JP4914254B2 - 水田作業機 - Google Patents
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Description
乗用型田植機では一般に、一回の植付行程が終了して畦際に達すると、苗植付装置を田面から大きく上昇させて、畦際での旋回を行い、次の苗植付装置を田面に下降させながら次の植付行程に入る。この場合、苗植付装置の前側下方に整地装置を支持しているので、苗植付装置と一緒に整地装置が上昇及び下降する。
これにより、前述のように畦際での旋回時等に水田作業装置を田面から大きく上昇させると、対地作業装置が機体の後輪(特許文献1の図1の2)に干渉することが考えられるので、リンク機構を充分に長いものに構成して、対地作業装置が機体の後輪に干渉しないように構成する必要がある。しかしながら、前述のようにリンク機構を長いものに構成すると、水田作業機の全長が長いものになってしまうので、路上や作業地での操縦性と言う面で不利になる。
本発明の第1特徴は、水田作業機において次のように構成することにある。
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、水田作業装置に対地作業装置を支持する。田面に接地する接地位置と、接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、水田作業装置を昇降自在に構成する。水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方に位置する退避位置とに、対地作業装置を移動自在に構成する。水田作業装置が接地位置に下降し且つ対地作業装置が作業位置に移動している作業状態において、対地作業装置の水田作業装置に対する高さが設定高さになるよう対地作業装置を昇降させる電動モータを備える。その電動モータとは別に、水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備える。
本発明の第2特徴は、第1特徴において、次のように構成することにある。
前記退避位置が、前記作業位置よりも後方であってかつ前記水田作業装置に備えられた接地体の下方の位置である。
機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、水田作業装置に対地作業装置を支持する。水田作業装置に備えられた接地体が田面に接地する接地位置と、接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、水田作業装置を昇降自在に構成する。水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、作業位置よりも後方で水田作業装置の接地体の下方に位置する退避位置とに、対地作業装置を移動自在に構成する。水田作業装置が接地位置に下降し且つ対地作業装置が作業位置に移動している作業状態において、対地作業装置の水田作業装置に対する高さが設定高さになるよう対地作業装置を昇降させる電動モータを備える。その電動モータの作動範囲を作業状態における対地作業装置の昇降範囲よりも広い作業位置から退避位置に亘る範囲に設定して、この電動モータにより、水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる。特に、前記退避位置が、前記作業位置よりも後方であってかつ前記水田作業装置に備えられた接地体の下方の位置である。
本発明の第1特徴によると、水田作業装置を接地位置に位置させ、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に位置する作業位置に位置させた状態において、水田作業装置を接地位置から上昇させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置よりも後方に位置する退避位置に自動的に移動する。これにより、水田作業装置の上昇位置において、水田作業装置と機体の後輪との間に対地作業装置が存在しなくなるので、対地作業装置の分だけリンク機構を短くすることができるのであり、水田作業装置を機体の後輪に接近させることができる。
本発明の第1特徴によると、水田作業装置を上昇位置に位置させ、対地作業装置を退避位置に位置させた状態において、水田作業装置を上昇位置から下降させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置に自動的に移動する。
本発明の第2特徴によると、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に位置する作業位置に位置させた状態において、水田作業装置を接地位置から上昇させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置よりも後方であってかつ水田作業装置に備えられた接地体の下方に位置する退避位置に自動的に移動することになる。
本発明の第3特徴によると、水田作業装置を上昇位置に位置させ、対地作業装置を退避位置に位置させた状態において、水田作業装置を上昇位置から下降させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置に自動的に移動する。
特に、本発明の第3特徴によると、対地作業装置を水田作業装置の前側下方に位置する作業位置に位置させた状態において、水田作業装置を接地位置から上昇させ始めると、これに伴って対地作業装置が作業位置よりも後方であってかつ水田作業装置に備えられた接地体の下方に位置する退避位置に自動的に移動することになる。
本発明の第1特徴(第3特徴)によると、水田作業機において、機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、対地作業装置を水田作業装置に支持した場合、水田作業装置を田面から大きく上昇させた際の対地作業装置と機体の後輪との干渉を避けながら、リンク機構の長さを抑えることができるようになり、水田作業機の全長を抑えて、路上や作業地での操縦性を向上させることができた。
本発明の第1特徴(第3特徴)によると、水田作業装置の上昇位置への上昇及び接地位置への下降に伴って、対地作業装置が退避位置及び作業位置に自動的に移動するので、操作性の良いものとなった。
図1に示すように、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2で支持された機体の後部に、リンク機構3により4条植型式の苗植付装置5(水田作業装置に相当)が昇降自在に支持され、リンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられて、水田作業機の一例である乗用型田植機が構成されている。
図1,4,5に示すように、苗植付装置5は、1個のフィードケース17、2個の伝動ケース6、伝動ケース6の後部に回転駆動自在に支持された一対の回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、中央のセンターフロート9(接地体に相当)及びサイドフロート10(接地体に相当)、4個の苗のせ面を備えて左右方向に往復横送り駆動される苗のせ台11等を備えて構成されている。左右方向に配置された支持フレーム18に、フィードケース17及び伝動ケース6が固定されており、リンク機構3の後部に接続された支持部材19の下部の前後軸芯P1(図2及び図3参照)周りに、フィードケース17がローリング自在に支持されている(苗植付装置5が前後軸芯P1周りにローリング自在に支持されている)。
図1,2,3,4に示すように、エンジン(図示せず)の動力が植付クラッチ23(図10参照)及びPTO軸24を介して、支持フレーム18を貫通する入力軸25に伝達されて、入力軸25からフィードケース17に伝達される。入力軸25の動力がフィードケース17の横送り変速機構(図示せず)を介して、苗のせ台11を往復横送り駆動する横送り軸(図示せず)に伝達され、入力軸25の動力がフィードケース17の伝動チェーン30、伝動ケース6に亘って架設された伝動軸31、伝動ケース6の入力軸32、伝動チェーン33、少数条クラッチ34及び駆動軸35を介して回転ケース7に伝達される。フィードケース17及び伝動ケース6に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸31が覆われている。
次に、苗植付装置5の昇降制御機構について説明する。
図2,5,6に示すように、支持フレーム18の右及び左側部に固定されたブラケット39の横軸芯P2周りに支持軸41が回転自在に支持されて、支持軸41に固定された支持アーム41aが後方に延出されており、支持軸41の支持アーム41aの後端の横軸芯P3周りに、センターフロート9及びサイドフロート10の後部が上下に揺動自在に支持されている。人為的に操作可能な植付深さレバー42が支持軸41に固定されて前方上方に延出されており、支持フレーム18,28及びフィードケース17に亘って固定されたレバーガイド43に、植付深さレバー42が挿入されている。
次に、苗植付装置5の昇降操作について説明する。
図1及び図10に示すように、前輪1を操向操作する操縦ハンドル52の右横側に昇降操作レバー53が備えられて、昇降操作レバー53は上昇位置、中立位置、下降位置及び植付位置に操作自在に構成されており、昇降操作レバー53と制御弁50、植付及び施肥クラッチ23,37とが機械的に連係されている。
次に、苗植付装置5と機体との間に備えられる整地装置54(対地作業装置に相当)について説明する。
図2,3,4に示すように、支持フレーム18の左側部に支持フレーム55が固定されて、支持フレーム55にボス部材64が固定され、伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5周りに、伝動ケース56がボス部材64に上下に揺動自在に支持されている。支持フレーム18の右側部に支持フレーム57が固定されて、支持フレーム57の横軸芯P5(伝動軸31及び入力軸32の横軸芯P5)周りに、支持アーム58が上下に揺動自在に支持されており、伝動ケース56及び支持アーム58に亘って、断面正方形状の駆動軸61が回転自在に支持されている。
次に、整地装置54の駆動構造について説明する。
図4に示すように、入力軸32に接続された伝動軸66が、ボス部材64及び伝動ケース56の内部に配置されており、伝動ケース56の内部において、伝動軸66と駆動軸61とに亘って伝動チェーン67が巻回されている。伝動ケース6及びボス部64に亘って円筒状のカバー36が固定されており、カバー36により伝動軸66が覆われている。
次に、整地装置54の昇降駆動構造について説明する。
図2,3,8に示すように、左の支持フレーム26にブラケット26aが固定されて、板材を折り曲げて構成された支持部材68が、左の支持フレーム26のブラケット26aにボルト連結されており、支持部材68に固定されたボス部68aに操作軸69が回転自在に支持されている。支持部材68の後側部(苗のせ台11側)において、操作軸69に扇型ギヤ70及び操作アーム71が固定されており、左の支持フレーム26のブラケット26aと支持部材68との間から操作アーム71が突出して、操作アーム71と伝動ケース56とに亘って左の操作ロッド72が接続されている。
逆に、電動モータ73及び減速機構74により扇型ギヤ70が図8の紙面時計方向に回転駆動されると、操作アーム71が下方に駆動されて、右の操作ロッド72により伝動ケース56が下降する。扇型ギヤ70により操作ロッド78を介して、操作アーム77が図3の紙面反時計方向に回転駆動されて、左の操作ロッド72により支持アーム58が下降する。これにより、整地装置54が下降する。
次に、整地装置54の整地制御について説明する。
図3,5,10に示すように、支持フレーム18にポテンショメータ44が固定され、支持軸41に固定された連係アーム41cがポテンショメータ44の検出部に接続されており、ポテンショメータ44により支持軸41の角度が検出される。ポテンショメータ44の検出値が制御装置40に入力されており、制御装置40において、ポテンショメータ44の検出値に基づいて、植付設定高さA1(設定深さ)を認識することができるのであり、ポテンショメータ76の検出値に基づいて、苗植付装置5(植付設定高さA1(設定深さ))に対する整地装置54の高さを認識することができる。
ダイヤル設定器79を標準位置に操作していると、整地設定高さA2(整地深さ)に変更はない。植付深さレバー42をレバーガイド43の一目盛りだけ操作した際の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量に対して、ダイヤル設定器79を低側(深側)及び高側(浅側)に操作することにより、最大で前述の植付設定高さA1(設定深さ)の変更量を越える範囲(約150%)に、整地設定高さA2(整地深さ)を低側(深側)及び高側(浅側)に変更することができる。
次に、昇降操作レバー53の操作に伴う整地装置54の昇降について説明する。
図3及び図10に示すように、プッシュオン・プッシュオフ式の操作スイッチ80が支持部材68に備えられており、操作スイッチ80の操作信号が制御装置40に入力されている。昇降操作レバー53が植付位置に操作されたことを検出するリミットスイッチ81が備えられて、リミットスイッチ81の検出信号が制御装置40に入力されており、リミットスイッチ81により植付及び施肥クラッチ23,37が伝動及び遮断状態が認識される。機体に対するリンク機構3の上下角度を検出するポテンショメータ82が備えられ、ポテンショメータ82の検出値が制御装置40に入力されており、ポテンショメータ82の検出値に基づいて、機体に対する苗植付装置5の高さH1を検出することができる。
前述の[発明を実施するための最良の形態]の図11のステップS7において、機体に対する苗植付装置5の高さH1に応じて、整地装置54の位置が上昇位置A3及び退避位置A5の間で変化するように構成するのではなく、以下のように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、右及び左の操作ロッド72を廃止し、図13に示すように構成してもよい。
図13に示すように、電動モータ73及び減速機構74が支持フレーム18(図3及び図4参照)の中央部付近に固定されている。整地装置54の左右中央のスペーサ63の部分にリング部材84が相対回転自在に外嵌され、減速機構74とリング部材84とに亘って操作ロッド85が接続されている。この場合、操作ロッド85に電動シリンダ83が備えられて、操作ロッド85を伸縮駆動することができるように構成されている。
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、電動シリンダ83を廃止し、電動モータ73及び減速機構74の作動範囲を充分に大きくして、電動モータ73及び減速機構74により、整地装置54を上方位置A3(作業位置A4)及び退避位置A5に亘って移動させるように構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、電動モータ73及び減速機構74を廃止し、人為的に操作される昇降レバー(図示せず)の操作によって、整地装置54を昇降するように構成してもよい。
5 水田作業装置
9,10 接地体
54 対地作業装置
73 電動モータ
83 移動手段
A4 作業位置
A5 退避位置
G 田面
Claims (3)
- 機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、前記水田作業装置に対地作業装置を支持して、
田面に接地する接地位置と、前記接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、前記水田作業装置を昇降自在に構成し、
前記水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、前記作業位置よりも後方に位置する退避位置とに、前記対地作業装置を移動自在に構成して、
前記水田作業装置が接地位置に下降し且つ前記対地作業装置が作業位置に移動している作業状態において、前記対地作業装置の前記水田作業装置に対する高さが設定高さになるよう前記対地作業装置を昇降させる電動モータを備え、
前記電動モータとは別に、前記水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、前記対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、前記水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、前記対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させる移動手段を備えてある水田作業機。 - 前記退避位置が、前記作業位置よりも後方であってかつ前記水田作業装置に備えられた接地体の下方の位置である請求項1記載の水田作業機。
- 機体の後部にリンク機構を介して水田作業装置を昇降自在に支持し、前記水田作業装置に対地作業装置を支持して、
田面に接地する接地位置と、前記接地位置の上方に位置する上昇位置とに亘って、前記水田作業装置を昇降自在に構成し、
前記水田作業装置の前側下方に位置する作業位置と、前記作業位置よりも後方に位置する退避位置とに、前記対地作業装置を移動自在に構成して、
前記水田作業装置が接地位置に下降し且つ前記対地作業装置が作業位置に移動している作業状態において、前記対地作業装置の前記水田作業装置に対する高さが設定高さになるよう前記対地作業装置を昇降させる電動モータを備え、
前記電動モータの作動範囲を前記作業状態における前記対地作業装置の昇降範囲よりも広い前記作業位置から前記退避位置に亘る範囲に設定して、この電動モータにより、前記水田作業装置が接地位置から上昇位置に上昇するのに伴って、前記対地作業装置を作業位置から退避位置に移動させ、前記水田作業装置が上昇位置から接地位置に下降するのに伴って、前記対地作業装置を退避位置から作業位置に移動させるように構成してあり、
前記退避位置が、前記作業位置よりも後方であってかつ前記水田作業装置に備えられた接地体の下方の位置である水田作業機。
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