JP2011080158A - エアバッグ用コート布 - Google Patents

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Abstract

【課題】25g/m以下の少ない塗布量でも、インフレーターから発生する高温ガスによる穴開きが発生しにくく、接着性に優れるエアバッグ用コート布を提供する。
【解決手段】合成繊維製織物の少なくとも片面に、シリコーン樹脂組成物を塗布してなるエアバッグ用コート布であって、乾燥後の樹脂組成物の塗布量が25g/m以下であり、ISO5981で規定されるスクラブテストの達成回数が800回以上であり、かつ所定の防炎試験における穴開き時間が15秒以上であることを特徴とするエアバッグ用コート布。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用エアバッグに用いるコート布に関し、更に詳しくはナイロン66等の合成繊維織物からなる基布との接着性に優れ、かつ25g/m以下の少ない塗布量であっても、インフレーターから発生する高温ガスによる穴開きが発生しないエアバッグ用コート布に関する。
自動車用エアバッグは、衝突の際、衝撃を受けてセンサーが作動し、高温、高圧のガスを発生させ、このガスにより、エアバッグを瞬間的に膨張させ、衝突時に乗員の顔面、前頭部などの人体を保護する目的で使用される。近年、安全装備の一つとして幅広く普及しており、運転席、助手席のみならず、ニーバッグ、サイドバッグ、カーテンエアバッグ等の実用化が進み、複数のエアバッグが標準装備として装着される自動車も増加している。
搭載されるエアバッグの部位及び数量の増加にともない、エアバッグシステムの更なる軽量化、コンパクト化の要望が高まり、システムの各部品は小型化、軽量化を目指して設計されてきている。このような背景から、エアバッグの袋体も、ノンコート化、バッグ容量の低減などにより軽量化が検討されている。
一方、2000年に米国法規FMVSS208の改正にともない、インフレーターのデュアル化が検討されている。このインフレーターは2段展開方式になるため、2段階目のガス出力が従来のインフレーター出力より大きくなり、エアバッグ基布に対するダメージが大きくなるため、さらに高い防炎性能を有する基布が要望されている。
従来、インフレーターから瞬時に噴出される高温ガスに耐えられるように、クロロプレンゴムやシリコーンゴムなどの耐熱性エラストマーを織物に40〜80g/m付着させたコート布が用いられてきた。さらに、エアラストマー樹脂を複数回に分けて塗液を複数層に塗布し、全塗布量をエラストマー樹脂換算で100〜400g/mにしたエアバッグ用基布も検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、このコート布は耐熱性には優れるものの、塗布量が多いため、コート布全体の質量が増大し、軽量化の点から好ましくない。また、塗布層も硬くなり、収納性の点でも好ましくない。
一方、軽量性及び収納性に優れるノンコートエアバッグ基布を用いて、インフレーターから発生する高温のミストによる穴あきが発生しないエアバッグ基布およびエアバッグが検討されている(例えば、特許文献2を参照)。
具体的には、扁平断面の単糸を用い、かつ総繊度を400〜700dtexである合成繊維マルチフィラメントを用いた、防融性試験による試験片の穴開きが2級以上である、防融性に優れる織物が開示されている。前記の防融性試験は350℃の熱コテに5秒間試料を置いて評価している。ところが、この評価方法では、実際に高温のインフレーターガスを用いたエアバッグの評価結果と比べ、防炎性能の良否の差異が明確ではなかった。そのため、差別化が不十分な評価法を用いてエアバッグ用基布を設計しているため、特許文献1で得られたエアバッグ用基布は、防炎性能の点で十分とは言えなかった。
特開2008− 2003号公報 特開2003−171843号公報
本発明の目的は、25g/m以下の少ない塗布量でも、インフレーターから発生する高温ガスによる穴開きが発生しにくく、接着性に優れるエアバッグ用コート布を提供することにある。
前記の課題を解決することができる本発明のエアバッグ用コート布は、以下の構成よりなる。
すなわち、本発明は、合成繊維製織物の少なくとも片面に、シリコーン樹脂組成物を塗布してなるエアバッグ用コート布であって、シリコーン樹脂組成物の塗布量が25g/m以下であり、ISO5981で規定されるスクラブテストの達成回数が800回以上であり、かつ下記の防炎試験における穴開き時間が15秒以上であることを特徴とするエアバッグ用コート布である。
(防炎試験)
15cm×15cmにカットしたコート布サンプルを大枠で挟み、弛みが発生しない状態にする。次に、ガスバーナーを用いて炎の長さを10cmに調整し、炎の先端から更に1cm離した位置に、サンプルを挟んだ大枠をセットする。この際、赤色の炎が出ず、かつ炎が当たる側のサンプル表面の温度が赤外温度計で450±20℃になるように、ガスバーナーから照射される炎をガス及び空気調整弁を用いて事前に調整する。次いで、コート布サンプルを炎に照射した瞬間から、穴が開くまでの時間を計測する。
また、前記のシリコーン樹脂組成物は、下記(A)〜(F)を含有し、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数Hと、有機ケイ素化合物(E)中のビニル基のモル数Vとのモル比(V/H)が0.02〜0.27であることが好ましい。
(A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサン
(B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(C)シリカ粒子
(D)エポキシ基を有する有機ケイ素化合物
(E)ケイ素原子結合ビニル基を有する平均分子量が1,000以下の有機ケイ素化合物
(F)付加反応触媒
また、本発明の好適な実施形態は、シリカ粒子(C)が、シリコーン樹脂組成物の全体量に対し、10〜20質量%含有すること、織物を構成する糸条の総繊度が、200〜470dtexであること、または織物のカバーファクターが、1,800〜2,500であることである。
本発明のエアバッグ用コート布は、25g/m以下の少ない塗布量であっても、防炎性及び接着性に優れている。
そのため、高出力のデュアル化インフレーターを用いた場合であっても、エアバッグ基布のダメージを少なくすることができる。また、接着性に優れているため、折り畳まれたエアバッグ基布を展開する際に塗布層が剥離しにくく、通気度及び防炎性の低下が少ない。さらに、コンパクトに収納することができるため、車内デザインの制約を少なくできるという利点がある。
本発明において、防炎試験における穴開き時間を評価するために使用する評価装置及び条件を示す説明図である。
1:ガスバーナー
2:炎
3:試料
以下本発明を詳述する。
<合成繊維織物>
本発明において、合成繊維製織物とは、合成繊維糸条を用いて製織される織物を意味する。織物は、機械的強度に優れ、厚さを薄くできるという点で優れている。織物の組織は、特に限定されるものでなく、平織、綾織、朱子織およびこれらの変化織、多軸織などを用いることができる。これらの中でも、優れた機械的強度を有する平織物が特に好ましい。
合成繊維としては、特にナイロン66、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維のような芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維が使用される。
他には、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニン・ベンゾビス・オキサゾール繊維(PBO繊維)、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエーテルケトン繊維等が挙げられる。ただし、経済性を勘案すると、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が好ましく、特に好ましくはポリアミド6,6である。また、これらの繊維はその一部または全部が再利用された原材料より得られるものでもよい。
また、これらの合成繊維には、原糸製造工程や後加工工程での工程通過性を向上させるために、各種添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、平滑剤、帯電防止剤、増粘剤、難燃剤等が挙げられる。また、この合成繊維は原着糸や製糸後染色したものでもよい。また、単糸の断面は、通常の丸断面のほか、異形断面のどのようなものであってもよい。合成繊維は、マルチフィラメント糸を用いることが、柔軟性、コート面の平滑性の点から好ましい。
<コート布>
本発明のエアバッグ用コート布は、25g/m以下の少ない塗布量で、シリコーン樹脂組成物からなる硬化皮膜が形成されたコート布であり、特に下記の2つの発明特定事項を同時に満足する点に特別な技術的特徴を有する。
(a)ISO5981で規定されるスクラブテストの達成回数が800回以上
(b)下記の防炎試験における穴開き時間が15秒以上
(防炎試験)
15cm×15cmにカットしたコート布サンプルを大枠で挟み、弛みが発生しない状態にする。次に、ガスバーナーを用いて炎の長さを10cmに調整し、炎の先端から更に1cm離した位置に、サンプルを挟んだ大枠をセットする。この際、赤色の炎が出ず、かつ炎が当たる側のサンプル表面の温度が赤外温度計で450±20℃になるように、ガスバーナーから照射される炎をガス及び空気調整弁を用いて事前に調整する。次いで、コート布サンプルを炎に照射した瞬間から、穴が開くまでの時間を計測する。
上記(a)の「ISO5981で規定されるスクラブテストの達成回数」は、折り畳まれたエアバッグ基布を展開する際に塗布層が剥離しにくさを示す接着性を示す尺度である。このスクラブテストの達成回数が800回以上あれば、接着性に優れるため、折り畳まれたエアバッグ基布を展開する際に塗布層が剥離しにくく、通気度及び防炎性の低下を抑制することができる。
前記のスクラブテストの達成回数は、1,000回以上が好ましく、さらに好ましくは1,500回以上である。前記のスクラブテストの達成回数が800回未満の場合には、コンパクトに折り畳まれているエアバッグが急速に展開される際に、周りの固定物やあるいはエアバッグ同士が擦れて剥がれてしまいやすく、剥がれにより、エアバッグの空気保持時間が低減し(通気度が高くなる)、防炎性も悪化する。
また、上記(b)の「防炎試験における穴開き時間」は、高出力のデュアル化インフレーターを用いた場合であっても、エアバッグ基布のダメージを少なくすることができる。一般に、シリコーン樹脂の硬化被膜が形成されたコート布は、塗布量が少なくなるほど防炎性が低下することが知られている。
しかしながら、上記(b)の防炎試験において、試料に穴が開くまでの時間が15秒以上である場合、インフレーターから発生する高温のミストによる穴開きが発生しないことを見出した。防炎試験における穴開き時間が20秒以上であることがより好ましい。
従来、前記の特許文献2に段落0011に記載された「防融性試験による試験片の穴あき」の試験方法は、表面温度を350℃に調整した熱コテ先部に試料を静置する静的評価が用いられてきた。しかしながら、高出力のデュアル化インフレーターを用いて、エアバッグを展開させた時に、穴が開いた試料と穴が開かなかった試料で、防炎性能に大きな差は見られなかった。
一方、本発明で用いる上記(b)の防炎試験では、試料の表面温度を450±20℃になるように調整しているため、高出力のデュアル化インフレーターを用いて、エアバッグを展開させた時に、穴が開いた試料と穴が開かなかった試料で、防炎性能に大きな差異が見られる。この理由として、一般的にシリコーン樹脂の分解が開始する温度が400℃付近であるためと考えられる。
そのため、試料の表面温度が450±20℃となるように調整することにより、シリコーン樹脂組成物の組成の違いにより大きな差が見られることを知見し、硬化被膜を構成するシリコーン樹脂組成物の材料設計に活用することができた。また、収納性の点から、シリコーン樹脂組成物の塗布量を25g/m以下に調整しても、シリコーン樹脂組成物の組成を適正化することにより、防炎性能を向上させることができた。
本発明のコート層に用いられるシリコーン樹脂組成物は、以下の(A)〜(F)の成分を含有する。以下、各成分について詳細に説明する。
(1)オルガノポリシロキサン(A)
オルガノポリシロキサン(A)は、本発明のコート布のコート層を構成する主剤となる成分であり、樹脂が硬化後、ゴム弾性を有するシリコーン樹脂膜になるために、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状であることが好ましい。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状または分岐鎖状である場合、該オルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端、分子鎖非末端のどちらか一方でも両方でもよい。架橋促進のためには、分子鎖末端、分子鎖非末端の両方にアルケニル基が存在する方が好ましい。
前記のケイ素原子結合アルケニル基は、炭素原子数が、通常2〜8、好ましくは2〜4であり、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられる。これらのアルケニル基のなかでも、ビニル基が好適である。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子中において、前記のケイ素原子結合アルケニル基以外にケイ素原子に結合する有機基は、脂肪族不飽和結合を有しないものであれば特に限定されず、例えば、非置換または置換の炭素原子数が、通常1〜12、好ましくは1〜10の一価炭化水素基等が挙げられる。この非置換または置換の一価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられるが、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基である。
(A)成分の25℃における粘度は、硬化物の繊維に対する接着性、ゴム強度、耐ブロッキング性等の物理的特性や作業性の点から、10,000〜50,000mPa・secが好ましく、特に好ましくは15,000〜45,000mPa・secである。
(2)オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、オルガノポリシロキサン(A)とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤として作用する。(B)成分の分子構造は、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状、または三次元網目構造のいずれでもよく、各種のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、1分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個程度)以上のケイ素原子に結合した水素原子を有する。オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が直鎖状構造を有する場合、これらのケイ素原子に結合した水素原子は、分子鎖末端及び分子鎖途中(すなわち、分子鎖非末端)のどちらか一方にのみ位置していても、その両方に位置していてもよい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位とSiO4/2単位からなる共重合体が用いられる。
また、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、25℃における粘度が0.1〜1,000mPa・secであることが好ましく、特に好ましくは0.1〜500mPa・secである。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の配合量は、(A)成分中のケイ素原子に結合するアルケニル基1個に対して、(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子が、通常1〜20個、より好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個の範囲となる量である。
該配合量が、(A)成分中のケイ素原子に結合するアルケニル基1個に対して、(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子が1個未満となる量であると、得られたシリコーン樹脂組成物は十分に硬化しない場合がある。
一方、(A)成分中のケイ素原子に結合するアルケニル基1個に対して、(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子が20個を超える量であると、得られるシリコーン樹脂組成物の耐熱性が極端に低下する場合がある。
(3)シリカ粒子(C)
シリカ粒子(C)は、防炎性能を向上させる作用を有するだけでなく、補強剤としても作用する。該シリカ粒子は、比表面積が、通常、50m/g以上、好ましくは50〜400m/g、特に好ましくは100〜300m/gである。シリカ粒子の比表面積が前記の範囲にあると、得られた硬化物に優れた引裂強力を付与しやすい。比表面積は、BET法により測定される。
シリカ粒子は、単独で用いても二種以上を併用してもよい。シリカ粒子としては、例えば、石英、水晶、珪砂、珪藻土等の天然品、乾式シリカ、シリカヒューム、湿式シリカ、シリカゲル、コロイダルシリカ等の合成品が挙げられる。
これらのシリカはそのまま使用してもよいが、本発明のコート布のコート層を構成するシリコーン樹脂組成物に対して、より良好な流動性を付与させるために、シリカ粒子の表面を有機ケイ素化合物で疎水化処理した疎水性シリカ粒子を使用することが好ましい。前記の有機ケイ素化合物としては、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のメチルクロロシラン類、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン等のヘキサオルガノジシラザンなどが挙げられる。
これらの疎水性シリカ粒子のなかでも、例えば、日本アエロジル株式会社から市販されている、AEROSIL(R) NX90(平均一次粒径:20nm、比表面積:90m/g、トリメチルシラン処理)、AEROSIL(R) R812(平均一次粒径:7nm、比表面積:300m/g、トリメチルシラン処理)、AEROSIL(R) R974(平均一次粒径:12nm、比表面積:200m/g、ジメチルシラン処理)などが好適である。
シリカ粒子の含有量は、シリコーン樹脂組成物に対して10〜20質量%、より好ましくは12〜20質量%である。10質量%未満であればシリコーンゴムの機械的強度が低下する。一方、シリカ粒子の含有量が20質量%を超える場合には、シリコーン樹脂組成物の流動性が低下しやすくなり、コーティング時の作業性が悪化するばかりでなく、樹脂が脆くなり、接着性が低下しやすくなる。
(4)エポキシ基を有する有機ケイ素化合物(D)
エポキシ基を有する有機ケイ素化合物(D)は、シリコーン硬化膜と織物基布との接着性をさらに向上させる作用を有する。該有機ケイ素化合物(D)の平均分子量は1,000以下であることが好ましく、より好ましくは800以下であり、更に好ましくは500以下である。有機ケイ素化合物(D)の平均分子量が大きすぎると、反応が迅速に進まない。
そこで、接着性を向上させるためには、加工温度をより高くするか、加工時間を長くする必要があり、コストが上昇するという問題がある。公知の化合物が使用可能であるが、接着性の観点より、少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個のケイ素原子結合アルコキシ基とを有する化合物が好適である。
また、前記の有機ケイ素化合物(D)は、シリコーン樹脂全量に対し0.1〜1.0質量%含有させることが好ましい。前記の有機ケイ素化合物(D)の含有量が0.1質量%未満であれば、得られる組成物が十分な接着力を有しない場合がある。一方、有機ケイ素化合物(D)の含有量が1.0質量%以上を超える場合には、接着性は向上するものの、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)のヒドロシリル基との反応が過剰に進み、シリコーン樹脂の硬化皮膜の網目構造の形成を阻害するため、膜強度が低下する。前記の有機ケイ素化合物(D)は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
エポキシ基を有する有機ケイ素化合物(D)のエポキシ基は、例えば、(i)グリシドキシプロピル基等のグリシドキシアルキル基、(ii)2,3−エポキシシクロヘキシルエチル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等のエポキシ含有シクロヘキシルアルキル基等として、ケイ素原子に結合していることが好ましい。ケイ素原子に結合するアルコキシ基は、ケイ素原子と結合して、例えば、(i)トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基,(ii)メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基等を形成していることが好ましい。
(5)ケイ素原子結合ビニル基を有する有機ケイ素化合物(E)
ケイ素原子結合ビニル基を有する有機ケイ素化合物(E)は、(A)成分のオルガノポリシロキサンと(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化付加反応により形成させた硬化被膜と織物基布とを、(D)成分のエポキシ基を介して接着成分としてつなぐ役割を果たす。そのため、前記の有機ケイ素化合物(E)は、本発明のコート布において接着性を向上させる作用を有する点で重要な成分である。さらに、驚くべきことに、その添加量が防炎性能に著しく影響を与えることも分かった。
前記の有機ケイ素化合物(E)の平均分子量は1,000以下であることが好ましく、より好ましくは800以下であり、さらに好ましくは500以下である。平均分子量が大きいと、(D)成分のエポキシ基を有する有機ケイ素化合物と同様に、反応が迅速に進まない。そこで、接着性を向上させるために、加工温度をより高くするか、加工時間を長くすると、コストが上昇するという問題がある。
前記の有機ケイ素化合物(E)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシランなどのアルコキシ基またはアセトキシ基を有するビニル基含有シラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、前記の(B)成分のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と(E)成分のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.02〜0.27であることが好ましい。モル比(V/H)が0.02未満であれば、得られるシリコーン樹脂組成物が十分な接着力を有しない場合がある。一方、モル比(V/H)が0.27を超えると、接着性は向上するものの、(B)成分のケイ素原子に結合する水素原子との反応が過剰に進み、シリコーン樹脂の硬化皮膜の網目構造の形成を阻害するため、防炎性能が低下する。
(B)成分のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と(E)成分のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、下記のように算出することができる。なお、数値は、小数第3位を四捨五入して、小数第2位の桁に揃える。
モル比(V/H)=(E)成分のビニル基のモル数(V)
/(B)成分のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)
(E)成分のビニル基のモル数(V)
=(Eにおけるビニル基の数(個)/Eの平均分子量)×Eの配合量(質量%)
(B)成分のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)
=(Bにおいてケイ素原子に結合する水素原子の個数/Bの平均分子量)
×Bの配合量(質量%)
(6)付加反応触媒(F)
付加反応触媒(F)は、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子とのヒドロシリル化反応を、進行・促進させるたに使用される成分である。
付加反応触媒(F)としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサンまたはアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等の白金族金属化合物等が挙げられる。これらの中でも、白金化合物が好ましい。
付加反応触媒(F)の配合量は、触媒としての有効量であればよいが、通常、(A)成分と(B)成分との合計量に対して、白金族金属の質量換算で、0.1〜1,000ppmであり、好ましくは1〜500ppmであり、更に好ましくは10〜100ppmである。付加反応触媒の配合量を前記の範囲内に調整することにより、付加反応により効果的に促進させることができる。
(7)その他
本発明のコート布のコート層を構成するシリコーン樹脂組成物には、前記(A)〜(F)成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の任意の成分を配合することができる。例えば、反応制御剤、シリカ粒子以外の無機充填剤、可塑剤、チクソ性付与剤、顔料、染料、防カビ剤等が挙げられる。これらその他の成分は、各々、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
(8)塗布方法
シリコーン樹脂組成物の粘度は、10,000〜50,000mPa・secが好ましく、より好ましくは1,5000〜40,000mPa・secであり、更に好ましくは20,000〜35,000mPa・secである。粘度が10,000mPa・sec未満では、樹脂組成物が織物の内部に入りこむために、一定の塗布量を確保することが困難となり、通気性及び難燃性の観点より不利になる。一方、粘度が50,000mPa・secを超える場合には、塗布量を25g/m以下に調整しようとすると、著しく塗工性が悪化する。上記の粘度範囲に調整できるのであれば、シリコーン樹脂は溶剤系、無溶剤系どちらでも構わないが、環境への影響を考慮し、無溶剤系が好ましく用いられる。
本発明において、シリコーン樹脂組成物を塗布する方法は、従来の公知の付与方法が用いられる。コート法としては、例えば、ナイフコート、コンマコート、ダイコート、グラビアロールコート、キスロールコート、スプレー法、Dip法等が挙げられる。
長尺の織物基布にシリコーン樹脂組成物をナイフコーティングで連続的に塗布する際、基布の進行方向における基布の張力を300〜700N/m、好ましくは400〜650N/mに制御することが好ましい。基布の張力が300N/m未満では、基布織物の耳部が嵩高くなり、基布の中央部と端部の塗布量に大きな差が生じ、幅方向の厚み変動が大きくなる。一方、基布の張力が700N/mを超える場合には、経緯のクリンプ率のバランスが崩れ、経方向及び緯方向共に塗布量を特定範囲に維持することが困難となり、防炎性が低下する。
塗布後のコーティング剤を乾燥、硬化させる方法としては、熱風、赤外光、マイクロウェーブ等など、一般に用いられる加熱方法が使用される。加熱温度、時間については、塗布したシリコーン樹脂が硬化するのに十分な温度に達していれば問題ないが、好ましくは加熱温度が150〜220℃、加熱時間が0.2〜5分であることが好ましい。
織物を構成する糸条の総繊度は、200〜470dtexであることが好ましい。総繊度が470dtexを超えると、基布の厚さが増大して剛性が高くなるため、エアバッグの収納性が悪くなる。一方、総繊度が200dtex未満の場合には、コート布の引張強力や引裂強力などのエアバッグ作動時の機械特性が不十分となりやすい。
織物を構成するカバーファクターは1,800〜2,500が好ましく、より好ましくは1,900〜2,450である。カバーファクターが1,800未満であると、エアバッグとして必要な物理特性(引張強力や引裂強力)が低下する傾向がある。一方、カバーファクターが2,500を超える場合には、製織性が困難になり、剛性が高くなるため収納性が悪化する傾向がある。なお、カバーファクター(CF)は、下記式により算出できる。なお、総繊度の単位は「デシテックス」であり、織密度の単位は「本/2.54cm」である。
CF=(経糸の総繊度)1/2×経糸密度+(緯糸の総繊度)1/2×緯糸密度
本発明のコート布は、織物基布の両面にコートされた両面コート布であってもよいが、収納性の点から、片面にのみにコートされる片面コート布がより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種物性の評価は、下記の方法を用いた。
(1)平均分子量
H−NMR、29Si−NMRで末端基を観測し、末端基と主鎖との積分比から平均分子量を求めた。該方法による平均分子量の算出法は、例えば、下記の刊行物に紹介されている。
井上 陽太郎、大阪府立産業技術総合研究所、テクニカルシートNo.8019、「核磁気共鳴法を用いた高分子材料の構造解析」、2009年3月31日発行
http://www2.tri.pref.osaka.jp/servlet/TechnicalSheet?type=Download&pid=8019
(2)総繊度
JIS L−1095 9.4.1記載の方法で測定した。
(3)フィラメント数
繊維糸条の断面写真よりフィラメント数を数えた。
(4)織物の密度
JIS L−1096 8.6.1記載の方法で測定した。
(5)樹脂の粘度
JIS K−7117記載の方法を用い、B型粘度計で測定する。
(6)塗布量
JIS L 1096 8.4.2記載の方法でコート布の質量を測定した。次に、ブランク試料として、樹脂を塗布せずにコーティング時と同じ条件で加工処理を行った後、JIS L 1096 8.4.2記載の方法に準拠し、ブランク試料の質量を測定した。その後、コート布の質量とブランク試料の質量との差を塗布量とした。なお、塗布量の単位は、1m当たりの質量(g/m)で表した。
(7)接着性
ISO5981に準拠し、コーティング面同士を合わせて、揉み試験機(井本製作所(株)製、IMC−15D7−A型)で測定を行った。なお、荷重は98N(10kgf)、架台とサンプル挟み部の下面との距離dは、6mm±0.1mmに調整した。
(8)防炎試験
15cm×15cmにカットしたコート布サンプルを大枠で挟み、弛みが発生しない状態にする。次に、ガスバーナーを用いて炎の長さを10cmに調整し、炎の先端から更に1cm離した位置に、サンプルを挟んだ大枠をセットする(図1を参照)。この際、赤色の炎が出ず、かつ炎が当たる側のサンプル表面の温度が赤外温度計で450±20℃になるように、ガスバーナーから照射される炎をガス及び空気調整弁を用いて事前に調整する。次いで、コート布サンプルを炎に照射した瞬間から、穴が開くまでの時間を計測する。
(実施例1)
総繊度が470dtex、72フィラメントのポリアミド66マルチフィラメント糸を平織りにてウォータージェットルームにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃で乾燥仕上げを行った。得られた織物は、経糸方向の織密度が46本/2.54cm、緯糸方向の織密度が46本/2.54cm、カバーファクターが1,994であった。
次に、下記の組成物からなり、25℃における粘度が20,000mPa・secである無溶剤系シリコーン樹脂組成物を調合した。(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.06であった。
(無溶剤系シリコーン樹脂組成物の配合)
(a)ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(A):100質量部
(25℃における粘度:30,000mPa・sec)
(b)メチルハイドロジェンポリシロキサン(B):2質量部
(平均分子量:6,900、ケイ素原子に結合する水素原子数:50個、25℃に
おける粘度:40mPa・sec)
(c)乾式シリカ粒子(C):14.6質量%(シリコーン樹脂組成物に対して)
(日本アエロジル社製、AEROSIL(R) NX90;平均一次粒径:20nm、
比表面積:90m/g、トリメチルシラン処理品)
(d)エポキシ基を有する有機ケイ素化合物(D):0.3質量部
(3個のエポキシ基と1個のエポキシ基を有する、平均分子量:240)
(e)ケイ素原子結合ビニル基を有する有機ケイ素化合物(E):0.2質量部
(3個のアセトキシ基と1個のビニル基を有する、平均分子量:240)
(f)白金触媒(F):50ppm(シリコーン樹脂組成物に対して)
(g)ベンガラ顔料:0.3質量部
前記の織物に、このシリコーン樹脂組成物をナイフコートにて塗布し、乾燥後の樹脂組成物の塗布量を15g/mに調整した。得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例2)
乾燥後の樹脂組成物の塗布量を25g/mに調整した以外は、実施例1同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例3)
実施例1において、(D)成分の配合量を0.6質量部に、(E)成分の配合量を0.4質量部に、塗布量を23g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.12であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例4)
実施例1において、(B)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:6,900、ケイ素原子に結合した水素原子数:46個、粘度:40mPa・sec)に、乾式シリカ粒子(C)の配合量をシリコーン樹脂組成物に対して17.8質量部に、(D)成分の配合量を0.6質量部に、(E)成分の配合量を0.4質量部に、塗布量を24g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.13であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例5)
実施例1において、(D)成分の配合量を0.2質量部に、(E)成分の配合量を0.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.03であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例6)
総繊度が470dtex、144フィラメントのポリアミド66マルチフィラメント糸を平織りにてウォータージェットルームにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃で乾燥仕上げを行った。得られた織物は、経糸方向の織密度が51本/2.54cm、緯糸方向の織密度が51本/2.54cm、カバーファクターが2,211であった。
実施例1において、(D)成分を、有機ケイ素化合物(3個のメトキシ基と1個のエポキシ基を有する、平均分子量:800)に変更し、かつその配合量を0.5質量部に、さらに塗布量を16g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.02であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例7)
総繊度が470dtex、144フィラメントのポリアミド66マルチフィラメント糸を平織りにてウォータージェットルームにて製織後、沸水にて収縮加工し、110℃で乾燥仕上げを行った。得られた織物は、経糸方向の織密度が54本/2.54cm、緯糸方向の織密度が54本/2.54cm、カバーファクターが2,341であった。
実施例1において、(D)成分の配合量を0.45質量部に、(E)成分の配合量を0.3質量部に、塗布量を17g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.09であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例8)
実施例1において、(D)成分の配合量を1.35質量部に、(E)成分の配合量を0.9質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.26であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(実施例9)
シリカ粒子(C)を、日本アエロジル株式会社から市販されているAEROSIL(R) R812(平均一次粒径:7nm、比表面積:300m/g、トリメチルシラン処理品)に変更した以外は、実施例1同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性及び防炎性が極めて優れていた。
(比較例1)
実施例1において、(D)成分を、有機ケイ素化合物(3個のメトキシ基と1個のエポキシ基を有する、平均分子量:1,200)に変更し、かつその配合量を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.06であった。
得られたコート布は、表1に示すように、防炎性に優れているものの、接着性は極めて劣っていた。
(比較例2)
実施例1において、(D)成分の配合量を1.5質量部に、(E)成分の配合量を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.29であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性に優れているものの、防炎性は極めて劣っていた。
(比較例3)
実施例1において、シリコーン樹脂組成物に対する乾式シリカ粒子の含有量を9.4質量%に、(D)成分の配合量を0.6質量部に、(E)成分の配合量を0.4質量部に変更し、さらに塗布量を26g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.12であった。
得られたコート布は、表1に示すように、接着性に優れているものの、防炎性は極めて劣っていた。
(比較例4)
実施例1において、(B)成分を、メチルハイドロジェンポリシロキサン(平均分子量:6,900、ケイ素原子に結合した水素原子数:39個、粘度:40mPa・sec)に、乾式法シリカ粒子(C)の配合量をシリコーン樹脂組成物に対し22.6質量%に、(D)成分の配合量を1.2質量部に、(E)成分の配合量を0.8質量部に、塗布量を40g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.30であった。
得られたコート布は、表1に示すように、防炎性に優れているものの、接着性は極めて劣っていた。
(比較例5)
実施例1において、(D)成分の配合量を0.08質量部に、(E)成分の配合量を0.05質量部に、塗布量を24g/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてエアバッグ用コート布を得た。
(B)成分中のケイ素原子に結合する水素原子のモル数(H)と、(E)成分中のビニル基のモル数(V)とのモル比(V/H)は、0.01であった。
得られたコート布は、表1に示すように、防炎性に優れているものの、接着性は極めて劣っていた。
Figure 2011080158
本発明のエアバッグ用コート布は、低塗布量であっても、接着性及び防炎性能に優れているため、高出力のデュアル化インフレーターを用いた場合であっても、エアバッグ基布のダメージを少なくすることができ、折り畳まれたエアバッグ基布を展開する際に塗布層が剥離しにくく、通気度及び防炎性の低下が少なく、さらに、コンパクトに収納することができるため、車内デザインの制約を少なくでき、産業上の寄与は大である。

Claims (5)

  1. 合成繊維製織物の少なくとも片面に、シリコーン樹脂組成物を塗布してなるエアバッグ用コート布であって、シリコーン樹脂組成物の塗布量が25g/m以下であり、ISO5981で規定されるスクラブテストの達成回数が800回以上であり、かつ下記の防炎試験における穴開き時間が15秒以上であることを特徴とするエアバッグ用コート布。
    (防炎試験)
    15cm×15cmにカットしたコート布サンプルを大枠で挟み、弛みが発生しない状態にする。次に、ガスバーナーを用いて炎の長さを10cmに調整し、炎の先端から更に1cm離した位置に、サンプルを挟んだ大枠をセットする。この際、赤色の炎が出ず、かつ炎が当たる側のサンプル表面の温度が赤外温度計で450±20℃になるように、ガスバーナーから照射される炎をガス及び空気調整弁を用いて事前に調整する。次いで、コート布サンプルを炎に照射した瞬間から、穴が開くまでの時間を計測する。
  2. 前記のシリコーン樹脂組成物は、下記(A)〜(F)を含有し、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子のモル数Hと、有機ケイ素化合物(E)中のビニル基のモル数Vとのモル比(V/H)が0.02〜0.27であることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ用コート布。
    (A)1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサン
    (B)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    (C)シリカ粒子
    (D)エポキシ基を有する有機ケイ素化合物
    (E)ケイ素原子結合ビニル基を有する平均分子量が1,000以下の有機ケイ素化合物
    (F)付加反応触媒
  3. シリカ粒子(C)が、シリコーン樹脂組成物の全体量に対し、10〜20質量%含有する請求項2記載のエアバッグ用基布。
  4. 織物を構成する糸条の総繊度が、200〜470dtexである請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ用基布。
  5. 織物のカバーファクターが、1,800〜2,500である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアバッグ用基布。
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