JP4911800B2 - クレープ剤組成物及びクレープ紙の製造方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、クレープ剤組成物及びクレープ紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ティッシュやトイレットペーパー等のクレープを有するクレープ紙P2は、加熱された円筒状ドライヤーYの表面に紙体P1を押し付けて付着させ、一定の乾燥を経た後、ドクター刃Dで円筒状ドライヤーYから紙体P1を引き剥がすことにより生産される(図8参照)。
ここで、良質なクレープ紙を形成するには、加熱されている円筒状ドライヤーに対する紙体(クレープ紙)の付着性及び剥離性が重要であり、これらの度合いによりクレープ形態が大きく左右される。
【0003】
ところで、近年、ウェットパルプ、ドライパルプ、流送パルプ等、クレープ紙に使用されるパルプが多様化しており、特にコストダウンを目的として短繊維のL材が配合されることが多い。
また、製品の仕上げ水分を高くすることも多い。
これらの理由から、円筒状ドライヤーに押し付けられる湿紙に含まれる水分が高くなり、形成された層が部分的に溶解されるところもある。加えて、品質向上を目的として柔軟剤等が配合されることが多くなり、柔軟剤等によって形成された層が部分的に溶解される虞もある。
【0004】
これに対し、円筒状ドライヤーにクレープ剤と熱硬化性ポリマーとを付与し、円筒状ドライヤーの表面に層を形成することで、紙体の剥離性を向上させる試みがなされている。
例えば、ポリアミドポリアミンをエピクロロヒドリンと反応させ、次いで、無機酸、有機酸、モノアミン化合物又はモノメルカプト基含有化合物と反応させたクレープ剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、水溶性ポリマー及びリン酸系の安定剤を含むクレープ剤組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
なお、本発明者等は、以前に、二硫化モリブデンを含むクレープ剤組成物を発明している(例えば、特許文献3参照)。
かかる発明によれば、円筒状ドライヤーに対する紙体の付着性及び剥離性が一応向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】
特開平02−127597号公報
【特許文献2】
特表2002−522632号公報
【特許文献3】
特許第3304318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のクレープ剤及び特許文献2又は3に記載のクレープ剤組成物においては、形成される層の潤滑性が不十分である。このため、クレープ紙の付着性及び剥離性が不十分となり、その結果、クレープ数が少なくなって、クレープ紙の品質が悪化することになる。
また、潤滑性が不十分であると、ドクター刃との摩耗により形成された層が削られ易い。
さらに、円筒状ドライヤーとドクター刃の摺動性が悪化した場合、ドクター刃がスチック・スリップ現象を起し、チャターマークが生じることがある。
【0008】
これに加え、近年では、上述したように、ウェットパルプ、ドライパルプ、流送パルプ等、クレープ紙に使用されるパルプが多様化しているので、これらに含まれる水分や柔軟剤等によって、形成された層が部分的に溶解される虞もある。
【0009】
この場合、(クレープ)層の耐久性が不十分であるので、円筒状ドライヤーに直接ドクター刃が当たる、いわゆるメタルタッチが発生し、場合によっては、円筒状ドライヤーにスクラッチ傷と呼ばれる傷が付き、これによって断紙やクレープ紙にカカレ(紙に穴があく現象)が付くことがある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、形成された層の潤滑性及び耐久性が優れるクレープ剤組成物、及び、品質が優れるクレープ紙を製造できるクレープ紙の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、クレープ剤組成物の成分として、所定の粒子径を有する無機固体潤滑剤及び/又は有機固体潤滑剤からなる潤滑剤を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、(1)円筒状ドライヤーの表面に付与するためのクレープ剤組成物であって、無機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、潤滑剤を分散させる分散剤と、潤滑剤を円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含み、熱硬化性ポリマーが、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンであり、無機固体潤滑剤が窒化ホウ素又は窒化ケイ素であり、分散剤がポリアミン樹脂であり、潤滑剤の粒子径が0.5〜20μmであり、無機固体潤滑剤が0.1〜1.0質量%、分散剤が0.01〜0.2質量%、熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれており、無機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:10〜150であり、潤滑剤、熱硬化性ポリマー及び分散剤がいずれも窒素原子を含むクレープ剤組成物に存する。
【0013】
本発明は、(2)円筒状ドライヤーの表面に付与するためのクレープ剤組成物であって、有機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、潤滑剤を分散させる分散剤と、潤滑剤を円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含み、熱硬化性ポリマーが、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンであり、有機固体潤滑剤がメラミンシアヌレートであり、分散剤がポリアミン樹脂であり、潤滑剤の粒子径が0.5〜20μmであり、有機固体潤滑剤が0.1〜5.0質量%、分散剤が0.01〜1.0質量%、熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれており、有機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:2〜30であり、潤滑剤、熱硬化性ポリマー及び分散剤がいずれも窒素原子を含むクレープ剤組成物に存する。
【0014】
本発明は、(3)円筒状ドライヤーの表面に付与するためのクレープ剤組成物であって、有機固体潤滑剤及び無機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、潤滑剤を分散させる分散剤と、潤滑剤を円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含み、熱硬化性ポリマーがポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンであり、無機固体潤滑剤が窒化ホウ素又は窒化ケイ素であり、有機固体潤滑剤がメラミンシアヌレートであり、分散剤がポリアミン樹脂であり、潤滑剤の粒子径が0.5〜20μmであり、有機固体潤滑剤が0.1〜5.0質量%、無機固体潤滑剤が0.1〜1.0質量%、分散剤が0.02〜1.2質量%、熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれており、有機固体潤滑剤と無機固体潤滑剤との配合割合が質量比で、1〜10:1であり、潤滑剤、熱硬化性ポリマー及び分散剤がいずれも窒素原子を含むクレープ剤組成物に存する。
【0015】
本発明は、(4)円筒状ドライヤーの熱により熱硬化性ポリマーが硬化し、円筒状ドライヤーの表面にクレープ層が形成される上記(1)〜()のいずれか一つに記載のクレープ剤組成物に存する。
【0016】
本発明は、(5)無機固体潤滑剤の最大耐熱温度が500℃以上であり、無機固体潤滑剤の摩擦係数が0.002〜0.30である上記(1)又は()に記載のクレープ剤組成物に存する
【0017】
本発明は、()有機固体潤滑剤の最大耐熱温度が200℃以上であり、有機固体潤滑剤の摩擦係数が0.002〜0.30である上記()又は()に記載のクレープ剤組成物に存する。
【0023】
本発明は、()回転する円筒状ドライヤーの表面に付着させた紙体を、ドクター刃で円筒状ドライヤーから引き剥がし、クレープ紙とするクレープ紙の製造方法であって、円筒状ドライヤーに紙体が供給されている状態で、円筒状ドライヤーの表面に、上記(1)〜()のいずれか一つに記載のクレープ剤組成物を連続的に供給付与するクレープ紙の製造方法に存する。
【0024】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記(1)〜()を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【0025】
本発明のクレープ剤組成物は、円筒状ドライヤーの表面にクレープ剤組成物を付与し、加熱することにより、熱硬化性ポリマーが硬化し、その表面に層(以下「クレープ層」という。)が形成される。
このとき、上記クレープ剤組成物は、所定の粒子径を有する無機固体潤滑剤及び/又は有機固体潤滑剤からなる潤滑剤を含ませることにより、クレープ層の潤滑性が向上することになる。
これにより、ドクター刃とクレープ層との摩擦熱によるクレープ層の分解も抑制されるので、クレープ層の耐久性も向上する。
【0026】
また、上記クレープ剤組成物が、有機固体潤滑剤を含む場合、潤滑性を維持しつつ、水分の浸入が抑制される。特に、所定の粒子径を有する有機固体潤滑剤を含む場合、潤滑性を維持しつつ、水分の浸入がより抑制される。このため、クレープ層の耐久性をより向上させることができる。
【0027】
本発明のクレープ剤組成物は、潤滑剤及び熱硬化性ポリマーがいずれも窒素原子を含むと、互いの相容性が優れるので、潤滑剤が均一に分散されるようになる。
また、クレープ層においては、潤滑剤が均一に分散固定されることになる。なお、分散剤も窒素原子を含むものであることが好ましい。この場合、潤滑剤の分散安定性がより向上する。
【0028】
本発明のクレープ剤組成物は、潤滑剤が白色であると、微量のクレープ剤組成物が付着しても目立たない。すなわち、見た目の品質が向上する。なお、クレープ剤組成物の各成分は、クレープ紙に付着しても安全面、機能面で問題がないものである。
【0029】
本発明のクレープ剤組成物は、潤滑剤が無機固体潤滑剤であり、無機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:10〜150である場合、動摩擦力が小さくなるので、潤滑性が向上する。
また、潤滑剤が有機固体潤滑剤であり、有機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:2〜30である場合、動摩擦力が小さくなるので、潤滑性が向上する。
さらに、潤滑剤が有機固体潤滑剤及び無機固体潤滑剤であり、有機固体潤滑剤と無機固体潤滑剤との配合割合が質量比で、1〜10:1である場合、動摩擦力が小さくなるので、潤滑性が向上する。
【0030】
本発明のクレープ紙の製造方法は、上述したクレープ剤組成物を用いることにより、クレープ数が多いクレープ紙が製造できる。したがって、本発明のクレープ紙の製造方法によれば、生産性が優れると共に品質も向上するといえる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明に係るクレープ紙の製造方法における製造装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図2の(a)は、第1実施形態に係るクレープ紙の製造方法において、円筒状ドライヤーに凹部が形成されたときの円筒状ドライヤーの表面を示す概略図であり、(b)は、(a)の円筒状ドライヤーにクレープ剤組成物を付与しクレープ層を形成した後の円筒状ドライヤーの表面を示す概略図である。
【図3】図3の(a)は、第2実施形態に係るクレープ紙の製造方法において、円筒状ドライヤーに凹部が形成されたときの円筒状ドライヤーの表面を示す概略図であり、(b)は、(a)の円筒状ドライヤーにクレープ剤組成物を付与しクレープ層を形成した後の円筒状ドライヤーの表面を示す概略図である。
【図4】図4の(a)は、第3実施形態に係るクレープ紙の製造方法において、円筒状ドライヤーに凹部が形成されたときの円筒状ドライヤーの表面を示す概略図であり、(b)は、(a)の円筒状ドライヤーにクレープ剤組成物を付与しクレープ層を形成した後の円筒状ドライヤーの表面を示す概略図である。
【図5】図5は、実施例1で得られたクレープ剤組成物を用いて抄造されたクレープ紙の写真である。
【図6】図6は、比較例1で得られたクレープ剤組成物を用いて抄造されたクレープ紙の写真である。
【図7】図7は、動摩擦力測定の方法を説明するため図である。
【図8】図8は、従来のクレープ紙の製造方法における製造装置の一実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0033】
本発明のクレープ剤組成物は、潤滑剤、分散剤及び熱硬化性ポリマーを含む。
また、潤滑剤、分散剤及び熱硬化性ポリマーはいずれも窒素原子を含むことが好ましい。この場合、互いの相容性が優れるので、潤滑剤の分散安定性が向上する。
また、この場合、クレープ層においては潤滑剤が均一に分散固定されることになる。このため、円筒状ドライヤーにスクラッチ傷ができた場合であっても、補填することができ、均一なクレープ層を形成できる。
【0034】
クレープ剤組成物において、無機固体潤滑剤及び有機固体潤滑剤がいずれも白色であることが好ましい。この場合、微量のクレープ剤組成物がクレープ紙等に付着しても目立たない。すなわち、見た目の品質が向上する。
【0035】
クレープ剤組成物において、潤滑剤が0.1〜5.0質量%、分散剤が0.01〜1.0質量%、熱硬化性ポリマー0.1〜30質量%、含まれていることが好ましい。この場合、クレープ剤組成物の保存安定性が向上する。すなわち、分散された無機固体潤滑剤の沈降が起きにくくなる。また、クレープ層を形成した場合、耐久性が確実に向上する。
【0036】
[第1実施形態]
次に、本発明のクレープ剤組成物の第1実施形態について説明する。
第1実施形態に係るクレープ剤組成物は、無機固体潤滑剤及び有機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、該潤滑剤を分散させる分散剤と、無機固体潤滑剤を円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含む。
以下、無機固体潤滑剤、有機固体潤滑剤、分散剤、熱硬化性ポリマーについて更に詳細に説明する。なお、媒体としては、水が用いられる。また、かかる水の種類は、水道水、天然水、蒸留水、純水、イオン水、工業用水等、特に限定されない。
【0037】
(無機固体潤滑剤)
第1実施形態に係るクレープ剤組成物において、無機固体潤滑剤は、無機物からなり、耐熱性に優れる硬い固体である。
クレープ剤組成物が無機固体潤滑剤を含むことにより、クレープ層の強度が向上すると共に、ドクター刃とクレープ層との摩擦熱によるクレープ層の分解が抑制される。また、無機固体潤滑剤は、円筒状ドライヤーに形成されたスクラッチ傷等の凹部を物理的に埋める働きをする。
【0038】
上記無機固体潤滑剤は、上述したように、窒素原子を含む化合物であることが好ましい。この場合、柔軟剤等の浸入も抑制する効果があるので、柔軟剤等によるクレープ層の流出が抑制される。
【0039】
かかる無機固体潤滑剤としては、窒化ホウ素、窒化ケイ素、フッ化黒鉛等が挙げられる。
これらの中でも、無機固体潤滑剤は窒化ホウ素であることが好ましい。この場合、クレープ層の潤滑性をより向上させることができると共に、ドクター刃の磨耗性がより向上する。
【0040】
無機固体潤滑剤は白色であることが好ましい。この場合、微量の無機固体潤滑剤がクレープ紙に付着しても目立たない。すなわち、見た目の品質が向上する。なお、クレープ剤組成物の各成分は、クレープ紙に付着しても安全面、機能面で問題がないものである。
ちなみに、窒化ホウ素は白色である。
【0041】
無機固体潤滑剤は、粒子径が0.5〜20μmであり、1〜10μmであることが好ましい。
粒子径が0.5μm未満であると、クレープ層の潤滑性が不十分となる。すなわち、無機固体潤滑剤による耐久性向上の効果が発揮されない。一方、粒子径が20μmを超えると、クレープ層の円筒状ドライヤーへの接着性が低下する傾向にある。また、クレープ剤組成物としても媒体(水)に対する分散性が悪くなる。そうすると、クレープ剤組成物を付与しても付与ムラが生じやすい。
【0042】
無機固体潤滑剤の最大耐熱温度は、500℃以上であることが好ましい。この場合、ドクター刃とクレープ層との摩擦熱によるクレープ層の分解を確実に抑制できる。
無機固体潤滑剤の摩擦係数は、0.002〜0.30であることが好ましい。この場合、潤滑性を確実に発揮できる。
【0043】
(有機固体潤滑剤)
第1実施形態に係るクレープ剤組成物において、有機固体潤滑剤は、有機物からなり、耐水性に優れる軟らかい固体である。
クレープ剤組成物が有機固体潤滑剤を含むことにより、潤滑性を維持しつつ、水分の浸入が抑制される。また、有機固体潤滑剤は、加熱時には柔らかい固体になるので、円筒状ドライヤーに形成された凹部と無機固体潤滑剤との隙間を埋める働きをする。
【0044】
かかる有機固体潤滑剤としては、メラミンシアヌレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)等が挙げられる。
【0045】
これらの中でも、有機固体潤滑剤は、上述したように窒素原子を含む化合物であることが好ましい。すなわち、有機固体潤滑剤は、メラミンシアヌレートであることが好ましい。この場合、水分の浸入を更に抑制する効果がある。このため、水分によるクレープ層の流出が抑制される。
【0046】
有機固体潤滑剤は白色であることが好ましい。この場合、微量の有機固体潤滑剤が付着しても目立たない。すなわち、見た目の品質が向上する。なお、クレープ剤組成物の各成分は、クレープ紙に付着しても安全面、機能面で問題がないものである。
【0047】
有機固体潤滑剤は、粒子径が0.5〜20μmであり、1〜10μmであることが好ましい。
粒子径が0.5μm未満であると、クレープ層の潤滑性が不十分となる。すなわち、有機固体潤滑剤による耐久性向上の効果が発揮されない。一方、粒子径が20μmを超えると、クレープ層の円筒状ドライヤーへの接着性が低下する傾向にある。また、クレープ剤組成物としても媒体(水)に対する分散性が悪くなる。そうすると、クレープ剤組成物を付与しても付与ムラが生じやすい。
【0048】
有機固体潤滑剤の最大耐熱温度は、200℃以上であることが好ましい。
有機固体潤滑剤の摩擦係数は、0.002〜0.30であることが好ましい。この場合、潤滑性を確実に発揮できる。
【0049】
(分散剤)
第1実施形態に係るクレープ剤組成物において、分散剤は、上述した無機固体潤滑剤及び有機固体潤滑剤を分散させる働きをする。また、場合によっては、後述する熱硬化性ポリマーを分散させる働きもする。
【0050】
かかる分散剤としては、界面活性剤、ポリマー等、特に限定されないが、アルコール系のノニオンポリマー、又は、アミン系、アンモニウム塩系のカチオンポリマーであることが好ましい。これらの中でも、分散剤は、上述したように、窒素原子を含むカチオンポリマーであることがより好ましく、アミン系ポリマーであることが更に好ましい。かかるアミン系ポリマーとしては、ポリアミン樹脂が挙げられる。
無機固体潤滑剤及び有機固体潤滑剤が窒素原子を含む場合、分散剤がアミン系ポリマーであると、分散性が確実に向上する。
【0051】
(熱硬化性ポリマー)
第1実施形態に係るクレープ剤組成物において、熱硬化性ポリマーは、円筒状ドライヤーの熱により硬化する。したがって、熱硬化性ポリマーは、円筒状ドライヤーの表面に、上述した無機固体潤滑剤を固着させる機能を発揮する。
【0052】
かかる熱硬化性ポリマーは、水溶性であっても、水不溶性であってもよい。
熱硬化性ポリマーが水溶性の場合、溶媒である水に溶かして用いられる。一方、熱硬化性ポリマーが水不溶性の場合、溶媒である水に分散して用いられる。
【0053】
かかる熱硬化性ポリマーとしては、特に限定されないが、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、ポリアミンエピクロロヒドリン、シリル結合ポリアミドポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクル酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリN−ビニルピロリジノン、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グアーガム、デンプン、寒天、キトサン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0054】
これらの中でも、熱硬化性ポリマーは、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、ポリアミンエピクロロヒドリン、シリル結合ポリアミドポリアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド及びポリメタクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン又はポリアミンエピクロロヒドリンであることがより好ましい。
この場合、クレープ層の耐熱性、耐久性がより一層向上する。
【0055】
第1実施形態に係るクレープ剤組成物は、有機固体潤滑剤と無機固体潤滑剤との配合割合が質量比で、1〜10:1であることが好ましい。すなわち、無機固体潤滑剤1質量%に対し、有機固体潤滑剤が1〜10質量%含まれていることが好ましい。この場合、動摩擦力が小さくなるので、潤滑性がより向上する。このため、ドクター刃の交換を遅らせることができ、生産性も向上する。
【0056】
第1実施形態に係るクレープ剤組成物においては、有機固体潤滑剤が0.1〜5.0質量%、無機固体潤滑剤が0.1〜1.0質量%、分散剤が0.02〜1.2質量%、熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれていることが好ましい。この場合、クレープ剤組成物の保存安定性が向上する。すなわち、分散された無機固体潤滑剤の沈降が起きにくくなる。また、クレープ層を形成した場合、耐久性が確実に向上する。
【0057】
第1実施形態に係るクレープ剤組成物は、円筒状ドライヤーの表面に一定量ずつ供給付与される。そうすると、円筒状ドライヤーの熱により、熱硬化性ポリマーが硬化し、その表面に有機固体潤滑剤及び無機固体潤滑剤が固着されると共に、潤滑性に優れるクレープ層が形成される。これにより、円筒状ドライヤーの表面が平滑化される。なお、円筒状ドライヤーが破損し、表面に微細な凹部が形成された場合は、無機固体潤滑剤及び有機固体潤滑剤が該凹部に効率よく埋め込まれることになる。
また、ドクター刃とクレープ層との摩擦熱によるクレープ層の分解も抑制されるので、クレープ層の耐久性も向上する。
【0058】
そして、クレープ層が形成された後、紙体を円筒状ドライヤーの表面より引き剥がすため、クレープ層に対してドクター刃が押し当てられる。このとき、かかるクレープ層には潤滑剤が含まれるので、ドクター刃と円筒状ドライヤーの表面との間で潤滑作用が生じ、耐久性が向上することになる。
【0059】
なお、クレープ剤組成物を付与し続けることにより、減耗したクレープ層に新しい層が補填形成されることになる。
その結果、クレープ層にムラが生じなくなるので、円筒状ドライヤーに対するクレープ紙の付着性及び剥離性が向上する。したがって、第1実施形態に係るクレープ剤組成物を用いたクレープ紙の製造方法によれば、生産性が優れると共に品質も向上するといえる。
【0060】
因みに、紙体の円筒状ドライヤーに対する付着性が強いと、ドクター刃の表面から剥がされた後、緻密なクレープ(ミクロホールド)が形成され、逆に付着性が弱いと粗いクレープ(マクロホールド)が形成される。なお、ミクロホールドが多い程、クレープ紙の品質が向上し、マクロホールドが多い程、クレープ紙の品質が低下する。
また、紙体の円筒状ドライヤーに対する剥離性が低いと、紙体が円筒状ドライヤーの表面から剥がれず、ドクター刃の下を潜ってしまうような過付着現象が生じる。そうすると、紙体の表面に欠損傷がついたり、残った紙体により円筒状ドライヤーの表面が汚れることになる。なお、この現象はドクター刃の減耗が進んでくると顕になる。
このように、クレープ紙製造の分野においては、円筒状ドライヤーの表面に対する紙体の付着性と、円筒状ドライヤーの表面の紙体に対する剥離性の両方を向上させることが必要である。
【0061】
次に、第1実施形態に係るクレープ剤組成物の製造方法について説明する。
クレープ剤組成物は、潤滑剤を分散機で分散させることにより製造される。すなわち、まず、分散機に、有機固体潤滑剤、無機固体潤滑剤、分散剤、熱硬化性ポリマー及び水を入れ、所定時間分散させる。そして、ろ過精製することにより第1実施形態に係るクレープ剤組成物が得られる。なお、上記分散機は、ロールミル、ボールミル、コロイドミル、ジェットミル、ビーズミル等のいずれであってもよい。
【0062】
このとき、分散機には、有機固体潤滑剤、無機固体潤滑剤、分散剤、熱硬化性ポリマー及び水の他、添加剤を加えてもよい。
かかる添加剤としては、剥離剤、柔軟剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調整剤、防腐剤、浸透剤、難燃剤等が挙げられる。
【0063】
ここで、上記剥離剤としては、油類(鉱物油、合成油、植物油、動物油等)が挙げられる。具体的には、ポリブデンやパラフィンワックスが好ましい。
【0064】
次に、第1実施形態に係るクレープ剤組成物を用いたクレープ紙の製造方法について説明する。
図1は、本発明に係るクレープ紙の製造方法における製造装置の一実施形態を示す正面図である。
図1に示すように、本発明に係るクレープ紙の製造方法は、製造装置10を用いて実施される。
【0065】
上記製造装置10は、円筒状ドライヤー1と、該円筒状ドライヤー1の表面に紙体2を圧接するための圧接ローラー8,9と、円筒状ドライヤー1の表面に圧接され、紙体2を円筒状ドライヤー1から引き剥がすためのドクター刃3と、紙体2を引き剥がすことによって得られたクレープ紙5を巻き取るための巻き取りローラー6と、上述したクレープ剤組成物を円筒状ドライヤー1に供給付与するための散布ノズル7と、を備える。
【0066】
製造装置10においては、回転する円筒状ドライヤーの表面に紙体2が圧接ローラー8,9により圧接される。
これにより、紙体2が円筒状ドライヤー1に付着し、同時に加熱される。
そして、紙体2は、クレープ紙5となり、ドクター刃3により引き剥がされた後、巻き取りローラー6により巻き取られる。
こうして、クレープ紙5が製造される。
【0067】
一方、紙体2がドクター刃3により引き剥がされた後、円筒状ドライヤー1には、散布ノズル7により、クレープ剤組成物が散布される。なお、散布ノズル7の位置は、紙体への付着を極力少なくする観点から、ドクター刃3の後方であることが好ましい。
【0068】
このとき、クレープ剤組成物の散布量は、固形分量として、0.1μg〜100μg/mであることが好ましい。
散布量が0.1μg/m未満であると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、クレープ剤組成物が十分に円筒状ドライヤー1表面に付着せず、比較的紙粉が多くなり、ドクター刃3の交換サイクルも長くなる傾向にある。また、散布量が100μg/mを超えると、散布量が上記範囲内にある場合と比較して、余剰分が紙体に吸収されてしまう虞がある。
【0069】
クレープ剤組成物が、円筒状ドライヤー1の表面に散布されると、円筒状ドライヤー1の熱により熱硬化性ポリマーが硬化され、無機固体潤滑剤を含むクレープ層が形成される。
【0070】
ここで、クレープ層の形成について更に詳細に説明する。
図2の(a)は、第1実施形態に係るクレープ紙の製造方法において、円筒状ドライヤーに凹部が形成されたときの円筒状ドライヤーの表面を示す概略図であり、(b)は、(a)の円筒状ドライヤーにクレープ剤組成物を付与しクレープ層を形成した後の円筒状ドライヤーの表面を示す概略図である。
【0071】
図2の(a)に示すように、円筒状ドライヤー1においては、表面に圧接されているドクター刃3によって磨耗し、微細な凹部11が生じる。
そして、円筒状ドライヤー1にクレープ剤組成物が付与されると、熱と圧力により、図2の(b)に示すように、平滑な数ミクロン程度のクレープ層12が形成される。
【0072】
クレープ層12は、熱硬化性ポリマーが硬化した硬化熱硬化性ポリマー13中に無機固体潤滑剤13a及び有機固体潤滑剤13bが分散された形態となっている。
また、円筒状ドライヤー1の凹部11には、無機固体潤滑剤13a及び有機固体潤滑剤13bが充填される。このとき、硬い無機固体潤滑剤13a凹部11に入り込み、柔らかい有機固体潤滑剤13bが無機固体潤滑剤13aと凹部11との隙間に充填されるので、より強固な層となる。
【0073】
このように、クレープ層12は、所定の粒子径を有する無機固体潤滑剤13a及び有機固体潤滑剤13bを含んでいるので、ドクター刃3による摩耗が抑制され、また、所定の無機固体潤滑剤13a及び有機固体潤滑剤13bを用いることにより、水分や柔軟剤等の浸入を防げる。
また、凹部11に無機固体潤滑剤13a及び有機固体潤滑剤13bが充填されることにより、円筒状ドライヤー1の表面が平滑化されるので、紙体の付着性が向上し、無機固体潤滑剤13a及び有機固体潤滑剤13bにより剥離性も向上することになる。
よって、本発明のクレープ紙の製造方法によれば、生産性が優れると共に品質も優れたクレープ紙が得られる。
【0074】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るクレープ剤組成物は、無機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、無機固体潤滑剤を分散させる分散剤と、無機固体潤滑剤を円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含む。すなわち、第2実施形態に係るクレープ剤組成物は、有機固体潤滑剤を含まないこと以外は、第1実施形態に係るクレープ剤組成物と同様である。
【0075】
第2実施形態に係るクレープ剤組成物は、無機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:10〜150であることが好ましい。すなわち、無機固体潤滑剤1質量%に対し、熱硬化性ポリマーが10〜150質量%含まれていることが好ましい。この場合、動摩擦力が小さくなるので、潤滑性がより向上する。このため、ドクター刃の交換を遅らせることができ、生産性も向上する。
【0076】
第2実施形態に係るクレープ剤組成物においては、無機固体潤滑剤が0.1〜1.0質量%、分散剤が0.01〜0.2質量%、熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれていることが好ましい。この場合、クレープ剤組成物の保存安定性が向上する。すなわち、分散された無機固体潤滑剤の沈降が起きにくくなる。また、クレープ層を形成した場合、耐久性が確実に向上する。
【0077】
第2実施形態に係るクレープ剤組成物は、円筒状ドライヤーの表面に一定量ずつ供給付与される。そうすると、円筒状ドライヤーの熱により、熱硬化性ポリマーが硬化し、その表面に無機固体潤滑剤が固着されると共に、潤滑性に優れるクレープ層が形成される。これにより、円筒状ドライヤーの表面が平滑化される。なお、円筒状ドライヤーが破損し、表面に微細な凹部が形成された場合は、無機固体潤滑剤が該凹部に効率よく埋め込まれることになる。
また、ドクター刃とクレープ層との摩擦熱によるクレープ層の分解も抑制されるので、クレープ層の耐久性も向上する。
【0078】
そして、クレープ層が形成された後、紙体を円筒状ドライヤーの表面より引き剥がすため、クレープ層に対してドクター刃が押し当てられる。このとき、かかるクレープ層には潤滑剤が含まれるので、ドクター刃と円筒状ドライヤーの表面との間で潤滑作用が生じ、耐久性が向上することになる。
【0079】
なお、クレープ剤組成物を付与し続けることにより、減耗したクレープ層に新しい層が補填形成されることになる。
その結果、クレープ層にムラが生じなくなるので、円筒状ドライヤーに対するクレープ紙の付着性及び剥離性が向上する。したがって、第2実施形態に係るクレープ剤組成物を用いたクレープ紙の製造方法によれば、生産性が優れると共に品質も向上するといえる。
【0080】
次に、クレープ層の形成について説明する。
図3の(a)は、第2実施形態に係るクレープ紙の製造方法において、円筒状ドライヤーに凹部が形成されたときの円筒状ドライヤーの表面を示す概略図であり、(b)は、(a)の円筒状ドライヤーにクレープ剤組成物を付与しクレープ層を形成した後の円筒状ドライヤーの表面を示す概略図である。
【0081】
図3の(a)に示すように、円筒状ドライヤー1においては、表面に圧接されているドクター刃3によって磨耗し、微細な凹部11が生じる。
そして、円筒状ドライヤー1にクレープ剤組成物が付与されると、熱と圧力により、図3の(b)に示すように、平滑な数ミクロン程度のクレープ層12が形成される。
【0082】
クレープ層12は、熱硬化性ポリマーが硬化した硬化熱硬化性ポリマー13中に無機固体潤滑剤13aが分散された形態となっている。
また、円筒状ドライヤー1の凹部11には、無機固体潤滑剤13aが充填される。
【0083】
このように、クレープ層12は、所定の粒子径を有する無機固体潤滑剤13aを含んでいるので、ドクター刃3による摩耗が抑制される。
また、凹部11に無機固体潤滑剤13aが充填されることにより、円筒状ドライヤー1の表面が平滑化されるので、紙体の付着性が向上し、無機固体潤滑剤13aにより剥離性も向上することになる。
よって、本発明のクレープ紙の製造方法によれば、生産性が優れると共に品質も優れたクレープ紙が得られる。
【0084】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るクレープ剤組成物は、有機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、有機固体潤滑剤を分散させる分散剤と、有機固体潤滑剤を円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含む。すなわち、第実施形態に係るクレープ剤組成物は、無機固体潤滑剤を含まないこと以外は、第1実施形態に係るクレープ剤組成物と同様である。
【0085】
第3実施形態に係るクレープ剤組成物は、有機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:2〜30であることが好ましい。すなわち、有機固体潤滑剤1質量%に対し、熱硬化性ポリマーが2〜30質量%含まれていることが好ましい。この場合、動摩擦力が小さくなるので、潤滑性がより向上する。このため、ドクター刃の交換を遅らせることができ、生産性も向上する。
【0086】
第3実施形態に係るクレープ剤組成物においては、有機固体潤滑剤が0.1〜5.0質量%、分散剤が0.01〜1.0質量%、熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれていることが好ましい。この場合、クレープ剤組成物の保存安定性が向上する。すなわち、分散された無機固体潤滑剤の沈降が起きにくくなる。また、クレープ層を形成した場合、耐久性が確実に向上する。
【0087】
第3実施形態に係るクレープ剤組成物は、円筒状ドライヤーの表面に一定量ずつ供給付与される。そうすると、円筒状ドライヤーの熱により、熱硬化性ポリマーが硬化し、その表面に有機固体潤滑剤が固着されると共に、潤滑性に優れるクレープ層が形成される。これにより、円筒状ドライヤーの表面が平滑化される。なお、円筒状ドライヤーが破損し、表面に微細な凹部が形成された場合は、有機固体潤滑剤が該凹部に効率よく埋め込まれることになる。
また、ドクター刃とクレープ層との摩擦熱によるクレープ層の分解も抑制されるので、クレープ層の耐久性も向上する。
【0088】
そして、クレープ層が形成された後、紙体を円筒状ドライヤーの表面より引き剥がすため、クレープ層に対してドクター刃が押し当てられる。このとき、かかるクレープ層には潤滑剤が含まれるので、ドクター刃と円筒状ドライヤーの表面との間で潤滑作用が生じ、耐久性が向上することになる。
【0089】
なお、クレープ剤組成物を付与し続けることにより、減耗したクレープ層に新しい層が補填形成されることになる。
その結果、クレープ層にムラが生じなくなるので、円筒状ドライヤーに対するクレープ紙の付着性及び剥離性が向上する。したがって、第3実施形態に係るクレープ剤組成物を用いたクレープ紙の製造方法によれば、生産性が優れると共に品質も向上するといえる。
【0090】
次に、クレープ層の形成について説明する。
図4の(a)は、第3実施形態に係るクレープ紙の製造方法において、円筒状ドライヤーに凹部が形成されたときの円筒状ドライヤーの表面を示す概略図であり、(b)は、(a)の円筒状ドライヤーにクレープ剤組成物を付与しクレープ層を形成した後の円筒状ドライヤーの表面を示す概略図である。
【0091】
図4の(a)に示すように、円筒状ドライヤー1においては、表面に圧接されているドクター刃3によって磨耗し、微細な凹部11が生じる。
そして、円筒状ドライヤー1にクレープ剤組成物が付与されると、熱と圧力により、図3の(b)に示すように、平滑な数ミクロン程度のクレープ層12が形成される。
【0092】
クレープ層12は、熱硬化性ポリマーが硬化した硬化熱硬化性ポリマー13中に有機固体潤滑剤13bが分散された形態となっている。
また、円筒状ドライヤー1の凹部11には、有機固体潤滑剤13bが充填される。
【0093】
このように、クレープ層12は、所定の粒子径を有する有機固体潤滑剤13bを含んでいるので、ドクター刃3による摩耗が抑制される。
また、凹部11に有機固体潤滑剤13bが充填されることにより、円筒状ドライヤー1の表面が平滑化されるので、紙体の付着性が向上し、有機固体潤滑剤13bにより剥離性も向上することになる。
よって、本発明のクレープ紙の製造方法によれば、生産性が優れると共に品質も優れたクレープ紙が得られる。
【0094】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0095】
例えば、本実施形態に係るクレープ剤組成物は、熱硬化性ポリマーを含んでいるが、含んでいなくてもよい。
この場合、熱硬化性ポリマーは別途、円筒状ドライヤーに塗布される。
また、溶媒として水を用いているが、水にアルコールや酸等を加えて用いてもよい。
【0096】
本実施形態に係るクレープ剤組成物は、円筒状ドライヤーの表面に付与して用いられるが、抄紙機のハニカムドライヤー、エアースルードライヤー、ベルト型ドライヤー、プレスロール等に用いることも可能である。
【実施例】
【0097】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
(実施例1)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン(熱硬化性ポリマー、製品名:WS4020、星光PMC株式会社製)3質量%と、窒化ホウ素(無機固体潤滑剤、粒子径3.8μm)0.05質量%と、メラミンシアヌレート(有機固体潤滑剤、粒子径1.1μm)1質量%と、ポリアミン樹脂(分散剤)適量(潤滑剤の全質量に対して10%の質量)と、水と、を混合し、分散機で分散させ、クレープ剤組成物を得た。
【0099】
(実施例2)
窒化ホウ素の配合割合を0.1質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0100】
(実施例3)
窒化ホウ素の配合割合を0.2質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0101】
(実施例4)
窒化ホウ素の配合割合を0.6質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0102】
(実施例5)
窒化ホウ素の配合割合を1質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0103】
(実施例6)
窒化ホウ素の配合割合を1.2質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0104】
(実施例7)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を1質量%とし、窒化ホウ素を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0105】
(実施例8)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を2質量%としたこと以外は、実施例7と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0106】
(実施例9)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を3質量%としたこと以外は、実施例7と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0107】
(実施例10)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を15質量%としたこと以外は、実施例7と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0108】
(実施例11)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を30質量%としたこと以外は、実施例7と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0109】
(実施例12)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を40質量%としたこと以外は、実施例7と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0110】
(実施例13)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を1質量%とし、窒化ホウ素の配合割合を0.2質量%とし、メラミンシアヌレートを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0111】
(実施例14)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を2質量%としたこと以外は、実施例13と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0112】
(実施例15)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を3質量%としたこと以外は、実施例13と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0113】
(実施例16)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を15質量%としたこと以外は、実施例13と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0114】
(実施例17)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を30質量%としたこと以外は、実施例13と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0115】
(実施例18)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を40質量%としたこと以外は、実施例13と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0116】
(実施例19)
ポリアミン樹脂(カチオン性分散剤)の代わりに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン性分散剤)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてクレープ剤組成物を得た。
【0117】
(比較例1)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を30質量%とし、窒化ホウ素及びメラミンシアヌレートを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、クレープ剤組成物を得た。
【0118】
(比較例2)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンの配合割合を3質量%とし、窒化ホウ素及びメラミンシアヌレートを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、クレープ剤組成物を得た。
【0119】
(比較例3)
ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンを用いず、窒化ホウ素の配合割合を0.2質量%とし、メラミンシアヌレートの配合割合を1質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、クレープ剤組成物を得た。
【0120】
(比較例4)
ポリアミン樹脂を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、クレープ剤組成物を得た。
【0121】
[評価]
1.ティッシュペーパーの抄造試験
ティシュペーパー(クレープ紙)の抄造において、実施例1〜18及び比較例1〜3で得られたクレープ剤組成物を、抄速:1300m/分、紙幅:4m、ティッシュペーパーの坪量:17g/m、コーティング剤噴霧量:4mg/m(ドライヤー単位面積辺り)、の条件で円筒状ドライヤーの表面に連続噴霧した。連続噴霧中、ドクター刃が破損した場合、別のドクターに交換した。
【0122】
まず、実施例1〜18及び比較例1〜3のクレープ剤組成物それぞれにおけるドクターの交換までの時間を計測した。なお、ドクター刃の交換時間が延長するほど生産性の観点から好ましいことになる。
【0123】
次に、24時間後、製造されたティッシュペーパーの単位面積辺りのクレープ数を計測した。なお、単位面積辺りのクレープ数が多いほど品質上好ましい。
得られた結果をそれぞれ表1に示す。また、実施例1で得られたクレープ剤組成物を用いて抄造されたクレープ紙の写真を図5に、比較例1で得られたクレープ剤組成物を用いて抄造されたクレープ紙の写真を図6にそれぞれ示す。
【0124】
2.動摩擦力測定
次に、本発明の機能性組成物が動摩擦力を低下させる効果を確かめる試験を行った。
図7は、動摩擦力測定の方法を説明するための図である。
図7に示す通り、セラミックス溶射板51全面に実施例1〜18及び比較例1〜3で得られたクレープ剤組成物を塗布し、それを110℃の恒温層に入れ、厚みが0.5mmとなったクレープ層を形成した。
【0125】
次いで、セラミック溶射板51と一定の角度(α=30°)で立てたカーボン製ドクターブレード56とロードセル55とをワイヤーで接続し、且つロードセル55とモーター57とをワイヤーで接続した。
【0126】
そして、モーター57でロードセル55を引っ張り、カーボン製ドクターブレード56がセラミック溶射板51を摺動する間にロードセル55が示す動摩擦力を測定した。得られた結果を表1に示す。なお、セラミック溶射板51に水のみを付与した場合の動摩擦力を100として、各実施例の動摩擦力を規格値(ブランクに対する相対値)で示す。
【0127】
〔表1〕
Figure 0004911800
【0128】
表1の結果から、熱硬化性ポリマーと潤滑剤とが含まれていると、潤滑性のあるクレープ層を形成でき、良好なクレープ状態とドクター刃の耐磨耗性による交換時間の延長を提供できることが確認された。
また、潤滑剤が有機固体潤滑剤及び無機固体潤滑剤である場合、有機固体潤滑剤と無機固体潤滑剤との配合割合が質量比で、1〜10:1であることが好ましく、潤滑剤が無機固体潤滑剤である場合、無機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:10〜150であることが好ましく、潤滑剤が有機固体潤滑剤である場合、有機固体潤滑剤と熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:2〜30であることが好ましいことがわかった。なお、比較例3のクレープ剤組成物では、クレープ層が形成されなかった。
【0129】
3.硬度調査
実施例3,19及び比較例1,4で得られたクレープ剤組成物を用いて皮膜の硬度を調査した。
まず、各クレープ剤組成物を金属板に膜厚が0.1mmとなるように塗布した。そして、110℃の恒温槽に入れ、クレープ層を形成させた後、恒温槽から取出し、10分間放冷させることにより、サンプルを作製した。
サンプルに対し、先端を尖らせた鉛筆(6B,5B,4B,3B,2B,1B,1H,2H,3H,4H,5H,6H,7H,8H)を用いて荷重をかけ、上記クレープ層の表面を滑らせた。
このとき、皮膜を傷つけた鉛筆の硬度を測定した。なお、鉛筆は、6Bが最も軟らかく、8Hが最も硬い。
得られた結果を表2に示す。
【0130】
〔表2〕
Figure 0004911800
【0131】
表2の結果から、無機固体潤滑剤と有機固体潤滑剤とを含むことで皮膜の硬度が高くなり、より安定な皮膜を形成できることがわかった。特に、窒素原子を含む分散剤を用いると、皮膜の硬度がより向上することがわかった。なお、比較例4は、クレープ剤組成物に沈殿が生じ、均一な皮膜を形成できなかった。
以上より、本発明のクレープ剤組成物を用いることによって、形成された層の耐久性が向上することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明のクレープ剤組成物は、クレープ紙の抄造の際に、円筒状ドライヤーに付与して用いられる。本発明のクレープ剤組成物によれば、形成された層の潤滑性及び耐久性が優れ、また、得られるクレープ紙は品質が優れるものとなる。
【符号の説明】
【0133】
1,Y・・・円筒状ドライヤー
2,P1・・・紙体
3,D・・・ドクター刃
5,P2・・・クレープ紙
6・・・巻き取りローラー
7・・・散布ノズル
8,9・・・圧接ローラー
10・・・製造装置
11・・・凹部
12・・・クレープ層
13・・・硬化熱硬化性ポリマー
13a・・・無機固体潤滑剤
13b・・・有機固体潤滑剤
51・・・セラミックス溶射板
55・・・ロードセル
56・・・ドクターブレード
57・・・モーター

Claims (7)

  1. 円筒状ドライヤーの表面に付与するためのクレープ剤組成物であって、
    機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、前記潤滑剤を分散させる分散剤と、前記潤滑剤を前記円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含み、
    前記熱硬化性ポリマーが、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンであり、
    前記無機固体潤滑剤が窒化ホウ素又は窒化ケイ素であり、
    前記分散剤がポリアミン樹脂であり、
    前記潤滑剤の粒子径が0.5〜20μmであり、
    前記無機固体潤滑剤が0.1〜1.0質量%、前記分散剤が0.01〜0.2質量%、前記熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれており、
    前記無機固体潤滑剤と前記熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:10〜150であり、
    前記潤滑剤、前記熱硬化性ポリマー及び前記分散剤がいずれも窒素原子を含むクレープ剤組成物。
  2. 円筒状ドライヤーの表面に付与するためのクレープ剤組成物であって、
    有機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、前記潤滑剤を分散させる分散剤と、前記潤滑剤を前記円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含み、
    前記熱硬化性ポリマーが、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンであり、
    前記有機固体潤滑剤がメラミンシアヌレートであり、
    前記分散剤がポリアミン樹脂であり、
    前記潤滑剤の粒子径が0.5〜20μmであり、
    前記有機固体潤滑剤が0.1〜5.0質量%、前記分散剤が0.01〜1.0質量%、前記熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれており、
    前記有機固体潤滑剤と前記熱硬化性ポリマーとの配合割合が質量比で、1:2〜30であり、
    前記潤滑剤、前記熱硬化性ポリマー及び前記分散剤がいずれも窒素原子を含むクレープ剤組成物。
  3. 円筒状ドライヤーの表面に付与するためのクレープ剤組成物であって、
    有機固体潤滑剤及び無機固体潤滑剤からなる潤滑剤と、前記潤滑剤を分散させる分散剤と、前記潤滑剤を前記円筒状ドライヤーの表面に固着させるための熱硬化性ポリマーと、溶媒である水と、を含み、
    前記熱硬化性ポリマーがポリアミドポリアミンエピクロロヒドリンであり、
    前記無機固体潤滑剤が窒化ホウ素又は窒化ケイ素であり、
    前記有機固体潤滑剤がメラミンシアヌレートであり、
    前記分散剤がポリアミン樹脂であり、
    前記潤滑剤の粒子径が0.5〜20μmであり、
    前記有機固体潤滑剤が0.1〜5.0質量%、前記無機固体潤滑剤が0.1〜1.0質量%、前記分散剤が0.02〜1.2質量%、前記熱硬化性ポリマーが0.1〜30質量%、含まれており、
    前記有機固体潤滑剤と前記無機固体潤滑剤との配合割合が質量比で、1〜10:1であり、
    前記潤滑剤、前記熱硬化性ポリマー及び前記分散剤がいずれも窒素原子を含むクレープ剤組成物。
  4. 前記円筒状ドライヤーの熱により前記熱硬化性ポリマーが硬化し、前記円筒状ドライヤーの表面にクレープ層が形成される請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレープ剤組成物。
  5. 前記無機固体潤滑剤の最大耐熱温度が500℃以上であり、
    前記無機固体潤滑剤の摩擦係数が0.002〜0.30である請求項1又は3に記載のクレープ剤組成物。
  6. 前記有機固体潤滑剤の最大耐熱温度が200℃以上であり、
    前記有機固体潤滑剤の摩擦係数が0.002〜0.30である請求項2又は3に記載のクレープ剤組成物。
  7. 回転する円筒状ドライヤーの表面に付着させた紙体を、ドクター刃で前記円筒状ドライヤーから引き剥がし、クレープ紙とするクレープ紙の製造方法であって、
    前記円筒状ドライヤーに前記紙体が供給されている状態で、円筒状ドライヤーの表面に、請求項1〜のいずれか一項に記載のクレープ剤組成物を連続的に供給付与するクレープ紙の製造方法。
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