JP4905854B2 - 直接変調波長可変レーザ - Google Patents

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Description

本発明は、光通信システム用光源として好適な直接変調波長可変レーザに関する。
波長分割多重光ファイバーネットワークでは、波長可変光源(TLS: tunable light source)を使用することが望まれている。このような光源は、典型的には、連続波長動作を行うものであり、モノリシック回折格子型レーザや外部共振型レーザを含め、様々なデザインで実現されている。全ての波長可変光源に共通しているのは、利得領域から物理的に且つ電気的に分離された波長制御領域が設けられていることである。
波長可変光源を送信器として使用する場合には、更に、波長可変光源から発せられるCW光にデータを載せるための外部変調器が必要である。送信器の小型化及び低消費電力化のためには、波長可変光源と外部変調器を同一チップに集積化するか、同一パッケージに収めることが望ましい。しかしながら、集積された外部変調器で波長可変範囲全域で良好な光変調特性を実現することは、技術的に難しく、多くの場合、波長可変光源の波長制御範囲と、変調器の性能との間にトレードオフが発生する。
送信器の他の選択肢としては、分布帰還レーザ(DFB laser: distributed feedback laser)のような固定波長型の直接変調レーザ(DML: directly modulated laser)がある。但し、外部変調と直接変調とを比較すると、レーザを直接変調する場合は、大きな周波数変調(又は大きなチャーピング)が発生する。そのため、光ファイバの波長分散により最大伝送距離が制限されてしまう。従って、直接変調レーザは、比較的短距離の通信に適したレーザであると言える。但し、これら分布帰還レーザのような固定波長型の直接変調レーザの発振波長は、温度を変えることによってしか調整できないので、波長の制御範囲が4nmと制限されてしまう。
直接変調される利得領域を有する波長可変光源である直接変調波長可変レーザ(DM-TLS: directly modulated TLS)は、将来における短中距離の波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)光通信ネットワークの有望な送信器であると考えられている。なぜなら、直接変調波長可変レーザは、波長制御機能とデータ変調機能とを一つの小さなユニットで実現可能であるからである。しかしながら、波長可変光源の直接変調には、波長制御を司る光反射領域の存在に起因して、様々な問題がある。分布帰還レーザとは異なり、レーザの利得領域の屈折率変化に起因する発振波長の変化は、反射領域の反射率がピークになる波長と関係が無いため、反射率が時間依存性を有することになる。この特性は、特定の用途に対しては、積極的に利用される場合がある。例えばK. Vahala et al. "Detuned loading in coupled-cavity semiconductor lasers -effect on quantum noise and dynamics", Appl. Phys. Lett., vol. 45, pp.501-503, 1984に記載されているような、デチューンドローディング(detuned loading)と呼ばれる構成では、デカップリングが、緩和共振周波数(RRF: relaxation resonance frequency)を増大させると共にレーザのチャープや線幅を大きく減少させるために使用されている。確かに、ミラーロスが最小の周波数で発振が生じるレーザの典型的な動作においても、反射領域の周回時間(round trip time)を増大させることにより、チャープや線幅を大きく減少させることができる。しかしながら、この場合には、反射領域の周回時間の増大と共に、直接変調が可能な最大ビットレートが低下してしまう。加えて、緩和振動の減衰時定数も減少してしまい、これは、変調光信号の波形ひずみを促進してしまう。このことは、例えば、G.P. Agrawal et al., "Modulation Performance of a Semiconductor Laser Coupled to an External High-Q Resonator", IEEE J. Quantum Electronics, vol. 24, 1988に記載されている。その結果、これまでに多く報告されてきた典型的な広帯域波長可変レーザである、外部共振器型の波長可変レーザでは、レーザの反射領域周回時間は、80psを超えており、これは、例えば、直接変調速度として10Gb/sのビットレートに適合していない。
なお、比較的高速に直接変調可能な波長可変レーザとしては、以下に述べられるような、4つの種類の回折格子型の構成が提案されている:
(1)超構造グレーティング分布ブラッグ反射器(SSG-DBR: super structure grating distributed Bragg reflector、例えば、H. Ishii et al. "Multiple-phase-shift super structure grating DBR lasers for broad wavelength tuning", IEEE photon. Technol. Lett., vol. 5, pp.613-615, 1994参照)
(2)抽出グレーティング分布ブラッグ反射器(SG-DBR: sampled-grating distributed Bragg reflector、例えば、J.Klamkin et al., "High efficiency widely tunable SGDBR lasers for improved direct modulation performance", IEEE J. Sel. Top. Quantum Electronics, vol. 11, pp. 931-938, 2005参照)
(3)デジタルスーパーモード分布ブラッグ反射器(DS-DBR: digital supermode distributed Bragg reflector、例えば、Y. Liu et al., "Directly-modulated DS-DBR tunable laser for uncooled C-band WDM system", in Technical Digest of OFC' 2005, 0ThG8, Anaheim, USA, 2005参照)
(4)変調グレーティングYブランチレーザ(MG-Y laser: modulated grating Y-branch laser、例えば、M. Isakson et al., "10Gb/s direct modulation of 5 THz tunable modulated-grating Y-branch laser", in Technical Digest of OFC' 2005, 0TuE2, Anaheim, USA, 2005参照)
しかしながら、上述のSSG−DBR、SG−DBR、及びDS−DBRレーザでは、光がDBR領域を伝播する際に大きく損失を受けた後で共振器から放出されるので、これらのデバイスから得られる最大光出力は制限されてしまう。一方、MG−Yレーザでは、光は、利得領域に設けられた波長に独立なファセットから出力されるため、他の3つの回折格子型のレーザよりも、高い光出力を出す能力を有している。しかしながら、結局、MG−Yレーザも回折格子を用いているため、電子ビーム露光でしか実現出来ないような、高い作製精度で反射器を形成する必要がある。電子ビーム露光は、確かに高い作製精度を実現するが、順次にパターンを描画する必要があるため、一度にパターンを形成できるステッパ等のフォトリソグラフィーよりもスループットで劣っている。
加えて、回折格子型の反射器において充分に広い帯域幅で均一な反射率を実現するためには、例えばチャープトグレーティングのような超構造グレーティングを使用する必要がある。しかし、超構造グレーティングは、上記のIshii et al.の参照文献に記載されているように、グレーティングに沿った適切な位置に位相シフタを挿入することによってしか実現できない。位相シフタの位置及び位相シフト量の許容誤差は、要求される帯域幅が大きいほど小さくなる。従って、超構造型の回折格子型波長可変レーザの歩留まりは、レーザの波長調整範囲の増大と共に小さくなってしまうと考えられる。加えて、回折格子型反射器では、ピークの反射率と、主反射ローブの半値全幅(FWHM)と、回折格子領域の損失とは相関関係がある。グレーティングが長く、反射率が高く、帯域幅が小さいほど、DBR領域での損失は大きい。従って、これらのパラメータは独立に制御できず、設計の自由度を低下させてしまう。
このような背景から、量産に適した構造を有しながら、広範囲の波長制御を実現し、且つ高速な光変調にも適用可能な直接変調波長可変レーザを実現することが望まれている。
K. Vahala et al. "Detuned loading in coupled-cavity semiconductor lasers -effect on quantum noise and dynamics", Appl. Phys. Lett., vol. 45, pp.501-503, 1984 H. Ishii et al. "Multiple-phase-shift super structure grating DBR lasers for broad wavelength tuning", IEEE photon. Technol. Lett., vol. 5, pp.613-615, 1994 J.Klamkin et al., "High efficiency widely tunable SGDBR lasers for improved direct modulation performance", IEEE J. Sel. Top. Quantum Electronics, vol. 11, pp. 931-938, 2005 Y. Liu et al., "Directly-modulated DS-DBR tunable laser for uncooled C-band WDM system", in Technical Digest of OFC' 2005, 0ThG8, Anaheim, USA, 2005 M. Isakson et al., "10Gb/s direct modulation of 5 THz tunable modulated-grating Y-branch laser", in Technical Digest of OFC' 2005, 0TuE2, Anaheim, USA, 2005 G.P. Agrawal et al., "Modulation Performance of a Semiconductor Laser Coupled to an External High-Q Resonator", IEEE J. Quantum Electronics, vol. 24, 1988 R. F. Kazarinov et al., "The relation of line narrowing and chirp reduction resulting from the coupling of a semiconductor laser to a passive resonator", IEEE J. Quantum Electronics, vol. QE-23, 1987 L. A. Coldren, "Monolithic tunable diode lasers", IEEE J. Sel. Top. Quantum Electronics, vol.6, 2000
従って、本発明の目的は、量産に適した構造を有しながら、広範囲の波長制御を実現し、且つ高速な光変調にも適用可能な直接変調波長可変レーザを実現することにある。
本発明の波長可変レーザ光源は、直接変調が行われる利得領域と、前記利得領域と共にレーザ共振器をなし、利得領域にモノリシックに集積された、反射率の波長依存性が制御可能である反射器とを備えている。この反射器は、複数のリング共振器を備え、複数のリング共振器のうち、隣接する2つのリング共振器間、及び、隣接する利得領域とリング共振器間に溝を有している。そして、反射器の主反射ピークの半値全幅Δfが、10GHz以上、90GHz以下である。発明者の知見によれば、このような構成の波長可変レーザ光源は、チューナブル反射器のトータル光周回時間Tg,fと主反射ピークの半値全幅Δfを、ビットレートに応じて決定される特定範囲内に設定することにより、広範囲の波長制御を実現しながら所望の変調速度での光変調を実現することができる。そして、目標とするビットレートに好適なTg,fとΔfのレーザ共振器を実現するとき、従来の回折格子型の直接変調レーザでは見られなかった、利得領域と反射器、及び反射器内のリング共振器間の熱及び電気的干渉の影響をも除去することができ、歩留まり良く、安定な光変調動作を得ることができる。上記の構成は、回折格子型の直接変調波長可変レーザとは異なり、(電子ビーム露光ではなく)フォトリソグラフィーで形成可能であり、量産にも適している。
本発明によれば、量産に適した構造を有しながら、広範囲の波長制御を実現するような直接変調波長可変レーザを実現することができる。
図1は、本発明の一実施形態の直接変調波長可変レーザ100の構成を示すブロック図である。直接変調波長可変レーザ100は、半導体で形成された利得領域10を備えている。利得領域10の一端には、低反射率膜で被覆された出射ファセット30が形成されており、他端には、反射率の波長依存性が制御可能できるチューナブル反射器190が接続されている。チューナブル反射器190は、位相制御領域20と、反射領域40とで構成されている。反射領域40は、位相制御領域20からの光を反射する機能を有しており、カスケード接続されたリング共振器で形成されている。チューナブル反射器190の具体例については、後述され、ここでは詳細には議論されない。利得領域10とチューナブル反射器190との境界は、以下、境界面170と記載され、利得領域10と出射ファセット30との境界は、以下、境界面180と記載されることがある。以下では、利得領域10の長さはLaと記載され、光が境界面170と境界面180の間を往復する時間(以下、「トータル光周回時間」という)は、Tg,aと記載される。チューナブル反射器190は、利得領域10とモノリシック(monolithically)に集積化される。
利得領域10にはコンタクト11が形成され、コンタクト11には、データパターン源60からデータに応答して変調されたデータ変調電流が供給される。このデータ変調電流には、直流電流源70から供給されたDCバイアスがバイアスティー80によって重畳される。DCバイアスが重畳されたデータ変調電流が利得領域10に供給されることにより、利得領域10はレーザ光を発生する。
チューナブル反射器190に関するパラメータとしては、トータル光周回時間Tg,fと、メイン反射ピークのパワー半値全幅Δfとが挙げられる。ここで、トータル光周回時間Tg,fは、チューナブル反射器190がピークの反射率を示す周波数における、境界面170に入射した光がチューナブル反射器190によって反射されて境界面170に戻ってくるまでの時間をいう。
本実施形態の直接変調波長可変レーザ100の緩和共振周波数(RRF)、即ち、最大のビットレートは、出射ファセット30から出射される光信号が利得領域10に対する電流変調によって変調可能であるビットレートであり、
(Tg,f)=β(0), ・・・(1)
と表される。ここで、f(Tg,f)は、直接変調波長可変レーザ100の緩和共振周波数であり、f(0)は、トータル光周回時間Tg,aを有する利得領域10単独で形成されるレーザの緩和共振周波数であり、βは、チューナブル反射器190による緩和共振周波数の低下を表す速度係数であり、下記式で表される:
β={Tg,a/(Tg,a+Tg,f)}0.5. ・・・(2)
このことは、例えば、G.P. Agrawal et al., "Modulation Performance of a Semiconductor Laser Coupled to an External High-Q Resonator", IEEE J. Quantum Electronics, vol. 24, 1988に開示されている。
利得領域10に供給される電流が変調されると、レーザ発振周波数も、それに応じて変化する、言い換えれば、光信号の振幅変調された電界がチャープされる。図2は、チューナブル反射器190のメイン反射ピークを図示している。図2では、メイン反射ピークの半値全幅はΔfによって示されており、安定状態のレーザ発振モードの周波数が、矢印420で示されている。破線矢印430、440によって示されているように、電流変調によるチャーピングにより、レーザ発振モードは、安定状態の値から変動する。チャーピングによるレーザ発振モードの最大の変化幅は、図2では、δfmaxとして表されている。
レーザ発振モードの最大の変化幅δfmaxがメイン反射ピークの半値全幅Δfに近づくと、反射率は最小で2分の1にまで減少する。これは、レーザ発振を非常に不安定にし、また、出力波形を大きく歪ませる。したがって、直接変調波長可変レーザ100の性能は、メイン反射ピークの半値全幅Δfに強く依存する。具体的には、波形が大きく歪まずに保たれるような、許容される最小の半値全幅の値Δfminは、チャーピングによるレーザ発振モードの最大の変化幅δfmaxに比例する。当業者に広く知られているように、小振幅変調においては、最大の変化幅δfmaxは、β に比例する。このことは、例えば、R. F. Kazarinov et al., "The relation of line narrowing and chirp reduction resulting from the coupling of a semiconductor laser to a passive resonator", IEEE J. Quantum Electronics, vol. QE-23, 1987に開示されている。よって、下記式:
β ={Tg,a/(Tg,a+Tg,f)}, ・・・(2’)
に従って、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fを増加させると、レーザ発振モードの最大の変化幅δfmax、即ち、許容される最小の半値全幅の値Δfminが減少すると考えられる。
図3A、図3Bは、2つのリング共振器を含んで構成されたチューナブル反射器190の構成を示しており、図3Aは、ループ型の構成、図3Bは、反射型の構成を示している。まず、図3Aのループ型の構成について説明する。ループ型の構成のチューナブル反射器190は、光合分波器610と、リング共振器R1、R2とを備えている。
光合分波器610は、位相制御領域20からの入射光信号679を、殆ど同一のパワーを有する2つの光信号成分:時計回り信号成分681、反時計回り信号成分682に分割する。光合分波器610としては、最も好適には、1x2マルチモード干渉(MMI)結合器が使用されるが、2x2MMI結合器、2x2方向性結合器、或いは1x2Yブランチも使用され得る。光合分波器610から出力される2つの光出力:時計回り信号成分681、反時計回り信号成分682のそれぞれは、屈曲導波路620に入力され、更に、それぞれ、リング共振器R1、R2のリング結合器650及びリング導波路630に導かれる。リング導波路630は、その少なくとも一部が電極660によって被覆されており、電極660によってリング導波路630を加熱し、又は、電流を注入することによって屈折率が調整可能である。
リング共振器R1からの時計回り光出力685は、導波路640を介してリング共振器R2に出力される。リング共振器R2は、リング共振器R1と微小に異なるトータル光周回時間を有している。リング共振器R2から出力された時計回り光出力684は、屈曲導波路620を介して再度に光合分波器610に入力される。同様に、リング共振器R2からの反時計回り光出力686は、導波路640を介してリング共振器R1に出力される。リング共振器R1から出力された反時計回り光出力683は、屈曲導波路620を介して再度に光合分波器610に入力される。2つの光出力683、684は、光合分波器610によって重畳され、これにより、反射光信号687が生成される。
一方、図3Bに示されているように、反射型の構成のチューナブル反射器190は、リング共振器R1、R2と、反射用導波路700とを備えている。位相制御領域20からの入射光信号679は、屈曲導波路620を介して直接にリング共振器R1に入力される。リング共振器R1からの光出力688は、導波路640を介してリング共振器R2に入力される。そして、リング共振器R2からの光出力689は、反射用導波路700に入力される。反射用導波路700の端には、反射面690が形成されており、光出力689が反射されて反射光信号691が生成される。反射面690としては、例えば、へき開され、且つ、高反射率コーティングによって被覆されたファセットが使用される。反射光信号691は、再度にリング共振器R2に入力され、リング共振器R2からの光出力692は、再度にリング共振器R1に入力される。リング共振器R1からの光出力は、反射光信号687として、位相制御領域20に再度に入力される。図3A、図3Bに示されているチューナブル反射器190は、特定の数(即ち、2つ)のリング共振器を含んで構成されているが、チューナブル反射器190は、(光信号がリング共振器を複数回通過するような構成であれば)任意の数のリング共振器を含んで構成され得る。実際、光信号が多くのリング共振器を通過するほど、チューナブル反射器190の周波数選択性が増大するため、最低通過回数3以上が望ましい(例えば、図3Bの例では通過回数4回が得られる)。
図4は、リング共振器R1、R2の詳細な構成を示している。リング共振器R1、R2は、2つのリング結合器650とリング導波路630とを備えている。リング結合器650としては、2×2MMI結合器や2x2方向性結合器が使用され得る。また、リング導波路630は、典型的には、半径rを有する”競技トラック”形状に形成されている。リング結合器650の特性としては、損失、結合器長、及び光結合率Cが挙げられる。光結合率Cは、入力導波路710から放出ポート720に放出されるパワーに対する、入力導波路710からリング導波路630に供給されるパワーの比(分離比)として定義される。結合器長は、入力導波路710と出力導波路750の間の伝達関数の自由スペクトル領域(FSR: free-spectral range)に影響する。ここで、自由スペクトル領域は、リング導波路630の、(2つのリング結合器650の通過時間を含む)トータル光周回時間の逆数で与えられる。光結合率Cは、リング共振器R1、R2の共振の鋭さ(finesse)及び損失を決定する。光結合率Cを減少させると、リング共振器R1、R2の共振の鋭さが向上する一方、挿入損失も増大する。
図3A、3Bのリング共振器R1、R2は、微小に異なるトータル光周回時間を有しており、リング共振器R1、R2の間のビートパターンの周期によって、波長制御可能範囲が決まる。このことは、例えば、L. A. Coldren, "Monolithic tunable diode lasers", IEEE J. Sel. Top. Quantum Electronics, vol.6, 2000に開示されている。チューナブル反射器190の反射率は、全てのリング共振器R1、R2で共振が起こる周波数で最大になる。この周波数の制御は、リング導波路630の有効な屈折率を変化させることによって、リング導波路630の光路長を変化させることによって達成可能である。既述のように、リング導波路630の有効な屈折率は、電極660を用いてリング導波路630の温度を変化させ、又は電流を注入することによって制御可能であることに留意されたい。
リング結合器650の光結合率Cを変化させることによって、チューナブル反射器190の主ピークの半値全幅Δfを増大させると、直接変調波長可変レーザ100に、2つの影響がある。第1に、レーザ発振モードに隣接する共振モードに対する反射損失が減少する。これは、直接変調が行われている場合のサイドモード抑制比(SMSR: side mode suppression ratio)、言い換えれば、動的SMSRを減少させる傾向にある。第2に、FSRの増大を伴わない半値全幅Δfの増大は共振の鋭さの低下を招き、これは、チューナブル反射器190の、主反射ピーク以外の反射率を増大させる。
図5Aは、5THzの波長制御可能範囲を有し、且つ、3つのリング共振器を有するループ型構成のチューナブル反射器の、規格化された反射率スペクトルの例である。図5Aの反射率スペクトルは、計算によって得られている。5THzの制御可能範囲は、3つのリング共振器それぞれの光周回時間を3.12ps、3.33ps、及び3.79psにすることによって得られている。ここで、3.12ps、3.33ps、及び3.79psの光周回時間は、それぞれ、320GHz、300.75GHz、及び264GHzのFSRに対応していることに留意されたい。実線810は、光結合率Cが0.5である場合の反射率スペクトルを示しており、破線820は、光結合率Cが0.75である場合の反射率スペクトルを示している。図5Bに示されているように、光結合率Cが0.5である場合、メインピークの半値全幅Δfは、34GHzであり、光結合率Cが0.75である場合、メインピークの半値全幅Δfは、73GHzである。メインピークの半値全幅Δfを増大させると、2次及び3次の反射率ピークの抑制量ΔR及びΔRが減少する。3次のピークは、利得領域10のゲインが最大になる波長から外れた波長にチューナブル反射器190が制御されたときに、モードホッピングを生じさせ得るため、3次のピークは特に重要である。制御可能範囲を増大させると、同じ抑制量ΔR、ΔRを維持するために必要な半値全幅Δfの低下を招く。半値全幅Δfの増大の原因は、放射損失及びリング結合器650の損失を含む、リング共振器R1、R2における損失である。この問題は、チューナブル反射器190の少なくとも一部分を、損失を補償するのに充分なゲインを有する活性層を有する利得領域として形成することで対処可能である。
なお、我々のシミュレーションによれば、従来考えられてきたような動的SMSRの減少率よりもむしろ、レーザの発振波長が可変される際にモードホッピングが発生しないようにするという条件で、チューナブル反射器190の主反射ピークの半値全幅Δfの上限を決定する方が、実際の変調動作の安定化という観点で望ましいことが判っている。この観点で考えると、後述するようにΔfの上限は90GHz程度が望ましいと判明した。
チューナブル反射器190の主反射ピークの半値全幅の最小値Δfminの議論に戻ると、2.5Gb/sのビットレートで変調された単体レーザのチャープの実験データと共に、Kazarionov et al.の参考文献に提示された理論を用いると、図6に示されているように、最小値Δfminは、トータル光周回時間Tg,fの関数として計算される。図6において、太線510は、利得領域10のトータル光周回時間Tg,aが5psである場合の主反射ピークの半値全幅の最小値Δfminを示しており、破線520は、トータル光周回時間Tg,aが10psである場合の最小値Δfminを示しており、実線530は、トータル光周回時間Tg,aが20psである場合の最小値Δfminを示している。この計算は、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fが10psより大きい範囲では、トータル光周回時間Tg,aが5psである場合に主反射ピークの半値全幅の最小値Δfがおおよそ10GHzであることを示唆している。即ち、Δfの下限の一つの目安は10GHzということが言える。
しかしながら、トータル光周回時間Tg,f及び主反射ピークの半値全幅Δfを連続的に変化可能に形成されたレーザ装置で得られた、変調のビットレートが2.5Gb/s、利得領域10のトータル光周回時間Tg,aが5psである場合の実験データから、上記のように理論によって予測された半値全幅の最小値Δfminは、かなり過小に推測されていることが判明した。実験によって得られた半値全幅の最小値Δfminは、黒点によって示されており、曲線540は、それらをフィッテイングした曲線である。曲線540は、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fが190psより小さい範囲では、Δfmin=−17.5log10(Tg,f)+38(GHz)と近似される。トータル光周回時間Tg,fが10psである場合、主反射ピークの半値全幅の最小値Δfminは、約20GHzであることが分かった。加えて、主反射ピークの半値全幅の最小値Δfminは、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fが100psを超える領域において増大し、これは、トータル光周回時間Tg,fが大きい場合の光パルスの立ち上がりエッジにおけるチャーピングの増大によるものであると考えられる。立ち上がりエッジにおけるチャーピングの増大は、フィードバック遅延によって誘起されるキャリア密度の変調が促進されることによる。この理由により、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fは、ビットレートが2.5Gb/s以上である場合、190psよりも小さい値に制限される。
図6の縦線は、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fの下限を示している。具体的には、縦線596は、チューナブル反射器190において光信号がリング共振器を延べ2回通過する場合の、縦線597は、リング共振器を延べ3回通過する場合、縦線598は、リング共振器を延べ4回通過する場合の、縦線599は、リング共振器を延べ6回通過する場合のトータル光周回時間Tg,fの下限を示している。縦線596、597、598、599は、それぞれ、6.2ps、9ps、10ps、15psのトータル光周回時間Tg,fを表している。光信号がリング共振器を延べ2回、3回通過するチューナブル反射器190は、それぞれ、2つ及び3つのリング共振器を備えたループ型構成のチューナブル反射器によって実現可能である。一方、光信号がリング共振器を延べ4回、6回通過するチューナブル反射器190は、それぞれ、2つ及び3つのリング共振器を備えた反射型構成のチューナブル反射器によって実現可能である。
チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fを小さくすることは、リング共振器間の許容最大距離に厳しい制限を課し、この制限は、例えば、リング共振器R1における屈折率を加熱や電流注入によって制御したときのリング共振器R2の屈折率の変化のような、熱的、電気的なクロストークを生じさせ得る。発明者等は、リング共振器R1、R2の間に深溝670を形成することにより、リング共振器R1、R2の間の熱抵抗を増大させ得、リング共振器R1、R2間の熱的、電気的なクロストークを有効に抑制することを見いだした。
更に、高速な直接変調特性を得るため、トータル光周回時間、Tg,f及びTg,aを小さくする場合、利得領域10とリング共振器R1、R2間距離も短くなり、これらの間での熱的、電気的クロストークが問題になることが明らかとなった。これは、基本的には、リング共振器が利得領域に対して、2次元的に配置されているため、熱及び電流が伝達するパス(利得領域からリング共振器を見たときの立体角)が大きいことが原因と考えられるが、加えて、利得領域10のある部分から、リング共振器R1やR2のある部分を見る角度によって相互部分間距離が微妙に異なるため、場所により不均一な熱、及び電気的クロストークの影響が出て、直接変調時、極めて複雑且つ不安定な挙動を示すのである。発明者等は、利得領域とリング共振器R1、R2の間に深溝670を形成することにより、この影響をも除去できることを見出した。
リング共振器の作製容易性を考えると、各々のリング共振器のFSRは400GHz以下とすることが望ましい。このFSRは共振器光周回時間が2.5ps以上であることに相当するが、このようなリング共振器を用いた場合、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fの下限は、約6.2psであり、上限は、(上述されたように)2.5Gb/sのビットレートに対しては190psである。10Gb/sのビットレートに対しては、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fの上限は、40psである。この上限を越えると、遅延により、重大な波形ひずみが発生してしまう。
上述されているように、チューナブル反射器190の主反射ピークの半値全幅Δfの上限は、レーザ発振の波長が可変される際における不要なモードの発振の抑制、即ちモードホッピングに対する要求で決定される。レーザ発振の周波数の制御可能範囲が5THzである場合、チューナブル反射器190の主反射ピークの半値全幅Δfの上限は、破線592で表されているように、90Gzを超えてはならない。また、レーザ発振の周波数の制御可能範囲が12.5THzである場合、主反射ピークの半値全幅Δfの上限は、破線594で示されているように、60GHzまで減少される。
従って、2.5GHzのビットレートで直接変調が行われる場合において、安定な動作をするようなチューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,f、及び主反射ピークの半値全幅Δfは、レーザ発振の周波数の制御可能範囲が5THzである場合、図6の領域560で示され、制御可能範囲が12.5THzである場合、図6の領域580で示される。ここで、領域560及び領域580の下方の境界は、曲線540によって規定される。また、領域560及び領域580におけるトータル光周回時間Tg,fの下限は、約6.2psであり、上限は190psである。
一方、10GHzのビットレートについての主反射ピークの半値全幅Δfの下限は、2.5GHzのビットレートの場合の4倍であり、曲線550で示される。このことは、チャーピングがビットレートに比例して増大するという知見に基づいている。曲線550は、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fが40psより小さい範囲では、Δfmin=−66.7log10(Tg,f)+137(GHz)と近似されることに留意されたい。10GHzのビットレートについての主反射ピークの半値全幅Δfを示す曲線550に基づけば、レーザ発振の周波数の制御可能範囲が、それぞれ、5THz、12.5THzであり、且つ、10GHzのビットレートで直接変調が行われる場合において、安定な動作が得られる範囲は、それぞれ、図6の領域570、590である。ここで、領域570、590の下方の境界は、曲線550によって規定される。上述に規定されたパラメータ範囲、特に、領域570、590は、従来技術から推論され得るパラメータ範囲と比較して、非常に制限されていることに留意されたい。
従来技術の記述に記載されているように、当業者は、従来から、2.5Gb/s及び10Gb/sのビットレートでの動作を行う回折格子型の直接変調波長可変レーザを実現している。しかしながら、リング共振器を用いる本実施形態の直接変調波長可変レーザ100は、高精度のパターニングをするための電子ビーム露光が不要であり、フォトリソグラフィー技術によって実現可能である。これは、生産に必要な時間を低減し、コストを非常に削減する。加えて、本実施形態の直接変調波長可変レーザ100で使用されるチューナブル反射器190は、リング結合器650の波長依存性によってのみ制限され、本質的に、波長制御範囲の全体に渡って波長に依存しないピーク反射率を有している。これは、回折格子型の光源とは対照的である。回折格子型の光源では、広い波長制御範囲に渡って均一な反射率を実現するためには、高精度の超構造グレーティングを形成する必要がある。従って、本実施形態の直接変調波長可変レーザ100は、特に、5THzを超える広い波長調整範囲を実現できる点で魅力的である。加えて、従来技術の回折格子型の光源とは異なり、カスケード接続されたリング共振器をチューナブル反射器190として使用することは、主反射ピークの半値全幅を、ピーク反射率と独立して変更することを可能にする。これは、高速変調時の動特性が反射器によって影響される直接変調波長可変レーザにおいて、特に重要である。
本発明の実施例1を、図1、図3A、及び図4を参照して説明する。図1を参照して、実施例1では、400μmの長さの利得領域10と、チューナブル反射器190とを備える波長可変レーザが作成された。チューナブル反射器190の位相制御領域20と反射領域40は、利得領域10とモノリシックに集積化された。位相制御領域20は、70μmの長さを有している。実施例1では、チューナブル反射器190は、図3Aに示されているように、ループ型の構成を有しており、2つのリング共振器R1、R2を備えている。利得領域10の出射ファセット30は、多層低反射膜を利得領域10のへき開面に形成することによって形成されている。
チューナブル反射器190の2つのリング共振器R1、R2のそれぞれは、”競技トラック”型のリング導波路630とリング結合器650とを備えている。リング結合器650としては、光結合率が0.5である、幅が6μm、長さが51μmの2x2MMI結合器が使用される。リング導波路630の2つの半円部分の半径rは、20μmである。リング共振器R2では、長さが5μmである4つの直線部分760が、半円部分とリング結合器650との間に挿入されている。これは、リング共振器R2のトータル光周回時間を2.63psから2.86psに増大させ、チューナブル反射器190全体として、4.38THzの周期性を生じさせる。これは、チューナブル反射器190の最大の制御範囲である。ここで、リング共振器R1のトータル光周回時間は2.63psである。ループ型構成は、2つのリング共振器R1、R2を、光合分波器610と屈曲導波路620によって位相制御領域20に接続すると共に、リング共振器R1、R2を、導波路640によって相互に接続することによって実現されている。
光合分波器610としては、光結合率が0.5である、幅が6μm、長さが39μmの1x2MMI結合器が使用される。屈曲導波路620は、220μmの半径の4分円の形状に形成される。導波路640としては、長さが242μmの直線上の導波路が使用される。チューナブル反射器190の制御は、電極660から電流を注入することによって行われる。
実施例1の波長可変レーザの製造プロセスは下記のとおりである:波長1580nmの光を発生するようなバンド構造を有する多重量子井戸(MQW)構造を有するInGaAsP/InPダブルへテロ構造が、MOVPE(metal-organic vapor phase epitaxy)法によってn−InP基板に成長される。その後、位相制御領域20と反射領域40とを形成するための領域がウェットエッチされ、この領域に、波長1300nmに相当するバンドギャップを有する光コア層がMOVPEによって形成される。続いて、利得領域10、位相制御領域20、及び反射領域40に、p−InPクラッドとp−InGaAsコンタクト層とが形成され、利得領域10と位相制御領域20となる導波路が、メサエッチングによって形成される。続いて、利得領域10と位相制御領域20となる導波路は、埋め込みRu−InP電流ブロック層によって埋め込まれる。最後に、反射領域40となる導波路が、メサエッチングにより、コア層よりも1.5μm下方の深さまでエッチングされ、形成される。
本実施例の波長可変レーザに形成されたチューナブル反射器190は、主反射ピークの半値全幅Δfが62GHzであった。更に、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fは、(位相制御領域20のトータル光周回時間を含んで)19.8psであった。このトータル光周回時間Tg,fは、図6によれば、10Gb/sの直接変調に好適な値である。チューナブル反射器190のパラメータの組み合わせは、図6において星印1aで示されている。
連続波長可変動作を行わせたところ、実施例1の波長可変レーザは、波長1529nm〜1561nmに相当する、4THzの制御可能範囲を有していた。加えて、実施例1の波長可変レーザは、利得領域10に供給される電流が300mAであったとき、制御可能な全波長範囲において、45dBを超えるSMSRと11dBを超える出力パワーを有していた。チューナブル反射器190の帯域における波長の調整は、リング共振器のそれぞれに15mAに満たない調整電流を流すことによって実現できた。図3Aに示されているように、2つのリング共振器R1、R2の間、及び利得領域との境界には、10本の1μm幅の深溝670がエッチングにより、互いに3μm離れるように形成された(ただし、簡単のため、図3Aには、2本+4本の深溝670しか図示されていない)。この深溝670は、熱抵抗、電気抵抗として機能し、熱的、電気的なクロストークを許容可能なレベルにまで低減させた。深溝670により、2つのリング共振器の安定的な制御が可能になった。
ワード数231−1のPRBS(pseudo-random bit sequence)を用いて10Gb/sの直接変調を行ったところ、制御可能範囲における最小のSMSRは、36dBまで減少したが、アイパターンの消光比は、8.5dBを超えて維持された。
本実施例の波長可変レーザは、(位相制御領域20を含む)チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fが19.8psであった。しかし、トータル光周回時間Tg,fは、屈曲導波路620の半径を30μmまで小さくすることで、8.4psまで低減可能である。この状態は、図6では、星印1bによって図示されている。しかし、トータル光周回時間Tg,fを8.4psまで低減すると、チャープ量の増大を招き、10Gb/sのビットレートでは、特に、長波長領域においてアイダイアグラムの劣化が見られた。ビットレートを約7Gb/sにまで低減すると、4THzの波長可変領域全体に渡って、明確で安定なアイダイアグラムを発現する直接変調が可能であった。
非常に小さな波長可変レーザを実現するためには、光合分波器610としてアクティブMMI結合器が使用されてもよい。アクティブMMI結合器は、波長可変レーザの利得領域としても機能するから、光合分波器610としてアクティブMMI結合器を使用することにより、波長可変レーザに複数の利得領域を組み込むことができる。
本実施例では、チューナブル反射器190の2つのリング共振器は、ループ型構成として使用されているが、この構成には限定されない。その代わりに、図3Bに示されているように、2つのリング共振器は、反射型構成として使用されてもよい。ループ型構成では、光信号は、延べ2回しかリング共振器を通過しないのに対し、反射型構成では、光信号が延べ4回リング共振器を通過する。これは、2次、3次の反射ピークの低減を促進し、チューナブル反射器190の制御可能範囲を増大させることを可能にする。2次、3次の反射ピークの低減は、2つのリング共振器のトータル光周回時間の差を低減することによって実現される。
本発明の実施例2を、図1、図3A、図4、及び図7を参照して説明する。実施例1と同様に、実施例2でも、400μmの長さの利得領域10と、チューナブル反射器190とを備える波長可変レーザが作成された。チューナブル反射器190の位相制御領域20と反射領域40は、利得領域10とモノリシックに集積化された。位相制御領域20は、70μmの長さを有している。利得領域10の出射ファセット30は、多層低反射膜を利得領域10のへき開面に形成することによって形成されている。
実施例2では、チューナブル反射器190は、図7に示されているように、ループ型の構成を有しており、3つのリング共振器R1〜R3を備えている。リング共振器R1、R2に加えてもう1つのリング共振器を有している点で、実施例2のチューナブル反射器190は、実施例1のそれと相違している。実施例2のチューナブル反射器190では、リング共振器R1から出射される時計回り光出力910は、屈曲導波路680を介してリング共振器R2に入射される。リング共振器R2からの時計回り光出力920は、もう一つの屈曲導波路680を介してリング共振器R3に入力される。最終的には、リング共振器R3からの時計回り光出力684は、屈曲導波路620を介して光合分波器610に入力される。反時計回りについても同様である。リング共振器R3から出射される反時計回り光出力930は、屈曲導波路680を介してリング共振器R2に入射される。リング共振器R2からの反時計回り光出力940は、もう一つの屈曲導波路680を介してリング共振器R1に入力される。最終的には、リング共振器R1からの反時計回り光出力683は、屈曲導波路620を介して光合分波器610に入力される。光出力683、684は、光合分波器610によって重畳され、これにより、反射光信号が生成される。リング共振器を追加することにより、2次及び3次の反射ピークの低減が促進され、これにより、波長制御範囲が広くなる。
図4に示されているように、実施例2においても実施例1と同様に、チューナブル反射器190の2つのリング共振器R1、R2のそれぞれは、”競技トラック”型のリング導波路630とリング結合器650とを備えている。リング結合器650としては、光結合率が0.5である、幅が6μm、長さが51μmの2x2MMI結合器が使用された。リング導波路630の2つの半円部分の半径rは、約20μmである。リング共振器R2では、長さが2.2μmである4つの直線部分760が、半円部分とリング結合器650との間に挿入されている。これは、リング共振器R2のトータル光周回時間を2psから2.73psに増大させ、リング共振器R1の2.63psのトータル光周回時間と相まって、チューナブル反射器190全体として10THzの周期性を生じさせる。
リング共振器R3では、トータル光周回時間は、2次及び3次の反射ピークの抑制量ΔR、ΔRを最大にするように決定される。ただし、利得領域10のゲインの波長依存性を考慮して、3次の反射ピークの抑制量ΔRは、2次の反射ピークの抑制量ΔRよりも大きくなるように維持される。言い換えれば、3次の反射ピークは、2次の反射ピークよりも低くなるように維持される。長さが9.5μmである4つの直線部分760を半円部分とリング結合器650との間に挿入することにより、リング共振器R3のトータル光周回時間は、3.1psにまで増大される。3.1psのトータル光周回時間は、波長を可変としたとき、シングルモード発振を最もよく安定させることが分かった。
実施例1と同様に、光合分波器610としては、光結合率が0.5である、幅が6μm、長さが39μmの1x2MMI結合器が使用される。屈曲導波路620は、240μmの半径の4分円の形状に形成され、屈曲導波路680は、220μmの半径の4分円の形状に形成された。
実施例2では、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fは、約25psであり、主反射ピークの半値全幅Δfが47GHzであった。この組み合わせは、図6によれば、10Gb/sの直接変調に好適な値であり、図6において星印2aで示されている。
連続波長可変動作を行わせたところ、実施例2の波長可変レーザは、波長1517nm〜1580nmに相当する、7.875THzの制御可能範囲を有していた。加えて、実施例2の波長可変レーザは、45dBを超えるSMSRと10dBを超える出力パワーを有していた。実施例1と同様に、チューナブル反射器190の帯域における波長の調整は、リング共振器のそれぞれに15mAに満たない調整電流を流すことによって実現できた。リング共振器R1、R2の間、及びリング共振器R2、R3の間には、8本の1μm幅の深溝670がエッチングにより、互いに3μm離れるように図7に示されたパターンで形成された(ただし、簡単のため、図3Aには、4本の深溝670しか図示されていない)。また、利得領域10とチューナブル反射器190間にも、8本の1μm幅の深溝670がエッチングにより、互いに3μm離れるように図7に示されたパターンで形成された(但し、簡単のため図3Aには2本の深溝670しか図示されていない)。結果として、リング共振器R1とR3は、16本の深溝670によって、利得領域とチューナブル反射器も16本の深溝670によって分離されている。この深溝670は、熱抵抗及び電気抵抗として機能し、熱的、電気的なクロストークを許容可能なレベルにまで低減させた。深溝670により、3つのリング共振器の安定的な制御が可能になった。
本実施例では、ワード数231−1のPRBSデータの10Gb/sの直接変調が、1517nm〜1580nmの波長制御範囲全体に渡って実現できた。このとき、アイパターンの消光比は、8.3dBを超えており、最小のSMSRは、34dBを超えていた。
屈曲導波路620、680の半径を、それぞれ50μm、30μmまで小さくすることで、チューナブル反射器190のトータル光周回時間Tg,fは約11psにまで低減可能であった。この状態は、図6では、星印2bによって図示されている。しかし、トータル光周回時間Tg,fを11psまで低減すると、チャープ量の増大を招き、主反射ピークの47GHzの半値全幅Δfと適合しなくなった。即ち、変調後の光信号の波形がひずみ、消光比が4dB未満にまで減少した。波長可変レーザの動作は、チューナブル反射器190の3つのリング共振器に供給される調整電流に対する依存性が強かった。ビットレートを約4.8Gb/sにまで低減すると、安定動作を回復し、波長可変領域全体に渡って、8.3dBを超える消光比を得ることができた。
本実施例では、チューナブル反射器190の3つのリング共振器は、ループ型構成として使用されているが、この構成には限定されない。その代わりに、3つのリング共振器は、反射型構成として使用されてもよい。ループ型構成では、光信号は、延べ3回しかリング共振器を通過しないのに対し、反射型構成では、光信号が延べ6回リング共振器を通過する。これは、2次、3次の反射ピークの低減を促進し、チューナブル反射器190の制御可能範囲を増大させることを可能にする。
シングルモード発振の安定性を向上させるためには、リング結合器650の少なくとも一つをアクティブMMI結合器とすることによってリング共振器における損失を補償し、これにより、リング共振器の共振の鋭さを向上させればよい。また、全ての実施形態において、反射領域40の一部分を活性層材料で形成すれば、光子密度の増大により、波長可変レーザの閾値電流を低減し、変調帯域を増大することができる。
図1は、本発明の一実施形態の直接変調波長可変レーザの構成を示すブロック図である。 図2は、チャープ量と、チューナブル反射器の主反射ピークの最小の半値全幅との関係を説明するグラフである。 図3Aは、ループ型構成のチューナブル反射器の構成を示す概念図である。 図3Bは、反射型構成のチューナブル反射器の構成を示す概念図である。 図4は、チューナブル反射器のリング共振器の詳細構成を示す概念図である。 図5Aは、計算によって求められた、チューナブル反射器の反射率スペクトルを示すグラフである。 図5Bは、図5Aの反射率スペクトルの主反射ピークの近傍範囲の拡大図である。 図6は、レーザの利得領域に対して2.5Gb/s、及び10Gb/sでの直接変調を行ったときにレーザ発振が安定するような、チューナブル反射器のトータル光周回時間Tg,fと主反射ピークの半値全幅Δfの範囲を示すグラフである。 図7は、ループ型構成を有する、3つのリング共振器を含んで構成されたチューナブル反射器の構成を示す概念図である。
符号の説明
100:直接変調波長可変レーザ
10:利得領域
11:コンタクト
20:位相制御領域
30:出射ファセット
40:反射領域
170、180:境界面
60:データパターン源
70:直流電流源
80:バイアス網
190:チューナブル反射器
420:矢印
430、440:破線矢印
R1、R2、R3:リング共振器
610:光合分波器
620:屈曲導波路
630:リング導波路
650:リング結合器
640:導波路
660:電極
670:深溝
679:入射光信号
680:屈曲導波路
681:時計回り信号成分
682:反時計回り信号成分
683:反時計回り光出力
684:時計回り光出力
685:時計回り光出力
686:反時計回り光出力
687:反射光信号
688、689:光出力
690:反射面
691:反射光信号
692:光出力
700:反射用導波路
710:入力導波路
720:放出ポート
750:出力導波路
810:実線
820:破線
510:太線
520:破線
530:実線
540、550:曲線
560、570、580、590:領域
592、594:破線
596、597、598、599:縦線
910、920:時計回り光出力
930、940:反時計回り光出力
1a、1b、2a、2b:星印

Claims (12)

  1. 直接変調される利得領域と、
    前記利得領域にモノリシックに集積化され、前記利得領域と共にレーザ共振器をなし、且つ、反射率の波長依存性が制御可能な反射器
    とを具備し、
    前記反射器が、複数のリング共振器を備え、
    前記反射器の主反射ピークの半値全幅Δfが10GHz以上、90GHz以下であり、
    前記複数のリング共振器の隣接する2つのリング共振器の間、及び前記利得領域と前記複数のリング共振器の間に溝が設けられた
    直接変調波長可変レーザ。
  2. 請求項1の直接変調波長可変レーザであって、
    前記反射器を伝搬する光が通過する前記リング共振器の数が3以上であることを特徴とする
    直接変調波長可変レーザ。
  3. 請求項1乃至2のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記複数のリング共振器それぞれのFSRが400GHz以下であることを特徴とする
    直接変調波長可変レーザ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、前記反射器のトータル光周回時間が190ps以下であることを特徴とする
    直接変調波長可変レーザ。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記反射器のトータル光周回時間が40ps以下である
    直接変調波長可変レーザ。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記反射器のトータル光周回時間をTg,f(ps)とし、前記反射器の前記主反射ピークの半値全幅をΔf(GHz)としたとき、下記式:
    Δf>−17.5log10(Tg,f)+38
    が成立する
    直接変調波長可変レーザ。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記反射器のトータル光周回時間をTg,f(ps)とし、前記反射器の前記主反射ピークの半値全幅をΔf(GHz)としたとき、下記式:
    Δf>−66.7log10(Tg,f)+137
    が成立する
    直接変調波長可変レーザ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記リング共振器は、ループ構造に配置され、前記リング共振器へ光を導くリング結合器が、MMI(multi-mode interference)結合器である
    直接変調波長可変レーザ。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記リング共振器は、ループ構造に配置され、前記レーザ共振器内の光合分波器のうちの少なくとも一つは、アクティブMMI結合器である
    直接変調波長可変レーザ。
  10. 請求項9の直接変調波長可変レーザであって、
    前記アクティブMMI結合器は、当該直接変調波長可変レーザの利得領域として機能する
    直接変調波長可変レーザ。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記反射器は、複数のリング共振器を備え、前記複数のリング共振器のトータル光周回時間は、前記反射器の3次反射ピークが、2次反射ピークよりも小さくなるように制御されている
    直接変調波長可変レーザ。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の直接変調波長可変レーザであって、
    前記反射器の少なくとも一部分は、利得領域として機能する
    直接変調波長可変レーザ。
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