JP4910539B2 - 一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
また、フォルステライト層の上にガラス質の絶縁張力被膜を有する場合、曲げ加工の際の密着性が無方向性電磁鋼板の絶縁被膜として用いられている有機質を含んだ被膜に比べて劣るという問題点がある。
このような問題点のため、一方向性電磁鋼板は打抜き加工や曲げ加工を必要とする鉄心として工業的に用いることは難しかった。
このような技術としては、まず最終仕上げ焼鈍後にフォルステライト被膜を酸洗や研削などの方法で除去する方法が考えられるが、この方法はコスト高になるだけではなく、表面性状が劣化し、磁気特性の劣化を招くという問題点がある。
しかしながら、これらの技術では、インヒビター成分の除去のために高温での純化焼鈍が必要となるため、製造コストが高くなるという問題の他、製品の結晶粒径が粗大となって加工性が損なわれるという問題点があった。
しかしながら、この方法で得られた一方向性電磁鋼板は、二次再結晶粒径が十分に制御されていないため、加工性の点で問題が生じる。
具体的には、鋼板を形成している二次再結晶粒の数度の結晶方位のずれにより、打抜き加工時の寸法精度が劣化する現象であり、二次再結晶粒径が増大する従って顕著になる。このような現象に対しては、二次再結晶粒径を細かくすることが有利である。
その結果、加工性と磁気特性を同時に確保するためには、二次再結晶粒の粒径分布を適正に制御することが重要であることを突き止め、本発明の基礎とした。
このような二次再結晶組織を得るためには、熱間圧延中にγ変態を起こすに足る量のCを含有する素材を用いて熱延板組織の均一化を図ることが有利であるものの、スラブ中のCの含有量が多いと製造工程での脱炭焼鈍の負荷が大きいため、製造コストの点で不利となる。
(1)質量%で、C:0.02%以下およびSi:1.0〜5.0%を含み、Al:100ppm以下、N:50ppm 以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、1100〜1300℃の温度に加熱した後、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施してから冷間圧延して最終板厚とするか、あるいは熱延板焼鈍なしに中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚としたのち、再結晶焼鈍を施し、その後表面にセラミック質の被膜が生成しないように最終仕上げ焼鈍を施し、ついで平坦化焼鈍後、絶縁コーティングを焼き付ける一連の工程からなる一方向性電磁鋼板の製造方法において、
熱間圧延中の鋼板表面温度が950℃以上における累積圧下率を75%以上とし、かつ熱間圧延の圧延ロール入側での被圧延鋼板の表面温度が1050℃以上における累積圧下率を20%以上とし、熱間圧延後の最初の焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間を100秒以内とすることを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について詳述する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.04%、Si:3.3%およびMn:0.04%を含み、Al:40ppm、S:20ppm、N:20ppm、O:15ppmに低減した鋼スラブを、連続鋳造にて製造した。この鋼スラブから、試験片を採取して、1250℃に加熱後、種々の条件で熱間圧延を施したのち、保持温度:1000℃の熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延により0.35mm厚の最終板厚としたのち、体積比で水素:窒素=25:75、露点:50℃の雰囲気中にて850℃の脱炭と再結晶を兼ねた焼鈍を施してから、アルミナ粉を焼鈍分離剤として塗布し、保持温度:900℃の最終仕上げ焼鈍を行ったのち、重クロム酸塩と樹脂からなる半有機コーティング液を塗布・焼き付けして試作鋼板を制作した。
Δφ(%)=(外径の最大値−外径の最小値)/外径平均値×100 ・・・(1)
円相当径r=2(S/π)0.5
同図に示したとおり、 円相当径が20mm以上の結晶粒の面積率が大きくなると、Δφが大きくなって寸法精度(打抜性)は劣化するが、この面積率が15%以下であれば打ち抜き寸法精度のばらつきは小さい。
この理由は、粗大な結晶粒が存在すると、打抜き加工の際の材料の変形過程で結晶方位がわずかずつずれた結晶粒の影響が平均化されずに特定の結晶粒の方位の影響が強くなり、寸法精度が劣化するのに対し、粗大な結晶粒を少なくすれば、かような劣化が抑制されるためと考えられる。
同図に示したとおり、円相当径が3mm以下の結晶粒の面積率を20%以下に制限することにより、20000以上の比透磁率が得られている。
このような微細な粒径の二次再結晶粒の割合が増加した場合における透磁率の低下は、主として、粒界に生成する磁極によって透磁率が低下することが原因と考えられる。
そこで、発明者らは、スラブ中のC量が0.02%以下で、熱延中にγ変態を起こさないような鋼成分の場合にも、打抜き加工時の寸法精度の観点から必要とされる二次再結晶組織を得る方法について検討した。
以下に、その実験結果を示す。
これらの図において、比較法とは、各圧延ロール入側での被圧延材の温度が1050℃以上での累積圧下率を12%、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間を60秒とした場合、一方発明法とは、各圧延ロール入側での被圧延材の温度が1050℃以上での累積圧下率を20%、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間を60秒とした場合である。
これに対し、素材C量が0.0020%の材料では、これらの方法を適用しただけでは所望の二次再結晶組織は得られておらず、さらに被圧延材の温度が1050℃以上の温度域での累積圧下率を20%まで高めることによって、打抜き寸法精度向上のために好適な二次再結晶組織となっていることが分かる。
図5,図6に示されるように、被圧延材の温度:1050℃以上での累積圧下率を20%以上とすることによって、円相当径が20mm以上の結晶粒の面積率が15%以下で、かつ円相当径が3mm以下の結晶粒の面積率が20%以下の製品が得られていることが分かる。
熱間圧延中、950℃以上での累積圧下率を75%以上確保することによって二次再結晶粒径の分布が改善される理由は、鋼板表層部が高温域で強い歪を加えられることで、熱延中の結晶粒成長が適度に進行して熱間圧延後の組織が均一化された結果、二次再結晶後の組織が均一化されたことによると考えられる。特に二次再結晶粒径の微細な粒や粗大な粒の発生が抑制された結果と考えられる。
この理由は、圧延中にγ変態が起こらない場合、圧延中に相変態に伴う再結晶の生成が起こりにくいため、スラブ組織の影響が残り易くなるためと考えられる。
この理由は、熱間圧延の高温域において大きな歪が加えられることにより、変形組織からの再結晶粒の生成と成長が促進されるからであると考えられる。γ変態を伴う場合は、圧延中の温度低下に伴いγ相率の低下に併せて、950℃程度の温度に至るまでの圧下量を十分に確保することで、熱延組織の均一化が達成されるのに対し、γ変態のない場合には、高温域で大きな歪を与えておき、変形組織から再結晶粒を生成させたのち、これをその後の圧延過程で適度に粒成長させる方が均一化に有利であると考えられる。一方、熱延中の鋼板温度が低下してから強い歪を与えた場合はその後の粒成長が進行せずに細かい結晶粒となり、熱延板焼鈍中の異常粒成長により結晶粒が部分的に粗大化し、最終的に二次再結晶組織の不均一化に繋がると推定される。
このため、熱間圧延において最も高温となる初期の圧延パスの圧下率を所定の値まで高めることが、C含有量の少ない素材の場合に重要と考えられ、このような効果を得るには熱間圧延の1パス目の入側温度を高温にしておくことが有利であるといえる。
特開平9−316537号公報などに開示されている従来の技術においても、熱延板焼鈍や中間焼鈍の昇温速度を適正に制御することが行われていたが、これらの技術では、AlN等のインヒビターを適切に析出させることが目的であった。
一方、上記した熱延板焼鈍や中間焼鈍すなわち熱間圧延後最初の焼鈍の昇温過程での所要時間を適正化する方法は、本発明のようなインヒビターを用いない電磁鋼板の製造方法において、不純物の析出を抑制しようとするものであり、従来の技術とはその目的が異なっている。
まず、素材である鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.02%以下
Cは、γ変態の促進により熱延後の組織を均質化させ、磁気特性を改善させる有用元素であるが、製品の鉄基部分に残留すると時効効果により鉄損の増加を招くため、最終製品では0.0050%以下に低減しておく必要がある。このため、熱間圧延中の組織改善を目的としてCを適量添加した場合でも、後の製造工程のいずれかの時点で鋼中からCを除去する必要がある。このために、最終冷間圧延後に再結晶焼鈍を兼ねた脱炭焼鈍を適用する方法が一般的に用いられるが、脱炭を十分に行いことは相応の焼鈍時間を要するため、生産効率が低下してしまう。このような鋼中Cの添加に伴う生産性の低下を軽減するには、素材中のC添加量を低減させるのがよい。ただし、この場合には、前述したように、熱延中のγ変態が生じなくなるか、あるいはγ相率が低下し、熱延組織の改善が望めない。
このような事態に対し、本発明では、熱間圧延の条件を工夫することで素材中のC量が少なくても、良好な熱延組織を得る方法を見出したものである。
すなわち、本発明の手法を用いることにより、熱延板の組織の劣化を招くことなしにC添加量を0.02%以下まで低減することが可能であるので、スラブ中のC量は上記範囲に限定した。なお、C量は、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.0050%以下である。
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低減させるだけでなく、鉄のBCC組織を安定させて高温での焼鈍を可能とする効果がある。しかしながら、Si含有量が1.0%を下回ると十分な鉄損低減効果が得られず、一方5.0%を超えると磁束密度が低下するだけでなく、製品の二次加工性が著しく劣化するので、Si量は1.0〜5.0%の範囲に限定した。
本発明は、前掲した特許文献3のようなインヒビターを用いない一方向性電磁鋼板の製造技術を基本としている。従って、不純物元素を低減することで、粒界構造に依存した粒界の動き易さの差を利用して二次再結晶粒の方位集積度を向上させる。このためには、特にAlおよびNについて、上記範囲に限定する必要がある。また、Al,Nの他にも、B,Nb,V,S,SeおよびPについても、50ppm以下に低減しておくことが好ましい。
なお、Nについては、固溶Nによるピン止め効果を得るために、スラブ中に10ppm以上含有させておくことは有利である。
Mn:0.02〜2.0%
Mnは、熱間加工性を改善するために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.02%に満たないとその添加効果に乏しく、また磁気特性上もやや不利となる。一方、2.0%を超えると磁束密度の低下を招く。従って、Mnの添加を行う場合には上記の範囲とするのが好ましい。なお、製品の鉄基部分にはスラブ段階で含有するMnのほぼ全量が残留する。
Niは、組織を改善して磁気特性を向上させる有用元素であり、必要に応じて添加することができる。ここに、含有量が0.005%に満たないと磁気特性の改善が十分でなく、一方 2.0%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Niを添加する場合には上記の範囲とするのが好ましい。なお、製品の鉄基部分にはスラブ段階で含有するNiのほぼ全量が残留する。
上記の元素はいずれも、鉄損改善のために有用な成分であり、必要に応じて単独またはた複合して添加することができる。ここに、含有量が下限に満たない場合は鉄損の改善効果に乏しく、一方上限を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するため、各元素とも上記の範囲で含有させることが好ましい。なお、上記のいずれの元素についても製品の鉄基部分にはスラブ段階での含有量のほぼ全量が残留する。
スラブの加熱温度が1100℃を下回ると、熱間圧延中に十分な温度を保つことができないため、高温域で十分な圧下率をとることができず、その結果、均一な熱延板組織が得られないため、二次再結晶の粒径分布が不均一化する。一方、スラブの加熱温度が1300℃を超えると、加熱中の結晶粒の成長が進行して熱間圧延後の組織が不均一となり、所望の二次再結晶組織が得られない。従って、スラブ加熱温度は1100〜1300℃の範囲に限定した。より好ましくは1150〜1250℃の範囲である。
特に、本発明では、スラブ中に含有させるC量を0.02%以下に限定しているため、熱間圧延中のγ相率が低く、γ変態による熱延組織の均一化が望めない。このため、スラブ加熱中の結晶粒の粗大化を防止する観点から、加熱温度は1300℃以下とする必要がある。
前述したように、鋼板表面温度が950℃以上における累積圧下率を75%以上とすることで、粗大あるいは微細な二次再結晶粒の面積率を低減することができるので、上記の範囲とした。また、上記の被圧延材の表面温度は、圧延直後の温度と定義するものとする。従って、温度の計測時点と圧延終了時点にずれがある場合、圧延中に特別な加熱処理を加えない限りは時間に応じて被圧延材の表面温度が低下するものとして、各圧延ロール出側温度が950℃以上の温度域での累積圧下量を算定することが可能である。より好ましい累積圧下率は80%以上である。
前途したように、スラブ中のC含有量を低く制限したことにより、熱間圧延中のγ変態による熱延組織の均一化が期待できないような場合、熱間圧延初期の熱延条件を適切に制御することによって、かような不利を補償することができる。すなわち、1050℃以上の高温域での累積圧下率が20%以上となる圧延を行うことによって、高温域で導入される歪により熱延板の再結晶組織の粗大化が適度に進行し、熱間圧延以降の焼鈍後の組織が均一化される。上記の範囲を外れた熱延条件では、このような効果が生じず、最終的な製品で粗大または微細な二次再結晶粒の生成頻度が増加して、加工後の寸法精度が損なわれるため、上記範囲に限定した。より好ましい累積圧下率は30%以上である。
上記の被圧延材の表面温度は各ロールでの圧延直前の温度と定義するものとする。従って、温度の計測時点と圧延開始時点にずれがある場合、圧延中に特別な加熱処理を加えない限りは時間に応じて被圧延材の表面温度が低下するものとして各圧延ロール入測温度が1050℃以上の温度での累積の圧下量を算定することが可能である。
前述したように、熱延後最初の焼鈍の昇温工程:500〜900℃間の所要時間が100秒を超えると鋼中不純物の析出量が増加し、固溶N量が低下して二次再結晶焼鈍中に十分なピン止め効果が得られず、二次再結晶粒の中に粗大な粒径や微細な粒径のものが発生する。従って、二次再結晶粒の中に粗大な結晶粒や微細な結晶粒の発生を抑制するには、熱延後最初の焼鈍の昇温工程:500〜900℃間の所要時間を100秒以内とする必要がある。また、この効果を得るためには、上記の熱延条件とすることにより、熱延板組織を予め均一化しておく必要がある。
熱延後最初の焼鈍の昇温工程:500〜900℃間のより好ましい所要時間は60秒以下である。
本発明では、打抜き加工時の金型摩耗を防止すると共に、曲げ加工時の密着性確保のために、最終仕上げ焼鈍において表面にセラミックス質の被膜が生じないようにし、平坦化焼鈍の後に無機または有機あるいは半有機の絶縁コーティングを施す。このため、最終仕上げ焼鈍においては、鋼板表面にフォルステライトなどのセラミックス質の被膜が生成しないようにする必要がある。従って、焼鈍分離剤を用いる場合には、アルミナ粉やシリカ粉など鋼板との反応性の低い物質を選択するのが良い。また、MgOなどの従来の焼鈍分離剤を用いることも可能であり、この場合にフォルステライトが生成しないようするには、最終仕上げ焼鈍の到達温度を1000℃以下程度の低温域に制限すればよい。また、鋼中にSbやSn,Biなどの表面偏析型の元素を適量含有する場合、最終仕上げ焼鈍の到達温度を950℃程度以下の低温域に制限することで、焼鈍分離剤の塗布がなくても鋼帯同士の密着を防止することができる。
熱延後最初の焼鈍における焼鈍温度は950〜1100℃程度とするのが好ましい。というのは、熱延後最初の焼鈍温度が950℃を下回ると、熱延後の未再結晶組織の再結晶が進行せず、二次再結晶粒の方位集積度の低を招き、一方熱延後最初の焼鈍温度が1100℃を超えると、冷延前粒径が粗大となり、冷間圧延後の組織で{111}〈112〉方位の体積分率の低下が著しくなって、二次再結晶粒の方位集積度が低下するからである。より好ましい焼鈍温度は950〜1050℃である。
本発明では、素材スラブ中のC含有量を0.02%以下と低くしても均一な粒径分布の二次再結晶組織が得られるため、かような脱炭焼鈍を低温、短時間にて行うことが可能である。また、スラブ中C量を0.0050%以下とすることで、脱炭焼鈍を省略することも可能である。
C:0.0020%およびSi:3.2%を含み、Al:50ppm、N:30ppmに低減した組成になる、厚さ:200mmの鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、ガス加熱炉にて表1に示す温度で、1時間の加熱を施したのち、3機直列の粗圧延機および7スタンドのタンデム圧延機により2.2mm厚さまで熱間圧延した。ついで、1000℃で60秒間保持する熱延板焼鈍を施したが、この焼鈍での昇温過程中、500〜900℃間の所要時間を表1に示すように種々変化させた。続いて冷間圧延により 0.35mmの最終板厚としたのち、窒素雰囲気中にて900℃に20秒間保持する再結晶焼鈍を施した。
ついで、焼鈍分離剤としてシリカを鋼板表面に塗布したのち、窒素雰囲気中にて900℃に50時間保持する最終仕上げ焼鈍を施した。その後、シリカを水洗除去してから、平坦化焼鈍を施したのち、重クロム酸塩と樹脂からなる半有機コーティング液を塗布し、300℃で焼き付けて製品とした。
上記の製造方法において、スラブを加熱炉から抽出してから圧延を開始するまでの時間あるいは粗圧延中の各ロール間での時間を調整することによって、粗圧延中の950℃以上における累積圧下率、圧延ロール入側での被圧延材の表面温度が1050℃以上における圧下率を、表1に示すように種々に変化させた。また、粗圧延に続く仕上げ圧延の開始温度はいずれも930℃となるようにした。
かくして得られた製品の鋼板表面における円相当径が3mm以下の結晶粒が占める面積率および円相当径が20mm以上の結晶粒が占める面積率について調べた。また、得られた製品からエプスタイン試験片を採取し、磁気特性を測定した。さらに、外径:100mm、内径:80mmのリング状サンプルを20枚打抜き、式(1) にて定めたΔφを評価した。
得られた結果を表1に併記する。
表2に示す成分元素を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成になる、厚さ:250mmの珪素鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、ガス加熱炉にて1250℃,1時間の加熱後、粗圧延前段における1050℃以上の累積圧下率:25%、粗圧延の終了温度:950℃、粗圧延後の板厚:50mm(粗圧延圧下率:80%)、仕上げ圧延の開始温度:930℃の条件の熱間圧延で2.2mm厚さとした後、酸洗処理を施してから冷間圧延により1.0mm厚に圧延した。ついで、窒素雰囲気中にて1050℃,30秒間の中間焼鈍を施したのち、冷間圧延により0.27mmの最終板厚とした。上記の中間焼鈍での昇温過程中、500〜900℃間の所要時間は60秒であった。ついで、窒素雰囲気中に900℃,10秒間の保持を行う脱炭と再結晶を兼ねた焼鈍を施した。
ついで、焼鈍分離剤としてシリカを鋼板表面に塗布した後、アルゴン雰囲気中にて900℃に50時間保持する最終仕上げ焼鈍を行った。その後、シリカを水洗除去してから平坦化焼鈍を施したのち、重クロム酸塩と樹脂からなる半有機コーティング液を塗布し、300℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品の鋼板表面における円相当径が3mm以下の結晶粒が占める面積率および円相当径が20mm以上の結晶粒が占める面積率について調べた。また、得られた製品からエプスタイン試験片を採取し、磁気特性を測定した。さらに、外径:100mm、内径:80mmのリング状サンプルを20枚打抜き、式(1) にて定めたΔφを評価した。
得られた結果を表2に併記する。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.02%以下およびSi:1.0〜5.0%を含み、Al:100ppm以下、N:50ppm 以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、1100〜1300℃の温度に加熱した後、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施してから冷間圧延して最終板厚とするか、あるいは熱延板焼鈍なしに中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚としたのち、再結晶焼鈍を施し、その後表面にセラミック質の被膜が生成しないように最終仕上げ焼鈍を施し、ついで平坦化焼鈍後、絶縁コーティングを焼き付ける一連の工程からなる一方向性電磁鋼板の製造方法において、
熱間圧延中の鋼板表面温度が950℃以上における累積圧下率を75%以上とし、かつ熱間圧延の圧延ロール入側での被圧延鋼板の表面温度が1050℃以上における累積圧下率を20%以上とし、熱間圧延後の最初の焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間を100秒以内とすることを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 鋼スラブが、さらに質量%で、Mn:0.02〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Sn:0.01〜2.0%、Sb:0.005〜0.5%、Cu:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.50%およびCr:0.01〜2.0%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の一方向性電磁鋼板の製造方法。
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