間遠心した。同様に洗口剤については、原液を室温、3,000rpmで10分間遠心した。それぞれの上清1mLを99.5%エタノール(和光純薬工業(株)製)4mLで希釈し、ポア径0.45μmの液体クロマトグラフィ用フィルター(クロマトディスク13P、十慈フィールド(株)製)でろ過後、高速液体クロマトグラフィ(以下、HPLCと略す。)にて上清液中の殺菌成分の定量分析を行ない、殺菌剤漏出率(%)を算出した。HPLCの測定条件は以下の通りである。
検出器: 紫外吸光光度計(測定波長:285nm)UV−970、日本分光(株)製
カラム: 内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てん
(YMC−Pack ODS−A (4.6mmφ×250mm)、YMC社製)
カラム温度: 40℃
移動相: アセトニトリル/水/酢酸混液(60:40:1(体積比))混合液
流量: 1.0mL/min
◎:殺菌剤漏出率10%未満
○:殺菌剤漏出率10%以上15%未満
△:殺菌剤漏出率15%以上20%未満
×:殺菌剤漏出率20%以上
総合判定基準
◎:短時間殺菌能、口腔内滞留性、製剤中安定性が全てが◎である。
○:短時間殺菌能、口腔内滞留性、製剤中安定性が○あるいは◎で、○が1項目以上ある
。
△:短時間殺菌能、口腔内滞留性、製剤中安定性のうち、2項目以上が△であり、かつ×
が1項目もない。
×:短時間殺菌能、口腔内滞留性、製剤中安定性のうち、1項目でも×がある。
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−a)で調製した炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子のソルビトール水溶液分散液(分散液中被覆トリクロサン微粒子含有率7.1質量%、ソルビトール濃度57.7質量%、水含量35.2質量%; 被覆トリクロサン微粒子中トリクロサン含量22.5質量%) 6.3
(被覆トリクロサン微粒子として0.4473%、トリクロサンとして0.1006%)
プロピレングリコール 3.0
(プロピレングリコール、昭和電工(株))
アルギン酸ナトリウム 0.6
(アルギン酸ナトリウム、(株)紀文フードケミファ)
グリセリン(グリセリン、ライオン(株)) 5.0
70%ソルビトール液 30.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−b)で調製した炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子のソルビトール水溶液分散液(分散液中被覆IPMP微粒子濃度7.8質量%、ソルビトール濃度33.6質量%、水含量58.6質量%; 被覆IPMP微粒子中IPMP含量14.1質量%)
4.55
(被覆IPMP微粒子として0.3549%、IPMPとして0.05%)
乳酸アルミニウム 1.0
硝酸カリウム 5.0
プロピレングリコール 5.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.85
(レオジック252L、日本純薬(株))
70%ソルビトール液 40.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
水酸化アルミニウム 40.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−c)で調製した炭酸カルシウム被覆チモール微粒子のソルビトール水溶液分散液(分散液中被覆チモール微粒子濃度10.7質量%、ソルビトール濃度32.4質量%、水含量56.9質量%; 被覆チモール微粒子中チモール含量15.3質量%)
6.1
(被覆チモール微粒子として0.6527%、チモールとして0.0999%)
プロピレングリコール 3.0
カラギーナン 0.7
キサンタンガム 0.6
グリセリン 15.0
70%ソルビトール液 20.0
水酸化ナトリウム 0.5
ラウリル硫酸ナトリウム 0.9
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
水酸化アルミニウム 40.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−d)で調製した炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子のソルビトール水溶液分散液(分散液中炭酸カルシウム被覆トリクロサン・IPMP微粒子濃度11.8質量%、ソルビトール濃度32.1質量%、含量56.1質量%; 被覆トリクロサン・IPMP微粒子中トリクロサン含量9.4質量%、IPMP含量:同様に4.7質量%) 9.0
(被覆トリクロサン・IPMP微粒子として1.062%、トリクロサンとして0.0998%、IPMPとして0.0499%)
プロピレングリコール 10.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.8
キサンタンガム 0.5
70%ソルビトール液 20.0
塩化セチルピリジニウム 0.02
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
キシリトール 5.0
デキストラナーゼ 0.3
香料 0.5
精製水 残
計 100.0%
無水ケイ酸 15.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−b)で調製した炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子のソルビトール水溶液分散液(分散液中被覆IPMP微粒子濃度7.8質量%、ソルビトール濃度33.6質量%、水含量58.6質量%; 被覆IPMP微粒子中IPMP含量14.1質量%)
0.06
(炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子として0.0043%、IPMPとして0.0006%)
プロピレングリコール 3.0
カラギーナン 0.7
キサンタンガム 0.6
グリセリン 10.0
キシリトール 20.0
水酸化ナトリウム 0.5
ラウリル硫酸ナトリウム 0.9
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
調製例1−a)で調製した炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子のソルビトール水溶液分散液(分散液中被覆トリクロサン微粒子含有率7.1質量%、ソルビトール濃度57.7質量%、水含量35.2質量%; 被覆トリクロサン微粒子中トリクロサン含量22.5質量%)) 1.25
(被覆トリクロサン微粒子として0.0887%、トリクロサンとして0.02%)
ポリオキシエチレン(平均付加EO 40)硬化ヒマシ油 1.0
(EMALEX HC−40、日本エマルジョン(株)製)
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.3
塩化ベンザルコニウム 0.01
サッカリンナトリウム 0.1
キシリトール 3.0
グリセリン 5.0
エタノール 3.0
0.1%緑色3号 0.8
香料 0.3
精製水 残
計 100.0%
調製例1−b)で調製した炭酸カルシウム被覆IPMP微粒子のソルビトール水溶液分散液(分散液中被覆IPMP微粒子濃度7.8質量%、ソルビトール濃度33.6質量%、水含量58.6質量%; 被覆IPMP微粒子中IPMP含量14.1質量%)
0.91
(被覆IPMP微粒子として0.07%、IPMPとして0.01%)
ポリオキシエチレン(平均付加EO 60)硬化ヒマシ油 1.5
(NIKKOL(登録商標) HCO−60、日光ケミカルズ(株)製)
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.3
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.15
サッカリンナトリウム 0.1
キシリトール 5.0
プロピレングリコール 5.0
0.1%緑色3号 0.8
香料 0.3
精製水 残
計 100.0%
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
トリクロサン 0.1
プロピレングリコール 3.0
(プロピレングリコール、昭和電工(株))
アルギン酸ナトリウム 0.6
(アルギン酸ナトリウム、(株)紀文フードケミファ)
グリセリン(グリセリン、ライオン(株)) 30.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
IPMP 0.05
乳酸アルミニウム 1.0
硝酸カリウム 5.0
プロピレングリコール 5.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.85
(レオジック252L、日本純薬(株))
70%ソルビトール液 55.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−e)で調製した炭酸カルシウム被覆トリクロサン微粒子の水分散液
(分散液中被覆トリクロサン微粒子含有率7.1質量%、水含量92.9質量%; 被覆トリクロサン微粒子中トリクロサン含量22.5質量%) 6.3
(被覆トリクロサン微粒子に対し22.5質量%、トリクロサン微粒子に対し0.1006質量%)
プロピレングリコール 3.0
(プロピレングリコール、昭和電工(株))
アルギン酸ナトリウム 0.6
(アルギン酸ナトリウム、(株)紀文フードケミファ)
グリセリン(グリセリン、ライオン(株)) 30.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−f)で調製したトリクロサン内包カプセル
(トリクロサン含量:カプセル全量に対し12質量%) 0.83
(トリクロサンとして0.1%)
プロピレングリコール 3.0
(プロピレングリコール、昭和電工(株))
アルギン酸ナトリウム 0.6
(アルギン酸ナトリウム、(株)紀文フードケミファ)
グリセリン(グリセリン、ライオン(株)) 30.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73
調製例1−f)で調製したIPMP内包カプセル
(IPMP含量:カプセル全量に対し10質量%) 0.5
(IPMPとして0.05%)
乳酸アルミニウム 1.0
硝酸カリウム 5.0
プロピレングリコール 5.0
ポリアクリル酸ナトリウム 0.85
(レオジック252L、日本純薬(株))
70%ソルビトール液 55.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
サッカリンナトリウム 0.02
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
Claims (4)
- イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン及びチモールから選ばれる1種以上の水難溶性薬効成分が乳化剤により乳化分散した水難溶性薬効成分の水分散液(A)と体積平均粒径1nm〜1μmの炭酸カルシウム微粒子の水分散液(B)とを、(水分散液(B)中の炭酸カルシウム(b))/(水分散液(A)中の水難溶性薬効成分(a−1)及び乳化剤(a−2))が質量比として1/1〜5/1となるように混合することにより得られる、水難溶性薬効成分の分散粒子が炭酸カルシウムで被覆された平均粒径が30nm〜5μmである薬効成分微粒子の水分散液の水相が、糖アルコール水溶液に置換されてなる、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の糖アルコール水溶液分散液を配合したことを特徴とする口腔用組成物。
- 糖アルコールが、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、パラチニット、マルチトールから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の口腔用組成物。
- 糖アルコール水溶液分散液中の炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の濃度が0.1〜30質量%である請求項1又は2記載の口腔用組成物。
- (I)イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン及びチモールから選ばれる1種以上の水難溶性薬効成分を乳化剤により乳化分散させて水難溶性薬効成分の水分散液(A)を調製する工程、
(II)炭酸カルシウムを水に分散させ、微粉化処理して、体積平均粒径1nm〜1μmの炭酸カルシウム微粒子の水分散液(B)を調製する工程、
(III)前記水分散液(A)及び水分散液(B)を、(水分散液(B)中の炭酸カルシウム(b))/(水分散液(A)中の水難溶性薬効成分(a−1)及び乳化剤(a−2))が質量比として1/1〜5/1となるように混合し、水難溶性薬効成分の分散粒子が炭酸カルシウムで被覆された平均粒径が30nm〜5μmである薬効成分微粒子の水分散液を調製する工程、
(IV)前記(III)工程で得られた炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子の水分散液に糖アルコール又は糖アルコール水溶液を混合し、遠心分離・上澄除去を行って、水分散液の水相を糖アルコール水溶液に置換し、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子を糖アルコール水溶液分散液として配合する工程
を含むことを特徴とする、炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子を含有する口腔用組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006181404A JP4935976B2 (ja) | 2006-06-30 | 2006-06-30 | 口腔用組成物及び炭酸カルシウム被覆水難溶性薬効成分微粒子を含有する口腔用組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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