JP2016094526A - 水溶性調質圧延液組成物 - Google Patents

水溶性調質圧延液組成物 Download PDF

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匡基 田巻
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直樹 長瀬
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Abstract

【課題】耐ガムアップ性、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性、並びに、防錆性および加工性にも優れた水溶性調質圧延液組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の水溶性調質圧延液組成物は、水に、(A)芳香族カルボン酸と、(B)脂肪族カルボン酸と、(C)塩基性化合物と、(D)両性界面活性剤とを配合してなり、前記(B)成分が、下記一般式(1)で表される脂肪族カルボン酸であり、前記(C)成分が、(C1)アルカリ金属の水酸化物および(C2)アルカノールアミンを含むことを特徴とするものである。
−CH(R)−(COOH) (1)
(式中、Rはヒドロカルビル基であり、Rは水素またはヒドロカルビル基であり、RおよびRの炭素数の合計は7以上24以下であり、RおよびRは同一でも異なっていてもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は水溶性調質圧延液組成物に関する。
調質圧延は冷間圧延後、微少の圧下率で圧延するもので、冷延鋼板の形状を制御し、機械特性を付与し(降伏点伸びの消去)、光沢を調整することなどを目的に行われている。この調質圧延された冷延鋼板は、それぞれの用途に応じて加工使用されるまでにかなりの期間があるために、通常防錆油で処理される。しかしながら、調質圧延工程で用いられた水溶性調質圧延剤中の成分と防錆油中の成分とが化学反応を起こし、いわゆる「ガムアップ」と呼ばれる粘着物が生成することがある。ガムアップは鉄粉やカーボンなどの異物を抱き込んで搬送ロールに堆積し、それが鋼板に転写されて表面品位を著しく損なわせ、また、その後のプレス加工などにおいて、「滑り」を生じさせるなどの問題を引き起こすことがある。そのため、ガムアップの発生を防止できる、耐ガムアップ性調質圧延剤であることが要求される。
また、調質圧延後、冷延鋼板は調質圧延液のみが付着した状態で、長期にわたり保管されることがあるため、それ自身が防錆性に優れることが必要である。さらに調質圧延液には、脱脂性が良好であること、良好な圧延性(例えば、良好な濡れ性、適正な摩擦係数)を有することなども要求される。
上記のような課題を解決するために、例えば、水に、芳香族カルボン酸と、脂肪族カルボン酸と、アルカリ金属の水酸化物およびアルカノールアミンから選ばれる少なくとも1種の塩基性化合物と、を含有する水溶性調質圧延液組成物であって、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸との含有比が所定範囲である水溶性調質圧延液組成物が提案されている(特許文献1参照)。また、ベンゾチアゾリルチオアルキレンカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などの混合カルボン酸と、それぞれのアルカノールアミンの塩を含有する水溶性調質圧延油剤が提案されている(特許文献2参照)。
特開2007−177166号公報 特開2000−087073号公報
一方、調質圧延後、冷延鋼板は調質圧延液のみが付着した状態での保管は、長期にわたるだけでなく、例えば、錆びの生じやすい高温多湿条件で、しかも鋼板が積み重ねられた条件(スタック条件)にて保管される場合がある。このような場合、調質圧延液自身として、より高度な防錆性(暴露防錆性、研磨板などの活性な板表面におけるステイン抑制性など)が必要とされる。しかしながら、特許文献1に記載の水溶性調質圧延液組成物は、高温多湿(例えば、50℃95%RH)のスタック条件下におけるステイン抑制性の点で必ずしも十分なものではなかった。また、特許文献2に記載の水溶性調質圧延液組成物は、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性の他に、耐ガムアップ性の点でも問題があった。
本発明は、耐ガムアップ性、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性、並びに、防錆性および加工性にも優れた水溶性調質圧延液組成物を提供することを目的とする。
本発明の水溶性調質圧延液組成物は、水に、(A)芳香族カルボン酸と、(B)脂肪族カルボン酸と、(C)塩基性化合物と、(D)両性界面活性剤とを配合してなり、前記(B)成分が、下記一般式(1)で表される脂肪族カルボン酸であり、前記(C)成分が、(C1)アルカリ金属の水酸化物および(C2)アルカノールアミンを含むことを特徴とするものである。
−CH(R)−(COOH) (1)
(式中、Rはヒドロカルビル基であり、Rは水素またはヒドロカルビル基であり、RおよびRの炭素数の合計は7以上24以下であり、RおよびRは同一でも異なっていてもよい。)
本発明によれば、耐ガムアップ性、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性、並びに、防錆性および加工性にも優れた水溶性調質圧延液組成物を提供できる。
以下、本発明の一実施態様である水溶性調質圧延液組成物(「本組成物」ともいう。)について詳細に説明する。
〔(A)成分〕
本組成物の(A)成分である芳香族カルボン酸は、特に制限されず、適宜公知のものを用いることができる。ただし、(A)成分は、下記一般式(2)で表される芳香族カルボン酸であることが好ましい。このような(A)成分は、後述する(C)成分の塩基性化合物と塩を形成し、組成物の防錆性を高める効果があり、耐ガムアップ性も良好に保つことができる。
(X)−Ar−(COOH) (2)
前記一般式(2)において、Xは、NO−、RO−、およびR−のうちいずれかである。ここで、Rは、炭素数1以上10以下のヒドロカルビル基である。このヒドロカルビル基としては、直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキル基またはアルケニル基が好ましい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基,各種(n−,sec−,tert−,およびiso−、以下同じ)ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、およびこれらのアルキル基(メチル基を除く)に対応するアルケニル基などが挙げられる。Rの炭素数は、1以上8以下であることが好ましく、1以上6以下であることがより好ましく、1以上4以下であることが特に好ましい。
前記一般式(2)において、Arは2以上4以下の結合手を有する芳香族炭化水素基である。この芳香族炭化水素基を有する芳香族カルボン酸残基としては、いずれも芳香環に1または2の結合手を有する安息香酸残基、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基などが挙げられる。これらの中でも、ステイン抑制性に優れるという観点や入手が容易であるという観点から、安息香酸残基、フタル酸残基などが特に好ましい。
前記一般式(2)において、mおよびnは1または2であり、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(2)で表される芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸またはフタル酸の、(ジ)ニトロ化物(ニトロ化物またはジニトロ化物の意味である。)、(ジ)アルコキシ(アルキル基の炭素数1から4まで)化物、(ジ)アルキル(アルキル基の炭素数1から4まで)化物、アルキル(アルキル基の炭素数1から4まで)ニトロ化物、アルコキシ(アルキル基の炭素数1から4まで)ニトロ化物、およびアルコキシ(アルキル基の炭素数1から4まで)アルキル(アルキル基の炭素数1から4まで)化物が挙げられる。より具体的には、p−ニトロ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−エトキシ安息香酸、p−nプロポキシ安息香酸、p−isoプロポキシ安息香酸、p−nブトキシ安息香酸、p−secブトキシ安息香酸、p−tertブトキシ安息香酸、p−isoブトキシ安息香酸、p−メチル安息香酸、p−エチル安息香酸、p−nプロピル安息香酸、p−isoプロピル安息香酸、p−nブチル安息香酸、p−secブチル安息香酸、p−tertブチル安息香酸、p−isoブチル安息香酸、4−メチル3−ニトロ安息香酸、および3−ニトロフタル酸などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、任意に2種以上を混合して用いてもよい。
(A)成分の配合量としては、組成物全量基準で0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。(A)成分の配合量が前記範囲内であれば、それが(C)成分の塩基性化合物と塩を形成し、組成物を希釈した希釈液における防錆性を高める効果があり、耐ガムアップ性も良好に保つことができる。
〔(B)成分〕
本組成物における(B)成分は、下記一般式(1)で表される脂肪族カルボン酸である。このような(B)成分は、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性を向上しつつ、耐ガムアップ性も良好に保つことができる。
−CH(R)−(COOH) (1)
前記一般式(1)において、Rはヒドロカルビル基であり、Rは水素またはヒドロカルビル基である。このヒドロカルビル基としては、直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキル基またはアルケニル基が好ましい。RおよびRの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基,各種(n−,sec−,tert−,およびiso−、以下同じ)ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種イコシル基、各種ヘンイコシル基、各種ドコシル基、各種トリコシル基、各種テトラコシル基、およびこれらのアルキル基(メチル基を除く)に対応するアルケニル基などが挙げられる。RおよびRの炭素数の合計は、7以上24以下である。RおよびRの炭素数の合計が7未満では、ステイン抑制性が低下し、他方、24を超えると、溶解性・原液安定性が低下する。また、ステイン抑制性の観点からは、RおよびRの炭素数の合計が、7以上18以下であることがより好ましく、8以上14以下であることが特に好ましい。RおよびRは同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(1)で表される脂肪族カルボン酸としては、直鎖状の脂肪族カルボン酸の他に、分岐鎖状の脂肪族カルボン酸の中でα位に水素を有するものが挙げられる。
直鎖状の脂肪族カルボン酸としては、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、n−テトラデカン酸、n−ペンタデカン酸、n−ヘキサデカン酸、n−ヘプタデカン酸、n−オクタデカン酸、n−イコサン酸、n−ドコサン酸、およびn−テトラドコサン酸などが挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族カルボン酸の中でα位に水素を有するものとしては、イソオクタン酸、イソノナン酸(3,5,5−トリメチルヘキサン酸)、イソデカン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、イソラウリン酸、イソトリデカン酸、オクチル酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、およびシクロヘキシルプロピオン酸などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、任意に2種以上を混合して用いてもよい。
(B)成分の配合量としては、組成物全量基準で0.5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。(B)成分の配合量が前記下限値以上であれば、組成物を希釈した希釈液において優れたステイン抑制性および防錆性が認められ、前記上限値以下であれば、耐ガムアップ性を低下させることもない。
〔(C)成分〕
本組成物における(C)成分は、(C1)アルカリ金属の水酸化物および(C2)アルカノールアミンを含む塩基性化合物である。(C1)成分および(C2)成分の両方を含まない場合には、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性が不十分となる。
(C1)アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどが挙げられる。これらの中でも、ステイン抑制性に優れるという観点や入手が容易であるという観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、任意に2種以上を混合して用いてもよい。
(C2)アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノn−プロパノールアミン、ジ(n−プロパノール)アミン、トリ(n−プロパノール)アミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、およびメチルイソプロパノールアミンなどが挙げられる。これらの中でも、防錆性(高いpH)の観点から、総炭素数2以上4以下の一級または二級のアルカノールアミンが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、任意に2種以上を混合して用いてもよい。
本組成物においては、(A)成分のモル配合量に(A)成分のカルボン酸の価数を乗じた値をA、(B)成分のモル配合量をB、(C)成分のモル配合量をCとしたときに、C/(A+B)で求められるモル比が1以上10以下であることが好ましい。このモル比が前記範囲内であれば、(A)成分および(B)成分のカルボン酸が(C)成分と良好な塩を形成し、優れた防錆性を発現できる。また、耐ガムアップ性の観点から、このモル比は、1以上8以下であることがより好ましく、1以上5以下であることが特に好ましい。
〔(D)成分〕
本組成物における(D)成分は、両性界面活性剤である。このような(D)成分を含まない場合には、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性が不十分となる。ここで、両性界面活性剤とは、pHによって親水基の部分がプラスに帯電したり、マイナスに帯電したりする界面活性剤のことをいう。
両性界面活性剤としては、ベタイン化合物(正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置にもつ分子の総称)の構造を有するものが挙げられる。これらの中でも、防錆性およびステイン抑制性の観点から、分子内のアニオンがカルボン酸型であることが好ましい。
また、両性界面活性剤の具体例としては、アルキルベタイン型両性界面活性剤、脂肪酸アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、アルキルイミダゾール型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤、およびアミンオキシド型両性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、防錆性およびステイン抑制性の観点から、アルキルイミダゾール型両性界面活性剤(2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど)、アルキルベタイン型両性界面活性剤(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど)が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、任意に2種以上を混合して用いてもよい。
(D)成分の配合量としては、組成物全量基準で0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以上4質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上3質量%以下であることが特に好ましい。(D)成分の配合量が前記下限値以上であれば、組成物を希釈した希釈液において高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性を良好に保つことができ、前記上限値以下であれば、暴露防錆性の低下という問題や泡立ちの悪化などの実用上の問題が発生することもない。
〔本組成物〕
本組成物は、水に、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を配合してなるものであり、通常、原液として調製され、水で希釈して使用される。ここで、原液を調製する際に用いられる水については、特に制限はなく、例えば、脱イオン水(イオン交換水)、純水、水道水、および工業用水などが使用できる。これらの中でも、脱イオン水、純水が好ましい。また、原液での水の含有量としては、組成物全量基準で、30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることが特に好ましい。水の含有量が前記下限値以上であれば、各成分を容易に溶解でき原液の調製が容易となる。また、原液としての保管量や輸送量などのハンドリング性の観点から、水の含有量が前記上限値以下であることが好ましい。
本組成物(原液)は、通常、希釈水により体積倍率で10倍以上50倍以下に希釈して、実際の調質圧延に使用される。この場合の希釈水としては、脱イオン水、純水、水道水、および工業用水などが使用できる。
なお、本発明において、例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を配合してなる組成物」と規定された組成物は、「(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分を含む組成物」だけでなく、「(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分のうち少なくとも一つの成分の代わりに、当該成分が変性した変性物を含む組成物」や、「(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分のうちいずれか2成分以上が反応した反応生成物を含む組成物」という意味も含まれる。
本組成物は、水に、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分以外に、さらに必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、水溶性ポリマー、水溶性金属腐食防止剤、(D)成分以外の界面活性剤などが挙げられる。
水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコールのエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)などのアルキレンオキサイド付加物、メチルセルロース類などが挙げられる。このような水溶性ポリマーは、調質圧延の圧延ロールに残る粘着性の不揮発分の発生を抑制する効果(耐ビルドアップ性)があり、組成物全量基準で、通常、0.5質量%以上15質量%以下の範囲で配合する。
水溶性金属腐食防止剤としては、ほう酸、タングステン酸、モリブデン酸、リン酸、炭酸、硫酸、珪酸、硝酸、亜硝酸などの無機酸のナトリウム塩およびカリウム塩;ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ヒドロカルビルトリアゾールなどのトリアゾール類およびこれらの塩;メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール類およびこれらの塩;脂肪酸アルカノールアミド類;イミダゾリン類;およびオキサゾリン類などが挙げられる。この水溶性金属腐食防止剤は、水溶性調質圧延液組成物の錆止め作用を向上させる効果がある。
(D)成分以外の界面活性剤としては、硫酸およびスルホン酸エステルなどのアニオン系界面活性剤;およびポリオキシエチレン化合物などのノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
これら水溶性金属腐食防止剤または界面活性剤は、組成物全量基準で、通常、0.1質量%以上10質量%以下の範囲で配合する。
本組成物は、以上のような構成を有するが、この組成物を希釈水により体積倍率で20倍に希釈した希釈液(5体積%)のpHは、7以上11以下であることが好ましく、8以上11以下であることがより好ましい。pHが前記範囲内であれば、防錆性を良好に保つ効果がある。
また、本組成物は、摩擦係数が一定値より低いことが好ましく、例えば、往復動摩擦試験機で摩擦係数が0.3以下であることが好ましく、0.25以下であるものがより好ましい。摩擦係数が前記上限値以下であれば、調質圧延において、圧延荷重の変動幅が小さく、安定したロール表面の転写を行うことができるという効果がある。
以下に本発明を実施例および比較例によってさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。なお、水溶性調質圧延液組成物の性能は次の方法に従って評価した。
(1)耐ガムアップ性
300mLの容器に試料油10gと市販の防錆油(「ダフニーオイルコートSK−Kai2」、出光興産社製)70gとを採取し、70℃で16時間、1000rpmで攪拌した。その後、ヘキサン溶剤で容器を洗浄し、洗浄後の付着物をガム量として秤量した。そして、下記の基準に従って、耐ガムアップ性を評価した。
○:ガム生成なし。
×:ガム生成あり。
(2)ステイン抑制性
JIS G3141(2011年)に規定する鋼板を脱脂後、研磨紙(♯240)で表面を研磨し、板を洗浄ガソリンで洗浄し、試験板を作製した。作製した試験板を、試料油をイオン交換水にて5体積%に希釈したものに浸漬し、0.1mmのスペーサーを挟んで試験板を重ねた。濾紙で包んだ後、2Nの荷重をかけて、温度50℃湿度95%RHの条件下で2日間静置し、錆びおよびステインの有無と程度を目視にて観察した。そして、下記の基準に従って、ステイン抑制性を評価した。
○:錆びおよびステインなし。
×:錆びまたはステインあり。
(3)摩擦係数
往復動摩擦試験機を用い、下記条件にて摩擦係数を測定した。
試験片:JIS G3141(2011年)に規定する鋼板
水溶性調質圧延液:試料油をイオン交換水にて5体積%に希釈したもの
試験球:SUJ−2球(1/2インチ)
試験荷重:4.9N(0.5kgf)
試験速度:10mm/s
試験温度:35℃
そして、下記の基準に従って、摩擦係数を評価した。
○:摩擦係数が0.25以下である。
×:摩擦係数が0.25超である。
(4)暴露防錆性
JIS G3141(2011年)に規定する鋼板を脱脂後、試料油をイオン交換水にて5体積%に希釈したものに浸漬し、乾燥後、その試験片を屋内暴露試験にかけた。屋内暴露試験は10日後に、錆びおよびステインの有無と程度を目視にて観察した。そして、下記の基準に従って、暴露防錆性を評価した。
○:錆びおよびステインなし。
×:錆びまたはステインあり。
〔実施例1〜4、比較例1〜5〕
表1および表2に示す配合組成の水溶性調質圧延液組成物を調製し、評価用の試料油とした。これらの試料油について、各種性能を評価した。その結果を表1および表2に示す。なお、表1中および表2中にて略称を用いている各成分は、以下に示すものである。
<(C)成分:(C1)成分、(C2)成分>
KOH:水酸化カリウム(純度:98%)
NaOH:水酸化ナトリウム(純度:98%)
MIPA:モノイソプロパノールアミン
<(D)成分>
両性界面活性剤1:2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
両性界面活性剤2:ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン
<その他の成分>
水溶性ポリマー:エチレングリコールEO,PO付加物(グリコールエーテル、ノニオン系界面活性剤およびベンゾトリアゾールの混合物)
Figure 2016094526
Figure 2016094526
〔評価結果〕
表1の結果より、本発明の実施態様である実施例1〜4の試料油は、耐ガムアップ性、ステイン抑制性および暴露防錆性に優れており、さらに、摩擦係数が低く加工性にも優れていることが理解できる。つまり、本発明の実施態様である実施例1〜4の試料油によれば、耐ガムアップ性、高温多湿のスタック条件下におけるステイン抑制性、並びに、防錆性および加工性にも優れることが確認された。
これに対して、表2に示すように、(A)成分を含有していない比較例1の試料油は、ステイン抑制性および暴露防錆性が劣ることが分かった。(B)成分を含有していない比較例2および比較例3の試料油は、ステイン抑制性が劣り、特に、比較例3の試料油は、耐ガムアップ性も劣ることが分かった。(C)成分として(C1)成分を含有していない比較例4の試料油は、ステイン抑制性が劣ることが分かった。(D)成分を含有していない比較例5の試料油は、ステイン抑制性が劣ることが分かった。

Claims (6)

  1. 水に、(A)芳香族カルボン酸と、(B)脂肪族カルボン酸と、(C)塩基性化合物と、(D)両性界面活性剤とを配合してなり、
    前記(B)成分が、下記一般式(1)で表される脂肪族カルボン酸であり、
    前記(C)成分が、(C1)アルカリ金属の水酸化物および(C2)アルカノールアミンを含む
    ことを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。
    −CH(R)−(COOH) (1)
    (式中、Rはヒドロカルビル基であり、Rは水素またはヒドロカルビル基であり、RおよびRの炭素数の合計は7以上24以下であり、RおよびRは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 請求項1に記載の水溶性調質圧延液組成物において、
    前記(A)成分が下記一般式(2)で表される芳香族カルボン酸である
    ことを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。
    (X)−Ar−(COOH) (2)
    (式中、Xは、NO−、RO−、およびR−のうちいずれかであり(ただし、Rは、炭素数1以上10以下のヒドロカルビル基)、Arは2以上4以下の結合手を有する芳香族炭化水素基であり、mおよびnは1または2であり、mが2の場合、Xは同一でも異なっていてもよい。)
  3. 請求項1または請求項2に記載の水溶性調質圧延液組成物において、
    前記(A)成分のモル配合量に前記(A)成分のカルボン酸の価数を乗じた値をA、前記(B)成分のモル配合量をB、前記(C)成分のモル配合量をCとしたときに、C/(A+B)で求められるモル比が1以上10以下である
    ことを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の水溶性調質圧延液組成物において、
    前記(D)成分における分子内アニオンがカルボン酸型である
    ことを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の水溶性調質圧延液組成物において、
    前記(A)成分の配合量が組成物全量基準で0.5質量%以上20質量%以下であり、
    前記(B)成分の配合量が組成物全量基準で0.5質量%以上40質量%以下であり、
    前記(D)成分の配合量が組成物全量基準で0.5質量%以上5質量%以下である
    ことを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の水溶性調質圧延液組成物を、希釈水により体積倍率で10倍以上50倍以下に希釈してなる
    ことを特徴とする水溶性調質圧延液組成物。
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