JP4925007B2 - 圧電体球状微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、本発明は、圧電体の原料粉末として好適に用いることができる圧電体球状微粒子の製造方法に関するものである。
Pb(Zr,Ti1−x)O(以下、PZTと記載する)は、最も代表的な強誘電体のひとつであり、最近では特にMEMS(Micro Electro Mechanical System)の分野で、マイクロセンサーやマイクロアクチュエーターとしての応用が活発に検討されている。そこで、電着法やスクリーン印刷法など、厚膜作製(>10μm)の代表的なプロセスにおいては、素子基板上への粒子配列・充填、焼結が基本となり、デバイスの微小化・集積化に伴って粒子個々の性質が極めて重要になっている。
従来の圧電体微粒子の製造方法には、固相法、液相法、気相法がある。
このうち、球状の微粒子の製造方法には、噴霧熱分解法(非特許文献1)や、ゾルゲル法などが報告されている。
しかしながら、噴霧熱分解法は、基本的には、原料となる金属元素を含んだ硝酸塩等の無機塩、あるいは酢酸塩などの有機塩、あるいは金属アルコキシドなどの有機金属化合物などを水やアルコールなどに溶解した溶液を原料とし、これを高温に保持した反応容器に噴霧し、熱分解をおこなう方法である。溶液の噴霧方法や熱分解温度、溶液濃度などの制御により、球状化は可能であるが、溶液濃度は代表的には0.0Xモル/L程度に制限されるので、収量の増加には長時間が必要になるという不利な点がある。また、原料塩類やアルコールなどの溶媒の熱分解や燃焼に伴う多量のガス発生等、環境への負荷が大きいという欠点がある。
また、ゾルゲル法では、噴霧熱分解法と同様、金属アルコキシド等を原料とし、原料が比較的高価で、扱いにくいという価格的に不利な点がある。また、これらの原料は、水や、アルコール、各種有機溶媒へ一旦溶解させた溶液として利用され、原料の溶解度や溶液の安定性のために、溶液濃度は比較的低くなってしまうという欠点がある。
また、圧電体微粒子の他の製造方法として、溶融塩法が知られている。
溶融塩法においては、原料成分の溶融無機塩類(フラックス)への溶解・析出反応を伴い、比較的低温かつ短時間の反応で、板状や針状など、様々な形態を持つ粒子を合成できることが報告されている。
この溶融塩法における、上記の噴霧熱分解法やゾルゲル法と比較した場合の利点は、比較的安価でより安定な原料として金属酸化物粉末を用い、これを塩化物やフッ化物等の安定な塩類(フラックス)との加熱による溶融塩反応により、セラミックス微粒子を製造することができる点にある。さらに、加熱溶融後、室温まで冷却された反応物は、水で洗浄、ろ過して、圧電体微粒子を回収することができ、このとき使用される塩類は基本的にリサイクル可能であるという利点もある。
ところで、PZT製造時にPbOを過剰に添加するという手法が知られており、製造方法の種類によらず、よく用いられている。この手法は、加熱温度が、およそ800℃以上になると、温度の上昇に伴って、PZTからのPbOの蒸発による欠損が顕著になってくる。PbOの過剰添加は、本来このPbOの蒸発を補償することが目的とされており、溶融塩法によるPZT粒子の製造時にもこれと同様な手法が用いられることが知られている。
桜井 修、他、日本セラミックス協会学術論文誌、97巻、4号、1989年、P407-12
しかしながら、従来の溶融塩法では、比較的安価でより安定な原料を用いることができるなど、製造に係る利点はあるものの、PZTに関しては、不規則形状の微粒子の凝集体は製造可能であるが、球状微粒子は得られていないというのが現状である。
上述した電着法やスクリーン印刷法などによる厚膜作製のプロセスにおいては、素子基板上への粒子配列・充填、焼結が基本となり、デバイスの微小化・集積化に伴って粒子個々の性質が極めて重要になっている。粒子の密充填と焼結性の向上には、粒子の球状化と微細化は最も重要な因子の代表である。従って、このような理由から、球状のPZT微粒子を高効率で製造する技術が渇望されている。
そこで、本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、リサイクル性、量産性に優れる溶融塩法を用いて球状の圧電体微粒子を製造するための方法を提供することにある。
本願発明者は、溶融塩法に使用する原料粉末及び塩類(フラックス)の種類及び配合組成を調整し、混合後、適切な温度条件下で加熱反応することによって、同法による圧電体球状微粒子の製造が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る製造方法は、上記課題を解決するために、圧電体微粒子の主原料となる酸化物を、当該酸化物と溶融塩反応を起こす溶融無機塩類と混合して加熱することによって圧電体微粒子を製造する圧電体微粒子の製造方法であって、上記酸化物に対して所定量の酸化鉛(PbO)を、当該酸化物とともに上記溶融無機塩類に混合し、所定温度で加熱することを特徴とするものである。
また、本発明に係る製造方法は、上記酸化物及び上記酸化鉛とともに、上記酸化物に対して所定量の塩化鉛(PbCl)を混合することが好ましい。
また、本発明に係る製造方法は、上記酸化物として、Pb(Zr,Ti1−x)O (Xは、0〜1を示す)を用いることが好ましい。
また、本発明に係る製造方法は、上記所定温度とは、700℃〜1100℃の範囲であることが好ましい。
また、本発明に係る製造方法は、上記酸化鉛を、上記酸化物に対して、1〜30質量%の範囲で用いることが好ましい。
また、本発明に係る製造方法は、上記塩化鉛を、上記溶融無機塩類に対して、0を超えて、30質量%以下の範囲で用いることが好ましい。
また、本発明に係る製造方法は、上記酸化物を、上記溶融無機塩類に対して50〜75質量%混合することが好ましい。
また、本発明に係る製造方法では、上記溶融無機塩類として、塩化カリウムとフッ化リチウムとの混合塩を用いることが好ましい。
また、本発明に係る製造方法では、上記酸化鉛と上記酸化物とを混合した第1混合物と、上記溶融無機塩類と上記塩化鉛とを混合した第2混合物とを作成した後、当該第1混合物と第2混合物とを混合することが好ましい。
本発明に係る圧電体微粒子は、上記課題を解決するために、上記の製造方法によって製造されることを特徴とするものである。
また、上記圧電体微粒子が球形であることが好ましい。
本発明に係るデバイスは、上記課題を解決するために、上記の製造方法によって製造される圧電体微粒子、上記の圧電体微粒子を用いて製造されることを特徴とするものである。
本発明に係る製造方法は、以上のように、圧電体微粒子の主原料となる酸化物を、当該酸化物と溶融塩反応を起こす溶融無機塩類と混合して加熱することによって圧電体微粒子を製造する圧電体微粒子の製造方法であって、上記酸化物に対して所定量の酸化鉛(PbO)を、当該酸化物とともに上記溶融無機塩類に混合し、所定温度で加熱することを特徴としている。また、本発明に係る圧電体微粒子は、上記の製造方法によって製造されることを特徴としている。
上記の方法によれば、酸化鉛を添加することによって得られる当該酸化鉛を含む液相が、溶融無機塩類(溶融フラックス)の粘性や、酸化物を構成するイオン(例えば、PZT構成イオン)の拡散係数等の物性値の変化により、圧電体微粒子の生成機構に影響を及ぼし、分散性に優れた圧電体微粒子(粒径:0.05〜3μm程度)を製造することが可能となる。
また、上記の方法によれば、リサイクル性や量産性に優れた溶融塩法でも、球形の圧電体微粒子を得ることができる。
〔1〕圧電体微粒子の製造方法
本願発明者らは、溶融塩法に使用する原料粉末及び塩類(フラックス)の種類及び配合組成を調整し、混合後、適切な温度条件下で加熱反応することによって、同法による圧電体球状微粒子の製造方法を提供することで、上記課題を解決する。この内、特にPbOの過剰添加に伴い生成すると考えられるPbOを含む液相が、溶融フラックスの粘性や、PZT構成イオンの拡散係数等の物性値の変化により、PZT微粒子の生成機構に影響を及ぼし、結果として分散性に優れた球状微粒子を形成することに着目した手法はこれまでに知られていない。
本発明では、このPbOを含む液相をより低温で生成させるために、より効果的なフラックスの組成とPbCl添加の効果を併せて検討し、適切な製造条件を見出した。
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
本実施形態においては、出発原料としてPbO、ZrO、及びTiOの金属酸化物粉末を用い、Pb(Zr,Ti1−x)O(Xは、0〜1を示す)(以下、PZTと記載する)の定比組成物に比べ、PbOを一定範囲内で過剰量添加し、さらにPbClを一定範囲内で添加し、KClやNaCl、あるいはLiFなどの無機塩(フラックス)とともに混合後、加熱溶融塩反応を生じさせる。
上記出発原料としては、上記金属酸化物の他、加熱によって容易にこれらの酸化物に変化しうる炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、有機塩類、あるいは有機金属化合物など、加熱によってこれらの酸化物に変化するものを例示できる。
また、このような酸化物には、目的とする圧電体としての機能・特性に合わせて、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類イオン、遷移金属イオンなど、代表的には価数が1価〜6価までで、さまざまなイオン半径を持つ、種々のドーパント元素を含むことが可能である。なお、上記ドーパント元素は、複数のドーパント元素が組み合わせてなるものであってもよい。
また、上記無機塩としては、塩化物、硫化物、フッ化物など、約1000℃以下で溶融し、PZT原料粉末との溶融塩反応を生じる物質であればよく、これらの物質を組み合わせた混合塩であってもよい。具体的には、塩化カリウム(KCl)とフッ化リチウム(LiF)をモル比80:20で混合した混合塩が好ましい。
PbOの添加量としては、PZT定比組成に対し、1〜20質量%を添加することが好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
また、PbClを添加する場合は、溶融フラックスに対し、0を超えて30質量%を添加することが好ましく、3〜15質量%がより好ましく、10質量%程度がさらに好ましい。
PZT原料粉末とフラックスの混合割合については、PZT原料粉末が10〜95質量%となるように混合すればよく、25質量%以上が好ましく、50〜75質量%が最も好ましい。
本実施形態では、PZT原料粉末と、PbOと、PbClとを、フラックスに添加して混合して加熱することによって、加熱溶融塩反応を起こす。
加熱温度としては、750〜1100℃の範囲で球状のPZT粒子が得られ、加熱温度が低い方がより小さな粒子が得られる。特に、800℃付近の温度で球状でより微細な粒子が得られる。
加熱時間については、加熱保持時間が長いほど、粒子は大きくなる傾向があり、より小さくかつ球状の粒子を得るには、上記の加熱温度において、30分〜60分程度の加熱保持時間が最適である。
加熱後は、冷却する。冷却は、自然冷却で構わない。
なお、加熱速度及び冷却速度については、PZT粒子の大きさには顕著な影響は認められないが、例えば、10℃/分とすることができるが、状況に応じて設定して構わない。
以上のように、本発明の製造方法によれば、従来法と比較して、安価で安定な酸化物原料粉末を用い、溶融塩法の利点であるところのリサイクル性や、量産性などの点で優れ、粒子の形状が球形に近く、凝集性の比較的小さい微粒子(粒径:0.05〜3μm程度)をより効率的に得ることができる。
上述した方法により得られる圧電体微粒子の具体的な特性については、後述する実施例において説明する。
〔2〕圧電体微粒子の利用
上記した方法により製造された圧電体微粒子は球形であるため、マイクロセンサーやマイクロアクチュエーターといったデバイスに本実施形態の圧電体微粒子を好適に用いることができる。
具体的には、上述の厚膜製造プロセスで、圧電体の原料粉末に用いられ、充填性に優れ、焼結性にも優れた原料に使用できる。また、一般的な圧電センサや超音波振動子等、バルク製品の焼結原料にも好適である。
本発明は、以下の実施例によってさらに詳細に説明されるが、これに限定されるべきではない。
(A)圧電体微粒子の製造
本発明者らは、上記した製造方法を用いて圧電体微粒子の製造を行った。
PZT混合粉末には、酸化鉛(PbO)、酸化ジルコニア(ZrO)、酸化チタン(TiO)の組成比がそれぞれモル比で1:0.57:0.43になるように秤量し、ZrOボールを使ってエタノール中で湿式ボールミル混合を行った。そして、混合したものを110℃で十分に乾燥させたものを用いた。
次に、このPZT混合粉末とフラックス、PbCl、及びPbO過剰量とを混合した。フラックスには、KClとLiFを用い、モル比で80:20になるように秤量した。PZT混合粉末とフラックスの混合割合については、5:95〜95:5(重量比)まで変化させた。この割合については、特に言及しない限り、代表的に50:50(重量比)とした。PbOの添加量は、PZT混合粉末に対して、0〜15質量%(wt%)の範囲で図1に示した量を加えた。PbClの添加量は、このフラックスに対して、0〜15質量%(wt%)の範囲で図2に示した量を加えた。混合は、すべてZrOボールを用い、エタノール中で湿式ボールミル混合(約17時間)により行い、十分に乾燥させた。
乾燥後、混合物を白金(Pt)ルツボに移し、電気炉で大気中600〜1100℃の範囲で図4に示した各温度で1時間加熱した。加熱速度は、10℃/分とし、冷却は電気炉中で自然冷却(炉冷)によりを行った。
こうして得られた試料を約80℃の蒸留水で十数回デカンテーションによる洗浄後、ろ過、乾燥し、PZT球状微粒子を得た。
図1に、上記したPZT混合粉末と、フラックスと、10質量%PbClとを用いた場合に、PbOの添加量の違いによってPZT球状微粒子の形状がどのように異なるのかを、PZT球状微粒子のSEM像に基づいて検証した結果を示す。なお、この実験では、950℃で加熱を行った。
図1から、PbO添加量が5〜10質量%の場合に、粒子が球状化したことが示された。
次に、図2に、上記したPZT混合粉末と、フラックスと、5質量%PbOとを用いた場合に、PbClの添加量の違いによってPZT球状微粒子の形状がどのように異なるのかを、PZT球状微粒子のSEM像に基づいて検証した結果を示す。なお、この実験では、950℃で加熱を行った。
図2から、PbClの添加量が3〜10質量%付近でPZT微粒子の球状化が進行したことが示された。
次に、図3及び図4に、加熱温度の違いによるPZT微粒子の形状、および結晶相の違いについて検証した結果を示す。図3は、PZT球状微粒子のSEM像であり、図4は、PZT球状微粒子の結晶相の変化を粉末エックス線回折で測定した結果を示している。なお、この実験では、加熱は1時間行い、10質量%のPbClと、5質量%のPbOを加えたものを用いた。
図3から、加熱温度が800℃以上でPZT微粒子が球状化することが示された。また、図4から、加熱温度が750℃以上で、PZT微粒子が生成した(図4の○で示すピーク)が、副生成物として少量の未確認相の生成が認められた(図4中に×で示すピーク)。なお、この副生成物は、酢酸水溶液中に数時間程度浸積・攪拌する処理で除去することができた。
次に、図5及び図6に、フラックスに対するPZT混合粉末濃度の違いによる、PZT微粒子の形状、および結晶相の違いについて検証した結果を示す。図5は、PZT球状微粒子のSEM像であり、図6は、PZT球状微粒子の結晶相の変化を粉末エックス線回折で測定した結果を示している。なお、この実験では、PbClを10質量%添加して、各濃度のPZT混合粉末に対して、フラックスと、5質量%のPbOを加え、850℃で1時間の加熱を行った。
図5から、フラックスに対して50〜70質量%のPZT混合粉末を混合した場合に、PZT球状微粒子が得られることが示された。また、図6では、フラックスに対してPZT混合粉末が10質量%以上でPZT微粒子が生成した(図6の○で示すピーク)が、図4の結果と同様、副生成物として少量の未確認相の生成が認められた(図6中に×で示すピーク)。なお、この副生成物も、酢酸水溶液中に数時間程度浸積・攪拌する処理で除去することができた。
なお、本発明は、以下の構成を特徴としていると換言することができる。すなわち、本発明は、Pb(Zr,Ti1−x)O (Xは、0〜1を示す)から成る圧電体粒子の製造方法であることを第1の特徴としている。さらに、第1の特徴に関して、圧電体にさまざまなアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類イオン、遷移金属イオンなど、価数が1価〜6価まで、さまざまなイオン半径を持つ、種々のドーパント元素を含むことが好ましい。また、上記のドーパントのさまざまな組み合わせを含むPZT圧電体粒子の製造方法であることが好ましい。また、第1の特徴に関して、圧電体にさまざまなドーパント元素を含むことが好ましい。また、第1の特徴に関して、PZT圧電体球状微粒子の製造方法であることが好ましい。また、第1の特徴に関して、フラックスとして、KClやLiFなどの各種無機塩を用い、PZTに対して過剰量のPbOを添加することが好ましい。
(B)焼結体の作製及び該焼結体の特性
以下に、上記(A)で得られた粒子を用いて焼結体を作製し、焼結性の評価及び電気特性について解析した。
尚、電気特性測定用の焼結体作製には、最も球状に近く、分散性に優れた微粒子の得られる条件で合成したPZT球状微粒子を用いた。具体的な合成条件として、フラックスの種類、濃度、およびPbO過剰添加量については図3に示すものと同様である。加熱温度は800℃とした。
上記(A)で得られた粒子を、金型にて直径約15mm、厚さ約1mmの円盤状に98MPaで一軸加圧成形した。成形補助剤として、3%PVA水溶液を少量添加した。得られた成形体を空気中、電気炉にて600℃で1時間の脱脂をおこなった後、白金箔を敷いたMgOのルツボに置き、電気炉にて空気中1200℃〜1300℃で1時間の焼結を行って焼結体を得た。
〔焼結性の評価〕
焼結体のかさ密度は、水を用いたアルキメデス法で測定し、理論密度(8g/cm)に対する相対密度で表した。
〔電気測定〕
焼結体の表面に銀ペーストを塗布、600℃で焼き付けて電極を形成した。試料の分極処理は、80℃に加熱したシリコンオイル中で、3kV/mmの直流電界を30分間印加して行った。
試料の電気機械結合係数(Kp)は、インピーダンスアナライザーを用いて共振−反共振法によって測定した。
また、上記と同じ装置を用いて、1kHzにおける誘電率を測定した。
圧電ひずみ定数(d33)は、d33メータを用いて測定した。
〔結果及び考察〕
図7に、焼結体密度と焼結温度の関係を示す。上記(A)で得られた粒子の焼結性については、相対密度が96.1%(1200℃焼結の場合)、97.6%(1300℃焼結の場合)までち密化し、易焼結性を有することがわかった。
表1に代表的な電気特性に関して測定した結果を示す。尚、表1においては、実用性の指標として、非特許文献2(”Ferroelectric Materials and Their Applications”, Yuhuan Xu, North-Holland, Elsevier Science Publishers B.V., 1991, pp.131)及び非特許文献3(セラミック誘電体工学、岡崎清、学献社、第3版、1983、pp.334)に記載された焼結体の特性値を、文献値として併せて示している。
圧電性の最も重要な指標である電気機械結合係数(Kp)の値は、焼結温度の高いほど増加する傾向があったが、全体に文献値と同程度の値を得ることができた。また、圧電ひずみ定数(d33)については、焼結温度の増加と伴に大きくなり、文献値より優れた特性値の得られることがわかった。また、誘電率については文献値とほぼ同等であった。
ここで、非特許文献2及び3の焼結体は、固相反応法という方法で製造された圧電体粒子を用いて、普通焼結という、基本的には本実施例でおこなった焼結方法と同様な方法で焼結させたものである。固相反応法とは、工業的にも最も代表的なセラミックス原料粉末の製造法である。出発原料として酸化物や、炭酸塩の原料粉末を用い、これらを所定割合秤量後、ボールミルなどを用い、機械的な方法で十分混合後、700℃〜1000℃程度の温度範囲で仮焼を行う。ここで、一旦、目的のPZT結晶相を生成させた後、再びボールミルなどを用いて機械的な粉砕を行う。このように原料粉末の粒子を作製するプロセスが、煩雑であることに加えて、一般的にはこのような固相反応法では粒径が1μm以下のものは作製困難であり、凝集や、組成分布が大きいなど、問題の生じることも知られている。
これに対して、本発明は、固相反応法と比較して、PbO過剰添加の効果、及びフラックスの種類や、配合割合、加熱条件など、様々な因子を最適化した溶融塩法という方法によって、粒径0.05〜3μm程度の球状の微粒子を直接合成できるという利点があり、且つ、その合成粒子をそのまま用いて成形、焼結し、1200℃という比較的低温度でも理論密度の96%以上までち密化でき、文献値と同程度の電気特性のものを簡易に作製することができる。尚、文献値のものは焼結温度1280〜1290℃であった。
本発明に係る製造方法によれば、リサイクル性、量産性に優れる溶融塩法を用いて球状の圧電体微粒子を製造することができる。
従って、上記の製造方法によって製造された圧電体微粒子を、マイクロセンサーやマイクロアクチュエーターといったデバイスに好適に用いることができる。
本発明の方法により製造される圧電体微粒子について、PbOの添加量の違いによる粒子形状変化を検証したPZT球状微粒子のSEM像である。 本発明の方法により製造される圧電体微粒子について、PbClの添加量の違いによる粒子形状変化を検証したPZT球状微粒子のSEM像である。 本発明の方法により製造される圧電体微粒子について、加熱温度の違いによる粒子形状変化を検証したPZT球状微粒子のSEM像である。 本発明の方法により製造される圧電体微粒子について、加熱温度の違いによる粒子の結晶性の変化を検証したグラフである。 本発明の方法により製造される圧電体微粒子について、フラックスに対するPZT混合粉末濃度の違いによる粒子形状変化を検証したPZT球状微粒子のSEM像である。 本発明の方法により製造される圧電体微粒子について、フラックスに対するPZT混合粉末濃度の違いによる粒子の結晶性の変化を検証したグラフである。 本発明の方法により製造される圧電体微粒子の焼結温度と焼結密度との関係を示した図である。

Claims (5)

  1. 圧電体微粒子の主原料となる酸化物を、当該酸化物と溶融塩反応を起こす溶融無機塩類と混合して加熱することによって圧電体微粒子を製造する圧電体微粒子の製造方法であって、
    上記酸化物として、Pb(Zr,Ti1−x)O (Xは、0〜1を示す)を用いて、
    上記酸化物に対して3〜10質量%の酸化鉛(PbO)、上記溶融無機塩類、および上記溶融無機塩類に対して50〜75質量%の上記酸化物を混合し、この混合物を800℃以上の温度で加熱することを特徴とする製造方法。
  2. 上記酸化物及び上記酸化鉛とともに、上記酸化物に対して所定量の塩化鉛(PbCl)を混合することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記塩化鉛を、上記溶融無機塩類に対して、0を超えて、30質量%以下の範囲で用いることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 上記溶融無機塩類として、塩化カリウムとフッ化リチウムとの混合塩を用いることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 上記酸化鉛と上記酸化物とを混合した第1混合物と、上記溶融無機塩類と上記塩化鉛とを混合した第2混合物とを作成した後、当該第1混合物と第2混合物とを混合することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。

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