JP2012063007A - 筒状断熱材およびこれを用いた熱機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機繊維の糸状体を製織してなる織布を無機バインダーで処理してなるバインダー処理クロスからなる筒状芯材1;繊維質基材に無機エアロゲルを分散させてなる可撓性断熱シートを、前記筒状芯材1の外周面に捲回することにより形成された断熱素子捲回体5;及び前記断熱素子捲回体5の最外周面に積層された、無機繊維を主体とする外包材3を備えている。前記筒状芯材1の厚みは0.3〜3.0mmであることが好ましく、前記無機バインダーは、前記織布の内部に含浸又は織布表面に塗工されていることが好ましい。
【選択図】図1
Description
発電効率を低下させないために、これらが設置される周囲環境温度にかかわらず、最適運転温度を維持する必要がある。燃料電池を周囲環境温度から断熱状態で運転できるように、燃料電池全体を覆う外筒と、電解質と空気極と燃料極とで構成される燃料電池本体部分との間を断熱材で覆っている。改質装置についても、装置全体を覆う外筒と改質器との間を断熱材で覆っている。外筒は、外部環境に直接曝されるので、取り扱い作業上、燃料電池本体の種類、運転温度にかかわらず、60℃以下、好ましくは50℃以下にまで、断熱しておくことが望まれる。一方、装置の小型軽量化の観点から、断熱材の容積を増大させることなく、換言すると外筒のサイズを増大させることなく、燃料電池本体が外部環境温度の影響を受けずに済むように、効率的に断熱できる断熱材が望まれる。
この特許文献1では、断熱材の機能を3つの断熱材層に分担させることによって、断熱材全体の充填厚さを減らせるとしている(段落番号0028)。例えば、1kW級の家庭用小型燃料用電池システムの場合、第1の断熱材層は5〜35mm程度であり、第2の断熱材層は、シート状のものを重ねることで、12〜30mmとし、第3の断熱材層としては4〜30mm程度である(段落番号0049−0052)。
このような断熱材は、まず、無機繊維、必要に応じて無機バインダーを混合して、所定の型内に投入してプレスすることにより一体成形する乾式成形法、又は無機繊維及び必要に応じて無機バインダー、カチオン系高分子凝集剤を添加したスラリーを調製し、所定の型内へこのスラリーを投入して、乾燥する湿式成形法によって中空成形体を製造し、得られた中空成形体の中空部に、充填剤となる無機粉体を充填した後、別途作製した円盤状成形物で、中空成形体の開口部を塞ぐことにより製造している(段落番号0043−0049、及び実施例)。
図1は、本発明の筒状断熱材の一実施形態を示している。図1に示す筒状断熱材4は、図2に示す芯材1の外周面に、図3に示す可撓性のあるシート状断熱素子2を捲回してなる断熱素子捲回体5が積層され、該断熱素子捲回体5の最外周面に、図4に示す外包材3が積層されている。
芯材1は、無機繊維の糸条体を製織してなる織布を、無機バインダーで処理してなるバインダー処理クロスからなる円筒状の芯材であり、芯材1の空洞部10が、後述する熱機器の本体Aに外挿される。
織布を構成する糸状体は、長繊維の単糸、撚り合わせ糸、引きそろえ糸であってもよいし、また、短繊維を紡績した紡績糸であってもよい。使用する糸条体の太さは、所定の剛性が得られるように、織り方、糸密度により適宜異なるが、通常、10〜400テックス、好ましくは30〜300テックス、より好ましくは50〜200テックスである。
断熱素子捲回体5は、不織布に無機エアロゲルを分散させてなる可撓性の断熱素子シート2を捲回したものである。断熱素子シート2は、具体的には、繊維質基材となる無機繊維からなる不織布に、無機エアロゲルを分散させたものである。
以上のような構成を有する断熱素子シートの厚みは、通常、3.0〜10mmである。
断熱素子捲回体5の厚みは、最終製品としての筒状断熱材4のサイズに依存する。上記のような構成を有する断熱素子シート2は、芯材1の構成材料であるバインダー処理クロス、一般的な無機繊維質断熱材と比べて、断熱性に優れた材料であることから、効率よい断熱性を達成するためには、筒状断熱材4における断熱素子シート2の占有割合を高くすることが好ましい。従って、筒状断熱材4において、芯材1、外包材3以外の残余部分を、この断熱素子捲回体5で構成することが好ましい。よって、断熱素子捲回体5の厚みは、筒状断熱材4の厚みから、芯材1、外包材3の厚みを差し引いた厚みとなる。
外包材3は、断熱素子捲回体5の最外周面に積層され、断熱素子捲回体5に含まれるエアロゲルの塵が外部へ飛散することを防止している。
前記無機繊維シートとしては、いわゆる繊維質断熱材として知られているグラスウールやロックウールなどをシート化した繊維質マット、フェルト、不織布などを用いることができる。また、シート表面に無機バインダーを塗工してもよいし、繊維間間隙に無機バインダーが含浸されていてもよい。さらに、芯材1と同様に、無機繊維の糸状物を製織してなる織布を無機バインダーで処理したバインダー処理クロスを用いてもよい。
図1に示す筒状断熱材4では、断熱素子捲回体5の固着部6と、外包材3の固着部7とが、厚み方向に重ならないように配置されている。筒状体を形成するための固着部の位置をずらすことにより、外包材3の封止機能を高めることができる。
本発明の熱機器は、熱機器本体など、高温で運転される箇所に、上記本発明の筒状断熱材を取り付けたものである。この場合、筒状断熱材の高さは、取り付け箇所となる本体部の高さと等しいことが好ましいが、図6(b)−(e)に示すように、異なっていてもよい。
図6(e)タイプの筒状断熱材を採用したことにより生じる上部スペース及び下部スペースDの凹部には、それぞれ、図8(a)に示すような断熱蓋200および201が載置されるとともに、粘着テープ100および101で、筒状断熱材4’に固定されている。
(1)断熱性
650℃の円柱に、作製した筒状断熱材を外挿し、装着される熱機器の外表面(A部)、芯材の外周面(B部)、断熱素子捲回体の厚み方向の中間部(3層積層体の場合には2層目の真中、7層積層体の場合には4層目の真中をC部とする)、外包材の外周面(D部)の温度を測定した。温度の測定は、測定部位となる位置において、円柱体の高さ1/2程度の深さにまでK型熱電対を挿入することにより行った。
芯材に使用した材料(繊維シート、バインダー処理繊維シート、織布、バインダー処理クロス)で、横×縦が30mm×100mmの試験片を作成し、図9に示すように、短辺側の端縁から2cmを水平板の上に固定した状態で、水平板からの高さ5cmとなるように自立させた状態で、水平板に固定されていない方の短辺(上端縁)に荷重Mをぶらさげたときの水平板からの高さを測定した。さらに、上端縁が水平板に接地するときの荷重M(g)を測定した。
燃料電池本体に該当する外径96mmの円柱体を準備し、この円柱体に、作製した筒状断熱材を手で外挿した。外挿時、筒状断熱材の端縁が円柱体端縁に当たって折れ曲がったり、めくれたりして、外挿が困難な場合を「×」、筒状円筒体に腰がなく、外挿作業時に屈曲するなどの理由から、外挿しにくかった場合を「△」、問題なく外挿できた場合を良好(「○」)とした。
芯材S0:
矢澤産業株式会社製のスーパーウールマットYWM(厚み10mm)を用いた。このスーパーウールマットYWMは、シリカ繊維をウール状に解繊した後、ニードリングによりフェルト状に成形した無機繊維マットである。この芯材S0について、上記耐自立荷重試験を行おうとしたところ、図9に示す姿勢を保持することができなかった。
矢澤産業株式会社製のスーパーウールマットYWM(厚み10mm)の表面に、新日本サーマルセラミックス株式会社のサーモダインCW(主成分:シリカ及びアルミナ)を水で希釈して得られた塗工液100g/140cm2を塗布した後、乾燥して、芯材S1とした。上記方法に基づいて耐自立荷重を測定した結果を表1に示す。
矢澤産業株式会社製のスーパーウールマットYWM(厚み10mm)を、ベントナイトの5%水溶液中に浸漬して、バインダー水溶液を十分に含浸させた後、取り出し、乾燥して、芯材S2とした。上記方法に基づいて耐自立荷重を測定した結果を表1に示す。
シリカ繊維の糸状体(67.5テックス)を朱子織してなる織布(厚み0.3mm、糸密度55本/25mm、53本/25mm)を用いた。この芯材S3について、上記耐自立荷重試験を行おうとしたところ、図9に示す姿勢を保持することができなかった。
芯材S3で用いた織布の表面に、芯材S1で使用した無機バインダー(サーモダインCW)を塗工した後、乾燥することにより、織布両面に無機バインダー層が形成され、厚み1.0mmとなった。これを芯材S4とし、上記耐自立荷重を測定した。結果を表1に示す。
筒状断熱材No.1,2:
表2に示す芯材(S0又はS2)と同材料で構成される厚み18mmのシリカ繊維フェルト(S0’又はS2’)を使用した。各芯材の耐自立荷重(上記測定方法で、設置するときの荷重)を表2に示す。芯材は、外径96mmの芯管に捲回した後、芯管を抜き出すことにより作製した。
この芯材の表面に、ガラス繊維不織布にシリカエアロゲル(空隙率95vol%)を分散させたエアロゲルシート(厚み6mm)を3回捲回して、厚み18mmの断熱素子捲回体を形成した。
この断熱素子捲回体の最外表面に、シリカ繊維フェルトを捲回することにより、厚み18mmの外包材を形成し、筒状断熱材No.1又はNo.2とした。
作製した筒状断熱材の断熱性、外挿作業性を、上記評価方法に基づいて、測定、評価した。結果を表2に示す。
表2に示す芯材(S3又はS4)材料からなるシートを、外径96mmの芯管に捲回した後、芯管を抜き出すことにより、表2に示す厚みを有する芯材を作製した。
この筒状芯材の表面に、No.1で使用したものと同種類のエアロゲルシート(厚み6mm)を7回捲回することにより、厚み42mmの断熱素子捲回体を形成した。
この断熱素子捲回体の最外表面に、No.1で使用したものと同種類のシリカ繊維フェルトを捲回することにより、厚み10mmの外包材を形成し、筒状断熱材No.3又はNo.4とした。
作製した筒状断熱材の断熱性、外挿作業性を、上記評価方法に基づいて測定、評価した。結果を表2に示す。
芯材S3と同じ材料で外包材を作製した以外は、No.3と同様にして、筒状断熱材を作製した。作製した筒状断熱材の断熱性、外挿作業性を、上記評価方法に基づいて、測定、評価した。結果を表2に示す。
2 断熱素子シート
3 外包材
4 筒状断熱材
5 断熱素子捲回体
A 熱機器の本体
Claims (10)
- 無機繊維の糸状体を製織してなる織布を無機バインダーで処理してなるバインダー処理クロスからなる筒状芯材;
繊維質基材に無機エアロゲルを分散させてなる可撓性断熱シートを、前記筒状芯材の外周面に捲回することにより形成された断熱素子捲回体;及び
前記断熱素子捲回体の最外周面に積層された、無機繊維を主体とする外包材
を備えた筒状断熱材。 - 前記筒状芯材の厚みは、0.3〜3.0mmである請求項1に記載の筒状断熱材。
- 前記糸条体は、10〜400テックスのセラミック繊維又はガラス繊維の糸条体である請求項1又は2に記載の筒状断熱材。
- 前記無機バインダーは、前記織布の内部に含浸又は織布表面に塗工されている請求項1〜3のいずれかに記載の筒状断熱材。
- 前記筒状芯材は、前記織布の少なくとも一面に、前記無機バインダー層が積層されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の筒状断熱材。
- 前記外包材は、無機繊維シートを捲回したものである請求項1〜5のいずれかに記載の筒状断熱材。
- 前記外包材は、無機繊維シートからなる1対の半円筒体を、合接したものである請求項1〜5のいずれかに記載の筒状断熱材。
- 前記無機繊維シートは、無機繊維の糸状体を製織してなる織布を無機バインダー処理してなるバインダー処理クロスで構成されている請求項6又は7に記載の筒状断熱材。
- 前記無機繊維シートの捲終わり部又は合接部は、前記断熱素子捲回体の捲き終わり部に対して、該断熱素子捲回体の厚み方向の延長上でないように配置されている請求項5〜8のいずれかに記載の筒状断熱材。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の筒状断熱材が装着された熱機器。
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