JP4900775B2 - モータ用回転子およびその製造方法 - Google Patents

モータ用回転子およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、永久磁石を使用したモータ、発電機などの高効率化を図ることを目的とした、軟磁性ヨーク一体のモータ用ボンド磁石回転子に関するものである。
従来、モータ用磁石回転子には様々な構造が考案されてきたが、それらは大きく2つの方式に分類される。第一の方式は、図2(a)〜(c)、および(f)のように永久磁石を磁極の表面に配置したいわゆる表面磁石(Surface Permanent Magnet、以下SPM)回転子である。これに対し第二の方式は、図2(d)(e)のように永久磁石を回転子内部に配置した磁石埋設(Interior Pemanent Magnet、以下IPM)回転子である。前者のSPM回転子は、回転子表面に配置した永久磁石がエアギャップを挟んで固定子に対向する形式であり、後者のIPM回転子に比べて設計や製造が容易という特長がある。また、後者のIPM回転子は構造信頼性に優れ、さらにリラクタンストルクを得易いという特長がある。なお、図2(f)に示す外転型の磁石回転子は、磁石が飛散する恐れが低いことからSPM構造をとることが多い。
図2のような永久磁石回転子において、珪素鋼板の絶縁積層品や鋳造、鍛造などから成る軟磁性ヨークの表面、もしくは内部に永久磁石を固定する方法としては従来から、接着剤を用いて接着するのが一般的である。
磁石回転子をモータに組込み回転させると、回転に伴う遠心力や、固定子との間に磁気的な吸引や反発力を発生する。さらに、回転に伴う振動なども発生する。ここで、回転子を形成する磁石や軟磁性ヨーク各々、また磁石と軟磁性ヨーク間の接合強度が不充分であると、磁石の剥離や破壊が発生する。遠心力は回転速度のほぼ二乗に比例して増加するため、高速回転するほどこの問題は深刻化する。この問題は、図2のようなセグメント磁石を用いた場合、特に図2(a)〜(c)のように磁石が回転子外径部に配置される内転型のSPM回転子で著しい。さらに、単一磁石で複数の磁極が構成可能なリング磁石を用いる場合であっても、回転子が温度変化した際に磁石と軟磁性ヨークとの線膨張率の違いにより、磁石が破損するのを避ける目的で、接着層のクリアランスを大きくし、さらに柔らかい接着剤を使用することが多い。なお、接着層のクリアランスは接着強度のバラツキ増大や接着位置のズレなどの原因になる。また、柔らかい接着剤は一般的に熱安定性や接着力に劣る。このように磁石の形状によらず、磁石回転子の接着作業には多くの技術課題がある。
以上の様な接着強度に対する懸念から、内転型SPM回転子の強度対策として図3のように非磁性ステンレス鋼や強化プラスチック繊維ファイバーなどからなる構造補強用の保護リング3を磁石101の外周面に巻いて、強度を補う場合が多い。しかしこのような場合、実効的なエアギャップが拡がり、磁石からの磁束が固定子に到達し難くなりモータ出力が低下してしまう。さらに、ステンレス鋼など金属製の保護リングでは、渦電流損が発生してモータ効率を低下させてしまう。なお、磁石と軟磁性ヨークとを一体成形する比較例として挙げる特許文献1や特許文献2においても、構造補強用のフレームや保護リングの使用が前提になっていることから、磁石と軟磁性ヨーク間に充分な接合強度を得ていなのは明らかである。また特許文献3ではリング磁石にくさび形状を設けて磁石のマクロ的外観形状によりヨークにくい込ませ軟磁性ヨークとの抜けを防止している点から、また特許文献4でも磁石をリング形状に限定している点や製法に関する記述から、磁石と軟磁性ヨーク間に充分な接合強度は得ておらず、リング磁石の内圧だけで軟磁性ヨークを保持しているのは明らかである。特許文献5では仮圧縮成形と本成形を行ってリング状磁石を形成している。しかしリング状磁石と軟磁性ヨークとの接合は接着であり接合強度や信頼性の点で不充分である。
ところで、永久磁石には等方性と異方性の2種類が存在する。等方性磁石は、異方性に比べて磁気特性が2割ほど低いものの、磁粉を圧縮成形する過程で磁場を与える必要がないことから製造が容易という特長がある。一方、異方性磁石は磁化容易軸を有する無着磁状態の原料粉を金型内へ投入し、これに適切な方法で強磁場を与えることで磁化容易軸を特定方向に揃え、その状態のまま圧縮成形し焼結、あるいは熱硬化性の樹脂で固めることでその性質が殆ど変化せず永久磁石として機能するようになる。ここで、フェライト系や希土類系の異方性ボンド磁石では原料を粉砕後、図4のように磁場をかけた金型の中で磁石粉末6を圧縮成形する。これにより、磁化された磁石粉末6は磁化容易軸方向にN、Sの磁極をもつ粒子磁石になり、磁針のように外部磁場の方向にほぼ揃う。この状態で圧縮成形すると磁化容易軸が揃った圧粉体となる。なお、異方性磁石は磁場中成形の最後の工程で、逆方向磁場や交流減衰磁場などを与えて脱磁処理を行なう。この圧粉体には予め熱硬化性の樹脂を混合しており、これを熱硬化することでボンド磁石とする。このように磁化容易軸が揃っている磁石を異方性磁石という。異方性磁石は磁化容易軸が揃えられた方向にのみ優れた磁気特性が得られる。
特開2001−95185号公報 特開2003−32931号公報 特開平5−326232号公報 特開平7−169633号公報 特開2001−052921号公報
さて、永久磁石にこのように磁性を持たせるには、大きなエネルギーを必要とする。例えばNdFeBをはじめとする希土類系ボンド磁石には、1600kA/m程度の配向磁場強度が必要である。電磁石に直流電流を流す方式では、コイルを多数回巻くことが空間的に可能な場合には上記の磁場強度が得られるが、少数回しか巻けない場合にはコイル発熱の制約から通常、800kA/m程度の磁場しか発生できない。そこで1600kA/m以上の高磁場を必要とする磁石には、コンデンサーに充電した高電圧大電流を瞬間的(パルス的)に流す方式が一般に用いられている。また、このように大電流を流すためコイル部の発熱が大きく、強制空冷や強制水冷の機構を付加し、コイル部の発熱による導線の絶縁破壊などを防止する必要がある。
単純な直方体磁石を長手方向に配向(磁化)する場合には、図4のように圧縮成形時に容易に配向できる。しかし、リング型磁石に放射(ラジアル)状にN、S、N、Sと多極配向する場合は、先ず図5のような専用の装置で磁場中圧縮成形し磁石の磁化容易軸を放射状に揃える必要がある。図5はラジアル配向用の磁場成形装置の縦断面図である。また、リング型磁石の極異方配向も同様に、図6(a)のようなコイル磁場を用いて磁極数に対応する様に磁化配向する必要がある。図6(a)は4極の極異方配向における磁場成形装置の横断面図である。
図5では、上下に配置された電磁石からの磁界が、灰色矢印のようにヨーク部中央に集められ、磁石位置で放射状に外側へ拡がっていく。この時配向磁場としては、充分な強度の磁場が、磁石位置にムラなく分布することが望ましい。例えば、リング磁石の軸方向中央付近に比べて上下端面近傍での配向磁場強度が劣っていたり、磁石の上下端面近傍でラジアル方向成分が乱れていたりすることは望ましくない。
このような理想的な配向磁場を得るためには、磁石のなるべく近傍に電磁石を配置して強い磁場を発生させること、また、電磁石を囲む磁路はなるべく高い飽和磁束密度,高い比透磁率の磁性体で構成し且つ閉磁路とすることが望ましい。しかしながら製造上の制約により、両者とも実現が困難な場合が多い。例えば、磁石粉などを給粉する配管、コイルを冷却する配管などを避けて電磁石は配置せざるを得ず、また可動部であるプレス成形用パンチとのクリアランスなどにより、電磁石はさらに遠方へ遠ざけられることになる。
一方、電磁石を囲む金型磁気回路についても、磁石取出し用開口部の必要性などから、閉磁路とは程遠い構成になる。また、金型材質についても圧縮成形時の高圧力に耐え得る様に、磁気特性よりも機械強度を優先せざるを得ない。さらに磁石寸法によっては、金型磁路の磁気飽和が制約となり大電流を流しても所望磁場が得られないことが生じる。例えば、磁石内径が小さいほど、ヨーク先端部の磁気飽和が制約となり、充分な配向磁場が得られず、所望の方向への配向が困難となってしまう。また、図6(a)に示す極異方配向の電磁石においても、前述のとおりコイルを多数回巻くことが困難なため所望の配向磁場強度を確保し難く、さらに複数の磁場を均等に発生させるのが困難で、磁場分布のバラツキが履歴として磁化配向した磁石に残り、極ピッチや磁力バラツキの大きい磁石を生む原因となる。
図6(a)の成形装置と同様の構造の着磁装置で所望の極数にNS着磁することができる。図5の装置で磁化容易軸を放射(ラジアル)状に揃えた成形体を熱硬化性の樹脂で固めた後に、所望の極数(図6では4極)に対応するコイルを巻線した図6(a)と同様の構成の電磁石を用いて、灰色矢印のように磁場を印加する。図6(b)に示す様に成形体には径方向に着磁された4つの磁極を形成することができる。図6(a)の装置で磁化容易軸を極方向に揃えた成形体を熱硬化性の樹脂で固めた後に、所望の極数(図6では4極)に対応するコイルを巻線した図6(a)と同様の構成の電磁石を用いて、灰色矢印のように磁場を印加する。図6(c)に示す様に成形体には極方向に着磁された4つの磁極を形成することができる。ラジアル配向磁石と極異方配向磁石とでは、印加する着磁磁場が同じであっても成形体の配向方向に倣って着磁されるため着磁パターンが異なるのである。
着磁工程においても、磁化配向の工程と同様、パルス電源の採用やコイル発熱の冷却対策が必要である。一方、空間的な制約から、多極化するほどコイル巻数が減少し、充分な着磁磁場を得ることが困難となる。なお、磁場中成形の工程で揃えた磁化容易軸を、着磁の工程で向きを変えるのはほぼ不可能なため、極ピッチや磁力バラツキの少ない磁石回転子を得るためには、着磁の工程以上に、配向の工程が重要となる。しかし、前記の理由によりラジアル配向にしろ多極配向にしろ、異方性磁石回転子として一度に磁化容易軸をバラツキなく揃えるのは、極めて困難である。
本発明は上記した問題点に鑑み、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部との接合強度が高く、高速回転用途においても強度的安全性の高い表面磁石型および内部磁石型の回転子とその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、磁石の極数や寸法・形状に依らず安定した乱れの少ない配向および着磁を容易に行なうことが可能で、放射(ラジアル)状、極異方状のみでなく、磁極1極が両端部まで略平行な配向など、より複雑な磁極パターンが実現可能な永久磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本願第一の発明は、結合材を含む磁石粉末と、結合材を含む軟磁性粉末とを、互いが接触して形成する接合面において互いにかみ合わせながら一体的に成形することを特徴とする、軟磁性ヨーク一体のモータ用ボンド磁石回転子に関するものである。つまり、フェライト磁石および、または希土類磁石と熱硬化性樹脂の混錬物と、アトマイズ鉄粉やFe−Co合金粉末、ナノ結晶粉末などの高透磁率軟磁性材料と熱硬化性樹脂の混練物とを、一体的に加圧成形後250℃以下で硬化処理することにより、ボンド磁石と軟磁性ヨークとが一体となったモータ用回転子を提供するものである。
本発明において、ボンド磁石部および、または軟磁性ヨーク部が複数の部位で形成される構成を採用することができる。
ボンド磁石部には、等方性および、または異方性の希土類ボンド磁石を使用することが望ましい。高い磁気特性を得るためには、異方性ボンド磁石を使用することがより望ましい。また、本発明は回転式モータに限らず、リニアアクチュエータ、磁気センサ、スピーカなど、磁石と軟磁性ヨークとを併用する磁気回路用部品全般に適用可能である。さらに、軟磁性部の一部、または全部にCuなどの非磁性粉末に結合材を混合した非磁性コンパウンドを使用して、磁気回路を形成することもできる。
本発明においては、磁気異方性を有する磁石粉末および結合材を主とする異方性ボンド磁石部と、軟磁性粉末および結合材を主とする軟磁性部とを有し、圧縮成形手段により各々を一体化し略円柱状にしたモータ用回転子であって、略平行配向の異方性ボンド磁石部を磁気作用表面部に交互に異なる極性の磁極が生じるように連ねて形成することが好ましい。
本発明においては、平行磁場配向した永久磁石を複数個組み合わせて一磁極を形成するように構成した磁石ユニットを、磁気作用表面部に交互に異なる極性の磁極が生じるように連ねた構成とすることが好ましい。
本発明では、一対の永久磁石をその磁化方向が接合面に対して線対称となるように接合して磁極を構成した磁石ユニットを、磁気作用表面部に交互に異なる極性の磁極が生じるように連ねて異方性永久磁石を形成し、前記永久磁石の磁化方向を、該接合面を通る径方向に対して傾斜角度を有する方向とすることが好ましい。傾斜角度は5〜35°が好ましく、20°±10°の角度とすることが更に好ましい。
磁石粉末の平均粒径が50〜200μmであり、前記軟磁性粉末の平均粒径が1〜100μmであるものが好ましい。相互に粒径を変えることでボンド磁石部と軟磁性部の接合強度が高まり、ボイドやクラック等を抑制できる回転子を製造できる。さらに好ましい磁石粉末の平均粒径は80〜150μmであり、さらに好ましい軟磁性粉末の平均粒径は5〜50μmである。
磁石粉末は、異方性のR−Fe−B系磁石粉末あるいはSm−Fe−N系磁石粉末であることが望ましい。例えばフェライト系ボンド磁石の様に残留磁束密度Brが0.4T未満であると、モータとして必要充分なトルクを得ることができない。したがって、Br≧0.8T、保磁力Hcj≧600kA/mの希土類ボンド磁石を使用することがより望ましい。
一方、軟磁性粉末はアトマイズ鉄粉、Fe−Co鉄粉、Fe基ナノ結晶磁性粉末などを用いて、電気伝導率は20kS/m以下、磁気特性は飽和磁束密度Bm≧1.4T、保磁力Hc≦800A/mにすることが望ましい。電気伝導率が20kS/m未満であると、従来接着方式で軟磁性ヨークとして用いられている珪素鋼板などの絶縁積層品と略同等に、渦電流損を低減することができる。また、Bmが低いと必要充分な磁束が得られず、極端にヨークを大型化する必要などが発生する。特に本発明のようにBr≧0.8Tの希土類ボンド磁石を用いる場合は、この問題点が顕在化する。またHcが高すぎるとモータ回転時のヒステリシス損が顕著になりモータ効率が著しく低下する。
生産性や組立て精度の観点から、磁石と軟磁性ヨークとを一体成形する技術も種々開発されているが、インサート成形(特許文献1)ではその製法上、原料に高い流動性が要求されるため、磁石材料や軟磁性材料に多量の樹脂を混ぜなければならない。このため、磁石材料や軟磁性材料の質量%は6割程度となり、軽量というメリットはあるものの、低い磁気特性しか得られない。一方、本発明は圧縮成形であるため、軟磁性材の質量%を98%程度まで上げることが可能であり、より高い磁気特性が得られるという特長がある。
また軟磁性粉末に、絶縁皮膜のコーティングをなすことも好ましい。あるいは希土類磁石粉末に、絶縁皮膜コーティングをなすことも好ましい。絶縁皮膜のコーティングを施すことで電気抵抗が増加して、モータ回転時の渦電流損を低減することができる。
ボンド磁石と軟磁性ヨーク一体の、磁石回転子成形用の原料としては、磁石粉末および軟磁性粉末に樹脂バインダー(結合剤)を添加する。結合剤としては熱硬化性樹脂を、磁石粉末コンパウンドであれば1〜5質量%、軟磁性粉末コンパウンドであれば0.1〜3質量%含むことが望ましい。結合剤は熱硬化性樹脂が好ましい。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等が適宜使用できる。磁石粉末質量に対する含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、1.0〜4質量%がより好ましい。軟磁性粉末に対する含有量は0.1〜3質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。結合剤の含有量が少なすぎると機械強度が著しく低下し、結合剤の含有量が多すぎると磁気特性が著しく低下する。
軟磁性粉末と結合剤、もしくは磁石粉末(特に希土類磁石粉末)と結合剤を調合してコンパウンドとする。このコンパウンド中には、酸化防止剤や潤滑剤が含まれていてもよい。酸化防止剤は、磁石粉末の酸化を防止して磁石の磁気特性の低下を防ぐのに寄与する。また、コンパウンドの混練・成形の際に熱的安定性の向上に寄与し、少ない結合剤添加量で良好な成形性を保てる。酸化防止剤は、既知のものを使用でき、例えば、トコフェロール、アミン系化合物、アミノ酸系化合物、ニトロカルボン酸類、ヒドラジン化合物、シアン化合物、硫化物等の、金属イオン、特にFe成分に対しキレート化合物を生成するキレート化剤などが使用できる。
潤滑剤は、コンパウンドの混練・成形の際に流動性を向上させるため、より少ない結合剤添加量で同等の特性を得ることができる。潤滑剤は既知のものを使用でき、例えば、ステアリン酸またはその金属塩、脂肪酸、シリコーンオイル、各種ワックス、脂肪酸などが使用できる。
また、他に安定化剤、成形助剤等の各種添加剤を添加することもできる。コンパウンドは混合機や攪拌機を用いて混合する。
本願第二の発明は、異方性ボンド磁石部と軟磁性部とを備える磁気回路用部品の製造方法であって、前記異方性ボンド磁石部は結合材および磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドを用いて磁界中で予備成形し、その後、無磁場中で軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドと一体化する様に本成形し、熱硬化させることを特徴とする磁気回路用部品の製造方法である。
本願第三の発明は、結合材を含む磁石粉末を予備成形して予備成形体を作製し、前記予備成形体と結合材を含む軟磁性粉末とをキャビティ内に装填し、前記予備成形体と前記軟磁性粉末とを互いが接触して形成する境界面と平行方向に予備成形圧力より高い成形圧力で圧縮成形することを特徴とする磁気回路用部品の製造方法である。
本願第四の発明は、結合材を含む軟磁性粉末を予備成形して予備成形体を作製し、前記予備成形体と結合材を含む磁石粉末とをキャビティ内に装填し、前記予備成形体と前記磁石粉末とを互いが接触して形成する境界面と平行方向に予備成形圧力より高い成形圧力で圧縮成形することを特徴とする磁気回路用部品の製造方法である。
ここで、ボンド磁石と軟磁性ヨークの一体成形手段について、図7を用いて詳細に説明する。結合材および平均粒径が50〜200μmの磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドを、磁石予備成形専用の圧縮成形装置に充填して、成形圧力200〜400MPaで予備成形する。予備成形で成形圧力を低めるのは、本成形の際に磁石粉と軟磁性粉との密着性を高めるためである。なお、ボンド磁石が異方性の場合には、電磁石などによって磁場を与えながら予備成形を行なう。
次に、複数のボンド磁石の予備成形体を円筒キャビティ内へ組付け、そこに結合材およびアトマイズ鉄粉やFe−Co合金粉末、ナノ結晶粉末などの平均粒径が1〜100μmの高透磁率軟磁性材料粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドを給粉し、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部とを同時に予備成形圧力より高い600〜1000MPaの成形圧力で一体的に本成形する。予備成形で成形圧力を低めるのは、本成形の際に磁石粉と軟磁性粉との密着性を高めるためである。キャビティ内に装填した予備成形体と後からキャビティ内へ供給される磁石粉または軟磁性粉とが、互いが接触して形成する境界面と平行方向に予備成形圧力より高い成形圧力で加圧されると、両者は同時に圧縮されて境界面の面積が小さくなる。その際に予備成形体を構成する粒子と後からキャビティ内へ供給された粒子とが境界面において互いに相手側領域に入り込み、境界面はその断面において凹凸を有する形状となる。この凹凸により境界面における機械的結合が十分に行なわれる。境界面の凹凸量が大きいほど機械的結合強度は大きくなる。なお、軟磁性ヨーク部も予め低圧力で予備成形を行ない、ボンド磁石と軟磁性ヨークの予備成形体どうしをキャビティ内で組合せてから本成形しても良い。さらに、予備成形体の接合面に予め結合材や接着剤などを塗布しておいても良い。本成形後に行う加熱硬化処理により結合材や接着剤が溶けてボンド磁石部と軟磁性ヨーク部とに浸透して接合面を強化する。
また、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部用の上下パンチを別々に可動できる様にしておくと、予備成形体のパンチ接触面の形状を崩すことなく、同時に加圧することが可能となる。なお、一体成形後には250℃以下で硬化処理を行ない、さらに必要に応じてエポキシ樹脂塗装などの表面処理を施してから、回転軸を圧入または接着固定し、最後に磁極部を着磁して磁石回転子となる。また、図18に示す様に、フラット面16を有するモータ回転軸13を本成形キャビティ内へ予めセットしておき、モータ回転軸と磁石回転子を一体化することもできる。また、モータの軸長が長いときには、複数の磁石回転子を積み重ねて使用することができる。さらに、磁極ピッチをずらしながら積み重ねることで、スキュー角を設けることも容易である。
予備成形と本成形とに分けて成形することで、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部の接合力を高めることが可能である。これは粒径の粗い磁石粉末を先に予備成形することで、後から充填される粒径の細かな軟磁性粉末が一部ボンド磁石部側へかみ込み、圧着力を高めるためである。従来の接着剤による接合では、接着層の厚みがばらついたり、接着面の状態によって接着強度が変わるなど、安定した接着強度を得ることは難しい。20MPa以上の接着強度を有する接着剤を使用しても、接着面積が1/3程度しか確保できず、平均すると実質5MPa以下の接着強度しか得られないことが多い。これに対して本発明では、ボンド磁石部と軟磁性部の圧着力は接合面の全域で確保されるため、常に安定してせん断応力で10MPa以上、さらには15MPa以上となる。ステータコイルに励磁電流が供給されると回転子に回転トルクが生じる。このとき回転子には回転方向に対して接線方向の応力が生じるが、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部との接合界面には主にせん断応力が加わる。回転速度が大きくなるにつれて接合界面には引張応力も加わる。本発明により形成された接合界面はせん断応力および引張応力の何れに対してもほぼ同等の高い強度を有する。本発明を例えばモータ回転子に適用して実施した場合、接合界面に大きなせん断応力が加わる場合が多いことが想定されるため、後述する実施例では接合界面のせん断強度を接合強度の指標とした。
ここで、等方性ボンド磁石粉の予備成形圧力を200〜600MPaまで変化させ、各々の条件に対して、軟磁性粉と組合せた後の本成形圧力を600MPaにした時の、予備成形圧力と接合界面のせん断強度の相関を図11(a)に示す。図11(a)より、等方性ボンド磁石の予備成形圧力が低いほど、軟磁性粉と組合せて一体成形した後の、接合面110のせん断強度は高くなることがわかる。これは予備成形圧力が低いほど本成形時の圧縮幅が大きくなり、本成形時にボンド磁石粉と軟磁性粉とを同時に圧縮することによって接合界面におけるボンド磁石粉と軟磁性粉との噛み合いが起こり易くなるためである。なお、予備成形圧力が200MPa以下では、予備成形体の形状が保てなくなり、生産性が著しく低下する。磁石部の残留磁束密度は等方性であるため予備成形圧力との相関関係はない。
次に、異方性ボンド磁石の予備成形圧力を200〜600MPaまで変化させ、各々の条件に対して、軟磁性粉と組合せた後の本成形圧力を600MPaにした時の、予備成形圧力と接合界面のせん断強度、および磁石部の残留磁束密度の相関を図11(b)に示す。図7に示す様に、一体成形の工程では磁場を与えないことと、予備成形圧力が低いほど本成形時の圧縮幅が大きくなることから予備成形圧力が低いほど予備成形時に与えた磁石の配向が本成形時に乱され易く、残留磁束密度が低下すると考えられる。従って、異方性ボンド磁石において磁場中予備成形,および無磁場中本成形を行なう際、磁石の磁気特性と接合力の両立という観点で、予備成形圧力は250〜500MPaの範囲が好ましく、300〜400MPa程度にすることが更に望ましい。せん断強度の測定はボンド磁石部と軟磁性部との接合界面を含む領域に接合界面と平行であり且つ本成形時の圧縮方向と同じ方向のせん断応力を加え、せん断応力を徐々に大きくして破断が生じたときのせん断応力と接合界面の面積から求めることができる。
ここで、予備成形圧力を変化させた時の、本成形後に得られる一体成形品の加圧方向断面部の接合面外観写真を図12,図13に示す。図12の接合面を更に拡大したものを図13に示す。写真における上下方向が成形時の加圧方向である。図12,13に示す様に、等方性ボンド磁石および異方性ボンド磁石とも、予備成形圧力が低いほど、接合界面の凹凸量が多い様子が観察される。予備成形圧力と本成形圧力が同じ場合、接合界面の凹凸はほとんど認められない。図15(a)に等方性ボンド磁石の予備成形圧力とせん断強度および接合面の凹凸量の相関を、図15(b)に異方性ボンド磁石の予備成形圧力とせん断強度および接合面の凹凸量の相関を示す。図12および図13に示す様に、本発明では磁石粉と軟磁性粉とが界面近傍において50〜100μm程度の凹凸量をもってかみ合う状態をつくることで、15MPa以上の強固な接合力を得ている様子がわかる。
接合面における磁石粉と軟磁性粉との凹凸量を図14を用いて説明する。断面写真において磁石粉と軟磁性粉との接触箇所をつなぐと一本の曲線を書くことができる。これが接合面である。接合面の凹凸のほぼ中心を縫うように一本の曲線を書く。この曲線は当該曲線と接合面とによって囲まれる面積が当該曲線の左右で等しくなるように書かれ、これを中心線とする。中心線を接合面の最大ピークと接する位置まで平行移動する。反対方向にも同様に平行移動する。平行移動で書かれた2本の平行線の間隔が凹凸量である。この作業は接合面の長さ1mmの視野において行う。
図11では予備成形圧力と接合界面のせん断強度の関係を示したが、そのせん断強度を求めた際の破断面の位置を図16に示す。予備成形圧力が200MPa及び400MPaのとき破断が生じるのは接合面より軟磁性ヨーク(A)側に入った位置である。接合面では破断しない。これに対して予備成形圧力が本成形圧力と同じ600MPaのときは接合面で破断が生じた。この現象は永久磁石として等方性ボンド磁石と異方性ボンド磁石の何れを用いる場合でも同様であった。接合界面自体のせん断強度は予備成形圧力にかかわらず軟磁性ヨーク(A)、等方性ボンド磁石(B)、異方性ボンド磁石(C)のそれぞれの持つせん断強度より低い。それにも拘わらず軟磁性ヨーク(A)側で破断が生じる理由は次のように考えられる。本成形後に本成形圧力から開放された成形体はスプリングバック現象により僅かであるが元に戻ろうとする。このときボンド磁石部が戻ろうとする量は軟磁性部が戻ろうとする量より大きいため軟磁性部の接合界面の近傍では引張応力が生じていると考えられる。この引張応力が生じている位置で破断しやすいものと推察される。図15に示したとおり予備成形圧力と本成形圧力とが等しい場合は接合面でのボンド磁石粉と軟磁性粉との噛み合い(凹凸)が少ないため引張応力にかかわらず接合面で破断する。
このようにボンド磁石部と軟磁性ヨーク部とで高い接合力が得られるため、従来の接着方式や一体成形方式(特許文献1〜特許文献2)においては不可欠であった構造補強用の保護リングを廃止することが可能である。さらに、本発明では磁石と軟磁性ヨークとの接合面110全域で高い圧着力が得られるため、磁石部をリング形状に限定したり、リング磁石の内圧だけで軟磁性ヨークを保持したり(特許文献3〜4)することがない。ボンド磁石部どうしの接合面100においても予備成形圧力より高い圧力で圧縮成形することにより磁石と軟磁性ヨークとの接合面110と同様に高い接合力が得られる。
本発明では、予備成形の工程で磁石を1ユニットずつ充分な磁場中で配向できるので、磁石の極数や寸法に依らず安定した配向および着磁を容易に行なうことが可能となる。すなわち、異方性ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部からなる磁気回路用部品の製造方法として、前記異方性ボンド磁石部は結合材および平均粒径が50〜200μmの磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドを用いて磁場中で予備成形し、その後、無磁場中で平均粒径が1〜100μmの軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドと一体化する様に本成形し、熱硬化させることを特徴とする製造方法が採用できる。なお、本成形用の金型には、500〜1000MPaの高圧力に耐え得る様に、磁気特性よりも機械強度特性を重視した超硬などの材質を用い、さらにある程度以上の肉厚で構成する必要がある。このため、電磁石で発生する磁場を磁石成形部へ無駄なく伝えるのが困難となる。しかしながら、300MPa程度の予備成形圧力においては、金型材に磁気特性を重視した飽和磁束密度が高く、また比透磁率の高い鋼材を採用でき、さらに薄肉化も可能なことから、分布が均一でかつ強度も高い配向磁場を磁石成形部で発生することができる。例えば、ラジアル異方性のリング磁石を配向させる場合にも、予備成形用の金型で配向させることで、より配向度が高く、磁力バラツキの少ない磁石を得ることができる。
また製造設備面でも300MPa程度の予備成形用プレス機は、本成形用プレス機に比べてコンパクトであり、プレス機の構成材もより磁気特性重視の材料を選択できる。また、図8(a)に示すようにバックヨークでつながった閉磁路が構成できる、電磁石を磁石粉の近くに配置できるという面で、図5や図6の様な従来の成形機に比べて磁場配向面で有利である。
このように比透磁率μ及び飽和磁束密度Bsが高い材料で磁気回路を形成することにより、様々な磁化パターンが実現可能となる。例えば図8(b)に示す様に、磁石を圧縮成形するキャビティを一様平行磁界に対して傾斜させることで、磁石の磁化容易軸を自由な方向へ揃えることができる。また図8(c)に示す様に、ヨーク先端部の形状や電磁石の配置を工夫することにより、磁化容易軸を曲げることもできる。あるいは、磁石を予備成形する金型自体に複雑な磁路を形成したり、永久磁石を副磁路として機能させるなどの工夫によって、より複雑な配向磁場の制御が可能となる。
製造の最終工程で500〜1000MPaの高圧力で圧縮成形した場合の密度は、例えばR−Fe−B系のボンド磁石部で5.5〜6.5Mg/m、R−Fe−N系のボンド磁石部で5.3〜6.2Mg/mであり、Fe粉のボンド軟磁性部であれば6.0〜6.8Mg/mである。
図1のような複雑な形状および配向の永久磁石を多数設置する回転子は、図5や図6の様な従来技術では製造不可能であったが、本発明の製造法を用いれば製造可能となる。図1のように、一対の永久磁石1A,1Bをその磁化方向が互いの接合面100に対して線対称となるように接合して磁極を構成した磁石ユニットを、磁気作用側表面部に交互に異なる極性の磁極が生じるように連ねて異方性磁石体を形成した場合、高い特性が期待される。すなわち、図2のような単一の磁石で1磁極を構成する構造に比べ、磁極中央位置に発生磁場を効率良く集中させられる。発生磁場の集中は、図9中の角度θ、つまり接合面の径方向に対する傾斜角にして5〜35°が好ましい。特に、20°±10°の範囲がより好ましい。
本発明は、上記のように樹脂バインダー等の結合剤を含むボンド磁石粉と軟磁性粉とで回転子を一体成形することで、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部との圧着強度が高く、高速用途においても構造信頼性の高い磁石回転子を提供することができる。また、圧縮成形の製造工程を低圧力な予備成形と、高圧力な本成形とに分け、予備成形の工程で必要充分な磁場中で磁石の磁化容易軸が揃えられるので、回転子の極数や寸法に依らず、安定して極ピッチや磁力バラツキが少ない磁石回転子を得ることができる。さらにラジアル着磁や極異方性着磁のみでなく、磁極1極が両端部まで略平行な着磁や、より複雑な着磁制御が可能で、従来技術では実現困難な磁極パターンを磁石回転子に形成し、モータの高出力化や高効率化に貢献することができる。
以下、本発明の永久磁石回転子を用いたモータの実施例を、図面を参照して説明する。
(実施例1,比較例1)
先ず、本発明の製法上の特長であるボンド磁石部と軟磁性ヨーク部の接合強度の高さを活かし、保護リング廃止の効果を調べた。セグメント磁石を接着する従来方式では(比較例1)、図3に示すように保護リングが必須である。これに対し本発明の製法で作製した回転子(図1(a))を用いると、希土類ボンド磁石部と、軟磁性粉末よりなる軟磁性ヨーク部とを強固に一体化することができるため保護リングが不要となり、固定子と回転子の間のギャップを小さくできるため比較例1よりも磁石の磁束を有効に活用することができる。また高い周波数領域での保護リングにおける渦電流損失に伴う出力低下も回避できる。さらに接着や組立ての工程が不要なことから、従来よりも低コストで製造できる。
結合材としてエポキシ樹脂を磁石粉末に対して3質量%、軟磁性粉末に対して1.1質量%添加した。磁石材としては、比較例1はNd系焼結磁石(Br=1.3T)、実施例1はNd系異方性ボンド磁石(Br=0.9T)を用いた。回転子の外径は50mm、ボンド磁石部1の磁化方向厚みは10mm、回転軸方向の長さは20mmである。また比較例1では、0.3mm厚のTi系保護リングを用いた。
表1は、両者の回転子について、モータの誘起電圧と回転数との関係を示す表である。ここで、電圧は比較例1の1000rpm(毎分あたりの回転数)の値を100%とした。
1000rpmでの誘起電圧は、比較例1に対して実施例1は磁石の残留磁束密度(Br)が3割低いにも関わらず、保護リングが無い分だけ有効エアギャップを狭くできることから、誘起電圧の低下は4%に留まる。また、誘起電圧は回転数にほぼ比例して増加するが、比較例1では高速回転になるほど、主として保護リング部の渦電流損失が顕著となり発生電圧は比例直線から低下している。一方実施例1では、2万rpmまでほぼ回転数に比例する誘起電圧が得られている。
また2万rpmまでの回転数に対し、実施例1は磁石破損もしくは磁石部と軟磁性部との接合剥れ等の問題は発生しなかった。有限要素法により遠心力に対する構造信頼性をシミュレーションした所、2万rpmでは約5倍の安全率を満足している。
(実施例2)
図1は、本発明の他の実施例による永久磁石回転子の模式断面図である。図1は1磁極を2個の磁石1A,1B、軟磁性材料からなるヨーク2、シャフト13から構成した。本発明の製造方法により、このような複雑な形状、配向の永久磁石を多数設置することが可能となる。図1のように、磁石の磁化方向を接合面100(図中のN、Sを結ぶ破線)に対して線対称となるように接合すると、図中にN(S)で示した磁極中央位置に発生磁場を効率良く集中させられ、図2のような単一の磁石で1磁極を構成する構造に比べ、高い磁気特性が得られる。発生磁場の集中量は、磁化の傾き角に関連する。磁石材や寸法などは、実施例1と同一条件である。
図9は、実施例2について、誘起電圧と傾き角との関係を示す図である。ここで、誘起電圧は1000rpmでの値を、比較例1の値を100%として規格化した。図9より、図1のような構造をとることにより、従来のセグメント接着方式による比較例1より高いモータ特性が得られることが分る。図9より電圧を向上させるためには、傾き角は5〜40°、更には5〜35°が好ましく、特に、20°±10°の範囲が好ましいことが分る。また実施例2でも、2万rpmまでほぼ回転数に比例する発生電圧が得られ、表1より高速回転時にはさらに有利な構造であることが分る。
(実施例3)
図10は、本発明の他の実施例による永久磁石回転子の模式断面図である。従来のリング磁石製造法では、図10(a)のように磁石の磁化方向厚みが大きいものの配向や、多極配向が困難であったが、本発明の製造方法では、磁石の極数や寸法に依らず安定した配向や着磁を容易に行なうことが可能である。また、図10(b)や図10(c)のように、1極を3個の磁石1A〜1Cから構成し、磁極中央位置に発生磁場を効率良く集中することも可能である。
(実施例4)
図17は、本発明の他の実施例による永久磁石回転子の模式断面図である。図17(a)は、図8(c)に示す磁場配向装置を用いて磁石の磁化容易軸を曲げた状態のものを組合せて、軟磁性ヨークと一体化した4極の極異方性着磁の実施例である。図17(b)は、1磁極を2個の磁石1A、1Bから構成した磁極集中タイプの12極の実施例である。この様に複数の予備成形磁石と軟磁性粉とを組合せて一体化することで、多極の磁石回転子も容易に実現できる。図17(c)は、磁石1と磁石1の間に非磁性コンパウンド15を挟みつつ、軟磁性ヨーク2と一体化した実施例である。図17(d)は、磁石の磁化方向の厚みを周方向に沿って変化させた実施例を示すものである。図17(e)および(f)は、磁石埋め込みタイプの実施例である。このように、本発明によると磁石の形状や磁化方向が複雑な回転子も、容易に実現可能である。
本発明の一実施例に関わる表面磁石型永久磁石回転子(a)とリラクタンス効果併用型の表面磁石型永久磁石回転子(b)の模式断面図である。 従来の永久磁石回転子の方式を説明する模式断面図である。 比較例の表面磁石型永久磁石回転子の模式断面図である。 磁界中成形の原理を示す模式断面図である。 従来方式におけるラジアル異方性配向型リング磁石製造法の模式断面図である。 従来方式における極異方性配向型リング磁石着磁法の模式断面図(a)、ラジアル異方性配向型リング磁石の着磁(b)および極異方性配向型リング磁石の着磁(c)の原理を示す模式断面図である。 本発明における回転子製造法の流れ図である。 本発明における予備成形時磁界印加法の模式断面図である。 本発明の他の実施例による誘起電圧の測定結果を示す電圧―磁化傾き角を示す図である。 本発明の他の実施例に関わる永久磁石回転子の模式断面図である。 本発明における磁石の予備成形圧力と、軟磁性粉との一体成形後のせん断強度を示す図である。 本発明における磁石の予備成形圧力と、軟磁性粉との一体成形後の加圧方向接合面外観写真を示す図である。 図12の写真を更に拡大したものである。 接合面の凹凸量の定義を説明するための図である。 本発明における磁石の予備成形圧力と、軟磁性粉との一体成形後のせん断強度および接合面の凹凸量を示す図である。 図11でせん断強度を求めた際の破断面の位置を示す図である。 本発明の他の実施例に関わる永久磁石回転子の模式断面図である。 本発明の他の実施例に関わるモータ回転軸との一体化を示す模式断面図である。
符号の説明
1、1A〜1C:ボンド磁石部
2:軟磁性部
3:保護リング
4:圧縮成形用パンチ
5,5A,5B:金型
6:磁石粉
7:電磁石
8:軟磁性粉
9:熱硬化炉
10:バックヨーク(磁性体)
11:ヨーク先端
12:軟磁性体もしくは磁石
13:シャフト(モータ回転軸)
14:径方向
15:非磁性体
16:フラット部
17:空隙
100:ボンド磁石部どうしの接合面
101:セグメント磁石
102:軟磁性ヨーク
110:ボンド磁石部と軟磁性部との接合面

Claims (6)

  1. 結合材を含む磁石粉末からなるボンド磁石部および結合材を含む軟磁性粉末からなる軟磁性ヨーク部を有し、前記ボンド磁石部が複数の部位で形成され、前記結合材を含む磁石粉末と前記結合材を含む軟磁性粉末とが、互いが接触して形成する接合面においてかみ合う状態で一体的に成形されているモータ用回転子であって、
    前記ボンド磁石部は、平行磁場配向した永久磁石を複数個組み合わせて一磁極を形成するように構成した磁石ユニットを、磁気作用表面部に交互に異なる極性の磁極が生じるように連ねてなることを特徴とするモータ用回転子。
  2. 一対の永久磁石をその磁化容易方向が接合面に対して線対称となるように接合して磁極を構成した磁石ユニットを、磁気作用表面部に交互に異なる極性の磁極が生じるように連ねて形成し、前記永久磁石の磁化容易方向が該接合面を通る径方向に対して傾斜角を有することを特徴とする請求項に記載のモータ用回転子。
  3. 前記傾斜角を5〜35°の角度とすることを特徴とする請求項に記載のモータ用回転子。
  4. 異方性ボンド磁石部と軟磁性部とを備える磁気回路用部品の製造方法であって、前記異方性ボンド磁石部は結合材および磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドを用いて磁界中で予備成形し、その後、無磁場中で軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドと一体化する様に本成形し、熱硬化させることを特徴とする磁気回路用部品の製造方法。
  5. 結合材を含む磁石粉末を予備成形して予備成形体を作製し、前記予備成形体と結合材を含む軟磁性粉末とをキャビティ内に装填し、前記予備成形体と前記軟磁性粉末とを互いが接触して形成する境界面と平行方向に予備成形圧力より高い成形圧力で圧縮成形することを特徴とする磁気回路用部品の製造方法。
  6. 結合材を含む軟磁性粉末を予備成形して予備成形体を作製し、前記予備成形体と結合材を含む磁石粉末とをキャビティ内に装填し、前記予備成形体と前記磁石粉末とを互いが接触して形成する境界面と平行方向に予備成形圧力より高い成形圧力で圧縮成形することを特徴とする磁気回路用部品の製造方法。
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