JP4908702B2 - 階段および階段の施工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、階段および階段の施工方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、住宅等の建物、複数階層を結ぶ階段が用いられている。階段は、ささら桁に段板を支持する構造が基本となっている。階段の段板は、むく板に限らず芯材に面材を張るような構造もある。蹴込板のない素通し状のストリップ階段では、前述したような構造であるが、通常の階段では、上段段板の手前側下面と下段段板の奥側を結ぶ踏込板を設け、階段表側と裏側とを遮断している。
【0003】
階段を施工する際には、各段板の高さと水平方向位置の精度を確保する必要があるが、実際には、誤差が生じる。このため、踏込板を設置する際には、踏込板下部と下段段板表面との水平方向位置決めと、踏込板上部と上段段板との高さ調整が必要である。具体的には、上段段板の手前側縁に合わせて蹴込板の水平位置を決め、この位置で蹴込板の下部を受ける受け材を段板の表面に釘打ち、この受け材に蹴込板の下部を接着し、蹴込板上端を上段段板の垂下部裏側に、垂直にずらして、固定する(特開平6−108603号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような方法では、処理が煩雑であり、段板および蹴込板の垂直および水平方向の位置調整が難しいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、段板の垂直および水平方向の位置調整を容易に行える階段および階段の施工方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するために、本発明の階段1、2、3、4は、段板20および蹴込板30を有する階段であって、前記蹴込板は、垂直に配置される蹴込板本体31と、この蹴込板本体の裏面を受け、前記段板上面と接続される受け部32とを有し、これら蹴込板本体および受け部の表面には、これらを連続させる被覆シート12が貼られていることを特徴とする。
ここで、被覆シートは、樹脂製、布製等、折り曲げ等の加工に耐える強度を持つものならば、任意の材質のものを採用できる。
【0007】
このような本発明によれば、蹴込板本体および受け部の表面には、これらを連続させる被覆シートが貼られていることにより、蹴込板本体および受け部が一体で形成されるので、蹴込板本体の位置決めを行うだけで、下段段板への受け部接合位置を一義的に決めることができ、垂直および水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0008】
本発明の階段では、前記蹴込板本体および前記受け部の互いに向き合う端面50A、50Bは、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることが好ましい。
これによれば、蹴込板本体および受け部の互いに向き合う端面は、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることにより、受け部を下段段板表面に取り付けた後、蹴込板本体を簡単に垂直に引き起こすことができるため、施工性が向上する。
【0009】
本発明の階段では、前記段板は、階段幅方向端部に設けられるささら板に架設され、該階段の手前側および奥側に設けられる2本の芯材40により支持され、前記被覆シート部材の蹴込板本体上端は、階段手前側の芯材に固定され、前記受け部は、前記段板を介して階段奥側の芯材に固定されることが好ましい。
これによれば、前記被覆シート部材の蹴込板本体上端は、階段手前側の芯材に固定され、前記受け部は、前記段板を介して階段奥側の芯材に固定されることにより、段板および蹴込板が階段構造を支持するささら板および芯材に直接固定されるので、階段構造全体を強固な構造にすることができる。
【0010】
本発明の階段では、前記段板は、水平に配置される段板本体21と、この段板本体の踏み面先端から垂下する折返し部22、22A、22Bとを有し、前記段板本体および前記折返し部の表面には、これらを連続させる被覆シートが貼られていることが好ましい。
これによれば、前記段板本体および前記折返し部の表面には、これらを連続させる被覆シートが貼られていることにより、段板設置後、別途折返し部を段板に取り付ける必要がないので、階段の施工を簡略化することができる。
【0011】
本発明の階段では、前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面は、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることが好ましい。
これによれば、前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面52A、52B、53A、53Bは、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることにより、これら端面同士を接着するだけで、段板の踏み面先端から垂下する折返し部を形成できるため、施工性が一層向上する。
【0012】
本発明の階段では、前記蹴込板本体および前記受け部を連続させる被覆シートと、前記段板本体および前記折返し部を連続させる被覆シートと、が連続していることが好ましい。
これによれば、前記蹴込板本体および前記受け部を連続させる被覆シートと、前記段板本体および前記折返し部を連続させる被覆シートと、が連続していることにより、段板と蹴込板に貼られている被覆シート全てが連続しているので、階段を構成する部材を全て一部材化することができ、階段施工に必要な部品点数を大幅に削減することができる。
【0013】
本発明の階段の施工方法は、段板および蹴込板を有する階段の施工方法であって、基材表面に被覆シートを貼ったシート被覆材を、前記階段の蹴上げ寸法よりも大きな寸法に切り出し、裏面から溝を切り込んで前記基材を蹴込板本体および受け部に区画する工程と、この受け部の被覆シート側を下段の段板の上面に接合し、溝部分の被覆シートを折り曲げて蹴込板本体を引き起こす工程と、引き起こされた蹴込板本体の上端を上段の段板下面に接合する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
このような本発明によれば、蹴込板および受け部が一体成形されることで、受け部を段板上面に取り付け、溝部分を垂直に引き起こすだけで、蹴込板を形成できるから、階段構成部材も容易に製造可能である。
また、基板裏面から溝加工を施すことで蹴込板本体および受け部に区画できるため、階段の施工を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の階段の施工方法では、前記蹴込板本体および前記受け部に区画する溝の切り込みは、前記蹴込板本体および前記受け部の互いに向き合う端面が、それぞれ45度のテーパ面となるようなV字溝加工であることが好ましい。
これによれば、前記蹴込板本体および前記受け部の互いに向き合う端面は、同一形状、大きさであるので、蹴込板本体の引き起こしが容易である。
【0016】
本発明の階段の施工方法では、基材11表面に被覆シート12を貼ったシート被覆材10を、前記段板の奥行き寸法よりも大きな寸法に切り出し、裏面から溝を切り込んで前記基材を段板本体および折返し部に区画する工程と、溝部分の被覆シートを折り曲げて、前記折り返し部を前記段板本体の裏面側に折り返し、該段板本体と接合する工程と、を備えていることが好ましい。
【0017】
これによれば、段板本体および折返し部が一体成形されることで、溝部分の被覆シートを折り曲げ、折返し部を段板本体の裏面側に折り返すだけで、段板を形成できるから、階段構成部材も容易に製造可能である。
また、基板裏面から溝加工を施すことで段板本体および折返し部に区画できるため、階段の施工を容易に行うことができる。
【0018】
本発明の階段の施工方法では、前記段板本体および前記折返し部に区画する溝の切り込みは、前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面が、それぞれ45度のテーパ面となるようなV字溝加工であることが好ましい。
これによれば、前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面は、同一形状、大きさであるので、折返し部の折り返しが容易である。
【0019】
本発明の階段の施工方法は、段板および蹴込板を有する階段の施工方法であって、基材表面に被覆シートを貼ったシート被覆材を、前記階段の蹴上げ寸法および段板の奥行き寸法よりも大きな寸法に切り出し、裏面から少なくとも3本の溝50、51、52、53、54を切り込んで前記基材を蹴込板本体、受け部、段板本体、および折返し部に区画する工程と、前記段板本体および折返し部間の溝部分の被覆シートを折り曲げて、前記折返し部を前記段板本体の裏面側に折り返し、該段板本体と接合する工程と、前記段板本体および受け部間の溝部分の被覆シートを折り曲げて、前記受け部の被覆シート側を、固定された段板本体の上面に接合するとともに、前記蹴込板本体を引き起こす工程と、引き起こされた蹴込板本体の上端を上段の段板下面に接合する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0020】
このような本発明によれば、蹴込板本体、受け部、段板本体、および折返し部が一体で形成されることで、折返し部を段板本体の裏面側に折り返し、段板本体と接合するだけで、段板を製造でき、また、蹴込板本体を引き起こし、上段の段板下面に接合するだけで、蹴込板を製造できるので、階段構成部材も容易に製造可能である。
また、蹴込板本体、受け部、段板本体、および折返し部が一体で形成されることで、段板および蹴込板を一義的に決めることができ、垂直および水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0021】
本発明の階段の施工方法では、前記段板本体および前記受け部に区画する溝の切り込みは、これらの間で前記被覆シートが所定幅で露出するような溝加工であることが好ましい。
これによれば、前記段板本体および前記受け部に区画する溝の切り込みは、これらの間で前記被覆シートが所定幅で露出するような溝加工であることにより、溝部分の被覆シートの折り曲げ加工に十分な長さを取ることができるので、前記受け部の段板本体上面の奥行き方向位置を、上段の段板に応じて調整することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
[1]階段
図1には、本発明の第1実施形態に係る階段1が示されている。階段1は、階段の斜面に沿って複数の段部を有し、階段方向端部に設けられるささら板(図示略)と、ささら板の段部上に設けられる段板20と、各段板20の間の垂直部分である蹴込板30と、段板20を下側から支え、ささら板の段部の角隅部分に設けられる芯材40と、を備えて構成される。
段板20は、階段の段を構成する段板本体21と、段板本体21の水平方向の断面を保護する折返し部22と、から構成されている。段板本体21は、水平な板状である。折返し部22は、段板本体21に対して鉤状に折り曲げられて形成されている。
【0023】
蹴込板30は、段板20に対して垂直方向に立設される蹴込板本体31と、この蹴込板本体31の裏面を受け、段板20上面と接続される受け部32と、から構成されている。芯材40は、断面矩形状の部材であり、一つは、段板20の奥側の端部であり、受け部32に対応する位置に配置され、釘41が、受け部32の上面側より打ち込まれ芯材40中心部付近まで貫通、固定されている。
もう一つの芯材40は、手前側の段板20および蹴込板30が交差する部分に両方に接触するように配置され、釘41が、折返し部22で隠れるように、蹴込板30側より打ち込まれ芯材40中心部付近まで貫通、固定されている。
【0024】
これら段板20および蹴込板30は、1つの部材であるシート被覆材10で構成されている。シート被覆材10は、図2に示されるように、木製の基材11と、基材11表面に接着される樹脂製の被覆シート12と、から構成されている。段板20および蹴込板30において、被覆シート12が、表面側となり、基材11が、裏面側に位置する。基材11には、略被覆シート12に達する深さに、溝50、51、52、53が形成されている。
【0025】
溝50は、蹴込板30に相当する基材11の部分を図示左側より、蹴込板本体31および受け部32に区画している。ここで、溝50は、溝50の蹴込板本体31の基材11の下端面である端面50Aおよび溝50の受け部32の基材11の手前側端面である端面50Bが、略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされている。受け部32の被覆シート12側の長さ寸法は、芯材40の幅寸法よりも少し小さい程度の寸法である。
【0026】
溝51は、基材11全体を、図示左側より蹴込板30および段板20に区画している。ここで、溝51は、略線状の溝である。溝51は、被覆シート12を被覆シート12同士が接するように折り曲げるのに十分な端広に形成されている。
【0027】
溝52は、段板20に相当する基材11の部分を図示左側より段板本体21および折返し部22に区画している。ここで、溝52は、段板本体21の基材11の手前側端面である端面52Bおよび折返し部22の基材11の上側端面である端面52Aが、略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされている。段板本体21の被覆シート12側の長さ寸法は、ささら板(図示略)段部の奥行き寸法よりも大きい。
【0028】
溝53は、折返し部22に相当する基材11の部分を図示左側より第一折返し部22Aおよび第二折返し部22Bに区画している。ここで、溝53は、第二折返し部22Bの基材11の手前側端面である端面53Bおよび第一折返し部22Aの基材11の下側端面である端面53Aが、略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされている。第一折返し部22Aの被覆シート12側の長さ寸法は、シート被覆材10の厚みおよび芯材40の厚みを足したものよりも少し短く、第二折返し部22Bの被覆シート12側の長さ寸法は、第一折返し部22Aの被覆シート12側の長さ寸法よりも少し短い。
【0029】
[2]階段の施工方法
図2〜図6を参照して、階段1の施工方法について説明する。
図2に示すように、基材11の表面に被覆シート12を貼ったシート被覆材10を段板20の奥行き寸法および階段2の蹴上げ寸法をたした寸法よりも大きな寸法に切り出し、その裏面から溝51を切り込んで基材11を、段板20の奥行き寸法よりも大きな段板20側と、階段2の蹴上げ寸法よりも大きな蹴込板30側とに区画する。
段板20側では、蹴込板30側とは、反対側の端縁に沿って基材11の裏面から溝52を切り込んで基材11を段板本体21と折返し部22とに区画する。
【0030】
折返し部22は、さらに、基材11の裏面から溝53を切り込んで基材11を第一折返し部22Aと、第二折返し部22Bと、に区画する。
蹴込板30側では、段板20側の端縁に沿って基材11の裏面から溝50を切り込んで基材を蹴込板本体31と受け部32とに区画する。
【0031】
第二折返し部22Bを溝53の端面53A、53B同士が接触するように折り曲げ、次に、第一折返し部22Aを溝52の端面52A、52B同士が接触するように折り曲げることにより、折返し部22を、段板本体21の裏面側に折り返し、溝52、53で、接着剤等でそれぞれ端面52A、52Bおよび端面53A、53B同士を接着する(図3参照)。
【0032】
図4に示すように、下側の蹴込板30の蹴込板本体31の上端は、ささら板(図示略)段部の角隅部分に固定された手前側の芯材40の側面部分と釘41によって貫通、固定する。そして、蹴込板30と固定された手前側の芯材40を、折返し部22に近接するように位置調整し、また、釘41の頭の部分が折返し部22の第二折返し部22Bで隠れるように、段板本体21と接着剤等で接着、固定する。
【0033】
その後、段板本体21が、水平になるように、ささら板(図示略)段部の角隅部分に固定された奥側の芯材40を段板本体21の奥側の端部に位置調整し、この芯材40および段板本体21を、接着剤等で接着、固定する。
【0034】
図4、5に示すように、受け部32を溝51で、被覆シート12側が段板20に接触するように折り曲げ、受け部32の基材11側より、釘41を打ち込み、受け部32の被覆シート12側を、奥側の芯材40に固定された段板本体21の上面に接合し、受け部32を、段板20および奥側の芯材40に、固定する。
【0035】
次に、図5、6に示すように、蹴込板本体31を溝50の端面50A、50B同士が接触するように折り曲げ、蹴込板本体31が、段板20に対して垂直になるように引き起こし、溝50で、接着剤等でそれぞれ端面50A、50B同士を接着する。その後、上段の手前側の芯材40の側面の上面端部に、蹴込板本体31の基材11側の端部を揃えて、位置調整し、接着剤等で接着する。また、蹴込板本体31は、被覆シート12側より、釘41を打ち込み、芯材40の側面と固定する。
【0036】
以上のような施工の手順で、完成した階段1は、通常の階段として、使用されるが、さらに、図7に示すように、リフォーム用として、既存の階段6の上側に、付設することもできる。
具体的には、既存の階段6は、ささら板(図示略)と、段板60と、蹴込板61と、芯材62と、を備えて構成されている。段板60は、上面に上側の蹴込板61を固定する固定溝60Aが形成され、下面に下側の蹴込板61を固定する固定溝60Bが形成されている。これら固定溝60A、60Bは、対称の位置に形成されている。蹴込板61は、固定溝60A、60Bに嵌め込まれ、固定されている。芯材62は、固定溝60Bに固定された下側の蹴込板61と段板60が直交している部位に配置され、接着剤等で接着、固定されている。
階段1は、受け部32の基材11側から段板20から段板60に釘41によって貫通、固定され、また、蹴込板本体31側から段板60の側断面に釘41によって貫通、固定される。
【0037】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)蹴込板本体31および受け部32の表面には、これらを連続させる被覆シート12が貼られていることにより、蹴込板本体31および受け部32が一体で形成されるので、蹴込板本体31の位置決めを行うだけで、下段段板20への受け部32接合位置を一義的に決めることができ、垂直および水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
(2)蹴込板本体31および受け部32の互いに向き合う端面50Aおよび端面50Bが、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることにより、受け部32を下段段板20表面に取り付けた後、蹴込板本体31を簡単に垂直に引き起こすことができるため、施工性が向上する。
【0038】
(3)蹴込板30の上端部分は、手前側の芯材40に釘41によって貫通固定され、蹴込板30の下端部分は、段板20を介して奥側の芯材40に釘41によって貫通固定されることにより、段板20および蹴込板30が階段構造を支持するささら板および芯材40に直接固定されるので、階段構造全体を強固な構造にすることができる。
(4)段板本体21および折返し部22の表面には、これらを連続させる被覆シート12が貼られていることにより、段板20設置後、別途折返し部22を段板20に取り付ける必要がないので、階段1の施工を簡略化することができる。
【0039】
(5)段板本体21および折返し部22の互いに向き合う端面52Bおよび端面52Aは、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることにより、これら端面52Bおよび端面52A同士を接着するだけで、段板20の踏み面先端から垂下する折返し部22を形成できるため、施工性が一層向上する。
(6)蹴込板本体31および受け部32を連続させる被覆シート12と、段板本体21および折返し部22を連続させる被覆シート12と、が連続していることにより、段板20と蹴込板20に貼られている被覆シート12全てが連続しているので、階段1構成する部材を全て一部材化することができ、階段施工に必要な部品点数を大幅に削減することができる。
【0040】
(7)蹴込板本体31、受け部32、段板本体21、および折返し部22が一体で形成されることで、折返し部22を段板本体21の裏面側に折り返し、段板本体21と接合するだけで、段板20を製造でき、また、蹴込板本体31を引き起こし、上段の段板20下面に接合するだけで、蹴込板30を製造できるので、階段構成部材も容易に製造可能である。また、蹴込板本体31、受け部32、段板本体21、および折返し部22が一体で形成されることで、段板20および蹴込板30を一義的に決めることができ、垂直および水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
(8)段板本体21および受け部32に区画する溝51の切り込みは、これらの間で被覆シート12が所定幅で露出するような溝加工であることにより、溝51部分の被覆シート12の折り曲げ加工に十分な長さを取ることができるので、受け部32の段板本体21上面の奥行き方向位置を、上段の段板20に応じて調整することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明では既に説明した部分、部材と同一のものは同一符号を付してその説明を簡略する。
[1]階段
図8には、本発明の第2実施形態に係る階段2が示されている。第1実施形態の階段1では、段板本体21の被覆シート12奥側は、受け部32の被覆シート12と連続していたが、階段2は、段板本体21の奥側の被覆シート12が、受け部32の被覆シート12と別体である点が異なる。
また、図9に示すように、第1実施形態では、階段1を構成するためのシート被覆材10は、1部材であったが、第2実施形態では、階段2を構成するためのシート被覆材10は、段板20に相当する部分のシート被覆材10および蹴込板30に相当する部分のシート被覆材10の2部材が形成されているため、第1実施形態でのシート被覆材10(図2参照)の溝51がない点が異なる。
【0042】
[2]階段の施工方法
図9〜図13を参照して、階段2の施工方法について説明する。
図9に示すように、基材11の表面に被覆シート12を貼ったシート被覆材10を一方側が段板20の奥行き寸法よりも大きな寸法に切り出し、また、他方側が階段2の蹴上げ寸法よりも大きな寸法に切り出す。
【0043】
段板20の奥行き寸法より大きな寸法に切り出した側(図示右側)で、基材11の裏面から溝52を切り込んで基材11を段板本体21と折返し部22とに区画する。折返し部22では、さらに、基材11の裏面から溝53を切り込んで基材11を第一折返し部22Aと、第二折返し部22Bと、に区画する。
蹴上げ寸法よりも大きな寸法に切り出した側(図示左側)では、基材11の裏面から溝50を切り込んで基材を蹴込板本体31と受け部32とに区画する。
【0044】
第二折返し部22Bを溝53の端面53A、53B同士が接触するように折り曲げ、次に、第一折返し部22Aを溝52の端面52A、52B同士が接触するように折り曲げることにより、折返し部22を、段板本体21の裏面側に折り返し、溝52、53では、接着剤等でそれぞれ端面52A、52Bおよび端面53A、53B同士を接着する(図10参照)。
【0045】
図11に示すように、下側の蹴込板30の蹴込板本体31の上端は、ささら板(図示略)段部の角隅部分に固定された手前側の芯材40の側面部分と釘41によって貫通、固定する。そして、蹴込板30と固定された手前側の芯材40を、折返し部22に近接するように位置調整し、また、釘41の頭の部分が折返し部22で隠れるように、段板本体21と接着剤等で接着、固定する。
【0046】
その後、段板本体21が、水平になるように、ささら板(図示略)段部の角隅部分に固定された奥側の芯材40を段板本体21の奥側の端部に位置調整し、この芯材40および段板本体21は、接着剤等で接着、固定する。
図12に示すように、受け部32の基材11側より、釘41を打ち込み、受け部32の被覆シート12側を、奥側の芯材40に固定された段板本体21の上面に接合し、受け部32を、段板20および奥側の芯材40に、固定する。
【0047】
次に、図12、13に示すように、蹴込板本体31を溝50の端面50A、50B同士が接触するように折り曲げ、蹴込板本体31が、段板20に対して垂直になるように引き起こし、溝50で、接着剤等でそれぞれ端面50A、50B同士を接着する。その後、上段の手前側の芯材40の側面の上面端部に、蹴込板本体31の基材11側の端部を揃えて、位置調整し、接着剤等で接着する。また、蹴込板本体31を、被覆シート12側より、釘41を打ち込み、芯材40の側面と固定する。
【0048】
上述のような本実施形態によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて((6)を除く)次のような効果がある。
(9)蹴込板本体31および蹴込板本体31の表面には、これらを連続させる被覆シート12が貼られていることにより、蹴込板本体31および受け部32が一体で形成されるので、蹴込板本体31の位置決めを行うだけで、下段段板20への受け部32接合位置を一義的に決めることができ、垂直および水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
(10)段板20設置後、別途折返し部22を段板に取り付ける必要がないので、階段2の施工を簡略化することができる。
【0049】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、段板20としては、前記各実施形態では、図1の階段1、図2の階段2の折返し部22のように、溝52、53を折り返して形成されたものを採用していたが、これに限られず、図14の階段3のように、板状の段板本体26と、下側に向かって、垂直に曲がっている部分である先端部27と、からなる段板25を含んで構成されるものを採用してもよい。なお、階段3は、階段2の段板20を、図14に示すように段板25に入れ替えたものである。
【0050】
また、1つのシート被覆材10で、階段を構成する構造としては、階段1のように、受け部32および段板本体21の間に略線状の溝51を形成して、被覆シート12同士が、重なるように、折り曲げていたが、これに限られず、図15に示すように、折返し部22および蹴込板本体31の間に幅広の溝54を形成して、図16に示すように、折返し部22から被覆シート12が回り込むようにして、蹴込板本体31と連続させ、また、階段1では、受け部32および段板本体21の被覆シート12が連続していたが、受け部32および段板本体21の被覆シート12が連続していない階段4の構造を採用してもよい。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0051】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、蹴込板本体および受け部の表面には、これらを連続させる被覆シートが貼られていることにより、蹴込板本体および受け部が一体で形成されるので、蹴込板本体の位置決めを行うだけで、下段段板への受け部接合位置を一義的に決めることができ、垂直および水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0052】
請求項2記載の発明によれば、蹴込板本体および受け部の互いに向き合う端面は、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることにより、受け部を下段段板表面に取り付けた後、蹴込板本体を簡単に垂直に引き起こすことができるため、施工性が向上する。
【0053】
請求項3記載の発明によれば、前記被覆シート部材の蹴込板本体上端は、階段手前側の芯材に固定され、前記受け部は、前記段板を介して階段奥側の芯材に固定されることにより、段板および蹴込板が階段構造を支持するささら板および芯材に直接固定されるので、階段構造全体を強固な構造にすることができる。
【0054】
請求項4記載の発明によれば、前記段板本体および前記折返し部の表面には、これらを連続させる被覆シートが貼られていることにより、段板設置後、別途折返し部を段板に取り付ける必要がないので、階段の施工を簡略化することができる。
【0055】
請求項5記載の発明によれば、前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面は、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることにより、これら端面同士を接着するだけで、段板の踏み面先端から垂下する折返し部を形成できるため、施工性が一層向上する。
【0056】
請求項6記載の発明によれば、前記蹴込板本体および前記受け部を連続させる被覆シートと、前記段板本体および前記折返し部を連続させる被覆シートと、が連続していることにより、段板と蹴込板に貼られている被覆シート全てが連続しているので、階段を構成する部材を全て一部材化することができ、階段施工に必要な部品点数を大幅に削減することができる。
【0057】
請求項7記載の発明によれば、蹴込板および受け部が一体成形されることで、受け部を段板上面に取り付け、溝部分を垂直に引き起こすだけで、蹴込板を形成できるから、階段構成部材も容易に製造可能である。また、基板裏面から溝加工を施すことで蹴込板本体および受け部に区画できるため、階段の施工を容易に行うことができる。
【0058】
請求項8記載の発明によれば、前記蹴込板本体および前記受け部の互いに向き合う端面は、同一形状、大きさであるので、蹴込板本体の引き起こしが容易である。
【0059】
請求項9記載の発明によれば、段板本体および折返し部が一体成形されることで、溝部分の被覆シートを折り曲げ、折返し部を段板本体の裏面側に折り返すだけで、段板を形成できるから、階段構成部材も容易に製造可能である。また、基板裏面から溝加工を施すことで段板本体および折返し部に区画できるため、階段の施工を容易に行うことができる。
【0060】
請求項10記載の発明によれば、前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面は、同一形状、大きさであるので、折返し部の折り返しが容易である。
【0061】
請求項11記載の発明によれば、蹴込板本体、受け部、段板本体、および折返し部が一体で形成されることで、折返し部を段板本体の裏面側に折り返し、段板本体と接合するだけで、段板を製造でき、また、蹴込板本体を引き起こし、上段の段板下面に接合するだけで、蹴込板を製造できるので、階段構成部材も容易に製造可能である。また、蹴込板本体、受け部、段板本体、および折返し部が一体で形成されることで、段板および蹴込板を一義的に決めることができ、垂直および水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0062】
請求項12記載の発明によれば、前記段板本体および前記受け部に区画する溝の切り込みは、これらの間で前記被覆シートが所定幅で露出するような溝加工であることにより、溝部分の被覆シートの折り曲げ加工に十分な長さを取ることができるので、前記受け部の段板本体上面の奥行き方向位置を、上段の段板に応じて調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の階段を示す図である。
【図2】図1の実施形態におけるシート被覆材の断面図(図2(A))および底面図(図2(B))である。
【図3】図1の実施形態における折返し部の形成を示す図である。
【図4】図1の実施形態における段板の固定を示す図である。
【図5】図1の実施形態における受け部の固定を示す図である。
【図6】図1の実施形態における蹴込板本体の固定を示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態の階段を示す使用例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態の階段を示す図である。
【図9】図8の実施形態におけるシート被覆材の断面図(図9(A))および底面図(図9(B))である。
【図10】図8の実施形態における折返し部の形成を示す図である。
【図11】図8の実施形態における段板の固定を示す図である。
【図12】図8の実施形態における受け部の固定を示す図である。
【図13】図8の実施形態における蹴込板本体の固定を示す図である。
【図14】本発明の階段の第1変形例を示す図である。
【図15】本発明の階段の第2変形例のシート被覆材の断面図を示す図である。
【図16】本発明の階段の第2変形例を示す図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 階段
10 シート被覆材
11 基材
12 被覆シート
20 段板
21 段板本体
22 折返し部
22A 第一折返し部
22B 第二折返し部
30 蹴込板
31 蹴込板本体
32 受け部
40 芯材
50、51、52、53、54 溝
50A、50B、52A、52B、53A、53B 端面

Claims (12)

  1. 段板および蹴込板を有する階段であって、
    前記蹴込板は、垂直に配置される蹴込板本体と、この蹴込板本体の裏面を受け、前記段板上面と接続される受け部とを有し、
    これら蹴込板本体および受け部の表面には、これらを連続させる被覆シートが貼られていることを特徴とする階段。
  2. 請求項1に記載の階段において、
    前記蹴込板本体および前記受け部の互いに向き合う端面は、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることを特徴とする階段。
  3. 請求項1または請求項2に記載の階段において、
    前記段板は、階段幅方向端部に設けられるささら板に架設され、該階段の手前側および奥側に設けられる2本の芯材により支持され、
    前記被覆シート部材の蹴込板本体上端は、階段手前側の芯材に固定され、前記受け部は、前記段板を介して階段奥側の芯材に固定されることを特徴とする階段。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の階段において、
    前記段板は、水平に配置される段板本体と、この段板本体の踏み面先端から垂下する折返し部とを有し、
    前記段板本体および前記折返し部の表面には、これらを連続させる被覆シートが貼られていることを特徴とする階段。
  5. 請求項4に記載の階段において、
    前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面は、展開状態で略90度のV字溝状となるようなテーパ面とされていることを特徴とする階段。
  6. 請求項4または請求項5に記載の階段において、
    前記蹴込板本体および前記受け部を連続させる被覆シートと、前記段板本体および前記折返し部を連続させる被覆シートと、が連続していることを特徴とする階段。
  7. 段板および蹴込板を有する階段の施工方法であって、
    基材表面に被覆シートを貼ったシート被覆材を、前記階段の蹴上げ寸法よりも大きな寸法に切り出し、裏面から溝を切り込んで前記基材を蹴込板本体および受け部に区画する工程と、
    この受け部の被覆シート側を下段の段板の上面に接合し、溝部分の被覆シートを折り曲げて蹴込板本体を引き起こす工程と、
    引き起こされた蹴込板本体の上端を上段の段板下面に接合する工程と、を備えていることを特徴とする階段の施工方法。
  8. 請求項7に記載の階段の施工方法において、
    前記蹴込板本体および前記受け部に区画する溝の切り込みは、前記蹴込板本体および前記受け部の互いに向き合う端面が、それぞれ45度のテーパ面となるようなV字溝加工であることを特徴とする階段の施工方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の階段の施工方法において、
    基材表面に被覆シートを貼ったシート被覆材を、前記段板の奥行き寸法よりも大きな寸法に切り出し、裏面から溝を切り込んで前記基材を段板本体および折返し部に区画する工程と、
    溝部分の被覆シートを折り曲げて、前記折り返し部を前記段板本体の裏面側に折り返し、該段板本体と接合する工程と、を備えていることを特徴とする階段の施工方法。
  10. 請求項9に記載の階段の施工方法において、
    前記段板本体および前記折返し部に区画する溝の切り込みは、前記段板本体および前記折返し部の互いに向き合う端面が、それぞれ45度のテーパ面となるようなV字溝加工であることを特徴とする階段の施工方法。
  11. 段板および蹴込板を有する階段の施工方法であって、
    基材表面に被覆シートを貼ったシート被覆材を、前記階段の蹴上げ寸法および段板の奥行き寸法よりも大きな寸法に切り出し、裏面から少なくとも3本の溝を切り込んで前記基材を蹴込板本体、受け部、段板本体、および折返し部に区画する工程と、
    前記段板本体および折返し部間の溝部分の被覆シートを折り曲げて、前記折返し部を前記段板本体の裏面側に折り返し、該段板本体と接合する工程と、
    前記段板本体および受け部間の溝部分の被覆シートを折り曲げて、前記受け部の被覆シート側を、固定された段板本体の上面に接合するとともに、前記蹴込板本体を引き起こす工程と、
    引き起こされた蹴込板本体の上端を上段の段板下面に接合する工程と、を備えていることを特徴とする階段の施工方法。
  12. 請求項11に記載の階段の施工方法において、
    前記段板本体および前記受け部に区画する溝の切り込みは、これらの間で前記被覆シートが所定幅で露出するような溝加工であることを特徴とする階段の施工方法。
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