JP4918331B2 - 自動車のエアーバッグカバーおよびこのエアーバッグカバーに使用される皮革 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のエアーバッグカバーおよびこのエアーバッグカバーに使用される皮革に関する。
従来、皮革貼りエアーバッグカバー(エアーバッグカバー)として、厚さ方向の一方の面に幅を備えた溝(凹部)を具備したエアーバッグカバー本体(基材)と、厚さ方向の一方の面に幅を備えた溝(凹部)を具備し前記エアーバッグカバー本体の厚さ方向の他方の面に貼り付けられた皮革とを有するものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
なお、皮革貼りエアーバッグカバーでは、皮革の溝はエアーバッグカバー本体側に位置しており、自動車に皮革貼りエアーバッグカバーが設置された状態では、溝が設けられていない側の皮革の面が運転者側を向くようになっている。
そして、エアーバッグが作動するときには、前記エアーバッグカバー本体の溝と前記皮革の溝のところで、前記エアーバッグカバーが割れ、エアーバッグの緩衝体が膨らむようになっている。
特開平9―183373号公報
ところで、前記基材に接着剤を用いて皮革を貼り付けると、従来のエアーバッグカバーでは、前記皮革の溝の部分に前記接着剤が入り込み、皮革の溝のところでかえって強度が高まり、エアーバッグが作動しないおそれがあるという問題がある。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、エアーバッグの作動不良を防止することができるエアーバッグカバーおよびこのエアーバッグカバーに使用される皮革を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、皮革本体と、前記皮革本体の一方の面に設けられた溝と、前記溝から前記皮革本体へ接着剤が浸透しないように前記溝を覆うように設けられたマスキング部材とを有する皮革である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の皮革において、前記溝は、スリット状に形成されており、前記マスキング部材は、所定の幅を備えた帯状の部材であって引っ張り強度が前記皮革本体よりも小さい部材と、この部材の厚さ方向の一方の面に設けられた粘着剤とによって構成されており、前記溝を蓋するようにして、前記帯状の部材が前記皮革本体の前記一方の面に前記粘着剤を介して一体的に設けられており、または、前記マスキング部材は、前記皮革本体に浸透し、他の接着剤を前記皮革本体に浸透させない接着剤で構成されており、前記溝の近傍の部位の前記皮革本体に浸透しかつ前記溝が存在するようにして前記皮革本体に設けられており、または、前記マスキング部材は、前記皮革本体に浸透せずかつ硬化したときの引っ張り強度が皮革本体よりも小さい接着剤もしくはコーキング剤で構成されており、前記溝に蓋をするようにして前記接着剤もしくは前記コーキング剤が前記皮革本体の前記一方の面に一体的に設けられている皮革である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の皮革において、前記溝が設けられている部位における前記皮革本体のみの引っ張り強度が、前記溝が設けられていない部位における前記皮革本体のみの引っ張り強度の10%〜60%の範囲内になるように、前記溝が設けられている皮革である。
請求項4に記載の発明は、厚さ方向の一方の面に溝が延びて形成されている板状の基材と、請求項1または請求項2に記載の皮革とを有し、前記皮革の厚さ方向から眺めた場合前記基材の溝と前記皮革の溝とが互いに重なるようにして、また、前記溝が設けられている前記皮革の厚さ方向の面が前記基材の厚さ方向の他方の面に対向するようにして、前記基材の厚さ方向の他方の面に前記皮革が接着剤を介して設けられている自動車のエアーバッグカバーである。
本発明によれば、エアーバッグの作動不良を防止することができるエアーバッグカバーおよびこのエアーバッグカバーに使用される皮革を提供することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施形態に係る自動車のエアーバッグカバー1の概略構成を示す図であり、図2は、図1におけるII−II断面を示す図であり、図3は、図1におけるIII−III断面(溝9に沿った断面)を示す図である。
自動車のエアーバッグカバー1として、ホーンパッド3を例に掲げて説明する。ホーンパッド3は、自動車のステアリングホイールの中央部に設けられており、図1に示すホーンパッド3の奥(図1の紙面の奥側)には、エアーバッグのユニットが設けられている。
ホーンパッド3は、基材5とこの基材5に接着剤6を用いて貼り付けられた皮革7とを備えて構成されている。基材5は平ではない板状に形成されており、基材5の厚さ方向の一方の面(自動車の運転者とは反対側に位置する面;図1の奥側に位置する面)5Aには、たとえば「V」字状の溝9が延びて形成されている。なお、溝9を、基材5の厚さ方向の一方の面に代えてまたは加えて、基材5の厚さ方向の他方の面に設けてもよい。また、溝を、基材5の厚さ方向の両方の面に設けた構成では、基材5の厚さ方向から眺めると、基材5の厚さ方向の他方の面に設けた溝は、基材5の厚さ方向の一方の面5Aに設けた溝と重なるようになっている。
皮革7は、板状の皮革本体11と、皮革本体11の厚さ方向の一方の面(たとえば床面;詳しくは後述)11Aに延びて設けられた溝13と、溝13およびこの近傍を覆うように設けられたマスキング部材15とを備えて構成されている。
より詳しく説明すると、皮革7の厚さ方向から眺めた場合、基材5の溝9と皮革7の溝13とが互いにほぼ重なるようにして、また、溝13が設けられている皮革7(皮革本体11)の厚さ方向の面11Aが基材5の厚さ方向の他方の面5Bに対向するようにして、マスキング部材15を残したまま、基材5の厚さ方向の他方の面5Bに皮革7が接着剤6を介して設けられている。
皮革7の溝13は、幅をほとんど有しないスリット状に形成されている。すなわち、たとえば、幅の狭い鋭利な刃物を用い切削屑がほとんど発生しないように切られて形成されている。
マスキング部材15は、所定の幅を備えた薄い帯状の部材であって機械的強度(たとえば引っ張り強度)が皮革本体11よりも小さい部材(たとえば不織布)17と、この部材17の厚さ方向の一方の面に設けられた粘着剤19とによって構成されている。なお、マスキング部材15として、たとえば、株式会社ニトムズの一般用マスキングテープ(和紙とゴム用接着剤とで構成)、粗面用マスキングテープ(クレープ紙とゴム用接着剤とで構成)等のマスキングテープを採用することができる。そして、溝13の幅方向と帯状の部材17の幅方向とが互いにほぼ一致し、溝13の長手方向と帯状の部材17の長手方向とが互いにほぼ一致し、また、溝13を蓋するようにして、帯状の部材17が皮革本体11の一方の面11Aに粘着剤19を介して一体的に設けられている。
また、図3に示すように、皮革7の溝13は、この深さが溝13の長手方向で変化している。すなわち、たとえば、溝13が枝分かれしている部位に向かうにしたがって徐々に深くなっている。溝13の深さをこのように変えることで、溝13の深いところで応力集中が発生し、エアーバッグが作動するときに皮革7が破れやすくなっている。なお、図3に破線L1で示すように、溝13の深さを局部的に深くしてもよいし、局部的に深い箇所を複数繰り返して形成してもよし、また、溝13の深さをほぼ一定にしてもよい。さらには、溝13を連続的に形成するのではなく、断続的に形成してあってもよい。
ホーンパッド3によれば、皮革7の溝13がマスキング部材15で覆われているので、皮革7を基材5に貼り付ける際に使用される接着剤6が皮革7の溝13に入り込むことがない。したがって、皮革7の溝13の部位の強度が皮革7の他の部位の強度よりも小さくなっており、エアーバッグの膨張体が膨らむ際に、ホーンパッド3が基材5の溝9や皮革7の溝13の部位で割れやすくなっており、エアーバッグの作動不良を防止することができる。
なお、皮革7を基材5に貼り付ける際に使用される接着剤6が皮革7の溝13に入り込むと、皮革7表面7Aがこの溝13のところで図2の上方向に盛り上がりまたは図2の下方向に凹む場合があり、ホーンパッド3の表面(皮革7の表面7A;通常は銀面;詳しくは後述)に皮革7の溝13に沿った盛り上がりや凹みが発生し、ホーンパッド3の見栄えが悪化するおそれがある。
しかし、ホーンパッド3によれば、皮革7の溝13がマスキング部材15で覆われているので、皮革7を基材5に貼り付ける際に使用される接着剤6が皮革7の溝13に入り込むことがなく、ホーンパッド3の見栄えが悪化するおそれを回避することができる。
ここで、皮革の銀面、床面について説明する。皮革としてたとえば牛皮を考えた場合、銀面とは牛の表皮面に相当する面をいい、床面とは、牛の肉側の面をいう。また、皮革を構成している繊維成分は、銀面側では密になっており、床面側では粗くなっている。したがって、前記銀面側では、引っ張り強度等の機械的強度が高く、前記床面側では、機械的強度が低くなっている。なお、皮革として合成皮革を採用してもよい。
また、ホーンパッド3によれば、皮革7の溝13をスリット状に形成したことにより、皮革本体11にマスキング部材15を設置しやすくなっていると共に、溝13のところで皮革7に応力集中が発生しやすくなっており、エアーバッグの作動不良を一層確実に防止することができる。
さらに、ホーンパッド3によれば、マスキング部材15を不織布17と粘着剤19とで構成してあるので、マスキング部材15として、市販の不織布の粘着テープを使用することができ、また、マスキング後直ちに、接着剤6を用いて皮革7を基材5に接着することができる。
ところで、マスキング部材15として、図4(マスキング部材15の変形例を示す図であり、図2に対応する図)に示すように、皮革本体11に浸透しやすくかつ接着強度が小さくかつ他の接着剤(たとえば、皮革本体を基材に貼り付ける際に使用する接着剤6)が浸透しにくい接着剤21を採用してもよい。
接着剤21は、溝13の近傍の部位の皮革本体11に浸透しかつ溝13が存在するようにして(溝13が開くようにして)溝13に沿って皮革本体11に設けられている。なお、マスキング部材15として、たとえば、セメダイン株式会社のバスコークN白色、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、株式会社コニシのボンドビニル用♯11023等を採用することができる。
このように、マスキング部材15を浸透性の接着剤21で構成すれば、皮革7を基材5に貼り付けた際に、皮革7の表面7Aに盛り上がりが発生するおそれを一層回避することができると共に、皮革7の溝13が複雑に曲がっている場合であっても、容易にマスキングをすることができる。
また、マスキング部材15として、図5(マスキング部材15の変形例を示す図であり、図2に対応する図)に示すように、皮革本体11に浸透しにくくかつ硬化したときの機械的強度(たとえば引っ張り強度)が皮革本体11よりも小さい接着剤(たとえばシリコン系接着剤)23もしくはコーキング剤25を採用してもよい。接着剤23やコーキング剤25は、他の接着剤(たとえば、皮革7を基材5に貼り付ける際に使用する接着剤6)が浸透しにくい接着剤である。なお、接着剤23やコーキング剤25として、ヘンケルジャパン株式会社の布ッチクリア、株式会社コニシのボンド木工用、パワーエース株式会社のパワーボンド速乾アクリア、株式会社アサヒペンのワンタッチあく止め障子糊、株式会社プライムのタッチボンド、株式会社トンボ鉛筆のPIT強力スチックのり、ぺんてる株式会社のE・Glueハケ式液状のり、プラス株式会社のWHIPER PUSH−PULL等を採用することができる。
接着剤23やコーキング剤25は、溝13に蓋をするようにしてかつ溝13が存在するようにして、ヘラ塗布等によって、皮革本体11の一方の面11Aに一体的に設けられている。
このように、マスキング部材15を浸透性の接着剤23やコーキング剤25で構成すれば、皮革7の溝13が複雑に曲がっている場合であっても、容易にマスキングをすることができると共に、マスキング部材15を浸透性の接着剤で構成した場合に比べて、マスキング部材15が早く乾き、ホーンパッド3の製造時に皮革7を基材5に早く設置することができる。
なお、図6(皮革7の溝13の変形例を示す図)に示すように、皮革7の溝13を、基材5の溝9と同様に「V」字状に形成してもよい。
また、図7(ホーンパッド3の変形例を示す図)や図8(図7におけるVIII−VIII断面を示す図)に示すように、基材5の溝9を図1等に示すホーンパッド3と同様に残し、皮革7の溝13を部分的に(たとえば、溝13が枝分かれしている部位の近傍にだけ)設けてもよい。この場合、皮革7の各溝13の端部を延長すれば他の溝13の端部にたどりつくようになっていることが望ましい。なお、図8では、マスキング部材15が、溝13が設けられていない箇所にも設けられているが、溝13が設けられている箇所にのみマスキング部材15を設けた構成であってもよい。
ここで、図10〜図13を参照しつつ、皮革本体11の構成と製造方法について説明する。
図10は、本実施の形態に係る皮革本体11の概略構成の一例を示した側断面図である。
図10において、皮革本体11は、皮革素材52と、ベースコート53、カラーコート54、及びトップコート55からなる3層の塗装膜と、異物付着防止膜56とを有している。
皮革素材52は、例えば牛革を用いたものであり、脱毛処理や鞣し処理などが施されている。ベースコート53は、下地塗料として例えばアクリルとウレタンの混合液などの水性エマルション塗料を、皮革素材52の銀面52a(表皮面)上にスプレー塗布することにより形成される最下層の塗装膜である。このベースコート53は、銀面52aとカラーコート54との接着性を向上させるとともに、カラーコート54を均一に塗布させるための面作りを行うことを主目的として形成される。
カラーコート54は、下地塗料として例えば水性エマルション塗料を、ベースコート53の表面上にスプレー塗布することにより形成される中間層の塗装膜である。このカラーコート54は、皮革本体11を加工して製造される皮革製品で要求される色を皮革素材52を塗装するとともに、塗装膜全体の強度を向上させることを目的として形成される。
トップコート55は、2液反応型の水性エマルション塗料を、カラーコート54の表面上にスプレー塗布することにより形成される最表層の塗装膜である。このトップコート55は、皮革素材52やカラーコート54の保護および上記皮革製品に要求される各種要求性能を皮革本体11に付与することを主目的として形成される。
なお、皮革素材52の厚さt1は、0.7mm〜1.3mmであるが、ベースコート53とカラーコート54とトップコート55との合計の厚さt3は、30μm〜60μm程度であり、異物付着防止膜56の厚さt5はさらに薄くなっている。また、皮革本体11は、異物付着防止膜56が基材5側になるようにして設置される。したがって溝13は、異物付着防止膜56側に形成されることになる。さらに、3層の塗装膜の場合を実施の形態として説明したが、ベースコート53若しくはカラーコート54のいずれか一方の塗装を行わず、他方の塗装を行った後にトップコート55の塗装を行う場合もある。
異物付着防止膜56は、皮革素材52の床面(肉面)側の表面52b上に、例えば所望の樹脂をスプレー塗布することにより形成される膜である。この異物付着防止膜56により、皮革素材52の表面52bの毛羽立ちを防止すると共に、皮革素材52同士を重ねたときなどに塗装面(塗装膜)に異物が付着することを防止することができ、実使用に際しても毛羽の飛散を防止する。
次に、図11〜図13を参照しながら、皮革本体11の製造方法の一例について説明する。
図11は、皮革本体11の製造方法の一例を説明するフローチャートである。また、図12及び図13は、皮革本体11の製造方法の一例を工程順に示した断面図である。
最初のステップS1において、塩漬けされた原皮を出庫し、上記出庫した原皮に付着している塩、汚物、及び可溶性タンパク質を除去するなどして、上記原皮を生皮57の状態に戻すとともに、生皮57に付着している油脂分や肉片などを除去する前処理を行う(図12(a))。
次に、ステップS2において、消石灰、硫化物に生皮57を浸漬させて生皮57に生えている毛58を溶解して脱毛する(図12(b))。
ステップS3において、銀面52aからの厚さが所望の値になるように、上記脱毛した生皮57を漉き加工により分割する。そして、分割した生皮のうち、銀面52aを含むものが本実施の形態の皮革本体11に使用される皮革素材52用の皮となる(図12(c))。皮に付着している石灰分の除去をする。
ステップS4において、皮のコラーゲン繊維に鞣し剤(例えばクロムCr3+、タンニンなど)を化学反応で結合させるなどして皮を鞣す(図12(d))。このように皮を鞣すことによって、皮革本体11の耐熱性などを向上させることができる。そして、鞣し後に皮革素材52の厚みをそろえたり、余分な部分を削ったりするなどして皮革素材52の状態を整える乾燥前処理を行う。
ステップS5において、上記乾燥前処理を施した皮革素材52を、トグルを用いて引っ張りながら、例えば、50℃の温度で1.5時間乾燥処理し、皮革素材52に含まれている水分を取り除く。そして、皮革素材52を塗装できる状態に整える塗装前処理を行う。
ステップS6において、皮革素材52の床面側の表面52b(本実施の形態においては、皮革製品としての裏面)上に所望の樹脂をスプレー塗布して異物付着防止膜56を形成する(図13(a))。
ステップS7において、例えばアクリルとウレタンの混合液からなる水性エマルション塗料を、皮革素材52の銀面52a上にスプレー塗布してベースコート53を形成する(図13(b))。
ステップS8において、皮革製品に要求されている各種要求シボを用いて、皮革素材52の銀面52a側をプレス処理する。このようにプレス処理を行うようにすれば、皮革素材52に対して肌作りなどを行うことができ、且つ各種要求シボ模様を皮革素材52に持たせることができ好ましいが、シボの要否によってはこのステップS8の処理を省略してもよい。
次に、ステップS9において、水性エマルション塗料を、皮革素材52の銀面52a上に形成されたベースコート53の表面上にスプレー塗布してカラーコート54を形成する(図13(c))。
続くステップS10において、2液反応型の水性エマルション塗料を、カラーコート54の表面上にスプレー塗布してトップコート55を形成する(図13(d))。なお、上記水性エマルション塗料は、イソシアネートなどを用いて架橋させたものを用いる。
ステップS11において、ベースコート53、カラーコート54、及びトップコート55が形成された皮革素材52の繊維をほぐすなどの後処理を行って皮革本体11を形成する。なお、溝13の形成は、皮革本体11の形成後になされる。
また、ここで、溝13についてより詳しく説明する。この説明において溝13の深さは、図3に示されているように変化していることはなく、ほぼ一定になっているものとする。また、溝13は、皮革本体11の床面に所定の深さで設けられている。より詳しくは、異物付着防止膜56と皮革素材52とに形成されている。
そして、溝13が設けられている部位における皮革本体11の引っ張り強度が、溝13が設けられていない部位における皮革本体11の引っ張り強度の10%〜60%の範囲内になるように、溝13が設けられている。なお、皮革本体11の引っ張り強度を求めるには、たとえば、幅10mmで厚さが1.0mmで所定の長さの皮革本体を用意する。そして、前記皮革本体をこの長手方向に引っ張って、前記皮革本体が破断するときの引っ張り力を求め、この求めた引っ張り力を引っ張り強度とする。この場合、溝は皮革の幅方向(皮革の長手方向に直交する方向)に延びて設けられている。
より詳しく説明する。皮革本体11の厚さが1.0mmの場合、溝13の深さは、0.7mm以上の深さになっている。ただし、溝13の深さが1.0mmに近づきすぎると(たとえば、溝13の深さが0.9mm以上になると)加工誤差によって、溝13が皮革本体11の銀面にまで到達し、皮革本体11が破れてしまうおそれがあるので、溝13の深さを0.7mm〜0.8mm程度にすることが好ましい。この場合における、溝13が設けられている部位における皮革本体11の引っ張り強度は、溝13が設けられていない部位における皮革本体11の引っ張り強度の40%〜60%程度の範囲内になる。
なお、皮革本体11は、銀面のほうが繊維が密で引っ張り強度が大きい。したがって、たとえば、皮革本体11の厚さが1.0mm程度の場合に、溝13の深さを0.7mm程度にしても、引っ張り強度は溝13が形成されていない部位の60%程度になるものである。
また、前述した強度60%を保つために、皮革本体11の厚さが0.7mmの場合にあっては、溝13の深さを、0.5mm程度にする必要がある。
溝13を設けた部位の強度が上述したようにほぼ60%以下になっている皮革本体11を、自動車のエアーバッグに装着して実際に試験した結果では、エアーバッグの作動によって、皮革本体11は溝13のところできれいに割れて、十分実用に耐える。溝13を設けた部位の強度が60%以上になっていると、エアーバッグの作動によって、皮革本体11が溝13のところできれいに割れない事態が発生する。
なお、溝13を形成した部位の強度が上述したように60%になるように皮革本体11を形成すれば、革素材52を採取した部位(たとえば、牛の背側か腹側か)や、引っ張り力を与える方向によっては、ほとんど影響を受けることはなく、皮革本体11は溝13のところできれいに割れる。
上述した実施形態では、エアーバッグカバー1として、ホーンパッド3を例に掲げて説明したが、図9に示すように、助手席側のインパネ(インストルメントパネル)31の部位(内側にエアーバッグユニットが収納されている部位)33もエアーバッグカバー1の例として掲げることができる。
本発明の実施形態に係る自動車のエアーバッグカバーの概略構成を示す図である。 図1におけるII−II断面を示す図である。 図1におけるIII−III断面を示す図である。 マスキング部材の変形例を示す図であり、図2に対応する図である。 マスキング部材の変形例を示す図であり、図2に対応する図である。 皮革の溝の変形例を示す図である。 ホーンパッドの変形例を示す図である。 図7におけるVIII−VIII断面を示す図である。 助手席側のインパネの概略構成を示す図である。 皮革本体の概略構成を示す断面図である。 皮革本体の製造方法の示す図である。 皮革本体の製造方法の示す図である。 皮革本体の製造方法の示す図である。
符号の説明
1 エアーバッグカバー
5 基材
6 接着剤
7 皮革
9 溝
11 皮革本体
13 溝
15 マスキング部材
17 不織布
19 粘着剤
21、23 接着剤
25 コーキング剤

Claims (4)

  1. 皮革本体と;
    前記皮革本体の一方の面に設けられた溝と;
    前記溝から前記皮革本体へ接着剤が浸透しないように前記溝を覆うように設けられたマスキング部材と;
    を有することを特徴とする皮革。
  2. 請求項1に記載の皮革において、
    前記溝は、スリット状に形成されており、
    前記マスキング部材は、所定の幅を備えた帯状の部材であって引っ張り強度が前記皮革本体よりも小さい部材と、この部材の厚さ方向の一方の面に設けられた粘着剤とによって構成されており、前記溝を蓋するようにして、前記帯状の部材が前記皮革本体の前記一方の面に前記粘着剤を介して一体的に設けられており、
    または、前記マスキング部材は、前記皮革本体に浸透し、他の接着剤を前記皮革本体に浸透させない接着剤で構成されており、前記溝の近傍の部位の前記皮革本体に浸透しかつ前記溝が存在するようにして前記皮革本体に設けられており、
    または、前記マスキング部材は、前記皮革本体に浸透せずかつ硬化したときの引っ張り強度が皮革本体よりも小さい接着剤もしくはコーキング剤で構成されており、前記溝に蓋をするようにして前記接着剤もしくは前記コーキング剤が前記皮革本体の前記一方の面に一体的に設けられていることを特徴とする皮革。
  3. 請求項1または請求項2に記載の皮革において、
    前記溝が設けられている部位における前記皮革本体のみの引っ張り強度が、前記溝が設けられていない部位における前記皮革本体のみの引っ張り強度の10%〜60%の範囲内になるように、前記溝が設けられていることを特徴とする皮革。
  4. 厚さ方向の一方の面に溝が延びて形成されている板状の基材と;
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の皮革と;
    を有し、前記皮革の厚さ方向から眺めた場合前記基材の溝と前記皮革の溝とが互いに重なるようにして、また、前記溝が設けられている前記皮革の厚さ方向の面が前記基材の厚さ方向の他方の面に対向するようにして、前記基材の厚さ方向の他方の面に前記皮革が接着剤を介して設けられていることを特徴とする自動車のエアーバッグカバー。
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