JP4907480B2 - 真空断熱材 - Google Patents

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Description

この発明は、真空断熱材に関するものである。
従来、各種食品を加温、冷却、保温することを目的として使用される冷蔵庫、保冷箱、保温箱等には、種々の構造や性能を有する断熱材が使用されている。その中でも真空断熱材は非常に優れた断熱性を実現することができるため、多くの用途に用いられている。真空断熱材は、一般的に、芯材を外包材に充填した後、外包材を密閉し、外包材の内部を減圧状態に維持することで断熱性能を発揮する。真空断熱材の断熱性能は、芯材の材質や構造によって左右される。
従来の真空断熱材については、芯材としては主に無機繊維集合体が用いられている。芯材に用いられる無機繊維集合体の形成時に、種々の処理や加工を施すことによって、真空断熱材の断熱性能を向上させている。
例えば、実開昭61−69795号公報(特許文献1)に記載の断熱パネルと実開昭62−141184号公報(特許文献2)に記載の真空断熱パネルにおいては、芯材として用いるシートの積層体は、故紙またはプラスチック製のシートによって構成されている。
また、例えば、特開2002−81596号公報(特許文献3)と特開2005−265038号公報(特許文献4)に記載の真空断熱材は、芯材を構成する1層のシート内の繊維を、伝熱方向、すなわち、真空断熱材の厚み方向に垂直な方向に配列させて、このシートを多層積層して断熱効果を向上させている。また、シート内の繊維の平均繊維径を6μm以下にすることによって、繊維自体の熱抵抗を大きくし、また、繊維集合体内の空隙径を小さくすることによって、芯材内部の気体による熱伝導を抑制している。
実開昭61−69795号公報 実開昭62−141184号公報 特開2002−81596号公報 特開2005−265038号公報
しかしながら、実開昭61−69795号公報(特許文献1)に記載の断熱パネルと実開昭62−141184号公報(特許文献2)に記載の真空断熱パネルでは、シートの熱抵抗が小さく、断熱性能指標の熱伝導率が約6(mW/m・K)となり、現状の断熱材の値としては高いという不都合がある。
また、特開2002−81596号公報(特許文献3)と特開2005−265038号公報(特許文献4)に記載の真空断熱材では、繊維径が6μm以下の細い繊維を用いることによって、積層抵抗が増えて断熱効果が得られる反面、芯材を構成する繊維同士の交絡が多くなる。芯材の内部において繊維同士の交絡が多くなると、繊維同士の接触面積が大きくなり、シート内の固体熱伝導が増大する。また、繊維が交絡することによって、伝熱方向の熱ショートカットによる熱伝導が生じやすく、断熱効果の阻害要因となっている。さらに、特開2002−81596号公報(特許文献3)と特開2005−265038号公報(特許文献4)に記載の真空断熱材では、繊維径が6μm以下の細い繊維を芯材に使用することが想定されている。このような、通常、使用される繊維よりもかなり細い繊維は、容易に入手することができず、材料コストの上でも不都合がある。
そこで、この発明の目的は、容易に入手することができる繊維材料を用いて、断熱性能の高い真空断熱材を提供することである。
この発明に従った真空断熱材は、外包材と、外包材の内部に収容される芯材とを備え、外包材は、内部を減圧状態に保つことが可能であるように構成され、芯材は、複数の不織布が積層されて構成され、不織布においては、不織布が無機繊維と少量のバインダとを用いて抄紙法によって作製されることによって、無機繊維が不織布の表面と平行な方向に配列して含まれ、無機繊維においては、平均繊維長Lと平均繊維径Dとのアスペクト比(L/D)が3000以下であり、最大たわみ量δは、無機繊維のヤング率Eと無機繊維の単位長さあたりの自重Wと、平均繊維長Lと平均繊維径Dとを用いて、二点支持梁の最大たわみ量δとしてδ=(5WL 4 )/(6πED 4 と表され、最大たわみ量δは、δ<2Dの関係式を満たす。
芯材を構成する不織布が抄紙法で作製されることによって、不織布の内部においては、不織布を構成する無機繊維が不織布の表面に沿った方向に平行に配列される。このようにすることにより、不織布の片方の面から他方の面までを貫通する無機繊維が発生しにくい。そのため、複数の不織布を積層して芯材を構成した場合にも、芯材の片方の面から他方の面までを貫通する無機繊維が発生しにくいので、芯材の片方の面から他方の面までの熱のショートカットが生じにくくなる。
一方、無機繊維は、平均繊維長Lと平均繊維径Dとのアスペクト比(L/D)が3000以下の繊維である。平均繊維長Lは、一本の繊維の繊維長の方向に沿った、繊維と繊維との接点間の平均の長さとする。アスペクト比が大きい繊維は、繊維径に対して繊維長が大きく、繊維どうしが交絡しやすいと考えられる。発明者が種々の検討をした結果、アスペクト比が3000以下の無機繊維であれば、無機繊維どうしが交絡しにくくなるという知見が得られた。このように、アスペクト比が3000以下の無機繊維を用いて不織布を作製することによって、無機繊維どうしの交絡が少ない不織布となり、繊維を通しての伝熱を抑えることができる。
不織布中においては、複数の無機繊維が上下に重なっている。一本の無機繊維は、二本の無機繊維上に支持されている場合、その無機繊維を支持する無機繊維との二つの接点間では下方向にたわむ。このときの最大たわみ量δが、平均繊維径Dの2倍よりも小さければ、他の無機繊維の上に支持されている繊維が、その無機繊維を支持する無機繊維よりもさらに下にある無機繊維と交絡しにくくなる。最大たわみ量δは、その無機繊維を支持する無機繊維との二つの接点で支持される2点支持均等荷重梁の最大たわみ量の式で表される。そこで、最大たわみ量δ=(5WL 4 )/(6πED 4 <2Dという条件を満たす無機繊維を芯材の不織布に用いることによって、不織布内において上下に積層された無機繊維同士が接触しにくくなり、無機繊維どうしの交絡が生じにくくなるので、繊維による熱のショートカットが発生しにくくなる。
このようにすることにより、細い繊維を用いずに、通常、入手される繊維材料を用いても、繊維どうしの接触と交絡が少なくなり、また、芯材の一方の面から他方の面までを貫通する繊維が発生しにくくなるので、容易に入手することができる繊維材料を用いて、断熱性能の高い真空断熱材を提供することできる。また、容易に入手可能な繊維材料を用いることができるので、真空断熱材の製造コストを抑えることができる。
この発明に従った真空断熱材においては、無機繊維はガラス繊維であることが好ましい。
発明者の種々の検討によって、ガラス繊維を用いた真空断熱材は他の無機繊維、例えば、セラミック繊維を用いた真空断熱材よりも熱伝導率が小さいという知見が得られた。そこで、このようにすることにより、断熱性能を向上させることができる。
この発明に従った真空断熱材においては、バインダは有機バインダであることが好ましい。
このようにすることにより、不織布の折り曲げの柔軟性を向上させることができる。また、真空断熱材の製作コストを抑えることができる。
この発明に従った真空断熱材においては、芯材の密度は、100〜400kg/mの範囲内に含まれることが好ましい。
芯材の密度が100kg/m未満である場合には、芯材の内部の空隙径がおおきくなるので、芯材の内部の空隙に含まれる気体によって熱伝導が生じる。そのため、真空断熱材の断熱性が悪化する。また、真空断熱材の強度が低下し、真空断熱材の取り扱い性が悪くなる。
一方、芯材の密度が400kg/mよりも大きい場合には、芯材を構成する不織布どうしの接触や無機繊維どうしの接触が大きくなる。そのため、無機繊維や不織布という固体による熱伝導の影響が大きくなり、真空断熱材としての断熱特性が悪くなる。
そこで、このように、芯材の密度が100〜400kg/mの範囲内に含まれるようにすることによって、芯材が構成する空隙径を最適な値とし、気体の熱伝導と繊維径接触による固体の熱伝導を抑えながら断熱性能を発揮することができる。
以上のように、この発明によれば、容易に入手することができる繊維材料を用いて、断熱性能の高い真空断熱材を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の一つの実施の形態として、真空断熱材の構成を模式的に示す断面図である。図1の(A)は、外包材の内部を減圧する前の状態、図1の(B)は、外包材の内部が減圧されている場合の状態を示す図である。
図1に示すように、真空断熱材1においては、袋状に形成されたガスバリヤ性の外包材200の内部に芯材100が収容されている。
芯材100を減圧状態で格納する外包材200としては、高いガスバリヤ性、熱融着層、キズ等の保護層を有し長期にわたり外包材200内を減圧状態に保つことが可能なものを使用する。また、このような特性を持つフィルムを複数枚積層して、外包材200としてもよい。
具体的な外包材200の構成の例としては、最外層をポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂とし、中間層にはアルミニウム蒸着層を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を用い、最内層に高密度ポリエチレン樹脂を用いるガスバリヤフィルムや、最外層にナイロンを用い、中間層にアルミ蒸着PET樹脂とアルミ箔の2層を用い、最内層に高密度ポリエチレン樹脂を用いるガスバリヤフィルム等が挙げられる。
また、真空断熱材1の初期断熱性能及び経時断熱性能を保持するために、真空断熱材1内にガス吸着剤、水分吸着剤等のゲッター剤を使用することが好ましい。
図1の(A)に示すように、芯材100は、複数の不織布110が積層されて構成されている。それぞれの不織布110は、無機繊維としてガラス繊維と、少量の有機バインダを用いて、抄紙法によって作製されている。バインダについては無機バインダを使用することも可能であるが、無機バインダを用いると、繊維集合体、すなわち、不織布110の折り曲げの柔軟性が劣ること、また製品として使用する場合のコストが有機バインダを用いる場合に比べ高価となるため、有機バインダを使用することが好ましい。また、バインダの量は、極力、大きくならないように抑える。
図1の(B)に示すように、外包材200の内部が減圧されると、外包材200の外部の大気圧によって芯材100が圧縮されて、芯材100を構成する不織布110どうしが押し付けられるように接触する。外包材200の内部を減圧した状態での芯材100の密度は、100〜400kg/mの範囲内に含まれる。
以上のように不織布を構成し、不織布を積層して芯材を構成し、芯材を外包材の内部に配置して減圧して真空断熱材を構成する。
図2は、この発明の一つの実施の形態として、芯材と外包材の配置(A)と、外包材の内部を減圧したときの真空断熱材の内部の様子(B)を模式的に示す斜視図である。各不織布、芯材、外包材は、それぞれ、一部のみが示されている。
図2の(A)に示すように、不織布110を複数枚積層して、芯材100を形成する。芯材100は、外包材200に覆われている。外包材200はガスバリヤ性で、袋状に形成されており、芯材100の全体を覆う。
図2の(B)に示すように、袋状の外包材200の内部を減圧すると、芯材100が圧縮される。芯材100が圧縮されると、不織布110どうしが互いに押し付けられるようにして接触する。
図3は、一枚の不織布の中で互いに接触している繊維を模式的に示す斜視図である。
図3に示すように、抄紙法によって作製された不織布内においては、上下方向に積層されている、最上層のガラス繊維111、上から第二番目の層のガラス繊維112、上から第三番目の層のガラス繊維113、上から第四番目の層、すなわち、最下層のガラス繊維114は、それぞれ、不織布の面に平行な方向に沿って配列する。最上層のガラス繊維111は、2本の第二番目の層のガラス繊維112によって、支点111aと支点111bにおいて支持されている。
図4は、図3の第二番目の層のガラス繊維によって支持されている最上層のガラス繊維を模式的に示す斜視図である。
図4に示すように、図3に示す最上層のガラス繊維111は、第二番目の層のガラス繊維112によって、支点111aと支点111bにおいて支持されている。それぞれのガラス繊維111,112の平均繊維径を平均繊維径Dとする。また、支点111aと支点111bとの間のガラス繊維111の平均の長さを平均繊維長Lとする。ガラス繊維111,112,113,114は、アスペクト比(L/D)<3000のガラス繊維である。
支点111aと支点111bとにおいて支持されているガラス繊維111は、下方向にたわむ。ガラス繊維111のたわみ量には、一般的な材料力学の2点支持均等荷重梁のたわみを表す式が適用されるため、このときのガラス繊維111の最大たわみ量δは、芯材100(図1)のガラス繊維のヤング率Eと、ガラス繊維111の単位長さあたりの自重Wと、ガラス繊維111の平均繊維長Lと平均繊維径Dを用いて、δ=(5WL 4 )/(6πED 4 と表される。ガラス繊維111は、最大たわみ量δ=(5WL 4 )/(6πED 4 がδ<2Dの関係式を満たすガラス繊維である。ガラス繊維111の最大たわみ量δが2Dよりも小さいので、最上層のガラス繊維111のうち、最も下方向にたわんだ部分も、最下層のガラス繊維114とは接触しない。
以上のように、芯材に用いるガラス繊維としては、繊維同士の交絡構造が少なくなるような材料特性を有するガラス繊維を選定している。しかし、このように繊維同士の交絡が少ない繊維を用いて不織布を作製した場合には、繊維だけでは薄層不織布シートとしての強度を保つことが難しい。そこで、薄層不織布シートとして取り扱いが容易となり、かつ、熱伝導影響を極力抑えることができるように、少量の有機バインダを使用して薄層不織布を作製する。有機バインダを用いることによって、バインダの熱伝導による断熱性能悪化はあるものの、繊維同士の交絡を少なく抑えることができるので、繊維同士の接触面積を最小化することができる。このようにして、繊維同士の接触面積を最小にすることによる固体熱伝導低減効果と、繊維交絡による伝熱方向への熱ショートカットに寄与する繊維割合が少なくなることによる固体熱伝導低減効果の2つの効果が得られる。
このように、真空断熱材1は、外包材200と、外包材200の内部に収容される芯材100とを備え、外包材200は、内部を減圧状態に保つことが可能であるように構成され、芯材100は、複数の不織布110が積層されて構成され、不織布110においては、不織布110がガラス繊維(111,112,113,114)と少量のバインダとを用いて抄紙法によって作製されることによって、ガラス繊維(111,112,113,114)が不織布110の表面と平行な方向に配列して含まれ、ガラス繊維(111,112,113,114)においては、平均繊維長Lと平均繊維径Dとのアスペクト比(L/D)が3000以下であり、最大たわみ量δは、ガラス繊維(111,112,113,114)のヤング率Eとガラス繊維(111,112,113,114)の単位長さあたりの自重Wと、平均繊維長Lと平均繊維径Dとを用いて、二点支持梁の最大たわみ量δとしてδ=(5WL 4 )/(6πED 4 と表され、最大たわみ量δは、δ<2Dの関係式を満たす。
芯材100を構成する不織布110が抄紙法で作製されることによって、不織布110の内部においては、不織布110を構成するガラス繊維(111,112,113,114)が不織布110の表面に沿った方向に平行に配列される。このようにすることにより、不織布110の片方の面から他方の面までを貫通するガラス繊維(111,112,113,114)が発生しにくい。そのため、複数の不織布110を積層して芯材100を構成した場合にも、芯材100の片方の面から他方の面までを貫通するガラス繊維(111,112,113,114)が発生しにくいので、芯材100の片方の面から他方の面までの熱のショートカットが生じにくくなる。
一方、ガラス繊維(111,112,113,114)は、平均繊維長Lと平均繊維径Dとのアスペクト比(L/D)が3000以下の繊維である。平均繊維長Lは、一本の繊維の繊維長の方向に沿った、繊維と繊維との接点間の平均の長さとする。アスペクト比が大きい繊維は、繊維径に対して繊維長が大きく、繊維どうしが交絡しやすいと考えられる。発明者が種々の検討をした結果、アスペクト比が3000以下のガラス繊維(111,112,113,114)であれば、ガラス繊維(111,112,113,114)どうしが交絡しにくくなるという知見が得られた。このように、アスペクト比が3000以下のガラス繊維(111,112,113,114)を用いて不織布110を作製することによって、ガラス繊維(111,112,113,114)どうしの交絡が少ない不織布110となり、繊維を通しての伝熱を抑えることができる。
不織布110中においては、複数のガラス繊維(111,112,113,114)が上下に重なっている。一本のガラス繊維(111,112,113,114)は、二本のガラス繊維(111,112,113,114)上に支持されている場合、そのガラス繊維(111,112,113,114)を支持するガラス繊維(111,112,113,114)との二つの接点間では下方向にたわむ。このときの最大たわみ量δが、平均繊維径Dの2倍よりも小さければ、他のガラス繊維(111,112,113,114)の上に支持されている繊維が、そのガラス繊維(111,112,113,114)を支持するガラス繊維(111,112,113,114)よりもさらに下にあるガラス繊維(111,112,113,114)と交絡しにくくなる。最大たわみ量δは、そのガラス繊維(111,112,113,114)を支持するガラス繊維(111,112,113,114)との二つの接点で支持される2点支持均等荷重梁の最大たわみ量の式で表される。そこで、最大たわみ量δ=(5WL 4 )/(6πED 4 がδ<2Dという条件を満たすガラス繊維(111,112,113,114)を芯材100の不織布110に用いることによって、不織布110内において上下に積層されたガラス繊維(111,112,113,114)同士が接触しにくくなり、ガラス繊維(111,112,113,114)どうしの交絡が生じにくくなるので、繊維による熱のショートカットが発生しにくくなる。
このようにすることにより、細い繊維を用いずに、通常、入手される繊維材料を用いても、繊維どうしの接触と交絡が少なくなり、また、芯材100の一方の面から他方の面までを貫通する繊維が発生しにくくなるので、容易に入手することができる繊維材料を用いて、断熱性能の高い真空断熱材1を提供することできる。また、容易に入手可能な繊維材料を用いることができるので、真空断熱材1の製造コストを抑えることができる。
またこのように、真空断熱材1においては、ガラス繊維(111,112,113,114)はガラス繊維である。
発明者の種々の検討によって、ガラス繊維を用いた真空断熱材1は他の無機繊維、例えば、セラミック繊維を用いた真空断熱材1よりも熱伝導率が小さいという知見が得られた。そこで、このようにすることにより、断熱性能を向上させることができる。
またこのように、真空断熱材1においては、バインダは有機バインダである。
このようにすることにより、不織布110の折り曲げの柔軟性を向上させることができる。また、真空断熱材1の製作コストを抑えることができる。
またこのように、真空断熱材1においては、芯材100の密度は、100〜400kg/mの範囲内に含まれる。
芯材100の密度が100kg/m未満である場合には、芯材100の内部の空隙径がおおきくなるので、芯材100の内部の空隙に含まれる気体によって熱伝導が生じる。そのため、真空断熱材1の断熱性が悪化する。また、真空断熱材1の強度が低下し、真空断熱材1の取り扱い性が悪くなる。
一方、芯材100の密度が400kg/mよりも大きい場合には、芯材100を構成する不織布110どうしの接触やガラス繊維(111,112,113,114)どうしの接触が大きくなる。そのため、ガラス繊維(111,112,113,114)や不織布110という固体による熱伝導の影響が大きくなり、真空断熱材1としての断熱特性が悪くなる。
そこで、このように、芯材100の密度が100〜400kg/mの範囲内に含まれるようにすることによって、芯材100が構成する空隙径を最適な値とし、気体の熱伝導と繊維径接触による固体の熱伝導を抑えながら断熱性能を発揮することができる。
本発明の一つの実施の形態の真空断熱材を用いて得られた断熱効果について説明する。 本発明の真空断熱材と、比較例として従来の真空断熱材とについて、熱伝導率を測定した。
本発明の一つの実施の形態の真空断熱材に用いる芯材の無機繊維として、平均繊維径Dが10μm、平均繊維長Lが1.2cm、アスペクト比L/Dが1200、最大たわみ量δが17μm、ヤング率Eが7.7×10kg/cm、密度が2.52g/cmのガラス繊維を用いた。このガラス繊維と少量の有機バインダを使用して、抄紙法によって薄層不織布を作製し、この不織布を多数、積層して芯材を作製した。この芯材を使用して作製した真空断熱材について熱伝導率を測定したところ、熱伝導率は1.5mW/mKと優れた断熱性能を示した。熱伝導率は、熱伝導率測定装置にて平均温度25℃での熱伝導率を測定した。
また、従来の真空断熱材に用いる芯材として、次の三つの条件に着目して、それぞれの条件に適合するかどうかによって区別される7つの比較例についても、熱伝導率を測定した。条件Iは、芯材を構成する無機繊維の平均繊維長Lと平均繊維径Dのアスペクト比(L/D)が3000以下であることとした。条件IIは、芯材の中における無機繊維の最大たわみ量δが平均繊維径Dの2倍以下であることとした。条件IIIは、無機繊維を用いて抄紙法によって薄層不織布を作製し、この不織布を多数、積層して芯材が構成されていることとした。これらの比較例の真空断熱材についても、熱伝導率は、熱伝導率測定装置にて平均温度25℃での熱伝導率を測定した。
(比較例1)
従来の真空断熱材として、条件Iと条件IIを満たさず、条件IIIに適合している芯材を用いた。芯材の無機繊維としては、平均繊維径Dが1μm、平均繊維長Lが0.7cm、アスペクト比L/Dが7000、最大たわみ量δが115μm、ヤング率Eが7.7×10kg/cm、密度が2.52g/cmのガラス繊維を用いた。このガラス繊維と少量の有機バインダを使用して、抄紙法によって薄層不織布を作製し、この不織布を多数、積層して芯材を作製した。この芯材を使用して作製した真空断熱材について熱伝導率を測定したところ、熱伝導率は2.2mW/mKであった。
(比較例2)
従来の真空断熱材として、条件Iと条件IIと条件IIIのいずれの条件にも適合していない芯材を用いた。芯材は、ガラスウール繊維の繊維集合体をシート状に成形して、得られた芯材の内部に含まれる水分等を除去するために、110℃で1時間、乾燥させて作製した。シート状繊維集合体の嵩密度は、219kg/mであり、平均繊維径Dが4μmであった。平均繊維長Lは3cm、アスペクト比L/Dは7500、最大たわみ量δは11390μmであった。この芯材を使用して作製した真空断熱材について熱伝導率を測定したところ、熱伝導率は2.2mW/mKであった。
(比較例3)
従来の真空断熱材として、条件Iと条件IIに適合し、条件IIIには適合していない芯材を用いた。芯材は、ガラスウール繊維の繊維集合体をシート状に成形して、得られた芯材の内部に含まれる水分等を除去するために、110℃で1時間、乾燥させて作製した。ガラスウール繊維の平均繊維径Dが0.8μm、平均繊維長Lは0.2cm、アスペクト比L/Dは2500、最大たわみ量δは0.34μmであった。この芯材を使用して作製した真空断熱材について熱伝導率を測定したところ、熱伝導率は1.8mW/mKであった。
(比較例4)
従来の真空断熱材として、条件Iと条件IIIに適合し、条件IIに適合していない芯材を用いた。芯材の無機繊維としては、平均繊維径Dが3.5μm、平均繊維長Lが1cm、アスペクト比L/Dが2857、最大たわみ量δが61μmのガラス繊維を用いた。このガラス繊維と少量の有機バインダを使用して、抄紙法によって薄層不織布を作製し、この不織布を多数、積層して芯材を作製した。この芯材を使用して作製した真空断熱材について熱伝導率を測定したところ、熱伝導率は2.2mW/mKであった。
(比較例5)
従来の真空断熱材として、条件Iに適合し、条件IIと条件IIIには適合していない芯材を用いた。芯材は、ガラスウール繊維の繊維集合体をシート状に成形して、得られた芯材の内部に含まれる水分等を除去するために、110℃で1時間、乾燥させて作製した。ガラスウール繊維の平均繊維径Dが7μm、平均繊維長Lは2cm、アスペクト比L/Dは2857、最大たわみ量δは445μmであった。この芯材を使用して作製した真空断熱材について熱伝導率を測定したところ、熱伝導率は5mW/mKであった。
(比較例6、7)
条件Iに適合せず、条件IIと条件IIIに適合する比較例6として用いられる芯材と、条件Iと条件IIIに適合せず、条件IIに適合する比較例7として用いられる芯材は、存在しない。
表1には、この発明の一つの実施の形態の真空断熱材と、比較例1〜比較例5について、熱伝導率λ(mW/mK)と、アスペクト比L/Dと、平均繊維径D(μm)と、最大たわみ量δ(μm)と、平均繊維長L(cm)を示す。
Figure 0004907480
表1に示すように、条件Iと条件IIと条件IIIの三つの条件全てに適合する、本発明の一つの実施形態の真空断熱材を用いることによって、優れた断熱性能を有する真空断熱材を得ることができた。
(比較例8)
従来の真空断熱材として、芯材の無機繊維としてセラミック繊維を使用した真空断熱材を作製し、平均温度24度での熱伝導率を測定した。芯材の嵩密度は、310kg/mであった。熱伝導率は3.9mW/mKであった。
このように、芯材としてセラミック繊維を用いることによって、ガラス繊維を使用した本発明の真空断熱材に比べて熱伝導率値が大きくなった。セラミック自体の熱伝導率はガラスに比べ大きいため、断熱性能を考えた場合はガラス繊維を芯材と使用することが好ましい。
このように、本発明による真空断熱材を使用することによって、断熱性能及び省エネルギーに優れた冷蔵庫等の機器を提供することが可能になる。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
この発明の一つの実施の形態として、真空断熱材の構成を模式的に示す断面図である。図1の(A)は、外包材の内部を減圧する前の状態、図1の(B)は、外包材の内部が減圧されている場合の状態を示す図である。 この発明の一つの実施の形態として、芯材と外包材の配置(A)と、外包材の内部を減圧したときの真空断熱材の内部の様子(B)を模式的に示す斜視図である。 一枚の不織布の中で互いに接触している繊維を模式的に示す斜視図である。 図3の第二番目の層の無機繊維によって支持されている最上層の無機繊維を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1:真空断熱材、100:芯材、200:外包材、110:不織布、111,112,113,114:ガラス繊維。

Claims (4)

  1. 外包材と、
    前記外包材の内部に収容される芯材とを備え、
    前記外包材は、内部を減圧状態に保つことが可能であるように構成され、
    前記芯材は、複数の不織布が積層されて構成され、
    前記不織布においては、前記不織布が無機繊維と少量のバインダとを用いて抄紙法によって作製されることによって、前記無機繊維が前記不織布の表面と平行な方向に配列して含まれ、
    前記無機繊維においては、平均繊維長Lと平均繊維径Dとのアスペクト比(L/D)が3000以下であり、最大たわみ量δは、前記無機繊維のヤング率Eと前記無機繊維の単位長さあたりの自重Wと、平均繊維長Lと平均繊維径Dとを用いて、二点支持梁の最大たわみ量δとしてδ=(5WL 4 )/(6πED 4 と表され、前記最大たわみ量δは、δ<2Dの関係式を満たす、真空断熱材。
  2. 前記無機繊維はガラス繊維である、請求項1に記載の真空断熱材。
  3. 前記バインダは有機バインダである、請求項1または請求項2に記載の真空断熱材。
  4. 前記芯材の密度は、100〜400kg/m3の範囲内に含まれる、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の真空断熱材。
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