JP2004324952A - 空気調和機及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧縮機4、室外機1と、圧縮機4の中間圧力部に液インジェクション膨張弁13を介して液インジェクションが接続され、冷房運転と暖房運転とを行うことができる空気調和機において、液インジェクション膨張弁13と室外膨張弁10とが連動して動作するようにして、圧縮機4の吐出過熱度を制御する制御装置3を備え、液インジェクション膨張弁13と室外膨張弁10とが連動して動作するようにする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低外気温度の暖房空調に好適な空気調和機及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の空気調和機の普及に伴い、従来あまり用いられていなかった寒冷地区での暖房空調に空気調和機が用いられており、このため低外気温度において暖房能力を有する空気調和機が求められている。その場合、低外気温度用に圧縮機に冷媒液をインジェクションするための液インジェクション膨張弁を接続した空気調和機が知られている。これは低外気温度時、液インジェクション膨張弁を開けることで、図5のモリエル線図に示されように、冷媒流量G3はG3=G1(通常冷凍サイクル時の流量)+G2(液インジェクションによる流量)となり、冷媒流量を通常の冷凍サイクル時より大きくして暖房能力を増加させるものである。なお、モリエル線図において、Taは圧縮機吸入冷媒温度、Tdは圧縮機吐出冷媒温度、Teは凝縮器出口冷媒温度、Tfは蒸発器入口冷媒温度を示す。
【0003】
加えて、液インジェクションは圧縮機の吐出冷媒温度Tdを低下させ、該Tdを許容温度内に収める作用がある。これは低外気温度の場合、吸入圧力が低下するため通常の冷凍サイクルではTdが上昇しすぎ、圧縮機の周波数を低下させる等の措置を取らなければならないためである。液インジェクション付き空気調和機は、室外膨張弁及び液インジェクション膨張弁の組合せでTdが決定されるため、従来、吸入冷媒温度Taを室外膨張弁で制御し、Tdを液インジェクションで制御するように、それぞれ独立して制御されものであった(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−229494号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図5において、蒸発器の入口冷媒温度Tfと圧縮機の吸入冷媒温度Taとの間は圧力が一定と仮定すれば、HCFC系単一冷媒では温度不変、HFC系混合冷媒でも温度差は非常に小さく、したがってTaは吸入過熱度をとらない限り温度制御ができない。そのため、吸入冷媒温度Taは一定の吸入過熱度をとるように室外膨張弁によって制御されるが、図6に示されるように、空気調和機の吸入過熱度TsSH(曲線28)は最大能力となる状態、すなわち、かわき度=1.00の点からずれてしまう。このため、液インジェクションにより能力増加機能があるにも拘らず、吸入過熱度の制御によって能力が減少し、十分にそのポテンシャルを発揮できるように配慮されていなかった。
【0006】
本発明の目的は、暖房能力を損なうことなく、室外膨張弁及び液インジェクション膨張弁が連動して動作するように制御されて適切な開度を維持し、もって、安定して暖房運転を行うことができる空気調和機及びその制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る空気調和機は、駆動周波数が可変の圧縮機、室外熱交換器及び室外膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器及び室内膨張弁を有する室内機とが接続され、該圧縮機の中間圧力部に液インジェクション膨張弁を介して液インジェクションが接続される空気調和機において、前記液インジェクション膨張弁と前記室外膨張弁とが連動して動作するようにして、前記圧縮機の吐出過熱度を制御する制御装置を備えているものである。
【0008】
より詳しくは、前記制御装置は、前記液インジェクション膨張弁の開度が前記室外膨張弁の開度に係数を掛けたものに等しく、該係数が圧縮機の吸入過熱度により変化して該液インジェクション膨張弁の開度を制御するものである。
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る他の発明は、駆動周波数が可変の圧縮機、室外熱交換器及び室外膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器及び室内膨張弁を有する室内機とが接続され、該圧縮機の中間圧力部に液インジェクション膨張弁を介して液インジェクションが接続される空気調和機の制御方法において、前記液インジェクション膨張弁の開度をEVJ、圧縮機の吐出冷媒温度をTd、該吐出冷媒温度Tdの目標値をTdo、該液インジェクション膨張弁の開度の差分をΔEVJとするとき、該EVJは、Td<Tdoであり、かつΔEVJ>0と計算された場合、前記液インジェクション膨張弁が開かないようにΔEVJ=0に設定し直され、また逆に、Td>Tdoであり、かつΔEVJ<0と計算された場合、前記液インジェクション膨張弁が閉じないようにΔEVJ=0に設定し直される。
【0010】
より詳しくは、例えば、吸入冷媒温度Taの過熱度をTsSH、室外膨張弁開度をEVO、液インジェクション膨張弁開度をEVJ、該EVOを目標吐出冷媒温度Tdに対してPID制御とし、
EVJ=K×EVO ただし、K=−0.125×TsSH+1.0
0.5≦K≦1.0とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る空気調和機の実施例の系統図である。
空気調和機は基本的に、室外機1(破線枠内)、室内機2−1,2−2(鎖線枠内。本実施例は2台を並列接続した例)各検知器からの検知温度、圧力信号等に基づいて、駆動周波数操作器5及び各膨張弁の開度等を操作する制御装置3から構成されている。室外機1と室内機2−1,2−2とは、冷媒を流すために配管接続されている。
【0012】
詳しくは、次ぎのとおりである。
室外機1は、圧縮機4、該圧縮機4を所定の周波数で操作する駆動周波数操作器5、アキュムレータ6、冷媒の流れを切り替える四方弁7を備えている。また室外機1は、室外熱交換機8、室外ファン9、室外膨張弁10、該室外膨張弁10を所定の開度で操作する室外膨張弁操作器11、冷媒量調節器12、液インジェクション膨張弁13、該液インジェクション膨張弁13を所定の開度で操作する液インジェクション膨張弁操作器14を備えている。さらに室外機1は、圧縮機4に吸入される吸入冷媒温度を検知する吸入冷媒温度検知機15、圧縮機4から吐出される吐出冷媒温度を検知する吐出冷媒温度検知機16を備えている。さらにまた、圧縮機4に吸入される吸入冷媒圧力を検知する吸入冷媒圧力検知機17、室外機1から吐出される吐出冷媒圧力を検知する吐出冷媒圧力検知機18、室外熱交換器8を流れる冷媒の温度を検知する冷媒温度検知器19を備えている。
【0013】
一方、室内機2−1,2−2は、室内熱交換器20−1,20−2、室内ファン21−1,21−2を備えている。また、室内機2−1,2−2は、室内膨張弁22−1,22−2、室内膨張弁22−1,22−2の開度を操作する室内膨張弁操作器23−1,23−2、室内熱交換器20−1,20−2を流れる冷媒の温度を検知する冷媒温度検知器24−1,24−2を備えている。これら機器によって、室内機本体25−1,25−2(破線枠内)が構成される。また、室内機2−1,2−2は、室内機本体25−1,25−2が吹き出す冷風もしくは温風の送風量、温度等を調節するためのリモートコントローラ26−1,26−2を備えている。
なお、分岐管27−1,27−2は冷媒液もしくは冷媒ガスを分配または合流するためのものである。
【0014】
上記構成における空気調和機の冷房もしくは暖房サイクル時の基本的な動作について簡単に説明するが、まず冷房サイクル時の動作ついて説明する。
【0015】
圧縮機4で圧縮された高温・高圧の冷媒ガスは、四方弁7を経て室外熱交換器8に流入する。高温・高圧の冷媒ガスは、室外熱交換器8において室外大気と熱交換して室外に放熱され、該冷媒ガスは液化して冷媒液となる。該冷媒液は全開の室外膨張弁10を経て冷媒量調節器12に流入する。該冷媒量調節器12を出た冷媒液は分岐管27−2によって分岐され、該分岐した冷媒液は絞り作用を有する室内膨張弁20−1,20−2を経て室内熱交換20−1,20−2に流入する。該室内熱交換20−1,20−2を流れる際に、冷媒液は室内空気と熱交換して冷媒ガスとなる。詳しくは冷媒液は、室内熱交換20−1,20−2において室内空気から吸熱して冷媒液の一部はガス化し、冷媒液と冷媒ガスとの二相流となって分岐管27−1に合流する。該合流した冷媒ガスは、アキュムレータ6を経て圧縮機6で圧縮されて高温・高圧の冷媒ガスになる、というサイクルを繰り返す。実線矢印は冷房サイクル時の冷媒の流れを示す。
【0016】
次に、暖房サイクル時の動作について説明する。
圧縮機4で圧縮され高温・高圧となった冷媒ガスは、四方弁7を経て分岐管27−1で分岐され、室内熱交換20−1,20−2に流入する。冷媒ガスは、室内熱交換20−1,20−2で室内空気と熱交換する。すなわち、冷媒ガスは室内に放熱して液化され、冷媒液となって分岐管27−2で合流する。該冷媒液の一部は絞り作用を有する室外膨張弁10によってガス化し、冷媒液と冷媒ガスとの二相流となる。二相流はアキュムレータ6を経て冷媒ガスのみが圧縮機4で圧縮され高温・高圧の冷媒ガスになる、というサイクルを繰り返す。破線矢印は暖房サイクル時の冷媒の流れを示す。
なお、室内ファン21−1,21−2による送風量、室内温度等の操作は、リモートコントローラ26−1,26−2によって制御される。
【0017】
次に、液インジェクション膨張弁13の操作について、詳細に説明する。
まず従来の空気調和機の暖房時の制御方法を簡単に説明すれば、圧縮機4の吸入冷媒温度Taは室外膨張弁10により制御され、圧縮機4の吐出冷媒温度Tdは液インジェクション膨張弁13によって制御されていた。すなわち、圧縮機4の吸入冷媒温度Taと吐出冷媒温度Tdとは、独立して制御されていた。前記したように、吸入冷媒温度Taを制御して温度制御する場合、吸入冷媒温度Taは吸入過熱度をとらざるを得ず、この結果、暖房能力は若干低下していた。
【0018】
しかし本実施例では、吐出冷媒温度Tdを制御して温度を制御することで圧縮機4の吸入部は過熱状態とはならず、しめり状態になっている。このため、暖房能力が低下することはない。すなわち、室外膨張弁10で圧縮機4の吐出冷媒温度Tdを制御して温度制御する場合の利点と、液インジェクション膨張弁の開度を制御して冷媒循環量を増加させる場合の利点とを兼ね備えるようにしたものである。つまり、室外膨張弁開度+液インジェクション膨張弁開度の制御によって、図5で示される吐出冷媒温度Tdを決定するようにしたものである。
【0019】
さらに具体的に説明する。
液インジェクション膨張弁13の開度は、室外膨張弁10の開度に係数を掛けたものとする。つまり、液インジェクション膨張弁13の開度をEVJ、室外膨張弁10の開度をEVO、該EVOを目標吐出冷媒温度Tdに対するPID制御とし、仮に、
EVJ=K×EVO …(1)
ただし、K=0.5
とする。
【0020】
上記(1)式では、Kの値を如何に決めるかが重要である。暖房能力を最大とする値は、配管長、室内機−室外機高低差、室外温度、室内温度、圧縮機運転周波数など、種々の要素により変化する。そのため予めKの値を決定するフィードフォワードの考えは適用が難しい。このため、状況に応じて変化するフィードバックの考え方を取り入れる。
【0021】
まずKの値が不当に大きいか、もしくは大き過ぎる場合、図5における吐出冷媒温度Tdが低くなり過ぎ、このため、制御装置3は室外膨張弁開度EVOを小さく絞ろうとする。これは室外膨張弁10の開度EVO及び室外液インジェクション膨張弁13の開度EVJに対する室外膨張弁開度EVOの割合{EVO/(EVO+EVJ)}が最適値より小さくなる状態である。すなわち、この状態は室外膨張弁開度EVOが小さいので室外熱交換機8の入口冷媒温度Tfの値が低くなる。結果的に、吸入冷媒温度Taの過熱度が高くなる。これは、前述した暖房能力が発揮できない状態である。
【0022】
したがって、吸入冷媒温度Taの過熱度TsSHを高くすれば室外膨張弁開度EVOの割合が小さくなり、逆に室外液インジェクション膨張弁開度EVJの割合が大きくなることを考慮して、吸入冷媒温度Taの過熱度TsSHが高い場合はK値を小さくし、吸入冷媒温度Taの過熱度が低い場合はK値を小さくするように設定する。
【0023】
図2は、液インジェクション膨張弁開度EVJを決定するための係数Kと吸入過熱度TsSHとの関係を示す図である。
図に示されるように、例えば、吸入冷媒温度Taの過熱度をTsSH、室外膨張弁開度EVOを目標吐出冷媒温度Tdに対してPID制御とし、
EVJ=K×EVO …(2)
ただし、K=−0.125×TsSH+1.0
0.5≦K≦1.0
とすることで、液インジェクション膨張弁開度EVJは最適に制御される。
【0024】
すなわち上記(2)式のように制御することで、液インジェクション膨張弁開度EVJが不当に大きい場合、吐出冷媒温度Tdの温度が低下し、室外膨張弁開度EVOを閉じようとするので吸入冷媒温度Taの過熱度TsSHが高くなる。その結果(2)式よりKが小さく変化して、K×EVO、つまり液インジェクション膨張弁開度EVJは小さくなり、EVJの値は正常の方向へ補正される。
【0025】
逆に液インジェクション膨張弁開度EVJが不当に小さい場合、吐出冷媒温度Tdの温度が高くなるので室外膨張弁開度EVOは大きくなろうとする。それに伴い吸入冷媒温度Taの過熱度TsSHは小さくなってKの値も大きくなる。Kの値が大きくなることによってK×EVO、つまり液インジェクション膨張弁開度EVJの値は大きくなり、EVJの値は正常な方向へ補正される。実際の製品適用においては、室外液インジェクション膨張弁13と室外機1の容量とのマッチングなどが必要となるので、室外機1の容量別にKとTsSHの値とが異なるようにする。
【0026】
以上の手法を用いて室外液インジェクション膨張弁13を制御すれば、吸入冷媒温度Taの過熱度のため暖房能力が減少するというデメリットが防止され、液インジェクション膨張弁13のメリットを生かした暖房サイクルが実現できる。
【0027】
しかし上記制御方法は定常状態の場合であり、過渡期、つまり動的には矛盾している部分がある。液インジェクション膨張弁開度EVJの値はKと室外膨張弁開度EVOとの両方によって決定され、かつKとEVOが両方同じ方向に変化するように設計されている。そのため液インジェクション膨張弁開度EVJの過剰動作となる要因がある。例えば液インジェクション膨張弁開度EVJが大きい場合は、吐出冷媒温度Tdの温度は低くなって室外膨張弁開度EVOはPID制御により小さくなる。そうすると、Kの値も小さくなるので当然液インジェクション膨張弁開度EVJも小さくなる。室外膨張弁EVOも液インジェクション膨張弁開度EVJも両方小さくなるので、吐出冷媒温度Tdは過剰に上昇する。そのため、逆に室外膨張弁EVOは大きくなり、Kも大きくなり、また液インジェクション膨張弁開度EVJも大きくなる。この結果、吐出冷媒温度Tdは過剰に低下し、このハンチング状態はその後も続く。
【0028】
図3は、吸入冷媒温度Ta及び吐出冷媒温度Tdの過熱度のハンチング状態を示す図である。
図は左側縦軸に吐出冷媒温度Td、Td過熱度、右側縦軸に室外膨張弁開度EVO、液インジェクション膨張弁開度EVJをとり、横軸に時間t(min)をとって示したものである。曲線29は室外膨張弁10の挙動、曲線30は液インジェクション膨張弁13の挙動、曲線31は吐出冷媒温度の挙動、曲線32はTd過熱度の挙動をそれぞれ示している。
【0029】
図から明らかなように、吐出冷媒温度Tdが低下しているにも拘らず液インジェクション膨張弁開度EVJが開き、位相が逆転した結果となる。これを防止するには、室外膨張弁開度EVOのPID係数を小さくし、かつKの値が大きく変化しないよう小さくする。しかしPID係数と異なり、Kの値は暖房能力が最大となるように計算された値であって、動的な安定化の観点から決められたものではない。そのためKの値は不要に変更することができず、上記ハンチングの改良は困難である。
【0030】
図4は、上記したことを含めて制御方法を総括して説明するフローチャートである。
前記(1)式のように、任意時間nにおいて、設定された液インジェクション膨張弁13の開度EVJ(n)=K×EVO(n)から(ステップ:33)、開度差ΔEVJ=EVJ(n)―EVJ(n−1)を求める(ステップ:34)。
【0031】
次に、破線で囲むステップ35〜40が実行される。すなわち、吐出冷媒温度Tdが低いにも拘らず、液インジェクション膨張弁開度EVJが開く動作をさせないために、論理的な手法にてEVJの動きを制限する。つまり、もしTd<Tdo(Td目標値)であり(ステップ:35)、かつΔEVJ>0の場合(ステップ:36)、液インジェクション膨張弁開度EVJが開かないようにΔEVJ=0と設定し直される(ステップ:37)。逆にTd>Tdoであり(ステップ:38)、かつΔEVJ<0の場合(ステップ:39)、液インジェクション膨張弁開度EVJが閉じないようにΔEVJ=0と設定し直される(ステップ:40)。こうすることで、吐出冷媒温度Tdが低下しているにも拘らず液インジェクション膨張弁開度EVJが開くことは防止される。ただし、一時的にEVJ=K×EVOの関係は崩れるが、安定化するにつれてEVJ=K×EVOの関係となる。
【0032】
以降は、開度差が5パルス以上もしくはそれ以上(パルス数は任意数)か、すなわちΔEVJ≧5が判定される(ステップ:41)。さらにΔEVJ≦―5か否か判定される(ステップ:43)。最終的に、―5≦ΔEVJ≦5の範囲で、EVJ(n)=EVJ(n−1)+ΔEVJが求められる(ステップ:45)。
【0033】
上記ステップを踏むことで、液インジェクション付き冷凍サイクルにおいて、吸入過熱度をとることで暖房能力の低下を誘引する従来の制御方法のデメリットを生じさせず、液インジェクションによる暖房能力向上のメリットを有する冷凍サイクルを実現することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、吸入過熱度をとることで暖房能力の低下を誘引する従来の制御方法のデメリットを生じることがなく、室外膨張弁及び液インジェクション膨張弁が連動して動作するように制御されて適切な開度を維持することにより、安定して暖房運転を行える空気調和機及びその制御方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る空気調和機の実施例の系統図である。
【図2】液インジェクション膨張弁開度を決定するための係数Kと吸入過熱度TsSHとの関係を示す図である。
【図3】吐出冷媒温度Tdの過熱度のハンチング状態を示す図である。
【図4】制御方法のフローチャートである。
【図5】液インジェクションを備えた空気調和機における冷凍サイクルのモリエル線図である。
【図6】かわき度及び吸入過熱度TsSHと暖房能力(kw)との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…室外機、2…室内機、3…制御装置、4…圧縮機、5…圧縮機駆動用周波数操作器、6…アキュムレータ、7…四方弁、8…室外熱交換器、9…室外ファン、10…室外膨張弁、11…室外膨張弁操作器、12…冷媒流量調節器、13…液インジェクション膨張弁、14…液インジェクション膨張弁操作器、15…吸入冷媒温度検知器、16…吐出冷媒温度検知器、17…吸入冷媒圧力検知器、18…吐出冷媒圧力検知器、19…冷媒温度検知器、20―1,20―2…室内熱交換機、21―1,21―2…室内ファン、22―1,22―2…室内膨張弁、23―1,23―2…室内膨張弁操作器、24―1,24―2…冷媒温度検知器、25―1,25―2…室内機本体、26―1,26―2…リモートコントローラ。
Claims (4)
- 駆動周波数が可変の圧縮機、室外熱交換器及び室外膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器及び室内膨張弁を有する室内機とが接続され、該圧縮機の中間圧力部に液インジェクション膨張弁を介して液インジェクションが接続される空気調和機において、
前記液インジェクション膨張弁と前記室外膨張弁とが連動して動作するようにして、前記圧縮機の吐出過熱度を制御する制御装置を備えていることを特徴とする空気調和機。 - 前記制御装置は、前記液インジェクション膨張弁の開度が前記室外膨張弁の開度に係数を掛けたものに等しく、該係数が圧縮機の吸入過熱度により変化して該液インジェクション膨張弁の開度を制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
- 駆動周波数が可変の圧縮機、室外熱交換器及び室外膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器及び室内膨張弁を有する室内機とが接続され、該圧縮機の中間圧力部に液インジェクション膨張弁を介して液インジェクションが接続される空気調和機の制御方法において、
前記液インジェクション膨張弁の開度をEVJ、圧縮機の吐出冷媒温度をTd、該吐出冷媒温度Tdの目標値をTdo、該EVJの差分をΔEVJとするとき、該EVJは、Td<Tdoであり、かつΔEVJ>0と計算された場合、前記液インジェクション膨張弁が開かないようにΔEVJ=0に設定し直され、
また逆に、Td>Tdoであり、かつΔEVJ<0と計算された場合、前記液インジェクション膨張弁が閉じないようにΔEVJ=0に設定し直されることを特徴とする空気調和機の制御方法。 - 吸入冷媒温度Taの過熱度をTsSH、室外膨張弁開度をEVO、液インジェクション膨張弁開度をEVJ、該EVOを目標吐出冷媒温度Tdに対してPID制御とし、
EVJ=K×EVO
ただし、K=−0.125×TsSH+1.0
0.5≦K≦1.0
とすることを特徴とする請求項3記載の空気調和機の制御方法。
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