JP4908678B2 - 電磁弁、特にスリップコントロールされたハイドロリック式の車両ブレーキ装置のための電磁弁 - Google Patents

Description

【０００１】
従来の技術
本発明は、請求項１の上位概念部に記載の電磁弁、特にスリップコントロールされたハイドロリック式の車両ブレーキ装置のための電磁弁に関する。
【０００２】
このような電磁弁は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第４３３７４３５号明細書に基づいて公知である。この公知の電磁弁は、弁ブロック内に突入するガイドスリーブを有しており、このガイドスリーブ内には可動子と弁閉鎖体とが、マグネットコア及び弁座に対して可動に配意されている。ガイドスリーブは弁保持ブシュを貫いて延びており、この弁保持ブシュは、弁ブロック内に形成された受容孔に挿入されていて、そこでかしめ固定されている。
【０００３】
ガイドスリーブはその半径方向外側の周面に、半径方向外側に向かって突出する環状の押込み成形部を有しており、この押込み成形部は、弁保持ブシュのリング切欠きに係合している。これによってガイドスリーブは弁保持ブシュに軸方向で固定される。リング切欠きは、まず初めに弁保持ブシュに軸方向孔が生ぜしめられ、この軸方向孔が円錐・直線的な移行区分によって先細にされることによって、生ぜしめられる。ガイドスリーブは次いで、円弧状の押込み成形部が弁保持ブシュの前記移行区分に対向して位置するまで、孔内に挿入される。次に弁保持ブシュの端面には切欠き状のリング溝が押し込まれ、これによって、押込み成形部を覆う材料隆起部が生ぜしめられる。外部に対して電磁弁をシールするために、受容孔の内壁とガイドスリーブとの間にはシールリングが設けられている。
【０００４】
この公知の電磁弁には次のような欠点がある。すなわち公知の電磁弁では、不都合な撓み特性（Schmiegungsverhaeltnisse）に基づいて、ガイドスリーブの押込み成形部と弁保持ブシュの円錐形の移行部との間になお間隙が存在しており、この間隙を通してハイドロリック液の流れてしまうことがある。特に弁保持ブシュの円錐・直線的な移行区分と円弧状の押込み成形部との間における撓み部（Schmiegung）は完全なシールのために不十分である。したがって、受容孔を外部に向かって完全にシールするためには、付加的なシールリングが必要である。
【０００５】
発明の利点
請求項１の特徴部に記載のように構成された本発明による電磁弁は、公知のものに比べて次のような利点を有している。すなわち本発明による電磁弁では、フランジの平らな端面がシール面を形成しており、このシール面は段部の平らな端面に対して補足的な形状をしていて、この段部及びかしめ隆起部に平らに接触しており、これによって電磁弁を間隙なしに完全にシールしている。したがって本発明による電磁弁では付加的なシールリングを省くことができる。中間室のない折り曲げ部もしくは折畳み部としてフランジを形成することによって、弁保持ブシュの緊締箇所におけるフランジの壁厚は２倍になり、このことは、緊締剛性及び緊締強度に対して有利に作用する。さらにこれによって、一体成形されたフランジによって取り囲まれる付加的な中間体を省くことが可能になる。
【０００６】
請求項１に記載された本発明による電磁弁の別の有利な構成は、請求項２以下に記載されている。
【０００７】
特に、フランジが、弁保持ブシュの開口の半径方向内側の周壁のところまで延びていると有利である。このように構成されていると、フランジの半径方向外側の周面を付加的なシールエッジとして作用させることができる。
【０００８】
図面
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【０００９】
図１は本発明による有利な実施例を示す縦断面図であり、図２は図１に示された縦断面図の一部を拡大して示す図であり、図３は本発明の別の実施例を示す縦断面図である。
【００１０】
実施例の記載
図１に示された本発明による電磁弁１の有利な構成は、弁ブロック４の受容孔２の中に収容されており、この弁ブロック４は、自動車のスリップコントロールされたブレーキ装置のための液圧ユニット（残りは図示せず）の一部を形成している。電磁弁１は２ポート２位置方向切換え流出弁であり、この弁は、図１に示された出発位置において、ホイールブレーキシリンダから戻しポンプへのブレーキ液の戻り流を遮断している。
【００１１】
電磁弁１はガイドスリーブ６を有しており、このガイドスリーブ６の、弁ブロック４から突出している開放した端部に、マグネットコア８が部分的に差し込まれていて、このマグネットコア８はその外周部において、リング状の溶接部１０によってガイドスリーブ６と圧力及び液体に対してシール作用をもってつまり圧力密及び液密に結合されている。軸方向においてマグネットコア８には、ガイドスリーブ６内に軸方向摺動可能に収容された可動子１２が接続しており、この可動子１２は、弁ブロック４とは反対側の端部で、弁閉鎖ばね１４によってマグネットコア８に支持されており、この弁閉鎖ばね１４は可動子１２に設けられた袋孔１６に挿入されている。摺動可能な可動子１２の他方の先細の端部に設けられた袋孔には、弁閉鎖体、有利には焼き入れ硬化された玉１８が挿入されている。この玉１８は弁閉鎖ばね１４の圧力によって弁座２０内に押圧される。電磁弁１は図示の場合、無電流で閉鎖された基本位置を占めている。
【００１２】
ガイドスリーブ６はマグネットコア８とは反対側の端部に、一体成形された底部２２を有しており、この底部２２には弁座２０が、電磁弁軸線２４と同軸的な開口として形成されている。弁座２０と同じ内径でかつ弁座２０と同軸的に、ガイドスリーブ６の底部２２からは、一体成形されたスリーブ状の延長部２６が延びており、この延長部２６は弁出口３２を形成している。電磁弁１の受容孔２は弁ブロック４に設けられた袋孔であり、その底部３０には弁ブロック４の出口通路３２が開口している。弁出口２８を形成するスリーブ状の延長部２６は、受容孔２の底部側の出口通路３２に挿入されている。
【００１３】
ガイドスリーブ６は、マグネットコア８とは反対側の端部に、横孔として形成された弁入口３４を有しており、この弁入口３４は弁ブロック４の入口通路３６と連通している。入口通路３６は、電磁弁軸線２４に対して横方向に延びる、弁ブロック４に設けられた複数の半径方向孔から成っている。
【００１４】
弁入口３４と入口通路３６との間にはカップ状のフィルタエレメント３８が配置されており、このフィルタエレメント３８は、ガイドスリーブ６の、マグネットコアとは反対側の端部に被せられていて、ガイドスリーブを特に弁入口３４の領域において取り囲んでいる。フィルタエレメント３８の底部は、電磁弁軸線２４と同軸的なフィルタ開口３９を有しており、このフィルタ開口３９を貫いて、ガイドスリーブ６のスリーブ状の延長部２６は突出している。フィルタエレメント３８は上方に向かって開放していて、軸方向においてガイドスリーブ６のフランジ４０のところまで延びている。フィルタエレメント３８は有利には、互いに上下に配置されたリングを備えた射出成形プラスチック部材であり、上下に位置する複数のリングは長手方向リブによって、互いに軸方向間隔をおいて保持されている。フィルタエレメント３８の上端部とフランジ４０との間には、軸方向のフィルタ間隙４１が存在しており、このフィルタ間隙４１の内側の高さ（lichte Hoehe）はフィルタエレメント３８のメッシュ高さ（Maschenhoehe）よりも大きくはない。
【００１５】
ガイドスリーブ６の底部側のスリーブ状の延長部２６には、シールリング４２が差し嵌められており、このシールリング４２は、入口通路３６を出口通路３２に対してシールしている。シールリング４２はフィルタエレメント３８を保持しており、この場合シールリング４２はその半径方向外側の周面にリング状突出部４４を有しており、このリング状突出部４４はフィルタエレメント３８における半径方向内側のリング溝４６に係合する。シールリング４２はこれによってフィルタエレメント３８内に一体に組み込まれ、組立て時にフィルタエレメント３８と一緒にガイドスリーブ６に差し嵌められる。シールリング４２は接続領域においてフィルタエレメント３８よりも幾分肉厚であり、これによってシール力及び緊締力はすべてシールリング４２によって受け止められることができる。シールリング４２はガイドスリーブ６の底部２２と受容孔２の底部３０とに接触している。入口通路３６を互いに接続するために、フィルタエレメント３８の半径方向外側の周面と受容孔２の半径方向内側の壁との間にはリング室４８が形成されている。
【００１６】
フランジ４０は、半径方向外側に突出した折り曲げ部もしくは折畳み部としてガイドスリーブ６に一体成形されていて、電磁弁軸線２４に対して横方向に延びる端面区分５２を有しており、これらの端面区分５２は中間室なしに互いに接触している（図２の拡大図参照）。これによって曲率半径が極めて小さくなり、その結果フランジ輪郭はエッジ状に押出し変形される。折畳み部として形成されたフランジ４０は、例えばガイドスリーブ６の据込みのような変形によって生ぜしめられ、ガイドスリーブ６の底部２２に向かって延びる小径の区分５４と、ガイドスリーブ６の開放した端部に向かって延びる大径の区分５６とを切り離している。
【００１７】
ガイドスリーブ６は、弁保持ブシュ５８の開口５７を貫いて延びていて、弁保持ブシュ５８によって保持される。弁保持ブシュ５８は、ガイドスリーブ６の底部２２に向いた端部に、半径方向内側の段部６０を有しており、この段部６０にはガイドスリーブ６のフランジ４０が接触している。この場合フランジ４０は弁保持ブシュ５８の半径方向内側の周壁にまで延びている。フランジ４０は第１の内側のかしめ部６２によって、ガイドスリーブ６の半径方向内側の段部６０に液密及び圧力密に緊締されている。そのために、ガイドスリーブ６の底部２２に向いた弁保持ブシュ５８の端部の孔縁部から、材料がガイドスリーブ６のフランジ４０に向かって押し退けられ、これによってフランジ４０を覆う材料隆起部が生ぜしめられる。
【００１８】
弁保持ブシュ５８とガイドスリーブ６と、このガイドスリーブ６によって保持された部材、例えばマグネットコア８、可動子１２、弁閉鎖ばね１４、玉１８及びフィルタエレメント３８のような部材は、一緒になって弁グループ６６を形成しており、この弁グループ６６は、調節された弁行程を有する前組立てされたユニットとして、弁ブロック４の受容孔２に挿入される。
【００１９】
弁保持ブシュ５８はガイドスリーブ６の底部２２に向いた端部に、半径方向外側の段部６８を有しており、この段部６８は、半径方向内側の段部６０とほぼ同じ半径方向平面に位置している。これによって弁保持ブシュ５８の、ガイドスリーブ６の底部２２に向いた端部には、半径方向外側に向かって延びる支持リング（Sockelring）７０が形成され、この支持リング７０は弁ブロック４への弁グループ６６の挿入時に、受容孔２の半径方向内側の段部７２に向かって第２の外側のかしめ部７４によって緊締される。この第２の外側のかしめ部７４は、材料を受容孔２の孔縁部から弁保持ブシュ５８の半径方向内側の段部６８に向かって押し退けることによって形成される。そしてこの第２の外側のかしめ部７４によって、支持リング７０は、受容孔２の半径方向内側の段部７２に対して緊締され、かつ同時に、シールリング４２が受容孔２の底部３０とガイドスリーブ６の底部２２との間で緊締されかつ軸方向で圧縮されることによって、入口通路３６は出口通路３２に対してシールされる。さらに第２の外側のかしめ部７４は、受容孔２内における弁保持ブシュ５８の圧力密及び液密な固定のために働き、その結果ハイドロリック液によって貫流されるリング室４８は、付加的なシール部材なしに弁ブロック４の外部に対してシールされる。
【００２０】
受容孔２内において弁グループ６６をかしめ固定した後で、弁グループ６６の、弁ブロック４から突出している部分に、電気コイル７６が被せ嵌められ、この電気コイル７６はマグネットコア８を半径方向で取り囲んでいる。コイル７６はこの場合軟質磁性材料から成るコイルケーシング７８によって半径方向において取り囲まれており、このコイルケーシング７８にはヘッド側及び底部側においてそれぞれ、同様に軟質磁性材料から成るリング円板８０，８２が圧入されており、これらのリング円板８０，８１の開口を貫いてマグネットコア８の一部もしくはガイドスリーブ６の一部が延びている。
【００２１】
図３には本発明のさらに別の実施例が示されている。この実施例では既に述べた実施例と異なり、ガイドスリーブ６の底部８４に形成された弁座８８は、著しく小さな直径を有している。ガイドスリーブ６はさらに、一体成形された延長部を有しておらず、弁座８８は、電磁弁軸線２４と同軸的な、カップ形のフィルタエレメント９２のフィルタ開口９０と結合されており、このフィルタ開口３９は弁出口を形成している。フィルタエレメント９２はガイドスリーブ８６を取り囲むことによって、ガイドスリーブ８６においてセンタリングされる。フィルタエレメント９２の底部にはシールリング９４が一体に組み込まれており、このシールリング９４はフィルタ開口９０を半径方向間隔をおいて取り囲んでいる。フィルタ開口９０の下流には弁ブロック４における出口通路９６が配置されており、この出口通路９６は階段状に広がっている。その他の部材及び構造グループに対しては、図１に示された実施例におけると同じ構成を有している。
【００２２】
コイルを励磁すると、磁力が軸方向可動の可動子１２に対してマグネットコア８の方向で作用し、これによって可動子１２は弁閉鎖ばね１４のばね力に抗して運動し、玉１８は弁座２０から持ち上がる。そして電磁弁１はその開放状態に位置し、ブレーキ液はホイールブレーキシリンダから、入口通路３６、フィルタエレメント３８、弁入口３４、弁出口２８及び出口通路３２を通過して、戻しフィードポンプへと戻ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明による有利な実施例を示す縦断面図である。
【図２】 図１に示された縦断面図の一部を拡大して示す図である。
【図３】 本発明の別の実施例を示す縦断面図である。

Claims (11)

1. 電磁弁（１）、特にスリップコントロールされたハイドロリック式の車両ブレーキ装置のための電磁弁（１）であって、弁保持ブシュ（５８）と、該弁保持ブシュ（５８）の開口（５７）を貫いて延びていて弁保持ブシュ（５８）とかしめ部（６２）によって形状結合式に結合されているガイドスリーブ（６；８６）とが設けられており、該ガイドスリーブ（６；８６）の底部（２２）に弁座（２０；８８）が形成されていて、ガイドスリーブ（６；８６）内には、弁閉鎖体（１８）を備えた可動子（１２）が、マグネットコア（８）及び弁座（２０；８８）に対して移動可能に受容されており、さらに、ガイドスリーブ（６；８６）をマグネットコア（８）の領域において取り囲む電気コイル（７６）が設けられている形式のものにおいて、ガイドスリーブ（６；８６）の、弁座（２０；８８）の上方に位置する中間区分に、半径方向外側に向かって一度折り曲げられてから半径方向内側に向かって折り返された折り曲げ部として形成されたフランジ（４０）が一体成形されており、該フランジ（４０）がかしめ部（６２）によって、弁保持ブシュ（５８）の、半径方向内側の階段状の段部（６０）に対して液密及び圧力密に緊締されており、さらに折り曲げ部であるフランジ（４０）が、その内側面で互いに接触していて、電磁弁軸線（２４）に対して横方向に延びていることを特徴とする、電磁弁、特にスリップコントロールされたハイドロリック式の車両ブレーキ装置のための電磁弁。
2. フランジ（４０）が、弁保持ブシュ（５８）の開口（５７）の半径方向内側の周壁のところまで延びている、請求項１記載の電磁弁。
3. 弁保持ブシュ（５８）の開口（５７）の縁部から材料が、ガイドスリーブ（６；８６）のフランジ（４０）に向かって押し退けられ、フランジ（４０）がかしめ部（６２）によって覆われている、請求項１又は２記載の電磁弁。
4. ガイドスリーブ（６；８６）が、マグネットコア（８）とは反対側の端部に、一体成形された底部（２２；８４）を有しており、該底部（２２；８４）に、弁座（２０；８８）が電磁弁軸線（２４）と同軸的な開口として形成されている、請求項１記載の電磁弁。
5. ガイドスリーブ（６；８６）の、マグネットコア（８）とは反対側の端部に、横孔として形成された弁入口（３４）が設けられている、請求項４記載の電磁弁。
6. ガイドスリーブ（６；８６）の、マグネットコア（８）とは反対側の端部に、カップ形のフィルタエレメント（３８；９２）が被せられており、該フィルタエレメント（３８；９２）がガイドスリーブ（６；８６）を弁入口（３４）の領域において取り囲んでいて、底部にフィルタ開口（３９；９０）を有している、請求項５記載の電磁弁。
7. 弁座（２０）が、ガイドスリーブ（６）の底部（２２）から離れる方向に延びるスリーブ状の延長部（２６）に形成されており、該延長部が、フィルタ開口（３９）を貫いて突出していて、弁出口（２８）を形成している、請求項６記載の電磁弁。
8. スリーブ状の延長部（２６）にシールリング（４２）が装着されていて、該シールリング（２６）がその半径方向外側の周面で、フィルタ開口（３９）に係合しながらフィルタエレメント（３８）を保持している、請求項７記載の電磁弁。
9. 弁座（８８）が、弁出口を形成するフィルタ開口（９０）と結合されている、請求項６記載の電磁弁。
10. フィルタエレメント（９２）の底部にシールリング（９４）が一体に組み込まれていて、該シールリング（９４）がフィルタ開口（９０）を半径方向間隔をおいて取り囲んでいる、請求項９記載の電磁弁。
11. シールリング（４２；９４）が一方ではガイドスリーブ（６；８６）の底部（２２；８４）に係合し、かつ他方では、電磁弁（１）が受容されている弁ブロック（４）の受容孔（２）の底部（３０）に係合している、請求項８又は１０記載の電磁弁。

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