JP4300525B2 - 磁極面球状ボンド磁石およびその製造方法 - Google Patents

磁極面球状ボンド磁石およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石式多自由度モータなどの小形化を図ることを目的とした、磁極面球状ボンド磁石、およびその製造方法に関するものである。
ロボットなどの関節駆動用に、1台で多自由度の動きを有するモータが古くから望まれている。モータ1台で複雑な動きを実現すると、従来方式である1軸の小形モータに複数のギヤやカムなどを併用し、さらにそれらを複数台組み合わせて複雑な動きを実現するものと比べて、駆動システムの軽量化やコンパクト化、省電力化などが期待できるとして様々な構造が提案されている。例えば、円弧状に動く1軸のステッピングモータを複数組み合わせた多軸モータや、球形状の磁石回転子を用いて軸回転だけでなく軸傾斜までを同時に実現する球体モータなどが挙げられる。
但し、それらの多自由度モータは機構や制御が複雑で、さらにコンパクト化についても多くの技術的な課題を抱えていたために、従来方式を上回る小形・軽量の多自由度モータが工業製品化されることはなかった。
ところが、近年の新材料・新製法の出現や精密加工技術の向上、モータ制御技術の高度化などにより、多自由度モータの小形・軽量化が現実味を帯びてきている。例えば、軟磁性ヨークにコイルを巻回して電流のスイッチングにより交番磁界を発生させる固定子においては、珪素鋼板を積層してヨークを形成する従来方式に代わって、鉄系の微粉末に樹脂バインダーを混ぜて圧縮成形した後に熱硬化させる圧粉磁心が有望視される。圧粉磁心は3次元的に複雑な構造が容易に実現でき、しかも固定子を磁極ごとにユニット化することで巻線作業も容易になることから、形状が複雑な多自由度モータ用の固定子において、圧粉磁心の採用により小形化が進むものと期待される。
さらにモータ制御においては、2ないし3自由度の動きの回転中心を一致させることで運動方程式が簡単になり、比較的容易に位置制御が行なえると考えられる。
一方、磁石回転子においては、磁石の磁気特性こそ性能向上が目覚しいが、磁石とそれ以外の部材を個別に製作して、接着などの手段により回転子を組み立てる従来手法では、多自由度モータのように形状が複雑化するほど体積効率や生産性は低くならざるを得なかった。例えば、球形状の磁石回転子を得る場合、図5に示すように、軟磁性ヨークを球体に加工した後に、その表面にボタン状の磁石をN極とS極が交互に位置する様に接着固定する方式が挙げられる。この方式では、回転子の全表面に対する磁極の比表面積が小さくなったり、磁石の外径が一様でないために固定子間のエアギャップが拡大して、小形・高出力化を大きく妨げていた。また、極間の隙間なく磁石を並べた後に、球状の砥石にて磁石の外形を研削加工する手法も考えられるが、生産性が低い。
なお、特許文献1には内面閉磁路型異方性磁石について記載され、球状の磁石が示されている。この内面閉磁路型異方性磁石を用いれば、通常磁気回路を形成するために磁石と併用される軟磁性材料が不要になるため、多自由度モータに好適と思われるが、磁石を製造する過程で複雑な異方性磁界を付与する必要性が生じるため、例えばNdFeBに代表される磁気特性の高い希土類系のボンド磁石での実現は困難であると予想される。
特許第3007492号公報((0013)、図11)
本発明は磁石と軟磁性材料を一体で成形することで、多自由度モータ等に用いられる磁極面球状ボンド磁石を加工レス、接着レスで高精度、高強度に実現することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明では、(磁極面が結合材および磁石粉末を主とするボンド磁石部で形成され、前記ボンド磁石部の内層側が結合材および軟磁性粉末を主とする軟磁性ヨーク部で形成され、前記ボンド磁石部と前記軟磁性ヨーク部とは球形状の接触面で前記軟磁性ヨーク部の軟磁性粉末がボンド磁石部側に入り込んで互いに接合され、前記磁極面が略球状に形成されており、前記ボンド磁石部の外周曲面上に複数の磁極が着磁されている)磁極面球状ボンド磁石を用いた。磁極は、上下左右に隣接する磁極の向きがほぼ異なるように形成し、多自由度モータとして好適な形状としている。
ここで、ボンド磁石と圧粉磁心の一体成形化について説明する。希土類系などの磁石粉末と熱硬化性樹脂の混練物を、圧縮成形用のキャビティに給粉して300MPa以下の低圧力で仮成形する。仮成形で成形圧力を低めるのは、後の圧粉軟磁性部との本成形の際に、両者の密着性を高めるためである。この仮成形により外径が略球状のボンド磁石部とする。ここで略球状とは完全な球状を意味するものではなく、半球状もしくはそれよりも表面積が小さい磁極面に類似するものを指す。等方性、異方性の両磁石粉末を用いることができ、異方性である場合は径方向に磁粉が配向したラジアル異方性の球状ボンド磁石となる。
次に、ボンド磁石の仮成形を行なった同キャビティ内に、アトマイズ鉄粉やFe−Co合金粉末、ナノ結晶粉末などの高透磁率軟磁性材料と熱硬化性樹脂の混練物を給粉して、ボンド磁石を仮成形したものとは別の金型コア(上パンチ)にて500〜1000MPaの高圧力で本成形を行なうことで、ボンド磁石と圧粉磁心を一体化する。なお、加圧成形後には250℃以下で硬化処理を行なう。
この製造方法は、少ない工数で複雑形状のボンド磁石と圧粉磁心とを一体化することができ、しかも射出成形などに比べて少ない樹脂量で高密度の成形体が得られるという特徴がある。樹脂量が少ないと、磁気特性の向上につながる。また、接着層など磁気抵抗の原因となる不要な部分をなくすことができるので、より高い磁気特性を示すことが出来る。
磁石粉末は、等方性のR−Fe−B系磁石粉末あるいはSm−Fe−N系磁石粉末であることが望ましい。もしくは、異方性のR−Fe−B系磁石粉末あるいはSm−Fe−N系磁石粉末であることが望ましい。ロボットなどの関節駆動を目的とする場合、例えばフェライト系ボンド磁石の様に残留磁束密度Brが0.4T未満であると、モータとして必要充分なトルクを得ることができない。したがって、Br≧0.4T、保磁力Hcj≧600kA/mの希土類ボンド磁石を使用することが望ましい。
一方、軟磁性粉末はアトマイズ鉄粉、Fe−Co鉄粉、Fe基ナノ結晶磁性粉末などを用いて、電気伝導率は20kS/m以下、磁気特性はBm≧1.4T、Hc≦800A/mにすることが望ましい。電気伝導率が20kS/m未満であると、渦電流損を珪素鋼板などの絶縁積層品と略同等に低減することができる。また、Bmが低いと必要充分な磁束が得られず、またHcが高すぎるとモータ回転時のヒステリシス損が顕著になりモータ効率が著しく低下する。
さらに、磁石粉末の平均粒径が50〜200μmであり、軟磁性粉末の平均粒径が1〜50μmであるものが好ましい。相互に粒径を変えることでボンド磁石部と軟磁性部の密着強度が高まり、強固な機械強度を得ることができる。さらに好ましい磁石粉末の平均粒径は80〜150μmであり、さらに好ましい軟磁性粉末の平均粒径は5〜30μmである。
製造の最終工程で500〜1000MPaの高圧力で圧縮成形した場合の密度は、例えばR−Fe−B系のボンド磁石部で5.5〜6.0Mg/m、R−Fe−N系のボンド磁石部で5.4〜6.0Mg/mであり、Fe粉のボンド軟磁性部であれば6.0〜6.5Mg/mである。
また軟磁性粉末に、絶縁皮膜のコーテイングをなすことも好ましい。あるいは希土類磁石粉末に、絶縁皮膜コーテイングをなすことも好ましい。絶縁皮膜のコーティングを施すと電気抵抗が増加して、モータ回転時の渦電流損を低減することができる。
なお、金型コア(ダイス)が加圧方向に対して単純な円筒形であると、磁石をダイスから抜く瞬間に成形体が膨張し、クラックを発生する。そこでダイス上面にテーパを設けると成形体が除所に膨張するため、クラックの発生を抑制することができる。
圧縮成形の順序として、ボンド磁石部を結合材および平均粒径が50〜200μmの磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドにより予備成形し、その後、軟磁性ヨーク部を結合材および平均粒径が1〜50μmの軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドにより球形状の接触面で前記軟磁性ヨーク部の軟磁性粉末がボンド磁石部側に入り込んでボンド磁石部に接触するように予備成形し、その後前記ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部を予備成形の圧力よりも高い圧力で前記接触面の径方向に同時に圧縮することにより本成形して一体にし、その後熱硬化させる第1の製造方法を採用できる。粒径の粗い磁石粉末を先に予備成形することで、後から充填される粒径の細かな軟磁性粉末が一部ボンド磁石部側に入り込み、圧着力をより高めることができる。従来の接着剤による接合では、接着層の厚みがばらついたり、接着面の粗さによって接着強度が変わるなど、安定した接着強度を得ることは難しい。製品仕様として10MPa以上の接着強度を有することが明記されていても実質5MPa以上の接着強度を出すことが困難となる。これに対して本発明の手法では、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部の圧着力はせん断応力で10MPa以上となる。また本発明の手法では、モータの軽量化などの目的で、磁石部または軟磁性ヨーク部の一部もしくは全体を極薄肉にするのも容易になる。つまり、従来手法ではボンド磁石部および軟磁性ヨーク部の各々を個別に製造する必要があるため、各々がその形状を保てるだけの肉厚を必要とするのに対して、本発明の手法では成形体は金型から取り出される直前までキャビティ内で形状が保たれるため、極薄肉部を設けるのが容易になる。
さらに、前記ボンド磁石部を結合材および平均粒径が50〜200μmの磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドにより予備成形したものと、前記軟磁性ヨーク部を結合材および平均粒径が1〜50μmの軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドにより予備成形したものを個別に製作し、その後、両予備成形体を組み合わせて新たな金型内で予備成形の圧力よりも高い圧力で本成形して一体にし、その後熱硬化させる第2の製造方法も採用することができる。この製法では、1つの金型内で給粉、仮成形、給粉、本成形という手順を踏まずに済むため、金型の動作の簡素化や成形時間の短縮につながり、より生産性が高まる。この製法におけるボンド磁石部と軟磁性ヨーク部の圧着力は、前述の粗粉に対する微粉の入り込みの現象が若干低下し、せん断応力で5MPa程度となる。
また、軟磁性粉末コンパウンドを圧縮成形した後に、磁石粉末コンパウンドを軟磁性ヨーク部に球形状の接触面で軟磁性ヨーク部の軟磁性粉末がボンド磁石部側に入り込んで接触するように予備成形し、この予備成形圧力よりも大きい成形圧力を全体に加えて前記接触面の径方向に同時に圧縮することにより一体成形する製造方法も採用することができる。この製法でも、せん断強度は5MPa程度となり、従来の接着方式とほぼ同等の界面強度が得られる。
さらに、軟磁性ヨーク部は機械加工性に優れるため、ネジ加工やスプライン加工などを施すことで、シャフトやアーム類への取付けを容易にすることができる。また、モータが大型化する場合には、部品をユニット化してネジ止め等により一体化することで、接着レス化することも可能になる。
なお、永久磁石粉末に異方性磁石粉末を使用する場合、少なくとも最終加圧時に磁界を印加して製造する必要がある。但し、特許第3007492号に示されている様な、内面閉磁路型異方性磁石では、配向磁界が複雑化するためNdFeBをはじめとする希土類系ボンド磁石に必要な配向磁場強度(20kOe以上)を得るのが極めて難しくなる。これに対して、本発明のごとく軟磁性ヨーク部で磁気回路を閉じる構成にすれば、磁石部分の配向は一様に平行か、もしくは単純なラジアル方向で済むため、例えば磁石よりも充分に大きいソレノイドコイルを用いて、20kOe以上の必要充分な磁界中で成形することができる。なお、平行磁界をラジアル方向磁界に調整する手段は、成形金型の一部に球形状の磁性鋼を用いて磁気回路を形成することで、比較的容易に実現することができる。
また磁石部分の着磁に関して、磁石単体を着磁した後に軟磁性ヨークへ接着固定する従来方式に対して、未着磁の磁石を軟磁性ヨークへ接着固定した後に一体着磁を試みる場合には、その磁石が組み合わされる、界磁コイルを有する鉄心を利用することもできる。具体的には、未着磁の磁石をコイル付き鉄心に組み込み、コイルの任意の相にパルス電流を印加して磁極と対向する部分の磁石の着磁を行ない、続いて他の相で着磁を行ない、最終的に磁石全体を着磁する手法が挙げられる。但し、この方式では鉄心の磁極部と対向しない部分を着磁することができない。一般的に、多自由度モータの鉄心は多極かつ構造が複雑なため、隣接する磁極間の距離が比較的大きくなり、着磁できない領域が増えてしまう。つまり、本発明の様に磁極部の全表面が磁石で覆われている場合、その全ての部分を無駄なく着磁することが困難となる。従って、専用の着磁治具が必要になる。
なお、本発明の方式では磁石と軟磁性ヨークとの間に接着層などの隙間が生じることがないため、磁気的な抵抗が極めて小さくなり着磁し易くなる。このため、有芯ソレノイドコイルを磁極数と同数だけ用意して、それらを放射状に配置し、各コイルを直列または並列に接続して一体化する簡単な構造で、良好な着磁性を得ることができる。この構造は、コイルの巻線作業が簡単なため、1極あたりの着磁コイルの巻回数を大きくとれ、さらにコイルを芯材に密着させ易いので隣接する磁極間の距離を小さくすることができ、未着磁の領域を極めて小さくすることができる。
本発明は、以上記述のようにボンド磁石部と軟磁性部とを一体化できるので、多自由度モータをはじめとする複雑な形状を要する磁気回路用部材として、形状設計の自由度を高めることができる。また、接着などの組立て作業が削減され、従来の接着方式に比べて高い寸法精度や機械強度を得ることができる。さらに、磁石と軟磁性ヨークとの間に接着層などの不要な隙間がなくなるため、磁気抵抗が減少してより高い磁気特性を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面とともに説明する。
先ず、本発明の一実施例に関わる軟磁性ヨーク一体型ボンド磁石の模式図を図1に示す。図1(a)は外面が球形状の磁石部で、その内面には軟磁性ヨーク部が形成されており、その一部が磁石を貫通して回転軸として利用できる形態を示している。図1(b)は外面が半球状の磁石部で、その内径には軟磁性ヨーク部が形成されており、磁石部とは反対側に回転軸の一部として利用できるヨーク部を設けた形態を示している。図1(c)は内面が半球状の磁石部で、その外面に軟磁性ヨーク部が形成される形態を示している。
どの形態においても、磁石部と軟磁性ヨーク部は圧縮成形によって一体的に形成されている。なお、図1の着磁パターンは一例を示すものであり、モータの磁極数などによってそのパターンは異なる。
図1の(a)の形態を例にして、本発明の永久磁石回転子の製造方法を図2および図3に示す。図2(a)は、図1(a)に示す球形状の磁石が上下に2分割されている事を示しており、これを2分割した状態を図2(b)に示す。図2(c)は、図2(b)の断面図を示したもので、各々において磁石部と軟磁性ヨーク部が一体化されており、さらに接合面において勘合部13を設けていることがわかる。図3は、図2(c)の下側に示す形状において、磁石部と軟磁性ヨーク部を一体的に圧縮成形する製造工程を示したものである。
成形装置は、磁石部のみを低圧力で仮成形する製造工程では、ダイス7と、その内部に保持される磁石部を圧縮成形する上下パンチ3および4と、上パンチのガイドになる磁石成形用スリーブ8と、センターシャフト6とを有する。始めに図3(a)のように上パンチ3を上げてボンド磁石部の成形キャビティを形成し、希土類磁石粉末と熱硬化性樹脂との混練物である磁石粉末コンパウンド11を給粉する。次に、図3(b)のように、上パンチ3を下降させて成形圧力300MPaで予備加圧し、所望の厚さよりも厚い予備成形体を形成する。次に、図3(c)のように上パンチ3と磁石成形用スリーブ8を上げた後、図3(d)のように軟磁性ヨーク部を成形する上パンチ5と、その上パンチのガイドになるヨーク成形用スリーブ9に入れ替え、センターシャフト6を所望の位置まで降下させてヨーク部の成形キャビティを形成し、アトマイズ鉄粉やFe−Co合金粉末、ナノ結晶粉末などの高透磁率材料と熱硬化性樹脂の混練物である軟磁性粉末コンパウンド10を充填する。その後図3(e)のように上パンチ5を下降させて成形圧力1000MPaにて最終加圧による本成形を行なう。なお、磁石粉末として異方性磁石粉末を用いる場合は、最終加圧前に磁界を印加する。
最後に図3(f)の様に上パンチ5とヨーク成形用スリーブ9を上げて、センターシャフト6で押し出す様に成形装置から成形体を取り出し、必要に応じて250℃以下で加熱しながら硬化処理する。同様に図3と類似の他の成形装置にて図2(c)の上側に示す形状のものを作成し、成形体に予め設けている勘合部13にて圧入などにより一体化し、着磁を施すことにより、球形状のヨーク一体型磁石回転子を得る。
なお、図3では磁石粉末コンパウンドで予備生形体を構成した後に軟磁性粉末コンパウンドを給粉しているが、同様にして、軟磁性粉末コンパウンドで予備成形体を構成した後に磁石粉末コンパウンドを給粉しても良い。この場合に圧着強度は低下するものの、磁石が極めて薄肉でキャビティ内において仮成形体を保持するのが困難な場合などには、有効な製造手法となる。
また、この製造方法をさらに応用して、回転軸を別部材にして成形キャビティ内に予めセットしておき、磁石と軟磁性ヨークの一体成形品にシャフトを勘合させることも可能である。この際、シャフトの勘合部の面粗度を荒くしたり、溝加工などの凹凸を設けることにより、固着性を高めることができる。
図3に示す成形方法によれば、単一の成形装置内に原料を供給し、予備成形と本成形を行うことにより、接着や組立ての工程を要せず、ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部の接触面が全て強固に固着した軟磁性ヨーク一体型のボンド磁石が得られる。従って、従来よりも構造信頼性の高い磁気回路用の部材が低コストで製作できる。
スプリングバックによるクラックの発生を抑制するため、ダイスのキャビティ上部をテーパ化して急激なスプリングバックの発生を抑制する、ダイスのキャビティ面の面粗さを小さくして摩擦抵抗を低減する、潤滑剤などにより摩擦抵抗を低減する、などの手段が採用できる。
結合剤は熱硬化性樹脂が好ましい。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等が適宜使用できる。磁石粉末質量に対する含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、1.0〜4質量%がより好ましい。軟磁性粉末に対する含有量は0.1〜3質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。結合剤の含有量が少なすぎると機械強度が著しく低下し、結合剤の含有量が多すぎると磁気特性が著しく低下する。
軟磁性粉末と結合剤、もしくは磁石粉末(特に希土類磁石粉末)と結合剤を調整してコンパウンドとする。このコンパウンド中には、酸化防止剤や潤滑剤が含まれていてもよい。酸化防止剤は、磁石粉末の酸化を防止して磁石の磁気特性の低下を防ぐのに寄与する。また、コンパウンドの混練・成形の際に熱的安定性の向上に寄与し、少ない結合剤添加量で良好な成形性を保てる。酸化防止剤は、既知のものを使用でき、例えば、トコフェロール、アミン系化合物、アミノ酸系化合物、ニトロカルボン酸類、ヒドラジン化合物、シアン化合物、硫化物等の、金属イオン、特にFe成分に対しキレート化合物を生成するキレート化剤などが使用できる。
潤滑剤は、コンパウンドの混練・成形の際に流動性を向上させるため、より少ない結合剤添加量で同等の特性を得ることができる。潤滑剤は既知のものを使用でき、例えば、ステアリン酸またはその金属塩、脂肪酸、シリコーンオイル、各種ワックス、脂肪酸などが使用できる。
また、他に安定化剤、成形助剤等の各種添加剤を添加することもできる。コンパウンドは混合機や攪拌機を用いて混合する。
磁石粉末として、Smを主とする希土類元素と、Coを主とする遷移金属とを基本成分とするSm−Co系磁石粉末や、R(ただし、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)と、T(Feを主とする遷移金属)と、Bとを基本成分とするR−T−B系磁石粉末、Smを主とする希土類元素と、T(Feを主とする遷移金属)と、Nを基本成分とするR−T−N系磁石粉末、さらにはこれらの混合磁石粉末が好ましい。
図4は、本発明における球状ボンド磁石の着磁方式を示す模式図である。図4(a)は1極を着磁するための有芯ソレノイドコイルを、所望の磁極数だけ並べた様子を示したものである。図4(b)はその断面を示したものである。図4(c)は1極ごとの有芯20のソレノイドコイル21を直列接続した後に、樹脂22を含浸して一体化した着磁コイル装置の模式断面図である。図4(d)はその一体化した着磁コイルで着磁した磁石を横から見た模式図である。図4(e)はその磁石を上から見た模式図である。本方式によれば、着磁のパターンが複雑化しても、1極ごとの有芯ソレノイドコイルの形状や配置が調整し易く、さらにコイルの巻線や結線処理が容易なため、柔軟に対応することができる。
本発明の一実施例に関わる軟磁性ヨーク一体型ボンド磁石の模式図である。 本発明の一実施例に関わる軟磁性ヨーク一体型ボンド磁石の模式図である。 本発明の製造方法の一実施例を示す断面図である。 本発明の着磁方法の一実施例を示す模式断面図である。 従来の永久磁石回転子の模式図である
符号の説明
1:ボンド磁石部
2:軟磁性部
3:磁石部成形用上パンチ
4:磁石部成形用下パンチ
5:軟磁性部成形用上パンチ
6:センターシャフト
7:ダイス
8:ボンド磁石部成形用スリーブ
9:軟磁性部成形用スリーブ
10:軟磁性粉末コンパウンド
11:磁石粉末コンパウンド
12:回転軸
13:勘合部
14:磁極面球状ボンド磁石
20:着磁ヨーク
21:着磁コイル
22:着磁ヨーク固定用含浸樹脂
100:セグメント磁石
101:軟磁性ヨーク

Claims (6)

  1. 磁極面が結合材および磁石粉末を主とするボンド磁石部で形成され、前記ボンド磁石部の内層側が結合材および軟磁性粉末を主とする軟磁性ヨーク部で形成され、前記ボンド磁石部と前記軟磁性ヨーク部とは球形状の接触面で前記軟磁性ヨーク部の軟磁性粉末がボンド磁石部側に入り込んで互いに接合され、前記磁極面が略球状に形成されており、前記ボンド磁石部の外周曲面上に複数の磁極が着磁されていることを特徴とする多自由度モータ用磁極面球状ボンド磁石。
  2. 前記磁石粉末の平均粒径が50〜200μmであり、かつ前記軟磁性粉末の平均粒径が1〜50μmである請求項1に記載の多自由度モータ用磁極面球状ボンド磁石。
  3. 前記ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部とのせん断強度が5MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多自由度モータ用磁極面球状ボンド磁石。
  4. 結合材および平均粒径が50〜200μmの磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドを予備成形してボンド磁石部を形成し、その後、結合材および平均粒径が1〜50μmの軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドを前記ボンド磁石部の予備成形体に球形状の接触面で接触するように予備成形して軟磁性ヨーク部を形成し、その後前記ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部とを予備成形の圧力よりも高い圧力で前記接触面の径方向に同時に圧縮することにより本成形して一体にし、その後熱硬化させることを特徴とする磁極面球状ボンド磁石の製造方法。
  5. 結合材および平均粒径が1〜50μmの軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドを予備成形して軟磁性ヨーク部を形成し、その後、結合材および平均粒径が50〜200μmの磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドを前記軟磁性ヨーク部の予備成形体に球形状の接触面で接触するように予備成形してボンド磁石部を形成し、その後前記ボンド磁石部と軟磁性ヨーク部とを予備成形の圧力よりも高い圧力で前記接触面の径方向に同時に圧縮することにより本成形して一体にし、その後熱硬化させることを特徴とする磁極面球状ボンド磁石の製造方法。
  6. 結合材および平均粒径が50〜200μmの磁石粉末を主とする磁石粉末コンパウンドを予備成形した第1の予備成形体と、結合材および平均粒径が1〜50μmの軟磁性粉末を主とする軟磁性粉末コンパウンドを予備成形体した第2の予備成形体とを個別に成形し、両予備成形体を球形状の接触面で接触するように組合せ、組合せた両予備成形体を前記予備成形の圧力よりも高い圧力で前記接触面の径方向に同時に圧縮することにより本成形して一体にし、その後熱硬化させることを特徴とする磁極面球状ボンド磁石の製造方法。
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