JP4935066B2 - 接着性に優れたエアーバッグ用コート布帛およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維基材との接着性にすぐれたシリコーン硬化皮膜を形成することが可能なコーティング組成物および該コーティング組成物の硬化皮膜を有する繊維基材に関するものである。特に、ナイロン66等の合成繊維織物からなるエアーバッグ用の基布に対して、優れた接着性を示し、薄塗りであっても接着性が優れたエアーバッグを提供できるコーティング組成物を塗布したエアーバッグの製造方法に関する。
シリコーンゴムを基布またはそれらの縫製物などにコーティングして硬化させ、防水性と撥水性に優れる柔軟なコーティング基材を得ることは従来から行われており、このようなコーティング基材は防水シート、テント、エアーバッグ等、多くの分野において使用されている。このうち、エアーバッグ用のコーティング基材については、自動車などの安全装置の材料としてその重要性を増しており、従来のクロロプレンゴムに代って、シリコーンゴムが多く使用されている。
従来のエアーバッグ基布へのシリコーンゴムのコーティングにおいては、シリコーンゴム組成物を溶剤に希釈し、粘度を調整して使用することが一般的であった。しかし、用いられる溶剤は環境、作業の安全性に問題があるため、これを無溶剤化あるいはエマルジョン化することが望まれていた。このような無溶剤化あるいはエマルジョン化したシリコーンゴム組成物に於ても、これらの組成物が基材との十分な接着性を有している必要があり、十分な接着性を付与するための様々な工夫が提案されている。
一般的には、接着性付与のために従来の接着性付与剤を多量に用いることが試みられるが、接着付与剤を多量に投入すると加工時の熱量を高くしないと硬化不良が生じ、加工費が高くなるか、あるいは、シリコーン硬化物表面の粘着性が増加する、いわゆる表面タック性能が劣る問題があった。また、微粉末状シリカをシリコーンゴム補強用充填剤として使用される例が(例えば、特許文献1参照)、またアクリル系シランカップリング剤を用いる例が(例えば、特許文献2参照)、アルコキシシランの使用が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの従来技術においてもシリコーンゴム組成物と基材との接着が不十分なため、エアーバッグ作動時のインフレーター内から発生する高温のガスと、展張時のコーティング面同志の激しい擦過によってゴム層が剥離したり、焼損するという重大な問題を生じる恐れがあった。
特開平5−25435号公報 特開平5−140459号公報 特開2002−88307号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、当業界で求められている基材との接着性にすぐれたシリコーン硬化皮膜を形成することができるコーティング組成物の硬化皮膜を形成させた繊維基材を提供するものである。特に、ナイロン66等の合成繊維織物からなるエアーバッグ用の基布に対して、優れた接着性を有する組成物の硬化皮膜を形成させた布帛と効率よく生産する方法を提供するものである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、優れたゴム弾性を有する硬化皮膜を形成し得るシリコーン組成物に特定の状態に制御されたアルミニウム系錯体を添加することにより、該課題を解決することができることを見出したものである。即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. シリコーン系コート布のコート面を蛍光X線で測定した際に、視野1cmで測定された任意の12箇所中に存在するAlのX線強度の次式で示されるCV(%)が25%以下であることを特徴とするエアーバッグ用コート布帛。
CV(%)={12箇所のAlの吸収強度の標準偏差(σ)/12箇所のAlの吸収強度の平均値(X)}×100 ・・・・・ 式(1)
2. シリコーン系コート布のコート面を蛍光X線で測定した際に、同一箇所を12回測定したときのAlのX線強度の式(1)で示されるCV%(R)の値(式(1)の12箇所は12回と読み替える)と、任意の場所を12箇所測定したときのAlのX線強度の式(1)で示されるCV%(F)の値から、式(2)で示される比Aが8以下であることを特徴とするエアーバッグ用コート布帛。
CV%(F) / CV%(R) = A ・・・・・ 式(2)
3. コートされた布帛のJIS L 1096に規定されるテーバー摩耗試験前後での重量変化が25 mg以下であり、コートされた布帛のJIS L 1096に規定されるスコット型揉み試験の結果が500回以上でも剥がれが確認されないことを特徴とする上記第1または第2に記載のエアーバッグ用コート布帛。
4. コートされた布帛中のコーティング層に含まれるAlの量が、300ppm〜1000ppmであることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかに記載のエアーバッグ用コート布帛。
5. コーティング層の塗布量が5〜50g/m2であることを特徴とする上記第1〜第4いずれかに記載のエアーバッグ用コート布帛。
6. 固体のAl系化合物の平均粒径を20μm以下にしてコート剤へ添加して使用することを特徴とする上記第1から第5のいずれかに記載のエアーバッグ用コート布帛の製造方法。
本発明によるエアーバッグ用コート布帛はアルミニウム化合物の分散性を向上させることにより、接着性が改善されるエアーバッグ用シリコーンコート布を効率良く生産することが出来るという利点がある。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のエアーバッグ用コート布帛にはアルミニウム化合物を含有するシリコーン系コート剤が塗布されていることが剥離強度を高めることが出来るため好ましい。理由は必ずしも明確ではないが、繊維に含まれている酸化防止効果を有する沃化第一銅カリウムとコート剤に含まれているアルミニウム化合物が繊維とコート剤の界面で化学的な反応や化学的結合などのなんらかの相互作用を発生し、剥離強度の改善に繋がっているものと思われる。ここでいうアルミニウム系化合物とはアルミからなる錯体および/またはアルミ水酸化物の微粒子である。錯体としては、アセチルアセトナト錯体、ビピペリジン錯体、ビピラジン錯体、テトラアザシクロテトラデカン錯体、エチレンビス(グアニド)錯体、テトラエチレングリコール錯体、グリシン錯体、トリグリシン錯体、ナフチリジン錯体、フェナントロリン錯体、ピリジン錯体、サリチルアルデヒド錯体、ポルフィリン錯体、チオ尿酸錯体などを好ましく使用することができ、特に好ましくはアセチルアセトナト錯体であり、およびこの前駆体である。より詳しくはアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)およびアルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネートを例示することができる。
このアルミニウム化合物はシリコーン樹脂成分100重量部当たり0.1〜5重量部の範囲で添加されることが好ましく、コーティングされる基材の種類、その表面性状などに応じて適宜添加するのがよい。0.1重量部を下回ると接着力が低下しやすく、また5重量部を超えるとゴム状弾性体の弾性が低下しやすい。好ましくは0.3〜2部、より好ましくは0.5〜1.5部である。
本発明のエアーバッグ用コート布帛は得られたコート布のコート面を蛍光X線で測定した際、視野1cmで測定された布(全幅1.5m×長さ1m)12箇所のAlのX線強度を下記式(1)計算した際、CV%が25%以下であることが好ましい。25%を越えるCV%では、アルミニウム(Al)の分散が不良となり、接着性が低下しやすい。好ましくは15%以下、より好ましくは8%以下である。
CV%={(12箇所のAlの吸収強度の標準偏差)/(12箇所のAlの吸収強度の平均値)}×100・・・・・ 式(1)
シリコーン系コート布のコート面を蛍光X線で測定した際に、同一箇所を12回測定したときのAlのX線強度から計算されるCV%(R)と、任意の場所を12箇所の測定したときのAlのX線強度から計算されるCV%(F)の比Aが8以下であることが好ましい。添加されるAlの分散性が不良であると、CV%(F)の値が増加し、これに伴い下式(2)のAの値が増大する。Aの値が8を超えると、分散不良となり好ましくない。好ましくは6%以下、より好ましくは4%以下である。尚、CV%(R)及びCV%(F)の計算は上式(1)を流用することとし、CV%(R)については、12箇所を12回と読み替えるものとする。
CV%(F) / CV%(R) = A ・・・・・式(2)
本発明のエアーバッグ用コート布帛は剥離強度としてコート面のJIS L 1096に規定されるテーバー摩耗試験前後での重量変化が25mg以下であることが好ましい。重量変化が25mgを越えるとコンパクトに折り畳まれているエアーバッグが急速に展開される時に周りの固定物やあるいはエアーバッグ同士がこすれて剥がれてしまいやすく、剥がれてしまうと特にエアーバッグ内の空気圧保持時間が5秒以上必要とされるサイドカーテンエアーバッグとしては好ましくないものとなる。より好ましくは20mg以下、さらには15mg以下が一層好ましい。
コートされた布帛のJIS L 1096に規定されるスコット型摩耗試験機での外観変化が500回で生じないことが好ましい。500回より少ないと展開時に剥がれが生じ気密性を損なう危険がある。好ましくは1000回以上外観変化が無いこと、より好ましくは3000回以上でも外観変化が無いことである。
コートされた布帛中のコーティング層に含まれるAlの量は、300ppm〜1000ppmであることが好ましい。Alの添加量が300ppm未満であると、接着に寄与する触媒として不足しているため、剥がれが生じやすくなる。逆に1000ppmより多いと剤の中に含まれる固形分が多くなりコーティング斑が起こりやすくなるため好ましくない。より好ましくは400ppm〜900ppm、更に好ましくは500ppm〜800ppmである。
アルミニウム化合物は一般的に粘調性の液体か固体の状態で存在する。シリコーン系樹脂は比較的高粘度を有しており、アルミニウム化合物の分散性が悪いと接着力が低下し、剥がれが生じる恐れがある。分散性を高めるためAl化合物を添加する場合は、添加後、トルクとして20MPa以上を有する攪拌機を使用し、500rpm以上の回転で3分間以上行った物を使用すべきである。これ以下のトルク、回転数、時間であると分散が均一にならないため、コート後の布帛の一部で剥がれが生じるおそれがある。また固形物のアルミニウム化合物を使用する場合は、平均粒径を20μm以下にすべきである。平均粒径を20μm以下にするためには、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミルやサンドミル等従来公知の分散機を用い、粒径を小さくすれば良い。アルミニウム化合物だけで分散が困難な場合は、コート剤に用いるその他の成分をアルミニウム化合物に対し所定量(1〜50wt%)混合させてから分散させると分散が容易になるので好ましい。分散機での分散により20μm以下とした後、上述した能力を持つ攪拌機で他の成分と撹拌させるとより好ましい平均粒径としては、18μm以下が好ましく、より好ましくは15μm以下である。
Al系化合物の最大粒径は40μm以下とすることが好ましい。40μmを超えると分散性が不十分となりやすい他、コーティング中に固形物が異物となりコート筋を発生させる恐れがあるので好ましくない。より好ましくは最大粒径が30μm以下、更に好ましくは最大粒径が20μm以下である。
該布帛上にコートされる樹脂の塗布量は5〜50g/m2が好ましい。塗布量が5g/m2未満であると通気度が高くなってしまいやすいため好ましくなく、また、50g/m2を超えると厚みが増大し、コンパクト性が劣ってしまうため好ましくない。より好ましくは7〜35g/m2で、更に好ましくは8〜25g/m2、最も好ましくは10〜20g/m2である。
本発明のエアーバッグ用コート布帛に使用したシリコーン樹脂は、必要に応じて、充填剤を随時付加的に配合してもよく、また本発明の効果を損わない範囲で他のポリオルガノシロキサンを併用してもよい。このような付随的添加物としては、通常、煙霧質シリカ、沈降法シリカ、石英粉末、けいそう土、ガラスビーズ、ポリジメチルシロキサン等が例示される。
本発明のエアーバッグ用コート布帛に使用される合成繊維織物としては、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン4・6およびナイロン6とナイロン6・6の共重合、ナイロン6にポリアルキレングリコール、ジカルボン酸やアミンなどを共重合したポリアミド繊維、あるいは、いわゆるポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレグタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとPEGの縮合重合を行ったようなポリエステル系の繊維から構成される織物が用いられる。これらの中でもナイロン6・6、ナイロン6が耐衝撃性の面から好ましい。さらに、ナイロン6・6が耐熱性の面から特に好ましい。かかる繊維には上記の酸化防止剤以外に原糸の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために通常使用されている各種添加剤を含んでもよい。たとえば熱安定剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめることができる。
原糸の機械的特性としては、切断強度で7.0cN/dtex以上であることが好ましく、さらに好ましくは8.0cN/dtex以上である。また好ましい繊度は100〜630dtex、より好ましくは210〜470dtexであるが、特に限定されるものではない。
本発明のエアーバッグ用コート布帛に使用される合成繊維織物のカバーファクターは1800〜2400であることが好ましい。1800未満であれば引張強力が著しく低下するので好ましくなく、また2500を越えるとコーティング布帛の風合いが硬くなりやすいため好ましくない。より好ましくは1850〜2400であり、さらには1900〜2350が一層好ましい。なおカバーファクターは下記式(3)によって求めることが出来る。尚、糸の繊度の単位はデシテックス、織密度の単位は本/2.54cmである。カバーファクター=(経糸の繊度)1/2×経糸密度+(緯糸の繊度)1/2×緯糸密度・・・式(3)
本発明のエアーバッグ用コート布帛は、合成繊維織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されていることが必要である。樹脂を被覆させることで空気遮断性を持たせ、さらにはインフレーターから発生する高温のガスや展開残渣から合成繊維織物を守ることができる。本発明に用いる樹脂は、柔軟性、耐熱性が優れ、かつ基布への塗工性が優れるシリコーン樹脂が特に好ましい。かかるシリコーン樹脂については、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニル系シリコーン、フロロ系シリコーンが用いられる。また、これらの樹脂には難燃化合物を含有しているものが好ましい。かかる難燃化合物としては、臭素、塩素などのハロゲン化合物、特にハロゲン化シクロアルカン、白金化合物、酸化アンチモン、酸化銅、酸化チタン、燐化合物、チオ尿素系化合物、カーボン、セリウムなどを使用することができ、これらの中でもハロゲン化合物、白金化合物、酸化銅、酸化チタン、カーボンがより好ましい。有機溶剤で希釈された樹脂が一般的には用いられが、本発明においては環境への配慮のため、使用しないことが好ましい。
以下、実施例を用いて詳述するが、本発明の実施形態を限定するものではない。
[付着量]
コーティング前の基布の重量を測定し(以下(a)とする)、その基布の上にコーティングし、硬化させた後の基布の重量を測定した(以下(b)とする)。付着量(以下(c))は次式のようにして求めた。(a)と(b)は同一の反物で長さ方向 1m以内からサンプリングを行った。尚、(a)、(b)、及び(c)は1m2当たりの重量(g/m2)で表す。
(c) = (b)−(a)
[粘度]
JIS K 5101-6-2に記載のB型粘度計を用いて測定した。
[摩耗強さ]
JIS L 1096 8.17.3 C法のa)質量の減少を評価として用いた。
[揉み強さ]
JIS L 1096 8.17.2 B法を使用し、100回ごとのコーティング面の状態を確認した。コート面の剥がれが生じるまでの回数を揉み強さの回数とした。
[Al化合物の粒径]
Al化合物単体、あるいはAl化合物とシリコーン混合物をフィルム上に薄く伸ばし、そのフィルムごと実体顕微鏡を用いて1000倍に拡大した写真を任意の場所3箇所撮影した。写真内に含まれる固形物から、最大の長さの部分を測定し、最大粒径とした。平均粒径は写真内の固形物をランダムに10ヶ/1枚に付き選び出し、その固形物の長辺の平均値を平均粒径とした。
[コーティング布帛中のAl量の測定]
ナイロン66で製織された基布の上にシリコーンコートが所定量塗布されている基布に対し、蛍光X線を用いて測定を行った。なおこの際、蛍光X線の視野として1cmとし布帛上の1箇所を12回測定した後、布帛上の任意の12点箇所の測定を行った。ICPで定量を行った既知のAl化合物を用いて作成した検量線を用いて、蛍光X線で得られたデータの換算を行った。得られたデータの平均値、並びに標準偏差から、CV%を計算した。
[Al添加量]
コーティングされた基布から、2g計量したものを白金るつぼに入れ、電熱器上で加熱し炭化させた。次に電気炉で550度に加熱し灰化物を得た。得られた灰化物を1M塩酸溶液で溶解させた後に20mLに定容した。溶液中のAl高周波誘導プラズマ発光分析法(測定機器:リガク社製、CIROS-120)より求めた。得られた値(以下dとする)から、コーティング剤中のAl添加量(ppm)を次式により求めた。(b)はコーティング後の基布の重量、(c)はコーティング剤の付着量、を示す。
Al添加量 = (d) /(c) × (b)
剤の調整は次のように行った。
(A)成分として、粘度約25000cPsであるビニル基含有ジメチルポリシロキサン100部、(B)成分として、粘度約100cPsであるメチルハイドロジェンシロキサン1.5部、(C)成分として粘度約200cPsのグリシドキシ基を有するエポキシアルコキシシラン1部、(D)成分として粘度約150cPsであるビニル基を有するトリメトキシビニルシラン1部、(E)成分としてアルミニウムトリス(アセチルアセトナート)所定量、(F)成分として白金1重量%含有する白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を1部添加し、所定の攪拌機で撹拌を行った。なお、(E)成分は、各実施例、比較例に記載の方法で処理を行った後に、剤の調整に用いた。
(基布)
350dtex/72filの糸を用い、加工後の密度が経糸方向63本/2.54cm、緯糸方向61本/2.54cmとなるようにウォータージェットルームにより製織し、精練-乾燥処理加工を行った基布を用いた。
(実施例1)
(E)成分を1部に対し、(A)成分を4部の割合で混合させた粘性を有するシリコーン混合物を、3本ロールミルに通した。ロールミル通過後の粒径を確認したところ、最大粒径38μm、平均粒径18μmの固形物が観測された。この粘性物を(A)成分96に対し、5部添加した。すなわち剤全体としては(A)成分100に対し(E)成分1部となる。
このように調合された剤を、フローティングナイフコート機を用いてコーティングを行った。乾燥炉の温度は170℃で炉内を60sで通過するように設定した。付着量25g/m2となるように布帛テンションの調整を行い、コーティングを行った。
得られたコーティング布に対し、摩耗試験、揉み試験、及び蛍光X線での分析を行った。摩耗試験、揉み試験は強い接着性を有しており、コーティング布として問題の無い物であった。このコート布の蛍光X線の分析からCV%が8以下であり、コーティング布帛内でのAlの分散が均一に行われていることを示している。
(実施例2)
付着量18g/m2となるようにコーティングを行った以外は実施例1に従った。
参考例1
(E)成分を予めボールミルで分散し、(A)成分100に対して、1部を添加し剤を調整し付着量45g/m2となるようにコーティングをした以外は実施例1と同様の方法でコーティングを行った。ボールミル分散後の粒径は最大41μm、平均20μmであった。
(比較例1)
(E)成分を(A)成分100に対して、固体のまま1部を添加し剤を調整した以外は実施例1と同様の方法でコーティングを行った。固体は、最大粒径52μm、平均粒径35μmであった。
得られたコーティング布帛は、摩耗試験、接着試験とも実施例1よりも劣るものであった。蛍光X線の分析からCV%が28%であり、布帛に存在するコーティング内のAlの分散が均一に行われていないことを示している。
本発明は、ナイロン66等の合成繊維織物からなるエアーバッグ用の基布に対して、アルミニウム化合物の分散性を向上させることにより、優れた接着性を示し、薄塗りであっても接着性が優れたエアーバッグを提供できるコーティング組成物を塗布したエアーバッグ用コーティング布帛とその効率の高い製造方法を提供するものである。

Claims (6)

  1. 固体のアルミニウム系化合物として、平均粒子系20μm以下であるアルミからなる錯体を含み、コーティング層の塗布量が5〜25g/mであるシリコーン系コート布のコート面を蛍光X線で測定した際に、視野1cmで測定された任意の12箇所中に存在するAlのX線強度の次式で示されるCV(%)が25%以下であることを特徴とするエアーバッグ用コート布帛。
    CV(%)={12箇所のAlの吸収強度の標準偏差(σ)/12箇所のAlの吸収強度の平均値(X)}×100 ・・・・・ 式(1)
  2. 固体のアルミニウム系化合物として、平均粒子系20μm以下であるアルミからなる錯体を含み、コーティング層の塗布量が5〜25g/mであるシリコーン系コート布のコート面を蛍光X線で測定した際に、同一箇所を12回測定したときのAlのX線強度の式(1)で示されるCV%(R)の値(式(1)の12箇所は12回と読み替える)と、任意の場所を12箇所測定したときのAlのX線強度の式(1)で示されるCV%(F)の値から、式(2)で示される比Aが8以下であることを特徴とするエアーバッグ用コート布帛。
  3. コートされた布帛のJIS L 1096に規定されるテーバー摩耗試験前後での重量変化が25 mg以下であり、コートされた布帛のJIS L 1096に規定されるスコット型揉み試験の結果が500回以上でも剥がれが確認されないことを特徴とする請求項1または2いずれか1項に記載のエアーバッグ用コート布帛。
  4. コートされた布帛中のコーティング層に含まれるAlの量が、300ppm〜1000ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアーバッグ用コート布帛。
  5. 固体のAl系化合物を分散機により平均粒径を20μm以下にしてコート剤へ添加し、使用することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエアーバッグ用コート布帛の製造方法。
  6. 固体のAl系化合物を分散機により平均粒径を20μm以下にしてコート剤へ添加し、攪拌後、使用することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のエアーバッグ用コート布帛の製造方法。
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