JP4903312B2 - 重量測定装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の重量を測定する重量測定装置に関し、特に、例えば歪みゲージ式ロードセル等のように外部からバイアスとしての励磁信号を与えることによって当該励磁信号の大きさと測定対象物の重量とに応じた荷重信号を出力する重量センサ、を用いた重量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような重量測定装置においては、重量センサに掛かる荷重負荷の大きさの変化に対して、上記荷重信号の変化量が極めて小さいため、所謂前置増幅回路を設けて、この前置増幅回路により荷重信号を比較的に大きなゲインで増幅するのが、一般的である。上記前置増幅回路としては、性能の良さ及び手軽さ等から、多くの場合、演算増幅器(operational amplifier)が用いられる。しかし、演算増幅器は、それ自身、入力ノイズを有しているので、この入力ノイズ、特に低周波数帯域の入力ノイズが、高精度な測定を阻害する一つの大きな要因となっている。
【0003】
即ち、上記入力ノイズのうち、比較的に周波数の高い成分については、例えば上記荷重信号の品質を損なわない程度のローパス・フィルタを通過させることにより、比較的に容易に除去できる。しかし、重量センサの応答特性と重なるような低周波数帯域の入力ノイズを、上記のようなローパス・フィルタにより除去することは不可能である。特に、この入力ノイズには、所謂温度ドリフト等も含まれるが、このドリフトによる信号の変化は、極めて遅くしかも環境条件に左右されるため、かかる低周波数かつ不規則なノイズを除去するのは、非常に厄介である。
【0004】
従来、このようなノイズを除去する技術として、例えば特許第3002078号公報に開示されたものがある。これは、上記重量センサに対応する歪みゲージブリッジ回路に、そのバイアスとして交流電圧を与え、このブリッジ回路の出力信号を、交流増幅器を介して、互いに独立した2つのサンプルホールド回路に供給する。そして、これら各サンプルホールド回路により、上記交流増幅器の出力信号を、上記交流電圧の極性に一致するように各半サイクルごとに交互にサンプルホールドし、この2つの出力の差を、積分機能を有する差動増幅器で増幅することによって、上記ノイズをキャンセルすると共に、上記ブリッジ回路の機械的歪み量に応じた直流の信号を復調する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ディジタル技術が発達しかつ一般化している近年においては、上記復調して得た直流信号を、アナログ信号のままの状態で処理することは、極めて稀であり、殆どの場合は、当該アナログ信号をディジタル化して、各種ディジタル処理を施すことにより、最終的な測定結果等を導き出している。従って、上記従来技術の場合、別途A/D変換器を設け、このA/D変換器により上記復調信号をディジタル化してから、例えばCPU(中央演算処理装置)やDSP(ディジタル信号処理装置)等により上記ディジタル処理を行うことになる。
【0006】
かかるディジタル処理を前提とする場合、言うまでもなく、アナログ処理を掌る部分については、その構成を極力簡素化するのが望ましい。そこで、本発明は、上記従来技術よりも極めて簡単な構成で、上記前置増幅回路自身の入力ノイズ等誤差信号の影響を回避できる重量測定装置、を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の重量測定装置は、周波数が一定の交流励磁信号を出力する励磁手段と、
上記励磁信号が供給され、この励磁信号の大きさと測定対象物の重量とに応じた大きさの交流荷重信号を出力する重量センサと、
上記交流荷重信号に所定の処理を施す処理手段と、
この処理手段によって処理した後の前処理済荷重信号をディジタル化するA/D変換手段と、
或る第1の時点における上記前処理済荷重信号をA/D変換手段によってディジタル化して得た第1のデータと、当該第1の時点から上記励磁信号の周期の略[{1/2}+m(mは、整数である。)]倍に相当する時間だけ離れた第2の時点における上記前処理済荷重信号をA/D変換手段によってディジタル化して得た第2のデータと、の差を求め、この差を基に上記測定対象物の重量を表す荷重データを導出する演算手段と、
を具備するものである。
【0008】
なお、ここで言う上記重量センサとしては、例えば上述した歪みゲージブリッジ回路等に代表される歪みゲージ式ロードセルがある。また、上記処理手段としては、例えば上記交流荷重信号を比較的に大きなゲインで増幅する前置増幅回路等がある。
【0009】
本発明によれば、重量センサは、交流の励磁信号が供給されることにより、所謂交流バイアスされており、当該励磁信号の大きさ、例えば電圧と、風袋等に載置された測定対象物の重量と、に応じた交流荷重信号を出力する。この交流荷重信号は、処理手段によって例えば増幅処理等の前処理が成された後、A/D変換手段に入力される。A/D変換手段は、この前処理済荷重信号をディジタル化し、このディジタル化して得たデータを演算手段に入力する。
【0010】
演算手段は、上記A/D変換手段から入力されるデータのうち、或る第1の時点における上記前処理済荷重信号をディジタル化して得た第1のデータと、或る第2の時点における上記前処理済荷重信号をディジタル化して得た第2のデータと、を捉える。ここで、上記第1の時点と第2の時点とは、互いに上記励磁信号の周期の略[{1/2}+m]倍に相当する時間だけ離れている。このような第1及び第2の各時点においては、上記励磁信号は、それぞれ略同じ大きさでかつ逆極性の値を示す。従って、かかる第1及び第2の各時点における上記前処理済荷重信号は、それぞれ測定対象物の重量に応じた大きさでかつ逆極性の値を示す。そして、これらの値をそれぞれディジタル化して得た上記第1及び第2の各データは、それぞれ測定対象物の重量を表しかつ互いに逆符号のデータである。
【0011】
上記のように、第1及び第2の各データは、互いに逆符号のデータではあるものの、それぞれが単独で測定対象物の重量を表しているので、演算手段は、これらのデータを捉えることにより、測定対象物の重量を認識する。しかし、演算手段は、これら第1及び第2の各データを捉えるだけでなく、これら互いに逆符号のデータの差を求めることによって、測定対象物の重量を言わば2倍の感度で認識する。そして、演算手段は、上記第1及び第2の各データの差を基に、測定対象物の重量を例えば数値等で表すための荷重データを導出する。この荷重データは、例えば紙等に記録したり、或るいは半導体メモリや磁気ディスク等の各種電気式記録媒体に記録したり、更にはモニタ画面に表示する等、視覚情報として出力したり、スピーカから音声で出力する等、聴覚情報として出力することができる。
【0012】
ところで、本発明においても、上記処理手段により交流荷重信号を増幅処理等する際に、上述した温度ドリフト等の処理手段自身が持つ入力ノイズ等誤差信号の影響によって、当該処理後の前処理済荷重信号が変化することがある。しかし、この前処理済荷重信号を上記A/D変換手段によりディジタル化したとき、第1及び第2のデータは位相差が[{1/2}+m]周期分あるので、第1及び第2のデータのうち交流荷重信号相当分は、絶対値が等しく極性が反対の信号になるが、前処理手段の入力点で発生する入力ノイズ等誤差信号相当分は極性が反転しない。しかも、交流荷重信号の周期に比べて入力ノイズ等誤差信号が変化する周期が充分長ければ、交流荷重信号をA/D変換した第1及び第2の時点での誤差信号の大きさがほぼ等しいとみなせるので、当該誤差信号は第1及び第2のデータに同極性でほぼ等しい値で含まれる。これら第1及び第2の各データは、上記演算手段により所謂減算処理されるので、この減算処理の際に、ほぼ等しい値である上記誤差信号はキャンセルされる。これにより、上記入力ノイズ等誤差信号の影響を排除した、純粋な荷重データを得ることができる。
【0013】
なお、上記第1及び第2の各時点間の時間間隔が短いほど(即ち、励磁信号の周期が短いほど、及び整数mの絶対値が小さいほど)、または入力ノイズ等誤差信号の周期が長いほど、上記第1及び第2の各データにそれぞれ含まれる上記入力ノイズの値は、近似する。従って、これら第1及び第2の各時点間の時間間隔を極力短くした方が、または第1及び第2の各時点の時間間隔に対して入力ノイズ等誤差信号の周期が長いほど、上記入力ノイズ等誤差信号の影響を有効に排除でき、より高精度な重量測定を実現できる。また、上記荷重データを時系列で複数導出し、これら複数の荷重データを例えば移動平均処理等のディジタル処理をすれば、より一層高精度化できる。
【0014】
本発明は、重量センサを、所謂直流バイアスする方式の重量測定装置にも、供する。
この場合、上記重量センサに励磁信号を供給するための励磁手段として、例えば電圧値が略一定の直流の励磁信号を出力するものを、用いる。これにより、重量センサは、当該励磁信号の大きさと測定対象物の重量とに応じた大きさの直流荷重信号を出力するようになる。そして、この直流荷重信号を一定の周期で断続(チョッピング)することにより、当該直流荷重信号を、概略矩形でかつ一方の極性のみに振幅を持つ片極性パルス荷重信号に変換するチョッパ手段を設ける。そして、このチョッパ手段による変換前の段階または変換後の段階において、処理手段により上記直流荷重信号または片極性パルス荷重信号を例えば増幅する等の所定の処理を施し、この処理手段及び上記チョッパ手段による処理後の前処理済荷重信号を、A/D変換手段によりディジタル化する。演算手段については、上記と同様に、第1の時点における前処理済荷重信号をA/D変換手段によってディジタル化して得た第1のデータと、第2の時点における前処理済荷重信号をA/D変換手段によってディジタル化して得た第2のデータと、の差を求め、この差を基に荷重データを導出するよう構成する。なお、ここで言う上記第1及び第2の各時点は、互いに上記チョッパ手段による直流荷重信号の断続周期の略[{1/2}+m(mは、整数である。)]倍に相当する時間だけ離れた時点、とする。
【0015】
この構成によれば、上記チョッパ手段が所謂出力ONの状態にあるときは、上記前処理済荷重信号は、上記処理手段自身が持つ入力ノイズ等誤差信号の影響を含む測定対象物の重量に応じた大きさとなる。そして、チョッパ手段が所謂出力OFFの状態にあるときには、上記前処理済荷重信号は、基本的に大きさ零(0)となり、厳密には測定対象物の重量を含まない上記入力ノイズ等誤差信号の影響のみに応じた大きさとなる。演算手段は、これらチョッパ手段が出力ONの状態にあるときと出力OFFの状態にあるときとに、それぞれ上記第1及び第2の各時点を設け、これら各時点における前処理済荷重信号をそれぞれディジタル化して得た第1及び第2のデータの差を求める。これにより、上記入力ノイズ等誤差信号の影響が排除される。ただし、これら第1及び第2の各データの一方は、基本的に零を表し測定対象物の重量に係る情報を含まないので、これら各データの差を求めても、上記重量センサを交流バイアスする場合とは異なり、測定対象物の重量を2倍の感度で認識することはできない。
【0016】
そこで、重量センサを直流バイアスする場合でも、重量センサを交流バイアスする場合と同様に、測定対象物の重量を2倍の感度で認識できるようにするには、次のように構成すればよい。
【0017】
即ち、上記チョッパ手段に代えて、重量センサから出力される直流荷重信号の極性を一定の周期で交互に反転させる極性反転手段を設ける。これにより、上記直流荷重信号を、その極性が正極と負極とに交互に反転する概略矩形の両極性パルス荷重信号に、変換する。そして、この極性反転手段による変換前の段階または変換後の段階において、処理手段により上記直流荷重信号または極性パルス荷重信号を処理し、この処理手段及び上記極性反転手段による処理後の前処理済荷重信号を、A/D変換手段によりディジタル化する。これ以降は、上記と同様に、演算手段により、第1の時点における前処理済荷重信号をA/D変換手段によってディジタル化して得た第1のデータと、第2の時点における前処理済荷重信号をA/D変換手段によってディジタル化して得た第2のデータと、の差を求め、この差を基に荷重データを導出するよう構成する。なお、ここで言う上記第1及び第2の各時点は、互いに上記極性反転手段による極性の反転周期の略[{1/2}+m(mは、整数である。)]倍に相当する時間だけ離れた時点、とする。
【0018】
この構成によれば、上記重量センサを交流バイアスする場合と同様に、第1及び第2の各時点における前処理済荷重信号は、それぞれ上記処理手段自身の入力ノイズ等誤差信号の影響を含む測定対象物の重量に応じた大きさで、入力ノイズ等誤差信号は同極性、前処理ずみ荷重信号は逆極性の値を示す。従って、これらの値をそれぞれディジタル化して得た第1及び第2の各データの差を、演算手段により求めることによって、上記入力ノイズ等誤差信号の影響を排除すると共に、測定対象物の重量を略2倍の感度で測定することができる。
【0019】
本発明においては、上記A/D変換手段の動作負担を軽減するために、このA/D変換手段による上記前処理済荷重信号のサンプリング周期を、上記第1及び第2の各時点間の時間間隔に相当する周期としてもよい。
【0020】
即ち、上記A/D変換手段よってディジタル化して得たデータは、演算手段に入力されるが、この演算手段が上記荷重データを導出するために必要としているるデータは、第1及び第2の各時点における前処理済荷重信号をそれぞれディジタル化して得た第1及び第2のデータのみである。従って、A/D変換手段は、少なくとも上記第1及び第2の各時点における前処理済荷重信号をそれぞれディジタル化すれば十分であり、これら第1及び第2の各時点間の途中で前処理済荷重信号をディジタル化する必要はない。よって、本発明を実現するには、A/D変換手段による前処理済荷重信号のサンプリング周期を、上記のように第1及び第2の各時点間の時間間隔に相当する周期とすれば十分ある。そして、このようにA/D変換手段のサンプリング周期を設定することによって、当該A/D変換手段の動作負担を最小限に抑制できる。
【0021】
また、本発明において、上記重量センサを交流バイアスする場合には、上記励磁信号を正弦(sin)波信号とするのが、望ましい。この場合、演算手段は、上記励磁信号の或る1周期中において、上記前処理済荷重信号の大きさが略最大または略最小になる時点を、上記第1の時点とするよう、構成する。この構成によれば、装置の測定感度を略最大限に向上できる。
【0022】
即ち、今、上記励磁信号の或る1周期中において、例えば前処理済荷重信号の大きさが略最大になる時点を、第1の時点とするとする。この場合、第2の時点は、当該励磁信号の或る1周期中または他の周期中において、前処理済荷重信号の大きさが略最小になる時点、となる。このような第1及び第2の各時点における前処理済荷重信号をそれぞれディジタル化して得た第1及び第2の各データの差は、言わば当該前処理済荷重信号のピーク・トゥー・ピーク値に対応する。従って、かかるピーク・トゥー・ピーク値を基に、測定対象物の重量を求めれば、最も高い測定感度を得ることができる。
【0023】
なお、上記とは逆に、励磁信号の或る1周期中において、前処理済荷重信号の大きさが略最小になる時点を、第1の時点とした場合、当該励磁信号の或る1周期中または他の周期中において、前処理済荷重信号の大きさが略最大になる時点が、第2の時点となる。従って、この場合も、上記と同様に、前処理済荷重信号のピーク・トゥー・ピーク値を得ることができ、最も高い感度で重量測定を実現できる。
【0024】
本発明において、重量センサを直流バイアスする場合であって、上記チョッパ手段を用いる場合には、このチョッパ手段による直流荷重信号の断続周期の或る1周期中において、上記前処理済荷重信号の大きさが急変する所謂立ち上がり及び立ち下がり時点以外の所定の時点を、第1の時点とするよう、演算手段を構成するのが、望ましい。
【0025】
即ち、チョッパ手段により直流荷重信号をチョッピングすると、このチョッピングにより生成される片極性パルス荷重信号は、その立ち上がり及び立ち下がりにおいて、過渡的な乱れを生じる。この信号の乱れは、上記前処理済荷重信号にも現れる。また、上記信号の急激な立ち上がり及び立ち下がりによって、接地(GND)電位等の基準電位に、高周波ノイズが乗る。従って、かかる信号の乱れや高周波ノイズの影響を回避するために、上記のように、第1の時点は、前処理済荷重信号の立ち上がり及び立ち下がり以外の時点に設けるのが、望ましい。なお、このように第1の時点を決定すれば、第2の時点も、必然的に、前処理済荷重信号の立ち上がり及び立ち下がり以外の時点に設けられるようになる。
【0026】
上記チョッパ手段に代えて、上述した極性反転手段を用いる場合には、この極性反転手段による極性の反転周期の或る1周期中において、上記前処理済荷重信号の立ち上がり及び立ち下がり時点以外の時点を、第1の時点とするよう、演算手段を構成する。
【0027】
即ち、極性反転手段により直流荷重信号の極性を反転した場合にも、この極性を反転させることにより生成される両極性パルス荷重信号の立ち上がり及び立ち下がりに、過渡的な乱れが生じる。そして、この信号の乱れは、前処理済荷重信号にも現れる。また、上記と同様、接地電位等の基準電位に、高周波ノイズが載る。よって、この場合にも、上記信号の乱れや高周波ノイズの影響を回避するために、第1の時点は、前処理済荷重信号の立ち上がり及び立ち下がり以外の時点に設けるのが、望ましい。そして、このように第1の時点を決定することにより、第2の時点も、必然的に、前処理済荷重信号の立ち上がり及び立ち下がり以外の時点に設けられる。
【0028】
更に、上記重量センサを交流バイアスする場合において、上記第1及び第2の各時点を定める際、例えば励磁信号の位相に同期して、これらの時点を定めるよう、演算手段を構成するのが、望ましい。このようにすれば、例え何らかの原因により励磁信号の位相がシフトし、これによって前処理済荷重信号の位相がシフトしたとしても、この位相のシフトに応じて、上記第1及び第2の各時点もシフトする。このように、A/D変換手段によるディジタル化の対象となる前処理済荷重信号の位相と、この前処理済荷重信号を実際にディジタル化するタイミングとが、上記励磁信号の位相を基準として連携してシフトするので、当該ディジタル化のタイミングを一定とすることができる。これにより、装置の測定感度が一定となり、常に安定した測定精度が得られる。なお、上記ディジタル化の対象となる前処理済荷重信号自身の位相に同期して、当該ディジタル化のタイミングである上記第1及び第2の各時点を定めれば、最も安定した測定感度を得ることができる。これ以外にも、例えば上記交流荷重信号の位相に同期して、第1及び第2の各時点を定めてもよい。
【0029】
一方、上記重量センサを直流バイアスする場合であって、上記チョッパ手段を用いる場合には、例えば、当該チョッパ手段による直流荷重信号の断続動作に同期して、上記第1及び第2の各時点を定めるよう、演算手段を構成する。なお、この場合も、前処理済荷重信号の位相に同期して、第1及び第2の各時点を定めれば、最も安定した測定感度を得ることができる。これ以外にも、例えば上記片極性パルス荷重信号の位相に同期して、第1及び第2の各時点を定めてもよい。
【0030】
上記チョッパ手段に代えて、上記極性反転手段を用いる場合には、例えば、当該極性反転手段による上記極性の反転動作に同期して、第1及び第2の各時点を定めるよう、演算手段を構成する。この場合も、前処理済荷重信号の位相に同期して、第1及び第2の各時点を定めれば、最も安定した測定感度を得ることができる。これ以外にも、例えば上記両極性パルス荷重信号の位相に同期して、第1及び第2の各時点を定めてもよい。
【0031】
また、上記第1及び第2の各時点を定める際、これら各時点間の時間間隔、換言すればA/D変換手段による前処理済荷重信号のサンプリング周期は、重量センサの固有振動数の逆数の1/2以下の値に相当する時間間隔とする(換言すれば、A/D変換手段による前処理済荷重信号のサンプリング周波数を、重量センサの固有振動数の1/2以上とする)よう、演算手段を構成するのが、望ましい。このようにすれば、重量センサの応答特性に応じた上記前処理済荷重信号をディジタル化する際に、所謂サンプリング定理を満足する。従って、重量センサの機械的な応答を忠実に捉えることができ、正確な重量測定を実現できる。
【0032】
上記A/D変換手段は、第1の変換手段及び第2の変換手段という、それぞれ個別の2つの変換手段により構成してもよい。この場合、第1の変換手段により、第1の時点における前処理済荷重信号をディジタル化することによって、第1のデータを得る。そして、第2の変換手段により、第2の時点における前処理済荷重信号をディジタル化することによって、第2のデータを得る。演算手段については、これら各変換手段からそれぞれ上記第1及び第2の各データを取り込み、これらのデータの差を基に荷重データを導出するよう、構成する。
【0033】
このように、第1のデータを得るためのA/D変換手段と、第2のデータを得るためのA/D変換手段とを、それぞれ別個に設けることによって、これら各変換手段の動作負担を軽減することができ、換言すれば、より高速な応答性を実現できる。更に、言い換えれば、上記2つの変換手段として、例えば比較的に応答性の低いA/D変換器を用いても、本発明を実現するのに、十分に対応できる。
【0034】
更に、上記のように2つの変換手段を設ける場合には、上記第1の時点における前処理済荷重信号をサンプルホールドするための第1のサンプルホールド手段と、上記第2の時点における前処理済荷重信号をサンプルホールドするための第2のサンプルホールド手段とを、設けてもよい。そして、上記第1のサンプルホールド手段によりサンプルホールドした信号を、上記第1の変換手段によりディジタル化することによって、第1のデータを得る。一方、上記第2のサンプルホールド手段によりサンプルホールドした信号を、上記第2の変換手段によりディジタル化することによって、第2のデータを得るように、構成する。
【0035】
このように構成すれば、上記第1及び第2の各変換手段として、例えば一般に知られているデルタ−シグマ形のA/D変換器のように極めて変換速度の遅いA/D変換器を用いたとしても、本発明を実現するのに、十分に対応できる。このデルタ−シグマ形のA/D変換器は、上記のように変換速度は遅いものの、例えば逐次比較形A/D変換器等のような他のA/D変換器に比べて、非常に低価格である、また、高分解能なものも多い。従って、かかるデルタ−シグマ形のA/D変換器を採用すれば、高精度な測定装置を低コストで提供するのに、極めて有効である。
【0036】
なお、一般に知られているA/D変換器は、その多くが基準端子を有しており、この基準端子に入力される信号の大きさ、例えば電圧、を基準として、変換の対象となるアナログ信号をディジタル化する。そこで、本発明において、例えば重量センサを交流バイアスする場合であって、A/D変換手段として、上記基準端子を有するA/D変換器を用いる場合には、励磁信号を基に、この励磁信号の実効値(または最大振幅)に応じた大きさの直流基準信号を生成する直流基準信号生成手段を、設ける。そして、この直流基準信号を、上記A/D変換手段の基準端子に、入力する。
【0037】
この構成によれば、例え何らかの原因により励磁信号の大きさ(実効値)が変化し、これに伴って、前処理済荷重信号の大きさ、厳密には第1及び第2の各時点における前処理済荷重信号の大きさ、が変化したとしても、この変化に応じて、上記直流基準信号の大きさも、同じ比率で変化する。このように、A/D変換手段によるディジタル化の対象となる前処理済荷重信号の大きさと、当該ディジタル化の際に基準となる直流基準信号の大きさとが、連携して変化するので、常に正確なA/D変換値を得ることができる。これにより、安定した測定精度を確保できる。
【0038】
なお、重量センサを直流バイアスする場合には、励磁信号を直接または増幅処理や濾波処理等の或る一定の処理を施してから、上記A/D変換手段の基準端子に入力すればよい。
【0039】
また、特に重量センサを交流バイアスする場合であって、上記励磁信号の大きさが変化する場合の対処法として、次のような策を講じることもできる。
即ち、上記励磁信号が入力され、この励磁信号の大きさに応じた大きさの交流基準信号を生成する交流基準信号生成手段と、
上記交流基準信号と上記前処理済荷重信号とを上記A/D変換手段によって選択的にディジタル化する状態に、当該A/D変換手段によるディジタル化の対象となる信号を選択する信号選択手段と、
を具備する。
そして、上記信号選択手段により上記交流基準信号が選択されているとき、演算手段により、或る第3の時点における交流基準信号をA/D変換手段によってディジタル化して得た第3のデータと、当該第3の時点から上記励磁信号の周期の略[{1/2}+m]倍に相当する時間だけ離れた第4の時点における上記交流基準信号を上記A/D変換手段によってディジタル化して得た第4のデータと、の差を求め、この差を基に上記励磁信号の大きさを表す励磁基準データを導出する。そして、上記信号選択手段により上記前処理済荷重信号が選択されているとき、上述した手順と同様に第1及び第2の各データの差を求め、この差を上記励磁基準データで除することにより、上記荷重データを導出するよう、演算手段を構成する。
【0040】
この構成によれば、上記前処理済荷重信号から第1及び第2の各データを得るのと全く同様に、上記励磁信号の大きさに応じた大きさの交流基準信号から第3及び第4の各データを得る。そして、これら第3及び第4の各データの差を求めることにより、上記交流基準信号に含まれる各種ノイズ、例えば交流荷重信号生成手段が演算増幅器を有するものである場合にはこの演算増幅器自身が持つ入力ノイズ等誤差信号の影響を排除すると共に、上記励磁信号の大きさを略2倍の感度で捉えたのと略等価な励磁基準データを、導出する。一方、上記第1及び第2の各データの差は、上述したように測定対象物の重量を略2倍の感度で捉えたのと等価な値を示すが、この値は、上記励磁信号の大きさにも依存する。そこで、この第1及び第2の各データの差を、上記励磁基準データで、除算することにより、上記第1及び第2の各データの差から、励磁信号の変化分を含む当該励磁信号の大きさを取り除く。これにより、純粋に測定対象物の重量のみを表す荷重データを、導出できる。
【0041】
更に、上記信号選択手段に代えて、上記A/D変換手段とは別個の第3の変換手段を設け、この第3の変換手段により上記交流基準信号をディジタル化してもよい。この場合、演算手段については、上記第3の時点における交流基準信号を上記第3の変換手段によってディジタル化して得た第3のデータと、上記第4の時点における交流基準信号を上記第3の変換手段によってディジタル化して得た第4のデータと、の差を求め、この差を基に上記励磁基準データを導出する。そして、この励磁基準データで、上記A/D変換手段から得られる第1及び第2の各データの差を、除することによって、上記荷重データを導出するよう、構成する。なお、第3の時点は、第1若しくは第2の時点と同一に、あるいは第1及び第2の時点と異なる時点に選択できる。
【0042】
即ち、前処理済荷重信号をディジタル化するためのA/D変換手段とは別個に、交流基準信号をディジタル化するためのA/D変換手段(第3の変換手段)を設ける。このようにすれば、上記前処理済荷重信号と交流基準信号とを1つのA/D変換手段により選択的にディジタル化するという上記信号選択手段を用いる場合とは異なり、測定対象物の重量を所謂リアルタイムで測定できる。
【0043】
また、演算手段は、上記のように、第1及び第2の各データの差を、第3及び第4の各データの差(励磁基準データ)で除することにより、荷重データを導出する。従って、これら第1及び第2の各データの取得タイミングである第1及び第2の各時点と、第3及び第4の各データの取得タイミングである第3及び第4の各時点とを、それぞれ一致させれば、より正確な重量測定を実現できる。上記の構成によれば、第1及び第2の各データを取得するためのA/D変換手段と、第3及び第4の各データを取得するための第3の変換手段とを、それぞれ別個に設けているので、上記第1及び第2の各時点と、第3及び第4の各時点とを、それぞれ一致させることができる。よって、より正確な重量測定を実現できる。
【0044】
なお、上記励磁信号が、例えば正弦波信号である場合には、当該励磁信号の或る1周期中において、上記交流基準信号の大きさが略最大または略最小になる時点を、上記第3の時点とするよう、演算手段を構成する。
【0045】
即ち、今、上記励磁信号の或る1周期中において、例えば交流基準信号の大きさが略最大になる時点を、第3の時点とするとする。この場合、第4の時点は、当該励磁信号の或る1周期中または他の周期中において、交流荷重信号の大きさが略最小になる時点、となる。このような第3及び第4の各時点における交流基準信号をそれぞれディジタル化して得た第3及び第4の各データの差は、言わば当該交流基準信号のピーク・トゥー・ピーク値に対応する。従って、かかるピーク・トゥー・ピーク値を基に、交流基準信号の大きさを求めれば、最も高い感度で当該交流基準信号の大きさを捉えることができる。
【0046】
なお、上記とは逆に、励磁信号の或る1周期中において、交流基準信号の大きさが略最小になる時点を、第1の時点とした場合、当該励磁信号の或る1周期中または他の周期中において、交流基準信号の大きさが略最大になる時点が、第2の時点となる。従って、この場合も、上記と同様に、交流基準信号のピーク・トゥー・ピーク値を得ることができ、最も高い感度で当該交流基準信号の大きさを捉えることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明に係る重量測定装置の第1の実施形態について、図1から図5を参照して説明する
【0048】
図1に、本第1の実施形態の概略構成を示す。同図に示すように、この装置は、パルス発生器1を有している。このパルス発生器1は、例えば図示しない水晶発振器やカウンタ回路等で構成されており、例えば図2(a)に示すように、数十kHz乃至数百kHzの概略矩形の正極性クロックパルスCPを発生する。そして、このパルス発生器1は、上記クロックパルスCPを、交流励磁回路2に入力する。
【0049】
交流励磁回路2は、例えば図示しない分周回路、ローパス・フィルタ回路、バイアス調整回路及び増幅器等を、内蔵している。そして、この交流励磁回路2は、パルス発生器1から入力されるクロックパルスCPを、上記分周回路で分周することにより、例えば図2(b)に示すような周期Toの矩形波基本パルスOPを生成し、この基本パルスOPを、上記ローパス・フィルタ回路で濾波処理することにより、正弦波の信号に変形する。更に、この正弦波信号に対して、上記バイアス調整回路により負極のバイアス電圧を掛けることによって、この正弦波信号の中心電圧を接地電位(=0[V])にシフトさせて、交流の正弦波信号を生成する。そして、この交流正弦波信号を、上記増幅器で増幅することによって、最終的に、図2(c)に示すような励磁信号E(=Asinωt:ここで、Aは、最大振幅、ωは、角周波数、tは、時刻である。)を、生成する。なお、この励磁信号Eの周期(周波数fo)は、基本パルスOPの周期To(周波数)と同じである。そして、この励磁信号Eの位相は、基本パルスOPの位相よりも、上記ローパス・フィルタ回路等の時定数に応じた時間φだけ、遅れる。なお、ここで説明した励磁信号Eの生成方法は、飽くまで一例であって、これ以外の方法によっても、当該励磁信号Eを生成できる。この交流励磁回路2が、特許請求の範囲に記載の励磁手段に対応する。
【0050】
交流励磁回路2は、上記励磁信号Eを、本装置における重量センサとしての歪みゲージ式ロードセル3のブリッジ入力端子3a、3aに入力する。これにより、ロードセル3は、所謂交流バイアスされる。ここで、例えば図示しない風袋に図示しない測定対象物が載置され、これによって、ロードセル3に荷重Wxが付加されたとする。すると、ロードセル3は、次の数1で表される交流荷重信号Woを、ブリッジ出力端子3b、3bから出力する。
【0051】
【数1】
Wo=k・Wx・E=k・Wx・Asinωt
ここで、kは、ロードセル3の荷重変換係数である。
【0052】
そして、この交流荷重信号Woは、前置増幅回路4に入力される。前置増幅回路4は、例えば演算増幅器構成のもので、上記交流荷重信号Woを交流増幅し、この増幅後の信号Vaを、A/D変換器5のアナログ入力端子(IN)に入力する。なお、前置増幅回路4は、それ自身、上述した入力ノイズを有している。従って、この入力ノイズを符号Δeで表すと、前置増幅回路4の出力信号Va、換言すればA/D変換器5への入力信号Viは、次の数2のようになる。
【0053】
【数2】
Va=Vi=Gw(Wo+Δe)=Gw(k・Wx・Asinωt+Δe)
ここで、Gwは、前置増幅回路4の増幅率である。
【0054】
上記荷重Wxと励磁信号EとA/D変換器5の入力信号Viとの関係を、図で表すと、例えば図3(a)乃至同図(c)のようになる。これらの図に誇張して示すように、或る荷重Wxがロードセル3に付加されると、A/D変換器5には、上記荷重Wxにより励磁信号Eを言わば振幅変調したような信号Viが、入力される。
【0055】
A/D変換器5は、これに入力される上記信号Viを、ディジタル化する。具体的には、A/D変換器5は、クロック入力端子(CLK)と基準電圧端子(REF)とを、有している。そして、A/D変換器5は、クロック入力端子に入力されるタイミングパルスTPのタイミング、例えば立ち上がり(または立ち下がり)に応じて、上記入力信号Viをサンプリングすると共に、上記基準電圧端子に供給される基準信号Vrの電圧値を例えば最大基準電圧として、当該サンプリングして得た入力信号Viを、所定ビット数のディジタルデータVoに変換して出力する。
【0056】
上記タイミングパルスTPは、タイミング回路6から与えられる。即ち、タイミング回路6は、パルス発生器1からクロックパルスCPを取り込むと共に、交流励磁回路2から基本パルスOPを取り込む。そして、これらのパルスCP、OPを基に、タイミング回路6は、図3(d)に示すように、励磁信号Eの周期Toの1/2に相当する時間Ts(=To/2)間隔で、かつ、励磁信号Eの各1周期To中において上記入力信号Viが最大または最小となる時点(上記数2において、sinωtが「+1」または「−1」となる時点)で、A/D変換器5により入力信号Viをサンプリングするように、タイミングパルスTPを生成する。これら入力信号ViとタイミングパルスTPとの時間的関係をより詳しく表すと、図2(d)及び同図(e)のようになる。この図2(d)に示すように、入力信号Viは、励磁信号Eよりも、前置増幅回路4の時定数に応じた時間φだけ、位相が遅れる。そして、同図(e)に示すように、タイミングパルスTPは、上記基本パルスOPの立ち上がり時点から、上述した時間φと上記時間φと基本パルスOPの周期Toの1/4に相当する時間To/4とを足し合わせた時間Td(=φ+φ+To/4)だけ、その位相が遅れる。このようなタイミングパルスTPを生成するタイミング回路6は、例えば論理回路とカウンタ回路との組み合せによって、構成できる。
【0057】
一方、上記基準電圧端子には、励磁信号Eを例えば演算増幅器構成の差動増幅回路7によって差動増幅し、この差動増幅後の信号Veを例えばダイオード及び平滑コンデンサ構成の整流平滑回路8によって整流平滑して得た直流信号が、上記基準信号Vrとして、供給される。この基準信号Vrの電圧は、上記入力信号Viの電圧の最大値よりも若干大き目となるように、上記差動増幅回路7(増幅率Ge)により調整される。
【0058】
上記A/D変換器5によってディジタル化して得たデータVoは、次の数3及び数4で表される。
【数3】
Vo=Gw(k・Wx・A+Δe)/Vr
ただし、数2において、sinωt=1のとき。
【0059】
【数4】
Vo=Gw(−k・Wx・A+Δe)/Vr
ただし、数2において、sinωt=−1のとき。
【0060】
そして、このデータVoは、順次、CPU9に入力される。CPU9は、この順次入力されるデータVoに対して、次の数5で表される演算を行い、これを最終的な荷重データDとして、導出する。
【0061】
【数5】
Figure 0004903312
または、
Figure 0004903312
ここで、nは、A/D変換器5によるサンプリングタイミング(番号)を表すインデックスである。
【0062】
ところで、A/D変換器5のサンプリング周期Tsが、比較的に短く、厳密には上記荷重Wx及び入力ノイズΔeの変動周期に比べて遥かに短いとすると、Wx(n)=Wx(n-1)とみなすことができ、よってΔe(n)≒Δe(n-1)とみなせるので、上記数5は、次の数6に示すようになる。
【0063】
【数6】
D(n)≒2Gw・k・Wx(n)・A/Vr
【0064】
この数6から明らかなように、最終的に導出して得られる上記荷重データDは、上記入力ノイズΔeの影響を排除したものとなる。しかも、A/D変換器5の出力Voを言わば2倍したのと等価なデータを得ることができ、これは、測定対象物の重量を言わば2倍の感度で認識するのと等価である。
【0065】
更に、上記荷重データDに対して、適宜ディジタルフィルタリング処理等を施すことができる。このディジタルフィルタリング処理の一例として、例えば次の数7で表される移動平均処理がある。
【0066】
【数7】
D(n)'={D(n)+D(n-1)+・・・+D(n-N)}/(N+1)
ここで、D(n)'は、移動平均処理後のデータ、Nは、自然数である。
【0067】
CPU9は、上記のように導出して得た荷重データDまたはD'に係る情報を、例えば液晶パネル(LCD)構成の表示部10に、数値やグラフ等で表示する。この表示部10に代えて、例えばスピーカ等を設け、このスピーカから音声により上記荷重データDまたはD'に係る情報を出力するようにしてもよい。また、CPU9には、例えばキーボード等の操作部11も接続されており、CPU9は、この操作部11から入力される各種命令に従って、例えば重量測定を開始する等の各種動作を実行する。このCPU9の一連の動作は、例えば半導体メモリ構成の記憶部12に予め記憶されている制御プログラムにより制御される。また、この記憶部12には、上記導出して得た荷重データDまたはD'等を記憶することもできる。
【0068】
このように、本第1の実施形態によれば、上述した特許第3002078号公報に開示された従来技術とは異なり、所謂復調回路(当該従来技術においては、2つのサンプルホールド回路と積分機能を有する差動増幅器とから成る部分)を必要としなくとも、図4(e)に示すように、言わばディジタル的に荷重Wxに応じた荷重データDを得ることができる。従って、その分、装置の構成を簡素化できると共に、装置を低コスト化できる。しかも、上述した入力ノイズΔeの影響を排除し、かつ、2倍の測定感度を得ることができるので、極めて高精度な重量測定を実現できる。
【0069】
なお、本第1の実施形態における前置増幅回路4が、特許請求の範囲に記載の処理手段に対応し、A/D変換器5の入力信号Viが、特許請求の範囲に記載の前処理済荷重信号に対応する。そして、CPU9が、特許請求の範囲に記載の演算手段に対応し、上記数5における各データVo(n)及びVo(n-1)が、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1及び第2の各データに対応する。
【0070】
本第1の実施形態では、A/D変換器5に対して所謂両極性の入力信号Viを供給したが、これに限らない。例えば、A/D変換器5が、片極性(正極または負極)の信号のみを入力可能とするものである場合には、前置増幅回路4の出力信号Vaに直流バイアスを掛けて、当該A/D変換器5の入力信号Viの極性を片極性とすればよい。なお、この場合も、上記数5に基づいて、上記入力信号Viの所謂最大ピーク及び最小ピークにそれぞれ対応するデータVo(n)及びVo(n-1)の差を求めることによって、上記入力ノイズΔeの影響を排除すると共に、測定対象物の重量を2倍の感度で認識するのと等価な効果が得られることは、明らかである。
【0071】
また、本第1の実施形態においては、A/D変換器5のサンプリング周期(タイミングパルスTPの周期)Tsを、励磁信号E(基本パルスOP)の周期Toの1/2としたが、これに限らない。例えば、A/D変換器5の変換速度が遅い場合や、或いはCPU9の処理速度が遅い場合等には、上記サンプリング周期Tsを、励磁信号Eの周期Toの[{1/2}+m(mは、整数である。)]倍に相当する時間間隔としてもよい。なお、ここで言う整数mを、例えばm=1とした場合、即ち周期Ts=3To/2とした場合の、A/D変換器5の入力信号ViとタイミングパルスTPとの時間的な関係を、図4に示す。
【0072】
上記整数mは、任意であるが、これを大きくし過ぎると、サンプリング周期Tsが長くなり、上記数5において、Δe(n)≒Δe(n-1)が成立しなくなる。従って、この整数mは、できるだけ小さい値とするのが好ましい。
【0073】
特に、予めロードセル3の固有振動数fwが判っている場合には、上記サンプリング周期Tsを、当該ロードセル3の固有振動数fwの逆数1/fwの1/2以下の値に相当する時間間隔(Ts≦1/2fw)とするのが、好ましい。具体的には、例えば、ロードセル3の固有振動数fwが、fw=50[Hz]である場合、上記サンプリング周期Tsを、10[ms]以下(Ts≦10[ms])とする。この場合、上記整数mが、m=0であるとすると、励磁信号Eの周波数foは、50[Hz]以上(fo≧50[Hz])となる。このようにすれば、ロードセル3の応答特性に応じた上記入力信号Viをディジタル化する際に、所謂サンプリング定理を十分に満足する。従って、ロードセル3の機械的な応答を忠実にディジタル化することができ、正確な重量測定を実現できる。特に、上記サンプリング周期Tsを、サンプリング定理を満足するのに必要な最低限の値、即ち上記逆数1/fwの1/2に相当する時間間隔(Ts=1/2fw)とすれば、A/D変換器5やCPU9の負担を最小限にすることができる。
【0074】
また、例えば、上記A/D変換器5の変換速度は比較的に速いけれど、CPU9の処理速度が遅い場合には、次のように構成してもよい。即ち、A/D変換器5のサンプリング周期Tsを、極力短くする。そして、このA/D変換器5の出力データVoを基に、CPU9により上記荷重データD(n)を導出する際、上記数5に代えて、次の数8の演算を行う。
【0075】
【数8】
D(n)=|Vo(n)−Vo(n-p)|
ここで、pは、任意の奇数である。
【0076】
つまり、CPU9の処理速度に合わせて、A/D変換器5から得られるデータVoを所謂間引きする。このようにすれば、CPU9の処理速度が遅くても、これに合わせて、上記荷重データD(n)を正確に導出できる。ただし、この場合も、当該数8における各データVo(n)及びVo(n-p)の時間的な間隔(即ち、pに相当する時間間隔)は、上記ロードセル3の固有振動数fwの逆数1/fwの1/2以下の値に相当する時間間隔とするのが、好ましい。
【0077】
更に、本第1の実施形態では、A/D変換器5により入力信号Viをディジタル化する際、この入力信号Viの所謂各ピークを捉えてこれをディジタル化するように構成したが、これに限らない。即ち、一定の周期Tsで入力信号Viをディジタル化するのであれば、上記ピーク以外の部分を捉えてもよい。ただし、本第1の実施形態のように、入力信号Viの各ピークを捉えれば、上記荷重データD(n)として、入力信号Viの所謂ピーク・トゥー・ピーク値を得ることができ、最も高い感度で重量測定できる。また、入力信号Viの各ピーク付近においては、時間tの変化に対する当該入力信号Viの変化量が小さい。従って、例えば何らかの理由によりA/D変換器5のサンプリング周期Tsが多少ずれても、上記入力信号Viのピーク付近をディジタル化して得たデータVoであれば然程の差は生じないので、比較的に安定した測定精度を得ることができる。
【0078】
また、上記タイミングパルスTPは、基本パルスOPの立ち上がりに同期するので、A/D変換器5は、この基本パルスOPに同期して、上記入力信号Viをディジタル化することになる。従って、例えば、何らかの原因により上記基本パルスOPの位相がシフトし、これに伴って、A/D変換器5の入力信号Viの位相が変化したとしても、この位相のシフトに応じて、上記タイミングパルスTPの位相もシフトする。このように、A/D変換器5によるディジタル化の対象となる入力信号Viの位相と、このディジタル化のタイミングを計るタイミングパルスTPとが、上記基本パルスOPの位相を基準として連携してシフトするので、当該基本パルスOPの位相が変化しても、常に一定のタイミングで上記入力信号Viをディジタル化できる。
【0079】
なお、上記A/D変換器5の入力信号Viの位相と、基本パルスOPの位相とは、上述したように、交流励磁回路2を構成するローパス・フィルタ回路等の時定数に応じた時間φと前置増幅回路4の時定数に応じた時間φとを足し合わせた時間(φ+φ)だけ、ずれている。従って、例えば、これら交流励磁回路2または前置増幅回路4の時定数が何らかの原因により変化すると、上記入力信号Viと基本パルスOPとの位相差(φ+φ)が変化して、適切なタイミングで当該入力信号Viをディジタル化できなくなることがある。
【0080】
そこで、例えば図1に点線13で示すように、上記基本パルスOPに代えて、上記A/D励磁信号Eの入力信号Viを、タイミング回路6に供給する。そして、この入力信号Viの位相に同期して、上記タイミングパルスTPを生成するように、タイミング回路6を構成してもよい。このような構成は、例えば一般に知られているPLL(位相同期ループ)回路を用いることにより、実現できる。このようにすれば、入力信号Vi自身の位相に合わせて、これをディジタル化できる。なお、これ以外にも、例えば励磁信号Eまたは交流荷重信号Woをタイミング回路6に供給し、これらの信号に同期して、上記タイミングパルスTPを生成するよう構成してもよい。
【0081】
更に、本第1の実施形態では、励磁信号Eを差動増幅回路7で差動増幅し、この差動増幅後の信号Veを整流平滑回路8で整流平滑した後の信号を、上述した基準信号Vrとして、A/D変換器5の基準電圧端子に供給するように構成したが、これに限らない。例えば、回路電源電圧(所謂Vcc)等の任意の直流電圧を、上記基準信号Vrとして用いてもよい。ただし、本第1の実施形態のように、励磁信号Eを基に上記基準信号Vrを生成することにより、次のような効果が得られる。即ち、今、何らかの原因により励磁信号Eの最大振幅(または実効値)が、変化したとする。すると、A/D変換器5の入力信号Viも、当然に変化する。しかし、本第1の実施形態によれば、上記励磁信号Eの変化に応じて、基準信号Vrも、入力信号Viと同じ比率で、変化する。このように、ディジタル化の対象となる信号Viと、このディジタル化の際に基準となる基準信号Vrとが、連携して変化し、所謂レシオメトリックが成立する。従って、例え励磁信号Viの最大振幅が変化たとしても、これに関係なく、常に正確なデータVoが得られる。
【0082】
なお、上記整流平滑回路8を構成するダイオードは、例えば温度変化等によるドリフトを生じ易い。従って、この温度ドリフト等の影響により、上記レシオメトリックが成立しなくなる可能性がある。そこで、このレシオメトリック作用を、より理想的なものにするには、例えば図5に示すように構成すればよい。
【0083】
即ち、同図に示すように、前置増幅回路4の出力側とA/D変換器5のアナログ入力端子との間に、2入力1出力形式の切替回路14を設ける。そして、この切替回路14の一方の入力端子に、前置増幅器4の出力端子を接続し、他方の入力端子に、差動増幅回路7の出力端子を直接接続する。そして、この切替回路14の出力端子を、A/D変換器5のアナログ入力端子に接続する。この切替回路14の切替動作は、例えばCPU9(同図では省略している)から供給される切替制御パルスSPにより、制御される。なお、A/D変換器5の基準電圧端子には、例えば回路電源電圧等の任意の直流電圧を、基準信号Vrとして供給する。
【0084】
CPU9は、上記前置増幅器4の出力信号Vaと、差動増幅回路7の出力信号Veとを、交互にA/D変換器5に入力するよう、切替回路14を制御する(厳密には、この制御を実現するための上記切替制御パルスSPを生成して切替回路14に供給する)。ここで、例えば、CPU9が、前置増幅回路4の出力信号VaをA/D変換器5に入力するよう、切替回路14を制御しているとする(同図の状態)。この場合、CPU9は、上記のように数5に示す演算を実行して、荷重データDを導出する。
【0085】
一方、CPU9が、差動増幅回路7の出力信号VeをA/D変換器5に入力するよう、切替回路14を制御しているとする。この場合も、CPU9は、上記数5と同様の演算を実行する。ただし、この演算により得られるデータ(以下、これを励磁基準データと言い、符号Deで表す。)は、次の数9で表される。
【0086】
【数9】
Figure 0004903312
または、
Figure 0004903312
ここで、Δe(n)'、Δe(n-1)'は、差動増幅回路7の入力ノイズである。
【0087】
なお、この数9においても、A/D変換器5のサンプリング周期Tsが、比較的に短い場合には、「Δe(n)' ≒Δe(n-1)'」が成り立つ。従って、この数9は、次の数10で表すことができる。
【0088】
【数10】
De(n)≒2Ge・A/Vr
【0089】
即ち、この数10から明らかなように、励磁信号Eをディジタル化する場合にも、上記差動増幅回路7の入力ノイズΔe'の影響を排除し、かつ、2倍の感度で当該励磁信号Eの最大振幅Aを認識できる。
【0090】
そして、CPU9は、上記数5(数6)で表される荷重データDを、上記数10で表される励磁基準データDeで除算することにより、最終的に、次の数11に示すようなデータD"を導出する。
【0091】
【数11】
Figure 0004903312
【0092】
この数11からも明らかなように、上記データD"として、励磁信号Eの振幅Aと基準信号Vrの電圧値とを排除したデータを得ることができる。従って、これら励磁信号Eの振幅Aや基準信号Vrの電圧値が変化しても、これらの変化に影響されない理想に近いレシオメトリック作用が得られる。
【0093】
なお、上記数9(または数10)に示すように、励磁信号Eの最大振幅Aを認識するには、A/D変換器5により差動増幅回路7の出力信号Veをディジタル化する際に、当該信号Veの各ピーク部分をディジタル化する必要がある。そのためには、差動増幅回路7の出力信号Veの位相と、前置増幅回路4の出力信号Vaの位相とを、略一致させればよい。この図5の構成では、例えば差動増幅回路7の時定数と前置増幅回路4の時定数とが略等価であれば、上記各信号Ve及びVaの各位相は必然的に略一致する。
【0094】
なお、この図5における差動増幅回路7が、特許請求の範囲に記載の交流基準信号生成手段に対応し、切替回路14が、特許請求の範囲に記載の信号選択手段に対応する。また、上記数9における各データVo(n)及びVo(n-1)が、それぞれ特許請求の範囲に記載の第3及び第4のデータに対応する。
【0095】
ところで、上記図5の構成によれば、前置増幅回路4の出力信号Vaと、差動増幅回路7の出力信号Veとを、1つのA/D変換器5により交互にディジタル化するので、これらの信号Va及びVeをそれぞれディジタル化するタイミングに、時間的なズレが生じる。そして、この時間的なズレにより、上記荷重データDに含まれる励磁信号Eの振幅A及び基準信号Vrの電圧値と、上記励磁基準データDeに含まれる励磁信号Eの振幅A及び基準信号Vrの電圧値とに、差異が生じ、これによって上記レシオメトリックの精度が若干低下する場合がある。また、前置増幅回路4の出力信号Vaのみを連続的にディジタル化することが不可能なため、所謂リアルタイム測定を実現できない。
【0096】
そこで、かかる不具合を解決するには、例えば図6に示すように構成すればよい。同図に示すように、上記切替回路14に代えて、上記A/D変換器5と同様(例えば同規格)のA/D変換器15を、別個に設ける。そして、この新たに設けたA/D変換器15のアナログ入力端子(IN)に、差動増幅回路7の出力信号Veを入力し、A/D変換器5のアナログ入力端子には、図1と同様に、前置増幅回路4の出力信号Vaのみを入力する。そして、これら各A/D変換器5、15の各出力データVo、Voを、それぞれCPU9(図6では省略している)に入力し、上記数5、数9及び数11と同様の演算を行う。なお、各A/D変換器5、15の各基準電圧端子には、例えば回路電源等からそれぞれ同じ直流の基準信号Vrを供給し、各クロック入力端子には、タイミング回路6からそれぞれ同じタイミングパルスTPを供給する。
【0097】
このように、前置増幅回路4の出力信号Vaをディジタル化するためのA/D変換器5と、差動増幅回路7の出力信号Veをディジタル化するためのA/D変換器15と、それぞれ別個に設ければ、上記リアルタイム測定を実現できる。また、前置増幅回路4の出力信号Vaと、差動増幅回路7の出力信号Veとを、それぞれ同じタイミングでディジタル化できる。これにより、上記荷重データDに含まれる励磁信号Eの振幅A及び基準信号Vrの電圧値と、上記励磁基準データDeに含まれる励磁信号Eの振幅A及び基準信号Vrの電圧値とを、それぞれ同じにすることができるので、より理想的なレシオメトリック作用を期待できる。
【0098】
なお、この図6において新たに設けたA/D変換器15が、特許請求の範囲に記載の第3の変換手段に対応する。
【0099】
上記レシオメトリック作用は、例えば図7に示す構成によっても、実現できる。同図に示すように、ロードセル3の各入力端子3a、3a間に、3つの抵抗器16a乃至16cを直列に接続して、上記励磁信号Eを分圧する分圧回路16を構成し、この分圧回路16により、励磁信号Eの最大振幅Aをロードセル3の出力信号Woの最大振幅よりも若干大き目の振幅にまで分圧する。そして、前置増幅回路4の入力側に、2連の2入力1出力形式の切替回路17を設け、この2連の入力端子の一方に、ロードセル3の各出力端子3b、3bをそれぞれ接続し、他方の入力端子に、上記分圧回路16の出力(真中の抵抗器16bの両端)をそれぞれ接続する。そして、切替回路17の出力端子を、前置増幅回路4の入力端子に接続する。なお、この切替回路17の切替動作は、上記図5における切替回路7と同様、例えばCPU9(図7では省略している)から供給される切替制御パルスSPにより、制御される。また、A/D変換器5の基準電圧端子には、例えば回路電源電圧等の任意の安定な直流電圧を、基準信号Vrとして供給する。
【0100】
CPU9は、上記ロードセル3の出力信号Woと、分圧回路16の出力信号Edとを、交互に前置増幅回路4に入力するよう、切替回路17を制御する(厳密には、この制御を実現するための上記切替制御パルスSPを生成して切替回路17に供給する)。ここで、例えば、CPU9が、ロードセル3の出力信号Woを前置増幅回路4に入力するよう、切替回路17を制御しているとする(同図の状態)。この場合、CPU9は、上記のように数5に示す演算を実行して、荷重データDを導出する。
【0101】
一方、CPU9が、分圧回路16の出力信号Edを前置増幅回路4に入力するよう、切替回路17を制御しているとする。この場合も、CPU9は、上記数5と同様の演算を実行する。ただし、この演算により得られるデータ(以下、このデータについても励磁基準データと言い、符号Deで表す。)は、次の数12で表される。
【0102】
【数12】
Figure 0004903312
または、
Figure 0004903312
ここで、αは、分圧回路16による分圧率である。
【0103】
この数12において、A/D変換器5のサンプリング周期Tsが、比較的に短く、上記「Δe(n) ≒Δe(n-1)」が成り立つ場合には、この数12は、次の数13で表される。
【0104】
【数13】
De(n)≒2Gw・α・A/Vr
【0105】
この数13から明らかなように、励磁信号Eをディジタル化する場合にも、前置増幅回路4の入力ノイズΔeの影響を排除し、かつ、2倍の感度で当該励磁信号Eの最大振幅Aを認識できる。
【0106】
そして、CPU9は、上記数6で表される荷重データDを、上記数13で表される励磁基準データDeで除算することにより、最終的に、次の数14に示すようなデータD"を導出する。
【0107】
【数14】
Figure 0004903312
【0108】
この数14からも明らかなように、上記データD"として、前置増幅回路4の増幅率Gwと励磁信号Eの振幅Aと基準信号Vrの電圧値とを排除したデータを得ることができる。従って、これら前置増幅回路4の増幅率Gw、励磁信号Eの振幅A及び基準信号Vrの電圧値が変化しても、これらの変化に影響されない理想的なレシオメトリック作用が得られる。なお、この図7に示す構成においても、上記図5に示す構成と同様に、CPU9は、1つのA/D変換器5から、上記荷重データDを得るためのデータVoと、励磁基準データDeを得るためのデータVoとを、交互に取り込む。従って、完全なレシオメトリック作用は望めず、また、リアルタイム測定を実現できないことは、言うまでもない。
【0109】
なお、この図7における分圧回路16が、特許請求の範囲に記載の交流基準信号生成手段に対応し、切替回路17が、特許請求の範囲に記載の信号選択手段に対応する。そして、上記数12における各データVo(n)及びVo(n-1)が、それぞれ特許請求の範囲に記載の第3及び第4のデータに対応する。
【0110】
次に、本発明の第2の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する
【0111】
図8に、本第2の実施形態の概略構成を示す。同図に示すように、この第2の実施形態の装置は、上記第1の実施形態における交流励磁回路2に代えて、直流励磁回路20を、設けたものである。そして、この直流励磁回路20からロードセル3のブリッジ入力端子3a、3aに、励磁信号Eとして電圧値がAの直流信号を入力することにより、当該ロードセル3を、所謂直流バイアスするものである。このように直流バイアスされたロードセル3は、そのブリッジ出力端子3b、3bから、次の数15で表される直流荷重信号Woを出力する。
【0112】
【数15】
Wo=k・Wx・E=k・Wx・A
【0113】
この直流荷重信号Woは、チョッパ回路21に入力される。チョッパ回路21は、これに入力される直流荷重信号Woを一定の周期Tcでチョッピングすることにより、当該直流荷重信号Woを、概略矩形でかつ一方の極性(例えば正極)のみに振幅を持つ所謂片極性パルス荷重信号Woaに、変換する。なお、このチョッパ回路21のチョッピング動作は、タイミング回路6から供給されるゲート制御パルスGPによって制御される。タイミング回路6は、パルス発生器1の発生するクロックパルスCPを基に、上記ゲート制御パルスGPを生成する。これらクロックパルスCPとゲート制御パルスGPとの時間的な関係を、図9(a)及び同図(b)に示す。これらの図に示すように、タイミング回路6は、上記直流荷重信号Woを通過させる所謂出力ON(図8において、SW1がONで、SW2がOFF)の状態と、この直流荷重信号Woを遮断する所謂出力OFF(図8において、SW1がOFFで、SW2がON)の状態とを、略同じ期間(Tc≒Tc)毎に交互に切り替えるよう、チョッパ回路21を制御する(厳密には、この制御を実現するためのゲート制御パルスGPを生成してチョッパ回路21に供給する)。
【0114】
上記チョッパ回路21による変換後の片極性パルス荷重信号Woaは、前置増幅回路4に入力される。前置増幅回路4は、この片極性パルス荷重信号Woaを交流増幅し、この増幅後の信号Vaを、A/D変換器5のアナログ入力端子(IN)に入力する。このA/D変換器5への入力信号Viは、基本的に、次の数16及び数17で表される。
【0115】
【数16】
Va=Vi=Gw(Woa+Δe)=Gw(k・Wx・A+Δe)
ただし、チョッパ回路21が、出力ONの状態にあるとき。
【0116】
【数17】
Va=Vi=Gw(Woa+Δe)=Gw(0+Δe)=Gw・Δe
ただし、チョッパ回路21が、出力OFFの状態にあるとき。
【0117】
これら数16及び数17からも明らかなように、本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、上記前置増幅回路4による増幅処理の際に、この前置増幅回路4自身が持つ入力ノイズΔeの影響を受ける。また、上記のように、片極性パルス荷重信号Woaは、直流荷重信号Woをチョッピングすることにより生成されるものであるので、このチョッピングの瞬間、即ち立ち上がり及び立ち下がりにおいて、過渡的に乱れを生じる。そして、この乱れは、図9(c)に誇張して示すように、A/D変換器5の入力信号Viにも現れる。また、上記チョッピングの瞬間に、接地電位等の周囲の電位に、高周波ノイズが載ることもある。
【0118】
A/D変換器5は、上記入力信号Viの立ち上がり及び立ち下がり付近における乱れや上記高周波ノイズ等の影響を回避しつつ、当該入力信号Viをディジタル化する。具体的には、A/D変換器5は、図9(d)に示すように、タイミングパルスTPに応じて、上記チョッパ回路21のチョッピング周期(ゲート制御パルスGPの周期)Tcの1/2に相当する時間Ts(=Tc/2)間隔で、かつ、上記入力信号Viの立ち上がり及び立ち上がり付近以外の時点、例えばこれら立ち上がりと立ち下がりとの間の略中間時点において、当該入力信号Viをサンプリングしてディジタル化する。これにより、チョッパ回路21が出力ONの状態にあるときの入力信号Viと、チョッパ回路21が出力OFFの状態にあるとき入力信号Viとが、上記時間Ts間隔で、交互にディジタル化される。
【0119】
なお、上記A/D変換器5のサンプリングタイミングを制御する上記タイミングパルスTPは、タイミング回路6からA/D変換器5のクロック入力端子(CLK)に入力される。タイミング回路6は、上記クロックパルスCPを基に、このタイミングパルスTPを生成する。また、A/D変換器5の基準電圧端子(REF)には、励磁信号Eを直流増幅回路7によって増幅して得た直流信号Veが、基準信号Vrとして、入力される。この基準信号Vrの電圧は、上記入力信号Viの電圧の最大値よりも若干大き目となるように、上記直流増幅回路7(増幅率Ge)により調整される。
【0120】
上記A/D変換器5によってディジタル化して得たデータVoは、次の数18及び数19で表される。
【数18】
Vo=Gw(k・Wx・A+Δe)/Vr
ただし、チョッパ回路21が、出力ONの状態にあるとき。
【0121】
【数19】
Vo=Gw・Δe/Vr
ただし、チョッパ回路21が、出力OFFの状態にあるとき。
【0122】
そして、このデータVoは、順次、上記第1の実施形態におけるCPU9と同様の図示しないCPUに入力される。CPUは、この順次入力されるデータVoに対して、次の数20で表される演算を行い、これを最終的な荷重データDとして、導出する。
【0123】
【数20】
Figure 0004903312
または、
Figure 0004903312
【0124】
ここで、上記チョッパ回路21のチョッピング周期Tcが、比較的に短く、厳密には上記荷重Wx及び入力ノイズΔeの変動周期に比べて遥かに短いとすると、Wx(n)=Wx(n-1)とみなせ、Δe(n)≒Δe(n-1)とみなせるので、上記数20は、次の数21に示すようになる。
【0125】
【数21】
D(n)≒Gw・k・Wx(n)・A/Vr
【0126】
この数21から明らかなように、本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、上記荷重データDとして、前置増幅回路4自身が持つ入力ノイズΔeの影響を排除したデータを得ることができる。ただし、本第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、測定対象物の重量を言わば2倍の感度で認識することはできない。なお、本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、この荷重データDを、例えば移動平均処理する等、適宜ディジタルフィルタリング処理をしてもよい。
【0127】
また、本第2の実施形態によれば、A/D変換器5の基準電圧端子に供給する基準信号Vrとして、励磁信号Eを直流増幅回路7により増幅して得た直流信号Veを用いているので、上述したレシオメトリックが成立する。従って、例え励磁信号Eの電圧が変化したとしても、常に正確なディジタルデータVoを得ることができ、安定した測定精度を確保できる。ただし、このレシオメトリック作用を求めない場合には、上記基準信号Vrとして、例えば回路電源電圧等の任意の安定な直流信号を供給してもよい。なお、図8のVeには誤差信号Δe'が加わるが、励磁信号Eに比べ、直流増幅回路7の入力点の誤差信号e'は十分に小さいので、測定精度の上で無視できることが多い。
【0128】
そして、タイミング回路6は、クロックパルスCPに基づいて、チョッパ回路21のチョッピング動作を制御するためのゲート制御パルスGPと、A/D変換器5のサンプリングタイミングを制御するためのタイミングパルスTPとを、生成する。このように、チョッパ回路21のチョッピング動作と、A/D変換器5のサンプリングタイミングとは、それぞれに共通のクロックパルスCPを基準として同期しているので、A/D変換器5は、常に適切なタイミングで入力信号Viをディジタル化できる。なお、図8に点線30で示すように、本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、A/D変換器5の入力信号Viを上記タイミング回路6に供給し、この入力信号Viの位相に同期して、上記A/D変換器5のサンプリングタイミングを制御(タイミングパルスTPを生成)するよう、構成してもよい。
【0129】
また、A/D変換器5のサンプリング周期(タイミングパルスTPの周期)Tsを、チョッパ回路21のチョッピング周期Tcの1/2としたが、これに限らない。このサンプリング周期Tsは、チョッピング周期Tcの[{1/2}+m(mは、整数である。)]倍に相当する時間間隔であればよい。ただし、ここで言う整数mは、極力小さい値とするのが、好ましい。
【0130】
次に、本発明の第3の実施形態について、図10から図13を参照して説明する
【0131】
図10に、本第3の実施形態の概略構成を示す。同図に示すように、この第3の実施形態は、上記第2の実施形態と同様、ロードセル3を直流励磁するものである。そして、第2の実施形態におけるチョッパ回路21に代えて、反転回路31を、設けたものである。
【0132】
上記反転回路31は、4つのアナログスイッチAS1乃至AS4を備えており、これらのスイッチAS1乃至AS4を一定の周期TaでON/OFFさせることにより、ロードセル3から入力される直流荷重信号Woを、その極性が正極と負極とに交互に反転する概略矩形の両極性パルス荷重信号Wobに、変換する。この反転回路31による極性の反転動作(各スイッチAS1乃至AS4のON/OFF動作)は、タイミング回路6から供給される極性制御パルスAPによって制御される。なお、タイミング回路6は、パルス発生器1の発生するクロックパルスCPを基に、上記極性制御パルスAPを生成する。これらクロックパルスCPと極性制御パルスAPとの時間的な関係を、図11(a)及び同図(b)に示す。これらの図に示すように、タイミング回路6は、上記両極性パルス荷重信号Wobの極性を例えば正極とする期間(例えばAS1及びAS3がONで、AS2及びAS4がOFFの期間)と、この両極性パルス荷重信号Wobの極性を負極とする期間(AS1及びAS3がOFFで、AS2及びAS4がONの期間)とが、略同じ長さ(Ta≒Ta)になるように、反転回路31を制御する(厳密には、この制御を実現するための反転制御パルスAPを生成して反転回路31に供給する)。
【0133】
上記反転回路31による変換後の両極性パルス荷重信号Wobは、前置増幅回路4に入力される。前置増幅回路4は、この両極性パルス荷重信号Wobを交流増幅し、この増幅後の信号Vaを、A/D変換器5のアナログ入力端子(IN)に入力する。このA/D変換器5への入力信号Viは、基本的に、次の数22及び数23で表される。また、図11(c)に、この入力信号Viの一例を示す。
【0134】
【数22】
Va=Vi=Gw(Wob+Δe)=Gw(k・Wx・A+Δe)
ただし、両極性パルス荷重信号Wobの極性が正極であるとき。
【0135】
【数23】
Va=Vi=Gw(Wob+Δe)=Gw(−k・Wx・A+Δe)
ただし、両極性パルス荷重信号Wobの極性が負極であるとき。
【0136】
A/D変換器5は、上記入力信号Viをディジタル化する。具体的には、A/D変換器5は、図11(d)に示すように、タイミングパルスTPに応じて、上記反転回路31の極性反転周期(反転制御パルスAPの周期)Taの1/2に相当する時間Ts(=Ta/2)間隔で、かつ、上記入力信号Viの立ち上がりと立ち下がりとの間の時点、例えばこれらの略中間時点において、当該入力信号Viをサンプリングしてディジタル化する。これにより、正極の入力信号Viと、負極の入力信号Viとが、上記時間Ts間隔で、交互にディジタル化される。
【0137】
なお、上記タイミングパルスTPは、タイミング回路6からA/D変換器5のクロック入力端子(CLK)に入力される。タイミング回路6は、上記クロックパルスCPを基に、このタイミングパルスTPを生成する。また、A/D変換器5の基準電圧端子(REF)には、上記第2の実施形態と同様、励磁信号Eを直流増幅回路7によって増幅して得た直流信号Veが、基準信号Vrとして、入力される。
【0138】
上記A/D変換器5によってディジタル化して得たデータVoは、次の数24及び数25で表される。
【数24】
Vo=Gw(k・Wx・A+Δe)/Vr
ただし、入力信号Viの極性が正極であるとき。
【0139】
【数25】
Vo=Gw(−k・Wx・A+Δe)/Vr
ただし、入力信号Viの極性が負極であるとき。
【0140】
そして、このデータVoは、順次、上記第1の実施形態におけるCPU9と同様の図示しないCPUに入力される。CPUは、この順次入力されるデータVoに対して、次の数26で表される演算を行い、これを最終的な荷重データDとして、導出する。
【0141】
【数26】
Figure 0004903312
または、
Figure 0004903312
【0142】
ここで、上記反転回路21の極性反転周期Taが、比較的に短く、厳密には上記荷重Wx及び入力ノイズΔeの変動周期に比べて遥かに短いとすると、Wx(n)=Wx(n-1)とみなせ、従ってΔe(n)≒Δe(n-1)とみなせるので、上記数26は、次の数27に示すようになる。
【0143】
【数27】
D(n)≒2Gw・k・Wx(n)・A/Vr
【0144】
この数27から明らかなように、本第3の実施形態によれば、上記第1の実施形態と全く同様に、前置増幅回路4自身が持つ入力ノイズΔeの影響を排除し、かつ測定対象物の重量を言わば2倍の感度で認識したのと等価な荷重データDを得ることができる。なお、本第3の実施形態においても、この荷重データDを、例えば移動平均処理する等、適宜ディジタルフィルタリング処理をしてもよい。
【0145】
本第3の実施形態によれば、上記第2の実施形態と全く同様のレシオメトリック作用を期待できることは、言うまでもない。そして、タイミング回路6により、クロックパルスCPを基に、反転回路31の極性反転動作と、A/D変換器5のサンプリングタイミングとを、制御しているので、常に適切なタイミングで入力信号Viをディジタル化できることも、上記第2の実施形態と同様である。なお、本第3の実施形態においても、図10に点線32で示すように、A/D変換器5の入力信号Viを上記タイミング回路6に供給し、この入力信号Viの位相に同期して、上記A/D変換器5のサンプリングタイミングを制御するよう、構成してもよい。
【0146】
また、A/D変換器5のサンプリング周期Tsを、反転回路31の極性反転周期Taの1/2としたが、これに限らない。このサンプリング周期Tsは、上記極性反転周期Taの[{1/2}+m(mは、整数である。)]倍に相当する時間間隔であればよい。ただし、ここで言う整数mは、極力小さい値とするのが、好ましい。
【0147】
ところで、近年、比較的に安価でかつ高分解能なA/D変換器として、デルタ−シグマ形のものが、知られている。よって、例えば上記A/D変換器5として、このデルタ−シグマ形のものを採用すれば、高精度な測定装置を低価格で提供できる。しかし、このデルタ−シグマ形のA/D変換器は、その構成上、逐次比較形等の他の形式のA/D変換器に比べて、変換速度が遅いため、装置の仕様、特に重量選別機等の所謂動的はかりの仕様に、十分に対応できない場合がある。そこで、デルタ−シグマ形のA/D変換器を採用しながらも、高速処理を実現するために、例えば図12に示すような構成を考える。
【0148】
同図に示すように、上記A/D変換器5の他に、これと同規格のA/D変換器5aを、もう1つ別個に設ける。そして、これら各A/D変換器5、5aと前置増幅回路4との間に、それぞれサンプルホールド回路33、33aを設け、これら各サンプルホールド回路33、33aにより、前置増幅回路4の出力信号Vaをそれぞれサンプルホールドする。そして、これらサンプルホールドした信号を、それぞれ各A/D変換器5、5aの入力信号Viとする。
【0149】
なお、上記各サンプルホールド回路33、33aのうちの一方33は、タイミング回路6から供給されるタイミングパルスTPに応じて、例えば前置増幅回路4の出力信号Vaの極性が正極であるとき(図11(c)における期間Ta)の当該出力信号Vaをサンプルホールドする。そして、他方のサンプルホールド回路33aは、タイミング回路6から供給されるタイミングパルスTPに応じて、前置増幅回路4の出力信号Vaの極性が負極であるとき(図11(c)における期間Ta)の当該出力信号Vaをサンプルホールドする。ただし、これら各サンプルホールド回路33、33aは、内部にローパス・フィルタ等の時定数を有しているので、この時定数の影響を回避するために、各A/D変換器5、5aの各クロック入力端子(CLK)には、それぞれ、遅延回路34、34aにより上記各タイミングパルスTP、TPの位相を遅らせたパルスTP'、TP'を入力する。
【0150】
即ち、この図12の構成は、前置増幅回路4の出力信号Vaの極性が正極であるときの当該出力信号Vaをディジタル化するためのA/D変換器5と、前置増幅回路4の出力信号Vaの極性が負極であるときの当該出力信号Vaをディジタル化するためのA/D変換器5aとを、それぞれ別個に設けたものである。これにより、各A/D変換器5、5aの負担が軽減されるので、当該各A/D変換器5、5aとして、応答性の低い上記デルタ−シグマ式のものを採用することができる。
【0151】
また、上記各A/D変換器5、5aの前段に、それぞれサンプルホールド回路33、33aを設けることによって、これら各A/D変換器5、5aによる変換処理を、確実なものとしている。なお、サンプルホールド回路33、33aは、例えば図13に示すように、スイッチング素子35、抵抗器36、この抵抗器36とローパス・フィルタを形成すると共に畜電器としても機能するコンデンサ37、及びバッファ増幅器38、と言う極めて簡単な回路構成で実現できる。
【0152】
なお、この図12における各A/D変換器5、5aが、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1及び第2の変換手段に対応する。そして、各サンプルホールド回路33、33aが、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1及び第2のサンプルホールド手段に対応する。この図12に示す構成は、本第3の実施形態のみならず、上記第1及び第2の各実施形態にも、適用できる。
【0153】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、上述した特許第3002078号公報に開示された従来技術とは異なり、当該従来技術における2つのサンプルホールド回路や積分機能を有する差動増幅器等を設けることなく、測定対象物の重量を高感度で測定でき、かつ処理手段自身が持つ入力ノイズ等誤差信号の影響を排除できる。従って、上記サンプルホールド回路や差動増幅器等の言わば余計な回路を必要としない分、装置の構成を簡素化できると共に、低コスト化できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態における各要部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図3】同実施形態における各要部の信号波形を示すタイミングチャートで、図2よりも時間軸を短縮して表したチャートである。
【図4】同実施形態における各要部の信号波形を示すタイミングチャートで、図2とは異なる条件でA/D変換器を動作させる場合のチャートである。
【図5】同実施形態の別の例を示すブロック図である。
【図6】図5の構成において、A/D変換器を2つ設ける場合のブロック図である。
【図7】同実施形態の更に別の例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態における各要部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図11】同実施形態における各要部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図12】同実施形態の別の例を示すブロック図である。
【図13】図12におけるサンプルホールド回路の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 パルス発生器
2 交流励磁回路
3 ロードセル
4 前置増幅回路
5 A/D変換器
6 タイミング回路
7 CPU

Claims (9)

  1. 周波数が一定の正弦波の交流励磁信号を出力する励磁手段と、
    上記交流励磁信号が供給され、この交流励磁信号の大きさと測定対象物の重量とに応じた大きさの交流荷重信号を出力する重量センサと、
    上記交流荷重信号に増幅処理を含む所定の処理を施す処理手段と、
    この処理手段によって処理した後の前処理済荷重信号をディジタル化するA/D変換手段と、
    或る第1の時点における上記前処理済荷重信号を上記A/D変換手段によってディジタル化して得た第1のデータと、該第1の時点から上記交流励磁信号の周期の略[{1/2}+m(mは、整数である。)]倍に相当する時間だけ離れた第2の時点における上記前処理済荷重信号を上記A/D変換手段によってディジタル化して得た第2のデータと、の差を求め、この差を基に上記測定対象物の重量を表す荷重データを導出する演算手段と、
    を具備し、
    上記励磁手段は、概略矩形のクロックパルスに基づいて周波数が一定の矩形波基本パルスを生成すると共に、該矩形波基本パルスを濾波処理することによって上記交流励磁信号を生成し、
    上記第1の時点は、上記交流励磁信号の或る1周期中において上記前処理済荷重信号の大きさが略最大または略最小になる時点であり、
    上記第1及び第2の各時点は、上記クロックパルスと上記矩形波基本パルスとに基づいて定められる、
    重量測定装置。
  2. 上記A/D変換手段は、上記第1及び第2の各時点間の時間間隔に相当する周期で、上記前処理済荷重信号を、ディジタル化する状態に構成された、請求項に記載の重量測定装置。
  3. 上記第1及び第2の各時点間の時間間隔は、上記重量センサの固有振動数の逆数の1/2以下の値に相当する請求項に記載の重量測定装置。
  4. 上記A/D変換手段は、それぞれ個別の第1の変換手段と第2の変換手段とから成り、該第1の変換手段により上記第1の時点における上記前処理済荷重信号をディジタル化することにより上記第1のデータを得、該第2の変換手段により上記第2の時点における上記前処理済荷重信号をディジタル化することにより上記第2のデータを得る状態に構成され、
    上記演算手段は、上記第1及び第2の各変換手段からそれぞれ得られる上記第1及び第2の各データの差を求め、この差を基に上記荷重データを導出する状態に構成された、
    請求項に記載の重量測定装置。
  5. 上記第1の時点における上記前処理済荷重信号をサンプルホールドする第1のサンプルホールド手段と、上記第2の時点における上記前処理済荷重信号をサンプルホールドする第2のサンプルホールド手段と、を備え、
    上記第1のサンプルホールド手段によりサンプルホールドした信号を上記第1の変換手段によりディジタル化し、上記第2のサンプルホールド手段によりサンプルホールドした信号を上記第2の変換手段によりディジタル化する状態に構成された、
    請求項に記載の重量測定装置。
  6. 上記A/D変換手段は、基準端子を有し、この基準端子に入力される信号の大きさを基準として、上記前処理済荷重信号をディジタル化するものであって、
    上記交流励磁信号が入力され、この交流励磁信号の実効値または最大振幅値に応じた大きさの直流基準信号を生成する直流基準信号生成手段、を設け、
    上記A/D変換手段の基準端子に、上記直流基準信号を入力する状態に構成された、
    請求項1に記載の重量測定装置。
  7. 上記交流励磁信号が入力され、この交流励磁信号の大きさに応じた大きさの交流基準信号を生成する交流基準信号生成手段と、
    上記交流基準信号と上記前処理済荷重信号とを上記A/D変換手段によって選択的にディジタル化する状態に、該A/D変換手段によるディジタル化の対象となる信号を選択する信号選択手段と、
    を具備し、
    上記演算手段は、上記交流基準信号が上記信号選択手段によって選択されているとき、或る第3の時点における該交流基準信号を上記A/D変換手段によってディジタル化して得た第3のデータと、該第3の時点から上記交流励磁信号の周期の略[{1/2}+m]倍に相当する時間だけ離れた第4の時点における上記交流基準信号を上記A/D変換手段によってディジタル化して得た第4のデータと、の差を求め、この差を基に上記交流励磁信号の大きさを表す励磁基準データを導出し、上記前処理済荷重信号が上記信号選択手段によって選択されているとき、上記第1及び第2の各データの差を求め、この差を上記励磁基準データで除することにより上記荷重データを導出する状態に構成された、
    請求項1に記載の重量測定装置。
  8. 上記交流励磁信号が入力され、この交流励磁信号の大きさに応じた大きさの交流基準信号を生成する交流基準信号生成手段と、
    上記A/D変換手段とは別個に設けられ、上記交流基準信号をディジタル化する第3の変換手段と、
    を具備し、
    上記演算手段は、上記第1若しくは第2の時点と同一の時点または第1及び第2の時点と異なる時点である第3の時点における上記交流基準信号を上記第3の変換手段によってディジタル化して得た第3のデータと、該第3の時点から上記交流励磁信号の周期の略[{1/2}+m]倍に相当する時間だけ離れた第4の時点における上記交流基準信号を上記第3の変換手段によってディジタル化して得た第4のデータと、の差を求め、この差を基に上記交流励磁信号の大きさを表す励磁基準データを導出すると共に、上記第1及び第2の各データの差を求め、この差を上記励磁基準データで除することにより上記荷重データを導出する状態に構成された、
    請求項1に記載の重量測定装置。
  9. 上記第3の時点は、上記交流励磁信号の或る1周期中において上記前処理済荷重信号の大きさが略最大または略最小になる時点であり、
    上記第3及び第4の各時点は、上記クロックパルスと上記矩形波基本パルスとに基づいて定められる、
    請求項またはに記載の重量測定装置。
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