JP4932639B2 - コンクリート供試体採取容器 - Google Patents
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また、このように内型枠内のコンクリートとコンクリート構造体用型枠内のコンクリートとを強引に分離していた。これにより、採取されたコンクリート試験片の他端側の面は歪んでいた。そこで、例えばコンクリート強度試験などを行う際には、事前にコンクリート試験片の他端面に対して研磨やキャッピングを施し、その平坦度を高めなければならなかった。
さらに、この採取後、コンクリート構造体に現出した採取孔は、その後、補修用コンクリートにより穴埋めされるが、採取孔を形成する外型枠の内周面が平滑であるため、硬化した補修用コンクリートが抜き取り孔から剥落し易かった。このことは、上述したボウリングマシンによりコンクリート供試体を切り出す際も同様であった。
また、この発明は、コンクリート試験前に、コンクリート供試体の端面に対して平坦化加工を施す必要がないコンクリート供試体採取容器を提供することを目的としている。
さらに、この発明は、コンクリート構造体の採取孔を穴埋めした硬化後の補修用コンクリートの剥落を防止することができるコンクリート供試体採取容器を提供することを目的としている。
コンクリート構造体用型枠としては、鉄、ステンレス、硬質アルミニウムなどの金属製型枠、スギ、合板などの木製型枠、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂などのプラスチック製型枠などを採用することができる。
コンクリートとしては、例えば普通コンクリート、軽量コンクリート、高強度コンクリート、高流動コンクリート、遮蔽コンクリートなどを採用することができる。また、鉄筋コンクリートでもよい。
供試体用型枠としては、鉄、ステンレス、硬質アルミニウムなどの各種の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂などの各種の合成樹脂や紙を採用することができる。
供試体用型枠上での採取口の形成位置としては、例えば、コンクリート構造体用型枠に固定された状態での供試体用型枠の上部、下部、側部などが挙げられる。その他、供試体用型枠が筒容器状の場合、端面(先端の面)でもよい。
採取口の形状としては、例えば円形状、楕円形状、三角形状または四角形以上の多角形状でもよい。
スクレーパの素材としては、例えば、鉄、ステンレス、硬質アルミニウムなどの金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂などの各種の合成樹脂、スギ、ヒノキ、松、ラワンなどの木、各種のセラミックスなどを採用することができる。
スクレーパは、シート(布、フィルムを含む)材、板材、ブロック材の何れでもよい。
スクレーパの形状としては、例えば平面視して円形状、楕円形状、三角形状または四角形以上の多角形状などを採用することができる。
「スクレーパを採取口に移動自在に配置する」とは、スクレーパが採取口内またはその近傍上またはその近傍下において、採取口の開口面に沿って移動可能であることをいう。
「供試体用型枠内のコンクリートを、コンクリート構造体用型枠内のコンクリートから分離する」とは、移動手段によりスクレーパを移動させ、両コンクリートを分断することをいう。
移動手段は、手動によりスクレーパを移動させるものでも、アクチュエータ(電動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダなど)により、スクレーパを移動自在にするものでもよい。手動式の移動手段のとしては、例えば線状部材、紐状部材、帯状部材などを採用することができる。
蓋板は円筒板と分離不能に一体形成されても、分離可能に別体で形成されてもよい。蓋体の少なくとも裏面(円筒板の内部空間側の面)は、円筒板の軸線に直交した平坦面でなければならない。一方、使用時、円筒板はその他端側の開口がコンクリート構造体用型枠の平坦な内面により塞がれる。これにより、採取されたコンクリート供試体の両端面が互いに平行な平坦面となる。
供試体用型枠は、使用時に軸線を水平とし、コンクリート構造体に取り付けられる。
供試体の採取後、コンクリート構造体の採取孔から凹凸緩衝部材を剥ぎ取り、採取孔の内面に多数の凹凸を現出させる。次に、採取孔に補修用コンクリートを流し込み、その後、これを養生、固化する。これにより、採取孔に充填された補修用コンクリートの外面は、採取孔内の凹凸に対応した形状に付形され、互いに嵌合状態となる。その結果、硬化後の補修用コンクリートの採取孔からの剥落が防止される。
空間保持部材としては、例えば、供試体用型枠の軸線方向に長さ方向を揃えた多数のストローを環状に並べて設けられたストロー環群などを採用することができる。その他、プラスチック製の筒などを採用することができる。
凹凸緩衝部材としては、例えば、貼り合わされた2枚の合成樹脂フィルムの間に多数の気泡が所定ピッチで存在する気泡緩衝材を採用することができる。
供試体の採取後、コンクリート構造体の採取孔から凹凸緩衝部材を剥ぎ取り、採取孔の内面に多数の凹凸を現出させる。次に、採取孔に補修用コンクリートを流し込み、その後、これを養生、固化する。これにより、採取孔に充填された補修用コンクリートの外面は、採取孔内の凹凸に対応した形状に付形され、互いに嵌合状態となる。その結果、硬化後の補修用コンクリートの採取孔からの剥落が防止される。
図1〜図3に示すように、コンクリート構造体用型枠11は、ビル(コンクリート構造体)用の表裏両面が平坦な合板製の型枠である。コンクリート構造体用型枠11に流し込まれるコンクリートとしては、普通ポルトランドセメントと粗骨材と細骨材と水とを所定の配合量で混練した普通コンクリートが採用されている。
供試体用型枠13は、軸線を水平にして使用され、かつ内径70mm×長さ14cmの紙製の円筒板(ボイド)16と、円筒板16の先側の開口および円筒板16の元側の開口を塞ぐ2枚の蓋板(円板)17とを有している。両蓋板17は、直径75mmの円形の鉄製の薄板で、各表裏面はそれぞれ平坦に仕上げられている。
採取口12は、平面視して矩形状の開口(長さ10cm×幅30mm)で、円筒板16の上部の長さ方向の両端部を除く部分に形成されている。
固定キャップ18は、前記蓋板17の直径より大判な略台形状のベース板19と、ベース板19の内側に突設され、かつ内径が円筒板16の外径と略同じ短尺なスリーブ20とを有している。
ベース板19の外周部は、円筒板16の外周面から外に環状に突出してフランジ19aを構成している。フランジ19aの幅狭な上辺部の両端と、フランジ19aの幅長な下辺部の両端とには、供試体用型枠13をコンクリート構造体用型枠11に固定する合計4つのビス孔19bがそれぞれ形成されている。また、フランジ19aの上辺部の中間部と、フランジ19aの下辺部の中間部とには、上下一対のワイヤ孔19cが配設されている。
円筒板16の先端部には、他方の蓋板17を被うように薄い金属製の環状の板からなる断面横L字形状の先端キャップ18Aが外方から装着されている。先端キャップ18Aの構成は、蓋板17の外周部の表側に当てがわれる板状リング19Aと、板状リング19Aの外周縁に一体形成されたスリーブ20Aとを有している。このスリーブ20Aの採取口12と対峙する部分にも、前記スリーブ20と同様に縦スリットと横スリットが入れられて2枚の短い突片に分断され、両突片から2枚のワイヤガイド22が形成されている。
また、各ストロー23の外周面と、板状リング19Aの外面および先側の蓋板17の露出した外面とは、両面テープ(低粘着性の接着剤でもよい)を介して、気泡緩衝材(凹凸緩衝部材)24により着脱自在に被われている。気泡緩衝材24は、貼り合わされた2枚の合成樹脂フィルムの間に、多数の気泡(直径10mm×高さ4mm)が所定ピッチで形成された梱包材である。
スクレーパ14は、両スライドガイド25間上に配置され、かつスライド方向に直交する方向へ長い矩形状の金属板片である。スクレーパ14の四隅には、合計4本の細長いワイヤ15の一端部がそれぞれ連結されている。スクレーパ14のベース板19側の両ワイヤ15は、円筒板16の元側に配置された対応するワイヤガイド22からベース板19の上部に配置されたワイヤ孔19cを通して、供試体用型枠13の元側の面より外方へ配置される。一方、スクレーパ14のベース板19とは反対側に連結された2本のワイヤ15は、円筒板16の先側に配置されたワイヤガイド22から、蓋板17の外面両端部と、円筒板16の下部に離間された2本ストロー23と、ベース板19の下部に配置されたワイヤ孔19cとを通して、供試体用型枠13の元側の面より外方へ配置される。
図1および図3に示すように、まず垂直に組まれたコンクリート構造体用型枠11の内面に、4本のビス36と各ビス孔19bとを介して、採取口12を上に向けて固定キャップ18を固定する。これにより、固定キャップ18に連結された供試体用型枠13が、その軸線を水平にしてコンクリート構造体用型枠11の内側に突設される。このとき、スクレーパ14のベース板19側の束ねられた両ワイヤ15の先部は、コンクリート構造体用型枠11に形成されたワイヤ導出孔11aを通して、供試体用型枠13の元側の面より外方へ引き出される。また、スクレーパ14のベース板19とは反対側の束ねられた両ワイヤ15の先部は、コンクリート構造体用型枠11に形成された別のワイヤ導出孔11bを通して、供試体用型枠13の元側の面より外方へ引き出される。このとき、例えば上下のワイヤ15を、コンクリート構造体用型枠11の外方で、供試体用型枠13をコンクリート構造体用型枠11に固定するように結び止めれば、コンクリート打設時におけるコンクリート供試体用型枠13のコンクリート構造体用型枠11からの脱落の防止効果が高まる。
その後、流し込まれたコンクリートが完全に硬化する前に、作業者が、両ワイヤ導出孔11a,11bから外方へ導出された上下のワイヤ15をそれぞれ握り、これらを供試体用型枠13の上部(円筒板16の上部)と、先側の端面(先側の蓋板17の外面)と、下部(円筒板16の下部)とに沿って、交互に引き戻しする。これにより、スクレーパ14が両スライドガイド25に沿って採取口12上で往復移動し、仮に採取口12に粗骨材の一部が挟まっても、これをスクレーパ14により採取口12の外に押し出すか、供試体用型枠13内に押し込むことができる。その結果、コンクリート構造体用型枠11内のコンクリートから供試体用型枠13内のコンクリートが分離される。よって、供試体採取時、打設されたコンクリート構造体から、コンクリート供試体35とともに供試体用型枠13を円滑に引き抜くことができる。コンクリートの完全硬化後、コンクリート構造体用型枠11は、コンクリート供試体入りの供試体用型枠13を残し、打設されたコンクリートの壁面から引き剥がされる。このとき、固定キャップ18がコンクリート構造体用型枠13とともに引き抜かれる。
まず、各ストロー23を、円筒板16の外周面と気泡緩衝材24との間から細長いペンチなどで引き抜く。これにより、円筒板16の外周面と気泡緩衝材24の内周面との間に、例えば幅4mm程度の隙間が形成される。これにより、コンクリート供試体35を収納した供試体用型枠13を、打設後のコンクリート構造体から容易に引き抜くことができる。その後、引き抜きキャップ31の嵌入スリーブ31aを、円筒板16の元部と気泡緩衝材24の元部との隙間に嵌入し、引き抜きキャップ31を供試体用型枠13に装着する(図4)。
続いて、束ねられた上下のワイヤ15の先部をグリップ32に架け渡し、両ワイヤ15の先部を万力構造のクリップCによって連結する。その後、グリップ32を握って、円筒板16ごとコンクリート供試体35を硬化後のコンクリート構造体から引き抜く。これにより、コンクリート構造体の壁面には、採取孔50が形成される。
11 コンクリート構造体用型枠、
12 採取口、
13 供試体用型枠、
14 スクレーパ、
15 ワイヤ(移動手段)、
16 円筒板、
17 蓋板、
23 ストロー(空間保持部材)、
24 気泡緩衝材(凹凸緩衝部材)、
35 コンクリート供試体。
Claims (3)
- コンクリート構造体用型枠の内面に着脱自在に取り付けられ、前記コンクリート構造体用型枠内に流し込まれたコンクリートの一部を採取する採取口が形成された供試体用型枠と、
前記採取口に移動自在に配置され、前記流し込まれたコンクリートが完全に硬化する前に前記供試体用型枠内のコンクリートを、前記コンクリート構造体用型枠内のコンクリートから分離するスクレーパと、
前記供試体用型枠に設けられ、前記スクレーパを前記採取口内で移動させる移動手段とを備えたコンクリート供試体採取容器。 - 前記供試体用型枠は、軸線を水平にして使用され、かつ円筒板の両端側の開口が平板からなる蓋板によりそれぞれ閉止された円筒容器で、
前記採取口は、前記円筒板の上部に形成された請求項1に記載のコンクリート供試体採取容器。 - 前記円筒板は、空間保持部材により外方から着脱自在に被われ、
該空間保持部材および前記蓋板は、外周面に多数の凹凸が形成された凹凸緩衝部材により外方から着脱自在に被われた請求項2に記載のコンクリート供試体採取容器。
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