JP4890810B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、プリンタ、ファクシミリ、或いは、複写機等の画像形成装置に関し、特に、感光体ドラムの表面電位の補正を行うものに関する。
従来より、プリンタ、ファクシミリ、或いは、複写機等の画像形成装置が知られている。そして、この画像形成装置では、帯電部材により感光体ドラムの表面を一様に帯電させ、感光体ドラムに向けてレーザ光を照射することにより感光体ドラムのうちのレーザ光が走査された部分に静電潜像が形成された後、この静電潜像にトナーを付着させることで現像が行われる。
また、カラーの画像を出力可能な画像形成装置においては、4つの感光体ドラムのそれぞれの静電特性のばらつきによって、記録紙に印字される画像の色合いが変化するおそれがある。これに対し、記録紙に印字される画像の色合いの変化を防止するための画像形成装置として、電源投入時にイニシャライズ動作としてレーザパワーの調整を行い、その後にカラー印字動作を行うカラー電子写真装置が提案されている(特許文献1参照)。
このカラー電子写真装置では、イニシャライズ動作時において、基準の強さのレーザ光が4つの像形成ユニットの各感光体ドラムに照射され、感光体ドラムに所定の大きさのパッチ画像が形成された後、このパッチ画像が中間転写ベルトに転写される。そして、中間転写ベルトに転写されたパッチ画像の濃度をトナー濃度センサを用いて検出し、パッチ画像の濃度と予め決められた規定値とを比較することにより、この比較結果に応じてレーザパワーが変更される。これにより、4つの像形成ユニットの各感光体ドラムがそれぞれ静電特性のばらつきを有している場合でも、従来のように各像形成ユニットに感光体ドラム電位センサ及びトナー像濃度センサを設置することなく、1つのトナー濃度センサを用いて、常に安定したカラー画像を得ることができる。
また、このような構成の画像形成装置においては、周囲の環境の変化により帯電部材の帯電能力が不足して感光体ドラムの表面電位が低下し、記録紙に印字される画像に地肌汚れが生じるおそれがある。これに対し、電源オン時またはスリープモードからの復帰時において、温度センサによる外気温の検出温度に応じて、直流電圧を印加するパワーパックから帯電ローラへの印加電圧の制御範囲の下限値を補正するものが提案されている(特許文献2参照)。
この画像形成装置では、電源オン時またはスリープモードからの復帰時において、温度センサの検出温度が設定温度T1以下であるときに、パワーパックから帯電ローラへの印加電圧の下限値を上昇させる。更に、温度センサの検出温度が設定温度T1よりも低いT2以下であれば、感光体ドラム上に3つの制御パターン(即ち、トナー濃度検知用パターン、地肌パターン、及び帯電補正用ダークパターン)が形成され、これらのパターンの濃度が光センサによって検出される。そして、パターンごとの光センサの出力値の比に応じて、パワーパックの出力電圧が変更される。これにより、画像形成装置が設置される場所の周囲の環境が急激に低温に変動し、現像装置の現像γが変化した場合でも、帯電不足による地汚れの無い画像を得ることができる。
特開平9−134044号公報 特開2003−186285号公報
ここで、カラー画像を出力可能な画像形成装置において、製造時からの記録紙の印刷枚数が増加するにつれ、或いは、各感光体ドラムへの画像の印字率に応じて、4つの感光体ドラムのそれぞれが劣化して各感光体ドラムの表面電位が低下する。そして、各感光体ドラムの表面電位が低下すると、各感光体ドラムの表面のうちレーザ光が走査された部分以外にもトナーが付着し、感光体ドラムの表面に形成される画像に地肌かぶりが生じるおそれがある。このため、経時的に変化を起こす各感光体ドラムの表面電位を補正して地肌かぶりの発生を防止する必要がある。
しかしながら、上記特許文献1のカラー写真装置は、電源ON時に各感光体ドラムの表面にパッチ画像を形成して画像濃度のキャリブレーションを行うものであり、経時的に変化を起こす各感光体ドラムの表面電位の補正を行うことができない。また、上記特許文献2の画像形成装置は、感光体ドラム上に制御パターンを形成して地肌汚れを検出するものであるが、電源オン時またはスリープモードからの復帰時における環境の変化による地肌汚れの防止を目的としており、経時的に変化を起こす各感光体ドラムの表面電位を補正することができない。そして、この画像形成装置では、感光体ドラム1つにつき1つの光センサが設置されるため、カラー画像を出力する場合には4つの感光体ドラムに対して4つの光センサを設置する必要があり、装置が複雑化するとともに部品のコストが増加するという問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成で経時的に変化を起こす感光体ドラムの表面電位を補正することのできる画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電部材と、前記感光体ドラムの表面に光を照射することにより前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光ユニットと、前記感光体ドラムの表面に形成された静電潜像の現像を行う現像ユニットと、から成る画像形成ユニットを、前記現像ユニットに収容される前記トナーの色に対応して複数備えるとともに、前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムの表面に形成された画像を転写するための転写ベルトと、前記各画像形成ユニットの前記帯電部材に所定の大きさの電圧を印加することによって前記帯電部材を放電させる電源ユニットと、を備える画像形成装置において、前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムより前記転写ベルトに転写された画像の濃度を検出する濃度センサを備え、前記電源ユニットから複数の前記画像形成ユニットのうち1つの前記画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を変化させて前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムより前記転写ベルトに転写された画像の濃度を前記濃度センサにより検出するとともに、前記電源ユニットから前記画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を変化させる前と後での前記濃度センサによる画像濃度の検出値に基づき、画像形成動作時における前記電源ユニットから前記画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を補正することを特徴とする。
このように、この画像形成装置では、各画像形成ユニットの感光体ドラムより転写ベルトに転写された画像の濃度を検出する濃度センサの検出値に応じて、画像形成動作時における電源ユニットから複数の画像形成ユニットのうち1つの画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧が補正される。そして、複数の画像形成ユニットのそれぞれについて、画像形成動作時における電源ユニットから帯電部材への印加電圧を補正するとき、補正対象となる画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧を変化させて各画像形成ユニットの感光体ドラムより転写ベルトに転写された画像の濃度を濃度センサにより検出し、この検出値に応じて補正対象となる画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧を補正する。
このように構成された画像形成装置において、装置内部の温度及び湿度を検出する温湿度センサを備え、前記温湿度センサによる温度及び湿度の検出値に基づき、前記濃度センサによる画像濃度の検出値を補正する。
ここで、画像形成装置内部の温度及び湿度に応じて、現像ユニットに収容されるトナーの特性が変化し、各画像形成ユニットの感光体ドラムより転写ベルトに転写された画像の濃度が変化する。よって、温湿度センサによる温度及び湿度の検出値に基づき、濃度センサによる画像濃度の検出値を補正することにより、画像形成動作時における電源ユニットから画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧の補正をより正確に行うことができる。
また、上述のそれぞれの画像形成装置において、複数の前記画像形成ユニットのうち1つの画像形成ユニットについて、前記濃度センサによる画像濃度の検出値に基づき、画像形成動作時における前記電源ユニットから当該画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧の値を補正し、残りの前記画像形成ユニットについては、当該画像形成ユニットの前記感光体ドラムへの画像の印字率に基づき、画像形成動作時における前記電源ユニットから当該画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を補正するものとしても構わない。
ここで、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各トナーが使用されるとき、ブラックのトナーが収容される現像ユニットを有する画像形成ユニットは、シアン、マゼンタ、及びイエローの各トナーが収容される現像ユニットを有する画像形成ユニットよりも使用頻度が高い。このため、シアン、マゼンタ、及びイエローのトナーが収容される現像ユニットを有する画像形成ユニットについては、これらの画像形成ユニットの感光体ドラムへの画像の印字率に基づき、画像形成動作時における電源ユニットから各画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧を補正する。これにより、全ての画像形成ユニットに対して、画像形成動作時における電源ユニットから帯電部材への印加電圧の補正を、効率よく、短時間で行うことができる。
また、上述のそれぞれの画像形成装置において、前記電源ユニットから複数の前記画像形成ユニットのうち1つの前記画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を変化させて前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムより前記転写ベルトに転写された画像の濃度を前記濃度センサにより検出するとき、前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラム及び前記転写ベルトの回転速度を、画像形成動作時の回転速度と異なる速度に制御するものとしても構わない。
そして、各画像形成ユニットの感光体ドラム及び転写ベルトの回転速度を画像形成動作時の回転速度よりも低い速度に制御することで、各画像形成ユニットの感光体ドラムより転写ベルトに転写された画像の濃度を濃度センサを用いてより正確に検出することができる。よって、画像形成動作時における電源ユニットから各画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧の補正をより正確に行うことができる。
本発明によれば、感光体ドラムの表面電位が高い領域では濃度センサによる画像濃度の検出値の変化割合が小さいのに対し、感光体ドラムの表面電位が低い領域では濃度センサによる画像濃度の検出値の変化割合が大きいため、電源ユニットから複数の画像形成ユニットのうち1つの画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧を変化させることで、地肌かぶりによる感光体ドラムの表面電位の低下を濃度センサによる画像濃度の検出値に基づき正確に検知して、画像形成動作時における電源ユニットから当該画像形成ユニットの帯電部材への印加電圧の補正を正確に行うことができる。従って、本発明によれば、複数の感光体ドラムを有する画像形成装置において、各感光体ドラムに光センサを設置することなく、1つの濃度センサを用いて各画像形成ユニットの帯電部材へ印加する電圧を補正することができるため、装置の構成を簡素化できるとともに部品のコストを低減させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態》
本実施形態の画像形成装置は、カラー画像を出力可能に構成されており、図1に破線で示すように、記録紙に印字するための画像を形成する4つの画像形成ユニットとして、シアン画像形成ユニット10、マゼンタ画像形成ユニット20、イエロー画像形成ユニット30、及びブラック画像形成ユニット40を備えている。そして、シアン画像形成ユニット10、マゼンタ画像形成ユニット20、イエロー画像形成ユニット30、及びブラック画像形成ユニット40のそれぞれは、感光体ドラム50と、この感光体ドラム50の表面を一様に帯電させる帯電ユニット51と、半導体レーザ(不図示)より出射されるレーザ光を感光体ドラム50の表面に照射する露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット52と、感光体ドラム50の表面に形成される静電潜像にトナー53aを付着させることで現像を行う現像ユニット53と、後述する中間転写ベルト55を介して感光体ドラム50に圧接するとともに感光体ドラム50の表面に形成された画像を中間転写ベルト55の表面に1次転写するための1次転写ローラ54と、を備えている。尚、この露光ユニットとしては、半導体レーザより出射されるレーザ光を感光体ドラム50の表面に照射するレーザスキャナユニット50に代えて、LED(不図示)より出射される光を感光体ドラム50の表面に照射するものとしても構わない。
また、図1に示すように、この画像形成装置は、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の表面に形成された画像が重ねて転写される中間転写ベルト55と、中間転写ベルト55の裏面(即ち、画像が転写される面と反対側の面)に当接するとともに中間転写ベルト55を矢印で示す方向に移動させる複数の駆動ローラ56と、中間転写ベルト55の表面に残留するトナー53aを除去するためのクリーニングブレード57と、中間転写ベルト55を介して駆動ローラ56に圧接するとともに中間転写ベルト55の表面に形成された画像を記録紙に2次転写するための2次転写ローラ58と、記録紙に転写された画像を定着させる定着ユニット60と、定着ユニット60で生じる熱を画像形成装置の外部へ放熱することで画像形成装置の内部を冷却する冷却ファン70と、中間転写ベルト55の表面に形成された画像の濃度を検出する濃度センサ71と、装置内部の温度及び湿度を検出する温湿度センサ72と、を備えている。
更に、図1に示すように、この画像形成装置には、多数の記録紙が収容される給紙カセット80と、給紙カセット80から記録紙を送り出す給紙ローラ81と、給紙ローラ81から送り出された記録紙を搬送する搬送ローラ82と、搬送ローラ82を通過した記録紙の向きを矯正するとともに記録紙が搬送されるタイミングを調整する一対のレジストローラ83と、一対のレジストローラ83から駆動ローラ56と2次転写ローラ58の間に形成されるニップ部へ記録紙を搬送するとともに当該ニップ部を通過した記録紙を定着ユニット60へ搬送する搬送ガイド84と、定着ユニット60を通過した記録紙を画像形成装置の外部へ排出する排紙ローラ85と、排紙ローラ85から画像形成装置の外部へ排出された記録紙を貯めておくための排紙トレイ86と、が設置されている。
このような構成の画像形成装置において、各画像形成ユニット10,20,30,40の帯電ユニット51は、図1に示す帯電部材としての帯電ワイヤ51aを備えており、この帯電ワイヤ51aは感光体ドラム50に近接する位置に設置される。そして、帯電ワイヤ51aに所定の大きさの電圧を印加すると、帯電ワイヤ51aの放電により感光体ドラム50の表面が負に帯電する。また、図1に示すように、各画像形成ユニット10,20,30,40のレーザスキャナユニット52は、感光体ドラム50へ向けて半導体レーザ(不図示)からレーザ光を照射するものであり、感光体ドラム50のうちレーザ光が走査された部分を正に帯電させることでこの部分に静電潜像を形成する。
また、図1に示すように、各画像形成ユニット10,20,30,40の現像ユニット53は、感光体ドラム50の近傍に設置されており、その内部にトナー53aが収容されるとともに、トナー53aを感光体ドラム50へ供給するための現像ローラ53bを備えている。尚、シアン画像形成ユニット10の内部にはシアン(C)のトナー53aが、マゼンタ画像形成ユニット20の内部にはマゼンタ(M)のトナー53aが、イエロー画像形成ユニット30の内部にはイエロー(Y)のトナー53aが、ブラック画像形成ユニット40の内部にはブラック(K)のトナー53aが、それぞれ収容される。そして、各画像形成ユニット10,20,30,40の現像ユニット53は、感光体ドラム50の表面に形成された静電潜像にトナー53aを付着させることで現像を行う。
更に、図1に示すように、定着ユニット60は、定着ローラ61と、この定着ローラ61の内部に設置されるとともに該定着ローラ61を加熱するための定着ヒータ62と、加圧ローラ63と、を備えており、この定着ローラ61と加圧ローラ63との間に記録紙を挟むニップ部が形成されている。そして、定着ユニット60は、このニップ部を記録紙が通過する際に、定着ローラ61の熱によって記録紙に付着したトナー53aを溶解させるとともに加圧ローラ63によって記録紙に圧力を加えることでトナー53aを記録紙に定着させる。
また、図2に示すように、この画像形成装置は、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の回転速度を制御するドラム駆動モータ50aと、中間転写ベルト55の回転速度を制御するベルト駆動モータ55aと、上述した濃度センサ71及び温湿度センサ72と、各種データが記憶される不揮発性メモリ90(ここでは、EEPROM90とする)と、帯電ユニット51、レーザスキャナユニット52、現像ユニット53、定着ユニット60、ドラム駆動モータ50a、ベルト駆動モータ55a、濃度センサ71、及び温湿度センサ72のそれぞれに電力を供給する電源ユニット91と、帯電ユニット51、レーザスキャナユニット52、現像ユニット53、定着ユニット60、ドラム駆動モータ50a、及びベルト駆動モータ55aのそれぞれの動作を制御するとともに製造時からの記録紙の印刷枚数を計数するカウンタ(不図示)を備える中央処理装置92(Central Processing Unit(以下、「CPU92」と呼ぶ))と、を備えている。尚、ドラム駆動モータ50aは、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50に対して1つずつ設置されている。
そして、定着ユニット60で生じる熱の影響により各現像ユニット53に収容されるトナー53aの特性が変化し、濃度センサ71による画像濃度の検出値が変化するおそれがあるため、図1に示すように、濃度センサ71は、中間転写ベルト55の表面近傍における定着ユニット60から最も離れた位置に配置される。また、図1に示すように、温湿度センサ72は、定着ユニット60で生じる熱の影響を受けないように、且つ、濃度センサ71が画像の濃度を検出する位置の温度及び湿度を正確に検出するために、濃度センサ71の近傍に配置される。
また、EEPROM90には、温湿度センサ72により検出される温度及び湿度に応じて4つのエリアA〜D(図3参照)の何れかを指定するためのデータと、4つのエリアA〜Dのそれぞれに対して用意される各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の表面電位と中間転写ベルト55の表面に形成される画像の濃度との関係を示すデータ(図4参照)と、カウンタにより計数される画像形成装置の製造時からの記録紙の印刷枚数と、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50への画像の印字率と、地肌かぶり検出時に濃度センサ71によって検出される画像濃度の検出値に応じて各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を決定するためのデータと、が記憶される。
そして、図3に示すように、温度及び湿度のそれぞれを複数の範囲に分けることにより、高温・高湿の領域がエリアA、高温・低湿の領域がエリアB、低温・高湿の領域がエリアC、低温・低湿の領域がエリアDとしてEEPROM90に記憶されている。また、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の表面電位と中間転写ベルト55の表面に形成される画像の濃度との関係を示すデータ(図4参照)は、4つのエリアA〜Dのそれぞれに対し、予め実験を行うことにより作成される。
このように構成された画像形成装置において、画像形成装置の電源をONにすると、電源ユニット91より画像形成装置内部の各ユニットに電力が供給されるとともに、CPU92より出力される制御信号に基づき画像形成装置内部の各ユニットの動作が制御される。よって、図1に示す画像形成装置において、帯電工程、露光工程、現像工程、1次転写工程、2次転写工程、及び定着工程の各工程が順に行われる。
具体的に、この画像形成装置では、図1に実線の矢印で示すように、給紙ローラ81によって給紙カセット80から送り出された記録紙が搬送ローラ82へ搬送される。そして、搬送ローラ82を通過した記録紙は、一対のレジストローラ83においてその向きが矯正されるとともに搬送タイミングが調整された後、搬送ガイド84を通って駆動ローラ56と2次転写ローラ58の間のニップ部へ搬送される。
このように駆動ローラ56と2次転写ローラ58の間のニップ部へ向けて記録紙が搬送されるとき、シアン画像形成ユニット10、マゼンタ画像形成ユニット20、イエロー画像形成ユニット30、及びブラック画像形成ユニット40のそれぞれでは、まず、帯電ユニット51が、帯電工程において帯電ワイヤ51aの放電により感光体ドラム50の表面を一様に帯電させる。また、次に、各画像形成ユニット10,20,30,40のレーザスキャナユニット52が、露光工程において半導体レーザ(不図示)から感光体ドラム50へ向けてレーザ光を照射し、感光体ドラム50の表面のうちレーザ光が走査された部分に静電潜像を形成する。
そして、各画像形成ユニット10,20,30,40の現像ユニット53が、現像工程において帯電したトナー53aを現像ローラ53bにより感光体ドラム50へ供給することで感光体ドラム50の表面に形成された静電潜像にこのトナー53aを付着させて現像を行う。続いて、1次転写工程において、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の表面に形成された画像が、ベルト駆動モータ55aによって所定の速度で駆動される中間転写ベルト55に1次転写される。このとき、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の表面に形成された画像が、所定のタイミングで中間転写ベルト55の表面に重ねて転写され、中間転写ベルト55の表面に複数の色から成る画像が形成される。
その後、2次転写工程において、駆動ローラ56と2次転写ローラ58の間のニップ部を通過する記録紙に、中間転写ベルト55の表面に形成された画像が2次転写される。そして、2次転写工程において画像が転写された記録紙は、搬送ガイド84を通って定着ユニット60における定着ローラ61と加圧ローラ63の間のニップ部へ搬送される。尚、2次転写工程が終了すると、中間転写ベルト55の表面に残留するトナー53aが、クリーニングブレード57によって除去される。
また、画像形成装置の電源をONにすることで電源ユニット91から定着ヒータ62への電力の供給が開始されて定着ヒータ62が加熱され、この定着ヒータ62によって記録紙にトナー53aを安定して定着させることが可能な温度まで定着ローラ61が加熱される。そして、定着ユニット60が、定着工程において定着ユニット60における定着ローラ61と加圧ローラ63の間のニップ部を通過する記録紙のトナー53aを定着ローラ61の熱によって溶解させるとともに加圧ローラ63によって記録紙に圧力を加えることで、トナー53aを記録紙に定着させる。定着工程においてトナー53aが定着した記録紙は、排紙ローラ85によって画像形成装置の外部へ送り出され、排紙トレイ86へ排出される。
このような動作を行う画像形成装置において、記録紙の印刷枚数が増加してゆくにつれ、トナー53aの劣化などの影響により記録紙に印字される画像の濃度に設定値とのずれが生じる。そこで、この画像形成装置では、画像濃度のキャリブレーションをカウンタの計数値に基づき所定の印刷枚数(例えば、80枚)ごとに行う。尚、画像濃度のキャリブレーションとは、記録紙に印字される画像の濃度が予め設定された濃度と一致しているか否かの確認を行うものである。そして、画像濃度のキャリブレーションは、4つの画像形成ユニット10,20,30,40のそれぞれに対して行われる。
具体的には、CPU92が、カウンタによる印刷枚数の計数値が所定枚数に達したことを確認すると、画像濃度のキャリブレーションが開始される。このとき、図2に示すCPU92から全ての画像形成ユニット10,20,30,40のうちの1つ画像形成ユニットのレーザスキャナユニット52に制御信号が送信され、このレーザスキャナユニット52から感光体ドラム50にレーザ光が照射されることにより、一様に帯電した感光体ドラム50の表面に所定の大きさのパッチ画像が形成される。そして、このパッチ画像にトナー53aを付着させることでパッチ画像の顕像化が行われる。続いて、感光体ドラム50の表面に形成されたパッチ画像が中間転写ベルト55に1次転写されるとともに、中間転写ベルト55の表面に形成されたパッチ画像の濃度が濃度センサ71により検出される。
濃度センサ71によるパッチ画像の濃度の検出値がCPU92に入力されると、このCPU92において、濃度センサ71によるパッチ画像の濃度の検出値と予め設定された濃度との比較が行われる。そして、この比較結果により、レーザスキャナユニット52に設置される半導体レーザ(不図示)のレーザパワーや現像ユニット53の現像ローラ53bに印加するバイアス電圧が変更される。1つの画像形成ユニットに対して画像濃度のキャリブレーションが終了すると、次の画像形成ユニットに対して画像濃度のキャリブレーションが開始される。このように、全ての画像形成ユニット10,20,30,40に対して画像濃度のキャリブレーションが行われる。尚、中間転写ベルト55の表面に形成されるパッチ画像は「べた」の画像であり、高い解像度を必要としないため、画像濃度のキャリブレーションを行う際に、感光体ドラム50や中間転写ベルト55の回転速度が画像形成動作時と同じ速度に制御される。
また、このような動作を行う画像形成装置において、製造時からの記録紙の印刷枚数が増加してゆくにつれ、或いは、感光体ドラム50への画像の印字率に応じて、感光体ドラム50が経時的に劣化してゆく。そして、感光体ドラム50が劣化すると、感光体ドラム50の表面に形成される画像に地肌かぶりが生じる。このため、定期的に地肌かぶり検出を行って、各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を変更することにより感光体ドラム50の表面電位を補正し、地肌かぶりの発生を防止する必要がある。そこで、この画像形成装置では、カウンタによる計数値に基づき、記録紙の印刷枚数が所定枚数(例えば、3000枚)に達するごとに地肌かぶり検出を行い、この検出結果に応じて各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を変更する。この地肌かぶり検出について、図5に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
具体的には、CPU92が、カウンタによる印刷枚数の計数値が所定値に達したことを確認すると(ステップS11でYes)、地肌かぶり検出が開始される。このとき、CPU92は、温湿度センサ72より温度及び湿度のデータを取得する(ステップS12)。そして、CPU92は、温湿度センサ72による温度及び湿度のデータが図3に示すエリアA〜Dの何れに属するかを判定し、EEPROM90に記憶された4つのエリアA〜Dのそれぞれに対して用意される各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の表面電位と中間転写ベルト55の表面に形成される画像の濃度との関係を示すデータの中から、判定したエリアに対応するデータを指定する(ステップS13)。
続いて、図2に示すCPU92から電源ユニット91に制御信号が送信され、電源ユニット91からベルト駆動モータ55a及び各画像形成ユニット10,20,30,40のドラム駆動モータ50aへ供給される電力が画像形成動作時の約1/2の大きさに制御される。よって、中間転写ベルト55及び各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の回転速度が、画像形成動作時の約1/2の大きさに制御される(ステップS14)。尚、地肌かぶり検出時には、中間転写ベルト55の表面に形成される画像に対して高い解像度を必要とするため、中間転写ベルト55及び各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の回転速度が低く設定される。
その後、図2に示すCPU92から電源ユニット91に制御信号が送信され、画像形成動作時と同じ大きさの電圧が電源ユニット91から各画像形成ユニット10,20,30,40の帯電ユニット51に供給されることで、各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時と同じ大きさの電圧が印加される(ステップS15)。
このように各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに電圧が印加されるとき、感光体ドラム50が劣化して感光体ドラム50の表面電位が基準値よりも低下していると、地肌かぶりが発生して感光体ドラム50の表面にトナー53aが付着する。そして、図1に示すように、地肌かぶりによって感光体ドラム50の表面に形成された画像が中間転写ベルト55と第1転写ローラ54の間のニップ部を通過する際、感光体ドラム50の表面に形成された画像が中間転写ベルト55の表面に1次転写される。続いて、中間転写ベルト55の表面のうち画像が形成された部分が濃度センサ71の設置場所を通過する際、中間転写ベルト55の表面に形成された画像の濃度が図2に示す濃度センサ71によって検出される(ステップS16)。そして、濃度センサ71による画像濃度の検出値D1が、CPU92に入力される。
また、各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時と同じ大きさの電圧が印加されて濃度センサ71により画像濃度が検出された後、図2に示すCPU92から電源ユニット91に制御信号が送信される。そして、全ての画像形成ユニット10,20,30,40のうちブラック画像形成ユニット40の帯電ユニット51に供給される電圧の値が変更される。即ち、ブラック画像形成ユニット40の帯電ユニット51には、画像形成動作時よりも所定値(30〜50[V]程度)だけ低い電圧が電源ユニット91から供給される。よって、ブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに、画像形成動作時よりも所定値だけ低い電圧が印加される(ステップS17)。
このように各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに電圧が印加されるとき、ブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加される電圧が画像形成動作時より所定値だけ低く設定されているため、ブラック画像形成ユニット40の感光体ドラム50の表面電位も画像形成動作時より低くなる。よって、地肌かぶりが発生し、ブラック画像形成ユニット40の感光体ドラム50の表面に現像ローラ53bより供給されたトナー53aが付着する。
そして、図1に示すように、地肌かぶりによって感光体ドラム50の表面に形成された画像が中間転写ベルト55と第1転写ローラ54の間のニップ部を通過する際、感光体ドラム50の表面に形成された画像が中間転写ベルト55の表面に1次転写される。続いて、中間転写ベルト55の表面のうち画像が形成された部分が濃度センサ71の設置場所を通過する際、中間転写ベルト55の表面に形成された画像の濃度が図2に示す濃度センサ71によって検出される(ステップS18)。そして、濃度センサ71による画像濃度の検出値D2が、CPU92に入力される。
その後、CPU92は、ブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時よりも所定値だけ低い電圧が印加されたときの濃度センサ71の検出値D2から各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時と同じ大きさの電圧が印加されたときの濃度センサ71の検出値D1を引くことで、濃度差(D2−D1)を求める。これにより、ブラック画像形成ユニット40に関して、帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時よりも所定値だけ低い電圧が印加されたときに感光体ドラム50の表面に形成される画像の濃度と、帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時と同じ大きさの電圧が印加されたときに感光体ドラム50の表面に形成される画像の濃度と、の差を求めることができる。
そして、CPU92は、各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の表面電位と中間転写ベルト55の表面に形成される画像の濃度との関係を示すデータを参照し、濃度センサ71による画像濃度の検出値の差から、ブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時よりも所定値だけ低い電圧が印加されたときのこの画像形成ユニット40の感光体ドラム50の表面電位を推測する。例えば、図4に示すように、濃度センサ71による画像濃度の検出値の差が(D2−D1)となるとき、CPU92は、ブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時よりも所定値だけ低い電圧が印加されたときのこの画像形成ユニット40の感光体ドラム50の表面電位をV1と推測する。
ここで、画像形成装置の製造時などブラック画像形成ユニット40の感光体ドラム50が劣化していない状態において、この画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を画像形成動作時よりも所定値だけ下げたときの感光体ドラム50の表面電位VXが予め実験により求められている。
そして、CPU92は、予め実験により求められた感光体ドラム50の表面電位VXと計測により求められた感光体ドラム50の表面電位の推測値V1とを比較する。このとき、CPU92が、予め実験により求められた感光体ドラム50の表面電位VXと計測により求められた感光体ドラム50の表面電位の推測値V1との電位差(VX−V1)の絶対値が補正可能な範囲内にあることを確認すると(ステップS19でYes)、この電位差に応じてブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を決定する(ステップS20)。そして、CPU92は、予め設定された画像形成動作時にブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧にこの補正値を加えることで、画像形成動作時にブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を補正する。
一方、このとき、CPU92が、予め実験により求められた感光体ドラム50の表面電位VXと計測により求められた感光体ドラム50の表面電位の推測値V1との電位差(VX−V1)の絶対値が補正可能な範囲外であることを確認すると(ステップS19でNo)、感光体ドラム50の異常を検出する(ステップS21)。尚、感光体ドラム50の異常は、感光体ドラム50の劣化の程度が高いときなどに検出される。そして、CPU92が感光体ドラム50の異常を検出すると、CPU92から表示部(不図示)に制御信号が送信され、この表示部に感光体ドラム50が異常である旨の表示やエラーコード等の表示がなされる(ステップS22)。
また、ステップS20において、ブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値が決定された後、CPU92が、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を決定する(ステップS23)。尚、これは、一般に、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30の使用頻度がブラック画像形成ユニット40の使用頻度よりも低いため、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30に対して簡易的な補正を行うものである。
このとき、CPU92は、ブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値に基づき、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30の感光体ドラム50への画像の印字率に応じて、これらの画像形成ユニット10,20,30における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を決定する。尚、感光体ドラム50への画像の印字率は、感光体ドラム50の表面に「べた」の画像を形成したときの最大印刷可能枚数を感光体ドラム50の画像形成領域に換算し、この画像形成領域に対する製造時から現在までこの感光体ドラム50の表面に画像が形成された領域の比で表される。
そして、感光体ドラム50への画像の印字率が低いほど感光体ドラム50の劣化の程度が高くなる。このため、CPU92は、画像の印字率が低い感光体ドラム50が設置される画像形成ユニットにおける帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を大きくする一方、画像の印字率が高い感光体ドラム50が設置される画像形成ユニットにおける帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を小さくする。
その後、CPU92において、全ての画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正が正常に行われたか否かの判断が行われる(ステップS24)。このとき、CPU92から電源ユニット91に制御信号が送信され、補正された画像形成動作時の電圧が電源ユニット91から全ての画像形成ユニット10,20,30,40の帯電ユニット51に供給される。よって、各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aには、ステップS20及びステップS23において決定された補正値を加えた電圧が印加される。そして、中間転写ベルト55の表面に形成された画像の濃度が濃度センサ71によって検出され、濃度センサ71による画像濃度の検出値がCPU92に入力される。
この検出結果により、CPU92が、濃度センサ71による画像濃度の検出値が各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに補正前の電圧を印加したときの濃度センサ71による画像濃度の検出値D1よりも充分に低いことを確認すると、各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正が正常に行われたものと判断して(ステップS24でYes)、地肌かぶり検出の処理を終了する。一方、この検出結果により、CPU92が、濃度センサ71による画像濃度の検出値が各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに補正前の電圧を印加したときの濃度センサ71による画像濃度の検出値D1と比べて大きな差異がないことを確認すると、各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正が正常に行われていないものと判断する(ステップS24でNo)。
ここで、上述のように、ステップS23では、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30に対して、帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧が簡易的に補正される。このため、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30において、劣化の程度の高い感光体ドラム50が存在するときに、この感光体ドラム50が設置される画像形成ユニットにおける帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を正確に補正できないおそれがある。
そして、ステップS24において、CPU92が、各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正が正常に行われていないことを確認すると、ステップS17に戻り、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30のうち1つの画像形成ユニットにおける帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を変更する。そして、ステップS18からステップS23までの動作を繰り返し行う。尚、ステップS17では、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30のうち、感光体ドラム50への画像の印字率が最も低いものについて、帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧が変更される。
このように、この画像形成装置では、カウンタによる印刷枚数の計数値が所定値に達するごとに地肌かぶり検出を行い、各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧が補正される。また、この画像形成装置では、各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値が、カウンタによる印刷枚数の計数値と関連付けて、画像形成ユニットごとにEEPROM90に蓄積して記憶される。
そして、図5に示すフローチャートのステップS20及びステップS23において、各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値が決定すると、CPU92が、EEPROM90に蓄積して記憶される各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を参照し、今回の地肌かぶり検出において各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値との比較を行う。この比較結果により、CPU92が、今回の地肌かぶり検出において各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値が、EEPROM90に蓄積して記憶される各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値と比べて大きな差異がないことを確認すると、各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正が行われる。
一方、この比較結果により、CPU92が、今回の地肌かぶり検出において各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値が、EEPROM90に蓄積して記憶される各帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値と比べて大きな差異があることを確認すると、感光体ドラム50の異常を検出する。そして、CPU92が感光体ドラム50の異常を検出すると、CPU92から表示部(不図示)に制御信号が送信され、この表示部に感光体ドラム50が異常である旨の表示やエラーコード等の表示がなされる。
また、この画像形成装置では、上述のような地肌かぶり検出を記録紙の印刷枚数が所定枚数(例えば、3000枚)に達するごとに行うが、より短い間隔(例えば、100枚ごと)で簡易的な地肌かぶり検出を行うようにしてもよい。この簡易的な地肌かぶり検出とは、各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに画像形成動作時と同じ大きさの電圧を印加したときに感光体ドラム50より中間転写ベルト55に転写された画像の濃度を濃度センサ71により検出することで、この検出値に応じて4つの感光体ドラム50の状態をまとめて判断するものである。尚、簡易的な地肌かぶり検出では、中間転写ベルト55及び各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50の回転速度が、画像形成動作時の約1/2の大きさに制御される。
そして、簡易的な地肌かぶり検出を行うことにより、CPU92が、濃度センサ71による画像濃度の検出値が所定値未満であることを確認すると、即ち、感光体ドラム50の劣化の程度が低く、地肌かぶりによる感光体ドラム50への影響が小さいことを確認すると、その後に継続して画像形成動作を行う。一方、簡易的な地肌かぶり検出を行うことにより、CPU92が、濃度センサ71による画像濃度の検出値が所定値以上であることを確認すると、即ち、感光体ドラム50の劣化の程度が高く、地肌かぶりによる感光体ドラム50への影響が大きいことを確認すると、記録紙の印刷枚数が所定枚数に達する前であっても、図5に示す地肌かぶり検出に移行し、ステップS12からステップS24までの動作を行う。
このように、本実施形態では、地肌かぶり検出時において、全ての画像形成ユニット10,20,30,40のうちブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を画像形成動作時と同じ大きさの電圧と画像形成動作時よりも所定値だけ低い電圧との間で変化させて、その前後での濃度センサ71による画像濃度の検出値の差に応じて、画像形成動作時にブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を補正するようにしている。
ここで、地肌かぶり検出時において、全ての画像形成ユニット10,20,30,40に画像形成動作時と同じ大きさの電圧を印加すると、感光体ドラム50の表面電位が高く、濃度センサ71による画像濃度の検出値が低くなる。即ち、感光体ドラム50の表面電位が高い領域では、感光体ドラム50の劣化により地肌かぶりが発生していても、濃度センサ71による画像濃度の検出値の変化割合が小さく、その影響が顕著に現れない。よって、濃度センサ71による画像濃度の検出値を用いて、画像形成動作時に各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧を正確に補正することができない。
しかしながら、感光体ドラム50の表面電位が低い領域では濃度センサ71による画像濃度の検出値が大きく、また、濃度センサ71による画像濃度の検出値の変化割合が大きい。このため、電源ユニット91から全ての画像形成ユニット10,20,30,40のうちブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aへの印加電圧を変化させることで、地肌かぶりによる感光体ドラム50の表面電位の低下を濃度センサ71による画像濃度の検出値に基づき正確に検知し、画像形成動作時において電源ユニット91からブラック画像形成ユニット40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aへ印加する電圧を正確に補正することができる。
従って、本実施形態によれば、複数の感光体ドラム50を有する画像形成装置において、各感光体ドラム50に光センサを設置することなく、1つの濃度センサ71を用いて各画像形成ユニット10,20,30,40における帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aへ印加する電圧を補正することができる。このため、画像形成装置の構成を簡素化できるとともに、部品のコストを低減させることができる。
尚、上記画像形成装置では、帯電ユニット51に帯電部材として非接触型の帯電ワイヤ51aを用いたが、これに代えて、接触型の帯電ローラを用いることとしてもよい。これにより、帯電部材の放電により発生するオゾンの量を少なくすることができ、環境に適した画像形成装置を提供することができる。
また、上記画像形成装置では、中間転写ベルト55に各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50が圧接しているため、地肌かぶり検出時に全ての帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに電圧を印加するようにしたが、これに限るものではない。即ち、各画像形成ユニット10,20,30,40が回転するなどして中間転写ベルト55に各画像形成ユニット10,20,30,40の感光体ドラム50を順に圧接させる方式の画像形成装置においては、ブラック画像形成ユニット40の感光体ドラム50を中間転写ベルト55に圧接させ、この画像形成ユニット40の帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aにのみ電圧を印加することによって地肌かぶり検出を行うことができる。
そして、このような方式の画像形成装置において、中間転写ベルト55に圧接する感光体ドラム50を除く残りの3つの感光体ドラム50は、ドラム駆動モータ50aによる回転が停止した状態となる。このため、ブラック画像形成ユニット40を除く残りの3つの画像形成ユニット10,20,30,40については、感光体ドラム50への画像の印字率に加え、感光体ドラム50を回転させるドラム駆動モータ50aの駆動時間に応じて、帯電ユニット51の帯電ワイヤ51aに印加する電圧の補正値を決定するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明は、プリンタ、ファクシミリ、或いは、複写機等の画像形成装置に関し、特に、感光体ドラムの表面電位の補正を行うものについて有用である。
実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。 実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。 画像形成装置内部の温度及び湿度とこれに応じて指定されるエリアA〜Dとの関係を示す図である。 感光体ドラムの表面電位と画像濃度との関係を示すグラフである。 実施形態に係る画像形成装置において、地肌かぶり検出時におけるCPUの処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
10 シアン画像形成ユニット
20 マゼンタ画像形成ユニット
30 イエロー画像形成ユニット
40 ブラック画像形成ユニット
51 帯電ユニット
52 レーザスキャナユニット
53 現像ユニット
54 1次転写ローラ
55 中間転写ベルト
56 駆動ローラ
57 クリーニングブレード
58 2次転写ローラ
60 定着ユニット
70 冷却ファン
71 濃度センサ
72 温湿度センサ
90 EEPROM
91 電源ユニット
92 CPU

Claims (3)

  1. 感光体ドラムの表面を帯電させる帯電部材と、前記感光体ドラムの表面に光を照射することにより前記感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光ユニットと、前記感光体ドラムの表面に形成された静電潜像の現像を行う現像ユニットと、から成る画像形成ユニットを、前記現像ユニットに収容される前記トナーの色に対応して複数備えるとともに、
    前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムの表面に形成された画像を転写するための転写ベルトと、前記各画像形成ユニットの前記帯電部材に所定の大きさの電圧を印加することによって前記帯電部材を放電させる電源ユニットと、を備える画像形成装置において、
    前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムより前記転写ベルトに転写された画像の濃度を検出する濃度センサと、データを記憶する不揮発性メモリと、さらに備え、
    前記電源ユニットから複数の前記画像形成ユニットのうち1つの画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を画像形成動作時と同じ第1印加電圧から画像形成動作時よりも所定量だけ低い第2印加電圧に変化させて前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムより前記転写ベルトに転写された画像の濃度を前記濃度センサにより検出するとともに、
    前記電源ユニットから前記1つの画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を前記第1印加電圧から前記第2印加電圧に変化させる前と後での前記濃度センサによる画像濃度の検出値の差を求め、
    前記不揮発性メモリに、前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムの表面電位と前記転写ベルトの表面に形成される画像の濃度との関係を示す第1データと、前記感光体ドラムが劣化していない状態において予め求められた前記帯電部材への印加電圧を画像形成動作時よりも前記所定量だけ低くするときの前記感光体ドラムの表面電位を示す第2データと、前記濃度センサによって検出される画像濃度の検出値に応じて前記各画像形成ユニットにおける前記帯電部材への印加電圧の補正値を決定するための第3データと、が記憶されており、
    前記第1データを参照して、前記検出値の差から、前記電源ユニットから前記1つの画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を前記第2印加電圧にしたときの前記1つの画像形成ユニットの前記感光体ドラムの表面電位の推定値を求め、
    前記第2データが示す表面電位と前記推定値との電位差に応じて、画像形成動作時における前記電源ユニットから前記1つの画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧の補正値を決定するとともに、該印加電圧に当該補正値を加えることにより該印加電圧を補正し、
    前記複数の前記画像形成ユニットのうちの残りの前記画像形成ユニットについては、前記1つの画像形成ユニットにおける前記帯電部材への印加電圧の前記補正値に基づき、当該残りの前記画像形成ユニットの前記感光体ドラムへの画像の印字率に応じて、画像形成動作時における前記電源ユニットから前記残りの前記画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を補正することを特徴とする画像形成装置。
  2. 装置内部の温度及び湿度を検出する温湿度センサを備え、
    前記温湿度センサによる温度及び湿度の検出値に基づき、前記濃度センサによる画像濃度の検出値を補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記電源ユニットから複数の前記画像形成ユニットのうち前記1つの画像形成ユニットの前記帯電部材への印加電圧を変化させて前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラムより前記転写ベルトに転写された画像の濃度を前記濃度センサにより検出するとき、前記各画像形成ユニットの前記感光体ドラム及び前記転写ベルトの回転速度を、画像形成動作時の回転速度と異なる速度に制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
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