以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の冷凍システムは、コンビニエンスストア等に設置されて、店内の空気調和とショーケース内の冷却とを行うものである。この冷凍システムは、本発明に係る過冷却装置としての過冷却ユニット(200)と、この過冷却ユニット(200)が取り付けられた冷凍装置(10)とによって構成されている。
図1に示すように、上記冷凍システムには、室外ユニット(11)と、空調ユニット(12)と、冷蔵ショーケース(13)と、冷凍ショーケース(14)と、ブースタユニット(15)と、過冷却ユニット(200)とが設けられている。そして、室外ユニット(11)と、空調ユニット(12)と、冷蔵ショーケース(13)と、冷凍ショーケース(14)と、ブースタユニット(15)とが冷凍装置(10)を構成している。この冷凍システムでは、室外ユニット(11)と過冷却ユニット(200)とが屋外に設置され、残りの空調ユニット(12)等がコンビニエンスストア等の店内に設置される。
室外ユニット(11)には室外回路(40)が、空調ユニット(12)には空調回路(100)が、冷蔵ショーケース(13)には冷蔵回路(110)が、冷凍ショーケース(14)には冷凍回路(130)が、ブースタユニット(15)にはブースタ回路(140)がそれぞれ設けられている。また、過冷却ユニット(200)には、冷媒通路(205)が設けられている。冷凍システムでは、これらの回路(40,100,…)や過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)を配管で接続することによって冷媒回路(20)が構成されている。この冷媒回路(20)には、熱源側冷媒が充填されている。
上記冷媒回路(20)には、第1液側連絡配管(21)と、第2液側連絡配管(22)と、第1ガス側連絡配管(23)と、第2ガス側連絡配管(24)とが設けられている。
第1液側連絡配管(21)は、過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)の一端を室外回路(40)に接続している。第2液側連絡配管(22)の一端は、冷媒通路(205)の他端に接続している。第2液側連絡配管(22)の他端は、3つに分岐して空調回路(100)と冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに接続している。第2液側連絡配管(22)のうち冷凍回路(130)に接続する分岐管には、液側閉鎖弁(25)が設けられている。
第1ガス側連絡配管(23)の一端は、2つに分岐して冷蔵回路(110)とブースタ回路(140)とに接続している。第1ガス側連絡配管(23)のうちブースタ回路(140)に接続する分岐管には、ガス側閉鎖弁(26)が設けられている。第1ガス側連絡配管(23)の他端は、室外回路(40)に接続している。第2ガス側連絡配管(24)は、空調回路(100)を室外回路(40)に接続している。
〈室外ユニット〉
室外ユニット(11)は、冷凍装置(10)の熱源ユニットを構成している。この室外ユニット(11)は、室外回路(40)を備えている。
室外回路(40)には、可変容量圧縮機(41)と、第1固定容量圧縮機(42)と、第2固定容量圧縮機(43)と、室外熱交換器(44)と、レシーバ(45)と、室外膨張弁(46)とが設けられている。また、室外回路(40)には、3つの吸入管(61,62,63)と、2つの吐出管(64,65)と、4つの液管(81,82,83,84)と、1つの高圧ガス管(66)とが設けられている。更に、室外回路(40)には、3つの四路切換弁(51,52,53)と、1つの液側閉鎖弁(54)と、2つのガス側閉鎖弁(55,56)とが設けられている。
この室外回路(40)において、液側閉鎖弁(54)には第1液側連絡配管(21)が、第1ガス側閉鎖弁(55)には第1ガス側連絡配管(23)が、第2ガス側閉鎖弁(56)には第2ガス側連絡配管(24)がそれぞれ接続されている。
可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)、及び第2固定容量圧縮機(43)は、何れも全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。可変容量圧縮機(41)には、インバータを介して電力が供給される。この可変容量圧縮機(41)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することによって、その容量が変更可能となっている。一方、第1,第2固定容量圧縮機(42,43)は、圧縮機モータが常に一定の回転速度で運転されるものであって、その容量が変更不能となっている。
第1吸入管(61)は、その一端が第1ガス側閉鎖弁(55)に接続されている。この第1吸入管(61)は、他端側で第1分岐管(61a)と第2分岐管(61b)とに分岐されており、第1分岐管(61a)が可変容量圧縮機(41)の吸入側に、第2分岐管(61b)が第3四路切換弁(53)にそれぞれ接続されている。第1吸入管(61)の第2分岐管(61b)には、第1ガス側閉鎖弁(55)から第3四路切換弁(53)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-1)が設けられている。
第2吸入管(62)は、その一端が第3四路切換弁(53)に、他端が第1固定容量圧縮機(42)の吸入側にそれぞれ接続されている。
第3吸入管(63)は、その一端が第2四路切換弁(52)に接続されている。この第3吸入管(63)は、他端側で第1分岐管(63a)と第2分岐管(63b)とに分岐されており、第1分岐管(63a)が第2固定容量圧縮機(43)の吸入側に、第2分岐管(63b)が第3四路切換弁(53)にそれぞれ接続されている。第3吸入管(63)の第2分岐管(63b)には、第2四路切換弁(52)から第3四路切換弁(53)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-2)が設けられている。
第1吐出管(64)は、一端側で第1分岐管(64a)と第2分岐管(64b)とに分岐されており、第1分岐管(64a)が可変容量圧縮機(41)の吐出側に、第2分岐管(64b)が第1固定容量圧縮機(42)の吐出側にそれぞれ接続されている。第1吐出管(64)の他端は、第1四路切換弁(51)に接続されている。第1吐出管(64)の第2分岐管(64b)には、第1固定容量圧縮機(42)から第1四路切換弁(51)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-3)が設けられている。
第2吐出管(65)は、その一端が第2固定容量圧縮機(43)の吸入側に、他端が第1吐出管(64)における第1四路切換弁(51)の直前にそれぞれ接続されている。第2吐出管(65)には、第2固定容量圧縮機(43)から第1四路切換弁(51)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-4)が設けられている。
室外熱交換器(44)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この室外熱交換器(44)では、冷媒と室外空気の間で熱交換が行われる。室外熱交換器(44)の一端は、閉鎖弁(57)を介して第1四路切換弁(51)に接続されている。一方、室外熱交換器(44)の他端は、第1液管(81)を介してレシーバ(45)の頂部に接続されている。この第1液管(81)には、室外熱交換器(44)からレシーバ(45)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-5)が設けられている。
レシーバ(45)の底部には、閉鎖弁(58)を介して第2液管(82)の一端が接続されている。第2液管(82)の他端は、液側閉鎖弁(54)に接続されている。この第2液管(82)には、レシーバ(45)から液側閉鎖弁(54)へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-6)が設けられている。
第2液管(82)における逆止弁(CV-6)と液側閉鎖弁(54)の間には、第3液管(83)の一端が接続されている。第3液管(83)の他端は、第1液管(81)を介してレシーバ(45)の頂部に接続されている。また、第3液管(83)には、その一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-7)が設けられている。
第2液管(82)における閉鎖弁(58)と逆止弁(CV-6)の間には、第4液管(84)の一端が接続されている。第4液管(84)の他端は、第1液管(81)における室外熱交換器(44)と逆止弁(CV-5)の間に接続されている。また、第4液管(84)には、その一端から他端へ向かって順に、逆止弁(CV-8)と室外膨張弁(46)とが設けられている。この逆止弁(CV-8)は、第4液管(84)の一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する。また、室外膨張弁(46)は、電子膨張弁により構成されている。
高圧ガス管(66)は、その一端が第1吐出管(64)における第1四路切換弁(51)の直前に接続されている。高圧ガス管(66)は、他端側で第1分岐管(66a)と第2分岐管(66b)とに分岐されており、第1分岐管(66a)が第1液管(81)における逆止弁(CV-5)の下流側に、第2分岐管(66b)が第3四路切換弁(53)にそれぞれ接続されている。高圧ガス管(66)の第1分岐管(66a)には、電磁弁(SV-7)と逆止弁(CV-9)とが設けられている。この逆止弁(CV-9)は、電磁弁(SV-7)の下流側に配置され、電磁弁(SV-7)から第1液管(81)へ向かう冷媒の流通だけを許容する。
第1四路切換弁(51)は、第1のポートが第1吐出管(64)の終端に、第2のポートが第2四路切換弁(52)に、第3のポートが室外熱交換器(44)に、第4のポートが第2ガス側閉鎖弁(56)にそれぞれ接続されている。この第1四路切換弁(51)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通して第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通して第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
第2四路切換弁(52)は、第1のポートが第2吐出管(65)における逆止弁(CV-4)の下流側に、第2のポートが第2吸入管(62)の始端に、第4のポートが第1四路切換弁(51)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、第2四路切換弁(52)は、その第3のポートが封止されている。この第2四路切換弁(52)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通して第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通して第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
第3四路切換弁(53)は、第1のポートが高圧ガス管(66)の第2分岐管(66b)の終端に、第2のポートが第2吸入管(62)の始端に、第3のポートが第1吸入管(61)の第2分岐管(61b)の終端に、第4のポートが第3吸入管(63)の第2分岐管(63b)の終端にそれぞれ接続されている。この第3四路切換弁(53)は、第1のポートと第3のポートが互いに連通して第2のポートと第4のポートが互いに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが互いに連通して第2のポートと第3ポートが互いに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
室外回路(40)には、インジェクション管(85)、連通管(87)、油分離器(75)、及び油戻し管(76)が更に設けられている。また、室外回路(40)には、4つの均油管(71,72,73,74)も設けられている。
インジェクション管(85)は、いわゆる液インジェクションを行うためのものである。インジェクション管(85)は、その一端が第4液管(84)における逆止弁(CV-8)と室外膨張弁(46)の間に、他端が第1吸入管(61)にそれぞれ接続されている。このインジェクション管(85)には、その一端から他端へ向かって順に、閉鎖弁(59)と流量調節弁(86)とが設けられている。流量調節弁(86)は、電子膨張弁により構成されている。
連通管(87)は、その一端がインジェクション管(85)における閉鎖弁(59)と流量調節弁(86)の間に、他端が高圧ガス管(66)の第1分岐管(66a)における電磁弁(SV-7)の上流側にそれぞれ接続されている。この連通管(87)には、その一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(CV-10)が設けられている。
油分離器(75)は、第1吐出管(64)のうち第2吐出管(65)及び高圧ガス管(66)の接続位置よりも上流側に設けられている。この油分離器(75)は、圧縮機(41,42)の吐出ガスから冷凍機油を分離するためのものである。
油戻し管(76)は、その一端が油分離器(75)に接続されている。油戻し管(76)は、他端側で第1分岐管(76a)と第2分岐管(76b)とに分岐されており、第1分岐管(76a)がインジェクション管(85)における流量調節弁(86)の下流側に、第2分岐管(76b)が第2吸入管(62)にそれぞれ接続されている。また、油戻し管(76)の第1分岐管(76a)と第2分岐管(76b)とには、電磁弁(SV-5,SV-6)が1つずつ設けられている。第1分岐管(76a)の電磁弁(SV-5)を開くと、油分離器(75)で分離された冷凍機油がインジェクション管(85)を通じて第1吸入管(61)へ送り返される。一方、第2分岐管(76b)の電磁弁(SV-6)を開くと、油分離器(75)で分離された冷凍機油が第2吸入管(62)へ送り返される。
第1均油管(71)は、その一端が可変容量圧縮機(41)に接続され、他端が第2吸入管(62)に接続されている。この第1均油管(71)には、電磁弁(SV-1)が設けられている。第2均油管(72)は、その一端が第1固定容量圧縮機(42)に接続され、他端が第3吸入管(63)の第1分岐管(63a)に接続されている。この第2均油管(72)には、電磁弁(SV-2)が設けられている。第3均油管(73)は、その一端が第2固定容量圧縮機(43)に接続され、他端が第1吸入管(61)の第1分岐管(61a)に接続されている。この第3均油管(73)には、電磁弁(SV-3)が設けられている。第4均油管(74)は、その一端が第2均油管(72)における電磁弁(SV-2)の上流側に接続され、他端が第1吸入管(61)の第1分岐管(61a)に接続されている。この第4均油管(74)には、電磁弁(SV-4)が設けられている。各均油管(71〜74)の電磁弁(SV-1〜SV-4)を適宜開閉することにより、各圧縮機(41,42,43)における冷凍機油の貯留量が平均化される。
室外回路(40)には、各種のセンサや圧力スイッチも設けられている。具体的に、第1吸入管(61)には、第1吸入温度センサ(91)と第1吸入圧力センサ(92)とが設けられている。第2吸入管(62)には、第2吸入圧力センサ(93)が設けられている。第3吸入管(63)には、第3吸入温度センサ(94)と第3吸入圧力センサ(95)とが設けられている。第1吐出管(64)には、第1吐出温度センサ(97)と第1吐出圧力センサ(98)とが設けられている。第1吐出管(64)の各分岐管(64a,64b)には、高圧圧力スイッチ(96)が1つずつ設けられている。第2吐出管(65)には、第2吐出温度センサ(99)と高圧圧力スイッチ(96)とが設けられている。
また、室外ユニット(11)には、外気温センサ(90)と室外ファン(48)とが設けられている。室外熱交換器(44)へは、この室外ファン(48)によって室外空気が送られる。
〈空調ユニット〉
空調ユニット(12)は、利用ユニットを構成している。空調ユニット(12)は、空調回路(100)を備えている。この空調回路(100)は、その液側端が第2液側連絡配管(22)、ガス側端が第2ガス側連絡配管(24)にそれぞれ接続されている。
空調回路(100)では、その液側端からガス側端へ向かって順に、空調膨張弁(102)と空調熱交換器(101)とが設けられている。空調熱交換器(101)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この空調熱交換器(101)では、冷媒と室内空気の間で熱交換が行われる。一方、空調膨張弁(102)は、電子膨張弁によって構成されている。
空調ユニット(12)には、熱交換器温度センサ(103)と冷媒温度センサ(104)とが設けられている。熱交換器温度センサ(103)は、空調熱交換器(101)の伝熱管に取り付けられている。冷媒温度センサ(104)は、空調回路(100)におけるガス側端の近傍に取り付けられている。また、空調ユニット(12)には、内気温センサ(106)と空調ファン(105)とが設けられている。空調熱交換器(101)へは、この空調ファン(105)によって店内の室内空気が送られる。
〈冷蔵ショーケース〉
冷蔵ショーケース(13)は、利用ユニットを構成している。冷蔵ショーケース(13)は、冷蔵回路(110)を備えている。この冷蔵回路(110)は、その液側端が第2液側連絡配管(22)に、ガス側端が第1ガス側連絡配管(23)にそれぞれ接続されている。
冷蔵回路(110)では、その液側端からガス側端へ向かって順に、冷蔵電磁弁(114)と冷蔵膨張弁(112)と冷蔵熱交換器(111)とが設けられている。冷蔵熱交換器(111)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この冷蔵熱交換器(111)では、冷媒と庫内空気の間で熱交換が行われる。冷蔵膨張弁(112)は、温度自動膨張弁によって構成されている。冷蔵膨張弁(112)の感温筒(113)は、冷蔵熱交換器(111)の出口側の配管に取り付けられている。
冷蔵ショーケース(13)には、冷蔵庫内温度センサ(116)と冷蔵庫内ファン(115)とが設けられている。冷蔵熱交換器(111)へは、この冷蔵庫内ファン(115)によって冷蔵ショーケース(13)の庫内空気が送られる。
〈冷凍ショーケース〉
冷凍ショーケース(14)は、利用ユニットを構成している。冷凍ショーケース(14)は、冷凍回路(130)を備えている。この冷凍回路(130)は、その液側端が第2液側連絡配管(22)に接続されている。また、冷凍回路(130)のガス側端は、配管を介してブースタユニット(15)に接続されている。
冷凍回路(130)では、その液側端からガス側端へ向かって順に、冷凍電磁弁(134)と冷凍膨張弁(132)と冷凍熱交換器(131)とが設けられている。冷凍熱交換器(131)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この冷凍熱交換器(131)では、冷媒と庫内空気の間で熱交換が行われる。冷凍膨張弁(132)は、温度自動膨張弁によって構成されている。冷凍膨張弁(132)の感温筒(133)は、冷凍熱交換器(131)の出口側の配管に取り付けられている。
冷凍ショーケース(14)には、冷凍庫内温度センサ(136)と冷凍庫内ファン(135)とが設けられている。冷凍熱交換器(131)へは、この冷凍庫内ファン(135)によって冷凍ショーケース(14)の庫内空気が送られる。
〈ブースタユニット〉
ブースタユニット(15)は、ブースタ回路(140)を備えている。このブースタ回路(140)には、ブースタ圧縮機(141)と、吸入管(143)と、吐出管(144)と、バイパス管(150)とが設けられている。
ブースタ圧縮機(141)は、全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。ブースタ圧縮機(141)には、インバータを介して電力が供給される。このブースタ圧縮機(141)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することによって、その容量が変更可能となっている。
吸入管(143)は、その終端がブースタ圧縮機(141)の吸入側に接続されている。吸入管(143)の始端は、配管を介して冷凍回路(130)のガス側端に接続されている。
吐出管(144)は、その始端がブースタ圧縮機(141)の吐出側に、終端が第1ガス側連絡配管(23)にそれぞれ接続されている。この吐出管(144)には、その始端から終端へ向かって順に、高圧圧力スイッチ(148)と、油分離器(145)と、吐出側逆止弁(149)とが設けられている。吐出側逆止弁(149)は、吐出管(144)の始端から終端へ向かう冷媒の流通だけを許容する。
油分離器(145)は、ブースタ圧縮機(141)の吐出ガスから冷凍機油を分離するためのものである。油分離器(145)には、油戻し管(146)の一端が接続されている。油戻し管(146)の他端は、吸入管(143)に接続されている。油戻し管(146)には、キャピラリチューブ(147)が設けられている。油分離器(145)で分離された冷凍機油は、油戻し管(146)を通じてブースタ圧縮機(141)の吸入側へ送り返される。
バイパス管(150)は、その始端が吸入管(143)に、終端が吐出管(64)における油分離器(145)と吐出側逆止弁(149)の間にそれぞれ接続されている。このバイパス管(150)には、その始端から終端へ向かう冷媒の流通だけを許容するバイパス逆止弁(151)が設けられている。
〈過冷却ユニット〉
過冷却装置としての過冷却ユニット(200)は、冷媒通路(205)と過冷却用冷媒回路(220)と過冷却用熱交換器(210)とコントローラ(240)とを備えている。
冷媒通路(205)は、その一端が第1液側連絡配管(21)に、他端が第2液側連絡配管(22)にそれぞれ接続されている。
過冷却用冷媒回路(220)は、過冷却用圧縮機(221)と、過冷却用室外熱交換器(222)と、過冷却用膨張弁(223)と、過冷却用熱交換器(210)とを順に配管で接続して構成された閉回路である。この過冷却用冷媒回路(220)は、冷却用流体回路を構成している。過冷却用冷媒回路(220)には、冷却用流体としての過冷却用冷媒が充填されている。この過冷却用冷媒としては、R407C等のいわゆるフロン冷媒だけでなく、二酸化炭素(CO2)やアンモニア等の各種の冷媒を用いることができる。この過冷却用冷媒回路(220)では、充填された過冷却用冷媒を循環させることによって冷凍サイクルが行われる。
過冷却用圧縮機(221)は、全密閉型で高圧ドーム型のスクロール圧縮機である。過冷却用圧縮機(221)には、インバータを介して電力が供給される。この過冷却用圧縮機(221)は、インバータの出力周波数を変化させて圧縮機モータの回転速度を変更することによって、その容量が変更可能となっている。過冷却用室外熱交換器(222)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。この過冷却用室外熱交換器(222)では、過冷却用冷媒と室外空気の間で熱交換が行われる。過冷却用膨張弁(223)は、電子膨張弁によって構成されている。
過冷却用熱交換器(210)は、いわゆるプレート式熱交換器によって構成されている。過冷却用熱交換器(210)には、第1流路(211)と第2流路(212)とが複数ずつ形成されている。第1流路(211)には過冷却用冷媒回路(220)が、第2流路(212)には冷媒通路(205)がそれぞれ接続されている。そして、この過冷却用熱交換器(210)は、第1流路(211)を流れる過冷却用冷媒と、第2流路(212)を流れる冷凍装置(10)の冷媒とを熱交換させる。
過冷却ユニット(200)には、各種のセンサや圧力スイッチも設けられている。具体的に、過冷却用冷媒回路(220)では、過冷却用圧縮機(221)の吸入側に吸入温度センサ(235)と吸入圧力センサ(234)とが設けられ、過冷却用圧縮機(221)の吐出側に吐出温度センサ(233)と高圧圧力スイッチ(232)とが設けられている。冷媒通路(205)では、過冷却用熱交換器(210)よりも他端寄りの部分、即ち第2液側連絡配管(22)に接続する端部寄りの部分に冷媒温度センサ(236)が設けられている。この冷媒温度センサ(236)は、冷媒温度検出手段を構成している。
また、過冷却ユニット(200)には、外気温センサ(231)と室外ファン(230)とが設けられている。過冷却用室外熱交換器(222)へは、この室外ファン(230)によって室外空気が送られる。
コントローラ(240)は、制御手段を構成している。コントローラ(240)には、冷媒温度センサ(236)の検出値と、吸入圧力センサ(234)の検出値と、外気温センサ(231)の検出値とが入力されている。そして、このコントローラ(240)は、入力されたセンサの検出値に基づき、過冷却用圧縮機(221)の起動と停止とを制御するように構成されている。このコントローラ(240)には、室外ユニット(11)や空調ユニット(12)などで構成された冷凍装置(10)からの信号は一切入力されていない。つまり、コントローラ(240)は、過冷却ユニット(200)に設けられたセンサの検出値など、過冷却ユニット(200)の内部で得られた情報だけに基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転制御を行う。
−冷凍システムの運転動作−
上記冷凍システムが行う運転動作のうち、主要なものについて説明する。
〈冷房運転〉
冷房運転は、冷蔵ショーケース(13)及び冷凍ショーケース(14)において庫内空気の冷却を行い、空調ユニット(12)で室内空気の冷却を行って店内を冷房する運転である。
図2に示すように、冷房運転中は、第1四路切換弁(51)、第2四路切換弁(52)、及び第3四路切換弁(53)がそれぞれ第1状態に設定される。また、室外膨張弁(46)が全閉される一方、空調膨張弁(102)、冷蔵膨張弁(112)、及び冷凍膨張弁(132)の開度がそれぞれ適宜調節される。この状態において、可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)、第2固定容量圧縮機(43)、及びブースタ圧縮機(141)が運転される。この冷房運転中には、過冷却ユニット(200)が運転状態となる。過冷却ユニット(200)の運転動作については後述する。
可変容量圧縮機(41)、第1固定容量圧縮機(42)、及び第2固定容量圧縮機(43)から吐出された冷媒は、第1四路切換弁(51)を通過して室外熱交換器(44)へ送られる。室外熱交換器(44)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)で凝縮した冷媒は、第1液管(81)とレシーバ(45)と第2液管(82)とを順に通過して第1液側連絡配管(21)へ流入する。
第1液側連絡配管(21)へ流入した冷媒は、過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)へ流入する。冷媒通路(205)へ流入した冷媒は、過冷却用熱交換器(210)の第2流路(212)を通過する間に冷却される。過冷却用熱交換器(210)で冷却された過冷却状態の液冷媒は、第2液側連絡配管(22)を通って空調回路(100)と冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに分配される。
空調回路(100)へ流入した冷媒は、空調膨張弁(102)を通過する際に減圧されてから空調熱交換器(101)へ導入される。空調熱交換器(101)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。その際、空調熱交換器(101)では、冷媒の蒸発温度が例えば5℃程度に設定される。空調ユニット(12)では、空調熱交換器(101)で冷却された室内空気が店内へ供給される。
空調熱交換器(101)で蒸発した冷媒は、第2ガス側連絡配管(24)を通って室外回路(40)へ流入し、その後、第1四路切換弁(51)と第2四路切換弁(52)を順に通過して第3吸入管(63)へ流入する。第3吸入管(63)へ流入した冷媒は、その一部が第1分岐管(63a)を通って第2固定容量圧縮機(43)に吸入され、残りが第2分岐管(63b)と第3四路切換弁(53)と第2吸入管(62)とを順に通過して第1固定容量圧縮機(42)に吸入される。
冷蔵回路(110)へ流入した冷媒は、冷蔵膨張弁(112)を通過する際に減圧されてから冷蔵熱交換器(111)へ導入される。冷蔵熱交換器(111)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その際、冷蔵熱交換器(111)では、冷媒の蒸発温度が例えば−5℃程度に設定される。冷蔵熱交換器(111)で蒸発した冷媒は、第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。冷蔵ショーケース(13)では、冷蔵熱交換器(111)で冷却された庫内空気が庫内へ供給され、庫内温度が例えば5℃程度に保たれる。
冷凍回路(130)へ流入した冷媒は、冷凍膨張弁(132)を通過する際に減圧されてから冷凍熱交換器(131)へ導入される。冷凍熱交換器(131)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。その際、冷凍熱交換器(131)では、冷媒の蒸発温度が例えば−30℃程度に設定される。冷凍ショーケース(14)では、冷凍熱交換器(131)で冷却された庫内空気が庫内へ供給され、庫内温度が例えば−20℃程度に保たれる。
冷凍熱交換器(131)で蒸発した冷媒は、ブースタ回路(140)へ流入してブースタ圧縮機(141)へ吸入される。ブースタ圧縮機(141)で圧縮された冷媒は、吐出管(144)を通って第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。
第1ガス側連絡配管(23)では、冷蔵回路(110)から送り込まれた冷媒と、ブースタ回路(140)から送り込まれた冷媒とが合流する。そして、これらの冷媒は、第1ガス側連絡配管(23)を通過して室外回路(40)の第1吸入管(61)へ流入する。第1吸入管(61)へ流入した冷媒は、その第1分岐管(61a)を通って可変容量圧縮機(41)に吸入される。
〈第1暖房運転〉
第1暖房運転は、冷蔵ショーケース(13)及び冷凍ショーケース(14)において庫内空気の冷却を行い、空調ユニット(12)で室内空気の加熱を行って店内を暖房する運転である。
図3に示すように、室外回路(40)では、第1四路切換弁(51)が第2状態に、第2四路切換弁(52)が第1状態に、第3四路切換弁(53)が第1状態にそれぞれ設定される。また、室外膨張弁(46)が全閉される一方、空調膨張弁(102)、冷蔵膨張弁(112)、及び冷凍膨張弁(132)の開度が適宜調節される。この状態において、可変容量圧縮機(41)及びブースタ圧縮機(141)が運転され、第1固定容量圧縮機(42)及び第2固定容量圧縮機(43)が休止する。また、室外熱交換器(44)は、冷媒が送り込まれずに休止状態となる。この第1暖房運転中には、過冷却ユニット(200)が停止状態となる。
可変容量圧縮機(41)から吐出された冷媒は、第1四路切換弁(51)と第2ガス側連絡配管(24)と順に通って空調回路(100)の空調熱交換器(101)へ導入され、室内空気へ放熱して凝縮する。空調ユニット(12)では、空調熱交換器(101)で加熱された室内空気が店内へ供給される。空調熱交換器(101)で凝縮した冷媒は、第2液側連絡配管(22)を通って冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに分配される。
冷蔵ショーケース(13)及び冷凍ショーケース(14)では、上記冷房運転時と同様に、庫内空気の冷却が行われる。冷蔵回路(110)へ流入した冷媒は、冷蔵熱交換器(111)で蒸発した後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。一方、冷凍回路(130)へ流入した冷媒は、冷凍熱交換器(131)で蒸発した後にブースタ圧縮機(141)で圧縮され、その後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。第1ガス側連絡配管(23)へ流入した冷媒は、第1吸入管(61)を通過後に可変容量圧縮機(41)に吸入されて圧縮される。
このように、第1暖房運転では、冷蔵熱交換器(111)及び冷凍熱交換器(131)において冷媒が吸熱し、空調熱交換器(101)において冷媒が放熱する。そして、冷蔵熱交換器(111)及び冷凍熱交換器(131)で冷媒が庫内空気から吸熱した熱を利用して、店内の暖房が行われる。
尚、第1暖房運転中には、図4に示すように、第1固定容量圧縮機(42)を運転してもよい。第1固定容量圧縮機(42)を運転するか否かは、冷蔵ショーケース(13)及び冷凍ショーケース(14)における冷却負荷に応じて決定される。この場合には、第3四路切換弁(53)が第2状態に設定される。そして、第1吸入管(61)へ流入した冷媒は、その一部が第1分岐管(61a)を通って可変容量圧縮機(41)に吸入され、残りが第2分岐管(61b)と第3四路切換弁(53)と第2吸入管(62)とを順に通って第1固定容量圧縮機(42)へ吸入される。
〈第2暖房運転〉
第2暖房運転は、上記第1暖房運転と同様に店内の暖房を行う運転である。この第2暖房運転は、上記第1暖房運転では暖房能力が不足する場合に行われる。
図5に示すように、室外回路(40)では、第1四路切換弁(51)が第2状態に、第2四路切換弁(52)が第1状態に、第3四路切換弁(53)が第1状態にそれぞれ設定される。また、室外膨張弁(46)、空調膨張弁(102)、冷蔵膨張弁(112)、及び冷凍膨張弁(132)の開度が適宜調節される。この状態において、可変容量圧縮機(41)、第2固定容量圧縮機(43)、及びブースタ圧縮機(141)が運転され、第1固定容量圧縮機(42)が休止する。この第1暖房運転中には、過冷却ユニット(200)が停止状態となる。
可変容量圧縮機(41)及び第2固定容量圧縮機(43)から吐出された冷媒は、第1四路切換弁と第2ガス側連絡配管(24)とを順に通って空調回路(100)の空調熱交換器(101)へ導入され、室内空気へ放熱して凝縮する。空調ユニット(12)では、空調熱交換器(101)で加熱された室内空気が店内へ供給される。空調熱交換器(101)で凝縮した冷媒は、第2液側連絡配管(22)へ流入する。第2液側連絡配管(22)へ流入した冷媒は、その一部が冷蔵回路(110)と冷凍回路(130)とに分配され、残りが過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)へ導入される。
冷蔵ショーケース(13)及び冷凍ショーケース(14)では、上記冷房運転時と同様に、庫内空気の冷却が行われる。冷蔵回路(110)へ流入した冷媒は、冷蔵熱交換器(111)で蒸発した後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。一方、冷凍回路(130)へ流入した冷媒は、冷凍熱交換器(131)で蒸発した後にブースタ圧縮機(141)で圧縮され、その後に第1ガス側連絡配管(23)へ流入する。そして、第1ガス側連絡配管(23)へ流入した冷媒は、第1吸入管(61)を通過後に可変容量圧縮機(41)に吸入されて圧縮される。
過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)へ流入した冷媒は、第1液側連絡配管(21)と第3液管(83)とを順に通過してレシーバ(45)へ流入し、その後に第2液管(82)を通って第4液管(84)へ流入する。第4液管(84)へ流入した冷媒は、室外膨張弁(46)を通過する際に減圧されてから室外熱交換器(44)へ導入され、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、第1四路切換弁(51)と第2四路切換弁(52)とを順に通過して第2吸入管(62)へ流入し、第2固定容量圧縮機(43)へ吸入されて圧縮される。
このように、第2暖房運転では、冷蔵熱交換器(111)、冷凍熱交換器(131)、及び室外熱交換器(44)において冷媒が吸熱し、空調熱交換器(101)において冷媒が放熱する。そして、冷蔵熱交換器(111)及び冷凍熱交換器(131)で冷媒が庫内空気から吸熱した熱と、室外熱交換器(44)で冷媒が室外空気から吸熱した熱とを利用して、店内の暖房が行われる。
−過冷却ユニットの運転動作−
過冷却ユニット(200)の運転動作について説明する。過冷却ユニット(200)の運転状態では、過冷却用圧縮機(221)が運転されると共に、過冷却用膨張弁(223)の開度が適宜調節される。
図1に示すように、過冷却用圧縮機(221)から吐出された過冷却用冷媒は、過冷却用室外熱交換器(222)で室外空気へ放熱して凝縮する。過冷却用室外熱交換器(222)で凝縮した過冷却用冷媒は、過冷却用膨張弁(223)を通過する際に減圧されてから過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)へ流入する。過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)では、過冷却用冷媒が第2流路(212)の冷媒から吸熱して蒸発する。過冷却用熱交換器(210)で蒸発した過冷却用冷媒は、過冷却用圧縮機(221)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、コントローラ(240)は、入力されたセンサの検出値に基づき、過冷却用圧縮機(221)の起動と停止とを制御する。ここでは、コントローラ(240)の制御動作について、図6を参照しながら説明する。このコントローラ(240)の制御動作は、一定の時間間隔(例えば10秒間隔)で繰り返し行われる。
最初に、ステップST10では、過冷却用圧縮機(221)が運転中か停止中かの判断が行われる。
ステップST10で過冷却用圧縮機(221)が運転中であると判断されると、ステップST11へ移る。ステップST11では、過冷却用圧縮機(221)が起動した時点から所定時間(例えば2分間)が経過しているか否かが判断される。そして、過冷却用圧縮機(221)の起動時点から所定時間が経過していればステップST12へ移る。一方、所定時間が経過していなければステップST14へ移って制御動作を一旦終了し、過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。
ステップST12では、過冷却用圧縮機(221)を停止させるかどうかの判断が行われる。このステップST12では、以下に示す4つの条件が満たされるか否かの判断が行われる。そして、これら4つの条件の何れか1つでも満たされていれば、ステップST13へ移って過冷却用圧縮機(221)を停止させる。一方、これら4つの条件が全て満たされていなければ、ステップST14へ移って制御動作を一旦終了し、過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。
ステップST12の第1条件について説明する。この第1条件は、過冷却用圧縮機(221)の起動後に冷媒温度センサ(236)の検出値が順調に低下してゆくかどうかを判断するための条件である。
ステップST12の第1条件を満たすためには、次の6つの要件を充足する必要がある。第1の要件は、外気温センサ(231)の検出値Taが20℃未満である(Ta<20)というものである。第2の要件は、過冷却用圧縮機(221)の起動時点における冷媒温度センサ(236)の検出値Tout_0と過冷却用圧縮機(221)の起動から1分経過後における冷媒温度センサ(236)の検出値Tout_1との差が3℃以下である(Tout_0−Tout_1≦3)というものである。第3の要件は、過冷却用圧縮機(221)の起動時点における冷媒温度センサ(236)の検出値Tout_0と過冷却用圧縮機(221)の起動から2分経過後における冷媒温度センサ(236)の検出値Tout_2との差が5℃以下である(Tout_0−Tout_2≦5)いうものである。第4の要件は、過冷却用圧縮機(221)の起動時点における冷媒温度センサ(236)の検出値Tout_0と過冷却用圧縮機(221)の起動から3分経過後における冷媒温度センサ(236)の検出値Tout_3との差が7℃以下である(Tout_0−Tout_3≦7)というものである。第5の要件は、過冷却用圧縮機(221)の起動時点から既に3分経過しているというものである。第6の要件は、冷媒温度センサ(236)が正常に作動しているというものである。
これら第1〜第6の要件が全て満たされる場合には、室外空気の温度がさほど高くなくて過冷却用熱交換器(210)での冷却能力が充分に得られているにも拘わらず、冷媒温度センサ(236)の検出値Toutがさほど低下してゆかない状態となっている。このため、ステップST12の第1条件が満たされた場合には、第1暖房運転中のように冷媒通路(205)内を冷媒が流れていない状態か、第2暖房運転中のように冷媒通路(205)内を室外ユニット(11)へ向けて冷媒が流れる状態であると判断できる。そこで、この第1条件が満たされると、コントローラ(240)は、冷凍装置(10)が過冷却ユニット(200)の運転を必要としない運転状態にあると判断し、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
ステップST12の第2条件について説明する。この第2条件は、過冷却用圧縮機(221)の運転中に冷媒温度センサ(236)の検出値が過冷却用冷媒の蒸発温度に対応した妥当な値になっているかどうかを判断するための条件である。
ステップST12の第2条件を満たすためには、次の4つの要件を充足する必要がある。第1の要件は、過冷却用圧縮機(221)の起動時点から既に5分経過しているというものである。第2の要件は、冷媒温度センサ(236)の検出値Toutが過冷却用熱交換器(210)における過冷却用冷媒の蒸発温度Tgに15を加えた値よりも大きい(Tout>Tg+15)というものである。第3の要件は、冷媒温度センサ(236)が正常に作動しているというものである。第4の要件は、吸入圧力センサ(234)が正常に作動しているというものである。
尚、このコントローラ(240)では、吸入圧力センサ(234)の検出値LPにおける過冷却用冷媒の飽和温度を、過冷却用冷媒の蒸発温度Tgとみなしている。つまり、本実施形態では、過冷却用冷媒の蒸発温度を検出する蒸発温度検出手段が、吸入圧力センサ(234)によって構成されている。
これら第1〜第4の要件が全て満たされる場合には、過冷却用冷媒回路(220)で冷凍サイクルが行われているにも拘わらず、冷媒温度センサ(236)の検出値Toutと過冷却用冷媒の蒸発温度Tgとの差が15℃よりも大きい状態となっている。このため、ステップST12の第2条件が満たされた場合も、第1暖房運転中のように冷媒通路(205)内を冷媒が流れていない状態か、第2暖房運転中のように冷媒通路(205)内を室外ユニット(11)へ向けて冷媒が流れる状態であると判断できる。そこで、この第2条件が満たされると、コントローラ(240)は、冷凍装置(10)が過冷却ユニット(200)の運転を必要としない運転状態にあると判断し、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
ステップST12の第3条件について説明する。この第3条件が満たされるのは、吸入圧力センサ(234)の検出値LPが0.2MPa未満であり、且つ吸入圧力センサ(234)が異常となっている場合である。この場合には、吸入圧力センサ(234)の検出値が正常ではないため、それに基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転を適切に制御することができない。そこで、第3条件が満たされると、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
ステップST12の第4条件について説明する。この第4条件が満たされるのは、吸入圧力センサ(234)の検出値LPが0.15MPa未満となっている場合である。この場合には、吸入圧力センサ(234)の検出値が通常の運転状態では有り得ない程の低い値となっている。そこで、第4条件が満たされると、コントローラ(240)は、何らかのトラブルが発生していると判断し、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
ステップST10で過冷却用圧縮機(221)が停止中であると判断されると、ステップST15へ移る。ステップST15では、過冷却用圧縮機(221)の停止時点から所定時間が経過したか否かが判断される。過冷却用圧縮機(221)の起動と停止が短時間の間に繰り返されるのを回避するため、過冷却用圧縮機(221)が一旦停止すると、その停止時点からある程度の時間が経過するまでは過冷却用圧縮機(221)の再起動を制限する。ステップST15において、過冷却用圧縮機(221)の停止時点から所定時間が経過していなければ、ステップST14へ移って制御動作を一旦終了し、過冷却用圧縮機(221)を停止状態に保持する。一方、過冷却用圧縮機(221)の停止時点から所定時間が経過していれば、ステップST16へ移る。
ステップST16では、過冷却用圧縮機(221)を起動するかどうかの判断が行われる。このステップST16では、以下に示す3つの条件が満たされるか否かの判断が行われる。そして、これら3つの条件の何れか1つでも満たされていれば、ステップST17へ移って過冷却用圧縮機(221)を起動する。一方、これら3つの条件が全て満たされていなければ、ステップST14へ移って制御動作を一旦終了し、過冷却用圧縮機(221)を停止状態に保持する。
ステップST16の第1条件について説明する。この第1条件が満たされるのは、外気温センサ(231)の検出値Taが25℃以上であり、且つ過冷却用圧縮機(221)の停止時点から既に1分経過している場合である。この場合には、室外空気がかなり高温であるにも拘わらず、1分以上に亘って過冷却用圧縮機(221)が停止した状態となっている。そこで、第1条件が満たされると、コントローラ(240)は、冷媒通路(205)内の冷媒を冷却するために過冷却用圧縮機(221)を起動する。
ステップST16の第2条件について説明する。この第2条件が満たされるのは、外気温センサ(231)の検出値Taが20℃以上であり、且つ過冷却用圧縮機(221)の停止時点から既に3分経過している場合である。この場合には、室外空気が比較的高温であるにも拘わらず、3分以上に亘って過冷却用圧縮機(221)が停止した状態となっている。そこで、第2条件が満たされると、コントローラ(240)は、冷媒通路(205)内の冷媒を冷却するために過冷却用圧縮機(221)を起動する。
ステップST16の第3条件について説明する。この第3条件が満たされるのは、過冷却用圧縮機(221)の停止時点から既に10分経過している場合である。この場合には、比較的長時間に亘って過冷却用圧縮機(221)が停止した状態となっている。そこで、第3条件が満たされると、コントローラ(240)は、冷媒通路(205)内の冷媒を冷却するために過冷却用圧縮機(221)を起動する。このように、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の停止時間が10分間以上に達すると、必ず過冷却用圧縮機(221)の起動を行う。
−実施形態の効果−
上記過冷却ユニット(200)において、コントローラ(240)は、過冷却ユニット(200)に設けられたセンサの検出値など、過冷却ユニット(200)内で得られる情報だけに基づいて過冷却用圧縮機(221)の運転を制御している。つまり、この過冷却ユニット(200)では、冷凍装置(10)との間で信号の授受などを行わなくても、冷凍装置(10)の運転状態に応じて過冷却用圧縮機(221)の運転を制御することが可能となる。このため、上記過冷却ユニット(200)を冷凍装置(10)に取り付ける際には、冷凍装置(10)の第1,第2液側連絡配管(21,22)に過冷却ユニット(200)の冷媒通路(205)を接続するだけでよく、冷凍装置(10)と過冷却ユニット(200)の間で信号を授受するための通信用配線を敷設する必要が無くなる。
従って、本実施形態によれば、過冷却ユニット(200)を冷凍装置(10)に取り付ける際の作業工数を削減することができ、更には誤配線等の設置作業時の人的ミスに起因するトラブルを未然に防止することができる。
ここで、過冷却ユニット(200)と冷凍装置(10)の間で信号を授受するためには、過冷却ユニット(200)だけでなく冷凍装置(10)にも通信インターフェースが必要となる。このため、運転制御に冷凍装置(10)からの信号入力が必要な過冷却ユニット(200)については、適用可能な冷凍装置(10)の機種が制限されることとなり、過冷却ユニット(200)の使い勝手が良くないという問題もあった。
これに対し、本実施形態の過冷却ユニット(200)は、冷凍装置(10)との間における信号の授受を全く必要とせず、取り付け対象となる冷凍装置(10)について制約を受けない。従って、本実施形態によれば、過冷却ユニット(200)の取り付け対象となる冷凍装置(10)の機種の制約をなくすことができ、過冷却ユニット(200)の使い勝手を大幅に向上させることができる。
−実施形態の変形例1−
本実施形態の過冷却ユニット(200)では、冷媒通路(205)における過冷却用熱交換器(210)の両側に温度センサ(237,238)を設け、これら温度センサ(237,238)の検出値に基づいて過冷却用圧縮機(221)を運転制御するようにしてもよい。
図7に示すように、冷媒通路(205)では、過冷却用熱交換器(210)よりも他端寄りの部分、即ち第2液側連絡配管(22)に接続する端部寄りの部分に第1冷媒温度センサ(237)が設けられる。また、この冷媒通路(205)では、過冷却用熱交換器(210)よりも一端寄りの部分、即ち第1液側連絡配管(21)に接続する端部寄りの部分に第2冷媒温度センサ(238)が設けられる。この過冷却ユニット(200)では、第1冷媒温度センサ(237)が第1冷媒温度検出手段を、第2冷媒温度センサ(238)が第2冷媒温度検出手段をそれぞれ構成している。
本変形例のコントローラ(240)には、第1冷媒温度センサ(237)の検出値と第2冷媒温度センサ(238)の検出値とが入力される。このコントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の運転中における2つの冷媒温度センサ(237,238)の検出値を対比し、その結果に応じて過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させるか停止させるかを決定するように構成されている。
このコントローラ(240)の制御動作について説明する。
先ず、過冷却用圧縮機(221)の運転中に第1冷媒温度センサ(237)の検出値が第2冷媒温度センサ(238)の検出値よりも低くなっていれば、過冷却用熱交換器(210)で冷却された冷媒の温度が第1冷媒温度センサ(237)によって検出されていることとなる。従って、この場合には、例えば冷房運転中のように冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れていると判断でき、コントローラ(240)は過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の運転中に第2冷媒温度センサ(238)の検出値が第1冷媒温度センサ(237)の検出値よりも低くなっていれば、過冷却用熱交換器(210)で冷却された冷媒の温度が第2冷媒温度センサ(238)によって検出されていることとなる。従って、この場合には、例えば第2暖房運転中のように冷媒通路(205)内を第2液側連絡配管(22)側から第1液側連絡配管(21)側へ向かって冷媒が流れていると判断でき、コントローラ(240)は過冷却用圧縮機(221)の運転を停止させる。
また、過冷却用圧縮機(221)の運転中に第1冷媒温度センサ(237)の検出値と第2冷媒温度センサ(238)の検出値とが殆ど同じになっていれば、例えば第1暖房運転中のように冷媒通路(205)内で冷媒が流通していないと判断でき、コントローラ(240)は過冷却用圧縮機(221)の運転を停止させる。
なお、本変形例のコントローラ(240)では、第1冷媒温度センサ(237)の検出値と第2冷媒温度センサ(238)の検出値との差を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いてもよい。つまり、第1冷媒温度センサ(237)の検出値から第2冷媒温度センサ(238)の検出値を差し引いた値が負であれば、第1冷媒温度センサ(237)の検出値が第2冷媒温度センサ(238)の検出値よりも低い状態であると判断できるため、コントローラ(240)は過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。また、第1冷媒温度センサ(237)の検出値から第2冷媒温度センサ(238)の検出値を差し引いた値がゼロ以上であれば、第1冷媒温度センサ(237)の検出値が第2冷媒温度センサ(238)の検出値よりも高いか或いは両者が同じ状態であると判断できるため、コントローラ(240)は過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
−実施形態の変形例2−
本実施形態の過冷却ユニット(200)では、図8に示すように、冷媒通路(205)に流量計(251)を設け、この流量計(251)の検出値に基づいて過冷却用圧縮機(221)を運転制御するようにしてもよい。
この過冷却ユニット(200)では、流量計(251)の検出値がコントローラ(240)に入力される。コントローラ(240)は、冷媒通路(205)内における冷媒の流通方向と、冷媒通路(205)内で冷媒が流通しているか否かとを、流量計(251)の検出値に基づいて判断する。つまり、このコントローラ(240)は、流量計(251)の検出値を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いている。
過冷却用圧縮機(221)の運転中に冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れていると判断した場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。また、過冷却用圧縮機(221)の運転中に冷媒通路(205)内を第2液側連絡配管(22)側から第1液側連絡配管(21)側へ向かって冷媒が流れていると判断した場合、あるいは過冷却用圧縮機(221)の運転中に冷媒通路(205)内を冷媒が流通していないと判断した場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の運転を停止させる。
−実施形態の変形例3−
本実施形態のコントローラ(240)では、外気温センサ(231)の検出値だけに基づいて、過冷却用圧縮機(221)の運転を制御してもよい。
コントローラ(240)の動作を説明する。外気温センサ(231)の検出値が所定の上限値(例えば30℃)を上回ると、冷蔵ショーケース(13)や冷凍ショーケース(14)での冷却負荷、あるいは空調ユニット(12)での冷房負荷が高くなっていると推測できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)が停止中であれば過冷却用圧縮機(221)を起動させ、過冷却用圧縮機(221)が運転中であれば過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって流れる冷媒は、過冷却用熱交換器(210)で冷却されてから冷蔵ショーケース(13)等へ供給される。
一方、外気温センサ(231)の検出値が所定の下限値(例えば20℃)を下回ると、冷蔵ショーケース(13)や冷凍ショーケース(14)での冷却負荷、あるいは空調ユニット(12)での冷房負荷が低くなっていると推測でき、過冷却用圧縮機(221)の運転が必要ないと判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)が停止中であれば過冷却用圧縮機(221)を停止したままとし、過冷却用圧縮機(221)が運転中であれば過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
−実施形態の変形例4−
本実施形態のコントローラ(240)では、冷媒温度検出手段(236)の検出値の変化だけに基づいて、過冷却用圧縮機(221)の運転を制御してもよい。本変形例のコントローラ(240)は、冷媒温度検出手段(236)の検出値の変化を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いる。
コントローラ(240)の動作を説明する。過冷却用圧縮機(221)を起動させた時点から冷媒温度検出手段(236)の検出値が次第に低下してくる場合は、冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れていると判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の起動させても冷媒温度検出手段(236)の検出値が低下してこない場合は、冷媒通路(205)内を第2液側連絡配管(22)側から第1液側連絡配管(21)側へ向かって冷媒が流れている、あるいは冷媒通路(205)内を冷媒が流れていないと判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
また、過冷却用圧縮機(221)を停止させた時点から冷媒温度検出手段(236)の検出値が次第に上昇してくる場合は、冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れていると判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を再起動させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の停止中でも冷媒温度検出手段(236)の検出値が上昇してこない場合は、冷媒通路(205)内を第2液側連絡配管(22)側から第1液側連絡配管(21)側へ向かって冷媒が流れている、あるいは冷媒通路(205)内を冷媒が流れていないと判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させたままとする。
−実施形態の変形例5−
本実施形態のコントローラ(240)では、過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)の入口と出口における過冷却用冷媒の温度差に基づいて、過冷却用圧縮機(221)の運転を制御してもよい。
図9に示すように、本変形例の過冷却ユニット(200)には、第1過冷却用冷媒温度センサ(252)と第2過冷却用冷媒温度センサ(253)とが設けられる。過冷却用冷媒回路(220)において、第1過冷却用冷媒温度センサ(252)は、過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)の直前に設けられ、この第1流路(211)へ流入しようとする過冷却用冷媒の温度を検出する。一方、第2過冷却用冷媒温度センサ(253)は、過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)の直後に設けられ、この第1流路(211)から流出した直後の過冷却用冷媒の温度を検出する。そして、本変形例のコントローラ(240)は、第1過冷却用冷媒温度センサ(252)の検出値と第2過冷却用冷媒温度センサ(253)の検出値との差を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いる。
コントローラ(240)の動作を説明する。過冷却用圧縮機(221)の運転中において、第2過冷却用冷媒温度センサ(253)の検出値が第1過冷却用冷媒温度センサ(252)の検出値よりも高い場合(即ち、第2過冷却用冷媒温度センサ(253)の検出値から第1過冷却用冷媒温度センサ(252)の検出値を差し引いた値が正(+)の場合)には、冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れていると判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の運転中において、第2過冷却用冷媒温度センサ(253)の検出値が第1過冷却用冷媒温度センサ(252)の検出値よりも低い場合あるいは両者に差がない場合(即ち、第2過冷却用冷媒温度センサ(253)の検出値から第1過冷却用冷媒温度センサ(252)の検出値を差し引いた値がゼロ以下の場合)には、冷媒通路(205)内を第2液側連絡配管(22)側から第1液側連絡配管(21)側へ向かって冷媒が流れているか、あるいは冷媒通路(205)内を冷媒が流れていないと判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
−実施形態の変形例6−
本実施形態のコントローラ(240)では、吸入圧力センサ(234)の検出値だけに基づいて、過冷却用圧縮機(221)の運転を制御してもよい。吸入圧力センサ(234)の検出値は、過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)における冷媒圧力、即ち過冷却用冷媒の蒸発圧力とほぼ等しくなる。このため、本変形例では、吸入圧力センサ(234)が蒸発圧力検出手段を構成している。そして、本変形例のコントローラ(240)は、吸入圧力センサ(234)の検出値を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いる。
コントローラ(240)の動作を説明する。過冷却用圧縮機(221)の運転中に吸入圧力センサ(234)の検出値が所定の基準値(例えば0.2MPa)を上回っていれば、過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)で過冷却用冷媒が蒸発していることになり、冷媒通路(205)内を冷媒が流れていると判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の運転中に吸入圧力センサ(234)の検出値が上記基準値以下になっていれば、過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)で過冷却用冷媒が殆ど蒸発していないことになり、冷媒通路(205)内を冷媒が流れていないと判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
−実施形態の変形例7−
本実施形態のコントローラ(240)では、冷媒温度センサ(236)の検出値Toutと過冷却用冷媒の蒸発温度Tgとの差だけに基づいて、過冷却用圧縮機(221)の運転を制御してもよい。本変形例のコントローラ(240)は、冷媒温度センサ(236)の検出値Toutと過冷却用冷媒の蒸発温度Tgとの差を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いる。
コントローラ(240)の動作を説明する。過冷却用圧縮機(221)の運転中において、冷媒温度センサ(236)の検出値Toutから過冷却用冷媒の蒸発温度Tgを差し引いた値が所定の基準値(例えば15℃)以下となっている場合には、冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れていると判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)の運転を継続させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の運転中において、冷媒温度センサ(236)の検出値Toutから過冷却用冷媒の蒸発温度Tgを差し引いた値が上記基準値以下となっている場合には、冷媒通路(205)内を第2液側連絡配管(22)側から第1液側連絡配管(21)側へ向かって冷媒が流れているか、あるいは冷媒通路(205)内を冷媒が流れていないと判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させる。
−実施形態の変形例8−
本実施形態のコントローラ(240)では、冷媒温度検出手段(236)の検出値だけに基づいて、過冷却用圧縮機(221)の運転を制御してもよい。本変形例のコントローラ(240)は、冷媒温度検出手段(236)の検出値を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いる。
コントローラ(240)の動作を説明する。過冷却用圧縮機(221)の停止中に冷媒温度検出手段(236)の検出値が所定の基準値を上回っている場合は、室外ユニット(11)から冷蔵ショーケース(13)等の利用側へ送られる冷媒の温度が高くなっていて、冷蔵ショーケース(13)等での冷却能力が不足気味になっていると推測できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を起動させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の停止中に冷媒温度検出手段(236)の検出値が所定の基準値以下となっている場合は、室外ユニット(11)から冷蔵ショーケース(13)等の利用側へ送られる冷媒の温度がさほど高くなく、冷蔵ショーケース(13)等での冷却能力を充分に確保できていると推測できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させたままとする。
−実施形態の変形例9−
本実施形態のコントローラ(240)では、冷媒温度検出手段(236)の検出値と外気温センサ(231)の検出値との差に基づいて、過冷却用圧縮機(221)の運転を制御してもよい。本変形例のコントローラ(240)は、冷媒温度検出手段(236)の検出値と外気温センサ(231)の検出値との差を、冷媒通路(205)における冷媒の流通状態を示す流通状態表示値として用いる。
コントローラ(240)の動作を説明する。冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れているときは、室外熱交換器(44)で室外空気へ放熱して凝縮した冷媒が冷媒通路(205)へ流入することになるが、この冷媒の温度が室外空気の温度を下回ることは有り得ない。このため、過冷却用圧縮機(221)の停止中において、冷媒温度検出手段(236)の検出値から外気温センサ(231)の検出値を差し引いた値が所定の基準値を上回っている場合には、冷媒通路(205)内を第1液側連絡配管(21)側から第2液側連絡配管(22)側へ向かって冷媒が流れていると判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を起動させる。
一方、過冷却用圧縮機(221)の停止中において、冷媒温度検出手段(236)の検出値から外気温センサ(231)の検出値を差し引いた値が所定の基準値以下となっている場合には、冷媒通路(205)内を第2液側連絡配管(22)側から第1液側連絡配管(21)側へ向かって冷媒が流れているか、あるいは冷媒通路(205)内を冷媒が流れていないと判断できる。そこで、このような場合、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止したままにする。
−実施形態の変形例10−
本実施形態の過冷却ユニット(200)において、過冷却用冷媒回路(220)は、冷媒を自然循環させることができるように構成されていてもよい。
図10に示すように、本変形例の過冷却用冷媒回路(220)では、過冷却用室外熱交換器(222)が過冷却用熱交換器(210)よりも上方に配置されている。また、この過冷却用冷媒回路(220)には、バイパス配管(224)が設けられている。このバイパス配管(224)は、その一端が過冷却用圧縮機(221)の吸入側に、他端が過冷却用圧縮機(221)の吐出側にそれぞれ接続されている。また、バイパス配管(224)には、その一端から他端へ向かう冷媒の流通だけを許容する逆止弁(225)が設けられている。
この過冷却用冷媒回路(220)では、過冷却用圧縮機(221)の停止中であっても、室外ファン(230)を運転することで過冷却用冷媒が循環する。具体的に、室外ファン(230)を運転すると、過冷却用室外熱交換器(222)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。過冷却用室外熱交換器(222)で凝縮した過冷却用冷媒は、重力によって流れ落ち、全開状態に設定された過冷却用膨張弁(223)を通過して過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)へ流入する。過冷却用熱交換器(210)の第1流路(211)では、過冷却用冷媒が第2流路(212)の冷媒から吸熱して蒸発する。過冷却用熱交換器(210)で蒸発した過冷却用冷媒は、バイパス配管(224)を通って過冷却用室外熱交換器(222)へ戻り、室外空気と熱交換して再び凝縮する。
過冷却ユニット(200)の起動時において、本変形例のコントローラ(240)は、先ず室外ファン(230)を起動させ、室外ファン(230)を運転した状態で過冷却用圧縮機(221)を起動させるか否かを判断する。つまり、コントローラ(240)は、冷媒通路(205)内を流れる冷媒の冷却が必要な状態であると判断すると、過冷却用圧縮機(221)を停止させたままで室外ファン(230)だけを起動する。室外ファン(230)を起動すると、冷媒通路(205)では過冷却用冷媒が自然循環し、過冷却用熱交換器(210)では過冷却用冷媒によって第2流路(212)の冷媒が冷却される。コントローラ(240)は、この室外ファン(230)だけを運転する状態を所定の時間(例えば5分間)に亘って継続させ、その後に冷媒通路(205)内を流れる冷媒の冷却が不足しているか否かを判定する。そして、冷媒通路(205)内を流れる冷媒の冷却が不足していれば、コントローラ(240)が過冷却用圧縮機(221)を起動させる。
過冷却用圧縮機(221)が起動すると、過冷却用冷媒回路(220)において冷凍サイクルが行われる。一方、この冷媒の冷却が不足していなければ、コントローラ(240)は、過冷却用圧縮機(221)を停止させたままで室外ファン(230)の運転だけを継続させる。
本変形例では、室外ファン(230)の運転により過冷却用冷媒を自然循環させただけでは熱源側冷媒の冷却が不足する場合にだけ、過冷却用圧縮機(221)を起動するようにしている。このため、過冷却用圧縮機(221)の起動が不要であるにも拘わらず過冷却用圧縮機(221)を起動させてしまう事態を回避でき、過冷却用圧縮機(221)の起動回数を削減することができる。その結果、過冷却用圧縮機(221)が不安定な過渡状態で運転される時間を短縮でき、過冷却用圧縮機(221)の信頼性を向上させることができる。
−実施形態の変形例11−
本実施形態の過冷却ユニット(200)は、過冷却用冷媒回路(220)の代えて、冷水が流通する冷水回路を冷却用流体回路として設けてもよい。この冷水回路では、例えば5℃程度の比較的低温の水が流通している。本変形例の過冷却用熱交換器(210)では、その第1流路(211)に冷水回路が接続され、第1流路(211)内を流れる冷水が第2流路(212)内を流れる冷媒と熱交換する。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。