JP4904578B2 - 構造物定着方法、橋脚基礎施工方法および杭定着構造物 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、ケーソン内側に基礎杭に設けられた綱製ブラケットに溶接可能な綱製部品により基礎杭に合致する貫通孔を形成した水中に連通する区画と、水中と連通せず注水可能な区画とを形成し、このケーソンを水状に浮かべて基礎杭上まで曳航し、注水可能な区画に注水して、ケーソンを基礎杭上に沈設し、綱製ブラケットと貫通孔とを溶接する橋脚フーチングの構築方法が、記載されている。
この発明によれば、杭定着部を杭の外周部に嵌め込んでから、杭定着部に構造物本体を形成して、構造物本体の定着位置に移動させるので、杭と構造物本体との水平方向の高精度な位置合わせを行うことなく、構造物本体を定着位置に配置することができる。また、杭定着部の筒孔と、杭の外周部との間には、シール部材が膨張される分の隙間が形成されるので、筒孔と杭との嵌め込みが容易となる。
そしてシール部材を膨張させて杭の外周部全周にわたって密着させることによって、筒孔の内周部とシール部材によりグラウト材を注入する型枠を構成し、グラウト材を硬化させることにより杭の外周部への定着を行うことができる。
上端に係止面が設けられるとともに前記杭外周部に隙間をあけて嵌め込み可能な内径を有する環状部材と、該環状部材の内周部に前記杭外周部に向けて膨張可能とされたシール部材とを備える下部杭定着部を、前記杭上から吊り下げて前記杭の外周部に嵌め込んでから、前記構造物本体の底板を定着する位置の直下に移動させ、
前記シール部材を膨張させて前記杭の外周部全周にわたって密着させて前記下部杭定着部を前記杭の外周部に固定し、
前記杭外周部に隙間をあけて嵌め込み可能な内径を有する筒孔を備える上部杭定着部を、前記杭上から吊り下げて前記杭の外周部に嵌め込み、前記上部杭定着部の位置を仮固定し、
前記上部杭定着部に前記構造物本体の底板を固定し、
前記構造物本体が固定された前記上部杭定着部を、前記筒孔の下端部が前記係止面に当接するまで下降させ、
前記筒孔の内周部、前記杭外周部および前記シール部材で囲まれた隙間にグラウト材を注入し、
該グラウト材を硬化させることにより、前記上部杭定着部を前記杭の外周部に定着することにより、前記上部定着部を介して前記構造物本体の底板を定着することを特徴とする方法を用いる。
この発明によれば、下部杭定着部を杭の外周部に嵌め込んでから、構造物本体の定着位置の直下に下部杭定着部を移動させる。そして、シール部材を膨張させて杭の外周部全周にわたって密着させることによって、環状部材の係止面の位置を固定する。そして、上部杭定着部の筒孔を杭に嵌め込んで、上部杭定着部に構造物本体を形成する。そして、構造物本体が形成された上部杭定着部を、その筒孔の下端部が環状部材の係止面に当接されるまで下降し、係止面に密着させることで、筒孔の内周部とシール部材によりグラウト材を注入する型枠を構成し、グラウト材を硬化させることにより杭の外周部への定着を行うことができる。
この場合、下部杭定着部を杭に固定しておくので、環状部材の係止面の大きさに応じて、上部杭定着部の筒孔と杭の外周部との間に適宜の隙間を設けることができるから、構造物本体を形成した後でも、筒孔と杭のとの位置合わせが容易となる。
この発明によれば、延長部材を杭の上部に設けて水面の上方に露出させるので、杭定着部または上部杭定着部の筒孔、または下部杭定着部の環状部材を水面上で延長部材に嵌め込むことができるので、水面下の作業に比べて容易に施工を行うことができる。
この発明によれば、筒孔と杭外周部とに設けられた突起群によって、構造物本体をより強固に定着することができる。
この発明によれば、グラウト材が、函形の構造物本体の底板と杭との定着と、函形の構造物本体の底板の止水を兼ねているから、グラウト材が硬化した後、函形の構造物本体の底板から排水することにより、ただちに函形の構造物本体の底板へコンクリートを打設することができる。
この発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の発明と同じ作用効果を備える橋脚基礎施工方法となる。
この発明によれば、函体の形成が容易かつ迅速に行える。
この発明によれば、函体をプレキャストプレートとプレキャストパネルとに分けるので、函体に比べて小さく軽いプレキャストプレートを杭に定着すればよく、その結果、定着作業が容易となる。
この発明によれば、請求項2の構造物定着方法、または請求項2に従属する請求項3〜8のいずれかに記載の構造物定着方法または橋脚基礎施工方法に直接用いることができるものとなる。
また、本発明の杭定着構造物は、本発明の第2の構造物定着方法に直接用いることで、本発明の第2の構造物定着方法と同様の効果を奏する。
まず、本発明の実施形態に係る橋脚基礎施工方法によって築造される橋脚基礎100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る橋脚基礎100を説明するための平面視概略説明図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3は、図1のB−B断面図である。図4は、図2のC部の部分拡大図である。
本実施形態では、型枠底板1aはプレキャストパネルを組み合わせて製作され、型枠側板1bは、現場でコンクリートを打設して製作される。
図4に示したように、杭定着ユニット3は、ケーシング3a、鋼製フランジ3c、およびプレキャストプレート3dとからなる上部杭定着部と、下部定着部をなすチューブ収納部材3bとで構成され、チューブ収納部材3bには、チューブ5(シール部材)が収納されている。
なお、ケーシング3aは、突起3gの高さを含めた内径が、突起2d…を含めた基礎パイル2の外周部2bの外径よりも大きくなるように構成され、その下端には環状の平板が取り付けられている。
プレキャストプレート3dは、ケーシング3aの外周を取り囲んで水平方向に板状に延ばされた状態で鋼製フランジ3cに固設されている。その水平方向外周部は、鉄筋3eが露出され、型枠底板1aを構成するプレキャストパネルとウェットジョイント部6を形成することにより、型枠底板1aと接合されている。
図5〜8は、本発明の実施形態に係る橋脚基礎施工方法の各工程を示す概略説明図であり、図1のB−B断面を表している。
パイル上端2aは水面7より低い位置にあるが、パイル上端2aが水没しないようにするため、それぞれの基礎パイル2の先端に、基礎パイル2とほぼ同径の延長部材8を密着させて設けている。そのため、パイル上端2aが冠水することなくシールされ、延長部材8の上端は、水面7の上に露出されている。なお延長部材8の上端には、吊り下げ装置取付部8aが設けられている。
次に、図5(b)に示したように、吊り下げ装置9に取り付けられた杭定着ユニット3をクレーン10によって吊って移動し、吊り下げ装置取付部8a上に配置する。
吊り下げ装置9は、水平方向に延びる支持部材9aと、支持部材9aを上下方向に貫通する複数の吊り下げ部材9bと、支持部材9aの上で吊り下げ部材9bに螺合して吊り下げ部材9bを仮固定するナット(図示せず)と、後に支持部材9a上に載置されてそれぞれ吊り下げ部材9bを上下させることが可能なセンターホールジャッキ等のジャッキ9cとからなる。そして、杭定着ユニット3のPC棒3fと支持部材9bとが袋ナット等で接合されて杭定着ユニット3が吊り下げ装置9に吊り下げて取り付けられる。
なお、この工程では、チューブ5を膨張させないでおき、延長部材8の外周部よりも大きい内径としておく。したがって、杭定着ユニット3と延長部材8は縁切りされており、それぞれの内径と外径には隙間が設けられている。そのため、施工誤差を吸収することができ、円滑にはめ込むことができるという利点がある。
以上の作業を順次繰り返して、全ての基礎パイル2上にそれぞれ杭定着ユニット3を仮固定していく。このとき、それぞれのプレキャストプレート3dの高さを揃えるようにする。
また、そのような形状を複数に分割して、複数のプレキャストパネル12を組み立てるように構成してもよい。そうすれば、プレキャストパネル12が小型化できるから、その製作が容易となり、施工上も取り扱いが容易となり、きわめて好都合である。
なお、分割されたプレキャストパネル12を用いる場合、プレキャストパネル12同士の間にも、ウェットジョイント部6を設けて、互いに接合する。
このようにして、水面7の上方に、構造体本体として函体状のフーチング型枠1が形成される。
このときも、杭定着ユニット3と基礎パイル2の間は、縁切りされ、それぞれの内径と外径の差による隙間が存在する。そのため、基礎パイル2…の施工誤差などにより、下降するにしたがって中心位置がずれる場合でも、ある程度の誤差は吸収することができるから、下降作業を円滑に行うことができるという利点がある。
このとき、チューブ5には柔軟性があるので、ケーシング3aに対する基礎パイル2の偏心や、形状誤差により、隙間が不均一であっても、隙間に密着させることができるという利点がある。
橋脚基礎100は、水面7の上方に露出するフーチング躯体16を備えるので、その上に、橋脚17などを設けることが可能となっている。
図9は、本発明の実施形態の変形例の上部杭定着部および下部杭定着部の概略構成を説明する図2のC部に相当する部分拡大図である。図10(a)、(b)は、本発明の実施形態の変形例の橋脚基礎施工方法の各工程を示す概略説明図である。
本変形例では、まず、図10(a)に示すように、延長部材8を設けた基礎パイル2が打設されているところに、チューブ収納部材3bを不図示のクレーン等でつり上げて延長部材8を通して基礎パイル2の所定位置に嵌め込む。この所定位置は、フーチング型枠1が完成して、上部杭定着部とともに設計上の高さにフーチング型枠1を位置させるときに、上部杭定着部の下端を受けるチューブ収納部材3bの高さ位置である。
この嵌め込みに際しては、上記実施形態と同様の吊り下げ装置9を用いて、吊り下げ装置9の吊り下げ部材9bをチューブ収納部材3bの図示しない機構と連結し、上記実施形態で杭定着ユニット3を下降させるのと同様な方法で、チューブ収納部材3bを下降させ、水中の所定の高さに位置させるか、通常のクレーンを用いてチューブ収納部材3bを吊り下げ、所定高さに位置させるかする。
そして、チューブ収納部材3bに収納されているチューブ5に空気あるいは水等の流体を圧入して、チューブ5を膨張させ、基礎パイル2の所定位置に固定する。
以下、上部杭定着部の基礎パイル2への吊り込み、仮固定、水面上でのフーチング型枠1の築造は、上記実施形態と同じであるので、説明を省略する(図10(b)参照)。
なお、本変形例では、予めチューブ収納部材3bが所定位置に固定されているので、フーチング型枠1の下降は、上部杭定着部のケーシング3aの下端と、フーチング型枠1を受けるブラケットとしてのチューブ収納部材3bの上端面(係止面)とが当接するまでとする。
また、ケーシング3aの下端の環状平板あるいはチューブ収納部材3bの上端の環状平板のいずれかにシール部材5a(図9参照)を取り付けておくのがよい。このようにすることで、当接面がシールされ、グラウト材の流出防止が図れる。
そして、ケーシング3aと基礎パイル2とチューブ5とで囲まれる隙間にグラウト材4を注入する。以下、上記実施形態と同様に施工する。
その場合には、杭定着ユニット3を定着する前に、フーチング型枠1を組み立てるのではなく、杭定着ユニット3を基礎パイル2に定着してから、フーチング型枠1を組み立てるようにしてもよい。
2 基礎パイル(杭)
2b 外周部(杭外周部)
2d、3g 突起(突起群)
3 杭定着ユニット(杭定着部)
3a ケーシング
3b チューブ収納部材3b(下部杭定着部)
4 グラウト材
5 チューブ(シール部材)
7 水面
12 プレキャストパネル
16 フーチング躯体
17 橋脚
100 橋脚基礎
Claims (9)
- 杭の外周部に上方が開口した函形の構造物本体の底板を定着する構造物定着方法であって、
前記杭の外周部に隙間をあけて嵌め込み可能な内径を有する筒孔と、該筒孔の内方に膨張可能とされて、該筒孔の内周下端部に配されたシール部材とを備える杭定着部を、前記杭上から吊り下げて前記杭の外周部に嵌め込み、前記杭定着部の位置を仮固定し、
前記杭定着部の上部に前記構造物本体の底板を固定し、
前記杭定着部の位置の仮固定を解除して、吊り下げられた前記杭定着部を含む前記構造物本体を下降させ、前記構造物本体を定着する位置に移動させ、
前記シール部材を膨張させて前記杭の外周部全周にわたって密着させ、
前記筒孔の内周部、前記杭の外周部および前記シール部材で囲まれた隙間にグラウト材を注入し、
該グラウト材を硬化させて、前記杭定着部を前記杭の外周部に定着することにより、前記杭定着部を介して前記構造物本体の底板を定着することを特徴とする構造物定着方法。 - 杭の外周部に上方が開口した函形の構造物本体の底板を定着する構造物定着方法であって、
上端に係止面が設けられるとともに前記杭外周部に隙間をあけて嵌め込み可能な内径を有する環状部材と、該環状部材の内周部に前記杭外周部に向けて膨張可能とされたシール部材とを備える下部杭定着部を、前記杭上から吊り下げて前記杭の外周部に嵌め込んでから、前記構造物本体の底板を定着する位置の直下に移動させ、
前記シール部材を膨張させて前記杭の外周部全周にわたって密着させて前記下部杭定着部を前記杭の外周部に固定し、
前記杭外周部に隙間をあけて嵌め込み可能な内径を有する筒孔を備える上部杭定着部を、前記杭上から吊り下げて前記杭の外周部に嵌め込み、前記上部杭定着部の位置を仮固定し、
前記上部杭定着部に前記構造物本体の底板を固定し、
前記構造物本体が固定された前記上部杭定着部を、前記筒孔の下端部が前記係止面に当接するまで下降させ、
前記筒孔の内周部、前記杭外周部および前記シール部材で囲まれた隙間にグラウト材を注入し、
該グラウト材を硬化させることにより、前記上部杭定着部を前記杭の外周部に定着することにより、前記上部定着部を介して前記構造物本体の底板を定着することを特徴とする構造物定着方法。 - 前記杭の上部に、予め、該杭と略同径での延長部材を設置して、該延長部材の上端部が、水面の上方に露出するようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の構造物定着方法。
- 前記筒孔の内周面、および前記定着位置に移動された前記筒孔内周面と対向する位置の前記杭外周部に、それぞれ突起群を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の構造物定着方法。
- 前記グラウト材が前記構造物本体の底板の止水を兼ねることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造物定着方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の構造物定着方法を用いることにより、杭に前記構造物本体としての函体を定着し、
該函体を型枠として橋脚基礎を築造することを特徴とする橋脚基礎施工方法。 - 前記函体が、分割されたプレキャストパネルを結合して形成されたことを特徴とする請求項6に記載の橋脚基礎施工方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の構造物定着方法を用いることにより、複数の杭にそれぞれ前記構造物本体の底板としてのプレキャストプレートを定着し、
該プレキャストプレート間に、分割されたプレキャストパネルを結合して、前記構造物本体としての函体を形成し、
該函体を型枠として橋脚基礎を築造することを特徴とする橋脚基礎施工方法。 - 杭の外周部に隙間を設けて嵌め込み可能な筒体を、前記杭に上方から嵌め込んで前記杭の外周部に定着するために、前記筒体を下方側から受ける杭定着構造物であって、
前記筒体の下端部に密着する受け面が上端側に設けられるとともに前記杭の外周部に隙間をあけて嵌め込み可能な内径を有する環状部材と、
該環状部材の内周部に前記杭外周部に向けて膨張可能とされたシール部材とを備える杭定着構造物。
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