JP4932137B2 - 横押出式スクリュー型押出造粒機 - Google Patents

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本発明は医薬品、食品、化学工業薬品、肥料、飼料等を取り扱う分野において、湿潤状態の原材料を押出造粒するために使用される横押出式スクリュー型押出造粒機に関するものであって、特に造粒能力を飛躍的に向上させた装置に係るものである。
医薬品、食品等、湿潤状態の原材料から径がおよそ1mm以下の造粒物を得る装置である押出造粒機の造粒原理は、押出成形孔を多数有するスクリーンの内側に、押出羽根またはエクストラクトスクリュー等の押出部材を配し、スクリーンと押出部材との間に送り込まれた原材料を押出成形孔から押し出して造粒するというものである。
ところで本出願人は、新たな横押出式のスクリュー型押出造粒装置を開発し、すでに特許出願に及んでいる(特許文献1参照)。この装置は本発明に係る装置の基本構成を具えて成る装置であって、図2に示すように半円環状スクリーン50のスクリーン幅中央における断面のスクリーン径Rを増加させても、当該断面に直交する断面のスクリーン径rを変えない限りはスクリーン強度が低下することなく、結果的にスクリーン面積を増して造粒能力を増加させ、装置のスケールアップを可能にしたものである。
なお前記半円環状スクリーン50は、球面状のスクリーンに比べて絞り加工時の歪みによる押出成形孔の変形を小さくすることができ、複雑な工程を要しないので安価に製作することができるものである。
また本出願人は、前記横押出式スクリュー型押出造粒機1を改良し、より高い造粒能力を有する装置を開発してすでに特許出願に及んでいる(特許文献2参照)。この装置は図2に示すように、原材料を圧縮するスクリュー40の先端を多条に形成し、半円環状スクリーン50への材料の供給を均等に行い、造粒負荷を均等にして単位造粒速度当たりの消費電力を低減するようにしたものである。
更にまた本出願人は、前記横押出式スクリュー型押出造粒機1を更に改良し、より高い造粒能力を有する装置を開発してすでに特許出願に及んでいる(特許文献3参照)。この装置は図2に示すように、エクストラクタ51の材料輸送部51cの頂稜部Lを、エクストラクタ51の回転方向へ向かうにつれて頂稜部Lの高さを漸減するとともに、エクストラクタ51の回転方向に向かう渦巻き状に形成することにより、原材料Aの滞留、付着を防止し、より高い造粒能力が得られるようにしたものである。
更にまた本出願人は、前記横押出式スクリュー型押出造粒機1を更に改良し、より高い造粒能力を有する装置を開発してすでに特許出願に及んでいる(特許文献4参照)。この装置は図2に示すように、半円環状スクリーン50の内側面またはエクストラクタ51における少なくとも原材料Aの案内面のいずれか一方または双方の面粗さを、シボ加工等によって粗くして、これら部材と原材料Aとの間の摩擦抵抗を増加するようにしたものである。
以上のように本発明者は新たな横押出式スクリュー型押出造粒機を開発するとともに、その後もこの装置の改良を継続して行ってきた。
特開平10−192688号公報 特開平11−57452号公報 特開平11−244684号公報 特開2000−254476公報
本発明はこのようなたゆみない研究開発の一環としてなされたものであって、原材料とスクリーンとの間でのすべりを軽減することにより、造粒能力を飛躍的に高めることのできる、新規な横押出式スクリュー型押出造粒機の開発を技術課題としたものである。
すなわち請求項1記載の横押出式スクリュー型押出造粒機は、湿潤状態の原材料をスクリューケース内で回転するスクリューにより加圧、圧縮しながら前記スクリューの終端部に設けられたエクストラクタまで強制的に送り込み、このエクストラクタの摺動作用と押出圧力によって前記エクストラクタの外周に取り付けた半円環状のスクリーンから押し出して造粒する装置において、前記エクストラクタは、スクリュー取付部と、原材料をスクリーン内面に押し付ける押付作用端を有する材料押付部と、原材料をエクストラクタの案内作用端から押付作用端まで輸送する材料輸送部とを具えて成るものであり、且つ前記材料押付部は、半円環状スクリーンの断面と同心の円弧状の断面形状を有するものであり、また前記スクリーンは、押出成形孔が菱形状に配された金属板を絞り加工することにより縞状凹凸が形成されたものであり、更にこの縞状凹凸は、菱形の短対角線方向に沿うとともに、押出成形孔以外の部位の肉厚が薄くなるように、金属板の表裏に形成されたものであり、前記縞状凹凸が、前記エクストラクタの回転方向に直交するように構成されたものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、縞状凹凸によって、原材料とスクリーンとの間の摩擦抵抗を増し、原材料の滑りを低減し、造粒能力を向上させることができる。
また請求項2記載の横押出式スクリュー型押出造粒機は、湿潤状態の原材料をスクリューケース内で回転するスクリューにより加圧、圧縮しながら前記スクリューの終端部に設けられたエクストラクタまで強制的に送り込み、このエクストラクタの摺動作用と押出圧力によって前記エクストラクタの外周に取り付けた半円環状のスクリーンから押し出して造粒する装置において、前記エクストラクタは、スクリュー取付部と、原材料をスクリーン内面に押し付ける押付作用端を有する材料押付部と、原材料をエクストラクタの案内作用端から押付作用端まで輸送する材料輸送部とを具えて成るものであり、且つ前記材料押付部は、スクリーンの断面と同心の円弧状の断面形状を有するものであり、また前記スクリーンは、押出成形孔が菱形状に配された金属板を絞り加工することにより縞状凹凸が形成されたものであり、更にこの縞状凹凸は、菱形の短対角線方向に沿うとともに、押出成形孔以外の部位の肉厚が薄くなるように、金属板の表裏に形成されたものであり、前記縞状凹凸が、前記エクストラクタの材料輸送部における原材料の流れ方向に直交するように構成されたものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、縞状凹凸によって、原材料とスクリーンとの間の摩擦抵抗を増し、原材料の滑りを低減し、造粒能力を向上させることができる。
更にまた請求項3記載の横押出式スクリュー型押出造粒機は、前記要件に加え、前記スクリーンの内面は、面粗さを粗く形成されたものであることを特徴として成るものである。
この発明によれば、原材料とスクリーンとの間の摩擦抵抗を更により一層増して、造粒能力を更に向上させることができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
本発明によれば、原材料とスクリーンとの間の摩擦抵抗が増大するため、原材料のすべりを激減させて造粒能力を飛躍的に向上することができる。
以下本発明の横押出式スクリュー型造粒装置について、図示の実施例に基づいて説明するものであるが、この実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
本発明の横押出式スクリュー型押出造粒機1は図1に示すように、一例として移動可能な架台2上に固定されるものであり、駆動部3と、投入された原材料Aを搬送する搬送部4と、実質的に造粒作用を行う造粒部5とを具えて構成されている。
以下上述の横押出式スクリュー型押出造粒機1を構成する各要素について詳細に説明する。まず前記駆動部3は、モータMの出力軸に減速機30、カップリング31、軸受箱32及び駆動軸33が接続されて成るものであり、この駆動軸33に対して後述する搬送部4におけるスクリュー40が接続される。
また前記搬送部4は、架台2から立ち上げられた適宜の支持部材により支えられている円筒状のスクリューケース41と、このスクリューケース41内に具えられたスクリュー40と、このスクリュー40の基端上方に挿設されるホッパ42とを具えて成る。
更にこの実施例では、前記スクリュー40の終端部、具体的には後述する半円環状スクリーン50近傍のスクリュー羽根を多条にするものであって、スクリュー40の基端から終端にわたってメインスクリュー羽根43を設けるとともに、前記スクリュー40終端部にサブスクリュー羽根44を設けた二条の形態とした。
次に前記造粒部5について説明すると、このものは前記スクリューケース41の終端に対し、スクリーン取付具52を用いて設けられる二片一対の半円環状スクリーン50と、これら半円環状スクリーン50の内側に設けられるとともに前記スクリュー40の終端に固定される押出部材たるエクストラクタ51とを具えて成る。
前記半円環状スクリーン50は図2に示すように、パンチングされた成形用材料を絞り加工して成る、断面形状を半径rの半円とした半径Rの半円環状部材であり、外周縁全域に対してフランジ50bが形成され、前記半円環状の部分に対してその全面に、一例として直径が1mm以下の押出成形孔50aが開孔比約20%で多数穿設されて成るものである。
なお前記押出成形孔50aは図4(b)に示すように菱形状に連続配列されるものであり、菱形の長対角線が後述するエクストラクタ51の回転方向に沿って配され、絞り加工時に短対角線方向に沿って形成される縞状凹凸50cを、エクストラクタ51の回転方向に直交させるものである。
ここで前記縞状凹凸50cが絞り加工時に形成される原理について説明すると、前記押出成形孔50aは図4に拡大して示すように、なるべく多数が形成されるように隣り合う列を互いにずらして配列されるものであり、このため菱形状パターンが連続した模様を描くものである。そして絞り加工時には強度の低い、孔間の短い個所が伸長されるため、図4に拡大して示すように金属板の厚みに規則的なばらつきが生じて、半円環状スクリーン50の表裏面に縞状凹凸50cが形成されるものである。なお図中では肉厚の薄くなった部分にハッチングを施している。
また原材料Aの性状によっては、前記押出成形孔50aを図4(b)中最下部の拡大図に示すように、菱形の長対角線を後述するエクストラクタ51における材料輸送部51cに沿って配し、絞り加工時に形成される縞状凹凸50cが原材料Aの流れ方向に直交するようにすることが好ましい場合もある。
更にまたこの実施例では、前記半円環状スクリーン50の内側面の面粗さを粗くするものであり、一例としてシボ加工を施すものとする。このシボ加工を施す手法としては、サンドブラストによる方法、化学エッチング法、フォトエッチング法、電鋳法または放電加工による方法等、適宜公知の手法が採り得るものであるが、この実施例では一例としてサンドブラストによる方法を採用し、面粗さを15μRaとなるようにした。
また前記スクリーン取付具52は図2に示すように、前記半円環状スクリーン50におけるフランジ50bの半円曲面と同一の曲面を有する形状保持部52aに対して、その中央部長手方向に幅矯正部52bを開口して成るものである。また形状保持部52aにおける曲面は前記フランジ50bとほぼ同一の半径であって、幅矯正部52bは半円環状スクリーン50の半円環部を外部に出すように開口されて成るものである。そして形状保持部52aの曲面の上下両端に平坦部52cが形成されるのであり、ここには半円環状スクリーン50に形成されたボルト用の孔と対応した位置に同様の孔が形成される。
そしてこのようなスクリーン取付具52を用いることにより、半円環状スクリーン50の保形性を高め、安定した造粒を行うことが可能となるものである。
また前記押出部材たるエクストラクタ51は図2、3に示すように、スクリュー取付部51aと、原材料Aを前記半円環状スクリーン50内面に押し付ける材料押付部51bと、原材料Aをスクリュー40終端部から材料押付部51bまで輸送(誘導)する材料輸送部51cとが形成されて成るものである。
前記スクリュー取付部51aは、エクストラクタ51の中心部分を円柱状にはつり、その内周部にキー溝を有するように形成されたものである。
また前記材料押付部51bは、前記スクリュー取付部51aに対して対向するよう二カ所に形成されるものであり、前記半円環状スクリーン50の内側とほぼ同じ寸法(2r)の厚さであって、半円環状スクリーン50の裏面に最も近接する場合その回転軸を含む断面形状が、半円環状スクリーン50の断面形状とほぼ同心の円弧状に形成される。なおエクストラクタ51と半円環状スクリーン50との最近接部において、その隙は1mm以下であり、エクストラクタ51の円弧状曲面により原材料Aを半円環状スクリーン50内面に押し付けるものであるため、この曲面を押付作用端と定義する。
また材料押付部51bは、その内側すなわちスクリュー40側がスクリュー40の輸送溝を延長する形でくり抜かれて形成されるものであり、この部分をくり抜き部51dとする。
また前記材料輸送部51cは、スクリュー40から送り込まれた原材料Aをその送り方向を90°異ならせて半円環状スクリーン50内面に向かって送るものであり、案内作用端から押付作用端まで滑らかな曲線状に形成されるものである。
なお前記案内作用端とは、スクリュー40から送り込まれた原材料Aが材料輸送部51cにおいてまず最初に案内される部分を称するものである。因みに図3に示すように材料輸送部51cの外端縁を頂稜部Lとし、回転軸からこの頂稜部Lまでの距離を頂稜部高さとすれば案内作用端部分の頂稜部高さは最も低く、押付作用端部分の頂稜部高さは最も高く形成される。また前記頂稜部Lは、エクストラクタ51の回転方向へ向かうにつれて頂稜部高さを漸減するとともに、エクストラクタ51の回転軸中心に向かう渦巻き状に形成される。
そしてこの実施例では、前記エクストラクタ51における材料押付部51b及び材料輸送部51cを原材料案内面とするものであり、少なくともこの原材料案内面は面粗さを粗くするものであって、一例として面粗さを15μRaとしたシボ加工を施すものとした。またシボ加工を施す手法としては、サンドブラストによる方法、化学エッチング法、フォトエッチング法、電鋳法または放電加工による方法等、適宜公知の手法が採り得るものである。
本発明の横押出式スクリュー型押出造粒機1は一例として上述したように構成されるものであり、この装置を用いた造粒の際には、半円環状スクリーン50の内側面に形成される縞状凹凸50cがエクストラクタ51の回転方向、すなわち原材料Aの流れ方向に直交するため抵抗が最大となり、エクストラクタ51と半円環状スクリーン50との間に位置した原材料Aは滑りを起こして流動が妨げられてしまうことがなく、このため造粒が効率的に行われるものである。
なお縞状凹凸50cがエクストラクタ51の回転方向と平行になるような半円環状スクリーン50を、縞状凹凸50cがエクストラクタ51の回転方向に直交するような半円環状スクリーン50に取り替えることにより、例えば鰹だしの造粒においては造粒能力が400kg/hから700kg/hへと飛躍的に向上することが確認されている。
本発明の横押出式スクリュー型押出造粒機を示す斜視図である。 同上縦断側面図並びにエクストラクタ、半円環状スクリーン及びスクリーン取付具を拡大して示す斜視図である。 エクストラクタを一部破断して示す斜視図である。 円環状スクリーンを示す側面図及び平面図である。
1 横押出式スクリュー型押出造粒機
2 架台
3 駆動部
4 搬送部
5 造粒部
30 減速機
31 カップリング
32 軸受箱
33 駆動軸
40 スクリュー
41 スクリューケース
42 ホッパ
43 メインスクリュー羽根
44 サブスクリュー羽根
50 半円環状スクリーン
50a 押出成形孔
50b フランジ
50c 縞状凹凸
51 エクストラクタ
51a スクリュー取付部
51b 材料押付部
51c 材料輸送部
51d くり抜き部
52 スクリーン取付具
52a 形状保持部
52b 幅矯正部
52c 平坦部
A 原材料
L 頂稜部
M モータ

Claims (3)

  1. 湿潤状態の原材料をスクリューケース内で回転するスクリューにより加圧、圧縮しながら前記スクリューの終端部に設けられたエクストラクタまで強制的に送り込み、このエクストラクタの摺動作用と押出圧力によって前記エクストラクタの外周に取り付けた半円環状のスクリーンから押し出して造粒する装置において、前記エクストラクタは、スクリュー取付部と、原材料をスクリーン内面に押し付ける押付作用端を有する材料押付部と、原材料をエクストラクタの案内作用端から押付作用端まで輸送する材料輸送部とを具えて成るものであり、且つ前記材料押付部は、半円環状スクリーンの断面と同心の円弧状の断面形状を有するものであり、また前記スクリーンは、押出成形孔が菱形状に配された金属板を絞り加工することにより縞状凹凸が形成されたものであり、更にこの縞状凹凸は、菱形の短対角線方向に沿うとともに、押出成形孔以外の部位の肉厚が薄くなるように、金属板の表裏に形成されたものであり、前記縞状凹凸が、前記エクストラクタの回転方向に直交するように構成されたものであることを特徴とする横押出式スクリュー型押出造粒機。
  2. 湿潤状態の原材料をスクリューケース内で回転するスクリューにより加圧、圧縮しながら前記スクリューの終端部に設けられたエクストラクタまで強制的に送り込み、このエクストラクタの摺動作用と押出圧力によって前記エクストラクタの外周に取り付けた半円環状のスクリーンから押し出して造粒する装置において、前記エクストラクタは、スクリュー取付部と、原材料をスクリーン内面に押し付ける押付作用端を有する材料押付部と、原材料をエクストラクタの案内作用端から押付作用端まで輸送する材料輸送部とを具えて成るものであり、且つ前記材料押付部は、スクリーンの断面と同心の円弧状の断面形状を有するものであり、また前記スクリーンは、押出成形孔が菱形状に配された金属板を絞り加工することにより縞状凹凸が形成されたものであり、更にこの縞状凹凸は、菱形の短対角線方向に沿うとともに、押出成形孔以外の部位の肉厚が薄くなるように、金属板の表裏に形成されたものであり、前記縞状凹凸が、前記エクストラクタの材料輸送部における原材料の流れ方向に直交するように構成されたものであることを特徴とする横押出式スクリュー型押出造粒機。
  3. 前記スクリーンの内面は、面粗さを粗く形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の横押出式スクリュー型押出造粒機。
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