JP4915604B2 - ハーモニック減速機の可撓歯車 - Google Patents
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- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H49/00—Other gearings
- F16H49/001—Wave gearings, e.g. harmonic drive transmissions
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Retarders (AREA)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、調和減速機の一種であって、可撓性の歯車を用いる商品名ハーモニックドライブとしてよく知られた減速機の可撓歯車、一般名称フレキシスプラインの構造に関する。以下の説明では、当該分野の技術者に馴染があるハーモニックドライブ、フレキシスプライン等の呼称を使用する。
【０００２】
【従来の技術】
電動機を動力とする小型から中型のロボットにおいて、ハーモニックドライブは利用されることが極めて多い減速機である。コンパクトな構造でありながら５０から２００程度の大きな減速比が得られ、回転剛性も高く、メンテナビリティーにも優れた実用性が高い機械要素として知られ、ロボットは勿論、多くの他の用途にも利用されてきた。
【０００３】
減速機としての実用的なハーモニックドライブの基本的構造には３種ある。それらはフレキシスプラインの形状によってカップ型、シルクハット型及びフラット型（パンケーキ型と呼ばれることもある）である。調和減速機としての動作原理は全て同じであるから、以下の説明ではカップ型のハーモニックドライブを対象として取り上げる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ハーモニックドライブを構成する主要部品は内歯車であるサーキュラスプライン、楕円形のディスクの外側に可撓ボールベアリングを嵌合したウエーブジェネレータ、前述可撓ボールベアリングの外輪に緩く嵌合して前述サーキュラスプラインの内歯車に直径方向の２ヶ所でその外歯車が噛み合う可撓性歯車であるフレキシスプラインの三つである。
【０００５】
図１はフレキシスプラインの円周方向断面を示す図である。図１の歯の山１を通るＡ−Ａ断面を示したのが図２である。図１は図２のＢ−Ｂ断面に相当する。従来のフレキシスプラインの標準的な加工方法では、一つの材料から切削によって歯車の山１と谷２、カップ３及びボス４を作り出していた。この加工方法では材料の殆どの部分を切削によって切粉となし、僅かな部分が完成品として残ることになる。つまり、材料に対する完成品の材料利用率が極めて低い問題がある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
断面構造が図２であるような複雑な形状を切削加工により製造するからこのように材料利用率が低くなる。カップ部分を薄板からプレス加工によって製造し、別途製造した歯車の歯の部分をカップの開放口側に接合し、カップの底側にボス部分を接合すれば、材料に殆ど無駄が発生しないカップ型フレキシスプラインを得ることができる。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以上のような本発明になる構造を実現する実施の形態について、図３及び図４を用いて以下に説明する。
【０００８】
図３はこの発明になるフレキシスプラインの円周方向断面を示す図である。図３においてはカップ５は薄板を材料としてプレス成形で製造され、その外周部に薄板を歯車状に成形した歯車リング６が外接している。
【０００９】
歯車リング６の歯の山１の裏側とカップ５の間の空間は樹脂等の充填材７で充填されており、このフレキシスプラインとサーキュラスプラインが噛み合う際に歯車リング６に加わる圧力に抗して所定の形状を維持する。カップ５と歯車リング６は充填材７の接着力により接合されており、一体となって動作する。充填材の材質としては硬質ウレタンのような樹脂が好適である。
【００１０】
歯車リング６は歯の谷２の裏側でカップ５に接触している。このようにカップ５と歯車リング６が分離構成されていると、可撓性歯車であるフレキシスプラインがウエーブジェネレータの曲率半径の大きい部分から曲率半径の小さな部分へと１回転中に２回屈曲される場合に、屈曲変形がカップ５の全域に分散して行われることになる。対して従来のフレキシスプラインでは図１に見るように、歯の山１は剛性が大きいため屈曲変形の大部分は歯の谷２に集中することになり、同一の屈曲変形に対して本発明になるフレキシスプラインではカップ５に加わる最大繰返し応力が従来型のフレキシスプラインに対して著しく小さな値となる。このため、同一屈曲変形において従来型のフレキシスプラインに対して本発明になるフレキシスプラインは著しく耐久性が大きく、長寿命である。また、同じ耐久性においてはより大きな屈曲変形を要する設計に適合することができる。
【００１１】
歯車リング６はリング状の薄板を内歯車である金型に液圧成形等で内側から強力に加圧して金型の形状を転写することにより製造できる。従来のフレキシスプラインが切削加工法で歯車の創成加工を行うため、長い加工時間を要したのに対し、本発明のように液圧加工法等により金型面の転写加工を行えば、殆ど瞬間的に正確な歯車の歯面を得ることができる。
【００１２】
図４は図３のＡ−Ａ断面であり、図３は図４の歯の山１におけるＢ−Ｂ断面である。図４の右側において、カップ５の底部はボスリング８に接合されている。従来型のフレキシスプラインが図２のように１個の部品であったのに対して、本発明のフレキシスプラインは４個の部品で構成されており、部品点数は多くなつたが、夫々の部品の材料利用率が著しく高く、総合した製造コストが安いため、利用者にとって大きな経済性を提供することができる。
【００１３】
【発明の効果】
この発明は、以上に説明したように構成されているので、従来の１ブロックの材料から切削で製造したフレキシスプラインと比較して、材料利用率が著しく高く、製造コストが安いフレキシスプラインを提供することができる。
【００１４】
また、従来型のフレキシスプラインが屈曲変形を歯車の谷部分に集中していたのに対して、この発明のフレキシスプラインでは屈曲変形をカップの全域に均等に分散させることができるので、従来型に対して使用寿命が長く、設計の自由度が大きいメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 従来型のフレキシスプラインの円周方向一部断面図である。
【図２】 従来型のフレキシスプラインの軸方向一部断面図である。
【図３】 本発明になるフレキシスプラインの円周方向一部断面図である。
【図４】 本発明になるフレキシスプラインの軸方向一部断面図である。
【符号の説明】
１ 歯の山
２ 歯の谷
３ カップ
４ ボス
５ カップ
６ 歯車リング
７ 充填材
８ ボス
【発明の属する技術分野】
本発明は、調和減速機の一種であって、可撓性の歯車を用いる商品名ハーモニックドライブとしてよく知られた減速機の可撓歯車、一般名称フレキシスプラインの構造に関する。以下の説明では、当該分野の技術者に馴染があるハーモニックドライブ、フレキシスプライン等の呼称を使用する。
【０００２】
【従来の技術】
電動機を動力とする小型から中型のロボットにおいて、ハーモニックドライブは利用されることが極めて多い減速機である。コンパクトな構造でありながら５０から２００程度の大きな減速比が得られ、回転剛性も高く、メンテナビリティーにも優れた実用性が高い機械要素として知られ、ロボットは勿論、多くの他の用途にも利用されてきた。
【０００３】
減速機としての実用的なハーモニックドライブの基本的構造には３種ある。それらはフレキシスプラインの形状によってカップ型、シルクハット型及びフラット型（パンケーキ型と呼ばれることもある）である。調和減速機としての動作原理は全て同じであるから、以下の説明ではカップ型のハーモニックドライブを対象として取り上げる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ハーモニックドライブを構成する主要部品は内歯車であるサーキュラスプライン、楕円形のディスクの外側に可撓ボールベアリングを嵌合したウエーブジェネレータ、前述可撓ボールベアリングの外輪に緩く嵌合して前述サーキュラスプラインの内歯車に直径方向の２ヶ所でその外歯車が噛み合う可撓性歯車であるフレキシスプラインの三つである。
【０００５】
図１はフレキシスプラインの円周方向断面を示す図である。図１の歯の山１を通るＡ−Ａ断面を示したのが図２である。図１は図２のＢ−Ｂ断面に相当する。従来のフレキシスプラインの標準的な加工方法では、一つの材料から切削によって歯車の山１と谷２、カップ３及びボス４を作り出していた。この加工方法では材料の殆どの部分を切削によって切粉となし、僅かな部分が完成品として残ることになる。つまり、材料に対する完成品の材料利用率が極めて低い問題がある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
断面構造が図２であるような複雑な形状を切削加工により製造するからこのように材料利用率が低くなる。カップ部分を薄板からプレス加工によって製造し、別途製造した歯車の歯の部分をカップの開放口側に接合し、カップの底側にボス部分を接合すれば、材料に殆ど無駄が発生しないカップ型フレキシスプラインを得ることができる。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以上のような本発明になる構造を実現する実施の形態について、図３及び図４を用いて以下に説明する。
【０００８】
図３はこの発明になるフレキシスプラインの円周方向断面を示す図である。図３においてはカップ５は薄板を材料としてプレス成形で製造され、その外周部に薄板を歯車状に成形した歯車リング６が外接している。
【０００９】
歯車リング６の歯の山１の裏側とカップ５の間の空間は樹脂等の充填材７で充填されており、このフレキシスプラインとサーキュラスプラインが噛み合う際に歯車リング６に加わる圧力に抗して所定の形状を維持する。カップ５と歯車リング６は充填材７の接着力により接合されており、一体となって動作する。充填材の材質としては硬質ウレタンのような樹脂が好適である。
【００１０】
歯車リング６は歯の谷２の裏側でカップ５に接触している。このようにカップ５と歯車リング６が分離構成されていると、可撓性歯車であるフレキシスプラインがウエーブジェネレータの曲率半径の大きい部分から曲率半径の小さな部分へと１回転中に２回屈曲される場合に、屈曲変形がカップ５の全域に分散して行われることになる。対して従来のフレキシスプラインでは図１に見るように、歯の山１は剛性が大きいため屈曲変形の大部分は歯の谷２に集中することになり、同一の屈曲変形に対して本発明になるフレキシスプラインではカップ５に加わる最大繰返し応力が従来型のフレキシスプラインに対して著しく小さな値となる。このため、同一屈曲変形において従来型のフレキシスプラインに対して本発明になるフレキシスプラインは著しく耐久性が大きく、長寿命である。また、同じ耐久性においてはより大きな屈曲変形を要する設計に適合することができる。
【００１１】
歯車リング６はリング状の薄板を内歯車である金型に液圧成形等で内側から強力に加圧して金型の形状を転写することにより製造できる。従来のフレキシスプラインが切削加工法で歯車の創成加工を行うため、長い加工時間を要したのに対し、本発明のように液圧加工法等により金型面の転写加工を行えば、殆ど瞬間的に正確な歯車の歯面を得ることができる。
【００１２】
図４は図３のＡ−Ａ断面であり、図３は図４の歯の山１におけるＢ−Ｂ断面である。図４の右側において、カップ５の底部はボスリング８に接合されている。従来型のフレキシスプラインが図２のように１個の部品であったのに対して、本発明のフレキシスプラインは４個の部品で構成されており、部品点数は多くなつたが、夫々の部品の材料利用率が著しく高く、総合した製造コストが安いため、利用者にとって大きな経済性を提供することができる。
【００１３】
【発明の効果】
この発明は、以上に説明したように構成されているので、従来の１ブロックの材料から切削で製造したフレキシスプラインと比較して、材料利用率が著しく高く、製造コストが安いフレキシスプラインを提供することができる。
【００１４】
また、従来型のフレキシスプラインが屈曲変形を歯車の谷部分に集中していたのに対して、この発明のフレキシスプラインでは屈曲変形をカップの全域に均等に分散させることができるので、従来型に対して使用寿命が長く、設計の自由度が大きいメリットを有する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 従来型のフレキシスプラインの円周方向一部断面図である。
【図２】 従来型のフレキシスプラインの軸方向一部断面図である。
【図３】 本発明になるフレキシスプラインの円周方向一部断面図である。
【図４】 本発明になるフレキシスプラインの軸方向一部断面図である。
【符号の説明】
１ 歯の山
２ 歯の谷
３ カップ
４ ボス
５ カップ
６ 歯車リング
７ 充填材
８ ボス
Claims (1)
- 内径部分は筒形状の薄板であり、
歯車の歯列部分は歯の形状に波型に成形した薄板であり、
前述内径部分とその外径に密着する前述歯列部分の向き合った部分を樹脂で接合・充填してなるハーモニック減速機の可撓歯車。
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|---|---|---|---|
| JP2001333481A JP4915604B2 (ja) | 2001-09-26 | 2001-09-26 | ハーモニック減速機の可撓歯車 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001333481A JP4915604B2 (ja) | 2001-09-26 | 2001-09-26 | ハーモニック減速機の可撓歯車 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003097654A JP2003097654A (ja) | 2003-04-03 |
| JP4915604B2 true JP4915604B2 (ja) | 2012-04-11 |
Family
ID=19148731
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001333481A Expired - Fee Related JP4915604B2 (ja) | 2001-09-26 | 2001-09-26 | ハーモニック減速機の可撓歯車 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4915604B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103527720A (zh) * | 2012-07-05 | 2014-01-22 | 北京精密机电控制设备研究所 | 一种谐波减速器 |
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|---|---|---|---|---|
| JP4645086B2 (ja) * | 2004-07-20 | 2011-03-09 | 株式会社ジェイテクト | 波動歯車装置、伝達比可変装置、及び波動歯車装置の製造方法 |
| JP4902227B2 (ja) * | 2006-03-01 | 2012-03-21 | 本田技研工業株式会社 | 波動歯車装置 |
| CN100402226C (zh) * | 2006-07-13 | 2008-07-16 | 重庆海通机械制造有限公司 | 利用长条形钢材制作齿圈的方法 |
| CN102717241A (zh) * | 2012-07-06 | 2012-10-10 | 湖北大旗液压有限公司 | 发动机齿环制造工艺 |
| CN103671727A (zh) * | 2013-11-28 | 2014-03-26 | 苏州绿的谐波传动科技有限公司 | 一种精密型谐波减速器 |
| EP3372867B1 (en) * | 2015-11-06 | 2020-06-24 | Harmonic Drive Systems Inc. | Flexible external gear and strain wave gearing device |
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| CN117090917B (zh) * | 2023-10-18 | 2024-02-13 | 国茂精密传动(常州)有限公司 | 一种精密谐波减速机柔轮构件及其加工方法和加工系统 |
Family Cites Families (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS4867149A (ja) * | 1971-12-20 | 1973-09-13 | ||
| IE53249B1 (en) * | 1981-09-04 | 1988-09-14 | Anderson Cook Inc | Method for making a composite metal-plastic gear |
| DE3633364C3 (de) * | 1986-10-01 | 1995-07-13 | Agfa Gevaert Ag | Farbfotografisches Aufzeichnungsmaterial mit einem Farbkuppler vom Pyrazoloazol-Typ |
| JP3032534B2 (ja) * | 1988-09-07 | 2000-04-17 | 株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ | 波動歯車装置のフレクスプライン |
| JPH08296703A (ja) * | 1995-04-26 | 1996-11-12 | Japan Servo Co Ltd | 調和形減速機構のフレクスプライン |
-
2001
- 2001-09-26 JP JP2001333481A patent/JP4915604B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103527720A (zh) * | 2012-07-05 | 2014-01-22 | 北京精密机电控制设备研究所 | 一种谐波减速器 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2003097654A (ja) | 2003-04-03 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080902 |
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