(A)第1の実施形態
以下では、本発明の開閉装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、開閉動作の際に、収納ケース内で水平移動しながら、開閉体であるシャッターを巻き取ったり又は繰り出したりする移動型巻取り軸機構部を備えるシャッター装置に、本発明の開閉装置を適用した場合を説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
以下では、本実施形態のシャッター装置の全体構成例及び移動型巻取り軸機構の構成例を説明した後に、シャッター装置における巻取り軸の移動状態の正常性を確認する制御盤の機能構成を説明する。
(A−1−1)全体構成例及び移動型巻取り軸機構の構成例
図1は、本実施形態の移動型巻取り軸機構部を備えるシャッター装置の全体構成例と、外観に現れないが収納ケースに収納される主な構成を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態のシャッター装置1の外観構成は、主に、シャッター2、ガイドレール3、収納ケース4、固定操作部13を有して構成される。
また、外観には現れないが、本実施形態の収納ケース4の中には、図1のように、主に、制御盤5、巻取り軸6、開閉機7、D(ドライブ)サイドブラケット8、F(フォロー)サイドブラケット9、Dサイド状態検出センサ10、Fサイド状態検出センサ11、などが少なくとも収納されている。
なお、本実施形態のシャッター装置1は、後述する制御盤5と接続する報知器12を備える。本実施形態では、後述するように、シャッター2の開閉動作に伴って、シャッター2を巻き取ったり繰り出したりする巻取り軸6の両端が平行に移動しているか否かを制御盤5で判断し、制御盤5で異常が生じた(本実施形態では平行に移動していない)と判定したときに、その判定結果に応じて報知器12によりその旨を知らせる。従って、報知器12の種類は特に限定されないが、例えば、異常を知らせるブザー、表示灯、音声出力スピーカーなどを1以上適用することができる。そのため、図1では報知器12をシャッター装置1の外観構成として示すが、例えばブザーやスピーカーなどの報知器12を用いる場合には、その機能に応じて収納ケース4内に収納されていてもよい。
本実施形態のシャッター装置1は、例えばユーザ操作による固定操作部13からの操作指示に従って開閉動作する有線リモコンシステムを適用したものである。従って、ユーザは、固定操作部13を操作することによって、所望のシャッター動作(開動作や閉動作や停動作等)を指示することができる。
勿論、有線リモコンシステムに限定されず、例えばユーザが所持するリモコン送信機からの操作指示に従って開閉動作をする無線リモコンシステムを適用したシャッター装置や、又は有線リモコンシステムと無線リモコンシステムとを併用したシャッター装置にも適用することができる。
なお、有線リモコンシステムとは、開閉体の動作を遠隔操作するシステムの1形態であり、有線通信で開閉体動作を指示するシステムをいう。また、無線リモコンシステムは、開閉体の動作を遠隔操作するシステムの1形態であり、無線通信で開閉体動作を指示するシステムをいう。
また、ユーザ操作によるシャッターの動作指示は、種々の態様が考えられるが、いずれの態様にも本発明を適用することができる。例えば、動作指示の態様例としては、ユーザが操作スイッチを押し続けている間、開閉体動作を維持する制限操作モードや、また例えば、ユーザがいったん操作スイッチを押した後は、押し続けなくても、自動的に開閉体動作を維持する非制限操作モードなどが考えられる。
また、シャッターの動作指示は、ユーザの操作によるものでなくてもよく、タイマやセンサ等による自動的な動作指示や、防災盤等からの信号による動作指示であってもよい。
図1において、シャッター2は、例えば鉄等からなる金属製のスラットを多数連接して構成された開閉体を想定する。なお本実施形態では、シャッターカーテンの例としてスラットから構成されたシャッターを例に挙げて説明するが、これに限定されず、例えばポリエステルなどの軽い素材によって構成されたシート状のものやパネルシャッターやグリルシャッターにも適用できる。
シャッター2は、収納ケース4内に設置されている制御盤5から開動作指示を受けると、開閉機7が駆動し、巻取り軸6により巻き取られ、収納ケース4内に収納される。このとき、シャッター2は、例えば壁等に設けられたガイドレール3に沿って、上方向に下端部が移動し、開口部を形成する。
また、制御盤5から閉動作指示を受けると、開閉機7が駆動し、巻き取られていたシャッター2が巻取り軸6から離れ、ガイドレール3に沿って、下方向にシャッター2の下端部が移動し、開口部を閉鎖する。
なお、図1では、シャッター2の下端部が完全閉鎖と完全開放との中間位置で停止している場合を示す。
また、図1では図示していないが、シャッター2の下端部及び収納ケース4のそれぞれに障害物検知を行なうためのセンサポートを備えるようにしてもよい。この障害物検知システムは既存技術を適用することができ、ここでの詳細な説明を省略する。
固定操作部13は、例えばシャッター2の近傍に固定的に設置されるものであり、シャッター2の開閉動作を指示操作するものである。固定操作部13は、例えば、開スイッチ、停スイッチ、閉スイッチの3点式のプッシュボタンスイッチ(PBS)に代表される操作スイッチを有し、これら操作スイッチがユーザに押下されると、開動作、停動作、閉動作を指示する信号を制御盤4に与えるものである。
制御盤5は、その機能構成の詳細な説明は後述するが、固定操作部13から操作指示信号を受信したり、図示しない上限リミットや下限リミットからの信号を受信したりし、これらの受信した信号に基づいてシャッター2の動作を制御するものである。
また、制御盤5は、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11からの信号を受信し、これら受信した信号に基づいてシャッター2の巻取り又は繰り出しを行なっている巻取り軸6が正常な姿勢で平行移動しているか否かを判断するものである。そして、巻取り軸6が正常な姿勢で移動していないと制御盤5が判定すると、制御盤5がその旨を知らせるために報知器12の動作させるよう制御する。また、制御盤5は、巻取り軸6が正常な姿勢で移動していないと判定すると、開閉機7の動作を停止させるよう制御する。
ここで、正常な姿勢とは、巻取り軸6の軸芯がシャッター2の開閉面(開閉体であるシャッターが閉鎖することにより仕切られる空間における開閉体の開閉軌跡に相当する面)に対して平行又は略平行である状態をいう。
なお、制御盤5は、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11からの信号を受信に基づいて、上限(開放限)リミット及び又は下限(閉鎖限)リミットを検知するようにしてもよい。これにより、上限リミットや下限リミットなどが故障し場合でもシャッター2のオーバーラン動作を回避することができる。
巻取り軸6は、開閉機7からの駆動力を受けて、シャッター2を巻き取ったり又は繰り出したりするものであり、開閉体の巻取り又は繰り出しの際に、ガイドレール3の巻取り軸側延長線に対して接近する方向又は離間する方向に水平方向の力が生じ、この水平方向の力でDサイドブラケット8及びFサイドブラケット9に沿って水平方向に移動するものである。
ここで、ガイドレール3の巻取り軸側延長線とは、ガイドレール3の長手方向のうち巻取り軸側に延長して形成される仮想線をいう。また、巻取り軸6の両端のうち、開閉機7が設けられた側をドライブサイド(Dサイド)といい、開閉機7が設けられていない側をフォローサイド(Fサイド)という。
開閉機7は、制御盤5からの動作制御信号に従って巻取り軸6を駆動、制動させるものであり、例えばモータやブレーキ等が該当する。
Dサイドブラケット8及びFサイドブラケット9は、収納ケース4内で、巻取り軸6の両端部を支持する支持体であり、かつ巻取り軸6の水平方向の移動を案内するものでもある。なお、Dサイドブラケット8は、Dサイドに配設された支持体であり、Fサイドブラケット9は、Fサイドに配設された支持体である。
Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11は、Dサイドブラケット8及びFサイドブラケット9に沿って移動する巻取り軸6の通過を検出するセンサであり、巻取り軸6の通過を検出すると、検出信号を制御盤5に与えるものである。
ここで、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11は、巻取り軸6の移動のタイミングを検出することができれば、種々の検知手段を適用することができ、例えば、機械式マイクロスイッチや光電センサや近接センサ等のセンサを適用することができ、本実施形態では機械式マイクロスイッチを適用した場合を説明する。なお、Dサイド状態検出センサ10はDサイドに設けられたセンサであり、Fサイド状態検出センサ11はFサイドに設けられたセンサである。
Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11は、巻取り軸6の移動を検出することができる位置に配置され、本実施形態では、巻取り軸6の両端部それぞれが、巻取り軸6の正常な姿勢を維持できるように移動していることを検出できる位置に配置する。例えば、Dサイド状態検出センサ10もFサイド状態検出センサ11も、ガイドレール3の位置等の基準とする位置から所定の距離だけ離れた位置に配置する。
また、本実施形態では、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11は、DサイドとFサイドにそれぞれ1個ずつ設けた場合を示すが、Dサイド及びFサイドにそれぞれ2個以上のセンサを設けるようにしてもよい。このとき、巻取り軸6の両端部が平行に移動していること(ガイドレール3の位置等の基準とする位置からの距離が巻取り軸6の両端部同士で等しい状態で、巻取り軸6の両端部が移動していること)を検出するため、複数個ずつのDサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11はそれぞれ、ガイドレール3の位置等の基準とする位置から所定の距離だけ離れた位置にそれぞれ配置する。
ここで、図2及び図3は、移動型巻取り軸機構の構成をDサイドから見た側面図であり、Dサイド状態検出センサ10の配置例を示す。また、図4は、移動型巻取り軸機構を上側から見た上側面図である。なお、図2及び図3においては、Fサイドの機構の構成を図示しないが、Fサイドの構成は、開閉機7がないこと以外は、Dサイドと同様の構成である。
図2はシャッター2が全閉状態のときの移動型巻取り軸機構の様子であり、図3はシャッター2が全開から全閉の間の中間位置における開動作状態のときの移動型巻取り軸機構の様子である。
図2において、Dサイドブラケット8は、収納ケース4内側の上下端部に配設されており、巻取り軸6を有する移動部60の移動を案内する構成となっている。すなわち、Dサイドブラケット8は、ガイドレール3の巻取り軸側延長線に対して略垂直方向に延設されており、移動部60の水平方向の移動を担保している。
また、Dサイドブラケット8は、移動部60に設けられている移動補助手段63の脱落を防止するために、例えば略凹溝状の部材の溝部に移動補助手段63の表面部と嵌合させる略凸部を設けるようにしてもよい。
移動部60には、上下に設けられたDサイドブラケット8に沿って移動を補助する移動補助手段63が設けられている。この移動補助手段63は、例えば、車輪やローラー等を適用することができる。
また、移動部60は、巻取り軸6と、開閉機7と、Dサイドブラケット8とFサイドブラケット9とを連結する連結部14とを少なくとも連動可能なように構成されたものである。
Dサイド状態検出センサ10は、図2〜図4に示すように、下部のDサイドブラケット8に取り付け可能な支持部等を設けて取り付けられ、連結部14の移動状態を検出できる位置に配設される。
すなわち、本実施形態では、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11が直接的に巻取り軸6の通過を検出するのではなく、巻取り軸6と同じ姿勢で連動する連結部14の両端部の通過を検出することをもって巻取り軸6の移動状態の検出とする。
なお、Fサイド状態検出センサ11も、図4に示すように、Dサイド状態検出センサ10の位置と対応する、Fサイドにおける位置に配設されている。
また、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11の配設位置は、巻取り軸6の移動状態を検出できる位置であれば特に限定されるものではなく、例えば、上部に配設されるDサイドブラケット8に設けてもよい。
さらに、ガイドレール3等の基準位置からの距離が同じであれば、例えば、Dサイド状態検出センサ10を下部に配設されるDサイドブラケット8に設け、Fサイド状態検出センサ11を上部に配設されるFサイドブラケット9に設ける、などのように、各センサを配置位置を代えて設けてもよい。
また、本実施形態では、連結部14の検出をもって、間接的に巻取り軸6の移動を検出したが、直接巻取り軸6の通過を検出できるようにしても当然よい。また、間接的に検出する場合でも、連結部14以外の構成部で検出するようにしてもよい。このとき、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11の配設位置は、その検出方法やセンサの種類の違いに応じて変えることができる。
要するに、巻取り軸6が正常な姿勢で通過したときに、Dサイド側とFサイド側とで同時に又は略同時に状態検出センサが検出できるようにすればよい。
図2の全閉状態のとき、巻取り軸6はシャッター2を巻取っておらず、巻取り軸6がガイドレール3の巻取り軸側延長線に寄せられている状態であり、巻取り軸6におけるシャッター2の取り付け位置(接点)がガイドレール3のシャッターの出入り口上(すなわち、ガイドレール3の巻取り軸側延長線上)にある。
また、図3のシャッター2の開動作状態のときには、開閉機7からの駆動力を受けて、巻取り軸6はシャッター2を巻き取っていき、その巻径が次第に大きくなり、巻取り軸6は、ガイドレール3の巻取り軸側延長線から離れる方向に移動していき、全閉状態時の巻取り軸6の位置よりも巻取り軸側延長線から離れた位置にある状態である。また、巻き取られているシャッター2の吊り下げられている位置はガイドレール3のシャッターの出入り口上(すなわち、略ガイドレール3の巻取り軸側延長線上)にある。なお、図2及び図3に示す巻取り軸機構が移動していく原理は例えば特許文献1に記載されている既存技術と同様の原理であるためこの詳細な説明は省略する。
(A−1−2)制御盤5の機能構成
図5は、本実施形態のシャッター装置1の制御盤5の内部構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態の制御盤5は、制御部51、センサ信号受信部52、操作指示信号受信部53、タイマ部54、ログ記憶部55、開閉機制御部56、報知器制御部57を少なくとも有して構成される。
制御部51は、シャッター装置1の制御盤5としての機能を司るものであり、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等から構成されるものを適用することができ、例えばマイクロコンピュータ等が該当する。
制御部51は、固定操作部13からの操作指示信号を操作指示信号受信部53が受信すると、その受信した操作指示信号に従ってシャッター2を動作させる制御信号を開閉機制御部56に対して与えるものである。すなわち、受信した操作指示信号が開動作を指示する信号である場合、制御部51は開閉機制御部56に対して開動作を指令し、閉動作を指示する信号である場合、制御部51は、開閉機制御部56に対して閉動作を指令する。
また、制御部51は、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11からのセンサ信号をセンサ信号受信部52が受信すると、その受信した各センサ信号を用いて巻取り軸6の移動状態を確認するものである。
ここで、巻取り軸6の移動状態の確認方法は、Dサイド状態検出センサ10又はFサイド状態検出センサ11のいずれか一方のセンサからセンサ信号を受信すると、制御部51はタイマ部54に対してタイマを起動させ、基準時間内に他方のセンサからセンサ信号が受信されたかどうかにより、巻取り軸6が正常に移動しているかどうかを判断する。そして、基準時間内に他方のセンサからのセンサ信号が受信された場合、制御部51は巻取り軸6が正常に移動していると判断し、他方のセンサからセンサ信号が受信されずに基準時間を超えた場合、制御部51は巻取り軸6が正常に移動していないと判断する。
なお、センサからのセンサ信号の受信タイミングは適宜定めることができ、例えば、センサ信号がLow状態からHigh状態に立ち上がるタイミングを用いるようにすればよい。
Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11を複数個ずつ設けた場合にも、同様にして、それぞれ対応する位置に設けられたセンサ10及び11からのセンサ信号に基づいて判定することができる。
このように、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11からのセンサ信号の受信タイミングを監視することにより、制御部51は巻取り軸6が正常な姿勢で移動しているか否かを確認することができる。
巻取り軸6が正常な姿勢で移動していないと制御部51が判断した場合、制御部51は報知器制御部57に対して報知器12を起動させるように指令する。これにより、巻取り軸6が正常に移動していないことを知らせることができる。
また、制御部51は、巻取り軸6が正常な姿勢で平行移動していないことから、シャッター2動作にも異常が生じ得、危険であるから、シャッター2動作を停止させるために、開閉機制御部56に対して開閉機7の駆動を停止、すなわち開閉体であるシャッター2の動作を停止させる信号を送出する。
ここで、基準時間については、シャッター装置1の設置時やメンテナンス時等に、保守者等が制御盤5の操作入力部(図示しない)等を用いて所定の操作を施して設定することができる。また、一度設定された基準時間を再度変更するようにしてもよい。さらに、時間長が異なる複数の基準時間を設定しておき、多段階で検知するようにしてもよい。
また、制御部51がシャッター動作を停止させるための停止基準時間を別に設定し、タイマ時間がその停止基準時間を超えた場合に、シャッター2動作を停止させるようにしてもよい。
また、制御部51は、巻取り軸6が正常に移動していないと判断したことに対応する所定の情報を履歴情報としてログ記憶部55に記憶させるものである。このとき、制御部51は、この所定の情報を、日時情報やシャッター2の使用回数(例えば、開閉動作のカウンタ値等)などと対応付けてジャーナル記録する。このように、日時情報等と対応付けてこの所定の情報を履歴記録することで、シャッター装置1のメンテナンス時に、シャッター2の使用に応じた巻取り軸6の移動状態の変化を知ることができ、それにより、例えば移動補助手段等の取替え時期等を認識することができる。
センサ信号受信部52は、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11に接続しており、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11からセンサ信号を受信し、それら受信したセンサ信号を制御部51に与えるものである。
操作指示信号受信部53は、固定操作部13に接続しており、固定操作部13から操作指示信号(例えば、開信号、閉信号、停信号等)を受信し、受信した操作指示信号を制御部51に与えるものである。
タイマ部54は、制御部51から動作開始の指示を受けてから、動作終了の指示を受けるまでの時間を計時するものである。動作開始の指示は、上述したように、Dサイド状態検出センサ10又はFサイド状態検出センサ11のいずれか一方のセンサからセンサ信号を受信したときになされ、動作終了の指示は、基準時間が経過したとき、および他方のセンサからセンサ信号を受信したときになされる。
なお、本実施形態では、制御部51の制御の下、Dサイド状態検出センサ10とFサイド状態検出センサ11とからのセンサ信号の受信タイミングのタイムラグが基準時間を超えるか否かを確認するものとして新たにタイマ部を設けたが、既存の制御盤5がタイマ部を有していれば、そのタイマ部を用いるようにしてもよい。
また、タイマは用いずに、Dサイド状態検出センサ10とFサイド状態検出センサ11とで同時に検出しなければ、巻取り軸6が正常な姿勢で移動していないと判断するようにしてもよい。
ログ記憶部55は、制御部51の制御の下、タイマ部54が計時した時間を履歴情報として記憶する不揮発性の記憶領域である。また、ログ記憶部55は、例えばシャッター装置1のメンテナンス時等に、保守者等により所定の操作が施されて、記憶している情報を出力することができる。なお、ログ記憶部55は、制御盤5に搭載される記憶媒体であってもよいし、保守者等により取り外し可能なログ記録専用の記録媒体(例えば、SD(Secure Digital)メモリカード等の小型メモリカード等)を適用してもよい。
開閉機制御部56は、制御部51からシャッター2の動作を制御する制御信号を受け取り、その制御信号に応じて動力源である開閉機7を駆動させるものである。なお、開閉機制御部56は、開閉機7の出力軸の回転を示すエンコーダパルスを出力する機能も備えており、エンコーダパルスをカウンタ部(図示しない)に与える。このエンコーダパルスの数により、開閉機7の出力軸の回転量は可変し、この開閉機7の出力軸の回転量がシャッター2の移動量に対応する。
報知器制御部57は、制御部51から報知器12を動作させる制御信号を受け取り、その制御信号に応じて報知器12を動作させるものである。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、本実施形態のシャッター装置1における巻取り軸6の移動状態を確認する動作を、図面を参照して説明する。
まず、制御盤5の制御部51は、ユーザによる操作を受けて、固定操作部13からシャッター2を動作させる操作指示信号が送信されてくるか否かを監視している。
また、制御部51は、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11からセンサ信号が送信されてくるか否かをも監視している。
その後、固定操作部13から操作指示信号が送信されてくると、制御部51は、その操作指示信号に従ってシャッター2を動作させる制御信号を開閉機制御部56に与える。そして、開閉機制御部56は、この制御部51からの動作制御信号に基づいて開閉機7を駆動させる。
すなわち、開閉機7は、開閉機制御部56からシャッター2を開動作させる制御信号が与えられると、その制御信号に基づいて回転軸を回転させる。そうすると、巻取り軸6は、開閉機7の回転軸の回転力を受けて、軸本体61が回転することでシャッター2を巻き取っていき、ガイドレール3に案内されてシャッター2が上方向に上昇していき、開口部を形成する。
このとき、巻取り軸6とシャッター2との接点において、接点以下のシャッター2の重量と巻取り軸6がシャッター2を巻取るためにシャッター2を引き上げる引張力の反力とに基づく合力により水平方向の力が生じ、この水平方向の力を受けて、巻取り軸6を有する移動部60がガイドレール3の巻取り軸側延長線から離れる方向に移動していく。すなわち、巻取り軸6を有する移動部60は、図2に示す位置から図3に示す位置に移動していく。
巻取り軸6を有する移動部60の移動に伴い、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11が移動部60を構成している連結部14の通過を検出すると、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11はセンサ信号を制御盤5に送信する。
図6は、制御盤5の制御部51において、Dサイド状態検出センサ10又はFサイド状態検出センサ11から入力したセンサ信号に基づいて、巻取り軸6の両端が平行に移動しているか否かの判断処理を示すフローチャートである。
上述したように、制御盤5の制御部51は、Dサイド状態検出センサ10又はFサイド状態検出センサ11からのセンサ信号の入力を常時又は定期的に監視している(F101、F102)。
なお、図6においては、巻取り軸6のDサイドが開閉機7からの駆動力を受けて能動的に移動する側であるため、制御部51はDサイド状態検出センサ10からのセンサ信号の入力を先に監視するように示しているが、これに限定されず、いずれかのセンサからの入力を監視できればよい。
図6において、制御部51は、常時又は定期的に、Dサイド状態検出センサ10からのセンサ信号の入力を監視し、Dサイド状態検出センサ10からセンサ信号の入力を検出すると、制御部51はタイマ部54に対してタイマの動作開始を指示する。この制御部51からのタイマ動作開始指示により、タイマ部54はタイマ計時をスタートさせる(F103)。
Dサイド状態検出センサ10からセンサ信号が入力し、タイマが動作開始すると、制御部51は、基準時間内に、Fサイド状態検出センサ11からのセンサ信号の入力を待つ(F104)。
そして、Fサイド状態検出センサ11からセンサ信号が入力されると(F105)、制御部51はタイマ部54にタイマストップを指示し、タイマ部54はタイマ計時をストップする(F106)。
そして、基準時間内にDサイド状態検出センサ10とFサイド状態検出センサ11との検出タイミングのタイムラグが基準時間内であり、巻取り軸6の両サイドは略平行して移動しているものとし、制御部51は巻取り軸6が正常な姿勢で移動していると判定し(F107)、処理を終了する。
一方、F104において、基準時間内に他方の検出センサに当たるFサイド状態検出センサ11からセンサ信号を受信できず、基準時間を経過してしまうと、制御部51は、タイマ部54に対してタイマストップを指示し、タイマ部54はタイマ計時をストップする(F108)。
このように、Dサイド状態検出センサ10とFサイド状態検出センサ11との検出タイミングのタイムラグが基準時間を超えてしまうと、巻取り軸6の両サイドは略平行に移動していないものとし、制御部51は巻取り軸6の移動が異常であると判定する(F109)。
巻取り軸6の移動が異常であると判定すると、その旨を報知させるために、制御部51は報知器制御部57に対して報知器12を動作させる制御信号を与える(F110)。報知器制御部57はこの制御部51からの制御信号に基づいて報知器12を動作制御し、これを受けて報知器12が動作する。
また、制御部51は、巻取り軸6の移動が異常であると判定すると、開閉機制御部56に対して開閉機7の駆動を停止させる制御信号を与える(F111)。開閉機制御部56は、制御部51からの制御信号に基づいて開閉機7の駆動を停止させるように制御し、これを受けて開閉機7が駆動を停止し(モータが停止し、ブレーキが作動し)、シャッター2が停止される。
また、制御部51は、巻取り軸6の移動が異常であると判定すると、タイマ部54の計時した時間を履歴情報としてログ記憶部55に記憶させる(F112)。
一方、F101において、Dサイド状態検出センサ10からセンサ信号が制御部51に入力されない場合、制御部51は、Fサイド状態検出センサ11からセンサ信号の入力がないかを監視し、Fサイド状態検出センサ11からのセンサ信号の入力を検出すると(F102)、制御部51はタイマ部54に対してタイマの動作開始を指示し、タイマ部54はタイマ計時をスタートさせる(F113)。
Fサイド状態検出センサ11からセンサ信号が入力し、タイマが動作開始すると、制御部51は、基準時間内に、Dサイド状態検出センサ10からのセンサ信号の入力を待つ(F114)。
そして、Dサイド状態検出センサ10からセンサ信号が入力されると(F115)、制御部51はタイマ部54にタイマストップを指示し、タイマ部54はタイマ計時をストップし(F106)、巻取り軸6の両サイドは略平行して移動しているものとし、制御部51は巻取り軸6が正常に移動していると判定し(F107)、処理を終了する。
また、F108において、基準時間内に他方の検出センサに当たるDサイド状態検出センサ10からセンサ信号を受信できず、基準時間を経過してしまうと、制御部51は、タイマ部54に対してタイマストップを指示し、タイマ部54はタイマ計時をストップし(F108)、巻取り軸6の両サイドは略平行に移動していないものとし、制御部51は巻取り軸6の移動が異常であると判定し(F109)、F110〜F112で説明した処理を行なう。
このように、制御部51がDサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11による検出タイミングに基づいて、巻取り軸6の両サイドが略平行に移動しているか否かを判断することができる。
なお、以上においては、シャッター2を開動作させる場合を例に挙げて説明したが、シャッター2を閉動作させる場合も、以上の説明と同様にして、制御部51が巻取り軸6の両サイドの移動状態を判断することができる。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、Dサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11を巻取り軸6の移動ルートに配設し、制御盤5の制御部51が、直接的又は間接的に巻取り軸6を検知したDサイド状態検出センサ10及びFサイド状態検出センサ11からのセンサ信号に基づいて巻取り軸6の両サイドが正常な姿勢で移動しているかどうかを確認することができる。その結果、例えば巻取り軸6のいずれかのサイドが遅れて移動することで、シャッター2の巻取り又は繰り出しが不均等になって、シャッター2が絡まる等の巻取り軸機構の故障を回避することができる。
(B)他の実施形態
上述した第1の実施形態では、開閉体を巻き取ったり又は繰り出したりする巻取り軸機構としたが、例えば、パネルシャッター等のように、開閉体を巻き取らず、それぞれのパネルを収納する際に、各パネルを整理よく収納できるように、各パネルに設けられた軸体などの開閉軸機構にも適用できる。
すなわち、開閉動作の際に、収納ケース内を水平方向に移動する軸体をもつ機構であれば広く適用できる。
このとき、各パネルに設けられた軸体は、例えば、パネル両縁部にそれぞれ同軸に設けられた複数(例えば2本)の軸体でもよく、この場合、これら同軸に設けられた軸体群の両端である部分を軸体の両端部とみなして本発明を適用してもよい。
上述した第1の実施形態では、可動型の開閉機7を用いた場合を示したが、固定型の場合でもよい。
上述した第1の実施形態では、DサイドとFサイドの両端にそれぞれセンサ10及び11を設けることとして説明したが、1個のセンサを設けても、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
例えば、1個のセンサをFサイドブラケット側に配置する。このとき、軸が正常に移動した場合に、開閉機が作動してから軸のFサイドの端が通過するまでの時間を予め調査しておき、その調査結果から基準時間を設定しておく。そして、制御部が、開閉機に駆動させる制御信号を送出した時点でタイマを起動させ、センサからのセンサ信号の受信でタイマを終了させて得られるタイマ時間と基準時間とを比較し、タイマ時間が基準時間内である場合正常に移動しており、基準時間を越えている場合を異常と判定することができる。
上記実施形態では、巻取り軸6が正常な姿勢で移動しているか否かを、巻取り軸6の両端部の移動状況から判断するようにしていたが、投光部および受光部のうち、一方を収納ケース4等の非移動体に設け、他方を連結部14などの巻取り軸6と共に移動する移動体に設けた指向性の高い光電センサによって、巻取り軸6の傾き状況から巻取り軸6が正常な姿勢であるか否かを判断するようにしてもよい。このとき、光電センサの投光部および受光部は、巻取り軸6が正常な姿勢であるとき常に光軸が巻取り軸6の移動方向に向いていて光電センサの投光部から投光された光が受光部で受光できるように設置する。もし、巻取り軸6が異常な姿勢となったときには、連結部14に設置された光電センサの投光部および受光部のうち他方が傾くため、光電センサの投光部から投光された光が受光部で受光できなくなり、巻取り軸6が正常な姿勢でないと判断できる。
巻取り軸6の移動が異常であると判断した場合の制御として、上記実施形態では、報知器12等による報知及びシャッター2を停止させることを示したが、これに限定されず、その他の例として、シャッター2を逆動作させて異常の回復を試みるようにしてもよいし、異常判断状態をリセットするまで継続させて、異常判断状態が継続されている間は、正常判断状態とは異なる制御をするようにしてもよい。
巻取り軸6が正常な姿勢で移動しているか否かを判断するのは、開閉体が開動作しているときでもよいし、閉動作しているときでもよいし、停止しているときでもよい。
1…シャッター装置、2…シャッター、3…ガイドレール、4…収納ケース、5…制御盤、6…巻取り軸、7…開閉機、8…Dサイドブラケット、9…Fサイドブラケット、10…Dサイド状態検出センサ、11…Fサイド状態検出センサ、12…報知器、13…固定操作部、14…連結部、60…移動部、61…軸本体、62…ドラム、63…移動補助手段、51…制御部、52…センサ信号受信部、53…操作指示信号受信部、54…タイマ部、55…ログ記憶部、56…開閉機制御部、57…報知器制御部。