以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
−冷凍装置の構成−
本発明の実施形態1は、図1に示すように、冷蔵庫や冷却室の冷却運転を行う冷凍装置(1)であって、室外ユニット(2)と冷蔵ユニット(3)とコントローラ(90)とを備えている。
上記冷凍装置(1)においては、上記室外ユニット(2)に室外回路(20)が、上記冷蔵ユニット(3)に冷蔵庫内回路(30,30)が、それぞれ設けられている。また、上記冷凍装置(1)では、上記室外回路(20)のガス端側が、上記冷蔵庫内回路(30,30)のガス端側にガス側連絡配管(22)で接続され、上記室外回路(20)の液端側が、上記冷蔵庫内回路(30,30)の液端側に液側連絡配管(21)で接続されることにより、蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路(10)が構成されている。なお、本実施形態における冷媒は高圧冷媒のR410Aである。
<室外ユニット>
上記室外ユニット(2)の室外回路(20)は、3台の圧縮機(11a,11b,11c)と、室外熱交換器(13)と、レシーバー(14)と、冷媒熱交換器(50)と、第1膨張弁(45)と、第2膨張弁(46)と、第3膨張弁(47)と、を備えている。また、上記室外回路(20)には、四路切換弁(12)と、液側閉鎖弁(53)と、ガス側閉鎖弁(54)とが設けられている。ここで、該液側閉鎖弁(53)には上記液側連絡配管(21)の一端が、上記ガス側閉鎖弁(54)には上記ガス側連絡配管(22)の一端が、それぞれ接続されている。
上記3台の圧縮機(11a,11b,11c)は、冷媒回路(10)内において互いに並列接続されている。上記3台の圧縮機(11a,11b,11c)のそれぞれは、高圧ドーム型のスクロール圧縮機であり、第1圧縮機(11a)及び第2圧縮機(11b)は運転容量が固定された圧縮機である一方、上記第3圧縮機(11c)は、インバータを介して電力が供給されるように構成されていて、該インバータの出力周波数を変化させることにより、運転容量が可変になっている。上記冷凍装置(1)の運転時には、上記3台の圧縮機(11a,11b,11c)のうち、可変容量の第3圧縮機(11c)が優先的に駆動され、冷凍装置(1)の利用側の動作状況に応じて、第2圧縮機(11b)、第1圧縮機(11a)の順に順次駆動されるように構成されている。
上記第1〜第3の各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側には、各吸入分岐管(61a,61b,61c)を介して吸入主管(55)が接続されている。具体的に、上記吸入主管(55)は、一端が四路切換弁(12)に接続され、他端に主分岐部(92)を備えている。上記吸入主管(55)は、主分岐部(92)において、第1吸入分岐管(61a)の一端と吸入接続管(56)の一端とが分岐接続され、該第1吸入分岐管(61a)の他端が第1圧縮機(11a)の吸入側に接続されている。一方、上記吸入接続管(56)は、他端に副分岐部(94)を備え、該副分岐部(94)において、第2吸入分岐管(61b)の一端と第3吸入分岐管(61c)の一端とが分岐接続されている。そして、上記第2吸入分岐管(61b)の他端が上記第2圧縮機(11b)の吸入側に接続される一方、上記第3吸入分岐管(61c)の他端が上記第3圧縮機(11c)の吸入側に接続されている。
上記3台の圧縮機(11a,11b,11c)の吐出側には、吐出主管(64)が接続されている。具体的に、上記吐出主管(64)の一端は、上記四路切換弁(12)に接続される一方、他端は、第1吐出分岐管(64a)と第2吐出分岐管(64b)と第3吐出分岐管(64c)とに分岐されている。上記第1吐出分岐管(64a)は、第1圧縮機(11a)の吐出側に接続され、上記第2吐出分岐管(64b)は、第2圧縮機(11b)の吐出側に接続され、上記第3吐出分岐管(64c)は、第3圧縮機(11c)の吐出側に接続されている。各吐出分岐管(64a,64b,64c)には、上記各圧縮機(11a,11b,11c)から四路切換弁(12)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-1,CV-2,CV-3)が、それぞれ設けられている。
上記室外熱交換器(13)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、冷媒と室外空気との間で熱交換を行うものである。上記室外熱交換器(13)は、一端が四路切換弁(12)に接続され、他端が第1液管(81)を介してレシーバー(14)の頂部に接続されている。この第1液管(81)には、室外熱交換器(13)からレシーバー(14)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-4)と閉鎖弁(57)とが設けられている。一方、上記レシーバー(14)の底部には第2液管(82)の一端が接続されている。
上記冷媒熱交換器(50)は、プレート式熱交換器であって、冷媒と冷媒との間で熱交換を行うものであり、第1流路(50a)と第2流路(50b)とを備えている。上記冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)は、一端が上記第2液管(82)の他端に接続され、他端が第3液管(83)の一端に接続されている。該第3液管(83)の他端は、上記液側閉鎖弁(53)を介して上記液側連絡配管(21)の一端に接続されている。また、上記第3液管(83)には、第1流路(50a)の他端から液側閉鎖弁(53)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-5)が設けられている。上記第2液管(82)には、閉鎖弁(58)が設けられている。
上記第3液管(83)には、上記逆止弁(CV-5)と冷媒熱交換器(50)との間に第4液管(84)の一端が接続され、該第4液管(84)の他端は、上記冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)の一端に接続されている。また、上記第4液管(84)上には、上記第2膨張弁(46)と閉鎖弁(59)とが設けられている。この第2膨張弁(46)は、開度調整自在な電子膨張弁であり、上記第4液管(84)を流れる冷媒の流量を調整することで、過冷却の制御を行うように構成されている。
上記冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)の他端は、ガスインジェクション管(85)を介して上記吸入主管(55)の途中に接続されている。該ガスインジェクション管(85)は、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に、ガス冷媒をインジェクションするためのものである。
上記第3液管(83)において、上記逆止弁(CV-5)と液側閉鎖弁(53)との間には、第5液管(88)の一端が接続されている。この第5液管(88)の他端は、第1液管(81)において、上記逆止弁(CV-4)とレシーバー(14)との間に接続されている。また、上記第5液管(88)には、その一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-6)が設けられている。
上記第4液管(84)における一端と第2膨張弁(46)との間には、第6液管(89)の一端が接続され、該第6液管(89)の他端は、第1液管(81)における室外熱交換器(13)の他端と上記逆止弁(CV-4)との間に接続されている。この第6液管(89)には、開度調整自在な電子膨張弁で構成された第1膨張弁(45)が設けられている。
また、上記第1液管(81)における逆止弁(CV-4)と第5液管(88)の接続部との間には、連通管(78)の一端が接続され、該連通管(78)の他端は、吐出主管(64)に接続されている。上記連通管(78)には、レシーバー(14)から吐出主管(64)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-7)が設けられている。
上記四路切換弁(12)は、第1ポートが吐出主管(64)に、第2ポートが吸入主管(55)に、第3ポートが室外熱交換器(13)の一端に、第4ポートがガス側閉鎖弁(54)に、それぞれ接続されている。上記四路切換弁(12)は、第1のポートと第3のポートとが互いに連通して第2のポートと第4のポートとが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートとが互いに連通して第2のポートと第3ポートとが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能に構成されている。
さらに、上記室外回路(20)には、油分離器(70)が設けられている一方、3つの均油管(72,73,74)、液インジェクション回路(80)及び3つの油回収管(75,76,77)が設けられている。
上記油分離器(70)は、上記吐出主管(64)に設けられていて、各圧縮機(11a,11b,11c)の吐出冷媒から冷凍機油を分離するためのものである。該油分離器(70)は、油戻し管(71)を介して吸入主管(55)におけるガスインジェクション管(85)の接続部の下流側に接続されている。また、上記油戻し管(71)には、電磁弁(SV-1)が設けられ、該電磁弁(SV-1)を開くと、油分離器(70)で分離された冷凍機油が、吸入主管(55)に戻されるように構成されている。
上記3つの均油管(72,73,74)は、第1均油管(72)と第2均油管(73)と第3均油管(74)とから構成されている。第1均油管(72)は、一端が第1圧縮機(11a)のドームの所定の高さ位置に接続され、他端が吸入接続管(56)に接続され、電磁弁(SV-2)を備えている。また、第2均油管(73)は、一端が第2圧縮機(11b)のドームの所定の高さ位置に接続され、他端が第3吸入分岐管(61c)に接続され、電磁弁(SV-3)を備えている。また、上記第3均油管(74)は、一端が第3圧縮機(11c)のドームの所定の高さ位置に接続され、他端が上記油戻し管(71)に接続され、電磁弁(SV-4)を備えている。なお、第1均油管(72)は吸入主管(55)に接続してもよく、第2均油管(73)は第2吸入分岐管(61b)に接続してもよく、第3均油管(74)は第3吸入分岐管(61c)に直接接続してもよい。
上記液インジェクション回路(80)は、液インジェクション主管(86)と第1〜第4の4つの液インジェクション分岐管(86a,86b,86c,86d)とを備えている。上記液インジェクション主管(86)は、一端が上記第4液管(84)における一端と第6液管(89)との接続部との間に接続され、他端が第1液インジェクション分岐管(86a)の一端と第2液インジェクション分岐管(86b)の一端と第3液インジェクション分岐管(86c)とに分岐接続されている。また、上記液インジェクション主管(86)には、開度調整自在な電子膨張弁で構成された上記第3膨張弁(47)が設けられている。上記第1液インジェクション分岐管(86a)の途中には、第4液インジェクション分岐管(86d)の一端が接続されている。
上記第1〜第4の各液インジェクション分岐管(86a,86b,86c,86d)は、それぞれ、キャピラリーチューブ(87a,87b,87c,87d)を備えている。そして、上記第1〜第3インジェクション分岐管(86a,86b,86c)は、それぞれ、他端が上記第1〜第3の圧縮機(11a,11b,11c)の吸入分岐管(61a,61b,61c)に接続されている。これにより、第3液管(83)を流れる液冷媒が、第4液管(84)及び液インジェクション主管(86)を介して各液インジェクション分岐管(86a,86b,86c)を流れ、各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入分岐管(61a,61b,61c)に供給される。一方、上記第4液インジェクション分岐管(86d)は、第3均油管(74)における電磁弁(SV-4)と油戻し管(71)の接続部との間に接続されている。このように分岐前の吸入側の配管に液冷媒を供給するようにすれば、液冷媒は冷凍機油とともに第1圧縮機(11a)、第2圧縮機(11b)、第3圧縮機(11c)の順に偏流するため、該第3圧縮機(11c)が低出力のときでも第1及び第2圧縮機(11a,11b)によって液冷媒が引っ張られて該第3圧縮機(11c)の吐出温度だけが低下するのを防止できる。
上記3つの油回収管(75,76,77)は、第1油回収管(75)と第2油回収管(76)と第3油回収管(77)とから構成されている。上記第1油回収管(75)の一端は、上記第1圧縮機(11a)の第1吸入分岐管(61a)における第1液インジェクション分岐管(86a)の接続部と他端との間に接続されている。上記第2油回収管(76)の一端は、上記第2圧縮機(11b)の第2吸入分岐管(61b)における第2液インジェクション分岐管(86b)の接続部と他端との間に接続されている。上記第3油回収管(77)の一端は、上記第3圧縮機(11c)の第3吸入分岐管(61c)における第3液インジェクション分岐管(86c)の接続部と一端との間に接続されている。また、各油回収管(75,76,77)の他端は、互いに合流接続されている。
また、上記室外回路(20)には、各種のセンサや圧力スイッチ(95a,95b,95c,95d)が設けられている。具体的には、吸入圧力センサ(25)及び吸入温度センサ(24)が吸入主管(55)に設けられ、吐出圧力センサ(23)が吐出主管(64)に設けられ、吐出管温度検出手段としての各吐出温度センサ(19a,19b,19c)が各吐出分岐管(64a,64b,64c)に設けられている。また、第3液管(83)における冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)の接続部近傍には、温度センサ(51)が設けられている。また、上記ガス側閉鎖弁(54)と四路切換弁(12)との間の配管及び各吐出分岐管(64a,64b,64c)には、圧力スイッチ(95a,95b,95c,95d)が設けられている。
さらに、上記室外ユニット(2)には、外気温センサ(13a)と室外ファン(13f)とが設けられている。室外熱交換器(13)へは、この室外ファン(13f)によって室外空気が送られる。
<冷蔵ユニット>
上記図1に示すように、上記冷蔵ユニット(3)においては、冷蔵庫内回路(30,30)が並列に設けられていて、それぞれの回路が、冷蔵熱交換器(16,17)と、ドレンパンヒータ(26,27)と、冷蔵膨張弁(15a,15b)と、を備えている。
上記各冷蔵熱交換器(16,17)は、共に同じクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であって、冷媒と冷却室内の空気との間で熱交換を行うものである。上記各冷蔵熱交換器(16,17)は、一端が各冷蔵膨張弁(15a,15b)を介して各ドレンパンヒータ(26,27)の一端に接続され、他端が各ガス側分岐配管(22a,22b)の一端に接続されている。そして、各ガス側分岐配管(22a,22b)は、他端において互いに合流して上記ガス側連絡配管(22)の他端に接続されている。
上記各冷蔵膨張弁(15a,15b)は、開度調整可能な電子膨張弁で構成されている。上記各冷蔵熱交換器(16,17)には、冷媒の蒸発温度を測定するための第1冷媒温度センサ(16b,17b)が設けられる一方、該各冷蔵熱交換器(16,17)の他端には、第2冷媒温度センサ(18a,18b)がそれぞれ設けられている。上記冷蔵膨張弁(15a,15b)は、第2冷媒温度センサ(18a,18b)の測定温度が、第1冷媒温度センサ(16b,17b)で測定される冷媒の蒸発温度よりも所定温度(例えば5℃)高くなるように開度調整がなされるように構成されている。
上記ドレンパンヒータ(26,27)は、図示しない冷蔵熱交換器(16,17)のドレンパンに配置され、高温高圧の冷媒が流れて該ドレンパンを加温し、着霜や氷の生成を防止するものである。上記各ドレンパンヒータ(26,27)の他端は、各液側分岐配管(21a,21b)の一端にそれぞれ接続され、該各液側分岐配管(21a,21b)の他端は互いに合流して上記液側連絡配管(21)の他端に接続されている。
また、上記冷蔵ユニット(3)には、冷却室内温度センサ(16a,17a)と、冷却室内ファン(16f,17f)とが設けられている。上記各冷蔵熱交換器(16,17)へは、この冷却室内ファン(16f,17f)によって、冷却室内の空気が送られる。
<コントローラ>
上記コントローラ(90)は、上記冷媒回路(10)に設けられた各種の弁(SV-1,SV-2,SV-3,SV-4,45,46,47,15a,15b)の切換や開度調整を行うと共に、圧縮機(11a,11b,11c)及びファン(13f,16f,17f)を駆動させ、冷凍装置(1)の運転を制御するものである。
具体的には、後述するような冷凍装置(1)の運転動作を行うとともに、後述の図3及び図4に示すフローに基づいて圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側で湿り制御を行って出口ガス温度を制御するように構成されている。
−運転動作−
まず、本実施形態の冷凍装置(1)の運転動作について説明する。
上記冷凍装置(1)は、冷却室内を、例えば設定温度5℃とする冷却運転を行うように構成されている。
<冷却運転>
冷却運転では、図2に示すように、コントローラ(90)の制御により、室外回路(20)の四路切換弁(12)が第1状態に設定され、第1膨張弁(45)が全閉される。そして、この状態において、第1〜第3の各圧縮機(11a,11b,11c)が駆動され、冷蔵膨張弁(15a,15b)、第2膨張弁(46)及び第3膨張弁(47)が適宜開動調整され、冷媒が図2の実線矢印の方向に循環する一方、室外ファン(13f)及び各冷蔵ファン(16f,17f)が駆動する。また、上記コントローラ(90)により、油戻し管(71)の電磁弁(SV-1)が適宜開閉されると共に、各均油管(72,73,74)の電磁弁が、例えば、第1均油管(72)の電磁弁(SV-2)、第2均油管(73)の電磁弁(SV-3)、第3均油管(74)の電磁弁(SV-4)の順に開状態となるように制御される。
詳しくは、第1〜第3の各圧縮機(11a,11b,11c)から吐出した冷媒は、各吐出分岐管(64a,64b,64c)から吐出主管(64)へ流れ、四路切換弁(12)を通って室外熱交換器(13)へ送られる。この室外熱交換器(13)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮液化する。液化した冷媒は、第1液管(81)を流れ、レシーバー(14)を通過して第2液管(82)へ流入し、冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)に流入する。そして、第1流路(50a)を流れた液冷媒は、第3液管(83)を流れ、その一部が、図2の破線矢印(a,b)に示すように、第4液管(84)に流入する。
上記第4液管(84)に流入した冷媒の一部は、破線矢印(a)に示すように、第2膨張弁(46)を通って減圧され、上記冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)に流入して第1流路(50a)を流れる液冷媒と熱交換して蒸発し、第1流路(50a)を流れる液冷媒を所定の低温度に冷却する。そして、第1流路(50a)を流れる液冷媒は、第2流路(50b)を流れる分岐冷媒と熱交換して、例えば、15℃に冷却された後、第3液管(83)及び液側閉鎖弁(53)を介して液側連絡配管(21)を流れ、冷蔵庫内回路(30)に流入する。上記第2流路(50b)の分岐液冷媒は、蒸発し、ガスインジェクション管(85)を介して吸入主管(55)にインジェクションされる。
また、第4液管(84)を流れた冷媒の残りの一部は、破線矢印(b)に示すように、液インジェクション主管(86)を流れ、開度調整された第3膨張弁(47)を通って、各液インジェクション分岐管(86a、86b、86c)に分流し、各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入分岐管(61a,61b,61c)に供給される。これにより、該各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の温度を低下させることができるため、該各圧縮機(11a,11b,11c)の吐出ガス温度を低減することができる。このような吸入側の湿り制御は、後述するように図3及び図4に示すフローに基づいて行われる。
上記冷蔵庫内回路(30)では、約15℃の液冷媒が、各液側分岐配管(21a,21b)に分流して各ドレンパンヒータ(26,27)を流れ、ドレンパンの着霜を防止すると共に、冷蔵熱交換器(16,17)からドレンパンに落下した霜を確実に融解する。ドレンパンヒータ(26,27)から流出した液冷媒は、各冷蔵膨張弁(15a,15b)を通過する際に減圧されて膨張し、各冷蔵熱交換器(16,17)へ導入される。該各冷蔵熱交換器(16,17)では、冷媒が冷却室内の空気から吸熱して、例えば−5℃程度の蒸発温度で蒸発する。これにより、冷蔵ユニット(3)においては、冷蔵熱交換器(16,17)で冷却された空気が冷却室内へ供給され、冷却室内の温度が設定温度の5℃に維持される。
上記各冷蔵熱交換器(16,17)で蒸発したガス冷媒は、各ガス側分岐配管(22a,22b)を流れた後、ガス側連絡配管(22)で合流する。その後、上記ガス冷媒は、ガス側連絡配管(22)を流れ、四路切換弁(12)を介して吸入主管(55)を流れる。吸入主管(55)を流れた冷媒は、第1吸入分岐管(61a)と吸入接続管(56)とに分流し、該第1吸入分岐管(61a)を流れた冷媒が、第1圧縮機(11a)に吸入されて圧縮される。一方、吸入接続管(56)を流れた冷媒は、第2吸入分岐管(61b)と第3吸入分岐管(61c)とに分流し、該第2吸入分岐管(61b)を流れた冷媒は、第2圧縮機(11b)に吸入されて圧縮され、該第3吸入分岐管(61c)を流れた冷媒は、第3圧縮機(11c)に吸入されて圧縮される。
<出口ガス温度制御>
次に、本発明の特徴部分である各圧縮機(11a,11b,11c)の出口側ガス温度制御について説明する。
この実施形態では、上述のように、上記各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に液インジェクション回路(80)を設け、該吸入側の冷媒に液インジェクションして湿らせることで、該各圧縮機(11a,11b,11c)の出口ガス温度を低減するようにしている。
ここで、上記各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に液インジェクションする場合、従来は、吸入温度センサ(24)によって検出される吸入側のスーパーヒート(過熱度)と高圧側の吐出圧力センサ(23)の出力とに基づいて各圧縮機(11a,11b,11c)の出口ガス温度を推測するとともに、圧縮機(11a,11b,11c)の吐出管の温度を検出する吐出温度センサ(19a,19b,19c)の出力からも出口ガス温度を推測し、これらの推測された出口ガス温度が所定温度以下になるように、上記第3膨張弁(47)の開度を制御するようにしている。
しかしながら、吸入側を液インジェクションによって湿らせると、吸入側スーパーヒート及び吐出圧力に基づいて出口ガス温度を正確に推測するのは困難となり、また、高圧ドーム型の圧縮機(11a,11b,11c)の場合、そのケーシングに吐出管が設けられていて該吐出管の温度は出口ガス温度に対してずれて変化するため、該吐出管温度に基づいて出口ガス温度を正確に推測するのは困難となる。
そこで、本発明では、図3に示すフローのように、吐出管温度の時間変化量に基づいて液インジェクション量を調整し、出口ガス温度を確実に低減するようにした。
以下で、図3に示す出口ガス温度制御のフローについて説明する。
まず、上記図3に示すフローがスタートすると、ステップS1で、従来同様、吸入温度センサ(24)の出力から得られる圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側のスーパーヒートと、吐出圧力センサ(23)の出力と、に基づいて出口ガス温度の予測値Tp1を求める。
次に、ステップS2で、吐出温度センサ(19a,19b,19c)によって検出される吐出管温度に、関数やテーブル等から求められる吐出管温度と出口ガス温度との予測温度差を加算して、出口ガス温度の予測値Tp2を求める。ここで、上記予測温度差は、圧縮機を流れる流量の関数になっているため、吸入圧力センサ(25)の出力値と圧縮機の回転数とに基づいて求めることができる。
続くステップS3で、上記吐出温度センサ(19a,19b,19c)によって検出された吐出管温度Tdが、所定値よりも小さいかどうかの判定を行う。この所定値とは、吸入側でスーパーヒートが行われているかどうかを判定するための閾値であり、この所定値よりも吐出管温度Tdが小さければ、吸入側のスーパーヒート制御が行われている可能性が高く、上記所定値よりも吐出管温度Tdが大きければ、吸入側の温度が十分に高く冷媒はガス化しているため、吸入側のスーパーヒート制御が行われていない可能性が高いと判断する。
具体的には、上記所定値は、吸入側でスーパーヒートが不要になるときの圧縮機のポート温度を約100℃とし、このポート温度から吐出管温度と出口ガス温度との予測温度差によって決まる補正Tdを減算した値である。この補正Tdは、上記予測温度差の関数によって定められるもので、低循環量になると大きくなるように設定される。これにより、低循環量になると、その分、吐出管温度と出口ガス温度との温度差が乖離して、例えば吐出管温度が低くても出口ガス温度が高い場合を考慮することができる。
上記ステップS3で、吐出管温度Tdが上記所定値以下であると判定された場合(YESの場合)には、続くステップS4に進んで、上記ステップS1、S2で求めた出口ガス温度の予測値Tp1,Tp2のうち高い方の温度を現在の出口ガス温度として、液インジェクション量の制御を行う。
具体的には、上記ステップS4では、上記ステップS1,S2で求めた出口ガス温度の予測値Tp1,Tp2のうち高い方の温度が目標Tp(=125℃)になるように、上記第3膨張弁(47)の開度を調整する。このときの、上記第3膨張弁(47)へのパルス指令値(Pls指令)は、Pls指令値=現在Pls+dPls(または-dPls)というように単位時間あたり所定の割合(dPls)で徐々に増減する。
そして、上記ステップS4で第3膨張弁(47)の開度を調整した後、このフローを終了し、スタートに戻って再度このフローを開始する(リターン)。
一方、上記ステップS3で、吐出管温度Tdが上記所定値よりも大きいと判定された場合(NOの場合)には、ステップS5に進んで、上記吸入温度センサ(24)の出力に基づいて、吸入側のスーパーヒートが所定の条件(所定値)を満たしているかどうかの判定を行う。すなわち、このステップS5では、スーパーヒートが5℃よりも小さい状態が10秒連続しているか、若しくはスーパーヒートが3℃よりも小さい状態が5秒連続しているか、のいずれかの条件を満たしていれば(YESの場合)、吸入側のスーパーヒートが不十分であって、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の冷媒が湿っている可能性もあるため、続くステップS6で後述する吐出管温度Tdの時間変化量に基づく制御を行う。その後、このフローを終了し、スタートに戻って再度このフローを開始する(リターン)。
上記ステップS5で、上述の条件よりも吸入側でスーパーヒートがついていると判定された場合(NOの場合)には、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の冷媒は湿っておらず乾いていて、上記吸入温度センサ(24)の出力から求めたスーパーヒートと吐出圧力センサ(23)の出力とに基づく出口ガス温度を或る程度、精度良く予測できるため、上記ステップS4に進んで、ステップS1、S2で求めた出口ガス温度の予測値Tp1,Tp2による出口ガス温度制御を行う。
次に、上記ステップS6で行われる吐出管温度Tdの時間変化に基づく制御を、図4のフローを用いて説明する。
上記ステップS6で吐出管温度Tdの時間変化に基づく制御がスタートすると、まず、ステップSA1で、現在の吐出管温度Tdと、20秒前の吐出管温度Td_4、15秒前の吐出管温度Td_3、10秒前の吐出管温度Td_2、5秒前の吐出管温度Td_1とのそれぞれの差が20℃、15℃、10℃、5℃(第1所定量)よりも大きいかどうかの判定を行う。すなわち、このステップSA1では、現在の吐出管温度Tdが過去の吐出管温度に比べて所定以上、高くなっているかどうかを判定している。
上記ステップSA1で、いずれか一つの条件でも満たしている場合(YESの場合)には、ステップSA2へ進んで上記第3膨張弁(47)の開度を決めるパルス指令値(Pls指令値)をPls指令値=Pls+dPls×αとし、上記図3のステップS4で行うパルスの増分よりも多くなるようにして上記第3膨張弁(47)の開度をできるだけ早く大きくする。すなわち、上記ステップSA1で上述の条件を満たしている場合には、吐出管温度Tdが急激に高くなっていることから、出口ガス温度が高温になっていると考えられ、上記第3膨張弁(47)の開度をできるだけ大きくして液インジェクション量を急激に増やすようにする。これにより、圧縮機の出口ガス温度を効果的に低減することができる。ここで、上記αは0よりも大きい値とし、定数であってもよいし、吐出管温度の時間変化量に応じて変化する変数であってもよい。
一方、上記ステップSA1で、いずれの条件も満たしていない場合(NOの場合)には、ステップSA3に進んで、吐出管温度Tdが上昇傾向にあるのかどうかを判定する。すなわち、このステップSA3では、上記ステップSA1と同様、現在の吐出管温度Tdと、過去の吐出管温度Td_4,Td_3,Td_2,Td_1との温度差が、それぞれ、0℃以上かどうかを判定する。
このステップSA3で、吐出管温度Tdの温度上昇が0℃以上であると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA4に進んで、上記第3膨張弁(47)の開度を決めるパルス指令値(Pls指令値)をPls指令値=Pls+dPlsとし、該第3膨張弁(47)の開度を徐々に大きくする。
上記ステップSA3で吐出温度Tdが低下傾向にあると判定された場合(NOの場合)には、ステップSA5に進んで、上記ステップSA1、SA3と同様、現在の吐出管温度Tdと、過去の吐出管温度Td_4,Td_3,Td_2,Td_1との温度差が、それぞれ、−20℃、−15℃、−10℃、−5℃(第2所定量)よりも小さいかどうかを判定する。
上記ステップSA5で上述の条件を満たしていると判定された場合(YESの場合)には、吐出管温度Tdが大きく低下しているため、圧縮機の出口ガス温度が低くなっていると判断し、続くステップSA6で上記第3膨張弁(47)の開度を決めるパルス指令値(Pls指令値)をPls指令値=Pls+dPls×(-β)とし、該第3膨張弁(47)の開度をできるだけ小さくして、液インジェクション量を減らす。これにより、出口ガス温度の低下に追従して該出口ガス温度の制御をより精度良く行うことができるとともに、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の冷媒を無駄に湿らせるのを防止できる。ここで、上記βは0よりも大きい値とし、定数であってもよいし、吐出管温度Tdの時間変化量に応じて変化する変数であってもよい。
一方、上記ステップSA5で上述の条件を満たしていないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSA7に進んで、上記第3膨張弁(47)の開度を決めるパルス指令値(Pls指令値)をPls指令値=Pls−dPlsとし、該第3膨張弁(47)の開度を徐々に小さくする。
そして、上述のようにパルス指令値(Pls指令値)を設定した後は、この図4のフローを終了して、図3のフローに戻り(リターン)、該図3のフローを再び開始する。
なお、上述のような制御を行うコントローラ(90)及び液インジェクション回路(80)が、本発明の出口ガス温度制御手段を構成する。
−実施形態1の効果−
以上より、この実施形態1によれば、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に液インジェクション回路(80)を設け、液インジェクション主管(86)に設けられた第3膨張弁(47)の開度の制御を該圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の湿り状態に応じて変えるようにしたため、該圧縮機(11a,11b,11c)の出口ガス温度が高くなりやすい高圧冷媒のR410Aを用いた場合でも、出口ガス温度を確実に低減することができる。
すなわち、上記圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側のスーパーヒートが所定条件を満たしておらず、該吸入側の冷媒が湿った状態である場合には、該圧縮機(11a,11b,11c)の吐出管温度Tdの時間変化量に基づいて出口ガス温度の状態を予測し、上記第3膨張弁(47)の開度を調整するようにした。一方、上記圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側のスーパーヒートが所定条件を満たしていて、該吸入側の冷媒が乾いた状態である場合には、従来と同様、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入温度から求められる吸入側のスーパーヒートと該圧縮機(11a,11b,11c)の吐出圧とから求めた出口ガス温度の予測値Tp1、吐出管温度Tpから求めた予測値Tp2のうち、高い方の温度を用いて上記第3膨張弁(47)の開度を調整するようにした。
これにより、圧縮機(11a,11b,11c)吸入側の冷媒が乾いていて、吸入側のスーパーヒート等から精度良く出口ガス温度を予測できる場合には、その予測値を用いる一方、該圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の冷媒が湿っていて吸入側のスーパーヒートから出口ガス温度を精度良く予測できない場合には、該圧縮機(11a,11b,11c)の吐出管温度の時間変化量を用いて出口ガス温度の変化の傾向を考慮することで、該圧縮機(11a,11b,11c)の状況に即してより精度良く出口ガス温度の制御を行うことができる。
しかも、上述のように、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側の冷媒が乾いている場合には、該圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側のスーパーヒートに基づいて求められた予測値Tp1と、吐出管温度Tdから求められた予測値Tp2とのうち、高い方の温度を出口ガス温度とすることで、より安全側で出口ガス温度の制御を行うことができる。
《実施形態2》
この実施形態2の冷凍装置(150)は、コンビニエンスストア等に設置され、冷蔵庫内や冷凍庫内の冷却を行うものである。図5に示すように、上記実施形態1とは、ブースタユニット(152)を備えていて二段圧縮が可能な構成である点が異なるだけなので、以下同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
−冷凍装置の構成−
上記図5に示すように、実施形態2の冷凍装置(150)は、室外ユニット(2)、冷蔵ショーケース(151)、ブースタユニット(152)及び各種弁や圧縮機などの制御を行うためのコントローラ(190)を備えている。上記室外ユニット(2)は、屋外に設置される一方、残りのユニット(151,152)は、何れもコンビニエンスストア等の店内に設置されている。
上記室外ユニット(2)には上記実施形態1と同じ室外回路(20)が、上記冷蔵ショーケース(151)には上記実施形態1の冷蔵ユニット(3)と同じ冷蔵庫内回路(30)が、ブースタユニット(152)にはブースタ回路(100)が、それぞれ設けられている。この冷凍装置(150)では、これらの回路(20,30,100)を配管で接続することによって、上記実施形態1と同様、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(160)が構成されている。
そして、上記冷蔵庫内回路(30)及びブースタ回路(100)は、上記室外回路(20)の液側連絡配管(21)に対して、冷蔵庫内回路(30)、ブースタ回路(100)の順に直列に接続されている。
具体的には、上記室外回路(20)の端部には液側閉鎖弁(53)及びガス側閉鎖弁(54)が、上記ブースタ回路(100)の端部には閉鎖弁(140)が、それぞれ設けられていて、該液側閉鎖弁(53)には、上記冷蔵庫内回路(30)に他端で接続された液側連絡配管(21)の一端が接続されている。一方、上記ガス側閉鎖弁(54)には、上記閉鎖弁(140)に他端で接続されたガス側連絡配管(22)の一端が接続されている。
なお、上記液側連絡配管(21)には、上記ブースタ回路(100)の液インジェクション主管(119)の一端が接続されている。
<ブースタユニット>
上記室外ユニット(2)及び冷蔵ショーケース(151)は、上記実施形態1における室外ユニット(2)及び冷蔵ユニット(3)と同じ構成なので詳しい説明は省略し、以下では、ブースタユニット(152)のブースタ回路(100)について詳細に説明する。
上記ブースタユニット(152)のブースタ回路(100)は、ブースタ連絡管(141)を介して上記冷蔵庫内回路(30)のガス側端と接続されている。このブースタ回路(100)には、固定容量の第4圧縮機(101a)及び第5圧縮機(101b)、可変容量の第6圧縮機(101c)、が互いに並列に設けられている。
上記圧縮機(101a,101b,101c)は、何れも全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機であり、冷媒回路(160)の低段側圧縮機を構成している。上記第6圧縮機(101c)には、インバータを介して電力が供給される。この第6圧縮機(101c)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することによって、その容量が変更可能となっている。一方、上記第4及び第5圧縮機(101a,101b)は、圧縮機モータが常に一定の回転速度で運転されるものであって、その容量が変更不能となっている。なお、冷凍装置(150)の運転時には、上記3台の圧縮機(101a,101b,101c)のうち、可変容量の第6圧縮機(101c)が優先的に運転され、該冷凍装置(150)の利用側の状況に応じて、上記第4圧縮機(101a)、第5圧縮機(101c)の順に運転するように構成されている。
上記圧縮機(101a,101b,101c)の吸入側は、各吸入管(111,112,113)の接続された低段側吸入管(110)を介して上記ブースタ連結管(141)に接続されている。具体的には、上記第6圧縮機(101c)の吸入側に一端が接続された第3吸入管(113)の他端、及び上記第4圧縮機(101a)の吸入側に一端が接続された第1吸入管(111)の他端が、それぞれ上記低段側吸入管(110)に接続されていて、該低段側吸入管(110)はその一端でブースタ連結管(141)に接続されている。また、上記第3吸入管(113)には、第5圧縮機(101b)の吸入側に一端が接続された第2吸入管(112)の他端が接続されている。
上記圧縮機(101a,101b,101c)の吐出側は、各吐出管(114,115,116)、低段側吐出管(117)及び吐出連絡管(130)を介して上記閉鎖弁(140)と接続されている。具体的には、上記第4圧縮機(101a)の吐出側には第1吐出管(114)の一端が、第5圧縮機(101b)の吐出側には第2吐出管(115)の一端が、第6圧縮機(101c)の吐出側には第3吐出管(116)の一端が、それぞれ接続されていて、これらの吐出管(114,115,116)の他端は、上記低段側吐出管(117)に接続されている。そして、上記各吐出管(114,115,116)には、上記各圧縮機(101a,101b,101c)から上記閉鎖弁(140)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-8,CV-9,CV-10)が、それぞれ設けられている。
上記ブースタ回路(100)には、2つの均油管(118a,118b)、液インジェクション回路(180)及び2つの油回収管(124a,124b)が設けられている。
上記2つの均油管(118a,118b)は、第1均油管(118a)と第2均油管(118b)とからなり、各圧縮機(101a,101b,101c)の均油手段を構成している。該第1均油管(118a)は、その一端が上記第5圧縮機(101b)のドームの所定の高さ位置に接続されている一方、他端が上記第3吸入管(113)における第2吸入管(112)との接続部よりも圧縮機(101c)側に接続されていて、管路上には電磁弁(SV-5)が設けられている。
上記第2均油管(118b)は、その一端が上記第4圧縮機(101a)のドームの所定の高さ位置に接続されている一方、他端が上記第3吸入管(113)における第2吸入管(112)の接続部よりも低段側吸入管(110)の接続部側に接続されていて、電磁弁(SV-6)が設けられている。
上記液インジェクション回路(180)は、液インジェクション主管(119)と第1〜第3の3つの液インジェクション分岐管(119a,119b,119c)とを備えている。上記液インジェクション主管(119)は、一端が上記液側連絡配管(21)に接続されていて、他端が上記各液インジェクション分岐管(119a,119b,119c)の一端とそれぞれ接続されている。また、上記液インジェクション主管(119)には、第4膨張弁(120)が設けられている。この第4膨張弁(120)は、開度調整自在な電子膨張弁で構成されている。さらに、上記液インジェクション主管(119)において、上記第4膨張弁(120)よりも上記液側連絡配管(21)の接続部側には、第5膨張弁(121)の設けられた連通管(122)の一端が接続されている。なお、この連通管(122)の他端は、上記吐出連絡管(130)に接続されている。
上記第1〜第3の各液インジェクション分岐管(119a,119b,119c)には、それぞれ、キャピラリーチューブ(123a,123b,123c)が設けられていて、該各液インジェクション分岐管(119a,119b,119c)の他端は上記各圧縮機(101a,101b,101c)の吸入管(111,112,113)に接続されている。これにより、上記液側連絡配管(21)を流れる液冷媒が、上記液インジェクション主管(119)を介して各液インジェクション分岐管(119a,119b,119c)内を流れ、各圧縮機(101a,101b,101c)の吸入管(111,112,113)に供給されるため、該各圧縮機(101a,101b,101c)の吐出ガス温度を低減することができる。
なお、本実施形態でも、上述の実施形態1と同様、上記各圧縮機(101a,101b,101c)の吸入側の冷媒が乾いている場合には、吸入側のスーパーヒートや吐出管温度Tdから求めた出口ガス温度Tp1,Tp2によって上記第4膨張弁(120)の開度を制御する一方、上記各圧縮機(101a,101b,101c)の吸入側の冷媒が湿っている場合には、上記吐出管温度Tdの時間変化量に基づいて上記第4膨張弁(120)の開度を制御する。ここで、上記吸入側のスーパーヒートは、冷蔵ユニット(3)の第2冷媒温度センサ(18a)の出力に基づいてコントローラ(190)で求めるため、該第2冷媒温度センサ(18a)及びコントローラ(190)が本発明の過熱度検出手段に対応する。
上記2つの油回収管(124a,124b)は、第1油回収管(124a)と第2油回収管(124b)とから構成されている。該第1油回収管(124a)の一端は、上記第6圧縮機(101c)の第3吸入管(113)における第1均油管(118a)の接続部と上記第2吸入管(112)の接続部との間に接続されている。一方、上記第1油回収管(124a)の他端は、上記4圧縮機(101a)の第1吸入管(111)に接続されている。
また、上記第2油回収管(124b)の一端は、上記第5圧縮機(101b)の第2吸入管(112)における第2液インジェクション分岐管(119b)の接続部と該第5圧縮機(101b)の吸入側との間に接続されている。一方、上記第2油回収管(124b)の他端は、上記第1油回収管(124a)に接続されている。
また、上記ブースタ回路(100)には、油排出管(125)、第1バイパス管(126)、バイパス通路としての第2バイパス管(127)及び低段側油分離器(128)が設けられている。
上記油排出管(125)は、一端が上記第6圧縮機(101c)の油排出口(図示省略)に接続され、他端が上記吐出連絡管(130)に接続されている。この油排出管(125)には、電磁弁(SV-7)が設けられている。この電磁弁(SV-7)は、上記第6圧縮機(101c)内の冷凍機油が過剰となる場合に開状態となる。その結果、冷凍機油は上記油排出管(125)を介して室外回路(20)側へ流れ込み、高段側の上記圧縮機(11a,11b,11c)に吸入される。なお、上記油排出管(125)において上記電磁弁(SV-7)よりも吐出連絡管(130)の接続部側には、上記第6圧縮機(101c)から吐出連絡管(130)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-11)が設けられている。
上記低段側油分離器(128)は、低段側吐出管(117)の他端に設けられていて、各圧縮機(101a,101b,101c)の吐出冷媒から冷凍機油を分離するように構成されている。この低段側油分離器(128)には、油戻し管(129)と、上記低段側吐出管(117)と、上記吐出連絡管(130)と、が接続されている。
上記油戻し管(129)は、その一端が上記低段側油分離器(128)の油回収容器の底部に接続されている一方、他端は上記低段側吸入管(110)に接続されている。また、この油戻し管(129)には、開閉自在な電磁弁(SV-8)が設けられていて、該電磁弁(SV-8)を開くと、上記低段側油分離器(128)で分離された冷凍機油が、上記低段側吸入管(110)内へ戻るように構成されている。
上記低段側吐出管(117)は、低段側油分離器(128)の油回収容器の周壁に接続されていている。上記吐出連絡管(130)は、低段側油分離器(128)の油回収容器の頂部に接続されている。
上記第1バイパス管(126)は、一端が上記低段側吸入管(110)に接続され、他端が上記低段側油分離器(128)の油戻し管(129)に接続されている。この第1バイパス管(126)には、電磁弁(SV-9)が設けられている。
上記第2バイパス管(127)は、一端が上記低段側吸入管(110)に接続され、他端が上記吐出連絡管(130)に接続されている。すなわち、この第2バイパス管(127)は、上記低段側の圧縮機(101a,101b,101c)及び低段側油分離器(128)をバイパスするように設けられている。また、この第2バイパス管(127)には、上記低段側吸入管(110)から吐出連絡管(130)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-12)が設けられている。
また、上記ブースタ回路(100)には、各種のセンサや圧力スイッチも設けられている。具体的には、上記低段側吸入管(110)には吸入圧力センサ(131)が設けられている。上記第1吐出管(114)、第2吐出管(115)及び第3吐出管(116)には、それぞれ、圧力スイッチ(95e,95f,95g)及び吐出管温度検出手段としての吐出温度センサ(19d,19e,19f)が設けられている。上記低段側吐出管(117)には、吐出圧力センサ(133)が設けられている。上記吐出連絡管(130)の閉鎖弁(140)近傍には、温度センサ(132)が設けられている。
−運転動作−
以下に、実施形態2の冷凍装置(10)の運転動作を二段圧縮動作の例で説明する。なお、該冷凍装置(10)の運転動作として、これ以外にも単段圧縮動作やデフロスト運転などがあるが、単段圧縮動作の場合には、高段側の圧縮機(11a,11b,11c)のみが動作し、該圧縮機(11a,11b,11c)の出口ガス温度制御は上記実施形態1と同様なので、上記二段圧縮動作についてのみ説明する。
<冷却運転>
この冷凍装置(10)の冷却運転では、冷蔵ショーケース(151)の庫内の冷却が行われる。
図6に示すように、冷却運転時の室外回路(20)では、四路切換弁(12)が第1状態に設定される。また、第1膨張弁(45)が全閉状態となる一方、第2膨張弁(46)の開度が適宜調節される。さらに、電磁弁(SV-1)が閉の状態に設定される。
冷蔵庫内回路(30)では、冷蔵膨張弁(15a)の開度が適宜調節される。ブースタ回路(100)では、電磁弁(SV-7,SV-8,SV-9)が閉の状態に設定される。
冷却運転では、室外回路(20)の各圧縮機(11a,11b,11c)及びブースタ回路(100)の各圧縮機(101a,101b,101c)がそれぞれ運転される。その結果、冷媒回路(160)では、室外熱交換器(13)が凝縮器となり、冷蔵熱交換器(16)が蒸発器となって、2段圧縮冷凍サイクルが行われる。
上記室外回路(20)において各圧縮機(11a,11b,11c)から吐出された冷媒は、吐出主管(64)から四路切換弁(12)を通過して室外熱交換器(13)を流れる。この室外熱交換器(13)では、冷媒に室外空気の熱が付与され、冷媒が凝縮する。
上記室外熱交換器(13)で凝縮された冷媒は、第1液管(81)、レシーバ(14)、第2液管(82)及び冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)を通過し、第3液管(83)へ流入する。該第3液管(83)を流れる冷媒は、一部が第4液管(84)へ分配され、残りが液側連絡配管(21)へ流入する。
上記第4液管(84)を流れる冷媒は、第2膨張弁(46)を通過して減圧されてから、冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)を流通する。この冷媒熱交換器(50)では、上記第1流路(50a)を流れる高圧冷媒と、第2流路(50b)を流れる低圧冷媒とが熱交換する。その結果、第1流路(50a)を流れる冷媒の熱が、第2流路(50b)を流れる冷媒の蒸発熱として奪われる。つまり、冷媒熱交換器(50)では、第1流路(50a)を流れる冷媒が過冷却される。冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)で蒸発した冷媒は、ガスインジェクション管(85)を介して吸入主管(55)へ流入する。
一方、上記第4液管(84)から分岐して液インジェクション主管(86)を流れた冷媒は、第3膨張弁(47)を通過して減圧された後、各液インジェクション分岐管(86a,86b,86c,86d)に分岐してキャピラリーチューブ(87a,87b,87c,87d)を通過し、各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側に供給される。
上記液側連絡配管(21)へ流入した冷媒は、冷蔵庫内回路(30)及びブースタユニット(152)の液インジェクション主管(119)に分配される。なお、この液インジェクション主管(119)に分配された冷媒は、第4膨張弁(120)を通過して減圧された後、キャピラリーチューブ(123a,123b,123c)を通過し、圧縮機(101a,101b,101c)の吸入側に供給される。
上記第3膨張弁(47)及び第4膨張弁(120)の制御は、上記実施形態1における第3膨張弁(47)の制御と同様なので、詳しい説明については省略するが、このように上記第3膨張弁(47)及び第4膨張弁(120)を上記実施形態1における第3膨張弁(47)と同様に制御することで、圧縮機(11a,11b,11c,101a,101b,101c)の出口ガス温度を確実に下げることができ、これにより、冷凍装置でもR410Aなどの高圧冷媒の使用が可能になる。なお、上述の第3膨張弁(47)及び第4膨張弁(120)の制御を行うコントローラ(190)と、圧縮機(11a,11b,11c,101a,101b,101c)の吸入側の冷媒に対して液インジェクションを行う液インジェクション回路(80,180)が、本発明の出口ガス温度制御手段を構成する。
上記冷蔵庫内回路(30)では、液冷媒がドレンパンヒータ(26)を流れ、ドレンパンの着霜を防止すると共に、冷蔵熱交換器(16)からドレンパンに落下した霜を確実に融解する。上記ドレンパンヒータ(26)から流出した液冷媒は、冷蔵膨張弁(15a)を通過する際に減圧されて膨張し、冷蔵熱交換器(16)へ導入される。該冷蔵熱交換器(16)では、冷媒が冷却室内の空気から吸熱して蒸発する。これにより、冷蔵ショーケース(151)においては、冷蔵熱交換器(16)で冷却された空気が冷却室内へ供給される。
上記冷蔵熱交換器(16)で蒸発したガス冷媒は、ブースタ連結管(141)を介してブースタユニット(152)へ流れる。
詳しくは、上記ブースタ連結管(141)を流れるガス冷媒は、低段側吸入管(110)、第1〜第3吸入管(111,112,113)を介して低段側の圧縮機(101a,101b,101c)へ流入する。この際、第1及び第2均油管(118a,118b)の閉鎖弁(SV-5,SV-6)は適宜、開閉制御される。
上記低段側の各圧縮機(101a,101b,101c)で圧縮されて吐出された冷媒は、第1〜第3吐出管(114,115,116)を介して低段側吐出管(117)に流れ込み、低段側油分離器(128)内でガス冷媒と冷凍機油とに分離される。そして、ガス冷媒は、吐出連絡管(130)内を流れて、ガス側連絡配管(22)によって、室外ユニット(2)内へ戻る。その後は、四路切換弁(12)、吸入主管(55)を介して高段側の各圧縮機(11a,11b,11c)内へ吸い込まれる。
ここで、上記低段側油分離器(128)内で分離された冷凍機油は、回収容器内に溜められた後、所定のタイミングで油戻し管(129)上の電磁弁(SV-8)を開状態にすることで、該油戻し管(129)内を流れて低段側吸入管(110)に戻される。これにより、該低段側吸入管(110)内の冷媒と冷凍機油とが混合した状態で流れ、該冷凍機油は低段側の各圧縮機(101a,101b,101c)内に戻される。なお、各圧縮機(101a,101b,101c)内の冷凍機油量の調整は、均油手段としての均油管(118a,118b)や、第1排油管(125)、該第1排油管(125)に設けられた電磁弁(SV-7)によって行われる。
−実施形態2の効果−
以上より、この実施形態2によれば、圧縮機(11a,11b,11c,101a,101b,101c)の吸入側に液インジェクション回路(80,180)を設け、上記実施形態1と同様、液インジェクション主管(86,119)に設けられた膨張弁(47,120)の開度の制御を該圧縮機(11a,11b,11c,101a,101b,101c)の吸入側の湿り状態に応じて変えるようにしたため、該圧縮機(11a,11b,11c,101a,101b,101c)の出口ガス温度が高くなりやすい高圧冷媒のR410Aを冷凍二段システムに用いた場合でも、出口ガス温度を確実に低減することができる。
《実施形態3》
この実施形態3の冷凍装置(201)は、図7に示すように、単段の圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室に冷媒をインジェクションするものであり、これにより、いわゆるエコノマイザシステムを構成している。上記実施形態1とは室外ユニットの構成が異なるだけなので、以下同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
−冷凍装置の構成−
上記図7は、この実施形態に係る冷凍装置(201)の冷媒回路図である。この冷凍装置(201)は、室外回路(211)を有する1台の室外ユニット(210)と、上記実施形態1と同じ構成の2つの冷蔵庫内回路(30,30)を有する冷蔵ユニット(3)とを備えている。
この冷凍装置(201)では、室外回路(211)に対して各冷蔵庫内回路(30)を液側連絡配管(21)及びガス側連絡配管(22)で並列に接続することによって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(204)が構成されている。
<室外ユニット>
室外ユニット(210)の室外回路(211)には、上述の実施形態1の室外回路(20)と同様、3台の圧縮機(11a,11b,11c)、室外熱交換器(13)、レシーバ(14)、冷媒熱交換器(50)、第1膨張弁(45)、第2膨張弁(46)、四路切換弁(12)、油分離器(70)及び液インジェクション回路(280)が設けられている。
上記3台の圧縮機(11a,11b,11c)は、実施形態1と同様、2台の固定容量圧縮機(11a,11b)と1台の可変容量圧縮機(11c)とによって構成され、何れも、全密閉の高圧ドーム型で、例えばスクロール流体機械で構成された圧縮機構を有するスクロール圧縮機である。
上記各圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側には、各吸入分岐管(61a,61b,61c)を介して吸入主管(55)が接続されている一方、吐出側には、各吐出分岐管(64a,64b,64c)を介して吐出主管(64)が接続されている。
具体的には、上記吸入主管(55)は、一端が四路切換弁(12)に接続される一方、他端で上記各吸入分岐管(61a,61b,61c)に接続されている。また、上記吐出主管(64)の一端は、上記四路切換弁(12)に接続される一方、他端は、第1吐出分岐管(64a)と第2吐出分岐管(64b)と第3吐出分岐管(64c)とに分岐されている。そして、各吐出分岐管(64a,64b,64c)には、上記各圧縮機(11a,11b,11c)から四路切換弁(12)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-1,CV-2,CV-3)が、それぞれ設けられている。
上記吐出主管(64)には、各圧縮機(11a,11b,11c)の吐出冷媒から冷凍機油を分離するための油分離器(70)が設けられている。この油分離器(70)には油戻し通路である油戻し管(271)の一端が接続されている。この油戻し管(271)は、他端が第1油戻し管(271a)と第2油戻し管(271b)と第3油戻し管(271c)とに分岐している。
上記各油戻し管(271a,271b,271c)は、各圧縮機(11a,11b,11c)の圧縮機構における中間圧の圧縮室に接続されている。また、上記各油戻し管(271a,271b,271c)には、電磁弁(SV-10,SV-11,SV-12)がそれぞれ設けられている。この実施形態では、上記油分離器(70)からの冷凍機油は、吸入側ではなく中間圧の圧縮室へ戻されるので、低圧冷媒によって冷却されて粘度が上昇するようなことはない。
上記冷媒熱交換器(50)の高圧側流路(50a)の流入端は、第2液管(82)を介してレシーバ(14)の底部に接続されている一方、流出端は、第3液管(283)を介して液側閉鎖弁(53)に接続されている。この第3液管(283)には、液側連絡配管(21)へ向かう冷媒の流れのみを許容する逆止弁(CV-5)が設けられている。
一方、上記冷媒熱交換器(50)の低圧側流路(50b)の流入端には、上記逆止弁(CV-5)の上流側で第3液管(283)から分岐した第4液管(284)が接続されている。この第4液管(284)には、第2膨張弁(46)が設けられている。この第2膨張弁(46)は、開度を調節可能な電子膨張弁により構成されている。また、上記低圧側流路(50b)の流出端には、各圧縮機(11a,11b,11c)の圧縮機構へ液冷媒を注入するための液インジェクション通路である液インジェクション管(230)の一端が接続されている。
上記液インジェクション回路(280)は、上記液インジェクション管(230)と、該液インジェクション管(230)の他端で分岐した第1液インジェクション管(230a)、第2液インジェクション管(230b)及び第3液インジェクション管(230c)とを備えている。各液インジェクション管(230a,230b,230c)は、上記各油戻し管(271a,271b,271c)において電磁弁(SV-10,SV-11,SV-12)と圧縮機(11a,11b,11c)との間に接続されている。また、上記各液インジェクション管(230a,230b,230c)には、電磁弁(SV-13,SV-14,SV-15)がそれぞれ設けられている。
上記レシーバ(14)の頂部には、ガス抜き配管(227)の一端が接続されている。このガス抜き配管(227)には、逆止弁(CV-13)が設けられ、他端が第3吐出管(64c)に接続されている。この逆止弁(CV-13)は、上記レシーバ(14)から第3吐出管(64c)への冷媒の流れのみを許容するように設けられている。
上記第1液管(81)と第3液管(283)との間には、レシーバ(14)及び冷媒熱交換器(50)をバイパスする液管(289)が接続されている。この液管(289)は、第1液管(81)においては室外熱交換器(13)と逆止弁(CV-4)との間に接続され、第3液管(283)においては冷媒熱交換器(50)と第4液管(284)の接続部との間に接続されている。この液管(289)には、第1膨張弁(45)が設けられている。この第1膨張弁(45)は、開度が調節可能な電子膨張弁であって、熱源側膨張弁を構成している。
上記第4液管(284)と液インジェクション管(230)との間には、冷媒熱交換器(50)をバイパスするバイパス管(231)が接続されている。このバイパス管(231)は、上記第4液管(284)においては第2膨張弁(46)の下流側に接続され、上記液インジェクション管(230)においては各圧縮機(11a,11b,11c)への分岐点の上流側に接続されている。また、上記バイパス管(231)には、電磁弁(SV-16)が設けられている。
なお、本実施形態における冷凍装置(201)も、上述の実施形態1、2と同様、コントローラ(290)によって制御されている。すなわち、上記冷媒回路(204)に設けられた各種の弁(SV-10〜SV-16,45,46,15a,15b)の切換や開度調整を行うと共に、圧縮機(11a,11b,11c)及びファン(13f,16f,17f)を駆動させ、冷凍装置(201)の運転を制御するものである。
具体的には、後述するような冷凍装置(201)の運転動作を行うとともに、圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側で湿り制御を行って出口ガス温度を制御するように構成されている。
−運転動作−
以下に、本実施形態の冷凍装置(201)の運転動作について説明する。
<冷却運転>
冷却運転時には、四路切換弁(12)が図8に示す第1状態に設定される。また、第2膨張弁(46)の開度が適宜調節される一方、第1膨張弁(45)が全閉状態となる。冷蔵庫内回路(30)では、冷蔵膨張弁(15a,15b)の開度が適宜調節される。各電磁弁(SV-10〜SV-16)は、運転状態に応じて開閉される。そして、この状態で圧縮機(11a,11b,11c)を運転すると、冷媒回路(204)では室外熱交換器(13)が凝縮器となって各冷蔵熱交換器(16,17)が蒸発器となる蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(204)では、図8に太線で示すように冷媒が流れる。
具体的には、上記圧縮機(11a,11b,11c)が運転されると、該圧縮機(11a,11b,11c)は低圧圧力のガス冷媒を吸入し、所定の圧力に圧縮して吐出する。上記圧縮機(11a,11b,11c)から吐出された高圧圧力のガス冷媒は、各吐出分岐管(64a,64b,64c)を経て吐出主管(64)の油分離器(70)に流入する。この油分離器(70)では、流入した冷媒から冷凍機油が分離され、油戻し管(271)を経て圧縮機(11a,11b,11c)の圧縮機構の中間圧の圧縮室へ戻される。
上記油分離器(70)から流出した冷媒は、四路切換弁(12)を経て室外熱交換器(13)へ流入し、室外の空気と熱交換して凝縮する。そして、凝縮した冷媒は、第1液管(81)を通ってレシーバ(14)に流入する。
上記レシーバ(14)から流出した冷媒は、第2液管(82)及び冷媒熱交換器(50)の第1流路(50a)を通過し、第3液管(283)へ流入する。この第3液管(283)では、冷媒の一部が第4液管(284)へ流入して第2膨張弁(46)で減圧される。残りの冷媒は、液側連絡配管(21)へ流入する。
上記第2膨張弁(46)で減圧された冷媒は、各圧縮機(11a,11b,11c)へのガスインジェクション又は液インジェクションに用いられる。バイパス管(231)の電磁弁(SV-16)が閉状態の場合は冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)に流れて液冷媒を過冷却した後、上記各圧縮機(11a,11b,11c)へガスインジェクションが行われ、開状態の場合は冷媒熱交換器(50)をバイパスして圧縮機(11a,11b,11c)の吐出冷媒の温度を下げるための液インジェクションが行われる。
具体的には、バイパス管(231)の電磁弁(SV-16)が閉状態の場合は、第2膨張弁(46)で減圧された冷媒が冷媒熱交換器(50)の第2流路(50b)を流通する。その際、冷媒熱交換器(50)では、第1流路(50a)を流れる高圧冷媒と第2流路(50b)を流れる低圧冷媒との間で熱交換が行われる。その結果、第1流路(50a)を流れる冷媒が過冷却される一方、第2流路(50b)を流れる冷媒が蒸発する。この第2流路(50b)で蒸発したガス冷媒は、上記図8中の矢印bで示すように、液インジェクション管(230)から各液インジェクション管(230a,230b,230c)を経て圧縮機(11a,11b,11c)の圧縮機構における中間圧の圧縮室へ流入する。
一方、電磁弁(SV-16)が開状態の場合は、第2膨張弁(46)で減圧された液冷媒(厳密には気液二相の冷媒)が、第2流路(50b)より圧力損失の少ないバイパス管(231)へ多く流れ込む。そして、上記図8中の矢印aで示すように、液インジェクション管(230)から各液インジェクション管(230a,230b,230c)を経て圧縮機(11a,11b,11c)の圧縮機構における中間圧の圧縮室へ流入する。なお、上記液インジェクション管(230)を流通して圧縮機(11)へ送られるガス冷媒又は液冷媒の量、すなわちインジェクション量は第2膨張弁(46)の開度によって調整される。上記圧縮機(11)へ送られる液冷媒の量の制御については後述する。
上記液側連絡配管(21)へ流入した冷媒は、各冷蔵庫内回路(30)に分配される。該冷蔵庫内回路(30)へ流入した冷媒は、ドレンパンヒータ(26,27)を流通する。このドレンパンヒータ(26,27)を流れる冷媒によって冷蔵熱交換器(16,17)の表面から落ちた霜や結露水が凍結して生成される氷塊が融解される。
上記ドレンパンヒータ(26,27)を流出した冷媒は、冷蔵膨張弁(15a,15b)を通過して減圧されてから、冷蔵熱交換器(16,17)へ流入する。この冷蔵熱交換器(16,17)では、流入した冷媒が庫内空気と熱交換して蒸発する。その結果、冷蔵倉庫の庫内空気が冷却される。
上記各冷蔵熱交換器(16,17)で蒸発した冷媒はガス側連絡配管(22)に流入して、室外回路(20)へ流入する。この室外回路(20)へ流入した冷媒は、四路切換弁(12)を経て吸入主管(55)へ流入し、各圧縮機(11a,11b,11c)に吸入される。
<出口ガス温度制御>
次に、本発明の特徴部分である各圧縮機(11a,11b,11c)の出口側ガス温度制御について説明する。
この実施形態では、上述のように、上記各圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室に冷媒を液インジェクションする液インジェクション回路(280)を設けて、該各圧縮機(11a,11b,11c)の出口ガス温度を低減するようにしている。
すなわち、この実施形態では、上記実施形態1とは異なり、圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室に液インジェクションを行うようにしたものであり、吸入側には液インジェクションを行わないため、図9に示すように吸入側のスーパーヒートの判定を行わない。
また、上述のように、圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室に液インジェクションを行うため、該液インジェクションを行っている場合には、吸入スーパーヒート及び吐出圧から出口ガス温度Tp1を推測することができない。そのため、この実施形態では、上記圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室に液インジェクションを行っていて且つ吐出管温度の時間変化量に基づく制御を行っていない場合には、吐出管温度Tdから推測される出口ガス温度Tp2を用いて制御を行うようにしている。
以下で、上記図9に示す出口ガス温度制御のフローについて説明する。
まず、上記図9に示すフローがスタートすると、上記実施形態1と同様、ステップS1’で吸入温度センサ(24)の出力から得られる圧縮機(11a,11b,11c)の吸入側のスーパーヒートと、吐出圧力センサ(23)の出力と、に基づいて出口ガス温度の予測値Tp1を求める。
続くステップS2’でも、上記実施形態1と同様、吐出温度センサ(19a,19b,19c)によって検出される吐出管温度に、関数やテーブル等から求められる吐出管温度と出口ガス温度との予測温度差を加算して、出口ガス温度の予測値Tp2を求める。ここで、上記予測温度差は、圧縮機を流れる流量の関数になっているため、吸入圧力センサ(25)の出力値と圧縮機の回転数とに基づいて求めることができる。
そして、ステップS3’でも、上記実施形態1と同様、上記吐出温度センサ(19a,19b,19c)によって検出された吐出管温度Tdが、所定値よりも小さいかどうかの判定を行う。しかしながら、この実施形態において、上記所定値は、吐出管温度Tdの時間変化量によって液インジェクション量を制御しないほど高温になっているかどうかを判定するための閾値であり、上記実施形態1のように吸入側でスーパーヒートが行われているかどうかを判定するための閾値ではない。すなわち、上記吐出管温度Tdが十分に低く、出口ガス温度も低いと推測される場合には、あまり精度良く液インジェクションを行う必要がない一方、上記吐出管温度Tdが高い場合には、出口ガス温度も高く、精度良く液インジェクションを行う必要があるため、吐出管温度Tdに応じて制御内容を切り換えられるようにしている。なお、上記所定値は、上記実施形態1と同様に定義される。
上記ステップS3’で、吐出管温度Tdが上記所定値よりも小さいと判定された場合(YESの場合)には、続くステップS4’に進んで、液インジェクション量を制御するための第2膨張弁(46)が閉になっているかどうかを判定する。例えば外気温度が低い場合などには上記第2膨張弁(46)は閉になるが、この場合には、圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室への液インジェクションが行われておらず、吸入側のスーパーヒートから出口ガス温度の推測が可能になるため、上記ステップS1’で求めたTp1を用いて制御を行うことができるからである。
上記ステップS4’で第2膨張弁(46)が閉になっている、すなわち上記圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室への液インジェクションが行われていないと判定された場合(YESの場合)には、ステップS5’で予測値Tp1を用いて制御を行う一方、上記第2膨張弁(46)が閉ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS6’へ進んで、上記ステップS2’で求めた予測値Tp2を用いて出口ガス温度の制御を行う。
なお、上記ステップS5’、S6’における制御は、上記第2膨張弁(46)の開度を調整するもので、その制御内容は、上記実施形態1における第3膨張弁(47)の制御と同様なので、詳しい説明は省略する。
一方、上記ステップS3’で吐出管温度Tdが上記所定値以上であると判定された場合(NOの場合)には、ステップS7’に進んで、上記実施形態1と同様、吐出管温度Tdの時間変化量に応じて出口ガス温度の制御を行う。このステップS7’における制御は、上記図4に示すフローに従って行われるもので、上記実施形態1と同様なので説明を省略する。
そして、上記ステップS5’、S6’、S7’で上記第2膨張弁(46)を制御した後は、このフローを終了し、スタートに戻って再度このフローを開始する(リターン)。
なお、上述のような制御を行うコントローラ(290)及び液インジェクション回路(280)が、本発明の出口ガス温度制御手段を構成する。
−実施形態3の効果−
以上より、この実施形態によれば、圧縮機(11a,11b,11c)の中間圧の圧縮室に液インジェクションを行う回路において、該圧縮機(11a,11b,11c)の吐出管の温度が所定値よりも高い場合には、該吐出管温度の時間変化量に基づいて上記液インジェクション量を調整するようにしたため、上記圧縮機(11a,11b,11c)の出口ガス温度をより正確に制御することができ、該出口ガス温度を確実に所定温度以下にすることができる。
すなわち、上記圧縮機(11a,11b,11c)の吐出管温度が所定値以上であれば、吐出管温度の時間変化量に基づいて精度良く制御を行う一方、吐出管温度が所定値よりも小さければ、従来の予測方法を用いることで、簡単且つ容易に圧縮機(11a,11b,11c)の出口ガス温度を制御することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態では、冷媒として高圧冷媒のR410Aを用いているが、この限りではなく、CO2を冷媒として用いるようにしてもよい。