以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態》
本実施形態の冷凍システムは、コンビニエンスストア等に設置されて、店内の空気調和とショーケース内の冷却とを行うものである。この冷凍システムは、本発明に係る過冷却装置としての過冷却ユニット(200)と、この過冷却ユニット(200)が取り付けられた冷凍装置(10)とにより構成されている。
図1に示すように、上記冷凍システムには、室外ユニット(11)と、空調ユニット(12)と、冷蔵ショーケース(13)と、冷凍ショーケース(14)と、ブースタユニット(15)と、過冷却ユニット(200)とが設けられている。そして、上記室外ユニット(11)、空調ユニット(12)、冷蔵ショーケース(13)、冷凍ショーケース(14)およびブースタユニット(15)が冷凍装置(10)を構成している。この冷凍システムでは、室外ユニット(11)と過冷却ユニット(200)とが屋外に設置され、残りの空調ユニット(12)等がコンビニエンスストア等の店内に設置される。
上記室外ユニット(11)には室外回路(40)が、空調ユニット(12)には空調回路(100)が、冷蔵ショーケース(13)には冷蔵回路(110)が、冷凍ショーケース(14)には冷凍回路(130)が、ブースタユニット(15)にはブースタ回路(140)がそれぞれ設けられている。また、上記過冷却ユニット(200)には、冷媒通路(205)が設けられている。この冷凍システムでは、上述した回路(40,100,…)や過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)を配管で接続することによって冷媒回路(20)が構成されている。
また、上記冷媒回路(20)には、第1液側連絡配管(21)と、第2液側連絡配管(22)と、第1ガス側連絡配管(23)と、第2ガス側連絡配管(24)とが設けられている。
上記第1液側連絡配管(21)は、過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)の一端を室外回路(40)に接続している。上記第2液側連絡配管(22)の一端は、冷媒通路(205)の他端に接続している。上記第2液側連絡配管(22)の他端は、3つに分岐して空調回路(100)と冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに接続している。この第2液側連絡配管(22)のうち冷凍回路(130)に接続する分岐管には、液側閉鎖弁(25)が設けられている。
上記第1ガス側連絡配管(23)の一端は、2つに分岐して冷蔵回路(110)とブースタ回路(140)とに接続している。この第1ガス側連絡配管(23)のうちブースタ回路(140)に接続する分岐管には、ガス側閉鎖弁(26)が設けられている。上記第1ガス側連絡配管(23)の他端は、室外回路(40)に接続している。上記第2ガス側連絡配管(24)は、空調回路(100)を室外回路(40)に接続している。
〈室外ユニット〉
上記室外ユニット(11)は、冷凍装置(10)の熱源ユニットを構成している。この室外ユニット(11)の室外回路(40)には、可変容量圧縮機(41)と、第1固定容量圧縮機(42)と、第2固定容量圧縮機(43)と、室外熱交換器(44)と、レシーバ(45)と、室外膨張弁(46)とが設けられている。また、この室外回路(40)には、3つの吸入管(61,62,63)と、2つの吐出管(64,65)と、4つの液管(81,82,83,84)と、1つの高圧ガス管(66)とが設けられている。更に、この室外回路(40)には、3つの四路切換弁(51,52,53)と、1つの液側閉鎖弁(54)と、2つのガス側閉鎖弁(55,56)とが設けられている。
上記室外回路(40)において、液側閉鎖弁(54)には第1液側連絡配管(21)が、第1ガス側閉鎖弁(55)には第1ガス側連絡配管(23)が、第2ガス側閉鎖弁(56)には第2ガス側連絡配管(24)がそれぞれ接続されている。
上記可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)および第2固定容量圧縮機(43)は、何れも全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。上記可変容量圧縮機(41)には、インバータを介して電力が供給される。この可変容量圧縮機(41)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することにより、その容量が可変となっている。一方、上記第1,第2固定容量圧縮機(42,43)は、圧縮機モータが常に一定の回転速度で運転されるものであり、その容量が変更不能となっている。
上記第1吸入管(61)は、一端が第1ガス側閉鎖弁(55)に接続されている。この第1吸入管(61)は、他端側で第1分岐管(61a)と第2分岐管(61b)とに分岐されており、第1分岐管(61a)が可変容量圧縮機(41)の吸入側に、第2分岐管(61b)が第3四路切換弁(53)にそれぞれ接続されている。上記第1吸入管(61)の第2分岐管(61b)には、第1ガス側閉鎖弁(55)から第3四路切換弁(53)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-1)が設けられている。
上記第2吸入管(62)は、一端が第3四路切換弁(53)に、他端が第1固定容量圧縮機(42)の吸入側にそれぞれ接続されている。
上記第3吸入管(63)は、一端が第2四路切換弁(52)に接続されている。この第3吸入管(63)は、他端側で第1分岐管(63a)と第2分岐管(63b)とに分岐されており、第1分岐管(63a)が第2固定容量圧縮機(43)の吸入側に、第2分岐管(63b)が第3四路切換弁(53)にそれぞれ接続されている。上記第3吸入管(63)の第2分岐管(63b)には、第2四路切換弁(52)から第3四路切換弁(53)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-2)が設けられている。
上記第1吐出管(64)は、一端側で第1分岐管(64a)と第2分岐管(64b)とに分岐されており、第1分岐管(64a)が可変容量圧縮機(41)の吐出側に、第2分岐管(64b)が第1固定容量圧縮機(42)の吐出側にそれぞれ接続されている。この第1吐出管(64)の他端は、第1四路切換弁(51)に接続されている。この第1吐出管(64)の第2分岐管(64b)には、第1固定容量圧縮機(42)から第1四路切換弁(51)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-3)が設けられている。
上記第2吐出管(65)は、一端が第2固定容量圧縮機(43)の吸入側に、他端が第1吐出管(64)における第1四路切換弁(51)の直前にそれぞれ接続されている。この第2吐出管(65)には、第2固定容量圧縮機(43)から第1四路切換弁(51)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-4)が設けられている。
上記室外熱交換器(44)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この室外熱交換器(44)では、冷媒と室外空気の間で熱交換が行われる。この室外熱交換器(44)の一端は、閉鎖弁(57)を介して第1四路切換弁(51)に接続されている。一方、上記室外熱交換器(44)の他端は、第1液管(81)を介してレシーバ(45)の頂部に接続されている。この第1液管(81)には、室外熱交換器(44)からレシーバ(45)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-5)が設けられている。
上記レシーバ(45)の底部には、閉鎖弁(58)を介して第2液管(82)の一端が接続されている。この第2液管(82)の他端は、液側閉鎖弁(54)に接続されている。この第2液管(82)には、レシーバ(45)から液側閉鎖弁(54)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-6)が設けられている。
上記第2液管(82)における逆止弁(CV-6)と液側閉鎖弁(54)との間には、第3液管(83)の一端が接続されている。この第3液管(83)の他端は、第1液管(81)を介してレシーバ(45)の頂部に接続されている。また、この第3液管(83)には、一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-7)が設けられている。
上記第2液管(82)における閉鎖弁(58)と逆止弁(CV-6)との間には、第4液管(84)の一端が接続されている。この第4液管(84)の他端は、第1液管(81)における室外熱交換器(44)と逆止弁(CV-5)との間に接続されている。また、この第4液管(84)には、一端から他端へ向かって順に、逆止弁(CV-8)と室外膨張弁(46)とが設けられている。この逆止弁(CV-8)は、第4液管(84)の一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する。また、上記室外膨張弁(46)は、電子膨張弁により構成されている。
上記高圧ガス管(66)は、一端が第1吐出管(64)における第1四路切換弁(51)の直前に接続されている。この高圧ガス管(66)は、他端側で第1分岐管(66a)と第2分岐管(66b)とに分岐されており、第1分岐管(66a)が第1液管(81)における逆止弁(CV-5)の下流側に、第2分岐管(66b)が第3四路切換弁(53)にそれぞれ接続されている。上記高圧ガス管(66)の第1分岐管(66a)には、電磁弁(SV-7)と逆止弁(CV-9)とが設けられている。この逆止弁(CV-9)は、電磁弁(SV-7)の下流側に配置され、電磁弁(SV-7)から第1液管(81)へ向かう冷媒の流通だけを許容する。
上記第1四路切換弁(51)は、第1のポートが第1吐出管(64)の終端に、第2のポートが第2四路切換弁(52)に、第3のポートが室外熱交換器(44)に、第4のポートが第2ガス側閉鎖弁(56)にそれぞれ接続されている。この第1四路切換弁(51)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通し且つ第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通し且つ第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
上記第2四路切換弁(52)は、第1のポートが第2吐出管(65)における逆止弁(CV-4)の下流側に、第2のポートが第2吸入管(62)の始端に、第4のポートが第1四路切換弁(51)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、この第2四路切換弁(52)は、第3のポートが封止されている。この第2四路切換弁(52)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通し且つ第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通し且つ第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
上記第3四路切換弁(53)は、第1のポートが高圧ガス管(66)の第2分岐管(66b)の終端に、第2のポートが第2吸入管(62)の始端に、第3のポートが第1吸入管(61)の第2分岐管(61b)の終端に、第4のポートが第3吸入管(63)の第2分岐管(63b)の終端にそれぞれ接続されている。この第3四路切換弁(53)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通し且つ第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通し且つ第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
上記室外回路(40)には、インジェクション管(85)、連通管(87)、油分離器(75)および油戻し管(76)が更に設けられている。また、この室外回路(40)には、4つの均油管(71,72,73,74)も設けられている。
上記インジェクション管(85)は、いわゆる液インジェクションを行うためのものである。このインジェクション管(85)は、一端が第4液管(84)における逆止弁(CV-8)と室外膨張弁(46)との間に、他端が第1吸入管(61)にそれぞれ接続されている。このインジェクション管(85)には、一端から他端へ向かって順に、閉鎖弁(59)と流量調節弁(86)とが設けられている。この流量調節弁(86)は、電子膨張弁により構成されている。
上記連通管(87)は、一端がインジェクション管(85)における閉鎖弁(59)と流量調節弁(86)との間に、他端が高圧ガス管(66)の第1分岐管(66a)における電磁弁(SV-7)の上流側にそれぞれ接続されている。この連通管(87)には、一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-10)が設けられている。
上記油分離器(75)は、第1吐出管(64)のうち第2吐出管(65)および高圧ガス管(66)の接続位置よりも上流側に設けられている。この油分離器(75)は、圧縮機(41,42)の吐出ガスから冷凍機油を分離するためのものである。
上記油戻し管(76)は、一端が油分離器(75)に接続されている。この油戻し管(76)は、他端側で第1分岐管(76a)と第2分岐管(76b)とに分岐されており、第1分岐管(76a)がインジェクション管(85)における流量調節弁(86)の下流側に、第2分岐管(76b)が第2吸入管(62)にそれぞれ接続されている。また、上記油戻し管(76)の第1分岐管(76a)と第2分岐管(76b)とには、電磁弁(SV-5,SV-6)が1つずつ設けられている。上記第1分岐管(76a)の電磁弁(SV-5)を開くと、油分離器(75)で分離された冷凍機油がインジェクション管(85)を通じて第1吸入管(61)へ送り返される。一方、上記第2分岐管(76b)の電磁弁(SV-6)を開くと、油分離器(75)で分離された冷凍機油が第2吸入管(62)へ送り返される。
上記第1均油管(71)は、一端が可変容量圧縮機(41)に接続され、他端が第2吸入管(62)に接続されている。この第1均油管(71)には、電磁弁(SV-1)が設けられている。上記第2均油管(72)は、一端が第1固定容量圧縮機(42)に接続され、他端が第3吸入管(63)の第1分岐管(63a)に接続されている。この第2均油管(72)には、電磁弁(SV-2)が設けられている。上記第3均油管(73)は、一端が第2固定容量圧縮機(43)に接続され、他端が第1吸入管(61)の第1分岐管(61a)に接続されている。この第3均油管(73)には、電磁弁(SV-3)が設けられている。上記第4均油管(74)は、一端が第2均油管(72)における電磁弁(SV-2)の上流側に接続され、他端が第1吸入管(61)の第1分岐管(61a)に接続されている。この第4均油管(74)には、電磁弁(SV-4)が設けられている。上記各均油管(71〜74)の電磁弁(SV-1〜SV-4)を適宜開閉することにより、各圧縮機(41,42,43)における冷凍機油の貯留量が平均化される。
上記室外回路(40)には、各種のセンサや圧力スイッチが設けられている。具体的に、上記第1吸入管(61)には、第1吸入温度センサ(91)と第1吸入圧力センサ(92)とが設けられている。上記第2吸入管(62)には、第2吸入圧力センサ(93)が設けられている。上記第3吸入管(63)には、第3吸入温度センサ(94)と第3吸入圧力センサ(95)とが設けられている。上記第1吐出管(64)には、第1吐出温度センサ(97)と第1吐出圧力センサ(98)とが設けられている。上記第1吐出管(64)の各分岐管(64a,64b)には、高圧圧力スイッチ(96)が1つずつ設けられている。上記第2吐出管(65)には、第2吐出温度センサ(99)と高圧圧力スイッチ(96)とが設けられている。
また、上記室外ユニット(11)には、外気温センサ(90)と室外ファン(48)とが設けられている。上記室外熱交換器(44)へは、室外ファン(48)によって室外空気が送られる。
〈空調ユニット〉
上記空調ユニット(12)は、利用ユニットを構成している。この空調ユニット(12)の空調回路(100)は、液側端が第2液側連絡配管(22)、ガス側端が第2ガス側連絡配管(24)にそれぞれ接続されている。
上記空調回路(100)では、液側端からガス側端へ向かって順に、空調膨張弁(102)と空調熱交換器(101)とが設けられている。この空調熱交換器(101)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この空調熱交換器(101)では、冷媒と室内空気との間で熱交換が行われる。一方、上記空調膨張弁(102)は、電子膨張弁により構成されている。
上記空調ユニット(12)には、熱交換器温度センサ(103)と冷媒温度センサ(104)とが設けられている。この熱交換器温度センサ(103)は、空調熱交換器(101)の伝熱管に取り付けられている。上記冷媒温度センサ(104)は、空調回路(100)におけるガス側端の近傍に取り付けられている。また、上記空調ユニット(12)には、内気温センサ(106)と空調ファン(105)とが設けられている。上記空調熱交換器(101)へは、空調ファン(105)によって店内の室内空気が送られる。
〈冷蔵ショーケース〉
上記冷蔵ショーケース(13)は、利用ユニットを構成している。この冷蔵ショーケース(13)の冷蔵回路(110)は、液側端が第2液側連絡配管(22)に、ガス側端が第1ガス側連絡配管(23)にそれぞれ接続されている。
上記冷蔵回路(110)では、液側端からガス側端へ向かって順に、冷蔵電磁弁(114)と冷蔵膨張弁(112)と冷蔵熱交換器(111)とが設けられている。この冷蔵熱交換器(111)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この冷蔵熱交換器(111)では、冷媒と庫内空気との間で熱交換が行われる。上記冷蔵膨張弁(112)は、温度自動膨張弁により構成されている。この冷蔵膨張弁(112)の感温筒(113)は、冷蔵熱交換器(111)の出口側の配管に取り付けられている。
上記冷蔵ショーケース(13)には、冷蔵庫内温度センサ(116)と冷蔵庫内ファン(115)とが設けられている。上記冷蔵熱交換器(111)へは、冷蔵庫内ファン(115)によって冷蔵ショーケース(13)の庫内空気が送られる。
〈冷凍ショーケース〉
上記冷凍ショーケース(14)は、利用ユニットを構成している。この冷凍ショーケース(14)の冷凍回路(130)は、液側端が第2液側連絡配管(22)に接続されている。また、この冷凍回路(130)のガス側端は、配管を介してブースタユニット(15)に接続されている。
上記冷凍回路(130)では、液側端からガス側端へ向かって順に、冷凍電磁弁(134)と冷凍膨張弁(132)と冷凍熱交換器(131)とが設けられている。この冷凍熱交換器(131)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この冷凍熱交換器(131)では、冷媒と庫内空気との間で熱交換が行われる。上記冷凍膨張弁(132)は、温度自動膨張弁により構成されている。この冷凍膨張弁(132)の感温筒(133)は、冷凍熱交換器(131)の出口側の配管に取り付けられている。
上記冷凍ショーケース(14)には、冷凍庫内温度センサ(136)と冷凍庫内ファン(135)とが設けられている。上記冷凍熱交換器(131)へは、冷凍庫内ファン(135)によって冷凍ショーケース(14)の庫内空気が送られる。
〈ブースタユニット〉
上記ブースタユニット(15)のブースタ回路(140)には、ブースタ圧縮機(141)と、吸入管(143)と、吐出管(144)と、バイパス管(150)とが設けられている。
上記ブースタ圧縮機(141)は、全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。このブースタ圧縮機(141)には、インバータを介して電力が供給される。このブースタ圧縮機(141)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することによって、その容量が変更可能となっている。
上記吸入管(143)は、終端がブースタ圧縮機(141)の吸入側に接続されている。この吸入管(143)の始端は、配管を介して冷凍回路(130)のガス側端に接続されている。
上記吐出管(144)は、始端がブースタ圧縮機(141)の吐出側に、終端が第1ガス側連絡配管(23)にそれぞれ接続されている。この吐出管(144)には、始端から終端へ向かって順に、高圧圧力スイッチ(148)と、油分離器(145)と、吐出側逆止弁(149)とが設けられている。この吐出側逆止弁(149)は、吐出管(144)の始端から終端へ向かう冷媒の流通だけを許容する。
上記油分離器(145)は、ブースタ圧縮機(141)の吐出ガスから冷凍機油を分離するためのものである。この油分離器(145)には、油戻し管(146)の一端が接続されている。上記油戻し管(146)の他端は、吸入管(143)に接続されている。この油戻し管(146)には、キャピラリチューブ(147)が設けられている。上記油分離器(145)で分離された冷凍機油は、油戻し管(146)を通じてブースタ圧縮機(141)の吸入側へ送り返される。
上記バイパス管(150)は、始端が吸入管(143)に、終端が吐出管(64)における油分離器(145)と吐出側逆止弁(149)との間にそれぞれ接続されている。このバイパス管(150)には、始端から終端へ向かう冷媒の流通だけを許容するバイパス逆止弁(151)が設けられている。
〈過冷却ユニット〉
上記過冷却ユニット(200)は、冷媒通路(205)と過冷却用冷媒回路(220)とコントローラ(240)とを備えている。
上記冷媒通路(205)は、一端が第1液側連絡配管(21)に、他端が第2液側連絡配管(22)にそれぞれ接続されている。
上記過冷却用冷媒回路(220)は、過冷却用圧縮機(221)と、過冷却用室外熱交換器(222)と、過冷却用膨張弁(223)と、過冷却用熱交換器(210)とを順に配管で接続して構成された閉回路である。この過冷却用冷媒回路(220)では、充填された冷却用流体としての過冷却用冷媒が循環して蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷却用流体回路を構成している。
上記過冷却用圧縮機(221)は、全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。この過冷却用圧縮機(221)には、インバータを介して電力が供給される。この過冷却用圧縮機(221)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することにより、その容量が可変となっている。
上記過冷却用室外熱交換器(222)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、熱源側熱交換器を構成している。この過冷却用室外熱交換器(222)では、過冷却用冷媒と室外空気との間で熱交換が行われる。上記過冷却用膨張弁(223)は、電子膨張弁により構成されている。
上記過冷却用熱交換器(210)は、いわゆるプレート式熱交換器であり、利用側熱交換器を構成している。この過冷却用熱交換器(210)には、第1流路(211)と第2流路(212)とが複数ずつ形成されている。この第1流路(211)には過冷却用冷媒回路(220)が、第2流路(212)には冷媒通路(205)がそれぞれ接続されている。そして、この過冷却用熱交換器(210)は、第1流路(211)を流れる過冷却用冷媒と、第2流路(212)を流れる冷凍装置(10)の冷媒とを熱交換させる。
上記過冷却ユニット(200)には、各種のセンサや圧力スイッチが設けられている。具体的に、上記過冷却用冷媒回路(220)では、過冷却用圧縮機(221)の吸入側に吸入温度センサ(235)と吸入圧力センサ(234)とが設けられ、過冷却用圧縮機(221)の吐出側に吐出温度センサ(233)と高圧圧力スイッチ(232)とが設けられている。冷媒通路(205)では、過冷却用熱交換器(210)よりも他端寄りの部分、即ち第2液側連絡配管(22)に接続する端部寄りの部分に冷媒温度センサ(236)が設けられている。この冷媒温度センサ(236)は、冷媒温度検出手段を構成している。
また、上記過冷却ユニット(200)には、外気温センサ(231)と室外ファン(230)とが設けられている。上記過冷却用室外熱交換器(222)へは、室外ファン(230)によって室外空気が送られる。
上記コントローラ(240)は、制御手段を構成している。このコントローラ(240)には、設定部(241)と制御部(242)とが設けられている。
上記設定部(241)には、外気温センサ(231)の検出温度である外気温度が入力されている。そして、この設定部(241)は、入力された外気温度に基づいて予め設定された過冷却用熱交換器(210)における冷媒通路(205)の冷媒の目標冷却温度(Eom)を設定するように構成されている。例えば、外気温度が高い場合には、店内の冷房負荷が大きくなるので、冷媒の目標冷却温度(Eom)を低い温度に設定する。逆に、外気温度が低い場合には、店内の冷房負荷が小さくなるので、冷媒の目標冷却温度(Eom)を高めの温度に設定する。すなわち、本実施形態の設定部(241)では、外気温度が過冷却用熱交換器(210)の周囲条件として用いられている。
上記制御部(242)には、冷媒温度センサ(236)の検出温度(Tout)と吸入圧力センサ(234)の検出圧力(LP)とが入力されている。そして、この制御部(242)は、冷媒温度センサ(236)が正常に検出可能である場合、冷媒温度センサ(236)の検出温度(Tout)と設定部(241)の目標冷却温度(Eom)との差に基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転周波数を制御するように構成されている。
そして、上記制御部(242)は、冷媒温度センサ(236)が異常で検出不能になった場合、吸入圧力センサ(234)の検出圧力(LP)に相当する過冷却用冷媒の飽和温度(TG)により定めた設定温度(Tout)と目標冷却温度(Eom)との差に基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転周波数を制御するように構成されている。つまり、この制御部(242)では、過冷却用冷媒回路(220)の過冷却用冷媒の低圧圧力相当飽和温度(TG)により定めた設定温度(Tout)を冷媒温度センサ(236)の検出温度とみなしている。本実施形態では、例えば、設定温度(Tout)が飽和温度(TG)+α℃で設定される。このαは、任意に設定可能である。
なお、本実施形態では、制御部(242)が吸入圧力センサ(234)の検出圧力(LP)によって定めた設定温度を冷媒の検出温度(Tout)とみなすようにしたが、これに代えて、吸入温度センサ(235)の検出温度(Ti)である吸入温度により定めた設定温度(Tout)を冷媒の検出温度(Tout)とみなすようにしてもよい。その場合、制御部(242)には、冷媒温度センサ(236)の検出温度(Tout)と吸入温度センサ(235)の検出温度(Ti)とが入力されることになる。そして、この制御部(242)は、冷媒温度センサ(236)が異常となり検出不能になった場合、吸入温度センサ(235)の検出温度(Ti)により定めた設定温度(Tout)と目標冷却温度(Eom)との差に基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転周波数を制御するように構成される。この場合、設定温度(Tout)は、例えば検出温度(Ti)+β℃で設定される。このβは、任意に設定可能である。
上記過冷却用圧縮機(221)の運転周波数を増大させれば、過冷却用冷媒回路(220)の過冷却用冷媒の循環量が増大し、過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒と冷凍装置(10)の冷媒との熱交換量が増大するので、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が低下し、空調ユニット(12)の冷房能力等が増大することになる。また、上記過冷却用圧縮機(221)の運転周波数を低下させれば、過冷却用冷媒回路(220)の過冷却用冷媒の循環量が減少し、過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒と冷凍装置(10)の冷媒との熱交換量が減少するので、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が上昇し、空調ユニット(12)の冷房能力等が低下することになる。つまり、上記コントローラ(240)は、外気温度に基づいて過冷却用圧縮機(221)を容量制御して過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒の流量を調整することにより、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度を調整するようにしている。
このように、コントローラ(240)には、室外ユニット(11)や空調ユニット(12)などで構成された冷凍装置(10)からの信号は一切入力されていない。つまり、このコントローラ(240)は、過冷却ユニット(200)に設けられたセンサの検出値など、過冷却ユニット(200)の内部で得られた情報だけに基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転制御を行う。したがって、上記過冷却ユニット(200)および冷凍装置(10)の両者間で送受信される信号を伝送するための配線工事が不要となる。
また、本実施形態の設定部(241)では、過冷却用熱交換器(210)の周囲条件として外気温度に基づいて冷媒の目標冷却温度(Eom)を設定するようにしたが、その外気温度に代えて次のもの(パラメータ)を用いるようにしてもよい。
例えば、上記設定部(241)は、冷媒通路(205)の冷媒流量、すなわち過冷却用熱交換器(210)における冷凍装置(10)の冷媒の流量を過冷却用熱交換器(210)の周囲条件として用いるようにしてもよい。この場合、冷媒通路(205)における過冷却用熱交換器(210)の上流に冷媒の流量検出手段が設けられ、該流量検出手段の検出流量がコントローラ(240)の設定部(241)に入力される。そして、上記設定部(241)は、入力された検出流量が多い場合には、店内の冷房負荷が大きいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を低い温度に設定し、逆に、検出流量が少ない場合には、店内の冷房負荷が小さいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を高めの温度に設定する。
また、上記設定部(241)は、過冷却用熱交換器(210)で冷却される前の冷媒通路(205)の冷媒の温度、または過冷却用熱交換器(210)で冷却された後の冷媒通路(205)の冷媒の温度を過冷却用熱交換器(210)の周囲条件として用いるようにしてもよい。この場合、冷媒通路(205)における過冷却用熱交換器(210)の上流に冷媒の温度検出手段が設けられ、該流量検出手段の検出温度が冷却される前の冷媒温度としてコントローラ(240)の設定部(241)に入力される。または、過冷却用熱交換器(210)の下流に設けられた冷媒温度センサ(236)の検出温度がコントローラ(240)の設定部(241)に入力される。そして、上記設定部(241)は、入力された検出温度が高い場合には、店内の冷房負荷が大きいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を低い温度に設定し、逆に、検出温度が低い場合には、店内の冷房負荷が小さいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を高めの温度に設定する。
また、上記設定部(241)は、過冷却用冷媒回路(220)における過冷却用冷媒の低圧圧力または高圧圧力を過冷却用熱交換器(210)の周囲条件として用いるようにしてもよい。この場合、過冷却用圧縮機(221)の吸入側に設けられた吸入圧力センサ(234)の検出圧力が低圧圧力として設定部(241)に入力される。または、上記過冷却用圧縮機(221)の吐出側に冷媒の圧力検出手段が設けられ、該圧力検出手段の検出圧力が高圧圧力として設定部(241)に入力される。そして、上記設定部(241)は、入力された検出圧力が高い場合には、店内の冷房負荷が大きいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を低い温度に設定し、逆に、検出圧力が低い場合には、店内の冷房負荷が小さいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を高めの温度に設定する。
また、上記設定部(241)は、過冷却用熱交換器(210)で冷却した後の過冷却用冷媒の温度を過冷却用熱交換器(210)の周囲条件として用いるようにしてもよい。この場合、過冷却用圧縮機(221)の吸入温度センサ(235)の検出温度が設定部(241)に入力される。または、上記過冷却用冷媒回路(220)における過冷却用熱交換器(210)の直下流に冷媒の温度検出手段が設けられ、該温度検出手段の検出温度が上述した吸入温度センサ(235)の検出温度に代えて設定部(241)に入力される。そして、上記設定部(241)は、入力された検出温度が高い場合には、店内の冷房負荷が大きいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を低い温度に設定し、逆に、検出温度が低い場合には、店内の冷房負荷が小さいと判断して冷媒の目標冷却温度(Eom)を高めの温度に設定する。
以上のように、何れのパラメータについても、過冷却ユニット(200)の内部で得られた情報であるため、冷凍装置(10)との間で送受信が不要になる。
−冷凍システムの運転動作−
上記冷凍システムが行う運転動作のうち、主要なものについて説明する。
〈冷房運転〉
この冷房運転は、冷蔵ショーケース(13)および冷凍ショーケース(14)において庫内空気の冷却を行い、空調ユニット(12)で室内空気の冷却を行って店内を冷房する運転である。
図2に示すように、冷房運転中は、第1四路切換弁(51)、第2四路切換弁(52)および第3四路切換弁(53)がそれぞれ第1状態に設定される。また、室外膨張弁(46)が全閉される一方、空調膨張弁(102)、冷蔵膨張弁(112)および冷凍膨張弁(132)の開度がそれぞれ適宜調節される。この状態において、可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)、第2固定容量圧縮機(43)およびブースタ圧縮機(141)が運転される。この冷房運転中には、過冷却ユニット(200)が運転状態となる。過冷却ユニット(200)の運転動作については後述する。
上記可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)および第2固定容量圧縮機(43)から吐出された冷媒は、第1四路切換弁(51)を通過して室外熱交換器(44)へ送られる。この室外熱交換器(44)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。この室外熱交換器(44)で凝縮した冷媒は、第1液管(81)とレシーバ(45)と第2液管(82)とを順に通過して第1液側連絡配管(21)へ流入する。
上記第1液側連絡配管(21)へ流入した冷媒は、過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)へ流入する。この冷媒通路(205)へ流入した冷媒は、過冷却用熱交換器(210)の第2流路(212)を通過する間に冷却される。この過冷却用熱交換器(210)で冷却された過冷却状態の液冷媒は、第2液側連絡配管(22)を通って空調回路(100)と冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに分配される。
上記空調回路(100)へ流入した冷媒は、空調膨張弁(102)を通過する際に減圧されてから空調熱交換器(101)へ導入される。この空調熱交換器(101)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。その際、この空調熱交換器(101)では、冷媒の蒸発温度が例えば5℃程度に設定される。上記空調ユニット(12)では、空調熱交換器(101)で冷却された室内空気が店内へ供給される。
上記空調熱交換器(101)で蒸発した冷媒は、第2ガス側連絡配管(24)を通って室外回路(40)へ流入し、その後、第1四路切換弁(51)と第2四路切換弁(52)を順に通過して第3吸入管(63)へ流入する。この第3吸入管(63)へ流入した冷媒は、一部が第1分岐管(63a)を通って第2固定容量圧縮機(43)に吸入され、残りが第2分岐管(63b)と第3四路切換弁(53)と第2吸入管(62)とを順に通過して第1固定容量圧縮機(42)に吸入される。
上記冷蔵回路(110)へ流入した冷媒は、冷蔵膨張弁(112)を通過する際に減圧されてから冷蔵熱交換器(111)へ導入される。この冷蔵熱交換器(111)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その際、この冷蔵熱交換器(111)では、冷媒の蒸発温度が例えば−5℃程度に設定される。この冷蔵熱交換器(111)で蒸発した冷媒は、第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。上記冷蔵ショーケース(13)では、冷蔵熱交換器(111)で冷却された庫内空気が庫内へ供給され、庫内温度が例えば5℃程度に保たれる。
上記冷凍回路(130)へ流入した冷媒は、冷凍膨張弁(132)を通過する際に減圧されてから冷凍熱交換器(131)へ導入される。この冷凍熱交換器(131)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その際、この冷凍熱交換器(131)では、冷媒の蒸発温度が例えば−30℃程度に設定される。上記冷凍ショーケース(14)では、冷凍熱交換器(131)で冷却された庫内空気が庫内へ供給され、庫内温度が例えば−20℃程度に保たれる。
上記冷凍熱交換器(131)で蒸発した冷媒は、ブースタ回路(140)へ流入してブースタ圧縮機(141)へ吸入される。このブースタ圧縮機(141)で圧縮された冷媒は、吐出管(144)を通って第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。
上記第1ガス側連絡配管(23)では、冷蔵回路(110)から送り込まれた冷媒と、ブースタ回路(140)から送り込まれた冷媒とが合流する。そして、これらの冷媒は、第1ガス側連絡配管(23)を通過して室外回路(40)の第1吸入管(61)へ流入する。この第1吸入管(61)へ流入した冷媒は、その第1分岐管(61a)を通って可変容量圧縮機(41)に吸入される。
〈第1暖房運転〉
この第1暖房運転は、冷蔵ショーケース(13)および冷凍ショーケース(14)において庫内空気の冷却を行い、空調ユニット(12)で室内空気の加熱を行って店内を暖房する運転である。
図3に示すように、室外回路(40)では、第1四路切換弁(51)が第2状態に、第2四路切換弁(52)が第1状態に、第3四路切換弁(53)が第1状態にそれぞれ設定される。また、上記室外膨張弁(46)が全閉される一方、空調膨張弁(102)、冷蔵膨張弁(112)および冷凍膨張弁(132)の開度が適宜調節される。この状態において、可変容量圧縮機(41)およびブースタ圧縮機(141)が運転され、第1固定容量圧縮機(42)および第2固定容量圧縮機(43)が休止する。また、上記室外熱交換器(44)は、冷媒が送り込まれずに休止状態となる。この第1暖房運転中には、過冷却ユニット(200)が停止状態となる。
上記可変容量圧縮機(41)から吐出された冷媒は、第1四路切換弁(51)と第2ガス側連絡配管(24)と順に通って空調回路(100)の空調熱交換器(101)へ導入され、室内空気へ放熱して凝縮する。上記空調ユニット(12)では、空調熱交換器(101)で加熱された室内空気が店内へ供給される。この空調熱交換器(101)で凝縮した冷媒は、第2液側連絡配管(22)を通って冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに分配される。
上記冷蔵ショーケース(13)および冷凍ショーケース(14)では、上記冷房運転時と同様に、庫内空気の冷却が行われる。上記冷蔵回路(110)へ流入した冷媒は、冷蔵熱交換器(111)で蒸発した後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。一方、上記冷凍回路(130)へ流入した冷媒は、冷凍熱交換器(131)で蒸発した後にブースタ圧縮機(141)で圧縮され、その後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。この第1ガス側連絡配管(23)へ流入した冷媒は、第1吸入管(61)を通過後に可変容量圧縮機(41)に吸入されて圧縮される。
このように、第1暖房運転では、冷蔵熱交換器(111)および冷凍熱交換器(131)において冷媒が吸熱し、空調熱交換器(101)において冷媒が放熱する。そして、上記冷蔵熱交換器(111)および冷凍熱交換器(131)で冷媒が庫内空気から吸熱した熱を利用して、店内の暖房が行われる。
尚、第1暖房運転中には、図4に示すように、第1固定容量圧縮機(42)を運転してもよい。上記第1固定容量圧縮機(42)を運転するか否かは、冷蔵ショーケース(13)および冷凍ショーケース(14)における冷却負荷に応じて決定される。この場合には、第3四路切換弁(53)が第2状態に設定される。そして、上記第1吸入管(61)へ流入した冷媒は、一部が第1分岐管(61a)を通って可変容量圧縮機(41)に吸入され、残りが第2分岐管(61b)と第3四路切換弁(53)と第2吸入管(62)とを順に通って第1固定容量圧縮機(42)へ吸入される。
〈第2暖房運転〉
この第2暖房運転は、上記第1暖房運転と同様に店内の暖房を行う運転である。この第2暖房運転は、上記第1暖房運転では暖房能力が不足する場合に行われる。
図5に示すように、室外回路(40)では、第1四路切換弁(51)が第2状態に、第2四路切換弁(52)が第1状態に、第3四路切換弁(53)が第1状態にそれぞれ設定される。また、上記室外膨張弁(46)、空調膨張弁(102)、冷蔵膨張弁(112)および冷凍膨張弁(132)の開度が適宜調節される。この状態において、可変容量圧縮機(41)、第2固定容量圧縮機(43)およびブースタ圧縮機(141)が運転され、第1固定容量圧縮機(42)が休止する。この第1暖房運転中には、過冷却ユニット(200)が停止状態となる。
上記可変容量圧縮機(41)および第2固定容量圧縮機(43)から吐出された冷媒は、第1四路切換弁と第2ガス側連絡配管(24)とを順に通って空調回路(100)の空調熱交換器(101)へ導入され、室内空気へ放熱して凝縮する。上記空調ユニット(12)では、空調熱交換器(101)で加熱された室内空気が店内へ供給される。この空調熱交換器(101)で凝縮した冷媒は、第2液側連絡配管(22)へ流入する。この第2液側連絡配管(22)へ流入した冷媒は、一部が冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに分配され、残りが過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)へ導入される。
上記冷蔵ショーケース(13)および冷凍ショーケース(14)では、上記冷房運転時と同様に、庫内空気の冷却が行われる。上記冷蔵回路(110)へ流入した冷媒は、冷蔵熱交換器(111)で蒸発した後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。一方、上記冷凍回路(130)へ流入した冷媒は、冷凍熱交換器(131)で蒸発した後にブースタ圧縮機(141)で圧縮され、その後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。そして、この第1ガス側連絡配管(23)へ流入した冷媒は、第1吸入管(61)を通過後に可変容量圧縮機(41)に吸入されて圧縮される。
上記過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)へ流入した冷媒は、第1液側連絡配管(21)と第3液管(83)とを順に通過してレシーバ(45)へ流入し、その後に第2液管(82)を通って第4液管(84)へ流入する。この第4液管(84)へ流入した冷媒は、室外膨張弁(46)を通過する際に減圧されてから室外熱交換器(44)へ導入され、室外空気から吸熱して蒸発する。この室外熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、第1四路切換弁(51)と第2四路切換弁(52)とを順に通過して第2吸入管(62)へ流入し、第2固定容量圧縮機(43)へ吸入されて圧縮される。
このように、第2暖房運転では、冷蔵熱交換器(111)、冷凍熱交換器(131)および室外熱交換器(44)において冷媒が吸熱し、空調熱交換器(101)において冷媒が放熱する。そして、上記冷蔵熱交換器(111)および冷凍熱交換器(131)で冷媒が庫内空気から吸熱した熱と、室外熱交換器(44)で冷媒が室外空気から吸熱した熱とを利用して、店内の暖房が行われる。
−過冷却ユニットの運転動作−
上記過冷却ユニット(200)の運転動作について説明する。この過冷却ユニット(200)の運転状態では、過冷却用圧縮機(221)が運転されると共に、過冷却用膨張弁(223)の開度が適宜調節される。
図1に示すように、過冷却用圧縮機(221)から吐出された過冷却用冷媒は、過冷却用室外熱交換器(222)で室外空気へ放熱して凝縮する。この過冷却用室外熱交換器(222)で凝縮した過冷却用冷媒は、過冷却用膨張弁(223)を通過する際に減圧されてから過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)へ流入する。この過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)では、過冷却用冷媒が第2流路(212)の冷媒から吸熱して蒸発する。この過冷却用熱交換器(210)で蒸発した過冷却用冷媒は、過冷却用圧縮機(221)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、コントローラ(240)は、入力された外気温度に基づき、過冷却用圧縮機(221)の容量を制御する。ここでは、コントローラ(240)の制御動作について、図6を参照しながら説明する。このコントローラ(240)の制御動作は、一定の時間間隔(例えば30秒間隔)で繰り返し行われる。
最初に、制御がスタートすると、ステップST1において、冷媒温度センサ(236)の検出温度(Tout)からコントローラ(240)の設定部(241)で設定した目標冷却温度(Eom)を引いた値が算出される。本実施形態では、図7に示すように、上記目標冷却温度(Eom)が設定される。具体的に、外気温度が25℃以下と割と低い場合は、目標冷却温度(Eom)が25℃に設定され、外気温度が40℃以上と高い場合は、目標冷却温度(Eom)が0℃に設定される。また、外気温度が25℃から40℃の範囲では、目標冷却温度(Eom)が25℃から0℃へと比例的に低下するように設定される。なお、上記目標冷却温度(Eom)の設定値については、これに限られるものではない。
上記ステップST1において、検出温度(Tout)と目標冷却温度(Eom)との差が「−1.0未満」である場合は、ステップST2へ移行し、「+1.0超」である場合は、ステップST3へ移行し、「−1.0〜+1.0」である場合は、リターンして制御が終了する。つまり、上記冷凍装置(10)の冷媒が過剰に冷却されて冷房能力等が過大となっている場合は、ステップST2へ移行し、冷凍装置(10)の冷媒が冷却不足で冷房能力等が不足している場合は、ステップST3へ移行する。また、上記「−1.0〜+1.0」の範囲は、過冷却用圧縮機(221)の運転周波数を変更しない無変化領域であり、この設定幅は、例えば「−1.5〜+1.5」と「−2.0〜+2.0」とに切換可能である。その場合、「−1.0未満」や「+1.0超」の設定値もそれに応じて切り換わることになる。
上記ステップST2では、過冷却用圧縮機(221)の運転周波数が最低周波数か否かを判定し、最低周波数であると判定すると、リターンして制御が終了し、最低周波数でないと判定すると、ステップST4へ移行する。このステップST4では、コントローラ(240)の制御部(242)により、過冷却用圧縮機(221)の運転周波数が1段階下げられる。これにより、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が上昇するので、過剰状態であった冷房能力等を負荷に応じた適切な能力に低下させることができる。
上記ステップST3では、過冷却用圧縮機(221)の運転周波数が最高周波数か否かを判定し、最高周波数であると判定すると、リターンして制御が終了し、最高周波数でないと判定すると、ステップST5へ移行する。このステップST5では、コントローラ(240)の制御部(242)により、過冷却用圧縮機(221)の運転周波数が1段階上げられる。これにより、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が低下するので、不足状態であった冷房能力等を負荷に応じた適切な能力に増大させることができる。なお、本実施形態では、過冷却用圧縮機(221)の運転周波数が20段階に変更可能になっている。
また、上記冷媒温度センサ(236)の故障等により過冷却用冷媒の検出温度が正確に検出できない場合、ステップST1では、吸入圧力センサ(234)の検出圧力を用いて定めた設定温度(Tout)から設定部(241)の目標冷却温度(Eom)を引いた値が算出される。これ以降の制御については、上述した制御内容と同様である。
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態によれば、過冷却ユニット(200)において、該過冷却ユニット(200)に設けられたセンサの検出値である外気温度、すなわち過冷却ユニット(200)内で得られる情報に基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転制御を行って冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度を調整するようにしたので、室外ユニット(11)や空調ユニット(12)などの冷凍装置(10)との間で信号の授受などを行わなくても、空調ユニット(12)などの負荷状態に応じて適切な運転を行うことができる。したがって、上記過冷却ユニット(200)を冷凍装置(10)に取り付ける際には、冷凍装置(10)の第1,第2液側連絡配管(21,22)に過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)を接続するだけでよく、冷凍装置(10)と過冷却ユニット(200)の間で信号を授受するための通信用配線を敷設する必要が無くなる。
この結果、本実施形態によれば、過冷却ユニット(200)を冷凍装置(10)に取り付ける際の作業工数を削減することができ、更には誤配線等の設置作業時の人的ミスによるトラブルを未然に防止することができる。
さらに、上記コントローラ(240)は、冷媒の検出温度(Tout)と外気温度によって定めた目標冷却温度(Eom)との差に基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転制御を行うようにしたので、これもまた過冷却ユニット(200)内で得られる情報だけで確実に冷却能力の調整を行うことができる。
また、上記冷媒温度センサ(236)が異常状態となり検出不能となった場合でも、過冷却ユニット(200)内に設けられた吸入圧力センサ(234)の検出圧力(LP)における過冷却用冷媒の飽和温度(TG)によって定めた設定温度を冷媒の検出温度としてみなすようにしたので、一層確実に冷却能力の調整を行うことができる。
ここで、過冷却ユニット(200)と冷凍装置(10)の間で信号を授受するためには、過冷却ユニット(200)だけでなく冷凍装置(10)にも通信インターフェースが必要となる。このため、運転制御に冷凍装置(10)からの信号入力が必要な過冷却ユニット(200)については、適用可能な冷凍装置(10)の機種が制限されることとなり、過冷却ユニット(200)の使い勝手が悪くなるという問題もあった。
これに対し、本実施形態の過冷却ユニット(200)は、冷凍装置(10)との間における信号の授受を全く必要とせず、取り付け対象となる冷凍装置(10)について制約を受けなくてすむ。したがって、過冷却ユニット(200)の使い勝手を大幅に向上させることができる。
−実施形態の変形例1−
本変形例1は、過冷却用圧縮機(221)の制御に代えて、過冷却用室外熱交換器(222)の室外ファン(230)の運転周波数を制御することによって過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒の流量を調整するようにしたものである。つまり、本変形例の室外ファン(230)は、ファンモータの運転周波数を変化させることによって容量が可変となる。
具体的に、上記室外ファン(230)の運転周波数を低下させれば、過冷却用冷媒回路(220)における高圧圧力が上昇して過冷却用冷媒の循環量が増大する。つまり、上記過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒の流量が増大する。これにより、過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒と冷凍装置(10)の冷媒との熱交換量が増大するので、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が低下し、空調ユニット(12)の冷房能力等が増大することになる。逆に、上記室外ファン(230)の運転周波数を増大させれば、過冷却用冷媒回路(220)における高圧圧力が低下して過冷却用冷媒の循環量が減少する。つまり、上記過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒の流量が減少する。これにより、過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒と冷凍装置(10)の冷媒との熱交換量が減少するので、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が上昇し、空調ユニット(12)の冷房能力等が低下することになる。
本変形例の場合、コントローラ(240)の制御動作は次のようになる。図6のステップST2では、上記室外ファン(230)の運転周波数が最高周波数か否かを判定し、最高周波数であると判定すると、リターンして制御が終了し、最高周波数でないと判定すると、ステップST4へ移行する。このステップST4では、コントローラ(240)の制御部(242)により、室外ファン(230)の運転周波数が1段階上げられる。これにより、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が上昇するので、過剰状態であった冷房能力等を負荷に応じた適切な能力に低下させることができる。
上記ステップST3では、室外ファン(230)の運転周波数が最低周波数か否かを判定し、最低周波数であると判定すると、リターンして制御が終了し、最低周波数でないと判定すると、ステップST5へ移行する。このステップST5では、コントローラ(240)の制御部(242)により、室外ファン(230)の運転周波数が1段階下げられる。これにより、冷凍装置(10)の冷媒の冷却温度が低下するので、不足状態であった冷房能力等を負荷に応じた適切な能力に増大させることができる。その他の構成、作用および効果は実施形態と同様である。
なお、本発明は、過冷却用圧縮機(221)および室外ファン(230)の両方を制御することによって過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒の流量を調整するようにしてもよい。この場合、冷媒の冷却温度の制御性が高まる。
−実施形態の変形例2−
本変形例2は、図示しないが、上記実施形態の冷却用流体回路の構成を変更したものである。上記実施形態では冷却用流体回路を冷媒回路により構成したが、本変形例では冷却水が流れる冷却水回路により構成するようにした。具体的に、この冷却水回路は、過冷却用熱交換器(210)およびポンプを備え、該ポンプによってクーリングタワーの冷却水が過冷却用熱交換器(210)との間で循環するように構成されている。そして、上記過冷却用熱交換器(210)において、冷却水が冷媒通路(205)の冷媒と熱交換して該冷媒を冷却する。つまり、本変形例の冷却用流体回路では、冷却水が冷却用流体として流れる。
この変形例において、例えば、外気温度が高い場合には、ポンプの運転周波数を増大させて過冷却用熱交換器(210)における冷却水の流量を増大させることにより、冷媒の冷却温度が低下させて空調ユニット(12)の冷房能力等を高める。逆に、外気温度が低い場合には、ポンプの運転周波数を減少させて過冷却用熱交換器(210)における冷却水の流量を減少させることにより、冷媒の冷却温度が上昇させて空調ユニット(12)の冷房能力等を低下させる。その他の構成、作用および効果は実施形態と同様である。
なお、本変形例において、コントローラ(240)の設定部(241)は、外気温度の代わりに、過冷却用熱交換器(210)で冷却した後の冷却水の温度を過冷却用熱交換器(210)の周囲条件として用いるようにしてもよい。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、冷媒温度センサ(236)が異常の場合、吸入圧力センサ(234)の検出圧力(LP)および吸入温度センサ(235)の検出温度(Ti)の何れかがコントローラ(240)の制御部(242)に入力されるようにしたが、両方の検出値が入力されるようにしてもよい。その場合、先ず、冷媒温度センサ(236)が異常の場合は、吸入圧力センサ(234)の検出圧力(LP)を用い、冷媒温度センサ(236)および吸入圧力センサ(234)の両方が異常の場合は、吸入温度センサ(235)の検出温度(Ti)を用いるようにする。
また、上記実施形態やその変形例において、冷媒温度センサ(236)の検出温度(Tout)は入力せずに、吸入圧力センサ(234)の検出圧力(LP)または吸入温度センサ(235)の検出温度(Ti)だけを制御部(242)に入力するようにしてもよい。この場合、冷媒温度センサ(236)の正常および異常に関係なく、その検出圧力(LP)または検出温度(Ti)により定めた設定温度(Tout)と目標冷却温度(Eom)との差が基準となって過冷却用圧縮機(221)や室外ファン(230)が制御される。
また、上記実施形態の過冷却用冷媒回路(220)において、四路切換弁などを設けて冷媒循環を可逆に構成すれば、冷媒通路(205)を第1ガス側連絡配管(23)や第2ガス側連絡配管(24)のガス側の連絡配管に接続することにより、冷凍装置(10)の冷媒を加熱することができる。したがって、室外ユニット(11)の各圧縮機(41,・・・)へのいわゆる液バックを防止することができる。このように、本発明に係る過冷却ユニット(200)は、過冷却用冷媒回路(220)の冷媒循環を可逆に構成することにより、必要に応じて冷媒の冷却装置または加熱装置を切り換えることができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。