JP4904053B2 - 水溶性調質圧延液組成物 - Google Patents

水溶性調質圧延液組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4904053B2
JP4904053B2 JP2005379848A JP2005379848A JP4904053B2 JP 4904053 B2 JP4904053 B2 JP 4904053B2 JP 2005379848 A JP2005379848 A JP 2005379848A JP 2005379848 A JP2005379848 A JP 2005379848A JP 4904053 B2 JP4904053 B2 JP 4904053B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
acid
soluble
carboxylic acid
tempered rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005379848A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007177166A (ja
Inventor
直樹 長瀬
誠一 志渡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP2005379848A priority Critical patent/JP4904053B2/ja
Publication of JP2007177166A publication Critical patent/JP2007177166A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4904053B2 publication Critical patent/JP4904053B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は調質圧延液組成物に関し、より詳しくは耐ガムアップ性、防錆性などに優れた水溶性調質圧延液組成物に関する。
調質圧延は冷間圧延後、微少の圧下率で圧延するもので、冷延鋼板の形状を制御し、機械特性を付与し(降伏点伸びの消去)、光沢を調整することなどを目的に行われている。この調質圧延された冷延鋼板は、それぞれの用途に応じて加工使用されるまでにかなりの期間があるために、通常防錆油で処理される。しかしながら、調質圧延工程で用いられた水溶性調質圧延剤中の成分と防錆油中の成分とが化学反応を起こし、いわゆる「ガムアップ」と呼ばれる粘着物が生成する。その粘着物は鉄粉やカーボン等の異物を抱き込んで搬送ロールに堆積し、それが鋼板に転写されて表面品位を著しく損なわせ、また、その後のプレス加工等において、「滑り」を生じさせるなどの問題を引き起こすことがある。そのため、ガムアップの発生を防止できる、耐ガムアップ性調質圧延剤であることが要求される。
また、調質圧延後、冷延鋼板は調質圧延液のみが付着した状態で、長期にわたり保管されることがあるため、それ自身が防錆性に優れることが必要である。さらに調質圧延液には、脱脂性が良好であること、良好な圧延性(具体的には、例えば、濡れ性が良好で、適正な摩擦係数を有する)を有することなども要求される。
さらに、水溶性調質圧延液には、通常その調質圧延液を水で10〜50倍程度に希釈して使用するが、その希釈水の水質が問題となることもある。すなわち希釈水として工業用水など、硬度が高い水を用いて水溶性調質圧延剤を調合すると、調質圧延剤中の配合物の溶解又は分散状態が変化し、カルシウムやナトリウムが脂肪酸と石けんを生成し、スカムが発生することがある。このようなスカムの発生は、外観が好ましくはないばかりでなく、調質圧延剤としての安定した性能を維持する上でも問題となる恐れがある。
従来この種の水溶性調質圧延剤としては、通常、二塩基酸や芳香族カルボン酸のアルカノールアミンの塩を主体とするものが用いられており、具体的には例えば、(a)二塩基酸等と第1級アルカノールアミン及び無機アルカリとの塩を主体とする水溶性調質圧延油剤(特許文献1参照)、(b)スピクリスポール酸及びp‐ニトロ安息香酸などとアルカノールアミンとの塩を含有する水溶性調質圧延油剤(特許文献2参照)、(c)脂肪族二塩基酸と飽和脂肪酸、及びモノエンカルボン酸などとアルカノールアミンを主体として含有する水溶性調質圧延油剤(特許文献3参照)、(d)ベンゾチアゾリルチオアルキレンカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などのアルカノールアミンの塩を主体として含有する水溶性調質圧延油剤(特許文献4参照)、などが挙げられる。
しかしながら、これらの油剤はいずれも耐ガムアップ性が不十分であり、また防錆性についても必ずしも充分とはいえなかった。そのため、いずれの性能についても充分な性能を具備した調質圧延鋼板を得られないのが実情である。そこで、調質圧延業界においては、これらの耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能についても優れた性能を有する油剤の開発が望まれている。
また、上記のとおり、油剤の希釈水として硬度が高い工業用水を用いてもスカムを発生しない油剤の出現が要望されている。
特開昭61−101600号公報 特開平5−59389号公報 特開平7−188690号公報 特開2000−87073号公報
本発明は、このような状況下において、耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能にも優れた水溶性調質圧延液組成物を提供することを第一の目的とする。さらに本発明は、耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能にも優れると共に、希釈水として硬度が高い工業用水を使用してもスカムを発生せず、良好な性能を発揮できる水溶性調質圧延液組成物を提供することを第二の目的とするものである。
本発明者らは、特定の芳香族カルボン酸、特定の脂肪族カルボン酸及び塩基性化合物とを含有する水溶性調質圧延液で、各カルボン酸の配合比率を特定の範囲に調整することによって、その目的を達成できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
1.水に、組成物基準で、(A)下記の一般式(1)
(X)m−Ar−(COOH)n ・・・(1)
〔式中、Xは、NO2-,RO‐,又はR‐(但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基)、Arは2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基、m及びnは1又は2の整数を示し、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。〕
で表される芳香族カルボン酸を0.5〜20質量%、(B)炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸を0.5〜40質量%、及び(C)アルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を含有する水溶性調質圧延液組成物であって、前記(B)の脂肪族カルボン酸と(A)の芳香族カルボン酸との含有比、B/A(モル比)が1.0〜10であることを特徴とする水溶性調質圧延液組成物、
2.(B)の脂肪族カルボン酸の70モル%以上が脂肪族モノカルボン酸である請求項1に記載の水溶性調質圧延液組成物、
3.(B)の脂肪族モノカルボン酸の80モル%以上が、分岐鎖を有する脂肪族モノカルボン酸である請求項2に記載の水溶性調質圧延液組成物。
4.(C)の塩基性化合物の含有量が、(A)及び(B)成分の中和当量以上である請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物、
5.(A)の芳香族カルボン酸が、ニトロ安息香酸及び又は炭素数1〜5のアルコキシ安息香酸である請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物、
6.前記1〜5のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物を希釈水で10〜50倍に希釈した水溶性調質圧延液組成物、
を提供するものである。
本発明の第一の発明における水溶性調質圧延液組成物は、耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能にも優れる。また、本発明の第二の発明の水溶性調質圧延液組成物は、耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能にも優れると共に、希釈水として硬度が高い水を用いた場合でも、スカムの発生を抑制できる。
本発明における第一の発明は、以下の条件を満たすものである。すなわち、水に、組成物基準で、(A)下記の一般式(1)
(X)m−Ar−(COOH)n ・・・(1)
〔式中、Xは、NO2-,RO‐,又はR‐(但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基)、Arは、2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基、m及びnは1又は2の整数を示し、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。〕
で表される芳香族カルボン酸を0.5〜20質量%、(B)炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸を0.5〜40質量%、及び(C)アルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を含有する水溶性調質圧延液組成物であって、前記(B)の脂肪族カルボン酸と(A)の芳香族カルボン酸との配合比、B/A(モル比)が1.0〜10であることを特徴とする水溶性調質圧延液組成物である。
前記(A)成分の一般式(1)において、Rで示される炭素数1〜10の炭化水素基としては、直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキル基又はアルケニル基が好ましい。好ましいRの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基,各種(n‐,sec‐,tert‐,及びiso‐)ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基及びこれらのアルキル基(メチル基を除く)に対応するアルケニル基などを挙げることができる。Rは炭素数1〜8、さらには炭素数1〜6、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
Arの2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基としては、いずれも芳香環に1又は2の結合手を有する安息香酸残基、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基などの芳香族のモノカルボン酸残基やジカルボン酸残基が好ましく、入手が容易である点で、安息香酸残基やフタル酸残基が特に好ましい。
前記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸の好適な例としては、安息香酸又はフタル酸の、(ジ)ニトロ化物(ニトロ化物又はジニトロ化物の意味である。)、(ジ)アルコキシ(アルキル基の炭素数1〜4)化物、(ジ)アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)化物、アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)ニトロ化物、アルコキシ(アルキル基の炭素数1〜4)ニトロ化物、アルコキシ(アルキル基の炭素数1〜4)アルキル(アルキル基の炭素数1〜4)化物が好ましく、具体的には、p‐ニトロ安息香酸、p‐メトキシ安息香酸、p‐エトキシ安息香酸、p‐nプロポキシ安息香酸、p‐isoプロポキシ安息香酸、p‐nブトキシ安息香酸、p‐secブトキシ安息香酸、p‐tertブトキシ安息香酸、p‐isoブトキシ安息香酸、p‐メチル安息香酸、p‐エチル安息香酸、p‐nプロピル安息香酸、p‐isoプロピル安息香酸、p‐nブチル安息香酸、p‐secブチル安息香酸、p‐tertブチル安息香酸、p‐isoブチル安息香酸、4−メチル3−ニトロ安息香酸、3−ニトロフタル酸などが挙げられる。
本発明においては、これら芳香族カルボン酸を1種単独で、又は2種以上を混合して用いる。その配合量は組成物全量基準で0.5〜20質量%であり、好ましくは1〜15質量%である。芳香族カルボン酸の配合量が0.5〜20質量%であれば、それが(C)成分の塩基性化合物と塩を形成し、組成物の防錆性を高める効果があり、耐ガムアップ性も良好に保つことができる。
本発明の水溶性調質圧延液組成物においては、(B)成分として炭素数8〜24、好ましくは炭素数12〜20の脂肪族カルボン酸を配合する。この炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸としては、直鎖若しくは分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が含まれる。
前記炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸の具体例としては、各種オクタン酸、各種ノナン酸、各種デカン酸、各種ウンデカン酸、各種ドデカン酸、各種テトラデカン酸、各種ヘキサデカン酸、各種オクタデカン酸、各種エイコサン酸、各種ドコサン酸などの脂肪族モノカルボン酸、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
前記(B)の脂肪族カルボン酸については、その70モル%以上が脂肪族モノカルボン酸であることが好ましい。脂肪族カルボン酸の70モル%以上が脂肪族モノカルボン酸であれば、水溶性調質圧延液組成物の耐ガムアップ性を良好に保つと共に、防錆性を高める効果がある。脂肪族カルボン酸中の脂肪族モノカルボン酸の割合は、80モル%以上、更には90モル%以上であることがより好ましい。
本発明においては、これら脂肪族カルボン酸は1種を単独で、又は2種以上を混合して用いる。その配合量は組成物全量基準で1〜30質量%であり、好ましくは5〜15質量%である。(B)成分の脂肪族カルボン酸の含有量が1質量%以上であれば、錆止め性が認められ、30質量%以下であれば、耐ガムアップ性などを低下させることもない。
本発明の水溶性調質圧延液組成物においては、前記(B)の脂肪族カルボン酸と前記(A)の芳香族カルボン酸との配合比、B/A(モル比)が1.0〜10であることを要し、好ましくは1.0〜8、特に好ましくは2.0〜5.0である。B/A(モル比)が1.0未満では、ガムアップ性が不充分であり、一方B/A(モル比)が10を越えると、錆止め性能が低下する場合がある。
本発明においては、(C)成分としてアルカリ金属の水酸化物、及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を配合する。
前記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを例示することができる。また、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノn−プロパノールアミン、ジ(n−プロパノール)アミン、トリ(n−プロパノール)アミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルイソプロパノールアミンなどが挙げられる。これらのアルカノールアミンの中でも、総炭素数2〜4の一級又は二級のアルカノールアミンが好ましい。
本発明においては、(C)成分のアルカリ金属の水酸化物、及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を含有することを要する。この(C)成分の含有量は、前記(A)及び(B)成分の中和当量以上含有することが好ましい。(C)成分のアルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物の含有量が、前記(A)及び(B)成分の中和当量以上であれば、(A)及び(B)の各カルボン酸が(C)成分と良好な塩を形成し、優れた防錆性を発現する。この(C)成分の配合量は前記(A)及び(B)成分の1.0〜1.2当量であることがより好ましい。
本発明の(C)成分には、上記アルカリ金属水酸化物、アルカノールアミンからなる群から選ばれる1種もしくは2種以上の塩基性化合物が任意に使用可能であるが、アルカリ金属水酸化物の1種以上とアルカノールアミンの1種以上とを混合して配合することがより好ましい。その場合の混合割合は任意であるが、耐ガムアップ性の観点か、アルカノールアミンがアルカリ金属水酸化物より過剰当量であることが好ましく、例えば、アルカノールアミンがアルカリ金属水酸化物1当量に付き1〜8当量、さらに1.5〜5当量であることがより好ましい。
本発明の水溶性調質圧延液組成は、水に、上記(A)、(B)及び(C)の各成分を配合した水溶性調質圧延液組成物である。ここで用いる水については、特に制限はなく、例えば脱イオン水、純水、水道水、工業用水などが使用できるが、脱イオン水、及び純水が好ましい。また、その含有量は、水溶性調質圧延液組成物基準で通常30〜90質量%である。
本発明の水溶性調質圧延液組成物は、上記の組成を有するものであるが、さらに必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコールのエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイド付加物、メチルセルロース類などの水溶性ポリマーがある。このような水溶性ポリマーは、調質圧延の圧延ロールに残る粘着性の不揮発分の発生を抑制する効果(耐ビルドアップ性)があり、通常水溶性調質圧延液組成物を基準にして、およそ0.5〜15質量%配合する。
また、ほう酸、タングステン酸、モリブデン酸、リン酸、炭酸、硫酸、珪酸、硝酸、亜硝酸等の無機酸のナトリウム塩、及びカリウム塩;ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ヒドロカルビルトリアゾール等のトリアゾール類及びその塩;メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール類およびその塩;脂肪酸アルカノールアミド類;イミダゾリン類;オキサゾリン類など水溶性金属腐食防止剤は、水溶性調質圧延液組成物の錆止め作用を向上させる効果がある。その他、硫酸およびスルホン酸エステルなどのアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン化合物などのノニオン系界面活性剤などを例示できる。これら水溶性金属腐食防止剤など添加剤の配合量は水溶性調質圧延液組成物基準で、通常10質量%以下の範囲で配合する。
本発明の水溶性調質圧延液組成物は、以上のような構成を有するが、その組成物のpHが7〜10であることが好ましく、8〜9であることがより好ましい。pHが7〜10であれば、防錆性や濡れ性を良好に保つ効果がある。
また、本発明の水溶性調質圧延液組成物は、摩擦係数が一定値より低いことが好ましく、例えば、曾田式摩擦試験機で摩擦係数が0.3以下であることが好ましく、0.2以下であるものがより好ましい。摩擦係数が0.3以下であれば、調質圧延において、圧延荷重の変動幅が小さく、安定したロール表面の転写を行うことができる効果がある。
上記本発明の水溶性調質圧延液組成物は、いわゆる水溶性調質圧延液の原液であり、通常これを希釈水で10〜50倍に希釈して実際の調質圧延に使用される。その場合の希釈水としては、脱イオン水、純水、水道水などが使用できる。
本発明における第二の発明は、以下の構成を有する。上記第一の発明において、(B)の脂肪族モノカルボン酸の80モル%以上、好ましくは90モル%以上が、さらに好ましくは95モル%以上が分岐鎖を有する脂肪族モノカルボン酸である水溶性調質圧延液組成物である。
このような組成であることによって、第一の発明が有する性能を具備する上に、希釈水として硬度が高い工業用水を用いた場合であっても、スカムの発生を抑制でき、かつ性能が低下することもない。従って、希釈水は硬水であるか軟水であるかを問わず、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水などを任意に使用することができる。
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。なお、水溶性調質圧延液組成物の性能は次の方法に従って評価した。
(1)耐ガムアップ性
300mlの容器に各水溶性調質圧延液組成物の試料10gと市販の防錆油(「ダフニーオイルコートZ−3」出光興産株式会社製)70gとを採取し、70℃で16時間、1000rpmで攪拌した。その後、ヘキサン溶剤で容器を洗浄し、洗浄後の付着物をガム量として秤量した。
(2)防錆試験
JIS G 3141に規定する鋼板(60×80×1mm)を脱脂後、各水溶性調質圧延液組成物の試料に浸漬し、乾燥後、その試験片屋内暴露試験及びスタック試験を行った。
屋内暴露試験は10日後に、さび、ステインの有無と程度を観察した。また、スタック試験は、温度50℃×湿度95%RHの条件で10日経過後に、さび、ステインの有無と程度を観察した。
(3)摩擦係数
曾田振り子式摩擦試験機を用いて測定した。
(4)調質圧延実験
4段式小型圧延機を用いて下記の条件で圧延し、圧延時の圧延荷重変動幅を測定した。
・圧延条件
ロール径 135mm
圧延材 SPCC−SB(200m×50mm×0.05mm)
圧延荷重 3.8kN(3.9tf)
圧下率 3%
圧延速度 50m/min.
実施例1〜4、比較例1〜3及び参考例
第1表に示す成分を用いて水溶性調質圧延液組成物を調整した。それら調整
した組成物及び市販の水溶性調質圧延油剤について、各種性能を評価した。その結果を第1表に示した。第1表中、その他の成分とは、水溶性ポリマー(エチレングリコールEO,PO付加物)、グリコーエーテル、ノニオン系界面活性剤及びベンゾトリアゾールの混合物である。
Figure 0004904053
第1表によれば、B/A(モル比)が1.0以上の参考例及び実施例1〜の水溶性調質圧延液組成物は、「ガム生成無し」又は「ガム生成少量」であり、耐ガムアップ性が優れていることが分る。これに対してB/A(モル比)が0.3である比較例1は、「ガム生成多量」であり、一方、B/A(モル比)が∞、すなわち成分を含有しなく、しかも中のモノカルボン酸が70モル%である比較例2では、ガムは生成しないが、防錆試験では錆を発生することが分る。
また、B中の(分岐鎖を有するモノカルボン酸)/(モノカルボン酸)(モル%)
が100%である実施例1〜4の水溶性調質圧延液組成物は、工業用水で希釈してもスカムを発生しないが、その値が72%である参考例の場合はスカムを発生することが分る。
また、第1表によれば、実施例1、2及び4の摩擦係数はいずれも0.3以下であるが、比較例1及び3では摩擦係数が高く、0.3以上である。また、実施例1及び2では、調質圧延における荷重変動幅が2.5kN以下で小さいのに対し、比較例3は3.8kNであって、調質圧延における荷重変動幅が大きいことが分る。
本発明の水溶性調質圧延液組成物は、耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能にも優れる水溶性調質圧延液組成物である。また、本発明の水溶性調質圧延液組成物は、耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能にも優れると共に、希釈水として硬度が高い水を用いた場合でも、スカムの発生を抑制できる水溶性調質圧延液組成物として有用である。

Claims (6)

  1. 水に、組成物基準で、(A)下記の一般式(1)
    (X)m−Ar−(COOH)n ・・・(1)
    〔式中、Xは、NO2-,RO‐,又はR‐(但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基)、Arは2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基、m及びnは1又は2の整数を示し、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。〕
    で表される芳香族カルボン酸を0.5〜20質量%、(B)炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸を0.5〜40質量%、及び(C)アルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を含有する水溶性調質圧延液組成物であって、前記(B)の脂肪族カルボン酸と(A)の芳香族カルボン酸との含有比、B/A(モル比)が1.0〜10であり、(B)の脂肪族カルボン酸の70モル%以上が脂肪族モノカルボン酸であり、かつ、(B)の脂肪族モノカルボン酸の80モル%以上が、分岐鎖を有する脂肪族モノカルボン酸であることを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。
  2. (B)の脂肪族カルボン酸の含有量が、5〜15質量%である請求項1に記載の水溶性調質圧延液組成物。
  3. (B)の脂肪族カルボン酸が、炭素数12〜20の脂肪族カルボン酸である請求項1又は2に記載の水溶性調質圧延液組成物。
  4. (C)の塩基性化合物の含有量が、(A)及び(B)成分の中和当量以上である請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物。
  5. (A)の芳香族カルボン酸が、ニトロ安息香酸及び又は炭素数1〜5のアルコキシ安息香酸である請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物を希釈水で10〜50倍に希釈した水溶性調質圧延液組成物。
JP2005379848A 2005-12-28 2005-12-28 水溶性調質圧延液組成物 Expired - Fee Related JP4904053B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005379848A JP4904053B2 (ja) 2005-12-28 2005-12-28 水溶性調質圧延液組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005379848A JP4904053B2 (ja) 2005-12-28 2005-12-28 水溶性調質圧延液組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007177166A JP2007177166A (ja) 2007-07-12
JP4904053B2 true JP4904053B2 (ja) 2012-03-28

Family

ID=38302651

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005379848A Expired - Fee Related JP4904053B2 (ja) 2005-12-28 2005-12-28 水溶性調質圧延液組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4904053B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013189A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Idemitsu Kosan Co Ltd 水溶性調質圧延液組成物
JP2012062353A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Idemitsu Kosan Co Ltd 水性洗浄剤
CN102199478A (zh) * 2011-04-19 2011-09-28 天津市金岛润滑油有限公司 一种湿平整液及其制备方法
JP6232407B2 (ja) * 2015-08-19 2017-11-15 出光興産株式会社 水性洗浄剤

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS591686A (ja) * 1982-06-28 1984-01-07 Kawasaki Steel Corp 冷間圧延鋼板用調質液
JPS60255896A (ja) * 1984-06-01 1985-12-17 Kyodo Yushi Kk 調質圧延油剤組成物
JPS61101600A (ja) * 1984-10-24 1986-05-20 Nippon Kokan Kk <Nkk> 冷延鋼板用調質圧延油剤
JP2000087073A (ja) * 1998-09-10 2000-03-28 Daido Chem Ind Co Ltd 水溶性調質圧延液組成物
JP2002212583A (ja) * 2001-01-17 2002-07-31 Daido Chem Ind Co Ltd 亜鉛磨耗粉の圧延ロールへの凝着抑止性に優れる調質圧延液組成物」

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007177166A (ja) 2007-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4944181B2 (ja) 防食剤としての炭酸第四級アンモニウムおよび重炭酸第四級アンモニウムの使用、腐食を抑制するための方法、およびこれら薬剤を用いる防食性コーティング
JP7030713B2 (ja) 金属加工液
JP6283552B2 (ja) 水溶性金属加工油および金属加工用クーラント
JP5352107B2 (ja) 水溶性金属加工用潤滑剤
JPS6017829B2 (ja) 金属表面の腐食抑制剤
JP6523290B2 (ja) 腐食抑制剤としてのビス−イミダゾリン化合物及びそれらの調製
WO2017170868A1 (ja) さび止め油組成物
JP4904053B2 (ja) 水溶性調質圧延液組成物
JPH02240286A (ja) 水性アルカリ性金属加工用液体防蝕組成物
US20060261312A1 (en) Quaternary ammonium salts containing non-halogen anions as anticorrosive agents
US9890462B2 (en) Corrosion-protection system for treating metal surfaces
JP2009013189A (ja) 水溶性調質圧延液組成物
WO2015146909A1 (ja) 水溶性金属加工油および金属加工用クーラント
JP5255238B2 (ja) 水溶性防錆液組成物
JPH1135966A (ja) 水溶性調質圧延液
JP2007016167A (ja) 水溶性金属工作油剤
JP2008201875A (ja) 水溶性加工油剤
JP7019224B1 (ja) 水溶性防錆剤組成物及びその使用方法
WO2012035951A1 (ja) 水性洗浄剤
CN111732994A (zh) 一种钢铝兼用水基金属加工切削液及其制备方法
JP2016094526A (ja) 水溶性調質圧延液組成物
JP5464735B2 (ja) 有機系水溶性調質圧延油剤
JP5571971B2 (ja) 金属加工油組成物
JP2000026982A (ja) 水溶性鉄用防錆剤
JP6232407B2 (ja) 水性洗浄剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110705

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111213

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150113

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees