まず、本発明に係る後処理装置10を外観から説明する。図1は、本発明に係る後処理装置10の一実施形態を示す外観視の斜視図であり、図1(A)は、処理ユニット20が筐体11内に収納された状態、図1(B)は、処理ユニット20が筐体11から引き出された状態、図1(C)は、筐体11から引き出され処理ユニット20の迂回トレイ40が開放された状態をそれぞれ示している。なお、図1において、X−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
図1に示すように、後処理装置10は、外観視で箱形を呈した筐体11内に用紙Pに対し後処理を施す各種の後処理用の部材が装着されることによって構成されている。前記筐体11は、図略の底板の前縁部から立設された前板111と、底板の右縁部から立設された右側板部材112と、底板の後縁部から立設された図略の背面板と、底板の左縁部から立設された図略の左側板と、前板111、右側板部材112、左側板および背面板の上縁部を覆うように架設された天板部材113とを備えて直方体状に形成されている。
前記前板111は、底板からの高さ寸法が後処理装置10の高さ寸法の略1/3に設定され、この前板111の上部に用紙Pへステイプル処理や積載、整合、シフト等の処理を施す処理ユニット20を収納するための収納空間Vが設けられているとともに、この収納空間Vを閉止する前面ドアー121が設けられている。因みに図1(A)〜図1(C)では前面ドアー121が開放された状態を示している。
前記右側板部材112の上部には、画像形成装置19から送り込まれた用紙P(図2参照)を受入れるための用紙受入れ開口13が設けられ、この用紙受入れ開口13を介して後処理装置10内に導入された用紙Pに対し締結孔を穿孔する穿孔処理や、用紙束P1(図2参照)を締結するステイプル処理等が施される。
また、前記後処理装置10の左側面には、メイントレイ14が設けられているとともに、天板部材113の左側部にはサブトレイ15が設けられている。メイントレイ14は、ステイプル処理が施された用紙束P1(図2参照)を受けるためのものであり、所定の昇降手段の駆動で昇降可能に構成され、排出された用紙束P1の部数の増加に従って最上位の位置から順次下降される。これに対し、サブトレイ15は、後処理装置10で特に後処理を施されることなく排出される用紙や、締結孔のパンチング処理だけが施された用紙を受けるためのものである。
筐体11内の上部右側には、画像形成装置19から用紙受入れ開口13を通って筐体11内に送り込まれた直後の用紙Pに対して締結孔を穿孔するためのパンチユニット16が設けられているとともに、このパンチユニット16の左側には、各種のローラを支持する上方フレーム板114が収納空間Vの前面開口に臨んで設けられている。この上方フレーム板114の下方であって後処理装置10内の左側には、略三角形状を呈した三角フレーム板115が収納空間Vの前面開口に臨んで設けられている。この三角フレーム板115は、右縁部が後処理装置10内の左上から右方に向かって先下がりに傾斜して形成されている。
かかる上方フレーム板114の下方における三角フレーム板115の右方位置には、画像形成装置19から送り込まれた用紙Pの所定枚数を一時的に貯留した上で、形成された用紙束P1に対し締結針によるステイプル処理(第1処理)を施す処理ユニット20が設けられているとともに、この処理ユニット20の下方位置には、ステイプル処理が施されることなく処理ユニット20を通過した用紙Pの用紙束P1に対して、その搬送方向の中央位置にステイプル処理を施した上で中央位置を境にして折り畳む、いわゆる中折り処理(第2処理)用の中折りユニット17が設けられている。
前記処理ユニット20は、前記三角フレーム板115の直右側で斜めに配設されたステイプルトレイ30と、このステイプルトレイ30の右側の斜めの面に沿うように当該ステイプルトレイ30に対し回動可能に付設された迂回トレイ40とを備えている。
前記ステイプルトレイ30は、前後方向一対の第1フレーム板31と、これら一対の第1フレーム板31間に斜めに架設された中間トレイ本体(処理トレイ)32(図2参照)とを備えている。一方、前記迂回トレイ40は、前後方向一対の第2フレーム板41と、これら一対の第2フレーム板41間に中間トレイ本体32と平行に架設された迂回トレイ本体42(図2参照)とを備えている。
前記ステイプルトレイ30の右側下部適所には、一対の第1フレーム板31間に架設された連結軸33が設けられ、前記迂回トレイ40は、一対の第2フレーム板41の下端部がこの連結軸33に貫通連結されることにより、連結軸33回りに正逆回動可能とされている。かかる迂回トレイ本体42は、中間トレイ本体32を閉止した図1(B)に示す閉止姿勢S1と、中間トレイ本体32を開放した図1(C)に示す開放姿勢S2との間で姿勢変更可能になっている。
前記中間トレイ本体32と迂回トレイ本体42との間には、用紙Pを貯留するための所定隙間寸法を備えた後処理空間V1が形成され、所定枚数の用紙Pがこの後処理空間V1内に順次送り込まれることにより形成した用紙束P1(図2参照)に対してステイプル処理が施される。
そして、処理ユニット20の後処理空間V1で紙詰りが発生したときには、処理ユニット20が後処理装置10の収納空間Vから引き出され(図1(B))、この状態で迂回トレイ40は、オペレータの手作業で閉止姿勢S1(図1(B))から開放姿勢S2(図1(C))へ姿勢変更され、これによって詰った用紙Pが外部に露出した状態になる。これにより当該詰った用紙Pを容易に取り除くことができる。
本実施形態においては、処理ユニット20は、ステイプルトレイ30の上下方向中央部より若干下部に設けられた左右一対のガイド部材34に案内されることにより、後処理装置10の収納空間Vに対して挿脱される。前記ガイド部材34は、筐体11の右側板部材112および左側板部材の内面側に前後方向へ向けて延びるように固定された定置レール341と、この定置レール341と対向するようにステイプルトレイ30側に固定された可動レール342と、これら定置レール341および可動レール342間に介設されたリテーナー343とを備えている。
かかるガイド部材34によれば、ステイプルトレイ30を後処理装置10の収納空間Vに対して挿脱することにより、可動レール342が定置レール341および可動レール342間で移動するリテーナー343を介して定置レール341にガイドされつつ正逆移動し、これによってステイプルトレイ30を収納空間Vから円滑に引き出したり、収納空間Vへ向けて円滑に収納したりすることができる。
そして、前方の第1フレーム板31の適所には、合成樹脂シート等の可撓性材料からなる把手バンド311が設けられ、この把手バンド311を把持して手前に引くことにより、収納空間Vに収納されていた処理ユニット20(図1(A))を外部に引き出すことができる(図1(B))。
ついで、後処理装置10の内部構造について図2を基に説明する。図2は、本発明に係る後処理装置10の内部構造の一実施形態を示す正面断面視の説明図である。なお、図2におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方)である。図2に示すように、後処理装置10内には、画像形成装置19から送り込まれた用紙Pを、その目的に応じて各所へ搬送する用紙搬送路Rが形成されている。
この用紙搬送路Rは、入口側搬送路R1、サブトレイ向け搬送路R2、処理トレイ向け搬送路R3、メイントレイ向け搬送路R4、ステイプルトレイ向け搬送路R5、迂回トレイ向け搬送路R6(迂回搬送路)および中折りユニット向け搬送路R7(迂回搬送路)からなっている。
前記入口側搬送路R1は、後処理装置10の用紙受入れ開口13から左方に向けて後処理装置10の左右方向の略中央位置まで延びるように設けられている。
前記サブトレイ向け搬送路R2は、前記入口側搬送路R1の下流端から分岐してサブトレイ15へ向けて延びるように設けられている。
前記処理トレイ向け搬送路R3は、前記入口側搬送路R1の下流端から分岐して処理ユニット20の後処理空間V1へ向けて延びるように設けられている。
前記メイントレイ向け搬送路R4は、前記後処理空間V1の上端からメイントレイ14へ向けて延びるように設けられている。
前記ステイプルトレイ向け搬送路R5は、前記処理トレイ向け搬送路R3の下流端から左方へ分岐してステイプルトレイ30へ向かうように設けられている。
前記迂回トレイ向け搬送路R6は、前記処理トレイ向け搬送路R3の下流端から分岐して右方へ向かうように設けられている。
前記中折りユニット向け搬送路R7は、迂回トレイ40内を通過して中折りユニット17へ向かうように設けられている。
前記パンチユニット16は、入口側搬送路R1の上方位置に設けられている。用紙受入れ開口13を介して入口側搬送路R1へ導入された用紙Pは、一時停止された状態でパンチユニット16の駆動によるパンチング処理で適所に締結孔が穿設される。
前記入口側搬送路R1の下流端には、用紙Pの搬送先をサブトレイ向け搬送路R2と処理トレイ向け搬送路R3との間で切り換える切換えガイド18が設けられ、用紙Pにステイプル等の処理を施さないときには、この切換えガイド18の所定の姿勢設定によって用紙Pは、サブトレイ向け搬送路R2を介してサブトレイ15へ排出される。一方、用紙Pにステイプル等の処理を施すときには、切換えガイド18の姿勢変更によって用紙Pは処理トレイ向け搬送路R3を介して処理ユニット20へ送り込まれ、所定の枚数の用紙Pが後処理空間V1に貯留されて用紙束P1が形成された状態で当該用紙束P1にステイプル処理が施される。ステイプル処理後の用紙束P1は、メイントレイ向け搬送路R4を介してメイントレイ14へ向けて排出される。
前記中折りユニット向け搬送路R7は、迂回トレイ40の上下方向の略中間位置から下方に向かって延設され、中折り処理用の用紙Pが迂回トレイ本体42上を通過した後、当該中折りユニット向け搬送路R7を通って中折りユニット17へ導入されるようになっている。かかる中折りユニット向け搬送路R7は、その下部が処理ユニット20の下端から左方に向かって先下がりに形成され中折りユニット17へ向かっている。
用紙Pが順次中折りユニット17へ導入されることにより形成された用紙束P1は、当該中折りユニット17で所定の中折り処理が施された後、筐体11の左方下端部に形成された中折りトレイ171へ向けて排出される。
以下、処理ユニット20の構造の概要について図3を基に、必要に応じて図1および図2を参照しながら説明する。図3は、処理ユニット20を説明するための図2の該当部分の拡大図である。また、図4および図5は、ステイプルトレイ30の一実施形態を示す斜視図であり、図4は、ステイプルトレイ30を表面側から見た図、図5は、ステイプルトレイ30を背面側(用紙載置面の反対側の面)から見た図である。なお、図3〜図5におけるXおよびYによる方向表示は図2の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
図3〜図5に示すように、処理ユニット20の構成要素であるステイプルトレイ30の下部の所定位置に対応した部分における中間トレイ本体32の裏面側には、ベルト用モータ35がその駆動軸351を前後方向に向けた状態で配設されている。かかるベルト用モータ35の駆動軸351の駆動回転は、連結ベルト351aを介して中間トレイ本体32の下部の所定位置に設けられた駆動ローラ352(第2ローラ)に伝達される。
前記駆動ローラ352と同心で一体回転するローラ軸352bには、図4および図5に示すように、その前端に操作ハンドル352cが設けられている。この操作ハンドル352cは、例えば、処理ユニット20内で紙詰りが生じたとき、当該処理ユニット20が筐体11から引き出され(図1(B)、図1(C)参照)、この状態で手操作により回動されるものである。こうすることによるローラ軸352bの軸心回りの回転で後述する昇降用無端ベルト36が駆動ローラ352を介して周回し、これによって詰まっている用紙Pが移動され、この移動が紙詰りの解消に寄与する。
また、前記駆動ローラ352の近傍には、昇降用無端ベルト36に設けられた後述の用紙受け部材(支持部材)37を検出するためのセンサ352dが設けられ、このセンサ352dにより用紙受け部材37がホームポジションに位置していることが検出される。
前記中間トレイ本体32の上端位置および中間トレイ本体32の背面側(用紙載置面(第1面)の反対側の面(第2面))の適所には、従動軸が一対の第1フレーム板31間に架設された状態の複数の従動ローラ353が設けられ、前記駆動ローラ352および各従動ローラ353に昇降用無端ベルト36が掛け回されている。
前記従動ローラ353としては、中間トレイ本体32の上部側に対応して設けられた上部従動ローラ353a(第1ローラ)と、背面側で中間トレイ本体32の下部であって、駆動ローラ352より若干上方位置に設けられた下部従動ローラ353b(第3ローラ)と、これら上下の従動ローラ353a,353bの中間位置に設けられた中間従動ローラ353cとが採用されている。
前記上部従動ローラ353aは、一対の第1フレーム板31間に架設された上部シャフト353d回りに相対回転可能に軸支されている。また、前記下部従動ローラ353bは、同下部シャフト353e回りに相対回転可能に軸支されている。さらに、前記中間従動ローラ353cは、同中間シャフト353f回りに相対回転可能に軸支されている。
そして、前記昇降用無端ベルト36には一対の用紙受け部材37(第1支持部材及び第2支持部材)が設けられている。この用紙受け部材37は、画像形成装置19から順次送り込まれてくる用紙Pを受けて1ジョブ当たりの用紙束P1を中間トレイ本体32上に形成させるためのものである。
かかる各用紙受け部材37は、昇降用無端ベルト36に密着固定された平板部371と、この平板部371の先端に形成された用紙Pを受けるための外れ止め形状を有するフック部372とを備えている。前記フック部372は、昇降用無端ベルト36が前方から見て反時計方向に周回する場合の周回方向に向けて開いている。従って、図2に示すように、用紙受け部材37が中間トレイ本体32の表面側(右側)に位置した状態で、中間トレイ本体32に供給された用紙Pは、フック部372の開口が上を向いた状態の用紙受け部材37により受けられて外れ止めされる。
このような一対の用紙受け部材37は、ホームポジションに位置した状態で、図3に示すように、上部のものが前記上部従動ローラ353aの近傍における中間トレイ本体32の背面側(左側)に位置するとともに、下部のものが駆動ローラ352の近傍における中間トレイ本体32の背面側に位置し得るように相対的な設置位置が設定されている。
従って、各用紙受け部材37がホームポジションに位置した状態を起点として、昇降用無端ベルト36が反時計方向に周回すると、下方の用紙受け部材37は直ちに中間トレイ本体32上へ移動することができる。
また、各用紙受け部材37がホームポジションに位置した状態を起点として、昇降用無端ベルト36が時計方向に周回すると、上方の用紙受け部材37は直ちに中間トレイ本体32上へ移動することができる。
このように、上下の用紙受け部材37は、用紙Pのサイズに応じて上下のもののいずれか一方が速やかに中間トレイ本体32の表面側へ移動することができるため、当該用紙受け部材37を画像形成装置19から送られてくる次のジョブの用紙Pを、そのサイズに応じて直ちに受け得る態勢にすることができる。
前記中間トレイ本体32の下端部に対向した位置には、用紙束P1にステイプル処理を施すためのステイプラー38が設けられている。このステイプラー38は、昇降用無端ベルト36の周回により用紙受け部材37に支持された用紙束P1が中間トレイ本体32の下端部に位置した状態で、当該用紙束P1の縁部に対してステイプル処理を施すものである。
そして、本発明においては、図3に示すように、前記2つの用紙受け部材37がそれぞれ上部従動ローラ353aおよび駆動ローラ352の近傍における背面側(用紙載置面の反対側の面)に位置した状態で、これら一対の用紙受け部材37間の直線距離L1は、当該処理ユニット20が処理し得る最大サイズ(本実施形態ではA3サイズ)の用紙Pの用紙長L2以下に設定されている。
こうすることにより2つの用紙受け部材37がそれぞれ上部従動ローラ353aおよび
駆動ローラ352の近傍における背面側(用紙載置面の反対側の面)に位置していることとも相俟って中間トレイ本体32の長さ寸法が無駄に長くなることがなく、その分後処理装置10のコンパクト化に貢献することができる。
因みに、本実施形態においては、中間トレイ本体32の背面側に下部従動ローラ353bおよび中間従動ローラ353cが設けられることにより、昇降用無端ベルト36は、中間トレイ本体32の背面側(左面側)の返りベルトの方が同表面側(右面側)の往きベルトより長尺になっており、これによって昇降用無端ベルト36における当該昇降用無端ベルト36を二分する各中間位置にそれぞれ設けた状態で、2つの用紙受け部材37を同時に中間トレイ本体32の背面側に位置させることができ好都合である。また、2つの用紙受け部材37をそれぞれ中間トレイ本体32の背面側に位置し得るようにすることで、当該用紙受け部材37の形状が多少大きくなっても中間トレイ本体32の用紙載置面(右面)側に出ないという利点がある。
前記迂回トレイ40は、迂回トレイ本体42、カバープレート43、分岐ガイド44、叩き部材45、バルブローラ対46、第2切換えガイド47および第3切換えガイド48を備えている。
前記迂回トレイ本体42は、迂回トレイ40が閉止姿勢S1に姿勢設定された状態(図1(B)参照)で前記中間トレイ本体32との間に後処理空間V1を形成させるべく当該中間トレイ本体32と対向状態で一対の第2フレーム板41間に架設されている。
前記カバープレート43は、前記迂回トレイ本体42の右面側と対向するように一対の第2フレーム板41間に架設されている。
前記分岐ガイド44は、前記カバープレート43の上端の若干上方位置に上方に設けられた処理トレイ向け搬送路R3からの用紙Pをステイプルトレイ30の後処理空間V1および迂回トレイ40の退避空間V2間で振り分けるものである。
かかる分岐ガイド44は、ステイプルトレイ向け搬送路R5と迂回トレイ向け搬送路R6との間に設けられ所定の軸回りの正逆回動で処理トレイ向け搬送路R3から送り込まれた用紙Pを後処理空間V1へ向かわせたり、退避空間V2へ向かわせたりする。図3では、分岐ガイド44が右に傾倒されて用紙Pを後処理空間V1へ導く状態を実線で示し、分岐ガイド44が左に傾倒されて退避空間V2へ導く状態を二点鎖線で示している。
前記叩き部材45は、カバープレート43の上端位置近傍に設けられて入口側搬送路R1からの用紙Pを分岐ガイド44へ向けて叩き、これによって用紙Pを分岐ガイド44に沿わせるようにしたものである。
前記バルブローラ対46は、入口側搬送路R1から退避空間V2へ送り込まれた用紙Pを一時的に貯留させる一方、駆動することにより用紙Pを下方へ向けて搬送するものである。
前記第2切換えガイド47は、前記バルブローラ対46の直下位置に設けられ、迂回トレイ40へ導入された用紙Pの搬送先をステイプルトレイ30の後処理空間V1と中折りユニット向け搬送路R7との間で切り換えるものである。
前記第3切換えガイド48は、大サイズ(例えばA3サイズ)の用紙Pが後処理空間V1に導入されたとき、図3に実線で示すように左に傾倒されて当該大サイズの用紙Pを押さえる一方、小サイズ(例えばA4サイズ)の用紙Pが退避空間V2を介して後処理空間V1へ導入されるに際し、図3に二点鎖線で示すように右に傾倒されるものである。
前記迂回トレイ本体42は、下端部が中間トレイ本体32の上下方向の略中央部に位置するように短めに長さ設定されているのに対し、前記カバープレート43は、下端部が連結軸33の若干上方位置に位置するように長尺に寸法設定され、これによってバルブローラ対46の駆動で退避空間V2から下方へ送られた用紙Pがカバープレート43の下部に案内されて用紙受け部材37に確実に受けられるようになっている。
一方、前記入口側搬送路R1の上流端には、図2に示すように、用紙受入れ開口13からの用紙Pを受け入れる受入れローラ対131が設けられているとともに、同下流端には、用紙Pを下流側へ払い出す払出しローラ対132が設けられている。払出しローラ対132によって払い出された用紙Pは、設定された切換えガイド18の姿勢に応じてサブトレイ向け搬送路R2および処理トレイ向け搬送路R3のいずれかに向けて払い出される。
また、処理トレイ向け搬送路R3の下流端には、迂回トレイ本体42の上部に臨むように設けられて入口側搬送路R1からの用紙Pを処理ユニット20の上部へ導く導入ローラ対133が設けられている。
前記迂回トレイ本体42は、その上縁部が分岐ガイド44を介して前記導入ローラ対133の略直下位置に位置し、かつ、下縁部が中間トレイ本体32の上下方向の略中間に位置するように長さ設定されている。一方、前記カバープレート43は、上縁部が迂回トレイ本体42の上縁部と略同一の高さレベルに設定されているとともに、下縁部が迂回トレイ本体42の下縁部より下方に位置し、かつ、用紙Pを中間トレイ本体32上へ導き得るように寸法設定及び形状設定されている。
そして、前記バルブローラ対46より上方の迂回トレイ本体42およびカバープレート43間に、迂回させた用紙Pを一時的に退避させる退避空間V2が形成されている。
また、前記中折りユニット向け搬送路R7は、前記バルブローラ対46より下方位置におけるカバープレート43の裏面側に形成されている。
図6は、本実施形態に係る後処理装置10のステイプルトレイ30の作用を説明するための説明図である。なお、図6および図7におけるXによる方向表示は、図2の場合と同様である。
図6および図7は、ステイプルトレイ30の中間トレイ本体32上に形成された用紙束P1に対する用紙受け部材37の作用を説明するための説明図であり、図6は、用紙Pが小サイズ(本実施形態ではA4サイズ)のものである場合、図7は、用紙Pが大サイズ(本実施形態ではA3サイズ)のものである場合をそれぞれ示している。
なお、図6および図7において、(A)は、画像形成装置19から順次送られてくる用紙Pを用紙受け部材37で受けて中間トレイ本体32上に用紙束P1を形成させつつある状態、(B)は、中間トレイ本体32上に形成された用紙束P1に対してステイプル処理を施しつつある状態、(C)は、ステイプル処理後の用紙束P1を外部に排出しつつある状態をそれぞれ示している。因みに、図6および図7におけるXによる方向表示は、図2の場合と同様−X:左方、+X:右方)である。
まず、用紙Pが小サイズのものである場合には、図6(A)に示すように、分岐ガイド44が左方に傾倒されるとともに、一対の用紙受け部材37は、下部のものが駆動ローラ352の背面側に、同上部のものが上部従動ローラ353aの背面側にそれぞれ位置する、いわゆるホームポジションに位置設定される。
この状態で画像形成装置19からの用紙Pが入口側搬送路R1、処理トレイ向け搬送路R3および導入ローラ対133を介して処理ユニット20へ導入される。この処理ユニット20へ導入された用紙Pは、分岐ガイド44によって迂回トレイ40側へ搬入され、迂回トレイ本体42およびバルブローラ対46を通って中間トレイ本体32上へ供給されてステイプラー38の所定のアームに受けられる。
そして、画像形成装置19からの1ジョブの用紙Pの処理ユニット20への送り込みが完了すると、ステイプラー38の所定のアームには、図6(A)に示すように、所定枚数の用紙Pからなる用紙束P1が形成される。この状態で用紙束P1の先端側(下端側)にステイプラー38によるステイプル処理が施される。
そして、用紙束P1にステイプル処理が施された後、当該用紙束P1は、昇降用無端ベルト36の反時計方向へ向かう周回による下部の用紙受け部材37の中間トレイ本体32の表面側への回り込みによって、図6(B)に示すように、ステイプラー38のアームから用紙受け部材37へ受け変えられる。引き続き、昇降用無端ベルト36の反時計方向に向かう周回が継続されることにより、用紙受け部材37に支持された用紙束P1は、図6(C)に示すように、メイントレイ向け搬送路R4を介してメイントレイ14(図2)へ向けて排出される。
このとき、上方の用紙受け部材37は、昇降用無端ベルト36の周回で中間トレイ本体32の背面側で下降し、下方のホームポジションへ向かうことになる。従って、次のジョブの用紙Pを用紙受け部材37で受けるためには、この下方のホームポジションに位置した用紙受け部材37を対象として昇降用無端ベルト36の僅かな周回量で済ませることができ、後処理装置10の処理効率を向上させることができる。
ついで、用紙Pが大サイズのものである場合には、図7(A)に示すように、分岐ガイド44および第3切換えガイド48の双方が右方に傾倒される。
この状態で画像形成装置19からの用紙Pが入口側搬送路R1、処理トレイ向け搬送路R3および導入ローラ対133を介して処理ユニット20へ導入される。処理ユニット20へ導入された用紙Pは、分岐ガイド44によってステイプルトレイ30側へ搬入され、中間トレイ本体32上を降下してステイプラー38の所定のアームに受けられる。
そして、画像形成装置19からの1ジョブの用紙Pの処理ユニット20への送り込みが完了すると、中間トレイ本体32上には、図7(A)に示すように、ステイプラー38の所定のアームに支持された所定枚数の用紙Pからなる用紙束P1が形成される。この状態で用紙束P1の下端部にステイプル処理が施される。
そして、用紙束P1にステイプル処理が施された後、当該用紙束P1は、昇降用無端ベルト36の反時計方向へ向かう周回による下部の用紙受け部材37の中間トレイ本体32の表面側への回り込みによって、図7(B)に示すように、ステイプラー38のアームから用紙受け部材37へ受け変えられる。引き続き、昇降用無端ベルト36の反時計方向に向かう周回が継続されることにより、用紙受け部材37に支持された用紙束P1は、図7(C)に示すように、メイントレイ向け搬送路R4を介してメイントレイ14(図2)へ向けて排出される。
以上詳述したように、本発明に係る後処理装置10は、画像形成装置19から順次送り込まれた用紙Pが積層されてなる用紙束P1に対して所定の処理を施すものであり、画像形成装置19から順次送り込まれた用紙Pを受けて積層状態の用紙束P1にする中間トレイ本体32と、中間トレイ本体32を挟んだ状態で当該中間トレイ本体32の上下に配設された上部従動ローラ353aおよび駆動ローラ352間で周回する昇降用無端ベルト36とが備えられている。昇降用無端ベルト36には、中間トレイ本体32上の用紙束P1を支持する用紙受け部材37が設けられている。
そして、用紙受け部材37は、上下の上部従動ローラ353aおよび駆動ローラ352の近傍における中間トレイ本体32の背面側にそれぞれ位置し得るように少なくとも2つが設けられているため、画像形成装置19から順次送り込まれてくる用紙Pを一方の用紙受け部材37で受けて用紙束P1を形成させ、引き続き昇降用無端ベルト36の駆動周回で用紙束P1を最下位にまで下降させ、この状態で用紙束P1に所定の後処理を施した後に昇降用無端ベルト36を逆駆動することにより、ステイプル処理後の用紙束P1は中間トレイ本体32に沿って上昇され、外部に排出される。このとき、他方の用紙受け部材37は、中間トレイ本体32の背面側で下降して昇降用無端ベルト36の下部に位置した状態になるため、画像形成装置19から次のジョブの用紙Pが送り込まれてきたときに、短い距離の移動で当該次の用紙Pを受けるために対応することができ、これによって後処理装置の処理効率が向上する。
そして、用紙束P1に後処理を施すに際し、少なくとも2つの用紙受け部材37を上下のローラ353a,352の近傍における中間トレイ本体32の背面側にそれぞれ位置するため、上方に位置している用紙受け部材37が中間トレイ本体32の表面側に回り込み、これによって用紙束P1の上部を上方へ押し上げるような不都合が生じることはなく、用紙束P1を整合状態が乱されることなく後処理(ステイプル処理)に供することができる。
従って、他方の用紙受け部材37が用紙束P1の上端部を押し上げることを防止するべく、中間トレイ本体32の長さを長尺にする必要がなくなり、その分、後処理装置10の大型化を回避することが可能になり、結果として後処理装置10の装置コストの高騰を抑制することができる。
これに対し従来の一対の支持部材(例えば上記の特許文献1に記載の支持部材)は、無端ベルトに沿った両者間の距離が一方向側と他方向側とで略同一になるように無端ベルトに設けられていることにより、無端ベルトの周回で用紙束を支持した一方の支持部材が下降してステイプラーに到達し、支持している用紙束をステイプラーに受け渡した後にステイプル処理の邪魔にならないように処理トレイの背面側に回り込んだ状態では、他方の支持部材が処理トレイの表面から突出した状態になる。
そして、他方の支持部材が処理トレイの表面から突出すると、ステイプル処理のためにステイプラーに支持されている用紙束の上端を上方へ押し上げることになるため、用紙束の整合状態が崩されてしまうことがあり、満足な整合状態が得られないまま当該用紙束にステイプル処理が施されてしまうという不都合が生じる。
かかる不都合を解消するためには、処理トレイの長さ寸法を十分に長く設定し、これによって用紙束がステイプラーに支持された状態で、たとえ他方の支持部材が処理トレイの表面側に位置しても、用紙束の上端が当該他方の支持部材と干渉しないようにすることが考えられる。
しかしながら、このようにすると、処理トレイが長尺になった分、後処理装置を大きくしなければならず、装置コストが高騰するばかりか、装置のコンパクト化に逆行するという新たな問題点が提起される。
本発明に係る後処理装置10は、上述のように、このような問題点を解決し得るものである。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)図8は、後処理装置10のステイプルトレイ30′の第2実施形態を示す当該ステイプルトレイ30′を背面側から見た斜視図である。なお、図8におけるXおよびYによる方向表示は、図5の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
第2実施形態のステイプルトレイ30′においては、2本の昇降用無端ベルト(先の実施形態と同様の昇降用無端ベルト36および後隣でこの昇降用無端ベルト36と平行に配設された第2昇降用無端ベルト36′)が採用されている。
第2昇降用無端ベルト36′は、前記駆動軸351に同心で一体回転可能に外嵌された第2駆動ローラ352′と、前記上部シャフト353dに同心で相対回転可能に軸支された第2上部従動ローラ353a′と、前記下部シャフト353eに同心で相対回転可能に軸支された第2下部従動ローラ353b′と、前記中間シャフト353fに同心で相対回転可能に軸支された第2中間従動ローラ353c′とに掛け回されている。
前記昇降用無端ベルト36には、用紙受け部材37が1つだけ設けられている一方、前記第2昇降用無端ベルト36′には、前記用紙受け部材37と同様の第2用紙受け部材37′が設けられている。
そして、各用紙受け部材37,37′は、図8に示すようにホームポジションに位置設定された状態で、用紙受け部材37が中間トレイ本体32の背面側(左側)における上部従動ローラ353aの近傍に位置する一方、第2用紙受け部材37′は、中間トレイ本体32の背面側における第2駆動ローラ352′の近傍に位置するように、それぞれの設置位置が設定されている。
第2実施形態のステイプルトレイ30′によれば、先の実施形態の昇降用無端ベルト36に加えて第2昇降用無端ベルト36′が採用され、しかも昇降用無端ベルト36に設けられる1つの用紙受け部材37と、第2昇降用無端ベルト36′に設けられる第2用紙受け部材37′との位置関係は、先の実施形態における2つの用紙受け部材37と同一であるため、その作用効果は先の実施形態のものと同様である。
(2)図9は、後処理装置10のステイプルトレイ30″の第3実施形態を示す当該ステイプルトレイ30″を背面側から見た斜視図である。なお、図9におけるXおよびYによる方向表示は、図8の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
第3実施形態のステイプルトレイ30″は、第2実施形態のステイプルトレイ30′の変形例といえるものであり、第2実施形態の上部シャフト353dを軸心回りに駆動回転させる第2ベルト用モータ35′が設けられ、これによって第2昇降用無端ベルト36′が昇降用無端ベルト36とは独立した状態で周回し得るようになされている点が第2実施形態と相違している。
このようにするために、第3実施形態においては、第2実施形態の下部従動ローラ353bに対応するものが、下部シャフト353eと一体回転する第2駆動ローラ352′とされるとともに、第2実施形態の第2駆動ローラ352′に対応するものが、駆動軸351と相対回転する最下部従動ローラ353gとされている。そして、第2昇降用無端ベルト36′は、第2駆動ローラ352′、第2中間従動ローラ353c′、第2下部従動ローラ353b′および最下部従動ローラ353gに掛け回された状態で、第2ベルト用モータ35′の駆動により昇降用無端ベルト36とは独立して周回する。
第3実施形態のステイプルトレイ30によれば、2本の昇降用無端ベルト36,36′にそれぞれ設けられた各用紙受け部材37,37′は、いずれも他とは独立して位置設定することができるため、用紙Pを支持するための自由度が向上し、各種のサイズの用紙Pに対して最も短時間で対応させることが可能になり、さらに効率的な後処理を実行することができる。
(3)上記の実施形態においては、大サイズの用紙P(例えばA3サイズの用紙P)を後処理空間V1へ直接導入する一方、小サイズの用紙P(例えばA4サイズの用紙P)については、一旦迂回トレイ40内を通過させてから後処理空間V1へ導入するようになされているが、こうする代わりに全ての用紙Pを迂回トレイ40へ向かわせることなく後処理空間V1へ直接導入するようにしてもよい。
(4)上記の実施形態において、用紙受け部材37を用紙束P1の上縁部を押さえて整合する押さえ処理のために使用してもよい。この場合、用紙束P1がステイプル処理のためにステイプラー38に支持された状態(図7(B)参照)で昇降用無端ベルト36の時計方向に向かう回動で上方の用紙受け部材37を用紙束P1の上端部にまで移動させ、当該用紙受け部材37のフック部372で用紙束P1の上縁部が押さえられて整合処理が実行される。この整合処理後の用紙束P1にステイプル処理が施される。こうすることで、用紙束P1をさらに確実に整合することができる。