JP4171866B2 - エアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ並びにエアーバッグ用基布の製造方法 - Google Patents
エアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ並びにエアーバッグ用基布の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に搭載されるエアーバッグ用として好適なエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ並びにエアーバッグ用基布の製造方法に関する。更に詳しくは、溶剤による希釈なしに基材に対する薄膜コーティングを可能にし、特にエアーバッグの展開時における高温・高展張に耐え得るエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物及びエアーバッグ並びにエアーバッグ用基布の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、車両等に搭乗する乗員への衝撃を緩和する保護用安全装置としてエアーバッグが実用化されている。従来、エアーバッグはナイロン等の合成繊維の織物にクロロプレン系樹脂をコーティングした複合材料であった。
【0003】
しかしながら、クロロプレン系樹脂によりコーティングされたエアーバッグは、長期間一定温度以上の環境に放置すると、コーティング基布の種類によっては当該樹脂から遊離する塩化水素により基布を構成する分子鎖が切断され、エアーバッグ自身の強度が低下する傾向にあった。
【0004】
また、クロロプレン系樹脂は硬化後の硬度が高く、エアーバッグの風合いが硬くなってしまい、その結果エアーバッグのコンパクト化を困難とさせていた。しかも、クロロプレン系樹脂によるコーティングは軽量化が困難であり、従来搭載されている大型車両における意匠性や小型車両にも搭載を可能とするためのコンパクト化を妨げる状態となっている。
【0005】
一方、近年になってシリコーンゴムによりコーティングされたエアーバッグが上市されており、この種のエアーバッグは展開時の燃焼ガスの高温耐性に優れかつ硬度を低くすることもでき、更にクロロプレン系樹脂に比べ軽量化が行えるため、エアーバッグモジュールのコンパクト化・軽量化も可能となっている。
【0006】
更に、最も新しいタイプのエアーバッグシステムとして、側面衝突時における搭乗員への衝撃緩和又は車両横転時に搭乗員が車外に放り出されないためのサイドカーテンシールドエアーバッグが実用化されている。このサイドカーテンシールドエアーバッグは、展開後一定時間以上インフレーション剤の爆発により発生するガス圧(内圧)を保持する必要があり、展開後短時間に萎んでしまうような、内圧の保持時間が短くとも問題のない運転席や助手席に取り付けられるフロントエアーバッグとは求められる性能に大きな差がある。更に生産性の面からコーティングスピードを落とすことなくシリコーンゴムを均一にコートすることや、コストの面でフロントエアーバッグに必要とされる塗布量と同等又は少ない量の塗布量で十分な気密性を保持できることが必要とされている。
【0007】
しかしながら、従来のクロロプレン系樹脂はもとより、エマルジョンタイプのシリコーンコート材では、必要な気密性を得ることができず、またミラブルタイプのシリコーンコート材についても、溶剤による希釈が必要など生産性や作業性に劣ることが問題とされていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、エアーバッグ用として有効で、エアーバッグ用基材に対して少ない塗布量でも高い気密性を保持する皮膜を与え、コンパクト化や高い展張性を持つエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物及びこのシリコーンゴム組成物の硬化皮膜が形成されたエアーバッグ、特にサイドカーテンシールドエアーバッグ、並びにエアーバッグ用基布の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を進めた結果、(A)一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(C)付加反応触媒を含有すること、この場合、更に好ましくは(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物、(E)分子中にアルケニル基を有するシロキサン単位と、式SiO4/2で示されるシロキサン単位とを含有するオルガノポリシロキサンレジン、(F)微粉末状シリカ、並びに(G)カーボン、NiO2、FeO、FeO2、Fe2O3、Fe3O4、CoO2、CeO2、TiO2、CaCO3、MgCO3及びAl(OH)3から選ばれる粉体のうち1種又は2種以上を配合することにより、エアーバッグ用基材に対して30g/m2以下の少ない塗布量でも高い気密性を保持する硬化皮膜を形成し得、コンパクト化や高い展張性を持つコーティング用シリコーンゴム組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、
(A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
【化11】
(式中、pは1〜50の整数、qは0〜50の整数であり、Xは水素原子、R1又はR2を表し、R1及びR2は脂肪族不飽和結合を除く、互いに同一又は異種の、非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪
素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有することを特徴とするエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、
(A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
【化2】
(式中、pは1〜50の整数、qは0〜50の整数であり、Xは水素原子、R1又はR2を表し、R1及びR2は脂肪族不飽和結合を除く、互いに同一又は異種の、非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪
素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(E)一分子中にアルケニル基を有するシロキサン単位と、式SiO4/2で示されるシロキサン単位とを含有するオルガノポリシロキサンレジン 1〜25重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有することを特徴とするエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物を提供する。
更に、エアーバッグ基布に上記エアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物の硬化皮膜が形成されてなるエアーバッグを提供する。なおまた、
(A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有し、更に、
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
【化12】
(式中、pは1〜50の整数、qは0〜50の整数であり、Xは水素原子、R1又はR2を表し、R1及びR2は脂肪族不飽和結合を除く、互いに同一又は異種の、非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
を配合したシリコーンゴム組成物をエアーバッグ基布上に塗布し、該組成物を加熱硬化させてシリコーンゴムコーティングエアーバッグ用基布を製造するに当り、上記(B)成分の配合量を、組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量にすることを特徴とするエアーバッグ用基布の製造方法、及び、
(A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(E)一分子中にアルケニル基を有するシロキサン単位と、式SiO4/2で示されるシロキサン単位とを含有するオルガノポリシロキサンレジン 1〜25重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有し、更に、
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
【化13】
(式中、pは1〜50の整数、qは0〜50の整数であり、Xは水素原子、R1又はR2を表し、R1及びR2は脂肪族不飽和結合を除く、互いに同一又は異種の、非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
を配合したシリコーンゴム組成物をエアーバッグ基布上に塗布し、該組成物を加熱硬化させてシリコーンゴムコーティングエアーバッグ用基布を製造するに当り、上記(B)成分の配合量を、組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量にすることを特徴とするエアーバッグ用基布の製造方法を提供する。
【0012】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に使用される(A)成分のオルガノポリシロキサンは、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)となる成分であり、本発明の組成物が、硬化後にゴム弾性を有するシリコーンゴムコーティング膜になるため、一分子中に珪素原子に結合するアルケニル基を少なくとも2個有することが必要である。このオルガノポリシロキサンとしては、下記一般式で表されるものを用いることができる。
【0013】
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nはそれぞれ1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
【0014】
ここで、上記式中の珪素原子に結合するアルケニル基であるR4は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中の珪素原子に結合していてもよく、両者に存在してもよく、好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜6のもので、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基などが挙げられるが、合成の容易さや化学的安定性などの点からビニル基が好ましい。
【0015】
また、珪素原子に結合するアルケニル基以外の炭化水素基であるR3としては、炭素数1〜12、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、特に脂肪族不飽和結合を有しないものが好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等のハロゲン置換やシアノ置換炭化水素基を例示することができる。これらのうち好ましいものは合成が容易で化学的安定性のよいメチル基、フェニル基の一方又は混合からなるものである。
【0016】
上記式中、mは1.95≦m≦2.05、nは0.0001≦n≦0.1、より好ましくは0.001≦n≦0.05を満足する正数であり、またm+nは1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。
【0017】
上記オルガノポリシロキサンの構造としては、一般的には主鎖部分がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる分子鎖末端がトリオルガノシロキシ基により封鎖された直鎖状のオルガノポリシロキサンである。
【0018】
本発明のオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sec(ミリパスカル・秒)であり、好ましくは1,000〜100,000mPa・secである。100mPa・sec未満の場合は硬化物が脆弱になってしまい、またコーティングを施したエアーバッグが硬くなってしまうおそれがある。また、1,000,000mPa・secを超えると取り扱いが困難になり、コーティングの際に溶剤による希釈が必要になるなど作業性が劣ってしまう場合がある。
【0019】
上記オルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体などが挙げられる。
【0020】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中の珪素原子結合水素原子(即ち、SiH基)が(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋構造を形成して硬化を起こし、実用上十分な強度を持つシリコーンゴム硬化物を与えるための架橋剤として必須の成分である。当該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるものである。
【0021】
【化3】
(式中、pは1〜50の整数、qは0〜50の整数であり、Xは水素原子、R1又はR2を表し、R1及びR2は脂肪族不飽和結合を除く、互いに同一又は異種の、非置換又は置換の一価炭化水素基を表す。)
【0022】
前記式(1)のR1及びR2は炭素数1〜12、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、特に脂肪族不飽和結合を有さないものが好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等のハロゲン置換やシアノ置換炭化水素基を例示することができる。これらのうち好ましいものは(A)成分と同様に合成が容易で化学的安定性のよいメチル基、フェニル基の一方又は混合からなるものである。なお、上記式(1)中において、R1とR2は同じ基であっても異なった基であってもよい。
【0023】
また、一般式(1)中のpは1〜50、好ましくは1〜25、より好ましくは5〜20の整数、qは0〜50、好ましくは0〜25、より好ましくは5〜20の整数であり、またpとqの比率は次式で示されるtが
t=p/(p+q)
0.1≦t<1を満たすような構造のものが好ましく、更には0.2≦t≦0.8を満たす構造のものが好ましい。
【0024】
なお、本発明において、上記式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用して用いてもよい。
【0025】
上記式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、好ましくは1〜500mPa・sec、更に5〜100mPa・secであるものが好ましい。
【0026】
(B)成分の使用量は、組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基1個に対し(B)成分中に存在する珪素原子結合の水素原子(SiH基)の数の比が1:3.5〜1:6(即ち、(SiH/SiCH=CH2);3.5〜6mol/mol)の範囲になる量であり、更に好ましくは1:3.5〜1:5.5になる量である。この比が2未満の場合はコーティングされたエアーバッグにおいて十分な気密性を得ることができず、7より大きいとコーティングされたエアーバッグ基布を構成する織り糸同士の絡み合いを弱め、エアーバッグの引き裂き強さが著しく低下してしまう。
【0027】
なお、この珪素原子に結合したアルケニル基は、(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基の他に、後述する任意成分としての(D)成分、(E)成分中の珪素原子結合アルケニル基及び(C)成分の白金族金属系触媒に用いられる錯体や希釈剤としてのアルケニル基含有シロキサン中のアルケニル基等の合計を意味するものである。
【0028】
本発明のシリコーンゴム組成物には、(C)成分として付加反応触媒、特に白金族金属系触媒が用いられる。これは前記(A)成分の珪素原子に結合するアルケニル基と(B)成分の珪素原子に結合する水素原子との付加反応を促進するための触媒であり、この触媒としてはヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられる。その具体例としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;
H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O
(但し、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である。)
等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックスなどが挙げられる。
【0029】
本発明に使用される(C)成分の配合量は、いわゆる触媒量でよく、通常、全組成物の合計量に対する白金族金属の重量換算で、0.1〜500ppm、更には1〜200ppm程度でよい。
【0030】
本発明のシリコーンゴム組成物は、前記(A)〜(C)成分を必須成分とするものであるが、それらの成分に加えて本発明のシリコーンゴム組成物中には、(D)成分として一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物を配合することが好ましい。
【0031】
(D)成分の有機珪素化合物は、エアーバッグ用の合成繊維織物基材、不織布基材、或いは熱可塑性樹脂シート状又はフィルム状基材に対する接着性を向上させるために用いられる成分であり、このような接着性向上成分としては、例えばアルコキシ基及びビニル基を有するエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、珪素原子結合水素原子を持つエポキシ基含有オルガノポリシロキサン、珪素原子結合水素原子とアルコキシ基を有するエポキシ基含有オルガノポリシロキサン等のエポキシ基含有オルガノポリシロキサンや、珪素原子結合水素原子を有するアルコキシ基含有オルガノポリシロキサン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシ基含有オルガノシラン等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いられる。
【0032】
(D)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部であることが望ましい。配合量が少なすぎると、十分な接着性が得られない場合があり、配合量が多すぎると、コスト的に高いものとなり不経済となる場合がある。
【0033】
また(E)成分としてオルガノポリシロキサンレジンを配合することが好ましい。このオルガノポリシロキサンレジンはSiO4/2単位とR3SiO1/2単位とを必須に含有し、場合によってはR2SiO2/2単位、RSiO3/2単位を任意に含有してもよい三次元網状構造のものであり(ここでRは炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、前記R3、R4として例示したものと同じものを挙げることができる)、このようなオルガノポリシロキサンレジンを配合することにより、得られるシリコーンゴムの強度が高くなり、好ましいものとなる。オルガノポリシロキサンレジンとしては、特にビニル基等のアルケニル基を持つものが本発明組成物中の架橋構造中に取り込まれることによりその強度を向上させるため、分子中にアルケニル基を有するシロキサン単位と、式SiO4/2で示されるシロキサン単位とを含有するオルガノポリシロキサンレジンを配合することが好ましい。
【0034】
また、このレジンは必須構成単位としてのR3SiO1/2単位(M)とSiO2単位(Q)とを、そのモル比がM/Q;0.7〜1.5、特に0.8〜1.2の割合で含有するものであることが好ましい。
【0035】
なお、上記レジン中のアルケニル基含有量は、1〜5重量%、特に2〜3重量%であることが好ましい。このアルケニル基含有量が1重量%より少ないと、(E)成分のオルガノポリシロキサンレジン中にアルケニル基を含有しないレジン分子が生成、混入する可能性があり、5重量%より多いとこの組成物を硬化したシリコーンゴムの伸びが低くなり、耐熱性にも劣る場合がある。
【0036】
このようなオルガノポリシロキサンレジンとしては、例えば、(CH3)3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH3)3SiO1/2単位と(CH2=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位と(CH2=CH)SiO3/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH2=CH)SiO3/2単位と(CH3)3SiO1/2単位と(CH3)2SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン、(CH3)3SiO1/2単位と(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなるレジン等が挙げられる。
【0037】
上記(E)成分のレジンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して1〜25重量部とすることが好ましく、特に5〜25重量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると、目的とするゴム強度が得られない場合があり、配合量が多すぎると、ゴムの硬化皮膜が固くなり、エアーバッグとしての風合いが損なわれてしまう場合がある。
【0038】
更に、本発明のシリコーンゴム組成物には、(F)成分として補強性のある微粉末状のシリカを配合することが推奨される。この(F)成分の微粉末状シリカは硬化物の機械的強度を補強するためのもので、従来からシリコーンゴムの補強性充填剤として使用されている公知のものでよく、例えば、煙霧質シリカ、沈降シリカなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0039】
これらのシリカ粒子は、通常BET法による比表面積が50m2/g以上、特に50〜500m2/g程度のものが一般的である。
【0040】
このような微粉末状シリカはそのまま使用してもよいが、本発明組成物に良好な流動性を付与させるため、メチルクロロシラン類、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどの有機珪素化合物で処理したものを使用することが好ましい。
【0041】
(F)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して1〜100重量部、特に5〜15重量部とすることが好ましい。配合量が少なすぎると、ゴム硬化物の機械的強度が低下する場合があり、配合量が多すぎると、組成物の流動性が低下して作業性が悪くなる場合がある。
【0042】
また、本発明のシリコーンゴム組成物には、(G)成分としてカーボン、NiO2、FeO、FeO2、Fe2O3、Fe3O4、CoO2、CeO2、TiO2、CaCO3、MgCO3及びAl(OH)3から選ばれる1種又は2種以上を配合することにより、シリコーンゴム及びシリコーンゴムコーティング基材に高温耐性を付与することができるため、好ましいものとなる。具体的には、上記したカーボン、NiO2、FeO、FeO2、Fe2O3、Fe3O4、CoO2、CeO2、TiO2、CaCO3、MgCO3及びAl(OH)3から選ばれる、平均粒子径が20μm以下、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.01〜10μmの粉末の1種又は2種以上であることが望ましい。平均粒子径が20μmより大きくなると薄膜コーティング時の表面平滑性が低下する場合があり、平均粒子径が0.01μmより小さいと2次凝集がつぶれにくく均一なものが得られない場合がある。
【0043】
(G)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対し0.1〜100重量部であることが望ましく、より好ましくは0.3〜20重量部であることが望ましい。0.1重量部未満の場合は高温耐性向上に効果が期待できないおそれがあり、また100重量部を超える場合には硬化物の物性に悪影響を与え、コーティング基材として必要な物性を得られない場合がある。
【0044】
なお、本発明組成物には前記成分以外にも必要に応じてヒドロシリル化反応制御剤などを配合してもよい。配合量としては本発明の効果を損なわない限り任意とされる。ヒドロシリル化反応制御剤としては、具体的にトリアリルイソシアヌレート、アセチレンアルコール類などが挙げられる。更に白金触媒や白金化合物触媒などを内在してなるマイクロカプセルのような形態を持つ触媒を使用し、ヒドロシリル化反応を制御することも可能である。
【0045】
また、本発明組成物には、従来からシリコーンゴムの添加剤として周知とされている各種添加剤、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、希土類酸化物、セリウムシラノレート等の無機充填剤、顔料や耐熱剤等を添加配合することは本発明の目的を損わない限り差し支えない。
【0046】
本発明の組成物を製造するには、通常の硬化性シリコーンゴム組成物と同様に、2液に分け、使用時にこの2液を混合して硬化させるいわゆる2液型の組成物とすることができる。その場合には(C)成分と(B)成分を同一グループ内に共存させない、また(D)成分に珪素原子結合の水素原子を持つような有機化合物を配合する場合にも(C)成分と(D)成分を同一グループ内に共存させないこと以外に特に制限はない。
【0047】
上記(A)〜(C)成分、好ましくは(A)〜(G)成分に必要に応じて有機溶剤、顔料、耐熱剤などの任意成分を添加して均一に混合した後、エアーバッグ用合成繊維織物上にコーティングし、熱風乾燥炉に入れて加熱硬化させてエアーバッグ用シリコーンゴムコーティング基布とすることができる。
【0048】
このコーティング用シリコーンゴム組成物は、エアーバッグ用として、エアーバッグ基布に対するコーティング剤として適したものであり、エアーバッグ用の合成繊維織物、不織布、熱可塑性樹脂シート状又はフィルム状の基材といったコーティング対象に適用すると、シリコーンゴムコーティング膜とエアーバッグ用基布とが強固に結合し、一体化する。
【0049】
この場合、エアーバッグ用基布に対する本発明のシリコーンゴム組成物のコーティング量は、15〜150g/m2、より好ましくは15〜80g/m2、更に好ましくは20〜40g/m2とすることが好ましく、本発明によれば、基材に対し薄膜コーティングを可能にし、シリコーンゴム組成物がエアーバッグ用基材に対して30g/m2以下の塗布量でも高い気密性を保持し得るものである。
【0050】
なお、本発明のシリコーンゴム組成物の硬化条件は、適宜選定されるが、120〜180℃において1〜10分とすることが好ましい。
【0051】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記においてViはビニル基、Meはメチル基を示す。
【0052】
[実施例1]
分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖されたVi基含有量0.32重量%のジメチルポリシロキサン84重量部、トリメチルシリル基で処理された比表面積が130m2/gの疎水性シリカ30重量部をニーダー中に投入し、よく撹拌しながらヘキサメチレンジシラザン5重量部と水1.5重量部を添加し、無加熱で均一になるまで混合を行った。この後温度を170℃に昇温し、引き続き4時間の混合を行い、その後室温まで降温した。このようにして得られた混合物60重量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖されたVi基含有量0.32重量%のジメチルポリシロキサン40重量部を加えたベース100重量部に、接着促進剤としてビニルトリメトキシシランを0.5重量部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖された25℃での粘度が約600mPa・secのジメチルポリシロキサンで希釈した白金触媒溶液(Vi基含有量0.4重量%、白金原子含有量1重量%)として0.3重量部、制御剤として1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルテトラシロキサン1重量部、コーティング状態を目視で確認できるようにベンガラ0.5重量部を加え、均一に混合し、調製液を調合した。次いでこの調合液に下記の平均分子式を持つハイドロジェンポリシロキサン1を17.5重量部添加混合し、シリコーンゴム組成物を調製した。
【0053】
【化4】
【0054】
この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比(SiH/SiVi)は5.2であった。
【0055】
次に、この組成物をエアーバッグ用ナイロン66(420デニール)基布にコーティングして気密性の評価を行った。コーティング方法はコーターによりエアーバッグ用基布(ナイロン66)に対しシリコーンゴム組成物を20〜30g/m2になるようにコーティングし、170℃のオーブン中で1分間の加熱を行い、硬化させた。
【0056】
気密性確認は、このコーティングした基布を気密性評価器に接続した後、面積約28cm2のコーティング面に対して2.5kgf/cm2のエアー圧力をかけ、コーティングした裏面からの5秒間の総エアーリーク量を測定した。本試験においてエアーリーク量が1ml以下を合格ラインとした。
【0057】
スコット揉み試験はスコット揉み試験機を用いて評価を行い、評価方法は押し圧力2kgfで500回の揉み試験後、コーティング部分の破壊状況を目視で確認し、コート材のコーティング面からの剥離や剥れがないものを合格とした。
【0058】
引き裂き強度評価はJIS−K6328に準じて測定を行った。また引き抜き強度についてはコーティング基布を幅2cm、長さ10cmの短冊状に切断したものを短い一辺の中心の点(両端から1cmの部分)から短冊状の対角線の交わる中心に向かい1cmの部分に直径約2mmの孔を空け、その孔にオートグラフの冶具を通し、もう一方の端を冶具に挟み上下方向に引っ張りその強度を測定した。これらの特性値の結果を表1に示す。
【0059】
[実施例2]
実施例1において下記の平均分子式を持つハイドロジェンポリシロキサン2を25重量部添加すること以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0060】
【化5】
【0061】
この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は4.3であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に併記する。
【0062】
[実施例3]
実施例1で使用したハイドロジェンポリシロキサン1を5.0重量部と更に下記の平均分子式を持つハイドロジェンポリシロキサン3を16.6重量部添加すること以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。
【0063】
【化6】
【0064】
この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は3.7であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に併記する。
【0065】
[比較例1]
実施例1において使用したハイドロジェンポリシロキサン1を5.0重量部にすること以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は1.5であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に併記する。
【0066】
[比較例2]
実施例2において使用したハイドロジェンポリシロキサン2を9.0重量部にすること以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は1.5であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に併記する。
【0067】
[比較例3]
実施例3において使用したハイドロジェンポリシロキサン1の添加量を30.4重量部にすること以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は9.0であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に併記する。
【0068】
【表1】
【0069】
[実施例4]
分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖された25℃での粘度が約10,000mPa・secのビニル基含有量が0.14重量%であるジメチルポリシロキサン60重量部、同じく分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖された25℃での粘度が約5,000mPa・secのビニル基含有量が0.16重量%であるジメチルポリシロキサン20重量部、Vi(Me)2SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるビニル基含有メチルポリシロキサンレジン(ビニル基含有量2.3重量%)20重量部、接着促進剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体を分子鎖両末端がビニルジメチルシリル基で封鎖された25℃での粘度が約600mPa・secのジメチルポリシロキサンで希釈した溶液(Vi基含有量0.4重量%、白金原子含有量1重量%)0.3重量部、硬化制御剤として1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルテトラシロキサン1重量部、コーティング状態を目視で確認できるようにベンガラ0.5重量部を加え均一に混合し、調製液を調合した。この調合液に実施例1で用いたハイドロジェンポリシロキサン1を20重量部添加混合し、シリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は4.5であった。このように得られたシリコーンゴム組成物を実施例1と同様にエアーバッグ基布ヘコーティングし、評価を行った。結果を表2に示す。
【0070】
[実施例5]
実施例4において実施例2で用いたハイドロジェンポリシロキサン2を39.6重量部添加すること以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は5.0であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表2に併記する。
【0071】
[実施例6]
実施例4において下記の平均分子式を持つハイドロジェンポリシロキサン4を34.4重量部添加混合すること以外は実施例4と同様にシリコーンゴム組成物を調製した。
【0072】
【化7】
【0073】
この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は3.5であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表2に併記する。
【0074】
[比較例4]
実施例4において使用したハイドロジェンポリシロキサン1を6.7重量部にすること以外は、実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は1.5であった。また、この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表2に併記する。
【0075】
[比較例5]
実施例5において使用したハイドロジェンポリシロキサン2を10.3重量部にすること以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は1.3であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表2に併記する。
【0076】
[比較例6]
実施例4において使用したハイドロジェンポリシロキサン1を35.6重量部にすること以外は実施例4と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物の珪素原子結合ビニル基に対する珪素原子結合水素原子のモル比は8.0であった。この組成物の特性についても実施例1と同様に測定を行った。結果を表2に併記する。
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】
本発明のコーティング用シリコーンゴム組成物をコーティングしたナイロン66等の合成繊維織物等からなるエアーバッグ用基布は、コーティングが薄膜であっても気密性に優れかつスコット揉み試験においても耐久性に問題はないという特徴を有する。
Claims (9)
- (A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪
素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有することを特徴とするエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物。 - (A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪
素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(E)一分子中にアルケニル基を有するシロキサン単位と、式SiO4/2で示されるシロキサン単位とを含有するオルガノポリシロキサンレジン 1〜25重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有することを特徴とするエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物。 - 組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜5.5である請求項1又は2記載のシリコーンゴム組成物。
- (F)微粉末状シリカ 1〜100重量部
を配合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。 - (G)カーボン、NiO2、FeO、FeO2、Fe2O3、Fe3O4、CoO2、CeO2、TiO2、CaCO3、MgCO3及びAl(OH)3から選ばれる1種又は2種以上 0.1〜100重量部
を配合することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物。 - エアーバッグ基布に請求項1乃至5のいずれか1項記載のエアーバッグ基布コーティング用シリコーンゴム組成物の硬化皮膜が形成されてなるエアーバッグ。
- (A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有し、更に、
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
を配合したシリコーンゴム組成物をエアーバッグ基布上に塗布し、該組成物を加熱硬化させてシリコーンゴムコーティングエアーバッグ用基布を製造するに当り、上記(B)成分の配合量を、組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量にすることを特徴とするエアーバッグ用基布の製造方法。 - (A)下記式
R3 mR4 nSiO(4-m-n)/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を除く非置換又は置換の一価炭化水素基、R4はアルケニル基、m,nは、1.95≦m≦2.05、0.0001≦n≦0.1、1.98≦m+n≦2.1を満足する正数である。)
で示される、一分子中に珪素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100重量部
(C)塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとのコンプレックスから選ばれる白金族金属系付加反応触媒
全組成物の重量に対する白金族金属の重量換算で0.1〜500ppm
(D)一分子中にエポキシ基及び/又はアルコキシ基を少なくとも1個有する有機珪素化合物 0.1〜10重量部
(E)一分子中にアルケニル基を有するシロキサン単位と、式SiO4/2で示されるシロキサン単位とを含有するオルガノポリシロキサンレジン 1〜25重量部
(H)ヒドロシリル化反応制御剤 有効量
を含有し、更に、
(B)一分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有する下記一般式(1)
で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
を配合したシリコーンゴム組成物をエアーバッグ基布上に塗布し、該組成物を加熱硬化させてシリコーンゴムコーティングエアーバッグ用基布を製造するに当り、上記(B)成分の配合量を、組成物中の珪素原子に結合したアルケニル基のモル数に対し、(B)成分中の珪素原子に結合する水素原子のモル数の比が3.5〜6となる量にすることを特徴とするエアーバッグ用基布の製造方法。 - シリコーンゴム組成物が、
(F)微粉末状シリカ 1〜100重量部
及び/又は
(G)カーボン、NiO2、FeO、FeO2、Fe2O3、Fe3O4、CoO2、CeO2、TiO2、CaCO3、MgCO3及びAl(OH)3から選ばれる1種又は2種以上
0.1〜100重量部
を含有する請求項7又は8記載の製造方法。
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