以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
本実施の形態においては、本発明にかかる画像形成装置をタンデム方式のデジタルカラー複写機(以下、複写機という)で適用する場合について説明する。しかしながら、本発明にかかる画像形成装置は複写機に限定されず、駆動機構にステッピングモータが用いられる画像形成装置であれば、プリンタやファクシミリ装置やそれらの複合機であるMFP(Multi Function Peripheral)などであってもよい。また、印刷方式もタンデム方式に限定されるものではなく、さらにデジタル方式に限定されるものでもない。さらに、カラー機でなくモノクロ機であってもよい。
カラータンデム方式の画像形成装置は、各々現像器を含んだ4色の作像部が中間転写体である中間転写ベルトに沿って列設されて構成され、それぞれに形成された各色のトナー画像を上記中間転写ベルトに転写し(一次転写)、各色トナーの重ね合わせにより多色画像を形成する。さらに、中間転写ベルト上で重ね合わされた画像を印刷媒体である用紙上に転写し(二次転写)、定着工程を経て出力する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置が適用される、本実施の形態にかかる複写機1のハードウェア構成の概略を示す模式的断面図である。複写機1は、タンデム方式のデジタルカラー複写機であって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の4色のトナーを順次重ね合わせることによってカラー画像を形成する。
図1を参照して、本実施の形態にかかる複写機1は、画像読取部10と、用紙搬送部20と、画像形成部30と、用紙格納部40とを含む。
画像読取部10は、原稿をセットするための戴荷台3と、原稿台ガラス11と、戴荷台3にセットされた原稿を原稿台ガラス11に自動的に1枚ずつ搬送する搬送部2と、読取られた原稿を排出するための排出台4とを含む。さらに、原稿読取部10は、図示しないスキャナを含む。スキャナは、スキャンモータによって原稿台ガラス11と平行移動する。スキャナには、原稿を照射する露光ランプ、原稿からの反射光の向きを変える反射ミラー、反射ミラーからの光路を変えるミラー、反射光を集光するレンズ、および受光した反射光に応じて電気信号を発生する3列(R,G,B)のCCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子が含まれる。
搬送部2によって搬送された原稿は原稿台ガラス11上にセットされ、スキャナが原稿台ガラス11と平行に移動するとき露光走査される。原稿からの反射光は光電変換素子によって電気信号に変換され、画像形成部30に入力される。
画像形成部30は、複数のローラ32,33,34により弛まないように懸架され、これらのローラが図1中で反時計回り(図1中の矢印A方向)に回転することで、所定速度で同方向に回転する無端ベルトである中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31に沿って所定間隔で配置されるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)各色トナーに対応する作像部21Y,21M,21C,21K(これらを代表させて作像部21とする)と、各作像部21に含まれる現像器と、感光体と中間転写ベルト31を介して対をなす転写ローラ25Y,25M,25C,25K(これらを代表させて転写ローラ25とする)と、中間転写ベルト31に転写されたトナー像を用紙に転写されたトナー像が用紙に転写された後に定着させる定着器36と、CPU(Central Processing Unit)13(図2参照)などを含むコントローラ100と、コントローラ100で実行されるプログラムなどを記憶するメモリ101とを含む。
用紙格納部40は、印刷媒体である用紙Sを収納する給紙カセット41を含み、用紙搬送部20は、給紙カセット41から用紙Sを搬送するためのローラ42,43,35,37、および印刷された用紙を排出する排紙トレイ38を含む。
コントローラ100は、図示しない操作パネル等から入力される指示信号に基づいてメモリ101からプログラムを読出して実行し、上記各部を制御する。また、コントローラ100は内部にタイマなどの計時手段を備えて、所定時間が計時されたときにプログラムを実行してもよい。なお、コントローラ100およびメモリ101は画像形成部30以外の画像読取部10や用紙搬送部20などに備えられてもよい。
コントローラ100は上記プログラムを実行することで、画像読取部10や外部装置などから入力された画像信号に対して所定の画像処理を施し、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの各色に色変換したデジタル信号を作成する。コントローラ100で作成された、上記画像を形成するための、シアン用の画像色データ、マゼンタ用の画像色データ、イエロー用の画像色データ、およびブラック用の画像色データは、各色に応じてコントローラ100から作像部21の露光器に出力される。
露光器が、コントローラ100から入力された画像データに基づいて、感光体にレーザビームを出力することで、均一に帯電された感光体の表面が画像データに応じて露光され、静電潜像が形成される。現像ローラには現像バイアス電圧が印加されて、感光体の潜像電位との間に電位差が発生する。その状態において電荷を帯びたトナーが供給されることによって、感光体の表面にトナー像が形成される。感光体の表面に形成されたトナー像は、定電圧もしくは定電流の転写ローラ25によって、像担持体である中間転写ベルト31に転写される。これを一次転写と言う。
中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像は、ローラ34によって、給紙カセット41から搬送された用紙Sに転写される。これを二次転写と言う。用紙に二次転写されたトナー像は、定着器36によって用紙に定着され、電子写真画像として排紙トレイ38に排紙される。
複写機1の駆動機構のうち、たとえば作像部21内の感光体を駆動させる機構(以下、PC(Photo Conductor)駆動部と称する)や、定着器36を駆動させる機構(以下、定着駆動部と称する)や、用紙搬送部20のローラ42,43,35,37を駆動させる機構や、トナーユニットから作像部21のトナーを感光体に供給する機構に対してトナーを補給するための機構(以下、トナー補給駆動部と称する)にステッピングモータが用いられ得る。図1においては、ステッピングモータM1が定着駆動部に用いられるステッピングモータの1つの具体例、ステッピングモータM2がPC駆動部に用いられるステッピングモータの1つの具体例、およびステッピングモータM3がトナー補給駆動部に用いられるステッピングモータの1つの具体例を指している。なお、本発明においては、ステッピングモータが用いられる駆動機構は上記機構に限定されず、他の機構で用いられていてもよい。また、上記機構のいずれか1つまたは2つで用いられていてもよい。本実施の形態では、用いられるステッピングモータが2相バイポーラタイプであるものとする。
本実施の形態にかかる複写機1では、上述の定電流駆動方式でステッピングモータの駆動が制御される。図2は、ステッピングモータの駆動を制御するための駆動回路の等価回路図の具体例であって、2相バイポーラタイプのステッピングモータの駆動回路の回路図の具体例を示す図である。
図2を参照して、本実施の形態にかかるステッピングモータの駆動回路は、CPU13に、ステッピングモータMに接続されたモータドライバ回路12の入力端子が接続される。モータドライバ回路12はCPU13からの制御信号に従って励磁信号をステッピングモータMに出力し、ステッピングモータMの駆動(回転)を制御する。ステッピングモータMのトルクはモータドライバ回路12のVref端子の電圧を変化させることで設定される。なお、図2において、モータドライバ回路12のVref端子の電圧はCPU13からの制御信号によって設定される回路構成が示されているが、抵抗の分圧で設定される構成であってもよい。
また、モータドライバ回路12の出力端子の一端は接地され(GND)、他の一端であるsense端子は、電流検出抵抗14と、増幅回路15を介してCPU13とに接続される。この回路構成によって、Vref端子の電圧と接地された端子との電圧差(Vref電位)に応じた電流がステッピングモータMに供給される。また、sense端子から流出する電流と電流検出抵抗14とで得られる、sense端子と接地された端子との間の電圧、つまりsense端子の電位がCPU13においても検出される。CPU13においてsense端子の電位の変化を検出することで、ステッピングモータMに流れる電流の変化を検出することができる。
図3を用いて、ステッピングモータMに流れる電流(モータ電流と言う)の増減率の変化を説明する。
図3(A)を参照して、ステッピングモータMにモータドライバ回路12より、新たに励磁信号が入力されると、または現在励磁している相から他の相に切替って励磁信号が入力されると、モータコイルに電流が流れ始め、モータ電流が増加して電流波形が上昇する。
CPU13は、モータ電流が設定電流まで増加したことを検出すると、モータドライバ回路12に制御信号を出力して、モータ電流のON,OFFを繰返すような励磁信号を出力させる。その結果、モータ電流は設定電流に維持される。
モータ電流波形において、新たに励磁信号が入力され、または現在励磁している相から他の相に切替って励磁信号が入力されて、電流値が上昇を始める点を「立上がり点」と称し、立上がり点から設定電流になるまで上昇する領域を「立上がり領域」と称し、設定電流が維持されている領域を「定電流制御領域」と称する。
立上がり領域では、励磁信号が入力された直後は、モータ電流の増減率(増加率)が低く、徐々に増減率が増大する。そして、定電流制御領域に近付くにつれて増減率が低くなるという傾向があることが分かっている。なお、図3(A)〜図3(D)に示された各例では、増減率は正の値で増加率であることが示されているが、ステッピングモータMの特性や、ステッピングモータMを駆動させるために必要な負荷トルクによっては増減率が負の値となり減少率となることがある。
さらに、上述の、増大する増減率が低くなるポイントと、装置でステッピングモータを駆動させるために必要な負荷トルクに対して現在設定されている定電流値でのモータ出力との関係について、図3(A)〜図3(D)を用いて説明する。立上がり領域において増減率が変化する(増大する増減率が一旦低くなる)ポイントを「変曲点」と称する。
複写機1でステッピングモータを駆動させるために必要な負荷トルクに対して現在設定されている定電流値でのモータ出力が大きい場合、言い換えると、現在設定されている定電流値でのモータ出力に対して必要な負荷トルクが軽い場合、図3(C)に示されるように、変曲点が定電流制御領域よりも立上がり点に近い位置に発生する。
複写機1で必要な負荷トルクに対して現在設定されている定電流値でのモータ出力が適正である場合、言い換えると、現在設定されている定電流値でのモータ出力に対して必要な負荷トルクが重くなると、図3(B)に示されるように、変曲点は図3(C)に示された位置よりも定電流制御領域に近付く。
複写機1で必要な負荷トルクに対して現在設定されている定電流値でのモータ出力が小さい場合、言い換えると、現在設定されている定電流値でのモータ出力に対して必要な負荷トルクがさらに重くなると、図3(A)に示されるように、変曲点は図3(B)に示された位置よりも定電流制御領域により近付き、定電流制御領域に到達するまでに発生しなくなる。
なお、複写機1で必要な負荷トルクに対して現在設定されている定電流値でのモータ出力が極めて小さい場合、言い換えると、現在設定されている定電流値でのモータ出力に対して必要な負荷トルクがさらに重くなると、図3(D)に示されるように、電流波形の立上がりから定電流制御領域に到達するまでの時間が短くなる。これは、複写機1で必要な負荷トルクに対して現在設定されている定電流値でのモータ出力が小さすぎる状態、つまり必要な負荷トルクに対して現在の定電流値の設定では適切なモータ出力の駆動ではないことを示している。これは、信頼性のない状態でのモータ駆動、脱調状態であると言える。
本実施の形態の複写機1では、以上の、変曲点と装置で必要な負荷トルクに対する現在設定されている定電流値でのモータ出力との関係より、立上がり領域での変曲点の発生位置に着目して、所定タイミングでの複写機1でステッピングモータを駆動させるために必要な負荷トルクに応じて定電流の設定値を変更する。
図4は、本実施の形態にかかる複写機1において定電流の設定値を変更するための機能構成の具体例を示すブロック図である。図4に示される機能は、CPU13がメモリ101からプログラムを読出して実行することによって主にCPU13に形成される機能であるが、その中の少なくとも一部が図1に示されたハードウェア構成によって形成されてもよい。
図4を参照して、複写機1の定電流の設定値を変更するための機能は、制御部1310、モータ電流検出部1311、変曲点検出部1312、第1判断部1313、第1しきい値記憶部1314、第2判断部1315、第3判断部1316、履歴記憶部1317、演算部1318、信号出力部1319、および第2しきい値記憶部1320を含んで構成される。
モータ電流検出部1311は、図2に示されたモータドライバ回路12のsense端子と増幅回路15を介して接続された構成によって、モータドライバ回路12のsense端子と接地点との間の電圧、つまりsense端子の電位を検出する。検出された電圧は変曲点検出部1312に入力され、その電圧波形の変曲点が検出される。図2に示されたように、モータドライバ回路12のsense端子から流出する電流はステッピングモータMに供給される電流に対応しているため、sense端子の電位変化による電圧波形は、モータ電流の電流波形とほぼ同様の形状である。変曲点の検出結果は、第1判断部1313および演算部1319、または第3判断部1317に入力される。
第1しきい値記憶部1314は主にメモリ101などに構成されて、変曲点の位置が適正な位置であるか否かを判断するために用いるしきい値を記憶する。第1判断部1313は、変曲点検出部1312においてモータ電流の電流波形に対応した電圧波形より変曲点が検出された場合に、第1しきい値記憶部1314に記憶されているしきい値を参照して検出された変曲点の位置が適正な位置であるか否かを判断し、判断結果を第2判断部1315に入力する。たとえば、図3(B)に示された位置に変曲点が検出された場合には、第1判断部1313は変曲点の位置が適正な位置であると判断する。また、図3(B)に示された位置よりも定電流制御領域により近付いた位置に変曲点が検出された場合や、図3(C)に示された位置に変曲点が検出された場合には、第1判断部1313は変曲点の位置が適正な位置でないと判断する。つまり、第1しきい値記憶部1314に記憶されているしきい値は、複写機1においてステッピングモータを駆動させるために必要とされる負荷に対してモータ出力が適切な場合にモータ電流の波形に発生する変曲点Aの位置である、ねらいの位置NAを示す値である。ねらいの位置NAであるしきい値は複写機1において必要とされる負荷に対して定められるものであり、予め第1しきい値記憶部1314に記憶されていてもよいし、図示しない操作パネルにおいて設定操作を受付けて、操作パネルからの操作信号に基づいて第1しきい値記憶部1314に格納されてもよい。ねらいの位置NAの具体的な決め方としては、たとえば現在設定されている定電流の設定値を値Is、複写機1において必要とされる負荷に対する安全率を安全率H1(たとえば10%)とすると、定電流制御領域の電流値がIs/H1(安全率が10%のときには1.1)となるような電流波形における変曲点の位置として決めることができる。図示しない操作パネルにおいてこのようにして算出された変曲点の位置をねらいの位置NAとして設定する操作を受付けて、操作パネルからの操作信号に基づいて第1しきい値記憶部1314に格納されてもよいし、安全率H1を設定する操作を受付け、その安全率H1に基づいて予め記憶されている必要なパラメータを用いてねらいの位置NAが算出されて、第1しきい値記憶部1314に格納されてもよい。複写機1で必要とされる付加に対して変曲点の位置がどこにあればその電圧波形のモータ出力でステッピングモータMが安定して駆動(回転)できるかは、負荷の特徴、つまり、ステッピングモータMのが一定速度で駆動中に突発的に負荷が変更した場合に対応できる構成とするか否かに応じて、設計者が適宜設計することができる。
第2判断部1315は、第1判断部1313において変曲点の位置が適正な位置でないと判断された場合に、複写機1で必要な負荷トルクに対してモータ出力が小さい場合であるのか、大きい場合であるのかを判断する。つまり、図3(A),(C)に示された変曲点と装置で必要な負荷トルクに対するモータ出力との関係を用いて、第1しきい値記憶部1314に記憶されているしきい値である変曲点の位置がねらいの位置NAよりも定電流制御領域に近い位置であるか立上がり点に近い位置であるかを判断し、判断結果を演算部1318に入力する。
履歴記憶部1317および第2しきい値記憶部1320は主にメモリ101などに構成される。履歴記憶部1317は、後述する定電流駆動方式における定電流の設定値の変更の履歴を記憶する。第2しきい値記憶部1320は、脱調が発生しているか否かを判断するために用いるしきい値を記憶する。第3判断部1316は、変曲点検出部1312においてモータ電流より変曲点が検出されなかった場合に、履歴記憶部1317に記憶されている上記履歴を参照して過去に設定値を上昇させた履歴があるか否かを判断し、その履歴がなかった場合には、その判断結果を演算部1318に入力する。また、第3判断部1316は計時部1309を含み、過去に設定値を上昇させた履歴があった場合には、計時部1309で、変曲点検出部1312で得られたモータ電流の電流波形に対応した電圧波形より立上がり点から定電流制御領域に達するまでの時間を計時し、その時間が第2しきい値記憶部1320に記憶されているしきい値を越えているか否かを判断する。越えている場合にはその判断結果は演算部1318に入力され、越えていない場合には脱調であると判断されて、その判断結果は制御部1310に入力される。
演算部1318は、第2判断部1315から入力された判断結果または第3判断部1316から入力された判断結果に基づき、第1しきい値記憶部1314に記憶されているしきい値および変曲点検出部1312から入力された変曲点の検出結果を用いて変更すべき設定値を算出し、その結果を信号出力部1319に入力する。信号出力部1319は入力された演算結果に従って設定値をそのように変更するための制御信号をモータドライバ回路12に対して出力する。また、設定値がそのように変更されたことが履歴として履歴記憶部1317に記憶される。
制御部1310は信号生成部1308を含み、第3判断部1316から入力された脱調であるとの判断結果に基づき、対象としているステッピングモータが用いられている部位に応じて、信号生成部1308において信号出力部1319から必要な各部に制御信号を出力させるために制御信号を生成し、信号出力部1319に入力する。
図5は、上記変曲点検出部1312のさらに詳細な構成の具体例を示すブロック図である。また、図7は、変曲点の検出方法を説明するための図であり、電圧波形の具体例を示す図である。
図5を参照して、変曲点検出部1312は、サンプリング部1321、関数設定部1322、差分算出部1323、および変曲点認識部1324を含んで構成される。
関数設定部1322は、設定されている定電流値と、履歴記憶部1317に記憶されている、前回のモータ電流検出において検出された立上がり点から定電流制御領域に達するまでの時間とを用いて、立上がり点から設定された定電流値にて定電流制御領域に達するまでの一次関数の係数A(傾き)を算出し、図7に示される一次関数Y1(n)=A*t(n)を設定する。なお、t(n)は、立上がり点から定電流制御領域に達するまでの時間を指す。
サンプリング部1321はモータ電流検出部1311において検出された電圧より、電圧波形の立上がり点から定電流制御領域到達までの立上がり領域のsense端子と接地点との間の電圧を所定の時間間隔でn回サンプリングし、サンプリングされた電圧値をY2(n)とする。
差分算出部1323は、サンプリング部1321でサンプリングされた電圧値Y2(n)と、関数設定部1322で設定された一次関数のY1(n)との差分D(n)を算出し、その結果を変曲点認識部1324に入力する。変曲点認識部1324はn回分の差分D(n)を比較し、差分D(n)が0である点、または差分D(n)が+から−あるいは−から+に変化する点を変曲点Bとして認識し、認識された変曲点Bの位置NBを第1判断部1313および演算部1318に入力する。または、差分D(n)が常に0である場合、あるいは差分D(n)の正負が変化しない場合にはその旨を第3判断部1316に入力する。
図6は、上記演算部1318のさらに詳細な構成の具体例を示すブロック図である。図6を参照して、演算部1318は、判定部1331、判定幅記憶部1332、演算部1333、第1係数記憶部1334、および第2係数記憶部1335を含んで構成される。
判定幅記憶部1332は主にメモリ101などに構成されて、モータ電流に対応する電圧値を複数回サンプリングした場合の、検出された変曲点における電圧値の最大値と最小値と差分が所定範囲内であるか否かを判定するために用いるしきい値としての、判定幅を記憶する。この判定幅は予め判定幅記憶部1332に記憶されていてもよい。また、実験によって求められるものであってもよく、その場合、図示しない操作パネルにおいて設定操作を受付けて、操作パネルからの操作信号に基づいて判定幅記憶部1332に格納されてもよい。
判定部1331は、変曲点検出部1312から入力された複数回のサンプリング結果で検出された変曲点における電圧値の最大値と最小値との差分H2を算出してその差分H2と上記判定幅とを比較することで、差分H2が上記判定幅内か否かを判定する。判定結果は、算出部1333に入力される。
第1係数記憶部1334および第2係数記憶部1335は主にメモリ101などに構成されて、後述する算出部1333での演算に用いられる第1係数K1および第2係数K2を記憶する。第1係数K1は増減係数であり、上述の安全率H1から定められる係数である。係数K1は予め第1係数記憶部1334に記憶されていてもよいし、図示しない操作パネルにおいて設定操作を受付けて、操作パネルからの操作信号に基づいて第1係数記憶部1334に格納されてもよい。または、安全率H1と係数K1との対応関係が記憶されており、安全率H1から自動的に設定されてもよい。第2係数K2は増減係数であり、複写機1において必要とされる負荷の変動が大きい場合にその変動に応じて用いられる係数、つまり上記差分H2から定められる係数である。係数K2もまた、予め第2係数記憶部1335に記憶されていてもよいし、図示しない操作パネルにおいて設定操作を受付けて、操作パネルからの操作信号に基づいて第2係数記憶部1335に格納されてもよい。または、差分H2と係数K2との対応関係が記憶されており、差分H2から自動的に設定されてもよい。
算出部1333は、判定部1331から入力された判定結果に従って、現在設定されている定電流の値Isから変更すべき設定値Iを算出する。演算部1333で用いられる演算式の具体例として、次の演算式(1),(2)が挙げられる。
つまり、判定部1331において上記差分H2が上記判定幅内と判定された場合には、
I=Is−(VA−VB)×K1 …演算式(1)、
判定部1331において上記差分H2が上記判定幅内でないと判定された場合には、
I=Is−(VA−VB)×K1×K2 …演算式(2)、
が用いられる。ただし、
Isは現在設定されている定電流値、
VAはねらいの位置NAである変曲点Aでの電圧値、
VBは位置NBである変曲点Bでの電圧値、および
K1,K2は増減係数、を指す。
図8および図9は、本実施の形態にかかる複写機1における、ステッピングモータの駆動を制御する定電流の設定値を変更するための処理の具体例を示すフローチャートである。図8および図9のフローチャートに示される処理は、CPU13がメモリ101からプログラムを読出して実行することによって実現される処理であって、所定のタイミングで実行される処理である。この所定のタイミングとは本発明において特定のタイミングに限定されないが、好ましくは、複写機1の図示しない電源スイッチが押下されて複写機1に電源が投入されたタイミング(初期動作時)、画像安定化処理時、予め設定した時間経過に応じた定期的なスパン、などのタイミングが挙げられる。なお、上記タイミングで以上の処理を行なう際には、処理に先だって、ステッピングモータMを意図的に駆動させることが好ましい。具体的には、通紙させない状態で用紙搬送部20のローラ42,43,35,37等を意図的に動作させることが好ましい。その際、用紙搬送等で用いられる電磁クラッチを強制的にONする。
図8を参照して、始めに、モータ電流検出部1311は、モータドライバ回路12のsense端子の電圧を検出し、ステッピングモータMに流れる電流であるモータ電流に対応する電圧波形を得る(ステップS101)。次いで、変曲点検出部1312は、ステップS101で検出された電圧波形より変曲点を検出する処理を実行する(ステップS103)。
ステップS103での処理の結果、モータ電流に対応した電圧波形より変曲点が検出された場合(ステップS105でYES)、第1判断部1313において、その位置が適正位置であるか否かが判断される(ステップS107)。つまり、ステップS103で検出された変曲点Bの位置NBと、第1しきい値記憶部1314に記憶されている変曲点のねらいの位置NAとが比較されて、それらが一致するか否かが判断される。その結果、一致すると判断された場合には(ステップS107でYES)、以降の処理がスキップされて、処理が終了する。そうでない場合には(ステップS107でNO)、ステップS109で、第2判断部1315において、さらに変曲点Bの位置NBがねらいの位置NAよりも定電流制御領域に近い位置であるか電圧波形の立上がり点に近い位置であるか、つまり図3(A)〜図3(C)に示される関係より、現在設定されている定電流値でのモータ出力が複写機1で必要な負荷トルクに対して余剰であるか否かが判断される(ステップS109)。
ステップS109で第2判断部1315において、変曲点Bの位置NBがねらいの位置NAよりも定電流制御領域に近い位置である、つまり現在設定されている定電流値でのモータ出力が複写機1で必要な負荷トルクに対して余剰がないと判断された場合には(ステップS109でNO)、演算部1318において変更すべき定電流の設定値を算出するための演算が行なわれ(ステップS111)、信号出力部1319よりモータドライバ回路12に対して、現在設定されている定電流値をステップS111で算出された設定値に設定電流を上げるための制御信号が出力される(ステップS113)。
ステップS109で第2判断部1315において、変曲点Bの位置NBがねらいの位置NAよりも電圧波形の立上がり点に近い位置である、つまり現在設定されている定電流値でのモータ出力が複写機1で必要な負荷トルクに対して余剰があると判断された場合には(ステップS109でYES)、演算部1318において変更すべき定電流の設定値を算出するための演算が行なわれ(ステップS115)、信号出力部1319よりモータドライバ回路12に対して、現在設定されている定電流値をステップS115で算出された設定値に設定電流を下げるための制御信号が出力される(ステップS117)。
一方、上記ステップS103での処理の結果、モータ電流に対応した電圧波形より変曲点が検出されなかった場合(ステップS105でNO)、定電流の設定値を大きく変更しすぎて変曲点が電圧波形の立上がり点に極めて近い位置に発生している、つまり複写機1で必要とされる負荷トルクに対して現在の設定値でのモータ出力が大きすぎる場合と、変曲点が定電流領域に到達するまで確認できない、つまり現在の設定値でのモータ出力に対して複写機1で必要とされる負荷トルクが大きすぎて脱調寸前である場合との、2種類の可能性が考えられる。そこで、この場合には、過去の定電流の設定値の変更履歴より、設定値を上げる変更が行なわれていた場合には脱調寸前の状態であることを判別する。つまり、図9を参照して、第3判断部1316において、履歴記憶部1317に記憶されている履歴を参照して過去に定電流の設定値を上昇させた履歴があるか否かが判断される(ステップS119)。その結果、過去に定電流の設定値を上昇させた履歴がない場合には(ステップS119でNO)、演算部1318において変更すべき定電流の設定値を算出するための演算が行なわれ(ステップS121)、信号出力部1319よりモータドライバ回路12に対して、現在設定されている定電流値をステップS121で算出された設定値に設定電流を上げるための制御信号が出力される(ステップS123)。
ステップS119での判断において、過去に定電流の設定値を上昇させた履歴がある場合には(ステップS119でYES)、さらに電圧波形の、励磁切換えから設定されている定電流制御領域に達するまでの時間が測定されて(ステップS125)、その時間が予め設定されている所定時間以上であるか否かが判断される(ステップS127)。
ステッピングモータMやモータドライバ回路12の特性に応じて設定可能な定電流値の上限値が定まる。そのため、設定値を上昇させるよう変更しても変曲点が生じない場合がある。変曲点がない電圧波形のモータ電流であってもステッピングモータMは駆動する場合はあるが、図3(D)に示された状態である場合には、適正な安全率を確保して駆動している状態ではない。つまり、脱調寸前の状態であると言える。電圧波形の、励磁切換えから設定されている定電流制御領域に達するまでの時間を計測することで、このような状態であることは判定され得る。
モータ電流が設定されている定電流制御領域に到達するまでの時間が所定時間以内である場合には(ステップS127でNO)、電圧波形は図3(D)に示された状態であり、第3判断部1316においてステッピングモータMが脱調状態であることが判断されて(ステップS129)、制御部1310において、脱調状態に対処するために必要な制御信号が生成されて信号出力部1319より必要な各部に出力され(ステップS130)、処理が終了する。なお、ステップS129の判断結果は、CPU13において図示しない操作パネルなどに表示されてもよい。
ステップS127においてモータ電流が設定された定電流値に到達するまでの時間が所定時間以上である場合には(ステップS127でYES)、第3判断部1316においてにおいて、電圧波形は図3(A)に示された状態、つまり電圧波形の変曲点がより定電流制御領域に近い位置にあって定電流制御領域に吸収されてしまうことで現れておらず、現在設定されている定電流値でのモータ出力が複写機1で必要な負荷トルクに対して余剰がない状態であると判断され、演算部1318において変更すべき定電流の設定値を算出するための演算が行なわれて(ステップS131)、信号出力部1319よりモータドライバ回路12に対して、現在設定されている定電流値をステップS131で算出された設定値に設定電流を上げるための制御信号が出力される(ステップS133)。
なお、上記ステップS111,S115,S121,S131では同様の演算処理が行なわれる。具体的には、上述のように、ステップS101,S103の処理が複数回行なわれる場合、判定部1331において、複数回のサンプリング結果で検出された変曲点における電圧値の最大値と最小値との差分H2が判定幅記憶部1332に格納されている判定幅内か否かが判定される。その結果、差分H2が上記判定幅内である場合には、複写機1において必要な負荷トルクの変動があまり大きくないと判断され、算出部1333において、上記演算式(1)を用いて変更する定電流値が算出される。差分H2が上記判定幅よりも大きい場合には、複写機1において必要な負荷トルクの変動が大きいと判断され、算出部1333において、上記演算式(2)を用いて変更する定電流値が算出される。
本実施の形態にかかる複写機1では、初期動作時や画像安定化処理時などのタイミングに、励磁切換え後の、設定されている定電流の設定値でのモータ電流の電圧波形の変曲点の位置より、現在の設定によるモータ出力が複写機1で必要とされている負荷トルクに対して適切であるか否か、つまり、定電流の設定値が適切であるか否かが判断され、その判断に応じて設定値が変更される。
このため、先述の複写機等の画像形成装置では、図10のAに示されるように時間経過に応じて装置でステッピングモータを駆動させるために必要とされる負荷トルクが上昇しているのに対して、図10のCに示されるように、上記処理時に必要とされる負荷トルクに対して所定の安全率を加味した定電流値が設定される。
本実施の形態にかかる複写機1において上述の制御が行なわれることで、複写機1においてステッピングモータを駆動させるために必要とされる負荷トルクに応じた定電流値が設定され、現在設定されているモータ出力を複写機1において必要とされる負荷トルクに応じて適切な出力に変更することができる。その結果、先に図13に示されたような、必要なエネルギー以上の余剰エネルギーの消費を抑えることができる。そのため、ステッピングモータの振動を抑えることができる。その結果、複写機1の駆動時の騒音を抑えることができる。また、複写機1における消費エネルギーを抑えることができ、省エネルギーに効果的である。さらに、ステッピングモータや駆動電源の発熱を抑えることができ、複写機1に冷却機構を不要または簡略化することが可能になる。
また、上述のように、この制御を行なうことで、脱調の可能性または脱調しているか否かを判定することもできる。また、設定値の変更履歴を記憶させることで、複写機1で必要とされる負荷トルクの変動の推移が記憶される。
また、上記制御において、複写機1においてステッピングモータを駆動させるために必要とされる負荷トルクに対して所定の安全率を加味した設定値に変更するよう設定値が算出されるために、必要とされる負荷トルクが突発的に変化(増加)した場合であっても、所定の変化量である場合にはステッピングモータの駆動を制御することが可能である。
具体的には、図11に示されるように、通常、通紙した場合には、電磁クラッチが作動するために発生する負荷トルクの変動(増加)(図11のA)に加えて、印刷用紙が搬送されることによる負荷トルクの変動(増加)(図11のB)が発生する。このような場合であっても、上述のように所定の安全率を加味して設定値を変更するように設定値が算出されるため、定電流領域でのステッピングモータの駆動で必要とされる負荷トルクの変動に応じることができる(図11のC)。また、上述のように所定のタイミングでモータ電流に応じた電圧をサンプリングして設定値を算出して定電流の設定値を変更するため、上記変動に遅れずにステッピングモータの駆動を制御することができる(図11のD)。
さらに、上記ステップS111,S121,S131での演算処理においては、予め設定されている上限値と、算出された上昇させる定電流の設定値とを比較し、上限値を越えていない場合に次のステップにて設定電流を上げるようにすることが好ましい。図12に示されるように、複写機1に異常状態(たとえば紙詰まり等)が発生すると、ステッピングモータの駆動で必要とされる負荷トルクが極端に大きくなる場合がある(図12のA)。その場合、上記制御に従って定電流の設定値を大きくしすぎると、ステッピングモータの破損等につながる。そのため、CPU13において予め上限値(図12のB)を設定し、演算部1318において上記演算処理において算出された設定値が上記上限値を越えたことが判断されると、信号出力部1319よりモータドライバ回路12に対して、上記上限値を越えるまでは算出された設定値に変更するよう制御信号が出力され(図12のC)、越えた時点で、ステッピングモータの駆動を停止させるための制御信号がモータドライバ回路12に対して出力されることが好ましい。つまり、必要とされる負荷トルクの増加に対応してステッピングモータの駆動を停止するように制御することが好ましい。このよにすることで、実際に画像形成装置で必要とされる負荷トルクに応じた定電流の設定値を最適な値に変更する場合であっても、上限以上に大きい設定値に変更することがなく、また、必要とされる負荷トルクが急増した場合にはステッピングモータの駆動を停止させるため、ステッピングモータの破損等を防ぐことができる。
さらに、具体的に、制御対象とするステッピングモータが定着駆動部に用いられるステッピングモータM1、PC駆動部に用いられるステッピングモータM2、およびトナー補給駆動部に用いられるステッピングモータM3である場合について、各々、以下に詳細に説明する。
<定着駆動部に用いられるステッピングモータM1>
制御対象として定着駆動部に用いられるステッピングモータM1の駆動を制御する場合、モータ電流検出部1311はステッピングモータM1に接続されたモータドライバ回路12よりモータ電流を検出し、上述の処理を行なう。その場合、制御部1310の信号生成部1308では、定着器36内の熱源であるヒータランプ(不図示)への電力供給を停止させるための制御信号を生成し、信号出力部1319に入力する。その場合、上記ステップS130では、図14に示される処理が行なわれる。すなわち、図14を参照して、制御部1310の信号生成部1308において定着器36内のヒータランプへの電力供給を停止させるための制御信号が生成されて(ステップS141)、ヒータランプへ電力を供給する機構に対してその制御信号を出力させるために信号出力部1319に対して入力される(ステップS143)。なお、上記ステップS141では、言うまでもなく、ステッピングモータM1の駆動を停止させるための制御信号が生成されてもよい。
上記対処は、定着駆動部にステッピングモータが用いられている場合に必要な対処の1つの具体例であり、本発明において定着駆動部にステッピングモータが用いられている場合の対処として上記対処に限定されない。つまり、上記ステップS141では、その他の機構を制御するための制御信号が生成され、出力されてもよい。
定着駆動部にステッピングモータが用いられている場合に、そのステッピングモータの駆動を制御する際に上記処理が実行されることで、たとえば印刷用紙を搬送する経路にセンサを設置するなどの脱調を検出するための特別な機構を設けることなく、定電流値を設定するための機構を利用して脱調を検出することができ、脱調が検出されると、その時点で、たとえばヒータランプへの電力の供給を素早く停止させることができる。そのため、破損や電力の消耗等を抑えることができる。
<PC駆動部に用いられるステッピングモータM2>
制御対象としてPC駆動部に用いられるステッピングモータM2の駆動を制御する場合、モータ電流検出部1311はステッピングモータM2に接続されたモータドライバ回路12よりモータ電流を検出し、上述の処理を行なう。その場合、制御部1310の信号生成部1308では、作像部21内のレーザ光源(不図示)への電力供給を停止させるための制御信号を生成し、信号出力部1319に入力する。この場合においても、上記ステップS130で、図14に示された処理と同様に、図15に示された処理が行なわれる。すなわち、図15を参照して、制御部1310の信号生成部1308において作像部21内のレーザ光源への電力供給を停止させるための制御信号が生成されて(ステップS151)、レーザ光源へ電力を供給する機構に対してその制御信号を出力させるために信号出力部1319に対して入力される(ステップS153)。なお、上記ステップS151でもまた、言うまでもなく、ステッピングモータM2の駆動を停止させるための制御信号が生成されてもよい。
上記対処は、PC駆動部にステッピングモータが用いられている場合に必要な対処の1つの具体例であり、本発明においてPC駆動部にステッピングモータが用いられている場合の対処として上記対処に限定されない。つまり、上記ステップS151では、その他の機構を制御するための制御信号が生成され、出力されてもよい。たとえば、感光体に印加する機構に対して電力供給を停止させるための制御信号が生成され、出力されてもよい。
PC駆動部にステッピングモータが用いられている場合に、そのステッピングモータの駆動を制御する際に上記処理が実行されることで、特別な機構を設けることなく定電流値を設定するための機構を利用して脱調を検出することができ、脱調が検出されると、その時点で、たとえばレーザ光源への電力の供給を素早く停止させることができる。そのため、感光体表面の疲労(破損)等を抑えることができる。
<トナー補給駆動部に用いられるステッピングモータM3>
制御対象としてトナー補給駆動部に用いられるステッピングモータM3の駆動を制御する場合、モータ電流検出部1311はステッピングモータM3に接続されたモータドライバ回路12よりモータ電流を検出し、上述の処理を行なう。
図16は、トナー補給駆動部に用いられるステッピングモータM3を制御する場合の、制御部1310のさらに詳細な構成の具体例を示すブロック図である。図16を参照して、この場合、制御部1310は、第1取得部1341、第1算出部1342、第2取得部1343、第2算出部1344、および決定部1345をさらに含む。
第1取得部1341は印刷する画像に関する情報を取得する。印刷する画像に関する情報には、画像読取部10や外部装置などから入力された画像信号および印刷枚数が含まれ、画像信号は第1算出部1342に、印刷枚数は決定部1345に入力される。
第1算出部1342は、対応する色について、入力された画像信号よりその画像を印刷するために必要なトナー量を算出し、第2算出部1345に入力する。第2取得部1343は、図示しないトナーを感光体に供給する機構にストックされているトナー量(トナー残量と称する)を図示しないセンサ等から取得し、その情報を第2算出部1344に入力する。
第2算出部1344は、第1算出部1342から入力された必要なトナー量、および第2取得部1343より入力されたトナー残量に基づいて、現在のトナー残量で印刷できる枚数を算出し、決定部1345に入力する。決定部1345は、第1取得部1341から入力された印刷枚数と、第2算出部1344から入力された現在のトナー残量で印刷できる枚数とを比較し、現在のトナー残量で必要な枚数が印刷できるか否かを判断する。また、印刷できない場合には、現在の印刷の状況を監視し、後述する制御信号を出力するタイミング、つまり、現在のトナー残量で印刷できる枚数まで印刷が実行されるタイミングを決定し、上記信号生成部1308に上記判断結果と共に入力する。
信号生成部1308は、決定部1345の判断結果に従って作像部21での現像処理を停止させるための制御信号を生成し、決定部1345から入力されたタイミングに応じて出力するよう、信号出力部1319に入力する。
この場合、上記ステップS130で図17に示された処理が行なわれる。すなわち、図17を参照して、始めに第1取得部1341で取得された印刷する画像に関する情報より、第1算出部1342において、その画像を印刷するために必要なトナー量が算出される(ステップS161)。また、第2取得部1343において、トナーを感光体に供給する機構にストックされているトナー残量が取得される(ステップS163)。
ステップS161で算出された必要なトナー量と、ステップS163で取得されたトナー残量とに基づいて、第2算出部1344において現在のトナー残量で印刷できる枚数が算出され、決定部1345において、現在のトナー残量で必要な枚数が印刷できるか否かが判断される(ステップS165)。その結果、現在のトナー残量で必要な枚数が印刷できると判断されると(ステップS155でYES)、以降の処理をスキップする。つまり、トナーの補給がなくとも必要な枚数の印刷が可能であるから、脱調状態であっても、画像形成処理を停止させることなく、指示された枚数の印刷が完了するまで画像形成処理を継続させる。
現在のトナー残量で必要な枚数が印刷できないと判断された場合には(ステップS155でNO)、決定部1345において現在の印刷の状況が監視され、現在のトナー残量で印刷できる枚数まで印刷が実行されるタイミングが制御信号を出力するタイミングとして決定される(ステップS167)。または、現在のトナー残量で印刷できる枚数の所定枚数前まで印刷が実行されるタイミングが制御信号を出力するタイミングとして決定されてもよい。
信号生成部1308において作像部21での現像処理を停止させるための制御信号が生成されて(ステップS169)、作像部21の駆動を制御する機構に対してその制御信号を出力させるために信号出力部1319に対して入力される(ステップS171)。なお、上記ステップS169でもまた、言うまでもなく、ステッピングモータM3の駆動を停止させるための制御信号が生成されてもよい。また、ステッピングモータM3の駆動を停止させるための制御信号の生成は、ステップS165よりも前の段階で行なってもよい。
上記対処は、トナー補給駆動部にステッピングモータが用いられている場合に必要な対処の1つの具体例であり、本発明においてトナー補給駆動部にステッピングモータが用いられている場合の対処として上記対処に限定されない。つまり、上記ステップS169では、その他の機構を制御するための制御信号が生成され、出力されてもよい。
トナー補給駆動部にステッピングモータが用いられている場合に、そのステッピングモータの駆動を制御する際に上記処理が実行されることで、特別な機構を設けることなく定電流値を設定するための機構を利用して脱調を検出することができ、脱調が検出されると、その時点で、たとえば必要に応じて画像形成の処理を素早く停止させることができる。そのため、低品質の画像の出力を防ぐことができる。また、モータ等の破損を防ぐことができる。
さらに、コンピュータを画像形成装置を制御する制御装置として機能させて、上述の制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーションシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 複写機、3 戴荷台、2 搬送部、4 排出台、10 画像読取部、11 原稿台ガラス、12 モータドライバ回路、13 CPU、14 電流検出抵抗、15 増幅回路、20 用紙搬送部、21,21Y,21M,21C,21K 作像部、25,25Y,25M,25C,25K 転写ローラ、30 画像形成部、31 中間転写ベルト、32,33,34,35,37,42,43 ローラ、38 排紙トレイ、40 用紙格納部、41 給紙カセット、100 コントローラ、101 メモリ、1308 信号生成部、1309 計時部、1310 制御部、1311 モータ電流検出部、1312 変曲点検出部、1313 第1判断部、1314 第1しきい値記憶部、1315 第2判断部、1316 第3判断部、1317 履歴記憶部、1318 演算部、1319 信号出力部、1320 第2しきい値記憶部、1321 サンプリング部、1322 関数設定部、1323 差分算出部、1324 変曲点認識部、1331 判定部、1332 判定幅記憶部、1333 演算部、1334 第1係数記憶部、1335 第2係数記憶部、1341 第1取得部、1342 第1算出部、1343 第2取得部、1344 第2算出部、1345 決定部。