本発明のエアバッグは、2枚のパネルを自己発熱型の接着シール材により接合してなるものである。
本発明で使用される接着シール材は、以下に例示される主剤に、発熱剤を含んでいることが好ましい。発熱剤とは、空気中の酸素、水、もしくはその双方と容易に反応し、それらとの化学反応により反応熱が発生するもの、または、2種以上の物質を混合して生じる化学反応により反応熱が発生するものであればよい。とくに制限されないが、たとえば、鉄、還元鉄およびニッケルのような被酸化性促進剤、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、活性化炭素、炭素パウダー、銅化合物およびマンガンなどがあげられる。これらは、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、反応熱を発生させやすい点で、還元鉄が好ましい。
発熱剤として水と反応して反応熱を発生する材料を用いる場合、接着シール材には、水分保持剤を含有させることが好ましい。水分保持剤としては、とくに制限されないが、木粉、パルプパウダーおよび高吸水性樹脂などがあげられる。なかでも、粒径の調整が容易である点で、高吸水性樹脂が好ましい。高吸水性樹脂とは、親水性の直鎖状あるいは分岐状高分子の架橋体であり、Å(オングストローム)単位の三次元網目構造を持つ多孔質体で、水と接触すると水に溶けようとする力で吸水するが、分子間に架橋構造があるため抑制され、そのバランスにより、一定量吸水した膨潤状態のヒドロゲルとなる樹脂である。例えば、でんぷん−アクリル酸グラフト系、ポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系、酢酸ビニル−アクリル酸塩系、イソブチレン−マレイン酸系やポリN−ビニルアセトアミド系などがあげられる。なかでも、コスト的にポリアクリル酸塩系が好ましい。
なお、前記接着シール材は、二液を混合することで発熱反応が始まるように、発熱反応を起こす材料を分離して調製しておく、二液型である必要がある。
また、前記接着シール材の発熱温度は、100℃以下であることが好ましい。発熱温度が100℃以下であると、接着シール材が付与された布帛部分のシワによる接着シール材形状の変化および接着シール材の気泡発生を抑制することができるため、好ましい。これにより、パネル接合部の強度と気密性とを確保しながら、加熱装置もしくは加熱工程を必要とせずに接着シール材の硬化を促進することができ、非常に経済的で効率的である。発熱温度は、80℃以下であることがより好ましい。また、下限は、40℃であることが好ましい。発熱温度が40℃より低いと、接着シール材の硬化促進効果が十分ではない傾向にある。
さらに、この接着シール材により接合して得られたエアバッグは、高い気密性を有しているため、長時間にわたって内圧を保持することが可能であり、とくに長時間の内圧保持を必要とする側部用エアバッグとして有用である。
前記発熱剤は、発熱温度が100℃以下となるように接着シール材に配合すればよく、とくに限定されない。なかでも、接着シール材に対して、3〜30重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましく、5〜10重量%であることがとくに好ましい。発熱剤が3重量%より少ないと、発熱量が不足し、硬化促進の効果が十分とならない傾向にあり、30重量%をこえると、発熱温度が100℃をこえてしまう傾向にある。ここで、発熱剤とは、物質Aと水(または酸素)との反応により発熱する場合には物質A、物質Aと物質Bとの反応により発熱する場合には、そのうち少ないほうの物質のことをいう。
前記接着シール材の主剤としては、例えば、クロロプレンゴム、ハイバロンゴム、フッ素ゴムなどの含ハロゲンゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレン三元共重合ゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ウレタンゴムおよびアクリルゴムなどのゴム類、および、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂およびフッ素樹脂などの含ハロゲン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、オレフィン樹脂およびシリコーン樹脂などの樹脂類があげられ、これらは単独または併用して使用される。なかでも、可撓性、耐熱性および耐候性に優れる点で、シリコーンゴムおよびシリコーン樹脂が好ましい。
前記シリコーンゴムとしては、具体的には、1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを主剤とするものがあげられる。このアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基をあげることができる。なかでも、ビニル基が好ましい。アルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基をあげることができる。なかでも、メチル基が好ましい。オルガノポリシロキサンの分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状があげられる。
このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、式:(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基で置換したオルガノポリシロキサン、これらのオルガノポリシロキサンのビニル基の一部または全部をアリル基、プロペニル基などのアルケニル基で置換したオルガノポリシロキサン、およびこれらのオルガノポリシロキサンの二種以上の混合物をあげることができる。
本発明で使用する接着シール材には、前記主剤、発熱剤のほかに、硬化剤、触媒、充填剤、硬化抑制剤、オルガノポリシロキサンレジン、顔料および耐熱剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
前記硬化剤としては、1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。前記ケイ素原子に結合する有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基をあげることができる。なかでも、メチル基が好ましい。
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状、樹枝状をあげることができる。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルフェニルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基で置換したオルガノハイドロジェンポリシロキサン、およびこれらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの二種以上の混合物をあげることができる。なかでも、得られる硬化物の物理的特性、特には、伸びが向上することから、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの混合物であることが好ましい。
前記硬化剤の含有量は、主剤成分中のアルケニル基に対するケイ素原子結合水素原子のモル比が、0.01〜20となる量であることが好ましく、0.1〜10となる量であることがより好ましく、0.1〜5となる量であることがさらに好ましい。含有量が、これより少ないと、得られるシリコーンゴム組成物が十分に硬化しない傾向にある。また、含有量が多いと、硬化して得られるシリコーンゴムの物理的特性が低下する傾向にある。
また、硬化剤として、分子鎖両末端にのみケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと分子鎖側鎖にケイ素原子結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの混合物を用いる場合には、前者のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量は、主剤成分中のアルケニル基に対するケイ素原子結合水素原子のモル比が0.01〜10となる量であることが好ましく、0.1〜10となる量であることがより好ましく、0.1〜5となる量であることがさらに好ましい。後者のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量は、主剤成分中のアルケニル基に対するケイ素原子結合水素原子のモル比が0.5〜20となる量であることが好ましく、0.5〜10となる量であることがより好ましく、0.5〜5となる量であることがさらに好ましい。
前記触媒は、主剤成分である1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、硬化剤成分である1分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの硬化反応を促進するためのものである。触媒としては、例えば、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒をメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂などの熱可塑性有機樹脂中に分散してなる微粉末をあげることができる。
前記触媒の含有量は、主剤成分と硬化剤成分との硬化を促進するに十分な量であれば特に限定されない。なかでも、主剤成分100万重量部に対して触媒成分中の白金原子が0.01〜500重量部となる量であることが好ましく、0.1〜100重量部となる量であることがより好ましい。含有量が少ないと、硬化反応が十分に進行しない傾向にあり、また、多すぎると、原料費が高価となる傾向にあり、不経済である。
前記充填剤としては、炭酸カルシウム粉末、シリカ粉末、石英粉末等があげられる。
接着シール材が炭酸カルシウム粉末を含有することにより、基布を被覆する不通気処理剤に対する接着性を向上させることができる。
炭酸カルシウム粉末のBET比表面積は5〜50m2/gであることが好ましく、10〜50m2/gであることがより好ましい。BET比表面積が5m2/gより小さいと、接着性向上の効果が十分に発揮されない傾向にある。BET比表面積が50m2/gをこえると、炭酸カルシウムに含まれる不純物が多くなり、硬化した接着シール材の物理的特性が低下する傾向にある。
このような目的で用いられる炭酸カルシウム粉末としては、例えば、重質(または乾式粉砕)炭酸カルシウム粉末、軽質(または沈降)炭酸カルシウム粉末、およびこれらの炭酸カルシウム粉末を脂肪酸や樹脂酸などの有機酸で表面処理した粉末をあげることができる。なかでも、軽質(または沈降)炭酸カルシウム粉末が好ましく、脂肪酸や樹脂酸などの有機酸で表面処理した軽質(または沈降)炭酸カルシウム粉末がより好ましい。
接着シール材中の前記炭酸カルシウム粉末の含有量は、主剤成分100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、10〜100重量部であることがより好ましい。含有量が5重量部より少ないと、接着性を向上させる効果が十分に発揮されない傾向にあり、また、200重量部をこえると、均一な接着シール材を調製することが困難となる傾向にある。
また、接着シール材がシリカ粉末を含有することにより、硬化して得られる接着シール材の機械的強度を向上させることができる。
このような目的で用いられるシリカ粉末としては、例えば、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、およびこれらのシリカ粉末をオルガノシラン、オルガノポリシロキサン、オルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、オルガノシラザンなどの有機ケイ素化合物で表面処理した粉末を挙げることができる。なかでも、硬化物の機械的強度を十分に向上させるためには、BET比表面積が50m2/g以上であるシリカ粉末を用いることが好ましい。
接着シール材中の前記シリカ粉末の含有量は、主剤成分100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましく、1〜50重量部であることがより好ましい。含有量が1重量部より少ないと、硬化物の機械的強度を向上させる効果が十分に発揮されない傾向にあり、また、含有量が100重量部をこえると、粘度が高くなり取扱性が低下する傾向にある。
また、接着シール材が石英粉末を含有することにより、硬化して得られる接着シール材を増量させることができ、また熱伝導性を向上させることができる。
石英は、無色透明〜白色の粉末で、モース硬度が7のものである。平均粒径が1〜25μmの石英を用いることにより、二液混合後の組成物の粘度低下をきたすことなく、経時によるシリコーンゴムの劣化を有効に抑制することができる。平均粒径が1μmより小さいと、二液混合後の組成物の粘度が著しく増加して、取扱性が悪化する傾向にあり、また、平均粒径が25μmをこえると、二液混合後の組成物の粘度が低下し、その硬化物からなる接合部の形状ばらつきが大きくなって、エアバッグの寸法精度が不良となる傾向にある。さらには、硬化物の物理的特性が低下する傾向にある。
接着シール材中の前記石英の含有量は、主剤成分100重量部に対して1〜200重量部であることが好ましく、5〜200重量部であることがより好ましい。含有量が1重量部より少ないと、経時によるシリコーンゴムの劣化を抑制する効果が十分に発揮されない傾向にあり、200重量部をこえると、硬化物の伸びが低下する傾向にある。
本発明で使用する接着シール材として例示した二液付加反応硬化型シリコーンゴム組成物は、以上に説明した主剤、硬化剤、触媒、および特定の充填剤を少なくとも含んでいる。
さらには、その接着性を向上させるために、接着付与剤を含有してもよい。このような接着付与剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどのシランカップリング剤;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネートなどのチタン化合物;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)などのアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテートなどのジルコニウム化合物があげられる。
また、その貯蔵安定性および取扱作業性を向上させるために、硬化抑制剤を含有することが好ましい。このような硬化抑制剤としては、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−フェニル−1−ブチン−3−オールなどのアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−インなどのエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などの1分子中にビニル基を5重量%以上持つオルガノシロキサン化合物;ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類があげられる。
その他の任意成分として、例えば、ヒュームド酸化チタン、カーボンブラック、ケイ藻土、酸化鉄、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、銀、ニッケルなどの無機質充填剤;これらの充填剤の表面を前記の有機酸や有機ケイ素化合物で表面処理した充填剤、オルガノポリシロキサンレジン、顔料、耐熱剤などの各種添加剤を含有してもよい。
二液付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を調製する方法は、とくに限定されず、主剤、発熱剤、硬化剤、触媒および必要に応じて任意成分を混合することにより調製する。なお、任意成分を含有する場合、これが加熱混合により変質する場合には、加熱工程後に添加することが好ましい。調製には、2本ロール、ニーダーミキサー、ロスミキサーなどの周知の混練装置を用いることができる。
このような二液型の接着シール材は、二液を混合することで硬化反応が始まるように、硬化剤と触媒、発熱剤とそれと反応して反応熱を生じさせる物質とをそれぞれ分離して調製することが重要である。一方の液に硬化剤(および発熱剤)を配合した組成であれば、他方の液に触媒(およびそれと反応して反応熱を生じさせる物質)を配合する。主剤、その他の任意成分の配合は安定性や流動性などを考慮して適宜設定すればよい。二液の流動性が同等になるよう調製すると、二液を混合して硬化させるときの取扱性や付与量制御が容易になり好ましい。
前記接着シール材の二液混合直後の25℃における粘度は、100〜500Pa・sであることが好ましい。粘度が100Pa・sより小さいと、流動しやすく、塗布後に広がったり、気泡が混入したりする傾向にある。また、粘度が500Pa・sをこえると、取扱性や塗布精度が不良となる傾向にある。また、混合前の二液の25℃における粘度は、それぞれ50〜1000Pa・sであることが好ましく、それぞれの粘度がほぼ同等であれば、混合時の取扱性や付与量制御が容易となる点で、より好ましい。
また、本発明で使用される接着シール材は、破断時伸びが800%以上の弾性を有することが好ましい。破断時伸びが800%以上であると、エアバッグの膨張にも十分対応できるため、破断するおそれがなく、高い気密性が保たれる傾向にある。破断時伸びは、1000%以上であることがより好ましい。破断時伸びは大きいほうが好ましいが、現実的には、2000%以下である。
また、そのJIS K6251に準じた硬さは、5〜30であることが好ましい。硬さが5より小さいと、シール部を触ったときの変形が大きくなり、エアバッグの気密性が劣る傾向にあり、30をこえると、エアバッグ全体の折り畳みがしにくくなり、収納性が悪化する傾向にある。
前記接着シール材の硬化後の幅は、5〜20mmが好ましい。幅が5mmより狭いと、必要に応じて行われる後工程の縫製が、接着シール材から外れてしまうおそれがあり、幅が20mmより広いと、接合部が嵩高になるため、収納性に劣るものとなるおそれがある。
また、接着シール材の硬化後の厚さは、0.05〜2mmが好ましい。厚さが0.05mmより薄いとバッグの気密性が保持出来ないおそれがあり、厚さが2mmをこえるとバッグの収納性に劣るものとなるおそれがある。
図1は、本発明のエアバッグの一例(側部用エアバッグ)を示す概略平面図である。図1に示すように、エアバッグ1は、第1のパネル2と第2のパネル3の外周縁同士が接着シール材からなる接合部5により接合されてなる。
なお、他の要素、例えばパネルの材料(以下、基布と称す)やエアバッグの形状などは特に限定されず、エアバッグ用として通常用いられているものを適宜選択すればよい。なお、符号4は縫い糸であり、符号7は車体取り付け用ボルト穴を示している。また、エアバッグ1の構造をわかりやすくするために、切り欠き線8により、第2のパネル3の一部を切り欠き、下に重ね合わされている第1のパネル2を示している。
前記基布には、繊維布帛が用いられる。ここで繊維布帛とは、繊維糸条を用いて製織される織物、繊維糸条を用いて製編される編物および不織布を意味する。
繊維布帛を構成する繊維は、天然繊維、化学繊維、無機繊維など、特に限定するものではない。なかでも、汎用性があり、基布の製造工程、基布物性などの点から、合成繊維フィラメントが好ましい。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン610、ナイロン612などの単独またはこれらの共重合、混合により得られる脂肪族ポリアミド繊維、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9Tに代表される脂肪族アミンと芳香族カルボン酸の共重合ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの単独またはこれらの共重合、混合によって得られるポリエステル繊維、超高分子量ポリオレフィン系繊維、ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどの含塩素系繊維、ポリテトラフルオロエチレンを含む含フッ素系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリサルフォン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン系繊維(PEEK)、全芳香族ポリアミド系繊維、全芳香族ポリエステル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリエーテルイミド系繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール系繊維(PBO)、ビニロン系繊維、アクリル系繊維、セルロース系繊維、炭化珪素系繊維、アルミナ系繊維、ガラス系繊維、カーボン系繊維、スチール系繊維などから適宜、1種または2種以上を選定すればよい。なかでも、物理特性、耐久性、耐熱性などの点からナイロン66繊維が好ましい。また、リサイクルの観点からは、ポリエステル系繊維、ナイロン6繊維も好ましい。
これら繊維には、紡糸性や、加工性、耐久性などを改善するために通常使用されている各種の添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐光安定剤、老化防止剤、潤滑剤、平滑剤、顔料、撥水剤、撥油剤、酸化チタンなどの隠蔽剤、光沢付与剤、難燃剤、可塑剤などの1種または2種以上を使用してもよい。また、カラミ織を製織する上で望ましい場合には、加撚、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工、糊付け加工などの加工を施してもよい。さらに、糸条の形態は、長繊維フィラメント以外に、短繊維の紡績糸、これらの複合糸などを用いてもよい。
たとえば、前記繊維布帛が織物の場合は、平織、斜子織(バスケット織)、格子織(リップストップ織)、綾織、畝織、絡み織、模紗織、あるいはこれらの複合組織などいずれでもよい。場合によっては、経糸、緯糸の二軸以外に、斜め60度を含む多軸設計としても良く、その場合の糸の配列は、経糸または緯糸と同じ配列に準じればよい。なかでも構造の緻密さ、物理特性や性能の均等性が確保できる点で、平織が好ましい。
織物の製造は、通常の工業用織物を製織するのに用いられる各種織機から適宜選定すればよく、例えばシャトル織機、ウォータージェット織機、エアージェット織機、レピア織機、プロジェクタイル織機などから選定すればよい。
前記繊維布帛が編物の場合は、シングルトリコット編、シングルコード編、シングルアトラス編などのたて編や、平編、ゴム編、パール編などのよこ編、などの編組織を単独またはそれらを組み合わせた二重組織などからなるものが挙げられる。また、前記繊維布帛が不織布の場合は、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、スパンレース、ステッチボンド、スパンボンド、メルトブロー、湿式などにより製造されるものが挙げられる。
また、本発明で使用する糸の単糸太さは、同じでも異なってもいずれでも良く、例えば、0.5〜6dtexの範囲にあれば好ましい。また、単糸の強度も、5.4cN/dtex以上、好ましくは8cN/dtex以上の糸を用いればよい。また、これら繊維の単糸の断面形状も、円形、楕円、扁平、多角形、中空、その他の異型など、織物の製造、得られた織物の物性に支障のない範囲で適宜選定すればよい。また、太さや断面形状などが異なる複数の糸を、合糸、撚り合わせ、などにより一体化したものを用いてもよい。
これら繊維の総繊度は、150〜1000dtexであることが好ましく、さらに好ましくは235〜700dtexである。150dtex未満ではエアバッグに求められる強度が得られにくい傾向にあり、1000dtexより大きくなると、重量が大きくなりすぎると同時に、基布の厚みが増大しバッグの収納性が悪くなるおそれがある。
これらの糸からなる本発明の織物は、目付けが190g/m2以下、引張強力が650N/cm以上であることが好ましい。目付けと引張強力がこの範囲であれば、軽くて物理特性に優れているといえる。なお、ここでいう目付けは、後述する不通気処理剤を塗布する前の未加工の状態の基布重量をいう。
前記繊維布帛が織物である場合のカバーファクターは、1500〜2500であることが好ましい。カバーファクターが1500より小さいと、織物の開口部が大きくなるためバッグの気密性を得ることが困難となり、またカバーファクターが2500より大きいと、織物の厚みが増大し、バッグの収納性が悪くなるおそれがある。ここで、カバーファクターとは基布のタテ糸総繊度をD1(dtex)、タテ糸密度をN1(本/2.54cm)とし、ヨコ糸総繊度をD2(dtex)、ヨコ糸密度をN2(本/2.54cm)とすると(D1×0.9)1/2×N1+(D2×0.9)1/2×N2で表される。
また、繊維布帛は精練および熱処理を施されたものであってもよい。
これらの布帛は、耐熱性の向上および通気度の低下を目的として、不通気処理剤を有している。また、その目的から、前記不通気処理剤は、少なくともパネルの片面全面に付着しているが、パネル表面、パネルを構成する糸束の間隙部、または、繊維単糸の間隙部など、いずれに介在していてもよい。エアバッグ基布に外力が加わっても被膜の損傷が抑えられるという理由により、パネルの不通気処理剤を有する面同士を接合して、被覆面が内側になるようにエアバッグを作製することが好ましい。
不通気処理剤とは、実質的に空気を通さないようにする処理剤であり、不通気とは、JIS L1096「一般織物試験方法」における8.27.1 A法(フラジール形法)において、測定値0.0のことをいう。
前記不通気処理剤としては、前記接着シール材に用いられるものと同様な樹脂またはゴムを使用することができる。不通気処理剤と、接着シール材を形成する成分は同一である必要はなく、不通気処理剤としての性能を満たすものであればよい。とくに、これらが類似の成分であると、パネルの不通気処理剤を有する面と接着シール材との界面の相性が向上し、結果的に接着性が良好となるため好ましい。さらに、これらが同一の成分であれば、品質管理や経済性の点で有利である。
このような不通気処理剤の25℃における粘度は、得られる被膜の強度および配合作業性などの点で、1,000〜50,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
前記不通気処理剤の被覆前の形態は、特に限定されるものでなく、無溶剤型、溶剤希釈型、水分散型などを挙げることができる。なかでも、作業性および環境の面で、無溶剤型が好ましい。
また、その付着量は、乾燥重量で25g/m2以下であることが好ましい。下限は、5g/m2であることが好ましい。付着量が5g/m2より少ないと、布帛の通気性が高くなってエアバッグの気密性に問題が発生する傾向にあり、付着量が25g/m2をこえると、布帛の厚みが厚くなってエアバッグの収納性に問題が発生するおそれがある。とくに、軽量性、収納性の点で、付着量が20g/m2以下であることが好ましく、10〜20g/m2であることがさらに好ましい。
さらに、エアバッグを滑らかに展開させる目的で、前記不通気処理剤により得られる被膜の摩擦を低減する処理をおこなうことが好ましい。前記処理としては、具体的には、被膜にタルク等の微粉体を塗布する方法、処理剤に有機チタン化合物等の硬化後の粘着性を低減する物質を配合して被覆をおこなう方法、および、被膜にエンボス加工装置などを用いて凹凸を付与する方法などがあげられる。
本発明のエアバッグは、以下の方法により製造することができる。
まず、パネルを構成する基布に前記不通気処理剤を付与し、基布の少なくとも片面を被覆する。
被覆方法としては、1)コーティング法(ナイフ、キス、リバース、コンマ、スロットダイおよびリップなど)、2)浸漬法、3)印捺法(スクリーン、ロール、ロータリーおよびグラビアなど)、4)転写法(トランスファー)、5)ラミネート法、および6)スプレーなどにて噴霧する方法などが挙げられる。なかでも、設定できる付与量の幅が大きい点で、コーティング法が好ましい。
ついで、前記不通気処理剤が付与された基布から、第1のパネルと第2のパネルとを所望の形状に切り出す。
ついで、少なくとも一方のパネルに接着シール材を配置する。前記接着シール材の配置方法としては、ディスペンサー、スクリーンプリント、スプレーなどにて塗布する方法などがあげられ、適宜選択すればよい。
最後に、接着シール材を付与した面同士を重ね合わせて、圧着することにより接合し、エアバッグを得る。
ここで、前記による接合の後、接着シール材が硬化してから、接合部またはその近傍を縫合することにより、接着シール材の強度を補強する効果が得られる。なお、前記接着シール材により、接合部がエアバッグの展開時にも破断しない十分な強度と気密性を有するものであれば、縫合は必ずしも要さないが、接着シール材の伸びを制御し、膨張形状をより精度よく制御できる点においても、縫合することが好ましい。
なかでも、ミシン針への接着シール材の付着防止や、接合部に針穴を開けず傷つけないという点で、接合部の近傍を縫合することがより好ましい。エアバッグ膨張形状は接着シール材により規定されるため、エアバッグ膨張形状の保持と気密性のためには、接合部の外側を縫合することが、さらに好ましい。
縫合に使用する縫い糸は、一般に化合繊縫い糸と呼ばれるものや工業用縫い糸として使用されているものの中から適宜選定すればよい。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリエステル、高分子ポリオレフィン、含フッ素、ビニロン、アラミド、カーボン、ガラス、スチールなどがあり、紡績糸、フィラメント合撚糸またはフィラメント樹脂加工糸のいずれでもよい。
前記縫合は、本縫い、二重環縫い、片伏せ縫い、かがり縫い、安全縫い、千鳥縫い、扁平縫いなどの通常のエアバッグに適用されている縫い目により行えばよい。
縫い糸の太さは700dtex(20番手相当)〜2800dtex(0番手相当)、運針数は2〜10針/cmであることが好ましい。複数列の縫い目線が必要な場合は、縫い目線間の距離は2.2〜8.0mm程度として、多針型ミシンを用いればよいが、縫製部距離が長くない場合には、1本針ミシンで複数回縫合してもよい。エアバッグ本体として複数枚の裁断基布を用いる場合には、複数枚を重ねて縫合してもよいし、1枚ずつ縫合してもよい。
また、接着シール材と不通気処理剤との光透過率や光反射率が明確に異なる設計にすることにより、縫製ミシンに光照射装置や光透過装置を設置し、センサーで感知することを可能とし、より正確に縫合することが可能となる。そのために、接着シール材および不通気処理剤のいずれか一方にあるいは両者に、酸化チタン、鉄黄、イソインドリン、ペリレン、アンスラキノン、フタロシアニン、ベンガラ、カーボンブラックなどからなる顔料や染料を、異なる光透過率や光反射率になるよう添加することが好ましい。このような方法により、縫合が適正な位置に正確に行うことができれば、従来のようにずれを想定して余分な幅で接着シール材を配置するロスが軽減される。
他の製造方法としては、以下のような方法があげられる。
同様に不通気処理された第1の基布と第2の基布とを用意して、所望の形状に接着シール材を配置する。なお、所望の形状とは、後に続く工程を経て切り出されたエアバッグが、たとえば図2に示すような袋体となるように2枚の基布が接合される形状である。
ついで、第一の製造方法と同様に、少なくとも一方の基布の接着シール材が配置された位置に、接着シール材を付与した面同士を重ね合わせて、圧着することにより接合する。
最後に、接合された2枚の基布からエアバッグを切り出す。
この方法のように、接合した後、エアバッグを切り出すことにより、相対するパネルの重ねずれがないため寸法精度に優れ、基布に余分な部分を必要としないため、エアバッグを折り畳んだときの容積が小さくなり収納性に優れたものとなる。また、車両などへの取り付け用ボルト穴なども正確に位置決めすることが可能となり、所定の膨張形状を容易に得ることができる。さらに、エアバッグの製造を一連の装置で連続的に行うことができる点でも、好ましい。
さらに、前記同様に、接合部を縫合してもよい。この場合、縫合は切り出し工程の前であっても後であってもよい。
本発明のエアバッグには、乗員側へのエアバッグの突出抑制や膨張時の厚みの制御のために、内側に吊り紐またはガス流調整布、エアバッグ外側にフラップと呼ばれる帯状布または抑え布などを設けてもよい。
また、使用するインフレーターの特性に応じて、インフレーター噴出口周囲に熱ガスから保護するための耐熱保護布や力学的な補強布を設けてもよい。これらの保護布や補強布は、布自体が耐熱性の材料、例えば、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、PBO繊維、ポリイミド繊維、含フッ素繊維などの耐熱性繊維材料を用いてもよいし、エアバッグ本体用基布より太い糸を用いて別途作製した布帛を用いてもよい。また、布帛に耐熱性被覆剤を施したものを用いてもよい。
実施例
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例の中で行われているエアバッグの性能評価は、以下の方法に従った。
(1)接着シール材の温度
混合後の接着シール材の温度を接触式温度計により測定した。
(2)接着シール材の破断時伸び
JIS K6251に準じて、硬化後の接着シール材からダンベル3号の試験片を採取し、破断時伸びを測定した。
(3)展開試験
エアバッグのインフレーター挿入部に、固定金具とともにインフレーター(タンク圧150kPa、アトランティックリサーチ社製ハイブリッドインフレーター)を固定し、エアバッグを室温にて展開し、展開後、エアバッグ接合部の損傷の有無を観察した。
(4)気密性試験
エアバッグのインフレーター挿入部から加圧空気を注入し、エアバッグ内圧が50kPaに到達した後に、加圧空気の注入を停止して、5分後に内圧が30kPaを維持している場合を○、5分後に内圧が30kPa未満になる場合を×とした。
(5)折り畳み厚さ
エアバッグの長さ方向に対して略平行に、エアバッグを蛇腹状に10回折り畳み、折り畳んだときのエアバッグの厚さを測定した。
実施例1
総繊度470dtex、単糸繊度3.5dtex、単糸強度8.5cN/dtex、断面形状丸型のナイロン66フィラメント糸を用いて、経糸密度、緯糸密度がともに45本/2.54cmとなるようにウォータージェットルーム織機にて平織物を製織した。カバーファクターは1851、引張強力は650N/cmである。この平織物を、界面活性剤を含む90℃の熱水中で精練した後、185℃で30秒間熱セットした。ついで、不通気処理剤として、二液付加反応型無溶剤型シリコーンゴム組成物(25℃における粘度20Pa・s)をナイフコーターにより、乾燥重量が15g/m2になるよう織物の片面にコーティングした後、180℃で2分間熱処理を行い、目付け190g/m2のコーティング布を得た。
得られたコーティング布帛を、レーザー裁断機にて、側部用エアバッグの形状に裁断し、同形の2枚のパネルを得た。次いで、二液付加反応型シリコーンゴムに、発熱剤として還元鉄20重量%と水分保持剤として高吸水性樹脂(ポリアクリル酸塩系)10重量%とを、それぞれの液に分けて含有させた。前記二液を1:1の割合で混合し、ディスペンサーにより前記2枚のパネルのコーティング面の外周縁近傍に塗布した。シール材の混合直後の25℃における粘度は、300Pa・sであった。続いて、前記パネルを重ね合わせて、平板により圧着した後取り出して、25℃で24時間養生した。硬化後の接着シール材の幅は10mm、接着シール材の厚さは1mmであった。前記接着シール材を塗布してなる接合部の幅方向の中央部を、1400dtexのナイロン66縫糸を用いて、運針数を3.5針/cmとして本縫いにより縫合し、側部用エアバッグを得た。接着シール材塗布部を指触することにより、シリコーンゴムの弾性性能(弾力)の発現および形状の安定を確認して、硬化の判断を行ったところ、得られたエアバッグの硬化時間は5分間であった。さらに、接着シール材の形状に変化はなかった。また、エアバッグは問題なく展開し、気密性が高く、収納性はコンパクトであった。評価結果を表1に示す。
比較例1
接着シール材において発熱剤を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてエアバッグを得た。得られたエアバッグは、硬化に2時間必要であった。硬化するまでに、基布が水分を吸収して部分的に膨張および収縮を起したため、シワが生じていた。このシワに追従して、接着シール材が伸びて厚さが増し、幅が細くなったり、逆に、潰れて厚さが薄く、幅が太くなった箇所が見られた。エアバッグ展開時に、この接着シール材の変形部からのガスリークが見られ、気密性が低下した。また、収納性にも劣るものであった。評価結果を表1に示す。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。自動車乗員保護用側部用エアバッグに限らず、各種乗員保護用エアバッグ、例えば、運転席および助手席の前面衝突保護用エアバッグ、側面衝突保護用サイドエアバッグ、後部座席保護用エアバッグ、追突保護用のヘッドレストエアバッグ、脚部・足部保護用ニーエアバッグおよびフットエアバッグ、乳幼児保護用(チャイルドシート)ミニエアバッグ、サブマリン現象防止用エアバッグ、エアーベルト用袋体、歩行者保護用などの乗用車、商業車、バス、二輪車などの各用途の他、機能的に満足するものであれば、船舶、列車・電車、飛行機、遊園地設備など多用途に適用することができる。