JP2009013189A - 水溶性調質圧延液組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水に、組成物基準で、(A)下記の一般式(1)
(X)m−Ar−(COOH)n ・・・(1)
〔式中、Xは、NO2-,RO‐,又はR‐(但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基)、Arは2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基、m及びnは1又は2の整数を示し、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。〕で表される芳香族カルボン酸を0.5〜20質量%、(B)炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸を0.5〜40質量%、及び(C)アルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を配合してなる水溶性調質圧延液組成物であって、前記(B)の脂肪族カルボン酸と(A)の芳香族カルボン酸との配合比、B/A(モル比)が1.0〜10であることを特徴とする水溶性調質圧延液組成物である。
【選択図】なし
Description
さらに、水溶性調質圧延液には、通常その調質圧延液を水で10〜50倍程度に希釈して使用するが、その希釈水の水質が問題となることもある。すなわち希釈水として工業用水など、硬度が高い水を用いて水溶性調質圧延剤を調合すると、調質圧延剤中の配合物の溶解又は分散状態が変化し、カルシウムやナトリウムが脂肪酸と石けんを生成し、スカムが発生することがある。このようなスカムの発生は、外観が好ましくはないばかりでなく、調質圧延剤としての安定した性能を維持する上でも問題となる恐れがある。
しかしながら、これらの油剤はいずれも耐ガムアップ性が不十分であり、また防錆性についても必ずしも充分とはいえなかった。そのため、いずれの性能についても充分な性能を具備した調質圧延鋼板を得られないのが実情である。そこで、調質圧延業界においては、これらの耐ガムアップ性、防錆性のいずれの性能についても優れた性能を有する油剤の開発が望まれている。
また、上記のとおり、油剤の希釈水として硬度が高い工業用水を用いてもスカムを発生しない油剤の出現が要望されている。
1.水に、組成物基準で、(A)下記の一般式(1)
(X)m−Ar−(COOH)n ・・・(1)
〔式中、Xは、NO2-,RO‐,又はR‐(但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基)、Arは2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基、m及びnは1又は2の整数を示し、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。〕
で表される芳香族カルボン酸を0.5〜20質量%、(B)炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸を0.5〜40質量%、及び(C)アルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を配合してなる水溶性調質圧延液組成物であって、前記(B)の脂肪族カルボン酸と(A)の芳香族カルボン酸との配合比、B/A(モル比)が1.0〜10であることを特徴とする水溶性調質圧延液組成物、
2.(B)の脂肪族カルボン酸の70モル%以上が脂肪族モノカルボン酸である前記1に記載の水溶性調質圧延液組成物、
3.(B)の脂肪族モノカルボン酸の80モル%以上が、分岐鎖を有する脂肪族モノカルボン酸である前記2に記載の水溶性調質圧延液組成物、
4.(C)の塩基性化合物の配合量が、(A)及び(B)成分の中和当量以上である前記1〜3のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物、
5.(A)の芳香族カルボン酸が、ニトロ安息香酸、アルコキシ(アルキル基の炭素数1〜4)安息香酸、及びアルキル(アルキル基の炭素数1〜4)安息香酸から選ばれる少なくとも1種である前記1〜4のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物、
6.前記1〜5のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物を希釈水で10〜50倍に希釈した水溶性調質圧延液組成物、
を提供するものである。
(X)m−Ar−(COOH)n ・・・(1)
〔式中、Xは、NO2-,RO‐,又はR‐(但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基)、Arは、2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基、m及びnは1又は2の整数を示し、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。〕
で表される芳香族カルボン酸を0.5〜20質量%、(B)炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸を0.5〜40質量%、及び(C)アルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を配合してなる水溶性調質圧延液組成物であって、前記(B)の脂肪族カルボン酸と(A)の芳香族カルボン酸との配合比、B/A(モル比)が1.0〜10であることを特徴とする水溶性調質圧延液組成物である。
前記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを例示することができる。
また、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノN−プロパノールアミン、ジ(N−プロパノール)アミン、トリ(N−プロパノール)アミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルイソプロパノールアミンなどが挙げられる。これらのアルカノールアミンの中でも、総炭素数2〜4の一級又は二級のアルカノールアミンが好ましく、特に、総炭素数2〜4の一級又は二級のモノアルカノールアミンが好ましい。
また、本発明に用いる水については、特に制限はなく、例えば脱イオン水、純水、水道水、工業用水などが使用できる。これらの中でも性能の点で、脱イオン水や純水が好ましい。
そのような添加剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコールのモノ又はジアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールのエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイド付加物、メチルセルロース類などの水溶性ポリマーがある。このような水溶性ポリマーは、調質圧延の圧延ロールに残る粘着性の不揮発分の発生を抑制する効果(耐ビルドアップ性)があり、通常水溶性調質圧延液組成物を基準にして、およそ0.5〜50質量%配合する。
本発明の調質圧延液組成物では、さらに必要に応じて、殺菌剤や消泡剤、界面活性剤などを配合してもよい。
また、本発明の水溶性調質圧延液組成物は、摩擦係数が一定値より低いことが好ましく、例えば、曾田式摩擦試験機で摩擦係数が0.3以下であることが好ましく、0.2以下であるものがより好ましい。摩擦係数が0.3以下であれば、調質圧延において、圧延荷重の変動幅が小さく、安定したロール表面の転写を行うことができる効果がある。
このような組成であることによって、第一の発明が有する性能を具備する上に、希釈水として硬度が高い工業用水を用いた場合であっても、スカムの発生を抑制でき、かつ性能が低下することもない。従って、希釈水は硬水であるか軟水であるかを問わず、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水などを任意に使用することができる。
(1)耐ガムアップ性
300mlの容器に各水溶性調質圧延液組成物の試料10gと市販の防錆油(「ダフニーオイルコートZ−3」出光興産株式会社製)70gとを採取し、70℃で16時間、1000rpmで攪拌した。その後、ヘキサン溶剤で容器を洗浄し、洗浄後の付着物をガム量として秤量した。
JIS G 3141に規定する鋼板(60×80×1mm)を脱脂後、各水溶性調質圧延液組成物の試料に浸漬し、乾燥後、その試験片屋内暴露試験及びスタック試験を行った。
屋内暴露試験は10日後に、さび、ステインの有無と程度を観察した。また、スタック試験は、温度50℃×湿度95%RHの条件で10日経過後に、錆、ステインの有無と程度を観察した。
(3)摩擦係数
曾田振り子式摩擦試験機を用いて測定した。
4段式小型圧延機を用いて下記の条件で圧延し、圧延時の圧延荷重変動幅を測定した。
・圧延条件
ロール径 135mm
圧延材 SPCC−SB(200m×50mm×0.05mm)
圧延荷重 3.8kN(3.9tf)
圧下率 3%
圧延速度 50m/min.
第1表に示す成分を用いて水溶性調質圧延液組成物を調整した。それら調整
した組成物及び市販の水溶性調質圧延油剤について、各種性能を評価した。その結果を第1表に示した。第1表中、その他の成分とは、水溶性ポリマー(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)、ベンゾトリアゾール、及び殺菌剤の混合物である。
また、B成分中の〔(分岐鎖を有するモノカルボン酸)/(モノカルボン酸)〕(モル%)が100%である実施例2〜5の水溶性調質圧延液組成物は、工業用水で希釈してもスカムを発生しないが、その値が72%である実施例1の場合はスカムを発生することが分る。
また、第1表によれば、実施例1〜3及び5の摩擦係数はいずれも3以下であるが、比較例1及び4では摩擦係数が高く、3以上である。また、実施例2及び3では、調質圧延における荷重変動幅が2.5kN以下で小さいのに対し、比較例3は3.9kNであって、調質圧延における荷重変動幅が大きいことが分る。
Claims (6)
- 水に、組成物基準で、(A)下記の一般式(1)
(X)m−Ar−(COOH)n ・・・(1)
〔式中、Xは、NO2−,RO−,又はR−(但し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基)、Arは2〜4の結合手を有する芳香族炭化水素基、m及びnは1又は2の整数を示し、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。〕
で表される芳香族カルボン酸を0.5〜20質量%、(B)炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸を0.5〜40質量%、及び(C)アルカリ金属の水酸化物及びアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物を配合してなる水溶性調質圧延液組成物であって、前記(B)の脂肪族カルボン酸と(A)の芳香族カルボン酸との配合比、B/A(モル比)が1.0〜10であることを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。 - (B)の脂肪族カルボン酸の70モル%以上が脂肪族モノカルボン酸である請求項1に記載の水溶性調質圧延液組成物。
- (B)の脂肪族モノカルボン酸の80モル%以上が、分岐鎖を有する脂肪族モノカルボン酸である請求項2に記載の水溶性調質圧延液組成物。
- (C)の塩基性化合物の配合量が、(A)及び(B)成分の中和当量以上である請求項1〜3のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物。
- (A)の芳香族カルボン酸が、ニトロ安息香酸、アルコキシ(アルキル基の炭素数1〜4)安息香酸、及びアルキル(アルキル基の炭素数1〜4)安息香酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の水溶性調質圧延液組成物を希釈水で10〜50倍に希釈した水溶性調質圧延液組成物。
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