JP4925303B2 - 焼結体の製造方法および焼結体 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の無機粉末成形体を一体化させた焼結体およびその製造方法に関するものである。
セラミックス、高融点金属、セラミックス/金属複合体は、通常、原料粉末を焼結して製造されるため、製品への形状付与は、主として成形時に行われる。しかし、形状付与のし易さは成形法に依存する。例えば、円板製品は、金型プレス法では成形しやすい。しかし、複雑形状の製品は、CIP(Cold Isostatic
Press)にて塊状成形体をいったん成形してから、機械加工により形状付与することが行われている。
ゲルキャスト法は、無機粉末を含む液状スラリーを、スラリーに含まれる有機化合物相互の化学反応により固化して無機粉末成形体を得る方法である。成形型を高精度に転写することができるため、高精度の形状付与に優れている。しかしながら閉構造を有する製品の場合、離型不可のため適用できなくなるか、あるいはロストワックス法のように別途中子型を設けて内表面形状を付与する必要がある。
特に、メタルハライドランプ用発光管、あるいは高圧ナトリウムランプ用発光管のように、胴部の内径より端部の穴径が小さい製品においては、生産性を向上させることが難しい。発光管を構成する各要素を、単純形状となるよう小部品に分割し、各小部品を、押出成形あるいはドライバックプレス成形、金型プレス成形により得ることは考えられる。この場合には、複数の部品の焼成収縮率差を利用し、焼結時に一体化させる方法がある。更に、中子を別途成形して、中子と外型の間の隙間にスラリーを注型するゲルキャスト法にて、予め一体化した成形体を得る方法が採用されている(特許文献1、2)。
再公表特許WO2002-085590A1 再公表特許WO2005-028170A1
複数の部品を別途成形し、これらを接合して一体化する方法としては、更に特許文献3記載の方法がある。この接合方法では、各セラミックボディに有機バインダを含有させ、第一のセラミックボディの接合面と第二のセラミックボディの接合面とを同時に加熱することで有機バインダを局所的に溶融させる。そして、局所的にバインダを溶融させた状態で、第1と第2の結合面とを接触させ、二つの接合面の境界面領域に圧縮及び伸長を交互にもたらすことによって、接合部分を一体化させている。
特表2004-519820
しかし、複数の部品を別々に成形し、焼成収縮率の差を利用して異なる部品を嵌め合わせて一体焼結させる方法は、工程が煩雑であり、生産性向上が難しい。特許文献1、2記載のゲルキャスト法は、高い形状精度と生産性とを両立させることが難しい。
また、特許文献3記載の方法では、溶融可能なバインダを用いるため、接合時、あるいは脱脂プロセスで成形体が変形しやすい。これは、接合部を加熱することによって接合する技術であるが、加熱により接合界面のみを緩衝地帯とすることは実質的には不可能であり、接合部近傍の数mmが変形して緩衝効果が発現する。結果として形状が変化し易いことになる。また、二つの成形体の接合面を圧縮/伸長させるプロセスを要するため、生産コストが高い。特に、二つの成形体の各薄肉部を突き合わせ接合する場合には、接合面の圧縮/伸長プロセスの実施はきわめて困難である。また、実質的にはワックス系射出成形により成形体を得、接合体としているため、脱脂に長時間を要し、生産性が悪くなる。
更に、本発明者は、特許文献4において、ゲルキャストスラリーを用いて第一および第二の無機粉末成形体を成形し、二つの成形体の間にスラリーを塗布して接合し、得られた接合体を焼結させることを開示した。
特願2006−297706
しかし、更に検討を進めていくと、次の問題点が残っていることが判明してきた。すなわち、無機粉末成形体の接合面に供給した接合用スラリーは、接合時に荷重をかける際、接合面の外側に突出する傾向がある。スラリーの突出量や突出形状は、不規則なものとなりやすく、製品価値を下げる要因となる。また,接合用スラリーの突出部では、スラリー中の焼結助剤の蒸発量が多くなり、強度低下や粒成長を招く傾向がある。
本発明の課題は、無機粉末の焼結体を接合法で製造するのに際して、接合用スラリーを用いることなく、強固な接合が得られる方法を提供することである。
本発明に係る方法は、無機粉末、反応性官能基を有する有機分散媒およびゲル化剤を含有し、有機分散媒とゲル化剤との化学反応により固化した第一の無機粉末成形体および第二の無機粉末成形体を得る工程;
第一の無機粉末成形体の接合面と第二の無機粉末成形体の接合面とを接触させた状態で、荷重下に接合して一体の接合体を得る接合工程;および
接合体を焼結させて焼結体を得る焼結工程を有しており、前記接合工程を常温で行う。
本発明によれば、有機分散媒とゲル化剤との化学反応により少なくとも部分的に固化するタイプの成形体について、常温下で複数の成形体を突き合わせて、ある一定量変形をさせることで一体化させ、焼結させる。これによって、驚くべきことに、加熱溶解することなく、また、接合用スラリーを用いることなしに、強固な接合焼結体が得られることを見いだし、本発明に到達した。
本発明においては、接合面において、成形体中の未反応の有機分散媒およびゲル化剤が作用し、反応することで、接合に寄与するものと思われる。接合界面は微視的にも一体化されており、強固な接合が得られることを確認した。
好適な実施形態においては、第一の無機粉末成形体の接合面が、第一の無機粉末成形体の中心軸に対して略垂直である。また、更に好適な実施形態においては、第一の無機粉末成形体と第二の無機粉末成形体とを接触させた段階で、接合面と略垂直方向に荷重を印加し、接合する。
例えば図1に示すように、一対の無機粉末成形体1A、1Bを準備する。各成形体1A、1Bは、それぞれ、細管部2と胴部3とからなっている。各成形体は、例えば後述するゲルキャスト法によって成形する。
次いで、図2(a)に示すように各成形体の接合面を突き合わせ、接合体6を作製する。この際、好ましくは、矢印A方向に向かって圧力を加える。この圧力Aの方向は、接合面4Aに対して略垂直とする。こうして得られた一体の成形体6を焼結し、図2(b)に示す焼結体7を得る。焼結前に成形体6を仮焼してよく、脱脂してよい。
得られた焼結体7は、ハーフ8A、8Bと、接合部分9とからなっている。通常、接合部分9は、微構造的にハーフ8A、8Bと連続しており、両者の間に微構造的な界面は見当たらない。
また、例えば図3に示すように、一つの胴部成形体11と、二つの細管部の成形体13A、13Bとを準備する。胴部成形体11の両端にはそれぞれ径の小さい連結部12が形成されている。各成形体は、例えば後述するゲルキャスト法によって成形する。
次いで、図4(a)に示すように各成形体の接合面を突き合わせ、接合体16を作製する。この際、好ましくは、矢印A方向に向かって圧力を加える。この圧力Aの方向は、接合面14に対して略垂直とする。こうして得られた一体の成形体16を焼結し、図4(b)に示す焼結体17を得る。焼結前に成形体16を仮焼してよく、脱脂してよい。
得られた焼結体17は、胴部11と、一対の細管部13A、13Bとからなる。通常、接合部分9は微構造的に連続している。
本発明の焼結体は、放電灯の発光管に対して好適に使用できる。高圧放電灯は、自動車用ヘッドランプ、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)、液晶プロジェクターなどの各種の照明装置に適用可能である。この発光管は、メタルハライドランプ用発光管や高圧ナトリウムランプ発光管を含む。また、本発明の焼結体の用途は限定されず、耐熱衝撃性を必要とする熱サイクル機関における構造体や高温炉等の目視窓など、各種の用途に適用できる。
図5および図6は、各種の高圧ナトリウム放電灯用の発光管の形態を示す断面図である。
図5(a)の発光管21は、いわゆるリセスト型のものであり、ハーフ21Aと21Bとからなる。23は接合界面である。
図5(b)の発光管24は、いわゆるセミクローズド型のものであり、ハーフ24Aと24Bとからなる。23は接合界面である。
図6(a)の発光管25は、いわゆるトップハット型のものであり、ハーフ25Aと25Bとからなる。23は接合界面である。
図6(b)の発光管28は、いわゆるトップハット型のものであり、本体27と、本体27の一端に接合されている端部28とからなる。23は接合界面である。
図6(c)の発光管29は、いわゆるモノリシックトップハット型のものであり、ハーフ29Aと29Bとからなる。23は接合界面である。
本発明においては、成形型に無機粉末と有機化合物を含むスラリーを鋳込み、有機化合物相互の化学反応、例えば分散媒とゲル化剤もしくはゲル化剤相互の化学反応により固化させた後、離型することにより、第一および第二の無機粉末成形体を得る。この成形スラリーは、原料粉体の他、分散媒、ゲル化剤を含み、粘性や固化反応調整のための分散剤、触媒を含んでも良い。このような成形方法は、特許文献1,2、4に記載されている。
第一の無機粉末成形体、第二の無機粉末成形体に含有される無機粉末に含まれる粉末成分は、特に限定されず、セラミック粉末、金属粉末、セラミック粉末と金属粉末との混合物であってよい。具体的には以下を例示できる。
こうしたセラミック粉体としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、YAGおよびこれらの混合物を例示でき、99%以上の高純度の粉体が好ましい。焼結性や特性改善のための添加成分も原料粉体に含まれる。Mg, Y, Zr, Sc,
La, Si, B, Na, Cu, Fe, Caもしくはこれらの酸化物を例示できる。また、金属粉末としては、モリブデン、タングステンやその合金を例示できる。
前記セラミック粉体に添加する焼結助剤としては、酸化マグネシウムが好ましいが、ZrO2, Y2O3,La2O3, Sc2O3も例示できる。
第一および第二の無機粉末成形体中に含有される、反応性官能基を有する有機分散媒は、以下を例示できる。
反応性官能基を有する有機分散媒は、ゲル化剤と化学結合し、スラリーを固化可能な液状物質であること、及び注型が容易な高流動性のスラリーを形成できる液状物質であること、の2条件を満たすことが必要である。ゲル化剤と化学結合し、スラリーを固化するためには、反応性官能基、即ち水酸基、カルボキシル基、アミノ基のようなゲル化剤と化学結合を形成し得る官能基を分子内に有していることが必要である。
前記有機分散媒は少なくとも1の反応性官能基を有するものであれば足りるが、より充分な固化状態を得るためには、2以上の反応性官能基を有する有機分散媒を使用することが好ましい。
2以上の反応性官能基を有する液状物質としては、例えば多価アルコール(エチレングリコールのようなジオール類、グリセリンのようなトリオール類等)、多塩基酸(ジカルボン酸類等)が考えられる。尚、分子内の反応性官能基は必ずしも同種の官能基である必要はなく、異なる官能基であってもよい。また、反応性官能基はポリエチレングリコールのように多数あってもよい。
一方、注型が容易な高流動性のスラリーを形成するためには、可能な限り粘性の低い液状物質を使用することが好ましく、特に20℃における粘度が20cps以下の物質を使用することが好ましい。
既述の多価アルコールや多塩基酸は水素結合の形成により粘性が高い場合があるため、たとえスラリーを固化することが可能であっても反応性分散媒として好ましくない場合がある。従って、多塩基酸エステル(例えば、グルタル酸ジメチル等)、多価アルコールの酸エステル(例えば、トリアセチン等)等の2以上のエステル基を有するエステル類を前記有機分散媒として使用することが好ましい。また、多価アルコールや多塩基酸も、スラリーを大きく増粘させない程度の量であれば、強度補強のために使用することは有効である。
エステル類は比較的安定ではあるものの、反応性が高いゲル化剤とであれば充分反応可能であり、粘性も低いため、上記2条件を満たすからである。特に、全体の炭素数が20以下のエステルは低粘性であるため、反応性分散媒として好適に用いることができる。
無機粉末成形体の原料に含有されていてもよい、反応性官能基を有する有機分散媒としては、具体的には、エステル系ノニオン、アルコールエチレンオキサイド、アミン縮合物、ノニオン系特殊アミド化合物、変性ポリエステル系化合物、カルボキシル基含有ポリマー、マレイン系ポリアニオン、ポリカルボン酸エステル、多鎖型高分子非イオン系、リン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸Na、マレイン酸系化合物を例示できる。他には、WO2002-085590A1の、22頁10行目〜25行目に記載されたものを例示できる。
まだ非反応性分散媒としては、炭化水素、エーテル、トルエン等を例示できる。
また、無機粉末成形体に含有されるゲル化剤は、分散媒に含まれる反応性官能基と反応して固化反応を引き起こすものであり、例えばWO2002-085590A1の21頁 −
22頁9行目に記載されているが、以下を例示できる。
ゲル化剤の20℃における粘度が3000cps以下であることが好ましい。具体的には、2以上のエステル基を有する有機分散媒と、イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤とを化学結合させることによりスラリーを固化することが好ましい。
具体的には、この反応性のゲル化剤は、分散媒と化学結合し、スラリーを固化可能な物質である。従って、前記ゲル化剤は、分子内に、分散媒と化学反応し得る反応性官能基を有するものであればよく、例えば、モノマー、オリゴマー、架橋剤の添加により三次元的に架橋するプレポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等)等のいずれであってもよい。
但し、前記反応性ゲル化剤は、スラリーの流動性を確保する観点から、粘性が低いもの、具体的には20℃における粘度が3000cps以下の物質を使用することが好ましい。
一般に平均分子量が大きなプレポリマー及びポリマーは、粘性が高いため、本発明では、これらより分子量が小さいもの、具体的には平均分子量(GPC法による)が2000以下のモノマー又はオリゴマーを使用することが好ましい。尚、ここでの「粘度」とは、ゲル化剤自体の粘度(ゲル化剤が100%の時の粘度)を意味し、市販のゲル化剤希釈溶液(例えば、ゲル化剤の水溶液等)の粘度を意味するものではない。
ゲル化剤の反応性官能基は、反応性分散媒との反応性を考慮して適宜選択することが好ましい。例えば反応性分散媒として比較的反応性が低いエステル類を用いる場合は、反応性が高いイソシアナート基(−N=C=O)、及び/又はイソチオシアナート基(−N=C=S)を有するゲル化剤を選択することが好ましい。
イソシアナート類はジオール類やジアミン類と反応させることが一般的であるが、ジオール類は既述の如く高粘性のものが多く、ジアミン類は反応性が高すぎて注型前にスラリーが固化してしまう場合がある。
このような観点からも、エステルからなる反応性分散媒と、イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤との反応によりスラリーを固化することが好ましく、より充分な固化状態を得るためには、2以上のエステル基を有する反応性分散媒と、イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤との反応によりスラリーを固化することが好ましい。また、ジオール類、ジアミン類も、スラリーを大きく増粘させない程度の量であれば、強度補強のために使用することは有効である。
イソシアナート基、及び/又はイソチオシアナート基を有するゲル化剤としては、例えば、MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)系イソシアナート(樹脂)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアナート)系イソシアネート(樹脂)、TDI(トリレンジイソシアナート)系イソシアナート(樹脂)、IPDI(イソホロンジイソシアナート)系イソシアナート(樹脂)、イソチオシアナート(樹脂)等を挙げることができる。
また、反応性分散媒との相溶性等の化学的特性を考慮して、前述した基本化学構造中に他の官能基を導入することが好ましい。例えば、エステルからなる反応性分散媒と反応させる場合には、エステルとの相溶性を高めて、混合時の均質性を向上させる点から、親水性の官能基を導入することが好ましい。
尚、ゲル化剤分子内に、イソシアナート基又はイソチオシアナート基以外の反応性官能基を含有させてもよく、イソシアナート基とイソチオシアナート基が混在してもよい。さらには、ポリイソシアナートのように、反応性官能基が多数存在してもよい。
第一および第二の無機粉末成形体の接合面を接触させる段階では、各無機粉末成形体の曲げ強度と、接合時に印加する荷重による変形量との関係が重要であることを発見した。
図7は、ゲルキャストスラリーの経時的な硬化挙動を示すグラフである。横軸は、調合後の経過時間である。縦軸は、固化前はスラリーの粘度であり、固化後は曲げ強度である。成形体を離型した後の乾燥工程で、成形体の曲げ強度の増加、重量の減少、寸法の減少が生ずる。従って、成形体の接合直前の曲げ強度が低く、溶媒含有量が大きいほど、接合部分における反応が進行しやすく、接合強度は向上しやすくなる。しかし、成形体の接合直前の曲げ強度が低くなりすぎ、溶媒含有量が大きくなりすぎると、接合部分のひずみによりクラックが発生しやすくなる。
更に、接合時に印加する荷重も重要である。この荷重が小さすぎると、接合界面に剥離が発生しやすく、接合強度が低下しやすい。しかし、この荷重が大きすぎると、接合部分の変形が大きくなり、クラックが発生しやすくなる。ただ、接合時に適当な大きさの荷重を印加して変形させた場合であっても、各成形体の硬化が進みすぎていると、接合界面付近における反応が進行せず、成形体は接合しない。
以上の知見に基づき更に検討したところ、接合前の第一の無機粉末成形体の接合面と略垂直方向の寸法M1に対して、接合後の第一の無機粉末成形体の接合面と略垂直方向の寸法S1が0.02mm以上、0.8mm以下減少するように、成形体の強度と荷重とを選択することで、接合面の剥離を低減し、接合強度を向上させ得ることを見いだした(図2参照)。
更に好適な実施形態においては、接合前の第二の無機粉末成形体の接合面と略垂直方向の寸法M2に対して、接合後の第二の無機粉末成形体の接合面と略垂直方向の寸法S2が0.02mm以上、0.8mm以下減少するように、成形体の強度と荷重とを選択することで、接合面の剥離を低減し、接合強度を向上させ得る(図2参照)。
この観点からは、第一、第二の無機粉末成形体の前記寸法変形量(M1−S1、M2−S2)を0.04mm以上とすることが好ましく、0.06mm以上とすることが更に好ましい。また、第一、第二の無機粉末成形体の前記寸法変形量を0.6mm以下とすることが更に好ましく、0.5mm以下とすることが一層好ましい。
無機粉末成形体同士を接触させる際には、接合面と略垂直方向Aに荷重を印加することもできるし、自重のみ印加することもできる。荷重は特に限定されないが、一定の変形を起こさせ接合部分の強度を高くするためには、0.5kgf/cm以上とすることが好ましい。また、各成形体の寸法精度を確保し、およびクラックの発生を防止するという観点からは、15 kgf/cm以下とすることが好ましい。
また、接合工程を実施する際には、加熱を行わず、常温で処理することが好ましいことを発見した。これは、接合時に加熱すると,接合界面付近にクラックが発生するからである。通常、接合時に加熱を行って界面反応を促進することは、接合強度を向上させる上で好ましいと考えられるため、意外な結果であると言える。この常温とは、特に加熱処理をしない室温を意味しているが、具体的には15〜35℃が好ましい。
各無機粉末成形体の各接合面の中心線平均表面粗さRaは、1ミクロンから100ミクロンの範囲が好ましい。表面粗さ測定は原則として表面粗さ計とする。ただし、成形体の強度が弱くて測定し難い場合は、顕微鏡で表面凹凸を観察する方法でも良い。
各成形体の形態は特に限定されない。図8〜図10は、様々な形態の成形体を示すものである。図8(a)の例では、反応管様の焼結体50の中空部近傍51で、矢印Aのように焼結体50を軸線方向に2分割する。図8(b)の例では、軸線B方向に沿って51で焼結体50を2分割する。図8(c)、(d)では、焼結体50を、軸線Bに直交する別の長手方向の軸線Cに沿って51で焼結体を2分割する。これらを組み合わせることによって、焼結体50を2あるいは3以上の成形体に分割できる。
図9に示すように、反応管、流路管52においては、流路方向に2つのハーフ53に分割できる。また、52を流路方向に沿って2つのハーフ53に分割することができる。また、発光管を得るために用いることのできる各種の分割体形状の成形体を図10に示す。
第一および第二の無機粉末成形体を接合した後、接合体を脱脂あるいは仮焼することができる。この脱脂工程や仮焼工程は、還元性雰囲気下で行うことが好ましい。また、焼結工程も還元性雰囲気下で行うことが好ましい。還元性雰囲気は代表的には水素であり、不活性ガスを含んでいて良い。
焼結温度は材料によって決定する。しかし、好適な実施形態においては、焼結時の最高温度を1750℃以下とすることもできる。
焼成温度の下限も特になく、材料によって選択するが、例えば1350℃以上、更には1450℃以上とすることが好ましい。また、焼成体の色調(例えば黒化)に応じ、適宜加湿してよい(露点−10〜+10℃)。
また、好適な実施形態においては、成形体を1000℃以上、1200℃以下の温度で脱脂し、次いで焼結できる。脱脂は大気雰囲気中で行うことが好ましい。この際、炉内が酸欠状態にならないように、適宜大気もしくは酸素を供給してよい。
ゲルキャスト成形体中有機分は、通常成形(粉末プレス用バインダや押出し加工)法によって得られた成形体中の有機分に比べて分解しにくいので、本脱脂工程は有機分の分解促進に有効であり、焼結体の黒化抑制に効果的である。脱脂時間も限定されないが、30時間以上とすることが好ましく、60時間以上とすることが更に好ましい。
また、焼成体色調に応じ(例えば黒化)、1000〜1500℃で大気中アニールしてよい。この際、炉内が酸素欠乏状態にならないように、適宜大気もしくは酸素を供給してよい。
成形型、接合冶具は、アルミニウム合金、鉄系材料の他、シリコーン、高密度ポリエチレン等の樹脂で作製することが好ましい。型表面に離型性向上、あるいは耐摩耗性向上のためのコーティング、例えばテフロン(登録商標)(商品名)やDLC(Diamond-Like-Carbon)を施しても良い。
(実験A)
図1、図2を参照しつつ説明した方法に従い、一体焼結体(発光管)7を作製した。
ただし、各成形体1A、1Bの成形スラリーは以下のようにして作製した。すなわち、原料粉末としてアルミナ粉末(商品名 アルミナAKP20、住友化学工業株式会社)100重量部、およびマグネシア0.025重量部。分散媒として、マロン酸ジメチル24重量部、ゲル化剤(商品名 バイヒジュール3100、住友バイエルウレタン株式会社)2重量部、分散剤(商品名 マリアリムAKM0531、日本油脂株式会社)1重量部、触媒としてトリエチルアミン0.2重量部を混合したものを用いた。
このスラリーを、アルミニウム合金製の型に室温で注型の後、室温で放置した。調合後の経過時間は、表1に示すように変化させた(「調合後経過時間」)。そして各成形体を離型し、メタルハライドランプ用発光管形状を軸方向に2分割した形状の粉末成形体1A、1Bを得た。
接合に先立ち、各接合面の表面粗さを測定したところ、約40ミクロンであった。各々の成形体1A、1Bを突き合わせた後、荷重をかけて接合した。接合時の圧力、加圧時間は、表1に示すように変更した。また、接合工程の前後における各成形体の矢印A方向の寸法減少量(変形量)は、表1に示すように変化した。更に、実験番号1、2では、接合時に100 ℃で加熱した。実験番号3〜7では、加熱を行わず、常温で接合を実施した。
接合体6を、大気中1100℃で仮焼の後、水素3:窒素1の雰囲気中1800℃で焼成し、緻密化および透光化させ、全長50mm、胴部外径14mm、キャピラリ長17mmの発光管7を得た。得られた発光管について、接合界面の状態を観察し、結果を表1に示した。
Figure 0004925303
ただし、表1における評価基準は、以下のとおりである。
「○」: 接合面の面積の90%以上が正常に接合: 焼結後の引き剥がし試験において接合面以外の部分が壊れた。
「△」: 接合面の面積の50%以上が正常に接合: 焼結後の引き剥がし試験において接合面以外の部分が壊れるが、一部接合面も剥がれる。
「×」: 接合面の面積の10%以下が正常に接合: 焼結後の引き剥がし試験において接合面が剥がれる。
表1に示すように、本発明の方法によれば、製造条件を適宜選択することで、クラックのない強固な接合焼結体が得られることが判明した。
具体的には、接合時に加熱を行うと、接合面でのクラック発生や接合不良が発生しやすい。また、成形体の変形量が0.01mm以下、1.00mm以上では、接合不良が発生しやすいことがわかった。実験番号4、5、6では、良好な接合体が得られた。
(実験B)
実験Aと同様にして一体焼結体(発光管)7を作製した。
ただし、調合後の経過時間、離型時の加熱の有無、接合時の圧力、加圧時間、接合工程の前後における各成形体の矢印A方向の寸法減少量(変形量)は、表2に示すように変化させた。得られた各発光管について、接合界面の状態を観察し、結果を表2に示した。
Figure 0004925303
表2に示すように、本発明の方法によれば、製造条件を適宜選択することで、クラックのない強固な接合焼結体が得られることが判明した。
具体的には、離型時に加熱を行わないことで、接合強度は一層向上することがわかった。また、成形体の変形量が0.02mm以上、0.08mm以下で変化した場合に、いずれも良好な接合体が得られた。
(実験C)
実験Aと同様にして一体焼結体(発光管)7を作製した。
ただし、接合時の圧力制御ではなく、変形量により制御する方式とし、離型後の経過時間、離型時の加熱の有無、加圧時間、接合工程の前後における各成形体の矢印A方向の寸法減少量(変形量)は、表3に示すように変化させた。得られた各発光管について、接合界面の状態を観察し、結果を表3に示した。
Figure 0004925303
表3に示すように、本発明の方法によれば、製造条件を適宜選択することで、クラックのない強固な接合焼結体が得られることが判明した。具体的には、離型時に加熱を行わないことで、接合強度は一層向上することがわかった。また、成形体の変形量が0.10〜0.50mmでも良好な接合体が得られた。
本発明の一実施形態で利用できる無機粉末成形体1Aおよび1Bを示す断面図である。 (a)は、成形体1Aと1Bとの接合体6を示す断面図であり、(b)は、図2(a)の成形体6を焼結させることで得られた焼結体7を示す断面図である。 第一の無機粉末成形体13A、13Bおよび第二の無機粉末成形体11を示す断面図である。 (a)は、成形体11と成形体13A、13Bとの接合体16を示す断面図であり、(b)は、図4(a)の成形体16を焼結させることによって得られた焼結体17を示す断面図である。 (a)は、リセスト型の発光管21を示す断面図であり、(b)は、セミクローズド型の発光管24を示す断面図である。 (a)は、トップハット型の発光管25を示す断面図であり、(b)は、トップハット型の発光管26を示す断面図であり、(c)は、モノリシックトップハット型の発光管29を示す断面図である。 ゲルキャストスラリーの経時的な硬化挙動を示すグラフである。横軸は、調合後の経過時間である。 (a)、(b)、(c)および(d)は焼結体50の各部分の形態を示す正面図である。 焼結体の分割体を例示する斜視図である。 焼結体の分割体を例示する斜視図である。
符号の説明
1A、13A、13B 第一の無機粉末成形体 1B、11 第二の無機粉末成形体 4A、4B、14 接合面 6、16 接合体 7、17、21、24、25、26、29 焼結体(発光管) A 荷重の印加方向

Claims (10)

  1. 無機粉末、反応性官能基を有する有機分散媒およびゲル化剤を含有し、前記有機分散媒と前記ゲル化剤との化学反応により固化した第一の無機粉末成形体および第二の無機粉末成形体を得る工程;
    前記第一の無機粉末成形体の接合面と前記第二の無機粉末成形体の接合面とを接触させた状態で、荷重下に接合して一体の接合体を得る接合工程;および
    前記接合体を焼結させて焼結体を得る焼結工程
    を有しており、前記接合工程を常温で行うことを特徴とする、焼結体の製造方法。
  2. 前記第一の無機粉末成形体の前記接合面が、前記第一の無機粉末成形体の中心軸に対して略垂直であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記第二の無機粉末成形体の前記接合面が、前記第二の無機粉末成形体の中心軸に対して略垂直であることを特徴とする、請求項2記載の方法。
  4. 前記第一の無機粉末成形体の前記接合面と前記第二の無機粉末成形体の前記接合面とを接触させた段階で、前記第一の無機粉末成形体の前記接合面と略垂直方向に荷重を印加しながら接合することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  5. 接合前の前記第一の無機粉末成形体の前記接合面と略垂直方向の寸法に対して、接合後の前記第一の無機粉末成形体の前記接合面と略垂直方向の寸法が、0.02mm以上、0.8mm以下減少していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  6. 接合前の前記第二の無機粉末成形体の前記接合面と略垂直方向の寸法に対して、接合後の前記第二の無機粉末成形体の前記接合面と略垂直方向の寸法が、0.02mm以上、0.8mm以下減少していることを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 請求項1〜のいずれか一つの請求項に記載の方法によって製造されたことを特徴とする、焼結体。
  8. 前記焼結体が発光管であることを特徴とする、請求項記載の焼結体。
  9. 前記発光管が、メタルハライドランプ用発光管であることを特徴とする、請求項記載の焼結体。
  10. 前記発光管が、高圧ナトリウムランプ発光管であることを特徴とする、請求項記載の焼結体。
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