上記のような熱線センサ付き自動スイッチのハウジングの組立作業は、まずスイッチ装置をボディに固定し、センサブロックから引き出された信号線をスイッチ装置に接続した後、センサブロックを支持枠に取り付け、次に支持枠をボディに取り付け、その後にボディにカバーを被着するといった順に行われる。上記のような組立作業を行いやすくするために、熱線センサとスイッチ装置とを接続する信号線としては、組立後の状態における熱線センサとスイッチ装置との距離の割に長いものが用いられる。
しかし、上記のように長めの信号線が用いられることにより、センサブロックを組み付けた支持枠をボディに取り付ける際に、熱線センサとスイッチ装置とを接続する信号線が支持枠とボディとの間に挟まれてしまうことがあった。
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、熱線センサとスイッチ装置とを接続する信号線が製造時に支持枠とボディとの間に挟まれにくい熱線センサ付き自動スイッチを提供することにある。
請求項1の発明は、人体から放射される熱線を検出する熱線センサ、並びに、所定の検出範囲からの熱線を熱線センサに集光する集光レンズを有するセンサブロックと、検出範囲の向きを可変とするようにセンサブロックを首振り可能に支持するとともに後面を取付面に向けて取付面に対して固定されるハウジングと、ハウジングに保持され柔軟な信号線を介して熱線センサに電気的に接続されるとともに電源から負荷への給電路に挿入され熱線センサにおける熱線の検出に応じて負荷への給電をオンオフするスイッチ装置を備え、ハウジングは、スイッチ装置が固定されるボディと、センサブロックが挿通されるセンサ挿通穴が貫設されボディに対してセンサ挿通穴の貫通方向に交差する方向に結合するとともにセンサブロックを支持する支持枠と、ボディに被着されてスイッチ装置が収納される空間をボディとの間に構成するカバーとを備え、支持枠において、ボディに向けられる面には、前記信号線が挿通される信号線挿通開口が設けられ、ボディとの結合方向に交差する方向に向けられた面には、支持枠をボディに取り付ける際に前記信号線が引っ掛けられる引掛凸部が突設されていることを特徴とする。
この発明によれば、製造時にセンサブロックを保持した支持枠をボディに取り付ける際には、熱線センサとスイッチ装置とを電気的に接続する信号線を引掛凸部に引っ掛ければ、信号線が支持枠とボディとの間に挟まれにくい。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、センサブロックは、センサ挿通穴に挿通不可能な球面形状の外面がセンサ挿通穴の内面に接することにより支持枠に対して回転可能に支持されていて、環形状の板ばねからなり厚さ方向をセンサ挿通穴の貫通方向に向けて外周部が支持枠に結合するとともに内周部がハウジングの内側からセンサブロックに弾接してセンサブロックを支持枠に押し付ける押さえばねを備え、ボディには、支持枠がボディに取り付けられる際に押さえばねと支持枠との間に挿入される仕切り凸部が設けられていて、支持枠がボディに取り付けられた状態で、支持枠の信号線挿通開口は、仕切り凸部に関して押さえばねの反対側に位置することを特徴とする。
この発明によれば、仕切り凸部を設けない場合に比べ、支持枠をボディに取り付ける際に信号線が押さえばねとボディとの間に挟まれにくい。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、支持枠の、ボディに向けられる面において、信号線挿通開口と引掛凸部との間には、信号線の一部が収納される信号線ガイド溝が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、製造時にセンサブロックを保持した支持枠をボディに取り付ける際には、熱線センサとスイッチ装置とを電気的に接続する信号線の一部を信号線ガイド溝に収納すれば、信号線が支持枠とボディとの間に挟まれにくい。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、センサブロックは、センサ挿通穴に挿通不可能な球面形状の外面がセンサ挿通穴の内面に接することにより支持枠に対して回転可能に支持されていて、板ばねからなり支持枠に対して固定されるとともにハウジングの内側からセンサブロックに弾接してセンサブロックを支持枠に押し付ける押さえばねを備え、センサブロックがハウジングの内側に押し込まれたときに押さえばねが塑性変形する前に押さえばねとセンサブロックとの少なくとも一方に当接してそれ以上の押さえばねの変形を禁止する制限部が、カバーに設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、センサブロックがハウジングの内側に押し込まれることによる押さえばねの塑性変形が、制限部によって防止される。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、支持枠には少なくとも1個の嵌合凸部が設けられるとともにボディにはそれぞれ嵌合凸部が嵌め込まれる少なくとも1個の嵌合穴が設けられていて、各嵌合凸部がそれぞれ嵌合穴に嵌め込まれることで支持枠はボディに取り付けられるものであって、少なくとも1個の嵌合凸部には、嵌合穴に嵌め込まれた際に嵌合穴の内面に押圧されることにより潰れる圧入凸部が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、圧入凸部が設けられない場合に比べ、支持枠とボディとの結合の強度が向上する。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、ボディには、支持枠が取り付けられる方向に交差する方向の両側から支持枠を挟む挟み部が設けられていて、支持枠において、ボディに取り付けられた状態で挟み部に挟まれる部位の、挟み部に向けられる各面は、それぞれ、挟み部に挟まれる方向での寸法を、ボディに取り付けられる方向に向かって小さくする方向に、少なくとも一部が傾斜していることを特徴とする。
この発明によれば、ボディへの支持枠の取付時には、支持枠において上記のように傾斜した面と挟み部との摺接により支持枠がガイドされるから、ボディの挟み部の間への支持枠の導入が容易となる。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの発明において、ハウジングには、取付面へのねじ止めのための固定ねじが挿通されるねじ挿通穴が前後に貫設され、ハウジングの前面には、底面にねじ挿通穴が開口して固定ねじの頭部が収納されるねじ用凹部が設けられていて、ねじ用凹部を開閉する扉体を備え、扉体は、ハウジングに対して固定される固定部と、固定部に対しねじ用凹部を覆う閉位置とねじ用凹部を開放する開位置との間で回転可能に連結された本体部とを有し、扉体の本体部においてねじ用凹部の底面に向けられる面には、閉位置でねじ用凹部の内周面に当接してハウジングに対して扉体の本体部を位置決めする位置決め凸部が突設されていることを特徴とする。
この発明によれば、位置決め凸部を設けない場合に比べ、閉位置での扉体のハウジングに対するがたつきが抑制される。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの発明において、ハウジングには、取付面へのねじ止めのための固定ねじが挿通されるねじ挿通穴が前後に貫設され、ハウジングの前面には、底面にねじ挿通穴が開口して固定ねじの頭部が収納されるねじ用凹部が設けられていて、ねじ用凹部を開閉する扉体を備え、扉体は、ハウジングに対して固定される固定部と、固定部に対しねじ用凹部を覆う閉位置とねじ用凹部を開放する開位置との間で回転可能に連結された本体部とを有し、ハウジングには、扉体の固定部が挿通される扉固定穴が前後に貫設されていて、扉体の固定部は、扉固定穴に挿通不可能であって本体部に連結された連結部と、それぞれ連結部から後方に突設されて扉固定穴に挿通される2本の係止凸部とを有し、各係止凸部の後端部には、それぞれ、連結部との間に前後方向からハウジングを挟む係止爪が、他方の係止凸部から離れる方向に突設されていて、各係止凸部について、それぞれ、係止爪と連結部との間の距離は、ハウジングにおいて係止爪と連結部との間に挟まれる部位の前後の寸法よりも僅かに大きくされていることを特徴とする。
この発明によれば、係止爪と連結部との間の距離と、ハウジングにおいて係止爪と連結部との間に挟まれる部位の前後の寸法との差を小さくするほど、ハウジングに対する扉体の固定部のがたつきを抑えることができる。
請求項1の発明によれば、支持枠において、ボディに向けられる面には、前記信号線が挿通される信号線挿通開口が設けられ、ボディとの結合方向に交差する方向に向けられた面には、支持枠をボディに取り付ける際に前記信号線が引っ掛けられる引掛凸部が突設されているので、製造時にセンサブロックを保持した支持枠をボディに取り付ける際には、熱線センサとスイッチ装置とを電気的に接続する信号線を引掛凸部に引っ掛ければ、信号線が支持枠とボディとの間に挟まれにくい。
請求項2の発明によれば、ボディには、支持枠がボディに取り付けられる際に押さえばねと支持枠との間に挿入される仕切り凸部が設けられていて、支持枠がボディに取り付けられた状態で、支持枠の信号線挿通開口は、仕切り凸部に関して押さえばねの反対側に位置するので、仕切り凸部を設けない場合に比べ、支持枠をボディに取り付ける際に信号線が押さえばねとボディとの間に挟まれにくい。
請求項3の発明によれば、支持枠の、ボディに向けられる面において、信号線挿通開口と引掛凸部との間には、信号線の一部が収納される信号線ガイド溝が設けられているので、製造時にセンサブロックを保持した支持枠をボディに取り付ける際には、熱線センサとスイッチ装置とを電気的に接続する信号線の一部を信号線ガイド溝に収納すれば、信号線が支持枠とボディとの間に挟まれにくい。
請求項4の発明によれば、センサブロックがハウジングの内側に押し込まれたときに押さえばねが塑性変形する前に押さえばねとセンサブロックとの少なくとも一方に当接してそれ以上の押さえばねの変形を禁止する制限部が、カバーに設けられているので、センサブロックがハウジングの内側に押し込まれることによる押さえばねの塑性変形が、制限部によって防止される。
請求項5の発明によれば、支持枠には少なくとも1個の嵌合凸部が設けられるとともにボディにはそれぞれ嵌合凸部が嵌め込まれる少なくとも1個の嵌合穴が設けられていて、各嵌合凸部がそれぞれ嵌合穴に嵌め込まれることで支持枠はボディに取り付けられるものであって、少なくとも1個の嵌合凸部には、嵌合穴に嵌め込まれた際に嵌合穴の内面に押圧されることにより潰れる圧入凸部が設けられているので、圧入凸部が設けられない場合に比べ、支持枠とボディとの結合の強度が向上する。
請求項6の発明によれば、ボディには、支持枠が取り付けられる方向に交差する方向の両側から支持枠を挟む挟み部が設けられていて、支持枠において、ボディに取り付けられた状態で挟み部に挟まれる部位の、挟み部に向けられる各面は、それぞれ、挟み部に挟まれる方向での寸法を、ボディに取り付けられる方向に向かって小さくする方向に、少なくとも一部が傾斜しているので、ボディへの支持枠の取付時には、支持枠において上記のように傾斜した面と挟み部との摺接により支持枠がガイドされるから、ボディの挟み部の間への支持枠の導入が容易となる。
請求項7の発明によれば、扉体の本体部においてねじ用凹部の底面に向けられる面には、閉位置でねじ用凹部の内周面に当接してハウジングに対して扉体の本体部を位置決めする位置決め凸部が突設されているので、位置決め凸部を設けない場合に比べ、閉位置での扉体のハウジングに対するがたつきが抑制される。
請求項8の発明によれば、ハウジングには、扉体の固定部が挿通される扉固定穴が前後に貫設されていて、扉体の固定部は、扉固定穴に挿通不可能であって本体部に連結された連結部と、それぞれ連結部から後方に突設されて扉固定穴に挿通される2本の係止凸部とを有し、各係止凸部の後端部には、それぞれ、連結部との間に前後方向からハウジングを挟む係止爪が、他方の係止凸部から離れる方向に突設されていて、各係止凸部について、それぞれ、係止爪と連結部との間の距離は、ハウジングにおいて係止爪と連結部との間に挟まれる部位の前後の寸法よりも僅かに大きくされているので、係止爪と連結部との間の距離と、ハウジングにおいて係止爪と連結部との間に挟まれる部位の前後の寸法との差を小さくするほど、ハウジングに対する扉体の固定部のがたつきを抑えることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態は、図2に示すように、屋外の壁面等の取付面(図示せず)に固定して用いられるものであって、人体(図示せず)から放射される熱線を検出する熱線センサTP、並びに、所定の検出範囲からの熱線を熱線センサに集光する集光レンズ11を有するセンサブロック1と、検出範囲の向きを可変とするようにセンサブロック1を首振り可能に支持するとともに後面を取付面に向けて取付面に対して固定されるハウジング2と、ハウジング2に保持され柔軟な信号線SLを介して熱線センサTPに電気的に接続されるとともに電源(図示せず)から負荷(図示せず)への給電路に挿入され熱線センサTPにおける熱線の検出に応じて負荷への給電をオンオフするスイッチ装置3とを備える。負荷は例えば照明器具や換気扇である。以下、上下方向は図2を基準とし、図2の左上−右下方向を左右方向と呼び、図2の右左方向を前後方向と呼ぶ。
センサブロック1は、熱線センサTPが実装されたプリント配線板11と、プリント配線板11を収納したセンサケース10とを備える。センサケース10は、プリント配線板11が下側に固定されるセンサベース12と、筒形状であって上側の開口をセンサベース12によって閉塞される形でセンサベース12の下側に機械的に結合したセンサカバー13と、下側に膨出したドーム形状であってセンサカバー13の下側の開口を閉塞する形でセンサカバー13の下側に機械的に結合し検出範囲からの熱線を熱線センサTPに集光する集光レンズ14とを備える。センサベース12とセンサカバー13と集光レンズ14とはそれぞれ例えば合成樹脂成型品からなる。集光レンズ14は例えば周知の多焦点レンズである。また、図3に示すように信号線SLが挿通される信号線挿通穴10aがセンサケース10の後方へ開口するように、センサベース12の前端とセンサカバー13の後端とにはそれぞれ切欠が設けられている。
スイッチ装置3は、電源に接続された電源側電線(図示せず)と負荷に接続された負荷側電線(図示せず)とがそれぞれ電気的且つ機械的に接続される端子台31と、端子台31における電源側電線が電気的に接続される部位と負荷側電線が電気的に接続される部位との間に介在する例えばトライアックのようなスイッチング素子(図示せず)と、熱線センサTPの出力に応じてスイッチング素子をオンオフするスイッチ駆動回路(図示せず)とを備える。スイッチ駆動回路は、例えば、熱線センサTPの出力に基いて検出範囲に人体が存在すると判定したときに負荷への給電をオンするとともに、検出範囲に人体が存在すると判定されなくなってから所定の遅れ時間が経過したときに負荷への給電をオフするものである。このようなスイッチ駆動回路は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。さらに、スイッチ駆動回路は、人体が存在するか否かの判定に用いられる閾値や上記の遅れ時間といった動作内容を設定するための可変抵抗やロータリースイッチといった4個の調整素子32を備える。また、スイッチ装置3は、それぞれ厚さ方向を前後方向に向け実装面同士を互いに対向させてハウジング2に対して固定される第1プリント配線板30aと第2プリント配線板30bとを備え、スイッチ駆動回路を構成する回路部品やスイッチング素子は第1プリント配線板30aと第2プリント配線板30bとに分けて実装されている。第1プリント配線板30aと第2プリント配線板30bとは周知のコネクタを介して互いに電気的に接続されている。実装面を後方に向けた第1プリント配線板30aの実装面(後面)の上端部には端子台31が実装され、実装面を前方に向けた第2プリント配線板30bの実装面(前面)の下端部には4個の調整素子32が左右に並べて実装されている。また、後方から見て端子台31が第2プリント配線板30bの上方に露出し、且つ前方から見て各調整素子32がそれぞれ第1プリント配線板30aの下方に露出するように、第1プリント配線板30aは第2プリント配線板30bに対して位置を上方にずらされている。さらに、本実施形態は、同様に電源から負荷への給電をオンオフする自動スイッチ子器(図示せず)を連動させることができるようになっており、図4に示すように、端子台31の後面には、それぞれ電源側電線が挿入される一対の電源側電線挿入穴31aと、それぞれ負荷側電線が挿入される一対の負荷側電線挿入穴31bと、それぞれ上記の自動スイッチ子器に接続される一対の子器側電線(図示せず)が挿入される一対の子器側電線挿入穴31cとが、左右に並べて設けられている。
ハウジング2は、前後に扁平であってスイッチ装置3が前側に固定されてハウジング2の後面を構成するボディ21と、センサブロック1が挿通されるセンサ挿通穴22aが上下に貫設されボディ21の前側に結合するとともにセンサブロック1を支持する支持枠22と、ボディ21に被着されてスイッチ装置3が収納される空間をボディ21との間に構成するとともにセンサブロック1を下方に露出させるカバー23とを備える。ボディ21と支持枠22とカバー23とは、それぞれ例えば合成樹脂成型品からなる。
ボディ21は、全体として前後に扁平な形状であって、前方に膨出した形状であって前側にスイッチ装置3が固定されるスイッチ装置保持部24と、前後に扁平な形状であって後面がスイッチ装置保持部24よりも後方に位置してセンサブロック1が固定されるセンサブロック保持部25とを有する。
さらに、スイッチ装置保持部24は、前面が第2プリント配線板30bの後面に当接する配線板保持部24aと、配線板保持部24aの上側に設けられて配線板保持部24aよりもさらに前方へ膨出した形状の端子台保持部24bとを有する。端子台保持部24bには、端子台31が挿通される端子台挿通穴24cが前後に貫設されており、端子台31の各電線挿入穴31a〜31cは、それぞれ端子台挿通穴24cを通じてハウジング2の後面に露出する。
ここで、端子台31の左右両面にはそれぞれ係止凹部31dが設けられており、端子台保持部24bの前面の左右両端部には、それぞれ、係止凹部31dを係止する係止片24dと、第1プリント配線板30aと端子台31とを貫通したビスV1(図1参照)が圧入されるビス止め部24eとがそれぞれ後方に突設されている。すなわち、係止片24dによる係止と、ビス止め部24eへのビス止めとにより、スイッチ装置3はボディ31に固定されている。さらに、配線板保持部24aの前面の右端部には、前端が第1プリント配線板30aの後面に当接する支持凸部24fが前方へ突設されている。
次に、支持枠22について説明する。支持枠22は、センサブロック1が挿通される筒形状の本体部22aを備える。すなわち、請求項におけるセンサ挿通穴は、本体部22aの内側に構成されている。本体部22aの内周面は、上下方向に直交する断面での断面形状が円形状であって、その断面形状の内径が下方に向かって徐々に小さくなるような凹球面形状となっている。ここで、センサブロック1のセンサカバー13の外周面は球面形状となっており、この球面形状の外径は、本体部22aの上端部の内径よりも小さく且つ本体部22aの下端部の内径よりも大きくなっている。これにより、センサブロック1は本体部22aには挿通不可能となっており、センサカバー13の外周面が本体部22aの内周面に当接することにより支持枠22に対してある程度向きを変更可能(首振り可能)となっている。
また、本実施形態は、厚さ方向を上下方向に向けた金属製の板ばねからなり支持枠22とセンサブロック1との間に介在してセンサブロック1に上方から弾接することによりセンサブロック1を支持枠22に押し付ける押さえばね4を備える。具体的に説明すると、図5に示すように、支持枠22の本体部22aの上面には、4個のばね受け凸部22bが、本体部22aの上側の開口を囲む長方形状の配置で4個、それぞれ上方へ突設されている。各ばね受け凸部22bの内向きの面には、それぞればね受け凹部22cが設けられている。押さえばね4は全体として円環形状であって、外周端部においてばね受け凸部22bに対応する4箇所にはそれぞれ上下方向の外側へ向かって上方へ傾斜した被保持片41が突設されており、各被保持片41がそれぞればね受け凹部22cの下向きの内面に弾接することにより、押さえばね4は支持枠22に対する上方への変位を制限されている。ここで、センサブロック1の上面(すなわちセンサベース12の上面)は、センサカバー13の外周面と同心の球面形状となっている。押さえばね4の中央部には、センサブロック1の上面が挿入される円形状のセンサ挿通穴40が上下に貫設されており、押さえばね4の下面においてセンサ挿通穴40付近がセンサブロック1に弾接する。また、センサベース12の上面の中央部には、円柱形状の制限凸部10bが上方に突設されて押さえばね4のセンサ挿通穴40に挿通されており、この制限凸部10bが押さえばね4のセンサ挿通穴40の内周面に当接することにより、ハウジング2に対するセンサブロック1の回転角度が制限されている。さらに、押さえばね4において、支持枠22に弾接する外周部に対し、センサブロック1に弾接する内周部が上下に変位しやすいように、押さえばね4にはそれぞれ挿通穴40と同心の円弧形状の複数個(図では4個)のスリット42が設けられている。
さらに、支持枠22は、本体部22aの後端部から左右両側にそれぞれ突設され上下に扁平な第1の嵌合片22dを有する。図6に示すように、ボディ21のセンサブロック保持部25の前面の左右両端部には、それぞれ左右に対向して支持枠22を挟む挟み凸部25aが前方に突設されるとともに、上下に対向して左右方向の外側の端部が挟み凸部25aに連結された1組ずつの保持凸部25bが前方へ突設されている。支持枠22は、各嵌合片22dがそれぞれ上下に対向する保持凸部25bの間に圧入されることにより、ボディ21に対して保持される。すなわち、上下に対向する保持凸部25bの間に、請求項における嵌合凹部が形成されている。また、各嵌合片22dの上面には、保持凸部25b間に挿入された際に上側の保持凸部25bによって押し潰される圧入凸部22eが突設されている。すなわち、圧入凸部22eを設けない場合に比べ、支持枠22のボディ21に対する結合の強度が向上している。さらに、各嵌合片22dの後端部において左右方向の外向きの面は後方(すなわちボディ21に対する支持枠22の取付方向)に向かって左右方向の内向き(すなわち挟み凸部25aによって挟まれる左右方向での寸法を小さくする方向)に傾斜した傾斜面となっており、支持枠22をボディ21に取り付ける際には前記傾斜面が挟み凸部25aに摺接することにより支持枠22が挟み凸部25aの間へガイドされるから、前記傾斜面を設けない場合に比べて挟み凸部25aの間への支持枠22の導入が容易となっている。
また、支持枠22は、本体部22aの後端から下方に突設された前後に扁平な固定片22fを有する。固定片22fの後面の下端部には、2個の嵌合凸部22gが左右に並べて後方へ突設されている。ボディ21のセンサブロック保持部25の下端部にはそれぞれ嵌合凸部22gが嵌め込まれる2個の嵌合穴25cが前後に貫設されており、各嵌合凸部22gがそれぞれ嵌合穴25cに嵌め込まれることによってもボディ21と支持枠22との結合力が生じている。
ここで、支持枠22の本体部22aの後面には、図7に示すように、前後方向と上方とにそれぞれ開放されてセンサブロック1の信号線挿通穴10aに連通する信号線挿通開口としての信号線挿通切欠22hが設けられており、センサブロック1から信号線挿通穴10aを通じて引き出された信号線SLは信号線挿通切欠22hを通じてスイッチ装置3に接続される。
そして、ボディ21のセンサブロック保持部25の前面には、上下に扁平であって押さえばね4と支持枠22との間に挿入される仕切り凸部25dが前方に突設されている。この仕切り凸部25dを挟んで押さえばね4と信号線挿通穴10aとが上下の異なる側に位置することで、支持枠22をボディ21に取り付ける際に信号線SLが押さえばね4とボディ21との間に挟まれにくくなっている。
次に、カバー23について説明する。カバー23は、図8(a)(b)及び図9に示すように、後面が開口した直方体形状のボス部26と、ボス部26の後側に設けられ前方から見てボス部26の全周から突出したベース部27とを有する。ベース部27の後面にはボディ21が嵌め込まれる嵌合凹部23aが開口しており、嵌合凹部23aの底面にはボス部26が開口している。
ボディ21においてスイッチ装置保持部24の左右両面には、それぞれ係合爪21aが左右方向の外向きに突設されている。また、ボディ21においてセンサブロック保持部25の左右両端部には、それぞれ、左右に扁平であって挟み凸部25aの外向きの面に対し間に隙間を空けて対向した係合片21bが前方に突設され、各係合片21bの前端部にも係合爪21cが左右方向の外向きに突設されている。図10に示すようにボス部26の左右に対向する内面にはそれぞれボディ21のスイッチ装置保持部24の係合爪21aが係入する係合凹部23bが設けられるとともに、図11に示すようにボス部26の左右の壁において係合凹部23bの下側にはそれぞれ係合片21bに設けられた係合爪21cが係入する係合穴23cが左右に貫設されている。各係合爪21a,21cにおいて左右方向の外向きの面はそれぞれ後方へ向かって突出寸法を大きくするように傾斜した傾斜面となっている。ボディ21をカバー23に結合させる際には、カバー23の後方から嵌合凹部23a内にボディ21を押し込むと、上記の傾斜面がカバー23のボス部26の左右に対向する内面に摺接することにより、ボディ21においてスイッチ装置保持部24の左右の壁と各係合片21bとがそれぞれ係合爪21a,21cの突出方向の逆向きに弾性変形する。やがて各係合爪21a,21cがそれぞれ係合凹部23bや係合穴23cに至ると、スイッチ装置保持部24の左右の壁と各係合片21bとがそれぞれ弾性復帰することで、各係合爪21a,21cがそれぞれ係合凹部23bや係合穴23cに係合し、ここにおいてボディ21はカバー23に対して保持される。
さらに、ボディ21のスイッチ保持部24の左右両面において、係合爪21aの前側には、それぞれ、上面の前端が係合爪21aの上面の後端に連続するとともに後端がボディ21のスイッチ保持部24の後端に至る第1の脱落防止凸部21dが左右方向の外向きに突設されている。また、ボディ21のスイッチ保持部24の左右両面の後端部において、第1の脱落防止凸部21dの上側には、それぞれ、第2の脱落防止凸部21eが左右方向の外向きに突設されている。
また、カバー23の嵌合凹部23aの左右に対向する内面において、ボディ21の下端部を左右から挟む部位には、それぞれ脱落防止凸部23dが突設されている。さらに、カバー23の嵌合凹部23aの底面(ベース部27の後面)の下端部には、それぞれボディ21の下端に当接してボディ21のカバー23に対する下方への変位を禁止する2個のボディ受け凸部23eが左右に並べて後方へ突設されている。
ここで、ボディ21の各脱落防止凸部21d,21eにおいて左右方向の外向きの面は、それぞれ、後方に向かって脱落防止凸部21d,21eの突出方向を小さくする方向に傾斜した傾斜面となっている。また、カバー23の各脱落防止凸部23dにおいて左右方向の内向きの面は、それぞれ後方に向かって突出寸法を小さくするように傾斜した傾斜面となっている。すなわち、ボディ21をカバー23に結合させる際には、嵌合凹部23aの左右に対向する内面に各脱落防止凸部21d,21eの上記傾斜面が摺接することや、カバー23の各脱落防止凸部23dの上記傾斜面にボディ21の左右の端部が摺接することによっても、ボディ21がカバー23に対してガイドされる。また、ボディ21のカバー23に対する左右方向の変位であって係合爪21a,21cが係合凹部23bや係合穴23cから脱落するほどの変位は、ボディ21の脱落防止凸部21d,21eがカバー23の嵌合凹部23aの内面に当接することやカバー23の脱落防止凸部23dがボディ21に当接することによって防止されている。
さらに、ボディ21の左右両側において、それぞれ、図12に示すように、第1の脱落防止凸部21dの上面は、後方すなわちハウジング3の外側へ向かって下方に傾斜している。これにより、第1の脱落防止凸部21dの上面を傾斜させない場合に比べ、第1の脱落防止凸部21dを伝った水がハウジング3内に浸入しにくくなっている。
また、カバー23のボス部26の下面には、上下両側と後方とにそれぞれ開放されて支持枠22の本体部22aが挿通されセンサブロック1を露出させる露出切欠26aが設けられている。さらに、カバー23のベース部27において露出切欠26aの下側には、前後両側と上方とにそれぞれ開放されて露出切欠26aに連通し支持枠22の固定片22fが嵌め込まれる枠挿通切欠27aが設けられている。支持枠22とセンサブロック1とがそれぞれ取り付けられたボディ21がカバー23に結合した状態では、支持枠22の本体部22aの下面はカバー23のボス部26の下面と略面一となり、支持枠22の固定片22fの前面はカバー23のベース部27の前面と略面一となる。
さらに、図13に示すように、カバー23のボス部26の後面には、センサブロック1の上側に位置する制限凸部23fが後方へ突設されている。制限凸部23fは、センサブロック1が押さえばね4のばね力に抗して上方へ押し込まれたときに、押さえばね4が塑性変形(降伏)に至るほど押さえばね4の変形量が大きくなる前に上方からセンサブロック1の制限凸部10bに当接してそれ以上の押さえばね4の変形を禁止するものである。すなわち、制限凸部23fにより、押さえばね4の塑性変形が防止されている。
また、支持枠22の前端部には、それぞれ上下に扁平な位置決め凸部22k(図6参照)が左右方向の外向きに突設されている。カバー23の後面には位置決め凸部22kを上下方向から挟む挟み部(図示せず)が設けられており、位置決め凸部22kが前記挟み部に挟まれることにより、カバー23に対する支持枠22のがたつきが抑制されている。
さらに、カバー23のボス部26の前面には左右両側に開放された溝状の操作凹部26bが設けられ、操作凹部26bの底面にはそれぞれスイッチ装置3の調整素子32のうちの1個ずつの操作用の部材(押釦や摘み等を指す。以下、「ハンドル」と呼ぶ。)が挿通される4個の操作穴26cが左右に並べて前後に貫設されている。スイッチ装置3が取り付けられたボディ21がカバー23に結合した状態では、各調整素子32のハンドルの前端はそれぞれ操作凹部26bの底面よりも前方に突出し且つボス部26の前端よりも後方に位置する。
ここで、取付面へのハウジング2の固定には絶縁枠7が用いられる。絶縁枠7は取付面に対してねじや挟み金具(図示せず)などの周知の手段によって固定されるものであり、ハウジング2は絶縁枠7に対して2本の取付ねじSCを用いてねじ止め固定されることで、取付面に対して固定される。そして、カバー23の上下両端部には、それぞれ、上記の取付ねじSCが挿通されるねじ挿通穴23gが前後に貫設されている。また、端子台31に接続される各電線は取付面から引き出されるものであって、絶縁枠7には前記各電線がそれぞれ挿通される電線挿通穴70が前後に貫設されている。さらに、ハウジング2と取付面との間には、例えばポリ塩化ビニル(PVC)のような柔軟な材料からなるパッキン8が介装される。パッキン8には、上記の各電線を挿通するための電線挿通穴80が前後に貫設されるとともに、取付ねじSCが挿通されるねじ挿通穴81が上下両端部においてそれぞれ前後に貫設されている。パッキン8は絶縁枠7の略全周にわたって取付面に弾接するものであって、ハウジング2の後面と取付面との間の隙間は、パッキン8により閉塞される。
また、カバー23の後面の上下両端部には、それぞれ後面にねじ挿通穴23gが開口した筒形状のねじ挿通筒23hが後方に突設されており、ボディ21の上下両端には、それぞれねじ挿通筒23hを避けるねじ挿通切欠21fが設けられている。上側のねじ挿通切欠21fは端子部挿通穴24cに連通している。ボス部26の上面には、前端がボス部26の前方に開放されるとともに後端が上側のねじ挿通穴23gに連通したねじ挿通溝26dが設けられている。
さらに、カバー23のベース部27の前面において支持枠22の固定片22fの下側となる部位には上下両側に開放された扉用凹部28が設けられている。扉用凹部28の底面にはねじ用凹部28aが設けられており、下側のねじ挿通穴23gはねじ用凹部28aの底面に開口している。すなわち、下側のねじ挿通穴23gに挿通された取付ねじSCの頭部は、ねじ用凹部28aに収納される。
また、本実施形態は、図14(a)(b)に示すようにねじ用凹部28aを開閉する扉体5を備える。扉体5は、例えば合成樹脂成型品からなり、ハウジング2に対して固定される固定部51と、図14(a)のようにねじ用凹部28aを閉塞する閉位置と図14(b)のようにねじ用凹部28aを開放する開位置との間で固定部51に対して回転可能に連結された本体部52とを備える。固定部51は、図15に示すように、扉用凹部28内すなわちハウジング2の前側に位置し本体部52に連結された連結部51aと、連結部51aから上下に並べて2個後方に突設された係止凸部51bと、各係止凸部51bの後端部からそれぞれ上下方向の外向きに突設された係止爪51cとを有する。扉用凹部28の底面の左端部には、上下に長い扉固定穴28bが前後に貫設されている。扉固定穴28bの上下両側においてそれぞれハウジング2(カバー23)の前後の寸法は扉体5の連結部51aと係止爪51cとの距離よりも僅かに小さくなっている。各係止爪51cの上下方向の外向きの面はそれぞれ後方に向かって突出寸法を小さくするように傾斜した傾斜面となっており、扉体5をハウジング2(カバー23)に取り付ける際には、各係止凸部51bをそれぞれ扉固定穴28bに挿入すると、上記の各傾斜面がそれぞれ扉固定穴28bの内面に摺接することにより各係止凸部51bがそれぞれ弾性変形し、やがて係止爪51cがハウジング2(カバー23)の後側に至ったときに各係止凸部51bがそれぞれ弾性復帰することで各係止爪51cがそれぞれハウジング2(カバー23)の後側に変位し(つまり係止され)、ここにおいて図16に示すように各係止爪51cがそれぞれ連結部51aとの間にハウジング2(カバー23)を挟むことにより、扉体5はハウジング2(カバー23)に保持される。本実施形態では上記のように係止爪51cとの間にハウジング2を挟む部位である連結部51aが固定部51に設けられているので、各係止凸部51bをそれぞれヒンジ部53に直接連結して係止爪51cと本体部52の左端部との間にハウジング2を挟む構造とする場合に比べ、扉体5の開閉時のがたつきが発生しにくい。
次に、扉体5の本体部52の形状について、閉位置での向きを基準として説明する。本体部52は、全体として左右に長く前後に扁平な直方体形状の閉塞部52aを有し、閉塞部52aの左端部が、薄肉のヒンジ部53を介して固定部51の連結部51aに連結されることにより、ヒンジ部53を軸として固定部51に対し上下方向から見た面内で回転可能となっている。また、閉塞部52aの後面の中央部には、閉位置において取付ねじSCの頭部を避ける凹球面形状の退避凹部52bが設けられている。さらに、閉塞部52aの右端部の後面には、それぞれ後端部が右方へ曲がった鉤状のロック爪52cが上下に並べて2個後方へ突設されている。扉用凹部28の底面において右端部にはそれぞれロック爪52cが挿入されるロック穴28cが前後に貫設されており、閉位置では、ロック爪52cがロック穴28cの後側においてカバー23の後面に係止されることにより、使用者が意図しない扉体5の開放(本体部52の開位置への変位)が抑制される。上記のようなロック爪52cの係脱は、扉体5の本体部52に力を加えてロック爪52cを弾性変形させることによって行われる。また、閉塞部52aの後面において、上端の左右方向の中央部と、下端の左端から左右方向の中央部にかけてとには、それぞれがたつき防止凸部52d,52eが後方へ突設されている。扉用凹部28の底面において、上端の左右方向の中央部と、下端の左端から左右方向の中央部にかけてとには、それぞれ前方と上下方向の外側とに開放されたがたつき防止凹部28d,28e(上側のがたつき防止凸部28dについては図8(a)参照)が設けられており、閉位置では各がたつき防止凸部52d,52eがそれぞれがたつき防止凹部28d,28eに係入することで、ハウジング2(カバー23)に対する扉体5のがたつきが抑制される。ここで、閉位置では、扉体5の本体部52の前面とハウジング2(カバー23)のべース部27の前面とは略面一となるとともに、扉体5の本体部52の下面とハウジング2(カバー23)のべース部27の下面とは略面一となる。
さらに、扉凹部28の底面の下端において、下側のがたつき防止凹部28eの左側には、下方に向かって後方へ傾斜し扉体5の本体部51(閉塞部52a)の後面との間に隙間を空ける傾斜部28fが設けられており、扉体5を開く(すなわち、本体部51を閉位置から開位置に変位させる)際には、手の爪等を上記の隙間に差し込んで扉体5の本体部51の後面に引っ掛ければ、扉体5を容易に開くことができる。
また、扉体5の閉塞部52aの後面において退避凹部52bの下側には、それぞれ図17に示すようにねじ用凹部28aの内周面に当接することでハウジング2に対する扉体5の可動範囲を制限する3個の位置決め凸部52f〜52hがそれぞれ後方へ突設されている。これにより、位置決め凸部52f〜52hを設けない場合に比べて、閉位置での扉体5のがたつきが抑制されている。
さらに、本実施形態は、ハウジング2に着脱自在に結合してボス部26の上面と前面と左右両面とをそれぞれ覆う化粧カバー6を備える。化粧カバー6は例えばABS樹脂のような合成樹脂からなる。化粧カバー6が取り付けられた状態では、上側のねじ挿通穴23gと操作凹部26bとはそれぞれ化粧カバー6によって閉塞される。具体的に説明すると、化粧カバー6は、図18に示すように、ボス部26の前面を覆う前壁61と、前壁61の上端から後方に突設されてボス部26の上面を覆う上壁62と、前壁61の左右両端からそれぞれ後方に突設されて上端が上壁62に連結されボス部26の左右の側面を覆う2個の側壁63とを備え、全体としては後面と下面とがそれぞれ開放された直方体形状となっている。各側壁63の後端において、それぞれ上下方向の中央部には、それぞれ係止爪63aが左右方向の内向きに突設されている。図19に示すように、ハウジング2のボス部26の左右両面において上下方向の中央部には、それぞれ前端がボス部26の前端に至るとともに後端がベース部27の前面よりも前方に位置する係止凸部26eが左右方向の外向きに突設されており、化粧カバー6をハウジング2に取り付ける際には、各係止爪63aをそれぞれ係止凸部26eの上面に当接させて化粧カバー6をハウジング2に対して後方へ変位させ、化粧カバー6の後端がハウジング2のベース部27の前面に当接したときに化粧カバー6をハウジング2に対して下方へ変位させれば、化粧カバー6の上壁62がハウジング2のボス部26の上面に当接した時点で各係止爪63aがそれぞれ係止凸部26eの後側に位置する(つまり係止凸部26eに係止される)。ここにおいて、ハウジング2の前方への化粧カバー6の脱落は防止される。また、各係止凸部26eはそれぞれ後端部が下方に曲がったL字形状となっており、各係止爪63aの前面と各係止凸部26eの後面とには互いに係合する凹凸形状が設けられていて、この凹凸形状の係合により、上記のような化粧カバー6の装着状態ではハウジング2に対する化粧カバー6の上方向への変位は抑制される。係止爪63aや係止凸部26eの弾性変形により上記の凹凸形状の係脱は自在となっている。また、化粧カバー6における前壁61の後方への各側壁63の突出寸法は、ハウジング2におけるベース部27の前面からのボス部26の突出寸法と略同じとされており、化粧カバー6がハウジング2に取り付けられた状態では化粧カバー6の前壁61の下端部とハウジング2のボス部26との間にはほとんど隙間が生じない。
また、ハウジング2のボス部26の左右両面において、係止凸部26eの上側には、それぞれガイド凸部26fが左右方向の外向きに突設されている。ガイド凸部26fの下面と係止凸部26eの上面との間の距離は、係止爪63aの上下の寸法よりも大きくされている。すなわち、ガイド凸部26fが設けられていない場合、化粧カバー6の後端をハウジング2のベース部27の前面に当接させる際の化粧カバー6の上下位置を上側としすぎることにより係止爪63aを係止凸部26eに係止させる際の化粧カバー6の下方への移動距離が大きくなりやすいが、本実施形態では、化粧カバー6の取付時には係止爪63aをガイド凸部26fと係止凸部26eとの間に導入することになるから、化粧カバー6の後端をハウジング2のベース部27に当接させてから係止爪63aを係止凸部26eに係止させるまでの化粧カバー6の移動距離が比較的に小さくなりやすい。
さらに、化粧カバー6の上壁62の後端には、2個の取付凸部62aが左右に並べて下方へ突設されている。また、ハウジング2のボス部26の上面の後端部には、2個の取付穴26gが左右に並べて設けられている。係止爪63aが係止凸部26eに係止される状態では、図20に示すように各取付凸部62aがそれぞれ取付穴26gに嵌め込まれることによっても化粧カバー6とハウジング2との結合力が生じており、取付凸部62aや取付穴26gを設けない場合に比べてハウジング2に対する化粧カバー6のがたつきが抑制されている。
ここで、化粧カバー6の各側壁63の後端部において、取付凸部62aの下端よりも下側には、それぞれ後端が前壁61に連結された制限凸部63bが左右方向の内向きに突設されている。化粧カバー6をハウジング2に取り付ける際、少なくとも取付凸部62aが取付穴26gに嵌合する直前には、制限凸部63bがハウジング2のボス部26の左右両側に位置することにより、ハウジング2に対する化粧カバー6の左右方向の変位が、各取付凸部62aの取付穴26gへの挿入が可能な範囲内に制限される。また、各取付凸部62aがそれぞれ取付穴26gに嵌合した状態での化粧カバー6のハウジング2に対する左右方向への可動範囲が、いずれの取付凸部62aも取付穴26gに嵌合しておらず且つハウジング2のボス部26の左右両側に化粧カバー6の制限凸部63bが位置する状態での化粧カバー6のハウジング2に対する左右方向への可動範囲よりも小さくなるように、取付凸部62aと取付穴26gと制限凸部62bとの寸法形状はそれぞれ決定されている。これにより、制限凸部63bを設けない場合に比べ、ハウジング2に対する化粧カバー6の取付時に取付穴26gへの取付凸部62aの導入がより容易となっている。また、取付凸部62aや取付穴26gを設けない場合に比べ、ハウジング2に対する化粧カバー6のがたつきが抑制されている。
また、ハウジング2のボス部26の左右両面において、下端部と、係止凸部26eの下側と、ガイド凸部26fの上側とには、それぞれ後端をベース部27に連結された内反り防止凸部26h〜26jが左右方向の外向きに突設されている。化粧カバー6がハウジング2に取り付けられた状態では、各係止凸部26eと各ガイド凸部26fと各内反り防止凸部26h〜26jとがそれぞれ化粧カバー6の左右に対向する内面に当接することで、化粧カバー6の側壁63間の距離を小さくするような変形(内反り)が抑制され、化粧カバー6の左右の側面は、ハウジング2のベース部27の左右の側面と略面一に維持される。なお、化粧カバー6を取り付ける際に係止爪63aを導入する位置を分かりやすくするためには、図21に示すように最も上側の内反り防止凸部26hがガイド凸部26fに一体化されたような形とすることが望ましいが、本実施形態では成型時のヒケによる変形を避けるために上記の内反り防止凸部26hとガイド凸部26fとを分けている。
さらに、ハウジング2の最も下側の各内反り防止凸部26jの上側においてベース部27の前面には、それぞれ、後端が上記の内反り防止凸部26jに連結されてボス部26の左右の側面との間に隙間が空いた外反り防止凸部27bが前方へ突設されている。また、化粧カバー6の各側壁63の後端において係止爪63aの下側にはそれぞれ外反り防止片63cが左右方向の内向きに突設され、各外反り防止片63cの下端にはそれぞれ側壁63との間に隙間を空けた外反り防止爪63dが下方に突設されている。化粧カバー6がハウジング2に取り付けられる際には、図22に示すように外反り防止凸部27bとボス部26の左右の側面との間に外反り防止爪63dが挿入される。このように外反り防止爪63dが外反り防止凸部27bに対して左右方向の内側に位置することで、化粧カバー6の側壁63間の距離を大きくするような変形(外反り)は防止される。
ところで、本実施形態の製造時には、まずボディ21にスイッチ装置3を取り付け、支持枠22にセンサブロック1と押さえばね4とをそれぞれ取り付けて、センサブロック1から引き出した信号線SLをスイッチ装置3の第3のプリント配線板30bに接続した上で、支持枠22をボディ21に結合させる。上記のような作業を行いやすいように、信号線SLはセンサブロック1の後方へ引き出されており、且つ、信号線SLの長さは完成状態でのスイッチ装置3とセンサブロック1との距離に対して長めとされている。従って、支持枠22をボディ21に結合させる際に信号線SLをボディ21と支持枠22との間に挟んでしまう可能性があり、このように信号線SLがボディ21と支持枠22との間に挟まれると、ボディ21と支持枠22との結合が不良となったり、信号線SLが断線してしまったりといったことが考えられる。
そこで、本実施形態では、支持枠22の本体部22aの左右両面に、それぞれ先端が前方へ曲がった鉤状の引掛凸部22iが左右方向の外側へ突設されている。各引掛凸部22iの下面はそれぞれ嵌合片22dの上面よりも上方に位置している。支持枠22をボディ21に取り付ける際には、図1及び図7に示すように、信号線挿通切欠22hを通じて支持枠22の左右に引き出された各信号線SLを、それぞれ嵌合片22dの上側と引掛凸部22iの下側とを通して引掛凸部22iの前側に引っ掛ければ、信号線SLがボディ21と支持枠22との間に挟まれにくい。更に、支持枠22の後面(図7での左面)において信号線挿通切欠22hの左右両側、すなわち信号線挿通穴10aと引掛凸部22iとの間には、それぞれ左右方向に開放された信号線ガイド溝22jが設けられており、この信号線ガイド溝22jに信号線SLを通すことで、信号線SLがよりボディ21と支持枠22との間に挟まれにくくなる。