JP4928946B2 - 光学活性化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はエノールエステルの光学異性体混合物を酵素により一方の光学異性体を優先的に加水分解し、光学純度が高められたカルボニル化合物又はエノールエステルを製造する方法に関する。
光学異性体混合物、例えばエノールエステルを酵素により速度論的に加水分解して、一方の光学異性体を優先的に加水分解し、加水分解物であるカルボニル化合物を高い光学純度で得る方法(不斉加水分解)、又はエノールエステルの光学純度を高める方法(非対称化操作)は既に知られている。
不斉加水分解法について、例えば、特許文献1にはエノールエステルである3−アシルオキシフラン類を用い、Candida属由来の酵素を作用させ、カルボニル基のα位が光学活性な3−(2H)−フラノン類を合成する旨記載されている。又、非特許文献1には1−アシルオキシ−2−アルキルシクロアルケンにPichia属由来の酵素又は豚肝エステラーゼを作用させ、光学活性なα−アルキルシクロアルカノンを合成する報告がなされている。
しかしながら、これらの方法ではエノールエステル類の加水分解に由来するカルボニル基のα位の炭素原子への不斉誘起が行われているに過ぎず、カルボニル基から比較的遠い位置の炭素原子への不斉誘起については、記載はもちろんのこと示唆すらなされていない。
また、非対称化操作としては、例えば、非特許文献2には、4位にシアノ基とフェニル基を有するラセミ体のシクロヘキセン−1−イルアセテートを、Pseudomonas属の微生物由来のリパーゼを用いて、(R)体を優先的に加水分解してケトンとすることにより、(S)体のエノールエステルを100ee%で得ることが報告されている。非特許文献3には、トリオールの水酸基のうち2つの水酸基が保護されたエノールエステルに、Bacillus属の微生物を作用させ、非対称化操作を行うことにより(R)体のエノールエステルを95ee%以上で得ることが報告されている。また、非特許文献4には1,5−ジ置換−8−オキサビシクロ[3.2.1]−6−オクテン−3−オン由来のエノールアセテートに、ヘキサン及びn−ブタノール存在下、シリカゲルに吸着させたHumicola属の微生物由来のリパーゼで非対称化操作を行うことにより、最高99ee%で光学活性なエノールアセテートが得られることが報告されている。
特開平10−84988号公報 J.Am.Chem.Soc.,1990,112,9614−9619 Tetrahedron Letters,38,(1997)7781 CHEMISTRY LETTERS,pp.1109,1989 Tetrahedron Letters,40,(1999)8633
本発明は、エノールエステルの光学異性体混合物の加水分解、就中、酵素を使用する加水分解によって生成するカルボニル化合物におけるカルボニル基のβ位の立体配置の一方の比率、又は、加水分解されずに残存するエノールエステルのエステル化された水酸基が結合している炭素原子に対するβ位の立体配置の一方の比率を豊富化する光学活性化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記事情に鑑み鋭意検討した結果、エノールエステルに酵素を作用させ加水分解して速度論的分割を行うことにより、加水分解されて生成するカルボニル化合物、又は、加水分解されずに残存するエノールエステルのβ位の炭素原子における立体配置の一方の光学異性体の比率が豊富化されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[6]の内容を含むものである。
[1]エノールエステルのエステル化された水酸基が結合している炭素原子に対してβ位の炭素原子における光学異性体混合物を酵素の存在下で一方の光学異性体を優先的に加水分解して、加水分解されて生成するカルボニル化合物のカルボニル基に対してβ位の炭素原子における立体配置の一方の光学異性体の比率、又は、加水分解されずに残存するエノールエステルのエステル化された水酸基が結合している炭素原子に対してβ位の炭素原子における立体配置の一方の光学異性体の比率を豊富化させることを特徴とする光学活性化合物の製造方法。
[2]エノールエステルが下記一般式(1)
Figure 0004928946
(式中、Rはアシル基又はアルコキシカルボニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R及びRはそれぞれ異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR又はRとRとはそれぞれ結合して環を形成してもよい。波線は幾何異性体のE配置又はZ配置もしくはE配置とZ配置の混合を表す。)
で表される化合物である[1]に記載の製造方法。
[3]カルボニル化合物が下記一般式(2)
Figure 0004928946
(式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R及びRはそれぞれ異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR又はRとRとはそれぞれ結合して環を形成してもよい。*は不斉炭素原子を表す。)
で表される化合物である[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]酵素がリパーゼである[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]リパーゼがCandida antarctica由来のものである[4]に記載の製造方法。
[6]エノールエステルがシクロアルケニル骨格を有する化合物である[1]〜[5]の何れかに記載の製造方法。
本発明により得られる光学活性カルボニル化合物及び光学活性エノールエステルは医薬、香料、機能性材料等又はそれらの中間体として有用である。
本発明は以下のスキームにより表すことができる。
Figure 0004928946

(式中、R〜R及び*は前記と同じ意味を表す。)
一般式(1)で示されるエノールエステルにおいて、Rで表されるアシル基としては、脂肪族又は芳香族のアシル基が挙げられ、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、o−,m−,p−トルオイル基、p−ニトロベンゾイル基又はトリフルオロアセチル基等が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
一般式(1)で示されるエノールエステル、又は一般式(2)で表されるカルボニル化合物において、R、R、R又はRで表される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基が挙げられる。アルキル基としては例えば炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、2−,3−,4−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−,3−,4−メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基などが挙げられる。
また、これらアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、アリール基、脂肪族複素環基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、水酸基、オキソ基、ニトロ基、メルカプト基又はハロゲン原子等が挙げられる。
置換基としてのアリール基としては、例えば炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、具体的にはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基、フェナンスリル基、2−ビフェニル基、3−ビフェニル基、4−ビフェニル基又はターフェニル基等が挙げられる。
置換基としての脂肪族複素環基としては、例えば炭素数2〜14で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5又は6員の単環の脂肪族複素環基、多環又は縮合環の脂肪族複素環基が挙げられる。脂肪族複素環基の具体例としては、例えば、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基又はテトラヒドロチエニル基等が挙げられる。
置換基としての芳香族複素環基としては、例えば炭素数2〜15で、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子及び硫黄原子等の異種原子を含んでいる、5〜8員、好ましくは5又は6員の単環式ヘテロアリール基、多環式又は縮合環式のヘテロアリール基が挙げられ、具体的にはフリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、ピリダジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フタラジル基、キナゾリル基、ナフチリジル基、シンノリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基又はベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
置換基としてのアルコキシ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、5−メチルペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシメトキシ基又は2−エトキシエトキシ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキレンジオキシ基としては、例えば炭素数1〜3のアルキレンジオキシ基が挙げられ、具体的にはメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、トリメチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基又はイソプロピリデンジオキシ基等が挙げられる。
置換基としてのアリールオキシ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールオキシ基が挙げられ、具体的にはフェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフトキシ基又はアントリルオキシ基等が挙げられる。
置換基としてのアラルキルオキシ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が挙げられ、具体的にはベンジルオキシ基、4−メトキシフェニルメトキシ基、1−フェニルエトキシ基、2−フェニルエトキシ基、1−フェニルプロポキシ基、2−フェニルプロポキシ基、3−フェニルプロポキシ基、1−フェニルブトキシ基、3−フェニルブトキシ基、4−フェニルブトキシ基、1−フェニルペンチルオキシ基、2−フェニルペンチルオキシ基、3−フェニルペンチルオキシ基、4−フェニルペンチルオキシ基、5−フェニルペンチルオキシ基、1−フェニルヘキシルオキシ基、2−フェニルヘキシルオキシ基、3−フェニルヘキシルオキシ基、4−フェニルヘキシルオキシ基、5−フェニルヘキシルオキシ基又は6−フェニルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
置換基としてのヘテロアリールオキシ基としては、例えば、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、炭素数2〜14のヘテロアリールオキシ基が挙げられ、具体的には、2−ピリジルオキシ基、2−ピラジルオキシ基、2−ピリミジルオキシ基又は2−キノリルオキシ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキルチオ基としては、直鎖状でも分岐状でも或いは環状でもよい、例えば炭素数1〜6のアルキルチオ基が挙げられ、具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基又はシクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
置換基としてのアリールチオ基としては、例えば炭素数6〜14のアリールチオ基が挙げられ、具体的にはフェニルチオ基、トリルチオ基、キシリルチオ基又はナフチルチオ基等が挙げられる。
アラルキルチオ基としては、例えば炭素数7〜12のアラルキルチオ基が挙げられ、具体的にはベンジルチオ基又は2−フェネチルチオ基等が挙げられる。
置換基としてのヘテロアリールチオ基としては、例えば、異種原子として少なくとも1個、好ましくは1〜3個の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の異種原子を含んでいる、炭素数2〜14のヘテロアリールチオ基が挙げられ、具体的には、例えば2−ピリジルチオ基、4−ピリジルチオ基、2−ベンズイミダゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基又は2−ベンズチアゾリルチオ基等が挙げられる。
置換基としての置換アミノ基としては、アミノ基の1個又は2個の水素原子がアルキル基、アリール基またはアラルキル基等の置換基で置換されたアミノ基が挙げられる。
アルキル基で置換されたアミノ基、即ちアルキル基置換アミノ基の具体例としては、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基が挙げられる。
アリール基で置換されたアミノ基、即ちアリール基置換アミノ基の具体例としては、N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジトリルアミノ基、N−ナフチルアミノ基、N−ナフチル−N−フェニルアミノ基等のモノ又はジアリールアミノ基が挙げられる。
アラルキル基で置換されたアミノ基、即ちアラルキル基置換アミノ基の具体例としては、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基等のモノ又はジアラルキルアミノ基が挙げられる。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、ハロゲン化されたアルキル基としては、例えばモノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
また、R、R、R又はRで表される炭化水素基の一つとしては鎖状又は環状の直鎖あるいは分岐してもよいアルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−シクロヘキセニル基又は3−シクロヘキセニル基等が挙げられる。
また、これらアルケニル基は置換基を有していてもよく該置換基としては、ハロゲン原子、アリール基又は複素環基等が挙げられ、具体例としては前記したようなものが挙げられる。
また、R、R、R又はRで表される炭化水素基の一つとしては直鎖又は分岐していてもよいアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基又は5−ヘキシニル基等が挙げられる。
また、これらアルキニル基は置換基を有していてもよく該置換基としては、アルキル基、アリール基又は複素環基等が挙げられ、アルキル基、アリール基又は複素環基の具体例としては前記したようなものが挙げられる。
また、R、R、R又はRで表される炭化水素基の一つとしてはアリール基が挙げられ、具体的には前記したようなアリール基が挙げられる。また、これらアリール基は置換基を有してもよく該置換基としては、アルキル基、アリール基、複素環基又はハロゲン原子等が挙げられ、具体例としては前記したようなものが挙げられる。
また、R、R、R又はRで表される複素環基としては脂肪族複素環基又は芳香族複素環基が挙げられ、具体的には前記置換基としての複素環基で記載したような複素環基が挙げられる。また、これら複素環基は置換基を有してもよく該置換基としては、アルキル基、アリール基、複素環基又はハロゲン原子等が挙げられ、具体例としては前記したようなものが挙げられる。
一般式(1)の化合物、又は一般式(2)の化合物においてRとR、RとR又はRとRとが結合して形成される環としては1〜4個の酸素原子又は窒素原子等のヘテロ原子を環の構成原子として含んでいてもよい5〜20員環が挙げられる。具体例としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、シクロテトラデカン環、シクロペンタデカン環、シクロヘキサデカン環、シクロヘプタデカン環、ピロール環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、ピロリジン環、テトラヒドロピラン環等の飽和単環;シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、シクロデセン環、シクロドデセン環、シクロテトラデセン環、シクロペンタデセン環、シクロヘキサデセン環、ジヒドロピロール環、ジヒドロフラン環、ジヒドロチオフェン環、ジヒドロピリジン環、ジヒドロピラン環等の不飽和単環;1,2−又は1,4−ジヒドロナフタレン環、インデン環、1,2−ジヒドロキノリン環、2H−クロメン環等の縮合環が挙げられる。これらの環は置換可能な任意の位置にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、アルキル基、アリール基等の具体例としては前記したような基が挙げられる。また、前記単環中においては、可能であれば環の任意の位置に二重結合を有していてもよい。
さらに、RとR、RとR又はRとRとが結合して形成される、エノールエステルの二重結合部分を環中に含む環としては、1〜4個の酸素原子又は窒素原子等のヘテロ原子を環の構成原子として含んでいてもよい5〜20員環が挙げられる。具体例としては例えば、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、シクロデセン環、シクロドデセン環、シクロテトラデセン環、シクロペンタデセン環、シクロヘキサデセン環、ジヒドロピロール環、ジヒドロフラン環、ジヒドロチオフェン環、ジヒドロピリジン環、ジヒドロピラン環、1,2−又は1,4−ジヒドロナフタレン環、インデン環、1,2−ジヒドロキノリン環又は2H−クロメン環等が挙げられる。これらの環は置換可能な任意の位置にアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよく、アルキル基、アリール基等の具体例としては前記したような基が挙げられる。
これらの環の中でも、5〜16員環のシクロアルケン環が好ましく、更には3−アルキルシクロアルケニル骨格を有するものが好ましい。好ましい3−アルキルシクロアルケン環としては、3−アルキルシクロペンテン環、3−アルキルシクロヘキセン環、3−アルキルシクロヘプテン環、3−アルキルシクロオクテン環、3−アルキルシクロデセン環、3−アルキルシクロドデセン環、3−アルキルシクロテトラデセン環、3−アルキルシクロペンタデセン環又は3−アルキルシクロヘキサデセン環等が挙げられる。
本発明の製造方法における原料であるエノールエステルは、従来から知られている方法、例えば、J.Org.Chem.,Vol.36,2361(1971)記載の方法に従い、ケトン又はアルデヒド等のカルボニル化合物に塩基を作用させ、カルボニル基のα位水素を、引き抜きエノラートアニオンを発生させ、このものに酸無水物等のアシル化剤、クロロギ酸エステル等のアルコキシカルボニル化剤を反応させることにより得る事ができる。
又は、公知方法に従って、塩基化合物や遷移金属化合物等を触媒として、α、β−不飽和カルボニル化合物に求核剤を反応させマイケル型付加反応を行い、このものに前記と同様にアシル化剤又はアルコキシカルボニル化剤を反応させることによっても本発明の原料であるエノールエステルを得る事ができる。このようにして得られるエノールエステルを酵素の存在下で加水分解反応に付する。原料として用いられるエノールエステルは、エステル化された水酸基に対してβ位の炭素原子における光学異性体混合物(例えばラセミ混合物等)である。
続いて、本発明に用いられる酵素について説明する。
本発明で用いられる酵素としては加水分解酵素が好ましく、例えばリパーゼ等が好ましい酵素として挙げられる。
これらの酵素は通常、何れも市販されている。
本発明の方法で使用するのに適した酵素の具体例としては、Aspergillus niger、Mucor javanicus、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas cepasia、Pseudomonas fluorescence、Rhizopus delemar、Rhizopus niveus、Rhizomucor miehei、Candida antarctica、Candida rugosa、Geotrichum candidum、Penicillium cyclopium、Penicillium roqueforti、又はMucor miehei等を起源とするリパーゼが挙げられる。
本発明の方法で使用するのに特に好ましい加水分解酵素としては、例えば、Candida antarcticaを起源とするリパーゼが挙げられる。
本発明で用いられる加水分解酵素は、遊離状態でも、また、不溶性担体に担持された状態であってよい。使用の簡便さ、繰り返し使用の点から、担体に担持されたものを使用するのが好ましい。
担体は、通常、酵素を固定化できる担体であればいずれも好ましく使用することができ、例えば、キトサン、デキストランなどの天然の高分子材料、ポリアクリルアミド、アセチルセルロース、ポリイミドなどの合成樹脂材料、シリケート結晶子多孔体、セラミック、多孔質ガラスなどからビーズ状に整形したものなどを挙げることができる。酵素の該担体への固定方法としては、担体結合法、架橋法、包括法等が挙げられる。本発明の方法で使用するのに好ましい加水分解酵素としては、例えば、Candida Antarctica由来のリパーゼ、ノボザイム435、ノボザイムSP435(ノボノルディスク社製)、CHIRAZYME L2(ロシュ社製)等が挙げられる。
溶媒の使用量は任意であり特に限定されるものではないが、通常、エノールエステルに対して約0〜100倍容量、好ましくは約1〜30倍容量の範囲から適宜選択される。
加水分解工程の反応は、通常、リン酸緩衝液単独又はこれに有機溶媒を含む混合溶媒系で行うことができる。
用いられる有機溶媒の具体例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、例えばジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は、各々単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
これらの溶媒の中で、より好ましい溶媒としては、例えば、リン酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液−アセトン混合溶媒、リン酸緩衝溶液−アセトニトリル混合溶液等が挙げられる。 加水分解酵素の使用量は、エノールエステルの約0.1〜100重量%、好ましくは約0.5〜50重量%である。
反応温度は、酵素の活性に適合したものでなければならないところ、好ましくは約100℃以下、より好ましくは約0℃〜70℃である。
反応溶液の液性は、pH約3.0〜10、好ましくはpH約6.0〜8.0である。液性の調整は、例えば、リン酸2水素カリウムの水溶液、リン酸2カリウムの水溶液等を使用して実施することができる。
反応時間は、通常約1時間〜1週間、好ましくは約10時間〜5日である。
反応に使用された酵素は、反応終了後に遠心分離、濾過等の処理を行うことによって除去できる。不溶性担体に担持された酵素であれば、濾過により除去したものを複数回再利用することも可能である。
本発明の方法で得られた光学活性エノールエステルと加水分解生成物である光学活性カルボニル化合物を含む反応成績体は、濾過又は遠心分離等により酵素を除去した後、又は酵素を除去することなく、ヘキサン、ヘプタン又はトルエン等の炭化水素、ジエチルエーテル又はメチルtert−ブチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル又は酢酸ブチル等のエステルなどの有機溶媒で抽出し、次いで蒸留、再結晶又はカラムクロマトグラフィーなどの操作により、一方の異性体の比率が原料のエノールエステルよりも高められた光学活性エノールエステルと光学活性カルボニル化合物を分離し、それぞれを精製することができる。
また、本発明の方法において酵素によりエノールエステルが加水分解されて生成するカルボニル化合物は、本発明方法の原料であるエノールエステルを合成するための原料として、リサイクルすることが可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、光学純度は液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)により決定した。
なお、実施例中の配位子とは以下の化合物を表す。
Figure 0004928946

実施例1
(a) dl−3−メチルシクロペンタデセン−1−イルアセテートの合成
攪拌装置、滴下ロート、温度計のついた2000mL反応フラスコに、Cu(OTf)54.3mg(0.15mmol)、トルエン25g、亜リン酸トリフェニル93.1mg(0.30mmol)を入れ、窒素置換をした。窒素置換後、溶液を25℃で20分攪拌した。その後ジメチル亜鉛トルエン溶液(2.0mol/L)9mL(18mmol)を25℃で加え、さらに10分攪拌した。その後−17℃に冷却し、無水酢酸1.68g(16.5mmol)を加え、2−シクロペンタデセノン3.34g(15mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同じ温度で6時間攪拌を続けた。反応終了後、0℃に冷やした5%硫酸水溶液32.5gに反応溶液を加えクエンチした。分液後、水洗を5回行い、得られた有機層を減圧濃縮して粗生成物4.93gを得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、dl−3−メチルシクロペンタデセン−1−イルアセテート3.89g(13.8mmol、収率92%)を得た。
(b) (S)−3−メチルシクロペンタデセニルアセテートの速度論的分割
pH7のリン酸緩衝液20mL中に、実施例1(a)で得られたdl−3−メチルシクロペンタデセン−1−イルアセテート2.0gとCandida antarctica由来の固定化酵素(ノボザイム435)1.0g(基質に対して50wt%)を混合し、55℃で2日間激しく振とうした。反応後、反応液にヘキサン20mLを加えて抽出し、ヘキサン層を分析したところ、基質の転換率は69.8%で生成3−メチルシクロペンタデカノンと残存3−メチルシクロペンタデセン−1−イルアセテートが確認された。このヘキサン溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、残存3−メチルシクロペンタデセン−1−イルアセテートの一部を定法により加水分解して生成する3−メチルシクロペンタデカノンの光学純度をHPLCで測定したところ、90.8%eeの(S)体であった。また、基質の酵素加水分解物である3−メチルシクロペンタデカノンの光学純度を測定したところ42.6%eeの(R)体であった。
HPLC:CHIRALPAK AS−H(ヘキサン/IPA=300/0.5)
IPAは2−プロパノールを意味する。
実施例2
(a) (R)−3−エチルシクロヘキセン−1−イルプロピオネートの合成
攪拌装置、温度計、滴下ロートのついた50mL4つ口フラスコに、Cu(OTf)36.2mg(0.1mmol)、トルエン10g、配位子87.1mg(0.2mmol)を入れ、窒素置換をした。窒素置換後、溶液を25℃で20分攪拌した。その後ジエチル亜鉛トルエン溶液(1.1mol/L)16mL(17.6mmol)を25℃で加え、さらに10分攪拌した。その後−17℃に冷却し、無水プロピオン酸1.43g(11mmol)を加え、2−シクロへキセノン0.96g(10mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同じ温度で6時間攪拌を続けた。反応終了後、0℃に冷やした5%硫酸水溶液34.5gに反応溶液を加えクエンチした。分液後、水洗を5回行い、得られた有機層を減圧濃縮して粗生成物1.58gを得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、3−エチル−1−シクロへキセン−1−イルプロピオネートを1.37g(7.5mmol)、収率75%で得た。この物の一部を定法により加水分解して3−エチルシクロヘキサノンとし、光学純度を測定したところ、34.0%eeの(R)体であった。
(b)(R)−3−エチルシクロへキセン−1−イルプロピオネートの速度論的分割
pH7の緩衝溶液10mLに実施例(2)(a)で得られた(R)−3−エチル−1−シクロヘキセン−1−イルプロピオネート50mg(光学純度34.0%ee)とCandida antarctica由来の固定化酵素(ノボザイム435)1mg(基質に対して2wt%)を混合し、30℃で16時間、激しく振とうした。反応後、反応液にヘキサン5mLを加えて抽出し、ヘキサン層を分析したところ、基質の転換率は34.0%で、3−エチルシクロヘキサノン(酵素加水分解物)と3−エチルシクロヘキセン−1−イルプロピオネートが確認された。このヘキサン溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して得られた3−エチルシクロヘキセン−1−イルプロピオネートの一部を定法により加水分解して3−エチルシクロヘキサノンの光学純度をGCで測定したところ、100%eeの(R)体であった。また、基質の酵素加水分解物である3−エチルシクロヘキサノンの光学純度を測定したところ26%eeの(S)体であった。
GCキャピラリーカラム:CHIRALSIL DEX CB
実施例3 (R)−3−メチルシクロペンタデカノンの合成
(a) (R)−3−メチル−1−シクロペンタデセニルアセテートの合成
攪拌装置、滴下ロート、温度計のついた2000mL反応フラスコに配位子3.16g(7.25mmol)、Cu(OTf)1.31g(3.62mmol)、トルエン1420gを入れ窒素置換をした。その後ジメチル亜鉛トルエン溶液(2.0mol/L)192mL(0.38mol)を加えた後、−10℃下無水酢酸37.0gを加え、(2E)−シクロペンタデセノン79.8g(0.36mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後6時間攪拌し反応を終了した。5%硫酸水溶液で反応をクエンチし、有機層を分液水洗後溶媒を減圧除去し、粗生成物152gを得た。この濃縮液を、スルーザーパッキング充填塔を用いて蒸留を行い、(R)−3−メチル−1−シクロペンタデセニルアセテート(沸点103℃/40Pa)91.2g(0.33mol)、収率90%を得た。(E/Z=0.3/99.7)。この物の一部を定法により加水分解することで得た(R)−3−メチルシクロペンタデカノンの光学純度は77.5%eeであった。[α] 20=81o(C=0.47、CHCl)を得た。上記のOTfはトリオフルオロメタンスルホニルオキシ基を意味する。
(b) (R)−3−メチルシクロペンタデカノンの速度論的分割
pH7のリン酸緩衝液20mL中に、実施例3(a)で得られた(R)−3−メチル−1−シクロペンタデセニルアセテート2.0g(光学純度77.5%ee)とCandida antarctica由来の固定化酵素(ノボザイム435)0.60g(基質に対して30wt%)を混合し、35℃で2日間激しく振とうした。反応後、反応液にヘキサン20mLを加えて抽出し、ヘキサン層を分析したところ、転換率77.3%で光学純度が93.2%eeの(R)−3−メチルシクロペンタデカノンが得られた。
実施例4 (R)−3−メチルシクロペンタデカノンの合成
(a) (R)−3−メチル−1−シクロペンタデセニルプロピオネートの合成
実施例3(a)の無水酢酸を無水プロピオン酸に換えて−20℃で同様の操作を行うことによって、(R)−3−メチル−1−シクロペンタデセニルプロピオネートを収率93%で得た(E/Z=1.0/99.0)。この物の一部を定法により加水分解することで得た(R)−3−メチルシクロペンタデカノンの光学純度は83.8%eeであった。
(b) (R)−3−メチルシクロペンタデカノンの速度論的分割
pH7のリン酸緩衝液10mL中に、実施例4(a)で得られた(R)−3−メチルシクロペンタデセニルプロピオネート1.0g(光学純度83.8%ee)とCandida antarctica由来の固定化酵素(ノボザイム435)0.50g(基質に対して50wt%)を混合し、45℃で2日間激しく振とうした。反応後、反応液にヘキサン10mLを加えて抽出し、ヘキサン層を分析したところ、転換率33.9%で光学純度が95.9%eeの(R)−3−メチルシクロペンタデカノンが得られた。
実施例5 (−)−4−メチル−2−ノナノンの合成
(a) 4−メチル−2−ノネニルプロピオネートの合成
実施例1(a)の2−シクロペンタデセノンを3−ノネン−2−オンに換え、無水酢酸を無水プロピオン酸に換えて同様の操作を行うことによって、4−メチル−2−ノネン−2−イルプロピオネートを収率83%で得た。E/Z=13/87。
(b) (−)−4−メチル−2−ノナノンの速度論的分割
pH7のリン酸緩衝液20mL中に、実施例5(a)で得られたラセミ体の4−メチル−2−ノネン−2−イルプロピオネート2.0gとCandida antarctica由来の固定化酵素(ノボザイム435)0.020g(基質に対して1wt%)を混合し、35℃で2時間激しく振とうした。反応後、反応液にヘキサン20mLを加えて抽出し、ヘキサン層を分析したところ、転換率18.6%で光学純度が36.9%eeの(−)−4−メチル−2−ノナノンが得られた。
実施例6 (−)−4−メチル−2−ノナノンの速度論的分割
pH7のリン酸緩衝液10mL中に、実施例(a)で得られたラセミ体の4−メチル−2−ノネン−2−イルプロピオネート1.0gとCandida antarctica由来の固定化酵素(CHIRAZYME L2)0.050g(基質に対して5wt%)を混合し、35℃で2時間激しく振とうした。反応後、反応液にヘキサン10mLを加えて抽出し、ヘキサン層を分析したところ、転換率17.3%で光学純度が36.9%eeの(−)−4−メチル−2−ノナノンが得られた。
本発明の方法で得られる光学活性なエノール誘導体は、光学純度が高く、医薬品、農薬等の製造原料中間体として、又、香料としての利用ができるものである。中でも、本発明の方法で得られる光学活性3−メチルシクロペンタデセニルアシレートを加水分解して得られる光学活性3−メチルシクロペンタデカノンは香料として非常に有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004928946
    (式中、Rはアシル基又はアルコキシカルボニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R及びRはそれぞれ異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR又はRとRとはそれぞれ結合して環を形成してもよい。波線は幾何異性体のE配置又はZ配置もしくはE配置とZ配置の混合を表す。)
    で表される化合物であるエノールエステルのエステル化された水酸基が結合している炭素原子に対してβ位の炭素原子における光学異性体混合物を、カンジダ アンタークティカ(Candida antarctica由来のリパーゼの存在下で一方の光学異性体を優先的に加水分解して、加水分解されて生成するカルボニル化合物のカルボニル基に対してβ位の炭素原子における立体配置の一方の光学異性体の比率、又は、加水分解されずに残存するエノールエステルのエステル化された水酸基が結合している炭素原子に対してβ位の炭素原子における立体配置の一方の光学異性体の比率を豊富化させることを特徴とする光学活性化合物の製造方法。
  2. カルボニル化合物が下記一般式(2)
    Figure 0004928946
    (式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R及びRはそれぞれ異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基又は置換基を有していてもよい複素環基を示す。また、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR又はRとRとはそれぞれ結合して環を形成してもよい。*は不斉炭素原子を表す。)
    で表される化合物である請求の範囲第1項に記載の製造方法。
  3. エノールエステルがシクロアルケニル骨格を有する化合物である請求の範囲第1項又は第2項に記載の製造方法。
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