以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁抵抗検出装置を備えた車両の構成の一例を示す回路図である。図1に示す車両1は、例えばハイブリッドカーや燃料電池車等の電気自動車である。なお、車両には、ハイブリッドカーや燃料電池車の他、内燃機関を用いない電気自動車、及び電動二輪車等、種々の車両が含まれる。
図1に示す車両1は、モータ4、組電池3、インバータ5、電圧監視回路6、二次電池7、及び絶縁抵抗検出装置2を備えている。絶縁抵抗検出装置2は、車両用絶縁抵抗検出装置の一例である。絶縁抵抗検出装置2は、周期信号生成部21、AD(Analog Digital)コンバータ22(電圧検出部)、絶縁抵抗検出部23、LED(Light Emitting Diode)24、抵抗R1(第1抵抗)、結合キャパシタC1(第1キャパシタ)、キャパシタC2(第2キャパシタ)、抵抗R2(第2抵抗)、定電圧源E1(中間電圧生成部)、抵抗R3(第3抵抗)、ダイオードD、抵抗R4、及びキャパシタC3を備えている。
そして、組電池3と、組電池3に接続された、モータ4、インバータ5、及び電圧監視回路6の一部とによって、高電圧回路101が構成されている。また、二次電池7と、二次電池7に接続された、絶縁抵抗検出装置2、及び電圧監視回路6の一部によって、低電圧回路102が構成されている。高電圧回路101は、低電圧回路102より高い電圧を用いる回路であり、ユーザの感電を防止するべく低電圧回路102とは絶縁されている。電圧監視回路6は、高電圧回路101と低電圧回路102との間に跨って設けられている。
絶縁抵抗検出装置2は、高電圧回路101と低電圧回路102の間の抵抗である絶縁抵抗Rの抵抗値rを測定し、その抵抗値rに基づき地絡の発生を検出する。
組電池3は、複数の二次電池31、例えば1個で1.2Vを出力するニッケル水素二次電池が複数、例えば240個〜500個程度直列に接続されて、288V〜600V程度の高電圧を出力する。なお、燃料電池車の場合は、組電池3の代わりに燃料電池が用いられる。
インバータ5は、組電池3から出力された直流電圧をモータ駆動用の三相電源電圧U,V,Wに変換する。インバータ5のスイッチング周波数は、例えば1kHz〜50kHzとなっている。
電圧監視回路6は、例えばADコンバータを用いて構成されており、組電池3の端子電圧、あるいは組電池3を構成する個々の二次電池31の端子電圧を測定し、図略のECUへ出力する。このECUは、電圧監視回路6により測定された組電池3や各二次電池31の端子電圧に応じて、組電池3の充放電を制御したり、インバータ5の動作を制御したりする。電圧監視回路6には、組電池3とは別に設けられた二次電池7から、動作用電源電圧が供給されている。
二次電池7は、低電圧回路102用の低電圧電源であり、例えば12Vの鉛蓄電池により構成されている。二次電池7が出力する直流12Vの電源電圧や、あるいはこの電源電圧が図略の電源回路によって例えば5Vの電源電圧にされて、これらの電源電圧が低電圧回路102の各部の動作用電源電圧として供給されている。
そして、二次電池7は、その負極が車両1の車体に接続されて、その車体が、低電圧回路102の回路グラウンドである低圧グラウンドBになっている。そうすると、組電池3は、電圧監視回路6の内部抵抗を介して低圧グラウンドB、すなわち車体に接続されることとなる。
図1において、抵抗8は、電圧監視回路6の内部抵抗等により生じた抵抗を示している。抵抗8は、例えば組電池3の出力電圧が400Vの場合、正常時(抵抗9がオープン)において、抵抗8を流れる電流が例えば1mA以下になるように、500kΩ以上の抵抗値にされている。1mAは、人体の感知電流である3〜4mAより十分小さい電流値である
また、抵抗9は、組電池3の正極端子32に接続された配線L1や組電池3の負極端子33に接続された配線L2が、地絡事故により低圧グラウンドBである車体に接触すると、地絡抵抗として生じた抵抗9が、抵抗8と並列に接続される。絶縁抵抗Rは、抵抗8と抵抗9とが並列に接続された合成抵抗として得られる。
なお、図1においては、抵抗9が負極端子33に接続される例、すなわち配線L2が車体に接触した例を示しているが、組電池3の内部抵抗は小さいので、配線L1が車体に接触したことにより生じる抵抗も、配線L2が車体に接触した場合と同様、抵抗9で表される。
周期信号生成部21は、設定周波数fsの周期信号S1を生成する発振回路である。設定周波数fsは、インバータ5のスイッチング周波数である1kHz〜50kHzよりも十分低い周波数に設定されており、例えば1Hz〜10Hz程度の周波数とされている。これにより、インバータ5から生じるスイッチングノイズの周波数よりも、設定周波数fsが小さくなるようにされている。周期信号生成部21は、周期信号S1として、正弦波を出力してもよく、矩形波を出力してもよい。
周期信号生成部21は、例えば5Vの電源電圧で動作し、周期信号S1として、振幅(ピークtoピーク電圧)が5Vの信号、すなわち2.5Vを中心電圧として±2.5Vの範囲で変化する信号を出力する。
抵抗R1の一端は周期信号生成部21に接続され、抵抗R1の他端は結合キャパシタC1の一端に接続されている。結合キャパシタC1の他端は組電池3の負極端子33、すなわち高電圧回路101に接続されている。そして、周期信号生成部21は、抵抗R1と結合キャパシタC1との直列回路を介して周期信号S1を負極端子33へ出力する。
また、抵抗R1の他端と結合キャパシタC1との接続点P1に、キャパシタC2の一端が接続され、キャパシタC2の他端が抵抗R2と定電圧源E1とを介して低圧グラウンドBに接続されている。定電圧源E1は、ADコンバータ22の入力電圧範囲の上限値と下限値との中間の電圧を出力する定電圧電源回路である。
ADコンバータ22の入力電圧範囲が例えば0V〜10Vであった場合、定電圧源E1は、周期信号生成部21から出力される周期信号S1の振幅の1/2である2.5Vより高く、かつADコンバータ22の入力電圧範囲の上限値より2.5V以上低い電圧、例えば3.3Vを出力する。
これにより、抵抗R2と定電圧源E1との直列回路は、接続点P1からキャパシタC2を通過した交流信号の下限値を0Vより上に持ち上げ、交流信号の上限値を10V以下にすることで、キャパシタC2を通過した交流信号がADコンバータ22の入力電圧範囲に入るように調整する。
なお、定電圧源E1は、必ずしも必要ではなく、接続点P2は、抵抗R2を介して低圧グラウンドBに接続されていてもよい。
また、定電圧源E1を備えず、マイナスの電圧範囲が含まれる入力電圧範囲を有するADコンバータ22、例えば入力電圧範囲が−5V〜+5VのADコンバータ22を用いてもよい。
また、キャパシタC2の他端と抵抗R2との接続点P2に、抵抗R3の一端が接続され、抵抗R3の他端がダイオードDのアノードに接続され、ダイオードDのカソードが接続点P1に接続されている。これにより、抵抗R3とダイオードDとの直列回路がキャパシタC2と並列に接続されている。また、ダイオードDは、接続点P2から接続点P1へ向かう方向が順方向になるように、その向きが設定されている。
なお、ダイオードDと抵抗R3とは、その位置が入れ替わってもよく、接続点P2に、ダイオードDのアノードが接続され、ダイオードDのカソードが抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端が接続点P1に接続されていてもよい。
接続点P2には、抵抗R4の一端が接続され、抵抗R4の他端がキャパシタC3の一端に接続され、キャパシタC3の他端が低圧グラウンドBに接続されている。抵抗R4とキャパシタC3は、ローパスフィルタ25を構成している。
ローパスフィルタ25のカットオフ周波数は、設定周波数fsよりも高く、インバータ5のスイッチング周波数よりも低い周波数、例えば100Hz程度にされている。
なお、必ずしもローパスフィルタ25を備える必要はなく、接続点P2が直接ADコンバータ22に接続されていてもよい。
ADコンバータ22は、抵抗R4とキャパシタC3との接続点P3の電圧を、検出信号S2として検出する。ADコンバータ22は、検出信号S2を逐次デジタル値に変換して検出値S3として絶縁抵抗検出部23へ出力する。ADコンバータ22の入力電圧範囲は、例えば0V〜10Vとなっており、この入力電圧範囲外の電圧についてはデジタル変換することができない。
なお、ADコンバータ22は、必ずしも1素子で構成されている必要はなく、例えばアンプとADコンバータとが組み合わされて、ADコンバータ22が構成されていてもよい。
絶縁抵抗検出部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びその周辺回路等を備えて構成されている。そして、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、ADコンバータ22から出力された電圧値に基づき、絶縁抵抗Rの抵抗値rを取得したり、絶縁抵抗Rの異常、例えば地絡を検出したりする。
具体的には、図1に示すように、周期信号生成部21から出力された周期信号S1が、抵抗R1と、結合キャパシタC1及び絶縁抵抗Rの直列回路とによって得られる分圧比Xで分圧されて、その分圧電圧が接続点P1に現れる。そうすると、接続点P1に現れる交流信号の振幅も、分圧比Xに応じて変化する。そして、分圧比Xは、絶縁抵抗Rの抵抗値rに応じて決まるから、接続点P1に現れる交流信号の振幅もまた、絶縁抵抗Rの抵抗値rに応じて決定されることになる。
このようにして接続点P1に現れた交流信号は、キャパシタC2を通過し、抵抗R2と定電圧源E1とによって、その振幅の中心が3.3Vにされ、さらにローパスフィルタ25によってインバータノイズが低減されて、検出信号S2としてADコンバータ22へ入力される。そうすると、検出信号S2のピークtoピーク電圧、すなわち振幅Vppもまた、絶縁抵抗Rの抵抗値rに応じて決定され、抵抗値rが小さくなるほど振幅Vppも小さくなることになる。
そして、絶縁抵抗検出部23は、例えば、ADコンバータ22によってデジタル値に変換された検出値S3の、上限ピーク値から下限ピーク値を減算することによって、検出信号S2の振幅Vppを算出する。
上述のように、振幅Vppは、絶縁抵抗Rの抵抗値rに応じて決定される。そこで、例えば、振幅Vppと、絶縁抵抗Rの抵抗値rとの対応関係が、予め求められてLUT(Look Up Table)としてROMに記憶されている。この場合、LUTは、振幅Vppが小さいほど、抵抗値rが小さくなるように、振幅Vppと、抵抗値rとを対応付けて記憶することになる。絶縁抵抗検出部23は、このLUTによって、振幅Vppと対応付けて記憶されている抵抗値rを、絶縁抵抗Rの抵抗値rとして取得する。
また、絶縁抵抗検出部23は、振幅Vppから求められた抵抗値rが、予め設定された判定値、例えば40kΩを下回った場合に、地絡事故等による絶縁抵抗の低下が生じたものと判定し、例えば車両内のインストルメントパネルに設けられたLED24を発光させる。これにより、絶縁抵抗検出部23は、絶縁抵抗の異常を乗員やサービスマンに報知する。
なお、LED24の代わりに液晶表示器等の表示装置を備え、絶縁抵抗検出部23により算出された抵抗値rや警告メッセージを表示装置に表示させてもよい。
次に、上述のように構成された絶縁抵抗検出装置2の、地絡が発生したときの動作について説明する。図2〜図6は、図1に示す絶縁抵抗検出装置2の動作をシミュレーションすることによって得られた検出信号S2と検出値S3との変化を示すグラフである。横軸はシミュレーション開始(0秒)からの時間の経過を示し、縦軸が電圧を示している。
また、キャパシタC2、抵抗R2,R3、ダイオードDによる、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間の短縮効果を示すために、図7に示す比較回路のシミュレーション結果を図8〜図12に示す。
図2〜図12に示すシミュレーションの条件は、設定周波数fs=2.5Hz、抵抗R1:75kΩ、抵抗R2:1MΩ、抵抗R3:1MΩ、抵抗R4:91kΩ、結合キャパシタC1:2.35μF、キャパシタC2:1μF、キャパシタC3:0.1μF、定電圧源E1:3.3V、ADコンバータ22の入力電圧範囲が0V〜10V、組電池3の出力電圧が400Vとした。
図7に示す絶縁抵抗検出装置2xは、絶縁抵抗検出装置2の効果を示すための比較例であって、絶縁抵抗検出装置2におけるキャパシタC2、抵抗R2,R3、ダイオードD、及び定電圧源E1を備えない点を除いて、図1に示す絶縁抵抗検出装置2と同様に構成されている。
まず、図2、図8を参照して、絶縁抵抗検出装置2とその比較例である絶縁抵抗検出装置2xの、地絡が発生したときの動作について説明する。図2、図8に示すグラフは、経過時間1秒のタイミングにおいて、組電池3の正極端子32側の配線L1と、車体である低圧グラウンドBとの間で、絶縁抵抗Rの抵抗値rが200kΩの地絡が発生した場合の検出信号S2と検出値S3との変化を示している。
経過時間1秒のタイミングで地絡が発生すると、地絡が生じた瞬間、組電池3の出力電圧によって瞬時に、結合キャパシタC1の、抵抗R1側の接続点P1の電圧が急激に低下するため、検出信号S2が急激に低下して検出信号S2が0Vを下回る。そうすると、検出信号S2がADコンバータ22の入力電圧範囲外となって、ADコンバータ22は検出信号S2を検出することができない。そのため、検出値S3が周期信号波形を表さなくなる結果、絶縁抵抗検出部23は、振幅Vppを検出することができず、従って絶縁抵抗Rを検出することができなくなる。
その後、結合キャパシタC1の充電時定数に応じて、結合キャパシタC1が徐々に充電されて検出信号S2が0Vを超えると、一旦ADコンバータ22は検出信号S2を検出可能となるが、図2に示すように検出信号S2はオーバーシュートして10Vを超え、再び検出信号S2がADコンバータ22の入力電圧範囲外となる。そのため、再び検出信号S2が低下してADコンバータ22の入力電圧範囲となる経過時間2.2秒のタイミングになるまで、絶縁抵抗検出部23は、振幅Vppを検出することができず、従って絶縁抵抗Rを検出することができない。
すなわち、地絡が発生した経過時間1秒のタイミングから検出信号S2が安定してADコンバータ22の入力電圧範囲内になる経過時間2.2秒までの1.2秒が、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間となる。以下、図3〜図6、及び図8〜図12についても、同様にして地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間をグラフから読み取ることができる。
図2に示す絶縁抵抗検出装置2の実施例では、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間は、約1.2秒となった。これに対し、図8に示す比較例では、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間は、約2.1秒となった。
これにより、絶縁抵抗検出装置2は、キャパシタC2、抵抗R2,R3、ダイオードDを備えることによって、抵抗値rが200kΩの地絡が発生したとき、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間を短縮できることが確認できた。
図3、図9は、地絡したときの抵抗値rを300kΩとしたときの、絶縁抵抗検出装置2の実施例と、比較例とのシミュレーション結果をそれぞれ示すグラフである。図3に示すように、絶縁抵抗検出装置2の実施例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約0.6秒であるのに対し、図9に示す比較例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約2.6秒となった。
図4、図10は、地絡したときの抵抗値rを500kΩとしたときの、絶縁抵抗検出装置2の実施例と、比較例とのシミュレーション結果をそれぞれ示すグラフである。図4に示すように、絶縁抵抗検出装置2の実施例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約0.6秒であるのに対し、図10に示す比較例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約2.9秒となった。
図5、図11は、地絡したときの抵抗値rを700kΩとしたときの、絶縁抵抗検出装置2の実施例と、比較例とのシミュレーション結果を示すグラフである。図5に示すように、絶縁抵抗検出装置2の実施例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約0.9秒であるのに対し、図11に示す比較例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約3.3秒となった。
図6、図12は、地絡したときの抵抗値rを1000kΩとしたときの、絶縁抵抗検出装置2の実施例と、比較例とのシミュレーション結果を示すグラフである。図6に示すように、絶縁抵抗検出装置2の実施例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約1.0秒であるのに対し、図12に示す比較例では地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が約3.3秒となった。
以上のように、地絡したときの抵抗値rが、200kΩ、300kΩ、500kΩ、700kΩ、1000kΩのいずれにおいても、キャパシタC2、抵抗R2,R3、ダイオードDを備えない比較例よりも、キャパシタC2、抵抗R2,R3、ダイオードDを備える絶縁抵抗検出装置2の方が、結合キャパシタC1の静電容量が等しい条件下で、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間が短くなることが確認できた。また、図13に示すように、地絡したときの抵抗値rと絶縁抵抗の検出可能時間との関係から、キャパシタC2、抵抗R2,R3、及びダイオードDを備える絶縁抵抗検出装置2の方が、抵抗値rが200kΩ以上のとき絶縁抵抗の検出可能時間がより短縮できていることがわかる。
即ち、本発明の一局面に従う車両用絶縁抵抗検出装置は、低電圧回路と高電圧回路との間の絶縁抵抗を検出する車両用絶縁抵抗検出装置であって、予め設定された設定周波数を有する周期信号を生成する周期信号生成部と、前記周期信号生成部に一端が接続され、当該一端に前記周期信号が印加される第1抵抗と、前記第1抵抗の他端に一端が接続され、他端が前記高電圧回路に接続された第1キャパシタと、前記第1抵抗の他端に一端が接続された第2キャパシタと、前記第2キャパシタの他端に一端が接続され、他端が前記低電圧回路の回路グラウンドである低圧グラウンドに接続された第2抵抗と、前記第2キャパシタの他端から前記第2キャパシタの一端へ向かう方向が順方向になる向きのダイオードと第3抵抗とが直列に接続されて構成され、かつ前記第2キャパシタと並列に接続された直列回路と、前記低圧グラウンドと前記第2キャパシタの他端との間の電圧を、検出信号として検出する電圧検出部と、前記検出信号の振幅に基づいて、前記絶縁抵抗の抵抗値を検出する絶縁抵抗検出部とを備える。
本発明者らは、この構成によれば、結合キャパシタの静電容量を小さくすることなく、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間を短縮できることを見出した。
また、前記電圧検出部が検出可能な電圧範囲の上限値と下限値との間の中間の電圧を生成する中間電圧生成部をさらに備え、前記第2抵抗の他端は、前記中間電圧生成部を介して前記低圧グラウンドに接続されていることが好ましい。
この構成によれば、第1抵抗と、第1キャパシタと絶縁抵抗との直列回路とによって、周期信号が分圧されて得られた交流信号のオフセット電圧が、第2キャパシタを経た後、第2抵抗と中間電圧生成部との直列回路によって、電圧検出部が検出可能な電圧範囲の上限値と下限値との間の中間の電圧に調節されるので、検出信号の電圧を、電圧検出部が検出可能な電圧範囲にすることが容易である。
また、前記設定周波数は、前記高電圧回路で生じるノイズの周波数よりも低い周波数であり、前記車両用絶縁抵抗検出装置は、前記高電圧回路で生じるノイズの周波数よりも低く、前記設定周波数よりも高いカットオフ周波数を有するローパスフィルタをさらに備え、前記ローパスフィルタは、前記第2キャパシタの他端と、前記電圧検出部との間に接続され、前記電圧検出部は、前記ローパスフィルタを介して前記検出信号を検出することが好ましい。
この構成によれば、高電圧回路で生じたノイズ成分が、ローパスフィルタによって、検出信号から低減される。その結果、絶縁抵抗検出部による、検出信号の振幅に基づく絶縁抵抗の検出精度が向上する。
また、前記絶縁抵抗検出部は、前記検出信号の振幅が小さくなるほど、前記絶縁抵抗の抵抗値として小さな値を検出することが好ましい。
検出信号の振幅は、第1抵抗と、第1キャパシタと絶縁抵抗との直列回路とによって得られる分圧比に応じて決まる。そして、分圧比は、絶縁抵抗の抵抗値によって変化し、絶縁抵抗の抵抗値が小さいほど、検出信号の振幅が小さくなる。従って、絶縁抵抗検出部は、検出信号の振幅が小さくなるほど、絶縁抵抗の抵抗値として小さな値を検出することで、絶縁抵抗の抵抗値を取得することが可能となる。
また、前記絶縁抵抗検出部は、前記検出信号の振幅が予め設定された判定値を下回ったとき、前記絶縁抵抗に異常が生じたことを検出することが好ましい。
上述のように、絶縁抵抗の抵抗値が小さいほど、検出信号の振幅が小さくなるから、判定値を適宜設定しておくことにより、絶縁抵抗検出部は、検出信号の振幅が予め設定された判定値を下回ったとき、絶縁抵抗に異常が生じたと判定することが可能となる。
このような構成の絶縁抵抗検出装置は、結合キャパシタの静電容量を小さくすることなく、地絡が発生してから絶縁抵抗の検出が可能になるまでの時間を短縮することができる。
この出願は、2010年8月31日に出願された日本国特許出願特願2010−194404号を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。